週刊医療情報インデックス
2009年11月第3週 (2009.11.17~2009.11.20)
- 【ウイークリーダイジェスト】
- 【週刊マスコミ論調】
- ■医療問題、医療政策
- ■社会情勢など
- ■医学、健康
- ■鳥インフルエンザ、感染症など
- ■高齢者医療・福祉・年金・介護・少子化
- ■医療事故、医事紛争、副作用
- ■その他事件など
- ■保団連・保険医協会関係
- ■京都周辺の動き(医療関係、ほか)
- ■新型インフルエンザ関連
- ■主な連載(医療全般)
- ■環境問題
【ウイークリーダイジェスト】
■事業仕分けの「財政中立」に批判集中、医療保険部会が再開
社会保障審議会・医療保険部会(部会長=糠谷真平・国民生活センター顧問)は11月16日、次期診療報酬改定の基本方針策定に向けた議論を約2カ月半ぶりに再開した。同日は、足立信也厚生労働政務官も出席し、行政刷新会議のワーキンググループが「事業仕分け」で結論付けた「病院と診療所の診療報酬の配分見直し」に疑問を投げ掛けた。委員からも、病院勤務医と診療所管理者の収入差に着目した議論に疑問を呈する意見が相次いだ。
冒頭あいさつした足立政務官は、「事業仕分け」の課題として「診療所の総収入イコール診療報酬ととらえられていることに疑問を持っている。このままの規律で議論が推移していいのか、議論してほしい」と委員らに求めた。
医療保険部会は次期改定に向けた議論を7月中旬に開始し、これまで2回の議論を進めていたが、政権交代や委員の任期満了に伴う交代などで中断していた。次回は今月25日に開く予定で、事務局が次期改定の基本方針の原案を示す見通しだ。
■「医療再建」「勤務医負担軽減」を重点課題に、改定の基本方針
厚生労働省は11月16日の社会保障審議会・医療保険部会で、次期診療報酬改定に向けた基本方針の重点課題に▽救急、産科、小児、外科等の医療の再建▽病院勤務医の負担軽減策の充実(医療従事者の増員に努める医療機関への支援)―の2点を盛り込むことを提案した。
「救急、産科等の医療再建」に関しては①有床診療所を含めた地域連携による救急患者受け入れの推進②小児や妊産婦を含めた救急患者を受け入れる医療機関に対する評価③新生児等の救急搬送を担う医師の活動の評価④急性期後の受け皿としての後方病床・在宅療養の機能強化⑤手術の適正評価―などの方向が考えられるとした。
一方、「勤務医負担の軽減策」に関しては①看護師、薬剤師等医師以外の医療職種が担う役割の評価②看護補助者等医療職以外の職員が担う役割の評価③医療クラークの配置の促進など、医師の業務そのものを減少させる取り組みに対する評価―を提案した。
このほか、重点課題以外の視点として▽充実が求められる領域への適切な評価▽患者から見て分かりやすく納得でき、安心・安全で、生活の質にも配慮した医療の実現▽医療と介護の機能分化と連携の推進▽効率化の余地があると思われる領域の適正化―の4点を挙げた。「充実が求められる領域」には、①質の高い精神科入院医療の推進②がん医療③認知症医療④新型インフルエンザなど感染症対策⑤肝炎対策―を例示。「医療と介護の連携」に関しては回復期リハビリテーション等の機能強化や在宅医療などの推進を挙げた。
■コメディカルの採用、診療報酬で手当て、次期改定で厚労省
厚生労働省保険局医療課の佐藤敏信課長は11月19日の社会保障審議会・医療部会(部会長=齋藤英彦・名古屋セントラル病院長)で、次期診療報酬改定の基本方針で「重点課題」に位置付けることを提案している「病院勤務医の負担の軽減(医療従事者の増員に努める医療機関への支援)」について、看護師や薬剤師などコメディカルを採用できるよう診療報酬上で手当てする意味との解釈を示した。「看護師の配置を除けば、現行の診療報酬は保険医療機関と歯科医を含めた保険医に着目して支払う仕組みになっている。近年は理学療法士、作業療法士などの配置・活動や、医師の診療補助をする人についても評価している」と説明。ただ「診療報酬の財源が限られている中で、採用のために満額準備できるような診療報酬はなかなか付けられない。呼び水、インセンティブとなるような形の報酬が付いているという状況にある」と述べた。
