週刊医療情報インデックス
2010年2月第4週 (2010.02.23~2010.03.01)
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【ウイークリーダイジェスト】
■救急応援の診療所医師に補助金、厚労省、10年度から
厚生労働省は、地域の診療所の医師が2次救急医療機関などの夜間・休日の診療支援を行う際の経費を補助する「診療協力支援事業」を2010年度から実施する。2次救急医療機関の要請を受けて、診療所が医師を派遣した際に出される手当のうち、1人1回当たり1万3570円を上限に国が補助する。病院勤務医の負担軽減とともに、診療所医師の救急医療への参画を促すのが狙いだ。
「診療協力支援事業」の予算総額は2億2949万円で、1施設当たりの積算単価は約500万円を見込んだ。国の補助率は3分の1で残りは都道府県などが補助する。
厚労省は2月26日、全国医政関係主管課長会議で事業の詳細を示した。会議では「オンコール体制などを取っている場合は対象となるのか」と質問が上がった。厚労省医政局指導課の古川浩二課長補佐は「原則としてオンコール体制だけでは対象とならない。オンコールで診療所の医師が2次医療機関に呼び出されて診療を行った場合に対象になる」と説明した。
厚労省は、受け入れ困難事案の患者を受け入れるために空床を確保した場合に補助する「受入困難事案患者受入医療機関支援事業」も10年度から実施する。
改正消防法で策定が義務付けられた「傷病者の搬送と受け入れの実施基準」に対応して新設した。実施基準では、救急受け入れに対応する医療機関を緊急性や専門性などに応じてあらかじめリスト化することになっており、リストに記載された病院では救急受け入れに対応するため空床の確保が必要になる。
同事業も国の補助率は3分の1で、1日1床当たり原則2万9110円を国が補助する。予算総額は4億5068万円。受け入れ困難事案としては▽急性アルコール中毒▽背景に精神疾患がある場合─などが挙げられている。
全国医政関係主管課長会議ではこのほか、NICUに入る新生児を担当する医師への手当を補助する「新生児医療担当医確保支援事業」(新生児が1人入院するごとに1万円、NICU入院初日のみ)、小児専門病院・中核病院を小児救命救急センター(仮称)として位置付け運営経費を補助する「小児救命救急センター(仮称)運営事業」(積算単価=1カ所あたり約2億2200万円)などの要綱も示した。
■OECD並み医療費「4年間でと確約できない」、鳩山首相
衆院予算委員会は2月26日、社会保障をテーマに集中審議を行った。昨年夏の総選挙のマニフェストの基となった「民主党政策集INDEX2009」に盛り込まれた「総医療費をGDP比で経済協力開発機構(OECD)加盟国平均まで引き上げる」とした方針について、鳩山由紀夫首相は「努力はするが、4年間でと確約できるとは必ずしも限らない」と発言。自民党の大村秀章・前厚生労働副大臣は「国民を欺く詐欺的行為だ」と批判した。
これに対し大村氏は「詐欺的行為だ。努力するが、やるかどうか分からないという答弁では納得できない」と批判。医療費の引き上げに向けた工程表を示すべきだと指摘した。
さらに大村氏は、2010年度診療報酬改定の改定率は「マイナスだった」とあらためて指摘。09年度第1次補正予算の執行停止と合わせ「命を守るというのはポーズか」と迫った。
鳩山首相は「地域の医療崩壊を招いたのは旧政権じゃないんですか」と返し、「前政権の過ちを繰り返してはいけないということで、本体は前回の4倍も増やし、医療崩壊の現場を救おうというのが基本的な考え方」と強調。長妻厚労相も「補正予算のような単年度の措置ではなく、10年ぶりにネットプラスを実現し、恒久的な措置として医療を立て直していく」と述べた。
■高額療養費の限度額見直しへ、厚労相「社保審で議論する」
高額療養費制度の自己負担限度額について、長妻昭厚生労働相は2月26日、衆院予算委員会の分科会で「運用改善と合わせて、2010年度に、患者や保険者、医療関係者が入った社会保障審議会で議論していく」と述べ、自己負担額の見直しに向けた議論を10年度から始める考えを示した。江田康幸氏(公明)の質問に答えた。
