週刊医療情報インデックス
2010年2月第2週 (2010.02.09~2010.02.15)
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【ウイークリーダイジェスト】
■急性期に重点配分、10年度改定を答申、中医協
中医協(会長=遠藤久夫・学習院大教授)は2月12日、2010年度診療報酬改定を長妻昭厚生労働相に答申した。遠藤会長から答申書を受け取った足立信也厚労政務官は「(本体部分に充てられた)5700億円は、相当な効果が期待できる」と強調。長妻厚労相も会場を訪れ「いろいろな思いの中で出来上がった答申だと思う。その思いを受けて、答申の理念を実現できるよう取り組んでいきたい」と述べた。
10年度改定で、医科部分のプラス財源は大半を急性期に重点配分し、難易度の高い手術料を大幅に引き上げたほか、救急・周産期の充実評価、一般病棟入院基本料の早期加算引き上げや、7対1・10対1病棟の「急性期看護補助体制加算」の新設などに充てた。一方、一般病棟15対1入院基本料などは引き下げた。
外来で最大の焦点となった再診料の病診格差を69点で統一し、再診料に加算する「地域医療貢献加算」(3点)と「明細書発行体制等加算」(1点)を創設。外来管理加算(52点)は引き下げず、「5分ルール」を撤廃して患者要請に基づく継続処方の場合は算定できないことにする。地域貢献加算と明細書加算の創設に必要な財源は約150億円とみられ、初診療に加算していた「電子化加算」(3点)の廃止に伴う財源(約50億円)などを充てる。
■がん拠点病院加算、100点上げ500点、10年度改定
2010年度診療報酬改定の個別項目改定案では、がん治療については、「がん診療連携拠点病院加算」(現行400点、入院初日)を100点上げ500点とした。地域連携診療計画に基づいて患者の個別の診療計画を策定し文書で提供するとともに、退院後の治療を担う医療機関に診療情報を提供した場合に算定できる新設の「がん治療連携計画策定料」(計画策定病院)は750点(退院時)、計画策定病院と連携して治療し、計画策定病院に診療情報を提供した場合に算定できる新設の「がん治療連携指導料」(連携医療機関)は300点(情報提供時)とした。
●放射線治療病室管理加算、2000点アップの2500点
また「放射線治療病室管理加算」(現行1日につき500点)は2000点アップし2500円を付けた。新設の「がん患者カウンセリング料」は500点とした。
認知症に関しては、「認知症治療病棟入院料」の入院早期の評価を引き上げたほか、「認知症治療病棟退院調整加算」(退院時1回100点)、「認知症専門診断管理料」(1人につき1回500点)、「認知症専門医療機関連携加算」(月1回50点)を新設した。
●肝炎インターフェロン治療計画料は700点
肝炎治療では、専門医療機関でインターフェロン治療の計画を策定し、副作用を含めた詳細な説明を行った場合に算定する新設の「肝炎インターフェロン治療計画料」は700点(1人につき1回)。また新設の「肝炎インターフェロン治療連携加算」は50点(月1回まで)とした。
■NICU管理料は1万点、小児・産科・救急に重点配分
2月12日の中医協総会で了承した2010年度診療報酬改定の個別項目改定案によると、救急・小児・産科などについて、NICUを評価する「新生児特定集中治療室管理料」(現行8500点)を管理料1と管理料2に再編し、管理料1は1500点引き上げ1万点(管理料2は6000点)とするなど、全体的に厚めの配分となった。
●ハイケアユニット、800点引き上げ4500点
手術後の患者に高度な医療を提供する病床を評価する「ハイケアユニット入院医療管理料」(現行3700点)は800点引き上げ4500点とした。施設基準から「救命救急入院料または特定集中治療室管理料の届け出を行った医療機関」を削除したほか、平均在院日数も現行の「17日以内」から「19日以内」とするなど要件を緩和した。
救急医療機関に入院した後に状態の落ち着いた患者に対して早期の退院を支援した際の評価として「救急搬送患者地域連携紹介加算」(500点、退院時1回)と「救急搬送患者地域連携受入加算」(1000点、入院初日)」を新設した。
●院内トリアージ30点
地域の開業医と連携し夜間・休日に救急患者を受け入れる体制を整えている新設の「地域連携夜間・休日診療料」は100点とした。多数の受診者に対し院内トリアージを行った場合を評価する新設の「院内トリアージ加算」は30点に設定した。