厚労省は、基本方針で次期改定の重点課題に▽救急、産科、小児、外科等の医療の再建▽病院勤務医の負担の軽減(医療従事者の増員に努める医療機関への支援)―を位置付けることを提案している。
■薬価引き下げ、本体は3%超に、診療報酬改定で厚労政務三役
次期診療報酬改定の改定率について厚生労働省の政務三役は、薬価の引き下げによる財源に、純粋な改定財源を加えることで、診療報酬本体(医科、歯科、調剤)改定率の3%以上の引き上げを目指して財務省と折衝する方針だ。長妻昭厚生労働相は11月19日の参院厚生労働委員会で「ネットでプラスを実現したいことはかねてより申し上げている」と述べた上で、「その中で、できる限り薬価等を下げて本体部分の上げ幅を多くしたい」と述べた。石井みどり氏(自民党)の質問に答えた。
足立信也政務官も同日の参院厚生労働委員会で「少なくとも本体部分は2006年度のマイナス3.16%を超えなければ病院経営は無理という認識」と述べ、06年度のマイナス幅と同程度以上のプラス幅を本体部分で求めていく考えを示した。
■療養病棟の「質」評価に大筋合意、中医協
中医協・診療報酬基本問題小委員会(委員長=遠藤久夫・学習院大教授)は11月20日、次期診療報酬改定で、療養病棟に入院する慢性期患者への治療・ケアの質向上に関する取り組みを評価する方向で大筋合意した。
療養病床の入院患者の医療区分・ADL区分を把握するための「医療区分・ADL区分に係る評価票」には、基本的にサービスの質に関する項目は含まれていない。2008年度改定では将来的な質の評価に向けて、継続入院患者全体のうち褥瘡を生じている患者割合の変化(割合が小さくなれば病棟のケアの質が高い)などを把握する「治療・ケアの内容の評価表」を導入。病棟単位で▽ADL区分1・2の患者の褥瘡▽ADL区分3の患者の褥瘡▽ADLの低下▽尿路感染症▽身体抑制―の5項目のQI(質に関する指標)について継続的な測定・評価を義務付けた。しかし提出義務はなかった。
■医療技術の保険導入へ議論開始、中医協・分科会
中医協・医療技術評価分科会(分科会長=吉田英機・昭和大泌尿器科名誉教授)は11月19日、関係学会などから次期診療報酬改定で保険導入するよう要望のあった医療技術に関する議論に入った。非公開で行われた1次評価は新規技術159件、既存技術185件の計344件が通過。今後は、委員の専門領域ごとに技術を振り分けて、2次評価で新規・既存各技術の保険導入の優先度を決定し、来年1月下旬に中医協・診療報酬基本問題小委員会に報告する。
■医療分野の技術開発、省内チームを設置へ、長妻厚労相
長妻昭厚生労働相は11月19日の参院厚生労働委員会で、医療や介護に関する技術開発の発展に向けて議論するチームを厚労省内に立ち上げ、今週中にも初会合を開催する意向を示した。森田高氏(国民新)の質問に答えた。
長妻厚労相は「医療や介護はコストだという考え方もあったが、一方で投資でもある」と指摘。「医療や介護に投資をすることにより雇用も生まれる」と述べた上で、「企業やベンチャー企業も今、なかなか育たない部分はあるが、医薬品も含めて先端技術を開発することにより、世界に羽ばたいていただく」とし、医療関係の企業が世界に進出するために後押しする考えを示した。
■診療報酬の事業税「非課税」に“黄信号”、政府税調の査定案
医療機関の社会保険診療報酬にかかる事業税(地方税)の非課税措置について、政府税制調査会が仮査定で「要望内容の抜本的見直しができなければ(存続は)認められない」と判断していることが分かった。診療報酬にかかる事業税の非課税措置は、日本医師会など医療関係団体が存続を強く要望している。政府税調は11月19日からの各省との集中審議で決着を図り、12月11日に税制改正大綱をまとめる予定だ。
このほかの厚労省の税制改正要望(国税)では、相続税や贈与税の納税が負担となり医療機関の運営を継続できず閉鎖に追い込まれる事態を防ぐため、医療法人に相続税と贈与税の納税猶予の特例措置を創設することを求めていた。政府税調の査定案は「認められない」とした。社会保険診療報酬等にかかる消費税の在り方の検討についても「認められない」とした。
■DPC新係数「妥当」項目の評価指標固まる、中医協・分科会