江田氏は、難病やがんなどの長期慢性疾患を抱えた低所得者が、生涯にわたって医療費を負担していく難しさを指摘した上で「高額療養費制度の自己負担限度額は適切なのか」とし、設定金額の引き下げを要求した。
高額療養費制度は、患者が1カ月間に支払った自己負担額が高額となった場合、一定金額を超えた部分が保険者から患者に払い戻される制度。70歳未満の自己負担限度額は、被保険者の所得に応じて、一般・上位所得者・低所得者の3段階に設定されている。市町村民税が非課税の低所得者の自己負担限度額は1カ月当たり3万5400円となっている。
■高度医療、新規技術1件を承認、評価会議
高度医療評価会議(座長=猿田享男・慶応大名誉教授)は2月25日、胃がんの胃切除後にパクリタキセルを適応外使用した腹腔内への反復投与を、高度医療評価制度の対象技術として承認した。
このほか、継続審議になっていた重症虚血性心疾患に対する「低出力体外衝撃波治療法」も条件付きで承認した。
■特定看護師「日医のすべて懸け反対」、日医・羽生田常任理事
日本医師会の羽生田俊常任理事は2月24日の日医の定例会見で、厚生労働省の「チーム医療の推進に関する検討会」で示された「特定看護師(仮称)」について、現行法の中で対応することが可能とあらためて主張した。その上で「日医のすべてを懸けて反対する」と強い決意を示した。厚労省は来月19日の次回会合で報告書をまとめることにしているが、羽生田常任理事は「特定看護師が、最終的な報告として出されるならば委員を辞任する」と述べた。
■第3次試案「成案にはならない」、死因究明制度で足立政務官
死因究明制度の創設に向けた厚生労働省の第3次試案について、足立信也厚生労働政務官は2月23日の衆院予算委員会で「過去に検討された第3次試案が成案になることはないと考えている」と明言した。その上で「来年度中にしっかりした方向性を出していきたい」とし、前政権下での第3次試案の方向性とは異なる形で、死因究明制度の検討を進める考えを示した。岡本充功氏(民主)の質問に答えた。
足立政務官は、中井洽国家公安委員長の下で検討されている「非自然死体」の死因究明について言及し「医療提供関連死がそこに入るのかどうか、あるいは除外すべきなのかどうか。その検討の状況も見守りたい」と述べ、国家公安委員会での検討結果を踏まえて死因究明制度の創設に取り組む姿勢を示した。
●無過失補償制度は「公的でやるべき」
足立政務官は同日の衆院予算委員会で、無過失補償制度の補償金支給について「私は公的でやるべきだと思っている」と述べた。
産科の無過失補償制度が民間損害保険を活用して補償金を支給していることに関して、足立政務官は「入り口(制度への加入)は公的でやっておきながら、出口(補償金支給)は民間の任意保険になっている。これはあり得ない形態だ」と指摘。「ここ1~2年の重要な課題として前向きに検討していく」とした。
■直接支払い「4月完全実施は困難」、出産一時金で足立政務官
厚生労働省の足立信也政務官は2月24日の衆院厚生労働委員会で、出産育児一時金の直接支払い制度ついて「4月の完全実施は困難な状況にある」との認識を示した。仁木博文氏(民主)の質問に答えた。
足立政務官は、直接支払い制度について「現在、約8割(の医療機関)が導入している」としたものの、産科医療機関約400施設(直接支払い制度を実施していないか、実施件数が少ない施設)に対して厚労省が行った調査では、100施設以上が「資金繰りが大変」と答えたことを明らかにした。
その上で「(支払いまでの)2カ月というタイムラグを縮める努力をしなければならない。レセプトの電子化とも密接に絡んでくる問題。支払い回数を増やせば短くなるかもしれない。そういうことを検討している」と述べた。
■日医も医学部新設に反対を表明、医師数は1.1~1.2倍が妥当
日本医師会は2月24日の定例会見で、医学部新設について反対するとの見解を発表した。医師数は日医がまとめた「グランドデザイン2009-国民の幸せを支える医療であるために-」に基づき、中長期的に1.1~1.2倍にすることが妥当との考えを示した。
新設の問題点として▽医療現場から医師を引き揚げざるを得ず、地域医療崩壊を加速する▽教員が分散し、医学教育の水準を低下させ、医療の質の低下を招く▽人口減少など社会の変化に対応した医師養成数の柔軟な見直しが行いにくくなる─などを挙げた。