●ハイリスク分娩、1000点アップの3000点
周産期では、早産などの分娩管理を評価する「ハイリスク分娩管理加算」(現行2000点)を1000点アップし3000点とした。対象に多胎妊娠と子宮内胎児発育遅延を加える。
小児では、小児入院医療管理料について現行の4段階から5段階に再編。常勤小児科医9人以上を要件とする新区分(4000点)を設けた。
●手術料の約半数が30~50%アップ
手術料については、主に病院で実施しており難易度が高く人手を要する手術について、現行点数から30~50%アップとした。脳動脈瘤頸部クリッピングや大動脈瘤切除術など点数表に記載されている約1800項目のうち半数程度が増点となった。
一般病棟入院基本料で月平均夜勤時間の「72時間ルール」のみを満たせない場合の7対1・10対1特別入院基本料は該当する入院基本料の80%とし、7対1は1244点、10対1は1040点とした。
●10対1の看護必要度加算は5点
一般病棟7対1入院基本料で用いている「重症度・看護必要度」を10対1入院基本料の患者に対しても継続的に使用して測定した場合を評価する「一般病棟看護必要度評価加算」は1日につき5点となった。
■栄養サポート200点、呼吸ケアは150点、10年度改定
2010年度診療報酬改定の個別項目改定案では、チーム医療の推進のため新設する「栄養サポートチーム加算」は200点(週1回)、「呼吸ケアチーム加算」は150点(週1回)とした。また、感染防止対策チームによる抗菌薬の適正使用を評価する新設の「感染防止対策加算」は100点(入院初日)に設定した。
●回復期リハ入院料1は30点アップの1720点
リハビリテーションの点数項目でも充実を図った。疾患別リハビリテーションでは、脳血管疾患等リハビリ料(Ⅰ)と(Ⅱ)をそれぞれ10点引き上げ、(Ⅰ)を245点、(Ⅱ)を200点としたほか、(Ⅰ)から(Ⅲ)について、ぞれぞれ廃用症候群に対するリハビリを別評価として設定した。
回復期リハビリについては、「回復期リハビリ病棟入院料1」(現行1690点)を30点引き上げ1720点としたほか、入院料2(現行1595点)も5点引き上げ1600点とした。休日を含めて週7日間、リハビリを提供できる体制を取っている場合を評価する新設の「休日リハビリ提供体制加算」は60点(1日につき)、1人1日当たり6単位以上のリハビリが行われている場合の新設項目「リハビリ充実加算」は40点(1日につき)とした。
■往診料は70点アップで720点、10年度改定、在宅医療も充実
2010年度診療報酬改定の個別項目改定案で、在宅医療の推進では、往診料(現行650点)を70点引き上げ720点とした。
小児の在宅医療を普及する観点から、在宅患者訪問診療料と退院前在宅療養指導管理料に、それぞれ「乳幼児加算」(200点)を新設した。また6歳未満の乳幼児の在宅患者への訪問看護の評価を新設。「乳幼児加算」(3歳未満)と「幼児加算」(3歳以上6歳未満)をそれぞれ500点(1日につき)とした。
訪問看護ではこのほか、末期の悪性腫瘍の利用者に対して、看護職員が同時に複数の看護職員と指定訪問看護を行う場合の新設の「複数名訪問看護加算」は看護師等が4300円(週1回)、准看護師が3800円(週1回)とした。
在宅での専門医療の普及に向けて、「在宅血液透析指導管理料」(現行1カ月につき 3800点)を大幅に引き上げ8000点(1カ月につき)とする。
●入院の慢性維持透析は包括評価に
一方、従来、出来高評価だった入院での慢性維持透析を包括評価に変更する。また、エリスロポエチンの価格が低下し、同じ効能で低価格のダルベポエチンへの置換が進んでいる現状を踏まえて現行の包括点数を引き下げる。
■新設「貢献加算」は診療所の3割、厚労省が推計
厚生労働省は2月10日の中医協総会(会長=遠藤久夫・学習院大教授)で、2010年度診療報酬改定で再診料の加算として新設する「地域医療貢献加算」について、算定できるのは診療所の約3割となる見通しを示した。中医協は12日の総会で長妻昭厚生労働相に10年度改定を答申する。
●24時間の電話対応が要件
地域医療貢献加算の創設は、診療所の再診料を2点引き下げる一方で「休日・夜間の患者の不安に応える体制を整えている診療所を評価する」とした公益委員の提案を踏まえて、厚労省が提案した。標榜時間以外にも患者からの電話での問い合わせなどに対応できる体制を評価する加算で、事実上24時間の電話対応が求められる。