中医協・DPC評価分科会(分科会長=西岡清・横浜市立みなと赤十字病院長)は11月18日、次期診療報酬改定で導入するDPC新機能評価係数のうち、次期改定での導入が「妥当」とされていた4項目の評価指標を大筋で固めた。治療が難しい疾病を多く扱う病院を評価する「複雑性指数」に関して、1入院当たりの診断群分類点数に着目して設定することで合意した。
■入院基本料、増額めぐる議論は平行線、中医協総会
中医協総会(会長=遠藤久夫・学習院大教授)は11月18日、診療側、支払い側双方の委員から提出された医療経済実態調査(実調)に関する見解を基に議論した。診療側の西澤寛俊委員(全日本病院協会長)は、病院の経営状態が逼迫しているとして「すべての病院が算定する『入院基本料』の大幅な増額が必須」と主張したのに対し、支払い側の白川修二委員(健保連常務理事)は病院経営の厳しさに理解を示しつつも「加算なども含めて、めりはりを考えていくべき」などとし、大幅増額には慎重な姿勢を示した。
■維持期リハ、継続の方針で一致、中医協
11月18日の中医協・診療報酬基本問題小委員会では、疾患別のリハビリテーションについて議論した。維持期リハビリの診療報酬は継続を認める委員の意見が多数を占め、次期改定でも継続する方針で合意した。2012年度に見込まれる診療報酬と介護報酬の同時改定も考慮し、継続の必要性を認めた。
06年度の診療報酬改定で、維持期リハビリは介護保険を中心に対応することにしたが、その後の診療報酬改定検証部会の調査で、介護保険の対象とならない若年患者の存在や、介護保険ではニーズに合ったリハビリが行われていない実態が明らかになった。このため08年度診療報酬改定では、標準的リハビリ実施日数を超えた場合は、1カ月当たり13単位まで実施可能とした。
■外科系医師からもヒアリング実施へ、中医協
中医協の遠藤久夫会長は11月18日の診療報酬基本問題小委員会で、外科系の医師を招いてヒアリングを行うことを提案し、了承された。診療報酬改定に向けた審議でのヒアリングは、今月6日に周産期・救急医療を対象に初めて行われた。人選は遠藤会長に一任された。
■外保連試案に基づく評価、導入へ、中医協
中医協は11月18日の診療報酬基本問題小委員会で、2012年度の次々期診療報酬改定に向け、手術などの技術評価に関して外科系学会社会保険委員会連合会(外保連)が策定に取り組んでいる「手術試案」を用いた評価を導入することに同意した。外保連に対しては、導入に向けた試案の精査を求めた。
■「専従」の見直し求める声も、中医協・診療側委員から
11月18日の中医協・診療報酬基本問題小委員会では、医療安全体制の評価について議論が交わされた。職員の専従配置が必要な「医療安全対策加算」や、厚生労働省が次期診療報酬改定で評価するとして提案した「専従の医薬品安全管理責任者」などについて、診療側から「専従」の要件を緩和するよう求める声が上がった。
■救急評価指標は「実績」か「体制」か、DPC新係数
厚生労働省は11月18日の中医協・DPC評価分科会に示した新機能評価係数の評価指標に関する「たたき台」で、「救急・小児救急医療の実施状況および救急における精神科医療への対応状況」を評価する指標として、▽救急患者割合を基にしたコストに対する評価▽救急医療を提供する体制―の2案を提示した。厚労省は「両案をうまく組み合わせて評価することが妥当」との見解を示したが、委員はどちらを優先するかで意見が分かれた。
■診療関連死モデル事業、見直し対象に、行政刷新会議
政府の行政刷新会議は11月19日、各省庁が2010年度予算の概算要求に盛り込んだ事業のうち、「無駄な事業」を自主的に提示するよう各省庁に要請することを決めた。ワーキンググループによる5日間の「事業仕分け」で無駄と判断した事業と類似した事業が、概算要求の中にまだ埋もれていると判断。仙谷由人行政刷新担当相は、近く見直しの基準を各省庁に示し概算要求の再考を求める。
この日の会議では、検討が必要なモデル事業の具体例として、厚生労働省分では「診療関連死モデル事業」や「ドクターヘリ夜間搬送モデル事業」などを挙げた。
■新政権の政策決定プロセスは「不安」、医療部会で日医委員