1.1~1.2倍とするための前提条件としては①財源の確保②医学部教育から臨床研修制度までの一貫した教育制度の確立③医師養成数の継続的な見直し─の3項目を挙げた。
■レセ電子化の諸問題「議論継続を」、日医IT委が答申
日本医師会は2月24日の会見で、会内の「医療IT委員会」がまとめた答申を公表した。レセプトオンライン請求義務化を事実上撤回した厚生労働省の省令改正について「委員会の主張がほぼ採用されている。大いに評価できる」とした上で、電子化によって集積されるレセプトデータの扱いなどに問題点が残るとし「レセプトの電子化に伴う諸問題についての議論を継続し、解決に向けて今後も強く訴えていくべき」としている。
答申では、行政刷新会議の事業仕分けで「集積したレセプト情報から疾患別分析を行えば、国民の正確な医学的ナショナルデータベースが構築される」と厚労省が回答していることを取り上げ、「レセプトはあくまでも保険ルールに従った診療報酬の請求書にすぎない」とし、レセプトから純医学的分析に資する有用なデータが得られるかどうかは「疑問」と指摘した。さらに、国以外の組織でレセプト情報を活用するナショナルデータベース化構想が進んでいるとし「利用ルールについて日医は毅然とした態度をとるべき」とした。
このほか、保険証の即時資格確認について「強制的なものでなく、現場の医療機関に極力、負担のかからない方法での実現を目指すべき」とした。
国保総括表と地方単独公費請求書についても触れ「レセプト請求をオンラインや電子媒体で行ったとしても、これらが残っている限り、請求事務の省力化というメリットを享受できない」と指摘し、「国のトップに問題を認識させ、強力に号令を出させる必要がある」とした。
■政策形成への積極的関与を、日医の医療政策会議が報告書
日本医師会は2月24日の会見で、会内の「医療政策会議」の2008・09年度報告書を公表した。新政権下での日医の政策形成への参画について、専門家集団としての積極的な関与を訴えている。
報告書は①政治環境の変化(山口二郎委員・北海道大大学院教授)②経済成長と医療財政(神野直彦委員・地方財政審議会長)③イノベーションと医療(権丈善一委員・慶応大教授)④自律的な専門職集団としての医師のあり方(桐野髙明委員・国立国際医療センター総長)―の4章から成る。
このうち「政治環境の変化」では、昨年の政権交代で与党となった民主党による社会保障費の確保について「無駄を省くことによって生まれる財源とは桁が違う。無駄の削減はあくまで政府に対する国民の信頼を回復するための作業で、将来の負担増に対する国民的な合意を得るための予備作業」と指摘。1期目の4年間は消費税を増税しないとしたことについても触れ「今後、持続可能な社会保障システムのために負担の在り方について国民と率直に対話する必要がある」とした。
また「日医も医療の専門家集団として、政策形成への新しい参加の在り方を考え出す必要がある」と指摘。「医療に対する国民的な危機感を背景に、医療政策の重要な柱を担うことを今後も続けていくべき」とした。
■異状死死因究明モデル事業を実施へ、10年度から厚労省
厚生労働省は2010年度から行政解剖の体制づくりを支援する「異状死死因究明モデル事業」を新たに実施する。2月26日の全国医政関係主管課長会議で、実施要綱と交付要綱の案を説明した。
厚労省によると、監察医制度が適用されている東京23区、大阪市など以外では、異状死の死因究明のための解剖は広く実施されているとはいえないのが現状。このため法医学教室との連携などで独自の解剖を行っている地方公共団体を財政支援する。補助基準として年間の解剖取り扱い件数が「おおむね30件程度」などを挙げている。1カ所の事業費の上限は554万6000円。全国10カ所程度を想定している。
●Aiの整備事業も実施
同モデル事業では、死亡時画像診断(Ai=Autopsy Imaging)を使用する場合の経費も含む。厚労省は「死亡時画像診断システム整備事業」も併せて実施する。死亡時画像診断の画像の撮影、診断、管理、教育研修の体制整備が計画されていることが条件。同事業で整備を行った死亡時画像診断システムについては、毎年度12月末日現在の稼働実績を報告することも義務付ける。
■官公庁・医療施設、全面禁煙へ、厚労省・健康局通知
