週刊医療情報インデックス
2010年2月第3週 (2010.02.16~2010.02.22)
- 【ウイークリーダイジェスト】
- 【週刊マスコミ論調】
- ■医療問題、医療政策
- ■社会情勢など
- ■医学、健康
- ■鳥インフルエンザ、感染症など
- ■高齢者医療・福祉・年金・介護・少子化
- ■医療事故、医事紛争、副作用
- ■その他事件など
- ■保団連・保険医協会関係
- ■京都周辺の動き(医療関係、ほか)
- ■新型インフルエンザ関連
- ■主な連載(医療全般)
- ■環境問題
【ウイークリーダイジェスト】
■診療の補助「法的線引き」に賛否、厚労省の「特定看護師」案
厚生労働省は2月18日の「チーム医療の推進に関する検討会」(座長=永井良三・東京大大学院医学系研究科教授)に、比較的侵襲性の高い医行為について「診療の補助」として実施を認める「特定看護師(仮称)」を法制化すべきとする素案を示した。看護師が医師の指示下で行う診療の補助行為には、実施してよいかどうか明確化されていない「グレーゾーン」の行為がある。「法的に明確化すれば、一般の看護師が普段やっている行為ができなくなる」「患者にとっても公的な線引きは必要」など、補助行為の「法的な線引き」に対して、委員からは賛否両論の声が上がった。
報告書の素案には「特定看護師(仮称)」の、具体的な要件や行為が示された。認定・更新制を想定しており、認定機能を担う第三者機関の設置も提案した。
行為例を挙げたのは「検査」「処置」「患者の状態に応じた薬剤の選択・使用」の3分野。「検査」では▽患者の重症度の評価や治療の効果判定などのための身体所見の把握や検査(トリアージ)▽動脈血ガス測定のための採血など、侵襲性の高い検査の実施▽エコー、胸部単純エックス線撮影、CT、MRIなどの実施時期の判断、読影の補助など(エコーについては実施を含む)▽IVR時の造影剤の投与、カテーテル挿入時の介助、検査中・検査後の患者の管理など-の4項目を挙げた。
「処置」では▽人工呼吸器装着中の患者のウイニング、気管内挿管、抜管など▽創部ドレーンの抜去など▽深部に及ばない創部の切開、縫合などの創傷処置▽褥瘡の壊死組織のデブリードマンなど-の4項目を示した。
「患者の状態に応じた薬剤の選択・使用」では▽疼痛、発熱、脱水、便通異常、不眠などへの対症療法▽副作用出現時や症状改善時の薬剤変更・中止-の2項目を提示した。
「特定看護師(仮称)」の要件には▽看護師免許の保有▽看護師としての一定期間以上の実務経験(例えば5年以上)▽特定看護師(仮称)の養成を目的とした課程として第三者機関が認定した大学院修士課程を修了▽修士課程修了後に第三者機関による知識・能力の確認・評価を受ける-を挙げた。
■直接支払い廃止求め国を提訴へ、中小分娩施設の開業医ら
「4月に制度が導入されれば産科を続けられなくなる」。東京都内で産婦人科診療所を開業する池下久弥院長は、出産育児一時金を医療機関へ直接支払う制度が本格実施されれば、2カ月間収入が途絶え、資金繰りの悪化で分娩を続けられないと悲鳴を上げる。池下院長は、同じ問題を抱える仲間と国を相手に直接支払い制度の撤回を求める訴訟を準備していることを明らかにした。
池下院長ら開業医を中心とする勉強会「産科中小施設研究会」は、制度の撤回を求める原告団の結成に向け、仲間の募集を開始した。国が3月までに直接支払い制度を廃止しない場合、4月には提訴に踏み切る構えだ。15日時点で53人の賛同者が集まった。
長妻厚労相は15日の衆院予算委員会で、さらなる猶予期間の設定や請求支払い回数を複数回設ける案を示した。しかし池下院長は「これらの施策を講じても、中小零細の分娩施設の資金繰りの問題は解決されない」と、あくまで直接支払いの廃止を求めている。
■支払い短縮・猶予延長…、具体策検討で調査、厚労省
今年4月から完全実施される出産育児一時金の直接支払い制度をめぐり、厚生労働省は、直接支払いの実施が困難な医療機関への対応を検討するため、医療機関に対する調査に乗り出した。厚労省は「制度により分娩をやめる医療機関が出るのは本意ではない」とし、支払い期間の短縮や猶予期間の延長を検討。「困っている医療機関の実態を把握し、4月からの円滑な制度実施を図りたい」としている。
今年1月10日時点で直接支払いに対応していないか、対応件数が少ない全国の産科医療機関約400施設を対象に、12日付で調査票を送付。制度の実施状況や実施を見合わせている理由など6項目の質問を、19日までに回答するよう求めている。