ただ、体制を評価する加算のため、実際に電話相談に対応した患者かどうかにかかわらず、体制を整備している診療所は再診料を算定する患者全員に加算できる。加算に関する詳細な要件は、今後の告示・通知や疑義解釈などで示す。
●外来管理加算、要件見直しで120億円増
外来管理加算は現行の点数を維持する。要件については「5分ルール」を廃止する一方、患者が多忙などの理由で投薬のみを要請し簡単な継続処方を行った場合は算定できないこととする。さらに、現行の留意事項通知で「提供される診療内容の事例」として示している問診や説明の事例については「患者の状態等から必要と思われるものを行うこととし、必ずしもすべての項目を満たす必要はない」と規定する。厚労省は同日の総会で、外来管理加算の要件見直しで必要となる財源は約120億円との推計も示した。
●明細書加算、再診ごとに可
このほか、診療所の明細書無料発行を評価する「明細書発行体制等加算」について、当初は、再診料への月1回のみの加算として提案していたが、再診料の算定ごとに加算できることにした。
外来に関する財源を整理すると、プラス改定財源の400億円に加えて、検体検査や処置などの適正化で得られる400億円と、診療所の再診料2点引き下げの200億円で計1000億円を捻出。この1000億円を、病院の再診料9点引き上げに180億円、外来管理加算の要件見直しに伴う算定回数の増に120億円、地域医療貢献加算や地域連携夜間・休日診療料の新設、新規技術の導入などに700億円を回す。
■再診料69点で統一、診療所2点下げ、中医協総会
中医協(会長=遠藤久夫・学習院大教授)の公益委員は2月10日の総会で、2010年度診療報酬改定で診療所の再診料(71点)を2点引き下げる一方、病院の点数(60点)を9点引き上げ、69点で統一する案を示した。これに対し、診療側、支払い側ともに事実上、了承した。外来管理加算については「5分ルール」を廃止する一方、新たな要件を設けることを提案。これを受けて「患者本人の多忙などを理由に、簡単な症状の確認等を行った場合のみで継続処方を行った場合にあっては、外来管理加算を算定できない」との要件を盛り込み、いわゆる「お薬外来」は算定不可とすることで合意した。
●地域医療貢献加算を創設、休日・夜間を評価
さらに、休日・夜間など標榜時間以外にも患者からの問い合わせや受診などに対応できる体制を確保している診療所を評価する「地域医療貢献加算」を創設することにも合意した。
●安達、鈴木両委員がいったん退席
診療所の再診料を引き下げる公益案に対し、診療側の安達秀樹委員(京都府医師会副会長)は「許容できない」と主張。安達委員と鈴木邦彦委員(茨城県医師会理事)の診療側2人がいったん退席したが、約30分の診療側委員の協議を経て、再び会場に戻り、議論を再開。嘉山孝正委員(山形大医学部長)が「公益案に特にコメントはない」として、事実上、受け入れた。
■「死ねってことですか」、安達・鈴木委員、最後まで抵抗
2010年度診療報酬改定で最大の課題となっていた再診料について、69点で統一することが決まった2月10日の中医協総会。診療所の引き下げに強く反発してきた安達秀樹委員(京都府医師会副会長)と鈴木邦彦委員(茨城県医師会理事)が退席するなど、診療側は最後の抵抗を見せた。
公益委員の提案に対し、安達委員は「診療所の再診料引き下げに対しては、診療所だけでなく、病院経営者や勤務医も含めて医療関係者はこぞって反対してきた。それは病院と診療所のいずれが衰弱しても医療が破綻すると、実感として認識しているからだ」と主張。「診療所の2点の引き下げによって、医療崩壊が診療所に拡大することを大きく危惧する」と訴えた上で「許容できない。強い抗議の意志を持って退席する」と会場を退出。鈴木委員も後を追った。
その後、総会は中断。安達委員はほかの診療側委員と別室で協議したが、時折「死ねってことですか」「勝手にやってくださいよ」など、安達委員の怒気を帯びた声が室外にまで響いた。
結局、約30分後に、安達、鈴木両委員を含めた全員が席に戻り、総会は再開した。嘉山孝正委員(山形大医学部長)は、公益案に対し「コメントはない」と述べ、最後まで「了承」はしなかった。
■72時間ルールの免除、3カ月まで算定可、公益裁定で決着
中医協は2月10日の総会で、2010年度診療報酬改定で新設する7対1・10対1入院基本料を算定する一般病棟などで、月平均夜勤時間の「72時間ルール」だけが満たせない場合の評価について、3カ月を限度として算定できることとした。算定期間をめぐって診療側と支払い側の意見が分かれ、再診料と同様に公益裁定での決着となった。
■精神13対1、要件に「80日以内」追加、10年度改定