厚生労働省健康局は2月25日付で都道府県などに対し、受動喫煙防止対策の周知と円滑な運用を求める通知を発出した。すでに受動喫煙防止の措置を取るべきとしている学校や病院、官公庁施設、社会福祉施設などのうち、少なくとも官公庁や医療施設については全面禁煙が望ましいとした。
通知では、医療施設の全面禁煙が望ましいとしているが、健康増進法の対象は屋内であり、敷地内であっても屋外は法律の対象ではない。しかし、厚労省健康局は「医療施設の形態を考えれば、患者らが足を踏み入れない場所を想定することは難しく、屋外でも受動喫煙のリスクがある場合は、リスクを排除してほしい」(生活習慣病対策室)としている。
■「社会保障国民会議は生きているのか」、社保審総会で議論
厚生労働省は2月23日の社会保障審議会(会長=貝塚啓明・東京大経済学研究科金融教育研究センター長)に、2010年度厚労省予算案や、開会中の通常国会への提出議案について報告した。この中で、一昨年秋にまとまった「社会保障国民会議」の報告書やこれを受けて閣議決定した「中期プログラム」の扱いが話題となった。
社会保障国民会議で分科会長を務めた大森彌会長代理(東京大名誉教授)は、国民会議の報告書や中期プログラムの別添工程表の扱いについて「凍結なのか、廃止なのか、どのように扱っているのか」とただした。これに対し厚労省の間杉純・社会保障担当政策統括官は「特に廃止などにはなっていない。(このほどまとまった)成長戦略などにも織り込まれている」と説明。12年度の診療報酬・介護報酬同時改定に向けても「歩みを進めていかなければならない」と述べた。ただ、国民会議の中で議論された消費税の引き上げについては「現政権下では引き上げない方向」とした。
■与党議員とHPVワクチン勉強会、民間2団体が主催
「子宮頸がん予防ワクチン接種の公費助成推進準備委員会」(発起人代表=土屋了介・国立がんセンター中央病院長)と「医療志民の会」は2月23日、東京都内で「ワクチン政策を考える勉強会」を開いた。民主党議員12人が出席した。
1回目となる同日の勉強会は、ワクチン接種と検診でほぼ予防が可能な子宮頸がんとヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチンに焦点を当てた。自治医科大産科婦人科学の鈴木光明教授が「およそ7割が予防でき、11~14歳女児への接種が最も効果的。成人女性にも有効」と述べ、子宮頸がんに対するHPVワクチンの有効性を説明した。
また、NPO法人愛媛がんサポートおれんじの会の松本陽子理事長が、子宮頸がん患者の視点からHPVワクチン接種の必要性を訴えた。
「子宮頸がん予防ワクチン接種の公費助成推進準備委員会」はHPVワクチン予防接種の公費助成による個人負担軽減を目指し、3月2日に「子宮頸がん予防ワクチン接種の公費助成推進実行委員会」を設立し、公費助成を訴えていく。
「医療志民の会」は、医師や患者などさまざまな立場の人たちが協働し医療制度について情報発信や政策提言するために発足した団体。
■レセオンライン訴訟、「義務化撤回」受け終結、
レセプトのオンライン請求義務化は、営業の自由を保障した憲法に違反するなどとして、全国の医師・歯科医師計1744人が国を相手取り、オンライン請求義務の不存在確認などを求めた訴訟の第4回口頭弁論が2月22日、横浜地裁(佐村浩之裁判長)であった。原告側は訴えの取り下げを申し入れ、国側も同意。提訴から約1年1カ月で、訴訟は終結した。
一方、大阪地裁でも医師ら449人が同様の訴訟を起こしていたが、大阪訴訟で原告代理人を務める西晃弁護士は、国側から取り下げに同意する文書が16日付で提出されたことを報告集会で明らかにした。大阪訴訟の原告は、今月12日に大阪地裁に訴えの取り下げを申請していた。
■現状の番号残して「制度間の共通番号」、政府検討会
社会保障と税の共通の番号制度の創設に向けた政府の「社会保障・税に関わる番号制度に関する検討会」(会長=菅直人副総理)は2月22日開かれ、各制度間を横断する形で基礎となる番号を設けることで一致した。基礎年金番号や健康保険の被保険者番号など、現在、制度ごとに存在する番号は残しつつも、基礎となる番号を通じてさまざまな制度にアクセスできるようにする。
番号を1つに統一しない理由については「セキュリティー、プライバシー保護の観点から(複数の番号が)あってもいいのではないか」と述べ、利便性とセキュリティーの両方に配慮した結果だとした。