■「頑張る分娩施設ほど破綻する」、直接支払い制度
【解説】少子化対策の一環で始まった出産育児一時金の直接支払い制度は、妊産婦がまとまった額の出産費用を準備せずに出産できる利点がある。医療機関も未収金がなくなる利点があるが、分娩費用の入る期間が2カ月程度遅れるなど、中小の分娩施設にとっては負担の方が大きい制度だ。少子化対策のために導入した制度によって分娩施設が倒産しては元も子もない。厚労省が今後示す解決策次第では、国を相手取った訴訟に発展する動きも出てくるなど、長妻昭厚生労働相は前政権の残した課題に頭を悩ませることになりそうだ。
医療機関にとっては、分娩費用の入金の遅れが最大の問題。北里大の海野信也教授は 本紙の取材に対し「地域でお産をやろうと前向きに事業拡大している医師であるほど、この制度で破綻に追い込まれる」と指摘する。
開業したばかりの医療機関や、事業を拡大してすでに借金を抱えている医療機関では、新たに借金をするための不動産担保がない。福祉医療機構では3000万円まで無担保融資があるが、保証人が必要となる。直接支払い制度の撤回を求める訴訟を準備している東京都江戸川区の池下久弥氏は「誰が進んで僕の保証人になるでしょうか」と疑問を投げ掛ける。福祉医療機構によると、昨年10月以降、診療所244施設から融資の相談があったが、実際に融資が決まったのは半分の111施設だった。
さらに制度を導入したことで間接的に患者の医療費の負担も増えている。日本産婦人科医会が行ったアンケート調査では、直接支払い制度の影響で分娩費を値上げした施設は分娩施設の48%で、「今後、予定している」を含めると71%を占めた。医会は、支払い期間が2カ月遅れることによる借り入れの利子返済分を、分娩費用の値上げで賄っているのではないかと分析している。
厚労省の08年人口動態調査によると、お産の47.5%を診療所、51.1%を病院が担っている。海野教授は「開業医がお産をやらなくなった場合、病院がすべてを引き受けるのは無理。病院は疲弊しており、共倒れになる」と述べ、制度を強制して影響を受けるのは開業医だけにとどまらないと強調した。
直接支払いのメリットの1つに未収金対策が挙げられているが、海野教授は「小さな開業医の場合、未収金を抱えるとつぶれてしまう。だから患者から前もって予約金を取り未収金を発生させないように工夫している」と述べ、診療所ではすでに未収金対策が取られていると指摘する。
一方、病院の未収金について海野教授は「北里大では、入院で月に15億円ぐらいの診療報酬が動いている。分娩の10%が未収金でも、全体の医療費から見るとわずかな額」と述べ、分娩の未収金は病院の経営に大きく影響しないと指摘。「大病院の未収金を減らすためにこの制度を進めるとしたら、あまり意味のないことだ」と述べた。
■レセオンライン訴訟、取り下げへ、原告団「義務化撤回」受け
レセプトのオンライン請求義務化は営業の自由を保障した憲法に違反するなどとして、全国の医師・歯科医師1744人が国を相手取り、オンライン請求義務の不存在確認と慰謝料の支払いを求めた訴訟で、原告団は2月13日、横浜地裁への訴えを取り下げることを決めた。義務化を事実上撤回した省令改正を受け、訴訟の目的は達成されたと判断した。22日の第4回口頭弁論で取り下げる。
原告団は13日、横浜市内のホテルで総会を開き、訴訟を総括する文書をまとめた。訴訟を含む一連の反対運動によって、営業の自由が確保され、開業医の廃業による地域医療の崩壊を回避できたことなど成果を強調。「この訴訟は実質的に勝利した」としている。
原告団の平尾紘一団長(前神奈川県保険医協会理事長)は「(義務化撤回で)われわれの勝利と言える段階になり、非常にうれしく思う」と話した。
●残る課題「運動続ける」
原告は訴状で「国民の権利である診療報酬請求権の制限を省令で行うことは、国会を唯一の立法機関であると規定した憲法第41条に違反する」と主張していた。総会に出席した原告の医師からは「第41条については、法廷で全く議論されていない」「今後も省令で重大な権利の制限を行い続けることが可能になる」と懸念の声が上がった。
原告団は総括文書で「残る課題については新たな枠組みで運動を続ける」としており、原告団の入澤彰仁幹事長(神奈川県保険医協会副理事長)は「保団連を中心として、国民を巻き込んでいくことで理解を得たい」と述べた。