中医協は2月10日の総会で、2010年度診療報酬改定で新設する精神病棟13対1入院基本料の施設基準に「平均在院日数が80日以内」とする要件を盛り込むことを決めた。
厚生労働省は精神病棟13対1入院基本料について▽新規入院患者のうち、重症者(GAFスコア30以下または身体合併症患者)の割合が4割以上▽身体疾患への治療体制を確保している-の2点を挙げていた。平均在院日数の要件を設けるなど、より厳しい施設基準とする必要があるとの意見が委員から上がったことを受け、新たに盛り込んだ。
●急性期から連続したリハビリに配慮
回復期リハビリテーション病棟入院料(1日につき1690点)については、病棟に入るまでの期間に関する要件を緩和することにした。回復期リハビリテーション病棟入院料の現行の要件では、病棟に入るまでの期間について「発症後または、手術後2カ月以内」としている。改定案では、急性期の段階から行われるリハビリと連携するため、急性期病棟で1日6単位以上の充実したリハビリが提供された日数は除外して計算できることにした。
亜急性期病棟のリハビリへの評価では、亜急性期入院医療管理料に新設するリハビリテーション提供体制加算を算定している患者について、疾患別リハビリテーション料の算定日数上限の除外対象者とすることにした。
■「かかりつけ医機能」なら収入増、10年度改定で足立政務官
厚生労働省の足立信也政務官は2月12日、2010年度診療報酬改定について「地域医療に貢献しているかかりつけ医機能を持っている診療所については収入は増える」と述べ、診療所の再診料は2点下がるものの、標榜時間以外の対応を評価する新設の「地域医療貢献加算」を算定できる診療所では逆に収入増になるとの認識を示した。
■10年度改定「医療再建の足掛かり」、長妻厚労相
長妻昭厚生労働相は2月12日、閣議後の改定で、2010年度診療報酬改定について「急性期医療、特に24時間の急性期を受け入れるセンターについては、かなり増額した。NICUの後方支援や診療所と病院の連携、小児科、外科など、当初、私どもが申し上げていた部分が達成できた」と述べ、必要な部分に財源を投入したとの考えを示した。
その上で「これを1つの足掛かりとして、いろいろな施策を組み合わせながら医療の立て直しに取り組んでいく」とし、2年後の診療報酬と介護報酬の同時改定に向け、医療と介護の一体的改革を中長期の目標として取り組んでいくとした。
■10年度改定「財源論の甘さが露呈」、日医、現政権に期待も
日本医師会は2月12日、2010年度診療報酬改定の答申を受け厚生労働省内で会見した。10年度改定をめぐる議論を振り返り「現政権の医療政策の財源論の甘さが露呈された」との見解を表明。厚生労働大臣と財務大臣の折衝で改定率が決定するまで、鳩山由紀夫首相のリーダーシップがまったく発揮されなかったと問題視した。一方で、現政権が社会保障費2200億円削減撤廃を実現したことと、民主党が医療費の増大を公約に掲げていることを取り上げ「2つの点で評価、期待をしている」と強調した。
■「600億円」使えば「71点」可能、再診料で保団連が声明
保団連は2月10日、2010年度診療報酬改定で診療所再診料の2点引き下げが決まったことに対して抗議する声明を発表した。「後発品のある先発品(長期収載品)の追加引き下げ」は従来の後発品の使用促進策と異なり、先発品の薬価そのものの引き下げであると指摘。長期収載品の引き下げで得られる600億円を改定財源に使えば、再診料を71点で統一することは可能と強調した。
声明では、07年6月の医療経済実態調査で16.99%だった収支差額赤字の医科診療所は09年6月の調査で28.65%に急増しているとも指摘し「再診料の引き下げは地域医療を担う体力をさらに低下させる」と主張した。
■協会けんぽ財政支援法案を閣議決定、
政府は2月12日、協会けんぽに対する財政支援策などを盛り込んだ「医療保険制度の安定的運営を図るための国民健康保険法等の一部を改正する法律案」を閣議決定した。
協会けんぽの保険料率上昇を抑制するため、国庫補助割合を現行13%から16.4%に引き上げることを明記。後期高齢者医療制度に繰り入れる支援金は、保険者の財政能力に応じた負担となる「総報酬割」を導入することを盛り込んだ。
■大阪府医会長選、26票差で伯井氏、近医連の森氏支持微妙に