■介護など現物給付充実を、未来投資PTで神野氏
厚生労働省の「医療・介護・保育『未来への投資』プロジェクトチーム」は2月22日、関西学院大人間福祉学部の神野直彦教授から意見を聴いた。神野氏は社会保障費を充実させながら経済成長を達成しているスウェーデンを例に取り上げ「介護・育児などの現物給付に社会保障の軸足を移すべき」と述べた。
神野氏は、GDPに占める社会保障の大きさがほぼ同様のスウェーデンとドイツを比較して、スウェーデンの方が高い成長率となっていることを指摘。その理由として、スウェーデンの社会保障支出に占める高齢者や家族への現物給付の多さを挙げた。
その上で、今後は2次産業から3次産業への人的資源の移行に伴い女性の社会進出が進むとし「今後の社会保障の在り方として、家庭内で担われていた労働をサービスとして提供することが経済成長を考える上で重要。従来のセーフティーネットをさらに拡充し、労働市場に参加できる形にすべきだ」と訴えた。
■レセ電子化補助金、7950件に交付、支払基金
社会保険診療報酬支払基金は、電子レセプト作成に必要なレセプトコンピューターの購入費用などの助成に充てる「医療施設等設備整備費補助金」として、2月19日に7950件への交付を決定したと発表した。交付額は28億8339万1000円。交付対象の内訳は、病院231件(1億9885万7000円)、医科診療所5822件(18億4595万円)、歯科診療所1119件(4億7399万2000円)、調剤薬局778件(3億6459万2000円)。
支払基金によると交付決定分も含め、16日現在で計1万6394件、交付予定額(196億円)の約3割に当たる58億5761万5000円分の申請があったという。
■10年度から3カ年の「事業方針」決定、支払基金
社会保険診療報酬支払基金は2月22日の理事会で、2010~12年度の3カ年にわたる「事業方針」を決定した。▽電子レセプトに対応した審査の充実と業務の効率化▽全国組織としての機能強化▽関係者からの信頼の維持・向上―を掲げた。
このうち「全国組織としての機能強化」の一環として、11年度から保険者への費用請求や医療機関などへの支払いを本部で一括処理することや、庶務・会計・資金管理の管理部門を中核支部に集約することを検討することを盛り込んでいる。
また「電子レセプトに対応した審査の充実と業務の効率化」に関連して10年度前半にサービス向上と業務効率化に関する新たな計画を策定する。この中で11年度末に約4800人となる定員を、12年度から400人減らすことなどを盛り込む方針だ。
同日の理事会では10年度事業計画・一般会計収支予算も了承した。今後厚生労働大臣への認可申請手続きに入る。一般会計総額は前年度比2.4%減の847億円。
■「自殺対策は最重要課題の1つ」、厚労省PTで長妻厚労相
厚生労働省の自殺・うつ病等対策プロジェクトチームは2月23日、2回目の会合を開き、有識者からヒアリングを行った。出席した長妻昭厚生労働相は「鳩山由紀夫首相とも自殺対策について話をした。鳩山内閣の下で、多くの方々に生きる希望を持ってもらえる施策を打ち立てることが、本当の命を守る政治につながる。最重要課題の1つだ」とした上で、「精神疾患は患者数が増えており、重要疾患の1つとして位置付けて国を挙げて取り組む時期が来ている」とした。
ヒアリングでは▽精神疾患治療中の人の治療について▽自殺率が低下した英国での対策▽精神医療の体制▽ケースワーク機能の充実-などの発表があった。また「アウトリーチ」(支援者の方から直接出向く援助)の必要性が発表者の共通認識として指摘された。さらに、統合失調症が自殺の背景になっている場合もあることから対策が必要との意見もあった。
厚労省は、来月3日にさらにヒアリングを実施。年度明けをめどに2011年度予算に盛り込むべき内容を整理するとしている。
■「お父さん、眠れてる?」、3月は自殺対策強化月間
内閣府自殺対策推進室は2月22日、3月の「自殺対策強化月間」に向けて「眠れてますか?」をキャッチフレーズに、睡眠キャンペーンを展開すると発表した。睡眠キャンペーンのほか、ハローワークなどでの対面型相談支援も行う予定だ。
睡眠キャンペーンは、自殺の主要な要因であるうつ病になった場合や精神的に不安を感じた場合、睡眠障害を起こすことが多いことに着目した。インターネットやテレビなどのメディアを活用し、さまざまな場所で「眠れてますか?」と問い掛け、自殺率の高い40~60代の男性に対して、早期の医療機関への受診や相談機関への相談を促す。