原告代理人の小賀坂徹弁護士も「これだけ大きな問題が省令改正という手続きで行われるなど、ほとんどの医療行政が省令や通知だけで動かされているということを、訴訟にかかわって初めて知り、まず驚いた」とし、「医師・歯科医師の特殊な利益を保護するということではなく、国民が医療を受ける正当な権利が侵されるということを、まず国民に知らせることが大事だ」と指摘した。
●大阪訴訟、12日付で取り下げ
一方、大阪地裁でも医師ら449人が同様の訴訟を起こしていたが、原告団は12日付で訴えを取り下げた。大阪訴訟の原告団は、昨年12月末の総会で、訴訟を終息させる方向性を確認していた。
■協会けんぽの保険料率、大臣認可、4月から平均9.34%
全国健康保険協会は2月12日、2010年3月分の保険料額(4月納付)から適用となる全国平均9.34%の保険料率について、同日付で厚生労働大臣の認可を受けたと発表した。現行の全国平均8.2%から「大幅に上がる」と説明。今後、保険料率の上昇をできるだけ抑えるよう、抜本的な対策について国などに積極的に働き掛けるとした。40~64歳までの加入者に対する介護保険料も、現行の1.19%から1.50%へ上がる。
■「緊急保証制度」の対象に介護事業所も、
厚生労働省老健局は2月15日付で事務連絡を発出し、介護事業所が対象に加わった「景気対応緊急保証制度」が、同日から開始したことを周知するよう自治体などに依頼した。
介護事業所は、市町村の認定を受けた場合、信用保証協会の保証によって融資を受けることが可能になる。同制度は、2010年度末まで継続する予定。
■「救急や産科の再生を図る」、長妻厚労相が所信
長妻昭厚生労働相は2月17日、衆院厚生労働委員会で所信を表明し、「救急、産科、小児科、外科などの医療の再生や病院勤務医の負担軽減を図る」と述べ、ネットで0.19%のプラス改定となった2010年度診療報酬改定の成果を強調した。
改定の内容については「診療所と病院の連携を強化して、救急外来をサポートするための診療報酬を新設する」と報告。勤務医の事務負担の軽減に向けては「医療クラークの配備に対する診療報酬を手厚くする」とした。
医療提供体制の確保については「10年度の医学部定員について、前年度に比べ360人増員して過去最大の8846人にする」とし、医師確保に取り組む姿勢を示した。
政権交代前から廃止を主張していた後期高齢者医療制度に関しては「政権1期4年の中で廃止し、高齢者の皆さまをはじめ、より分かりやすく信頼が得られる制度へ移行する」と明言。75歳以上の後期高齢者に適用されている診療報酬体系も廃止するとした。
新型インフルエンザ対策の充実に向けては「国内で細胞培養法を開発し、全国民の新型インフルエンザワクチンを約半年で生産可能にする」と述べ、国内産で全国民に対する需給が可能となるワクチン生産体制の整備を約束した。
10年度から医療費助成が拡大される肝炎対策については「検査や診療についての体制整備、肝疾患研究の強化などに取り組む」と意気込みを示した。
職員の処遇改善に取り組んでいる介護関連施策に関しては「介護施設について、今後3年間で、定員を16万床増加させる」と説明。また、「訪問介護に関しても現行の利用者150万人を増加させ、訪問看護の体制整備にも努める」と述べた。
持続可能な社会保障制度の実現に必要な財源確保に向けては「負担と給付の関係を透明にして、中抜きや浪費をなくす」とし、あくまで無駄の削減で捻出するとした。
■医療提供体制の新会議体設置へ、足立政務官
足立信也厚生労働政務官は2月19日、医療提供体制を集中的に議論する会議体を早ければ2月中にも設置する考えを明らかにした。会議での検討結果は、6月をめどにまとめる政府の新成長戦略にも反映させたいとしている。
足立政務官は同日の衆院厚労委員会で、個人的な見解と前置きした上で「私は医療圏そのものを見直すことは、十分検討に値することだと思っている」と述べた。
一方、すでに設置している「医療・介護・保育『未来への投資』プロジェクトチーム」での議論の成果についても、新成長戦略に反映させるとした。阿部俊子氏(自民)の質問に答えた。
■弱毒性想定の「新臨時接種」の法制化提言、厚労省部会
厚生労働省の厚生科学審議会・感染症分科会予防接種部会(部会長=加藤達夫・国立成育医療センター総長)は2月19日、「新臨時接種(仮称)」の設置を柱とした予防接種制度の見直しに関する第1次提言をまとめた。今回の新型インフルエンザ(A/H1N1)のように、感染力は強いが病原性はさほど強くない感染症のまん延を予防するための措置。厚労省は今後、予防接種法の改正案を作成し、通常国会に提出する予定。