日本医師会の竹嶋康弘副会長は11月19日の社会保障審議会・医療部会で、中医協人事や行政刷新会議ワーキンググループ(WG)の「事業仕分け」など、新政権の政策決定プロセスについて「不安を禁じ得ない」と疑問を投げ掛けた。中川俊男常任理事も医療経済実態調査(実調)に疑問の声を上げた。
■事業仕分け「マニフェストと合致しない」、日医が見解
日本医師会の中川俊男常任理事は11月18日の定例会見で、政府の行政刷新会議による「事業仕分け」に対する日医の見解を示した。民主党はマニフェストで診療報酬の増額を掲げていながら、事業仕分けのワーキンググループ(WG)は財政中立の下での診療報酬の見直しを求めていることを問題視。WGの結論はマニフェストと合致しないと指摘し「あらためて鳩山由紀夫首相にマニフェストの重みと同会議の運営方針について説明を求めたい」と訴えた。
■08年度保険診療収益、病院で1.5%増、TKC医業経営指標
日本医師会は「TKC医業経営指標に基づく動態分析の概要」をまとめ、中川俊男常任理事が11月18日の定例会見で公表した。2008年度診療報酬改定で、改定財源が重点的に投入された病院でも、保険診療収益の対前年度比は1.5%増にとどまった。診療所は0.3%増だった。
厚生労働省が指摘する「医療費の自然増は3%台」の伸びを示さなかった理由について日医は、受診日数の減少があるとあらためて指摘。診療報酬は受療行動に変化がない前提で財源の配分が行われていると問題視し、今後は受診日数の変化や平均在院日数の短縮化などにも着目するなど、制度改革の進捗状況にも配慮した診療報酬改定の検討が求められるとした。
■中医協の「日医外し」で応酬、衆院厚労委が実質審議入り
衆院厚生労働委員会は11月18日、長妻昭厚生労働相の所信に対する質疑を行い、本格的に議論を開始した。自民党の加藤勝信氏は、日本医師会の執行部が全員外れた中医協委員の人事について、新たな人物を任命した経緯を追及。長妻厚労相は「どういう考え方で中医協を位置付けていくのかということは、医療政策や社会保障政策の根幹にかかわる問題だと思う」と述べ、政権交代後の医療政策の方向性を示すためにも中医協の委員構成の変更が重要だったとの認識を示した。
■75歳以上の区分なくす、高齢者医療制度で長妻厚労相
後期高齢者医療制度の廃止後に創設する新たな制度について、長妻昭厚生労働相は11月18日の衆院厚生労働委員会で「75歳以上の区切りで保険を決めるのではなく、できる限り広く薄く負担していただく」と述べ、年齢で線引きをしない制度設計を目指すとした。阿部俊子氏(自民)の質問に答えた。
長妻厚労相は新たな制度設計を検討するため、省内に「高齢者医療制度改革会議」を設置し、30日に初会合を開くと報告した。会議で議論する論点については「多くの方々に負担していただく考え方を議論してもらおうと思う」と述べた。制度設計の進め方については、まず「後期高齢者診療料」など75歳以上だけに適用している診療報酬項目を廃止した上で、保険制度として75歳以上の区分をなくすとした。
■「事業仕分け」は「画期的な取り組み」、長妻厚労相
長妻昭厚生労働相は11月18日の衆院厚生労働委員会で、17日に前半戦が終了した行政刷新会議の「事業仕分け」の感想として「一言で言えば、素晴らしい画期的な取り組みだと考えている」と述べ、公開の場で行われている2010年度予算概算要求の判定作業を評価した。古屋範子氏(公明)の質問に答えた。
■核酸アナログ製剤、有効性・安全性認める、肝炎治療戦略会議
厚生労働省の肝炎治療戦略会議(座長=林紀夫・大阪大大学院消化器内科教授)は11月18日、B型慢性肝疾患患者への核酸アナログ製剤治療やC型慢性肝疾患患者へのインターフェロン複数回治療について、有効性と安全性に問題はないとする見解をまとめた。厚労省は今後、見解を基に、来年度予算の概算要求で事項要求となっている肝炎対策について、医療費助成も含めて検討する。
■診療報酬改定率「ネットでプラスにしたい」、長妻厚労相
次期診療報酬改定について長妻昭厚生労働相は11月17日の参院厚生労働委員会で「ネットの伸びは、やはりプラスにしていきたい」と述べ、診療報酬本体と薬価、材料を合わせた全体としてプラス改定を目指す考えを示した。小池晃氏(共産)の質問に答えた。