◎介護編
■介護従事者の賃金、さらに1万6000円上げ、長妻厚労相
介護従事者の賃金を月額4万円引き上げるとした民主党のマニフェストについて、長妻昭厚生労働相は2月23日の衆院予算委員会で「前政権下で行われた介護報酬の3%増と処遇改善交付金を含め、トータルで4万円引き上げたい」と述べた。竹内譲氏(公明)の質問に答えた。
2009年度介護報酬改定後に厚生労働省が行った調査では、改定前に比べて賃金は月額約9000円増加。処遇改善交付金では月額1万5000円引き上げるとしており、政権の任期である4年間で、差し引き1万6000円程度をさらに上乗せする方針を示したものだ。
長妻厚労相は、介護従事者の処遇改善について「(12年度の)介護報酬と診療報酬の同時改定に向けて、省内でも鋭意検討している」とし、「少なくとも4万円は達成したいが、それでもまだ不十分と思うので、引き続き取り組んでいきたい」と述べた。
■ケアマネジャー「国家資格化を」、介護支援専門員協・木村会長
日本介護支援専門員協会の木村隆次会長は2月20日、京都市で開いた同協会の全国大会で、ケアマネジャーの国家資格化に向けて積極的に取り組んでいく姿勢を強調した。ケアマネジャーの国家資格化を検討する審議会を立ち上げるよう、2010年度に厚生労働省に要望する方針としている。
木村会長は、ケアマネジャーを国家資格化し、利用者や患者などの「ケアマネジメント」を業務独占とすることを提案。併せて、大学などでケアマネジャーを養成する基礎教育カリキュラムを創設する必要性を主張した。介護報酬で評価されているケアマネジャーの提供サービスを診療報酬上の評価にも広げていきたいとしている。
■特養・老健は25年までに倍増、公明が新介護ビジョン
公明党は2月24日、団塊の世代が75歳以上になる2025年の介護サービス基盤の整備目標などを示した「新・介護公明ビジョン」をまとめ、鳩山由紀夫首相に提出した。「安心して老後を暮らせる社会へ12の提案」と題して、介護サービス基盤の拡充に向けた12項目の施策を盛り込んだ。25年までに介護施設への入所待機者を解消するため、特別養護老人ホームや介護老人保健施設などを倍増することを提案。特定施設やグループホームに関しては3倍にする必要性を指摘した。
介護従事者の処遇改善に向けては、09年度補正予算で計上されている「介護職員処遇改善交付金」の対象者を拡大した上で、職員の給与上昇につながる介護報酬の引き上げを行うと記載した。
介護事業の運営改善についても提案。特養などで定められている介護職員の配置基準を、現行の3対1から2対1にするよう明記した。要介護認定に関しては、審査の手続きを簡略化する必要性に言及。入所者の要介護度を軽減させた介護事業者に対しては、介護報酬で評価する制度の導入を盛り込んだ。
また少子高齢社会に対応するため、公費負担を大幅に拡大する必要性を指摘。介護保険の公費負担割合を現行の5割から当面6割に引き上げた上で、25年には3分の2を公費で賄うと明記した。
このほか、在宅介護への支援強化やケア付き高齢者住宅の拡充、介護保険制度の利用者負担の見直しなどを提案した。
■特定高齢者「別の呼び方に変える」、長妻厚労相が表明
要支援・要介護になる恐れがある「特定高齢者」の呼称について、長妻昭厚労相は2月25日の衆院予算委員会分科会で「呼び方は良くないので、今後、別の呼び方に変えていきたい」と述べ、名称を変えることを表明した。石津政雄衆院議員(民主)の質問に答えた。
石津氏は「後期高齢者と同じくらい、酷なネーミングではないか。高齢者が切り離されるようなネガティブにならないネーミングにしてほしい」と要望した。
2006年度から始まった介護予防事業で、国は対象者となるお年寄りを「特定高齢者」と呼んでいる。
◎調査・データ編
■医師派遣の実施は約3割、全自病、300床以上病院に調査
全国自治体病院協議会が会員病院を対象に実施したアンケートによると、200床未満の中小病院へ医師を派遣している300床以上の大病院は約3割だったことが分かった。佐々木崇常務理事が2月25日、記者会見で報告した。佐々木常務理事は医師派遣の実施状況について「必ずしも多くの病院ではない」とし「医師不足でできないとの回答を寄せる病院もあった」と述べた。