大阪府医師会長選挙は2月14日に大阪府医師会館で投開票が行われ、伯井俊明・元日本医師会常任理事が、有効投票数272票のうち149票を獲得、酒井國男現会長の123票を26票上回って当選した。酒井氏の4期目当選はならなかった。会長以下の人事は酒井氏側のキャビネットが辞退したため、副会長には、松原謙二・元日医常任理事、茂松茂人・元大阪府医理事が選出された。副会長の定員は3人で、今後、補充が行われる見通し。
大阪府医師会の会長選挙は、政権交代後初めての選挙となる4月1日の日医会長選挙に大きな影響を与えるとみられ、新執行部への入れ代わりが続々と決まっている近畿医師会連合の今後の対応に微妙な影響を与えそうだ。
■直接支払いは「手挙げ方式」で、産婦人科医会、厚労省に要望
出産育児一時金の医療機関への直接支払い制度が4月から本格実施されるのを前に、日本産婦人科医会は2月10日、厚生労働省に対し、制度を導入できる医療機関から順次実施する「手挙げ方式」とするよう要望した。日本産科婦人科学会も同日、制度の改善を求める要望を行った。
直接支払い制度の導入で、医療機関が分娩費用を受け取るのが2カ月程度遅れる。資金力のない中小施設は分娩費用が入るまでの「つなぎ資金」として、金融機関などから借金をする必要がある。厚労省は対応が困難な医療機関に配慮し、制度の適用を猶予する期間を設けたが、期限は今年3月に切れる。
■運営主体は「都道府県」が大勢、高齢者医療の改革会議
厚生労働省の高齢者医療制度改革会議(座長=岩村正彦・東京大大学院教授)は2月9日、新たな高齢者医療制度の基本骨格や運営主体について議論した。運営主体については、都道府県が担うべきとの意見が大勢を占めた。
阿部保吉委員(日本高齢・退職者団体連合事務局長)は「市町村で運営主体をやっていけないならば、広域化するしかない。都道府県は(医療保険運営の)経験はないが、まったく知らないわけではない。新制度に移行するまでの間に、市町村との人事交流などを進めれば対応できる」と主張。鎌田實委員(諏訪中央病院名誉院長)も「医療は都道府県単位で努力していく必要がある。都道府県を軸に考えるのが一番いい」と述べた上で「保険料徴収など市町村の協力が必要だ」とした。
新制度の骨格については①性と5歳階級ごとの1人当たり医療費の差や所得構成の相違による保険料負担格差の財政調整を段階的に導入。被用者保険と市町村国保を段階的に統合し都道府県単位で統合(池上直己委員・慶応大医学部医療政策・管理学教室教授の案)②65歳以上の高齢者を対象とし「別建て」にする。就労高齢者と家族の被用者保険加入継続を検討(対馬忠明委員・健保連専務理事の案)③被用者保険の退職者が被用者保険グループが共同運営する「退職者健康保険制度(仮称)」に加入する「突き抜け方式」。市町村国保と高齢者医療は都道府県単位に広域化(小島茂委員・連合総合政策局長の案)④市町村国保を都道府県単位に広域化。若人の国保保険料を都道府県単位でできるだけ統一(宮武剛・目白大大学院生涯福祉研究科教授の案)―の4案を基に議論した。今後は費用負担や医療サービスの在り方についても議論する。
また、改革会議の委員を務めていた全国町村会長の山本文男容疑者が贈賄容疑で逮捕されたことについて、同日の会議に出席した長浜博行厚生労働副大臣は新たな委員を全国町村会から出すよう求めていることを明らかにした。
■明細書発行など検証部会で調査、10年度改定の付帯意見案
厚生労働省は2月8日の中医協総会に、2010年度診療報酬改定の答申書に添付する付帯意見の案を提示した。10年度改定以降も継続的に議論すべき事項などをまとめた。診療報酬改定結果検証部会で調査・検証する項目として、明細書発行の実施状況や、チーム医療に関する評価創設後の医療内容の変化など6項目を挙げた。10日までに意見を集約し、答申書に添付する。
改定の影響を調査・検証し、今後の診療報酬改定に反映させるべきとしたのは▽基本診療料▽一般病棟、療養病棟、障害者病棟▽リハビリテーションや精神医療など大幅な見直しを行った分野-の3項目。
効果を調査・検証し、検討すべきとして▽病院勤務医の負担軽減や処遇改善の効果とドクターフィーの導入の是非▽救急医療機関での適正受診の啓発▽看護職員の配置や夜勤時間についての要件▽薬剤師の病棟配置も含めたチーム医療の評価▽訪問看護ステーションの安定的な経営や、患者の病状に合わせた訪問看護に対する評価▽DPCの調整係数の廃止・新機能評価係数の導入と、調整係数廃止後の評価方法▽地域特性を踏まえた診療報酬の在り方-の7項目を提示した。
■臨床データベース機構を設置へ、外科系9学会