接種率を高めるための公的関与については、接種対象者への「努力義務」(予防接種を受けるよう努める責務)を課さないことにした。行政は国民に対して「勧奨」(予防接種を受けるよう勧める)する。
副反応事故が起きた場合の健康被害救済の給付水準は、補償額が高額の「臨時接種および1類定期接種」と、比較的低額の「2類定期接種」の間にするのが適当だとした。接種費用の負担については、経済的困窮者を除く被接種者からの実費徴収が可能とした。
提言にはこのほか、新型インフルエンザの発生によってワクチン供給量が世界的に不足した際、国がワクチンを買い上げやすくするため、企業のリスクを補償する契約を結べるようにすべきという指摘も盛り込まれた。
ワクチン供給にかかわる国、製薬企業、卸、医療機関の役割や責任分担の在り方については議論が積み残しとなり、今後行う予防接種法の抜本改正論議の中であらためて検討する。
◎調査・データ編
■2次医療圏の従事医師数格差16.4倍、日医総研WP
日医総研はこのほど、「2次医療圏別に見た医師不足と医師偏在(2008年版)」と題したワーキングぺーパー(WP)をまとめた。
それによると、2006年から08年にかけて人口1000人当たり医療施設従事医師数が増加した2次医療圏は243医療圏で全体の69.8%に上った。うち医師数そのものが増加した2次医療圏は60.1%、医師数に変化はなく人口が減少した医療圏は2.9%だった。医師数が減少し、それ以上に人口が減少したことで、人口1000人当たり医療施設従事医師数が増加した2次医療圏は6.9%だった。
人口1000人当たり医療施設従事医師数について、2次医療圏の格差を見ると、06年の 16.0倍が08年には16.4倍に拡大した。無医町村も06年の23町村から08年には26町村まで増えている。
診療科別では、1病院で大きな増減があったことが推察できるケースが多く見られた。要因を見ると、医師の引き揚げや診療科の休止だけでなく、診療報酬の不正請求と関連するケースもあった。経営形態の変更などが医師減少のきっかけとなるケースもあった。
WPは、こうした病院固有の事情を国レベルで把握することは困難であり、地域事情に目が届く都道府県に財政的余裕を持たせることが、医師の偏在を解消する上で必要になると指摘している。
■36分以降の搬送、1カ月生存率ゼロ、心肺停止患者
総務省消防庁は2月16日の救急業務高度化推進検討会メディカルコントロール作業部会で、傷病者の搬送と受け入れに関する全国調査の速報を報告した。心肺機能停止の患者に接触後36分以降の搬送では、1カ月後生存率と1カ月後社会復帰率がともにゼロ%となった。今後、検討会などで現場での処置の在り方について議論する。
救急隊が患者に接触してから現場出発時間までの時間別に、生存率・社会復帰率を見ると、36分以降の搬送(19件)で生存率・社会復帰率がともにゼロ%となった。2分から16分の間では生存率が7~17%、社会復帰率が2~4%の間で推移した。また、16分以降で低下した生存率が26分経過で5%、28分経過で10%、30分経過で9%となり、26分以降で一時的に向上する結果となった。消防庁救急企画室の溝口達弘救急専門官は 「26分以降に生存率が上がるのは、何らかの処置が行われた場合と考えられる。ただ、あまりに時間がかかりすぎると予後が悪くなると思われる」と説明した。
傷病者への救急救命処置などを家族らが望まなかった事案は全国平均で2.6%、死後硬直または死斑疑いがあった事案は4.9%あった。
調査は2009年12月1~31日の期間に、全国の消防機関で救急搬送された心肺機能停止傷病者について報告を求めた。今回は、速報として12月1~14日搬送分(5020件)の結果を示した。
【週刊マスコミ論調】
■医療問題、医療政策
■社会情勢など
■医学、健康
■新型インフルエンザ、感染症など
■高齢者う医療、福祉、年金、介護、少子化
■医療事故、医事紛争、副作用
■その他事件など
■保団連・保険医協会関係
■京都周辺の動き(医療関係、ほか)
■主な連載 (医療全般)
医療ルネサンス 赤ちゃんを亡くして■環境全般
〈核問題〉
10年冬 ヒバクシャ
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