全自病は調査結果や、厚労省の「へき地保健医療対策検討会」(座長=梶井英治・自治医科大教授)」が来月取りまとめる報告書の内容などを踏まえ、「第11次へき地保健医療計画」の策定に対する要望をまとめる予定としている。
大病院を対象に中小病院との連携の方法を複数回答で聞いたところ、「地域の中小病院の紹介患者の受け入れ」が89.9%で最も多く、「高額医療機器の共同利用」が42.6%、「医師派遣」が34.9%だった。「看護師派遣」は3.0%で最も少なかった。全自病に加入している300床以上の329病院を対象に2009年12月に実施し、169病院(回収率51.4%)から回答を得た。
また、中小病院を対象に実施したアンケートで、病院経営上の現在の一番の悩みを複数回答で聞いたところ「医師確保」が81.0%で最も多く、次いで「経営問題」の34.4%、「看護師確保」の33.1%だった。
全自病に加入している200床未満の506病院を対象に、09年12月に実施し、163病院(回収率32.2%)から回答を得た。
■常勤保健師、84%が市区町村所属、厚労省、自治体を調査
厚生労働省は2月25日、2009年度保健師活動領域調査の結果を発表した。地方自治体の常勤保健師は合計3万1699人で、うち都道府県の常勤保健師は5058人(16.0%)、保健所設置市が6442人(20.3%)、特別区が1148人(3.6%)、市町村が1万9051人(60.1%)で、市区町村で約84%を占めた。
また、常勤保健師数を所属別に見ると、都道府県と保健所設置市では保健所の保健福祉部門に最も多いが、特別区や市町村では市町村保健センターが多かった。
調査は、保健師の活動領域の拡大を踏まえ、保健師の活動の実態を的確に把握し、今後の施策の基礎データとすることを目的に09年度から実施している。
■介護療養、毎年300施設以上の減、08年介護施設・事業所調査
全国の介護療養型医療施設は2008年10月1日時点で2252施設で、07年10月1日時点から356施設減少していたことが、厚生労働省が2月25日に発表した「08年介護サービス施設・事業所調査結果」で分かった。介護療養は05年以降、毎年300施設以上の減少傾向が続いている。
介護基盤の整備に関する基礎資料を得ることなどを目的に、全国の介護保険施設や居宅サービス事業者などを対象に、08年10月1日時点の状況について調べた。
介護療養の在所者数は9万2708人で、07年調査から1万45人減少。定員は9万9309人で、07年調査から1万1421人減少した。一方、病床利用率は93.4%で07年調査から 0.6ポイント増加。施設数の減少傾向が続く一方、病床利用率は06年調査(92.7%)以降、わずかな増加が続いている。
介護療養の在所者を要介護度別に見ると、「要介護5」56.5%、「要介護4」26.3%、「要介護3」11.7%で、「要介護1~2」は5.1%だった。厚生労働省大臣官房統計情報部は「介護保険施設の入所者の要介護度が重度化してきている」としている。
●老健・特養は増加
一方、介護老人保健施設は3500施設で、07調査から65施設増加。在所者は29万1931人で07年調査から6666人増えた。介護老人福祉施設は6015施設で、前年から123施設増加しており、在所者は41万6052人と07年調査から1万959人増えた。介護老人保健施設の利用率は91.5%、介護老人福祉施設の利用率は98.4%だった。
●訪問看護ステーションも微増
訪問看護ステーションは07年から27事業所増え5434事業所だった。利用者は28万1917人で、07年調査から7838人増えた。通所リハビリテーションを行う介護老人保健施設は 3438施設で、07年調査から124施設増加した一方、通所リハビリを行う医療施設は2988施設で、07年調査から78施設減少した。
訪問介護事業所は2万885事業所で、07年調査から184事業所減少。利用者は71万6345人で、07年調査から2万2448人減少した。居宅介護支援事業所は2万8121事業所で、07年調査から127事業所減少したが、利用者は6万1545人増え170万4996人だった。
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