日本外科学会や日本消化器外科学会、日本小児外科学会など外科系9学会は、外科専門医制度と連動した外科症例登録データベース事業を進めるため「日本臨床データベース機構」(National Clinical Database)(仮称)を設置する方針を固めた。4月中旬にも一般社団法人の登記を行う計画。外科医が行っている国内の外科手術を体系的に把握し、外科専門医の適正配置など、外科医療の在り方を検討するためのデータの構築につなげる。
機構が収集するデータは、医療の質の向上をはじめ、専門医などの資格申請、研究支援、会員管理などにも使用する予定。さらに、実証的データに基づいた専門医の適正配置の検討に活用するほか、臨床現場の労働環境の改善、適正な診療報酬の設定など、医療提供体制の改善提案にも活用していく。
新機構の設置の議論に参加している学会は、日本外科学会、日本小児外科学会、日本内分泌外科学会、日本乳癌学会、日本心臓血管外科学会、日本胸部外科学会、日本血管外科学会、日本呼吸器外科学会、日本消化器外科学会となっている。
■社会保障・税の共通番号の議論スタート、政府
社会保障と税の共通の番号制度の創設に向けて政府は2月8日、菅直人副総理を会長とする「社会保障・税に関わる番号制度に関する検討会」の初会合を開いた。菅副総理は冒頭のあいさつで「2、3カ月の間で1次的な試案を作り、広く国民に議論してもらい、年内に方向性を出す。早ければ来年の国会に法案を出せるよう努力する」と述べた。
政府はこの日、論点として、番号制度を利用する分野(サービス)や使用する番号、個人情報を保護する仕組みなどを挙げた。
検討会は2週間に1回程度開く。次回は来週開き、各府省が番号制度に関連する施策についての取り組み状況を発表する。5月をめどに選択肢を複数示す予定だ。
自公政権では、国民が年金や医療、介護の情報を引き出せる社会保障カード(仮称)の導入を構想していた経緯があり、今回の番号制度の創設が決まれば、社会保障カードとの関係をどう位置付けていくか議論となる。
民主党は昨夏の衆院選のマニフェストで、国民の正確な所得を把握し、必要な社会保障の給付を行うため、税と社会保障制度共通の番号制度の導入を掲げていた。
検討会の副会長には平野博文官房長官、仙谷由人国家戦略担当相、原口一博総務相、長妻昭厚生労働相が就任した。
■処方せん「分量は1回量が基本」、検討会報告書を公表
厚生労働省はこのほど、「内服薬処方せんの記載方法の在り方に関する検討会」の報告書を公表し、都道府県などに通知した。あるべき姿として「薬名」は薬価基準に記載されている製剤名を基本とし、分量は1回量での記載を基本とすると明記した。速やかな対応を求める「短期的方策」と段階的な取り組みを求める「長期的方策」をまとめ、医療機関に標準化の推進を促した。実際の処方例も添付した。通知は1月29日付。
あるべき姿の基本として▽「薬名」については薬価基準に記載されている製剤名を記載する▽「分量」については、最小基本単位である1回量を記載する▽散剤および液剤の「分量」については製剤量(原薬量ではなく、製剤としての重量)を記載する▽「用法・用量」における服用回数・服用のタイミングについては、標準化を行い、情報伝達エラーを惹起する可能性のある表現方法を排除し、日本語で明確に記載する▽「用法・用量」における服用日数については、実際の投与日数を記載する─の5項目を提示した。
短期的方策では「医療システムメーカーによらず標準的な入力方法になるよう、保健医療福祉情報システム工業会などに協力を求める」とした上で、1回量と1日量の併記や、散剤と液剤で分量を原薬量で記載した場合には必ず【原薬量】と明示するなどの対応を求めた。情報伝達エラーを防ぐために「×3」「3×」などの表現を「1日3回朝昼夜食後」のように記載することも促した。
長期的方策では、処方オーダーリングシステムの対応や、院内看護システムでの1回量表記の推進、情報伝達エラー防止のための情報技術導入の検討などを示した。処方オーダーリングシステムで使用する標準用法マスターについては「09年度中に作成し、提示したい」(厚労省医政局総務課医療安全推進室)としている。
厚労省は今後、3年後までに中間評価を行う予定で、遅くとも5年後には対策を再検討するとしている。
◎介護編
■ケア付き住宅、公的住宅の改築で促進、前原国交相
前原誠司国土交通相は2月8日の衆院予算委員会で、老朽化した公的住宅を改築し、介護が必要な高齢者向けの「ケア付き住宅」の整備を促進する考えを示した。斉藤鉄夫氏(公明)の質問に答えた。