ただ、長妻厚労相は「プラスの幅によっては患者負担が増えるなど問題が発生する」と述べ、大幅なプラス改定は患者の保険料負担に跳ね返るとした。その上で後発医薬品を促進し薬価を引き下げ、その分を地域医療に付け替えるなど配分の見直しも可能な限り行っていくとした。
■事業仕分け「役所や専門家の意見踏まえ判断」、長妻厚労相
長妻昭厚生労働相は11月17日の閣議後に会見し、行政刷新会議ワーキンググループ(WG)の「事業仕分け」で、「半額計上」などと判定された事業について「役所や専門家の意見も踏まえて判断していきたい」と述べ、来年度の本予算を編成する12月には基本的な考え方をまとめる方針を示した。
長妻厚労相は、WGの判断について「本当に指摘がごもっともだと、ある意味、厚生労働省として恥ずかしい感想を持つ指摘もある」と述べた。事業仕分けの方針については▽事業の必要性が低いため廃止する▽事業は必要だが、現在のままで政策目的を達成できるか疑問がある─の2種類の観点があるとの考えを示した。
その上で「医師確保、救急・周産期対策の補助金等」が半額計上と判定されたことについては、「事業自体が要らないということではない」とし、医療崩壊を防ぐとした民主党のマニフェストには矛盾しないと説明した。
■診療報酬「切り込む段階ではない」、行政刷新会議WGの長氏
行政刷新会議のワーキンググループで民間評価者、いわゆる「仕分け人」を務める東日本税理士法人の長隆氏は11月17日、11日の議論で「開業医・勤務医の平準化」に向けた方向性が示された診療報酬について「今、切り込む段階ではない」との認識を示した。医療費全体に関しては「下げるべきではない」とし、地域医療の再生を最優先に取り組むべき課題として挙げた。
■来年度の平均保険料率9.9%に、協会けんぽ
全国健康保険協会は11月17日、来年度の協会けんぽの平均保険料率が法定上限(10%)に迫る9.9%になる見通しを明らかにした。従来は9.5%との見通しを示していたが、被保険者の賃金低下に伴う保険料収入の減少や、インフルエンザの流行による医療費の増加などが要因でさらに引き上げる必要が生じた。同日会見した小林剛理事長は「厳しい状況を踏まえると、診療報酬全体を底上げする状況にない。産科、救急など、めりはりをつけた改定を考えていく必要がある」と強調した。
■後期高齢者の診療報酬、廃止も念頭に議論、医療保険部会
厚生労働省は11月16日の社会保障審議会・医療保険部会で、鳩山政権が後期高齢者医療制度廃止の方針を示していることを踏まえ、「後期高齢者診療料」など75歳以上に限定した診療報酬項目について廃止するかどうか意見を求めた。
廃止の是非を問う理由について厚労省は、年齢での区別が「差別ではないか」との指摘を受けたことや、中医協の調査で「後期高齢者診療料」の活用が進んでいない実態が明らかになったことなどを挙げた。ただ、厚労省保険局医療課の佐藤敏信課長は、廃止の方向性として▽項目そのものを全廃▽年齢による区分を撤廃▽要件の大幅な見直し-などが想定できるとし、中医協で議論する考えを示した。
■社会保険診療「非課税措置の存続を」、自民・部会で医療団体が要望
自民党の厚生労働部会と厚生関係団体委員会は11月16日、合同会議を開き、2010年度税制改正に向けて日本医師会や四病院団体協議会などの関係団体から要望を聞いた。日医をはじめとして医療関係団体は、社会保険診療報酬にかかる事業税が非課税となっている特別措置の存続を要求した。
日本介護支援専門員協会など介護関係の団体は、介護職員処遇改善交付金の対象者が介護職員に限られていることを問題視。介護施設で働いている看護師や介護支援専門員などにも対象を拡大するよう要望した。
■保険料率引き上げ緩和の選択肢提示、厚労省
厚生労働省は11月16日の社会保障審議会・医療保険部会で、財政悪化が深刻化している協会けんぽの来年度の保険料率引き上げ緩和に向けた「選択肢」を示した。現在、13%となっている国庫補助率を、健康保険法本則に規定される16.4~20%に引き上げる案のほか、2009年度に見込まれる赤字額3100億円の複数年度での解消や、現在は被保険者の人頭割りとなっている後期高齢者医療制度への拠出金を、被用者保険内で応能負担とするなどの財政調整も例示した。