前原国交相は「介護施設は国民1人当たりにするとほかの国と比べて遜色ないが、住宅は極めて少ない」と指摘。「法律(改正高齢者居住安定確保法)に基づく支援を行うと同時に、都市再生機構の住宅や公営住宅の老朽化が進んでいるところもあり、これをケア付き、病院のサービス付きという形でうまく改築することで、(整備促進に)努めたい」と述べた。
■退所者は負担軽減の対象外、改正案で老健局・古川課長
自民党の厚生労働部会(加藤勝信部会長)は2月10日、今国会で審議を予定している介護保険施行改正法案など3法案について、厚生労働省から説明を受けた。介護保険法の施行前から特別養護老人ホームに入所している人に対する負担軽減措置を延長する介護保険施行改正法案に関して、加藤部会長は「施設から退所したときは(負担軽減の)対象から外れるのか」と質問。厚労省老健局の古川夏樹介護保険計画課長は「退所すれば経過措置は適用にはならない」と述べ、いったん施設を退所して再入所する場合は負担軽減の対象者にはならないとした。
2010年3月で実施期限を迎える負担軽減措置について、介護保険施行改正法案では「当分の間」延長すると規定している。厚労省によると、経過措置の終了で負担増になる対象者は09年6月末時点で約2万人いるという。
◎調査・データ編
■医療制度の決定過程「不満」8割超、医療政策機構
日本医療政策機構が2月8日に発表した「日本の医療に関する2010年世論調査」の結果によると、回答者の8割以上が、医療制度の決定過程に不満を感じていることが分かった。医療現場のサービスなどに対する満足度は上がった一方、医療制度の決定過程への不満は増加していると同機構は見ている。10~11日に開催する医療政策に関するシンポジウムで、調査結果を長妻昭厚生労働相に提出する予定としている。
今年1月に、全国の20歳以上の男女1650人を対象に実施し、1024人(回答率62%)から回答を得た。
「制度決定への市民参加の度合い(制度に国民の声が反映されているか)」について満足度を聞いたところ、84%が「やや不満」か「大いに不満」と答えた。06年の調査と比べて8ポイント増えた。「大いに満足」か「まあ満足」と答えた人は、全体の15%だった。「医療制度の分かりやすさ(制度が複雑すぎないか)」では81%が、「制度決定プロセスの公正さ」では80%が、「大いに不満」か「やや不満」と回答した。
一方「診断・治療などの技術の質」に対する満足度調査では「まあ満足」が61%で最も多く、「大いに満足」も5%あった。「医療の安全性(医療事故の防止)」では「まあ満足」が56%、「大いに満足」が4%などだった。
■「日本の医療費は高い」が5割、大阪府医、府民の意識調査
大阪府医師会の調査委員会は、2009年1月に実施した「医療制度改革に対する大阪府民の意識と意見」調査の報告書をまとめた。対GDP比医療費はOECD平均より低いことを知っている人は5割に満たない一方で、窓口での負担感などから「日本の医療費は高い」と認識している人が5割近くいることが分かった。
調査委が行った層化無作為抽出(エリアサンプリング)による1320人を対象にしたものと、地区医師会(地区)が選んだ府民1320人の計2640人を対象に実施した。回答率は、ほぼ100%としている。
医療崩壊の実感について聞いたところ、医師が不足している診療科として約9割の回答者が産婦人科を挙げた。次いで小児科が約7割だった。報告書は「病院では内科医不足が深刻。府民の認識との乖離はマスコミ報道の強い影響による」として、適切な情報発信の必要性を強調している。
かかりつけ医を持っているかどうかに関しては「決めている」はエリアが63.2%、地区が73.9%で、前回の調査よりわずかに減った。「別の医療機関の紹介経験」は、エリアが39.8%、地区が45.6%で、いずれも前々回調査から7~11ポイント減った。かかりつけ医を経由しないで自らほかの医療機関を受診する傾向が見える。
後発医薬品については「処方を希望する」はエリアで68.7%、地区で53.6%で、エリアは前回調査より約8ポイント伸び、地区も1ポイント増。報告書は「医師は安全性、品質管理、情報提供に不安を持っている。引き続き政府に対して問題点を指摘しながら、後発医薬品の定義や経済効果について正確な知識を提供する必要がある」と指摘している。
医療安全調査委員会の設置論議については、8~9割が認知していなかった。調査時に施行された産科医療補償制度については4~5割が「良い制度」としたが、民間保険方式への批判なども3~4割あった。
府医は、1995年からほぼ隔年ごとに同調査を実施しており、今回調査は7回目。
■有老ホーム在所者、増加傾向続く、厚労省調査