◎介護編
■福祉医療機構の高齢者支援基金、全額返還を、行政刷新WG
厚生労働省の「事業仕分け」を担当する行政刷新会議のワーキンググループ(主査=尾立源幸参院議員)は11月17日、福祉医療機構が高齢者や障害者の在宅福祉などを支援するために積み立てている基金を全額、国庫に返還すべきと判定した。
「仕分け」の対象になった基金は、長寿社会福祉基金の700億円や、子育て支援基金の1300億円など合計2787億円。こうした基金の運用益を、地域の福祉活動に貢献している社会福祉法人やNPO法人などに助成している。
■介護予防事業は「予算削減」、行政刷新WG、削減幅は「算定不能」
2010年度予算の概算要求に201億円程度を計上している介護予防事業について、厚生労働省の事業を担当する行政刷新会議のワーキンググループ(主査=尾立源幸参院議員)は11月17日、「予算削減」と判定した。具体的な削減幅について尾立主査は、データが不足しているとして「算定不能」とした。
■介護人材確保へ50団体が参集、全国地域包括ケア推進会議が始動
政府の緊急雇用対策で設置が決まった「全国地域包括ケア推進会議」の初会合が11月17日、厚生労働省内で開かれた。日本医師会や日本慢性期医療協会、全国老人保健施設協会など介護関連の約50団体が参加。各団体の意見を聞くことで地域の課題やニーズを把握し、良質な介護人材の確保につなげるほか、地域で医療、介護、福祉などを包括的に提供する「地域包括ケア」の全国的な普及・推進を目指す。
■「キャリアパス要件」年度当初は適用外に、厚労省が事務連絡
厚生労働省老健局は、2010年度以降に「介護職員処遇改善交付金」の支給要件に追加予定の「キャリアパスに関する要件」について、10年度当初からは適用しない方針を11月17日付の事務連絡で都道府県に周知した。10年度当初に提供するサービス分の交付金は、暫定的に現行の実施要領に基づいた申請手続きとなることについて、事業所へ周知するよう求めた。
■ケアマネ研修事業も「半減」、刷新会議WG
ケアマネジャーの資質向上のため、国が都道府県に研修費用を補助している支援事業について、政府の行政刷新会議のワーキンググループは11月16日、補助金を半額に減額すると結論付けた。地域包括支援センター職員などの研修事業については、各自治体で実施し、国が関与すべきでないという意見で一致した。
ケアマネ支援事業について、厚生労働省は3億5000万円を2010年度予算概算要求に計上している。財務省主計局は、予算執行で2億円程度の不要が発生しているとし、国の補助をなくして受講料での対応に一本化することを求めた。
■介護職員処遇改善交付金「提出書類の簡素化を」、厚労省が事務連絡
厚生労働省老健局は11月13日付で事務連絡を発出し、事業所が「介護職員処遇改善交付金」を申請する際に提出する書類を、できるだけ簡素化するよう都道府県に求めた。
実施要領で定めた書類以外の提出を事業所に求める場合は、事業所の事務負担などを考慮し慎重に検討するよう、これまでも都道府県に求めていると説明。同交付金の申請率向上に向け、「最低限の審査に必要な資料」などに限定して事業所に提出を求めるよう協力を要請した。
◎データ・調査編
■医師事務補助加算、7割が「効果あり」、日本医療事務センター調査
日本医療事務センターがまとめた「2009年度 病院事務長へのアンケート調査結果」によると、勤務医の業務負担の増加要因として「事務作業の増加」と「医師数の減少」を挙げる病院がそれぞれ6割を超えた。2008年度診療報酬改定で新設した「医師事務作業補助体制加算」については、66.4%の病院が「業務負担軽減の効果が出ている」と評価した。同センターは「医師数の減少とともに、記録などの事務作業が勤務医の業務負担を増加させている最大の要因」と分析している。
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〈核問題〉
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