厚生労働省が2月9日に公表した2008年の「社会福祉施設等調査」の結果によると、10月1日時点で有料老人ホームに在所していた人は14万798人で、07年調査から2万6225人増えていたことが分かった。施設数は3400施設で、07年から729施設増加した。定員は17万6935人で、07年から2万8954人増加した。有料老人ホームは在所者数、施設数のどちらも、介護保険制度が始まった2000年以前から増加傾向が続いている。
軽費老人ホームの在所者数は8万3098人で、07年から1880人増加した。施設数は2095施設で36施設、定員は8万8059人で1692人、07年からそれぞれ増えた。
●養護老人ホームでは在所者減少
一方、養護老人ホームの在所者数は05年以降、減少が続いている。08年は6万2075人で、前年から331人減少した。施設数は964施設で07年から6施設増えたが、定員は6万6239人で136人減った。
調査は、86種類の社会福祉施設や15種類の障害福祉サービス等事業所などを対象に、毎年10月1日時点の施設数などを調べている。
■直接支払いで「未収金減少」1割のみ、医会、出産一時金で調査
出産育児一時金の医療機関への直接支払い制度の導入で、未収金が減った診療所はわずか1割にすぎないことが、日本産婦人科医会が行ったアンケート調査で分かった。医会は2月10日の定例会見で調査結果を発表する。厚生労働省は制度の導入が未収金対策にもつながると説明してきたが、医療現場からは「借金など負担だけが増えた」との指摘も上がっている。
直接支払い制度が昨年10月から一部の医療機関で導入されたことを受け、医会は実態調査を行った。昨年12月に分娩を扱う会員2806施設を対象にアンケートを行い、62.9%の1764施設(病院660、診療所1095、記載なし9)から回答を得た。
分娩費の未収金について制度導入で「減少した」と回答した診療所は12%。「変わらない」は52%と過半数を占めた。病院でも「変わらない」が44%を占め、「減少した」は29%だった。
医会の会員で日本のお産を守る会の石井廣重事務局長は9日に本紙の取材に対し「未払い問題は主に公立病院の事務職員の怠慢であり、一般医療機関では未払いはほとんどない」と述べ、制度導入の理由に未収金問題の減少は当てはまらないとした。
また制度の実施で借り入れが必要になるなど経営に影響が出ていると回答した医療機関は全体の3割に上った。分娩から一時金の支払いまで、2カ月程度かかるため、分娩費用の一時的な「肩代わり」を余儀なくされることが影響している。
石井事務局長は「月に40件のお産をしている産科医院なら、2カ月間で3200万円の収入が途絶える。借金をすれば利子を払わなくてはいけない。多くの中小施設は金銭的にも人材にも余裕がない」と窮状を訴えた。
一方、すでに制度を導入した施設は全体の85%に上った。都道府県別では100%実施は13カ所だった。
猶予期間は3月末で終了し、4月からは直接支払いが本格実施される。厚労省は、医療機関に負担をかけないよう、制度の改善策を検討している。医会は、会員施設の経営に支障が出ないよう、厚労省に制度の改善を求めていく方針だ。
■09年はHIV感染者が減少、厚労省調査
厚生労働省は2月12日のエイズ動向委員会に、2008年12月29日から09年12月27日までの約1年間の新規HIV感染者報告数は1008件で、前年から105件減少したと報告した。新規AIDS患者報告数は420件で前年から12件減少した。厚労省は「検査件数の減少に伴い、新規HIV感染者は前年と比較して減少した」としている。
自治体が実施するHIV抗体検査件数は15万252件で、前年から2万6904件減少。検査件数が減少した理由について、厚労省は「インフルエンザの影響を受けた可能性はあるが、国民のHIVに対する関心が薄れてきていることが懸念される」としている。
●09年第4四半期、検査数微増
厚労省は同日、2009年第4四半期(2009年9月28日~12月27日)に自治体などが実施したHIV抗体検査件数は3万4491件で、前回から1593件増加したと報告した。厚労省は「12月1日の世界エイズデーに伴い多くの自治体で普及啓発イベントや臨時検査が行われたにもかかわらず、検査件数に大きな増加は見られなかった」としている。新規HIV感染者報告数は244件で前回から5人、AIDS患者報告数は84件で前回から12人、それぞれ減少した。
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