週刊医療情報インデックス
2009年10月第1週 (2009.09.29~2009.10.05)
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【ウイークリーダイジェスト】
■中医協、改定へ本格議論スタート、厚労省、周産期・救急で論点
厚生労働省は9月30日の中医協・診療報酬基本問題小委員会(委員長=遠藤久夫・学習院大教授)に、2010年度診療報酬改定に向けた周産期医療・救急医療の評価に関する論点を示し、次期改定に向けた本格的な議論に入った。委員からは周産期・救急への重点評価に理解を示す意見が多く出たが、診療報酬以外の制度面や予算面も含めて総合的な議論が必要とする意見も上がった。
周産期の課題として厚労省保険局医療課の佐藤敏信課長は、低体重児などハイリスク新生児の増加や、母体・新生児搬送の受け入れが困難となっている理由として、新生児集中治療室(NICU)が満床となっていることが挙げられると説明。08年度改定では、「妊産婦緊急搬送入院加算」(入院初日5000点)や「ハイリスク妊娠管理加算」(1日当たり1000点)の新設のほか、「ハイリスク分娩管理加算」(1日当たり2000点)の対象疾患を拡大し評価を引き上げたとした。また、NICUの退室患者の移行を進める観点から「超重症児(者)入院診療加算」(6歳未満600点、6歳以上300点)などを見直したと振り返った。
その上で、ハイリスク児に対応するために整備を進めることになったNICUの診療報酬上の評価や、NICU退室患者の円滑な移行に向けた診療報酬上の評価を論点として示した。このほか▽基礎疾患のある妊婦など産科合併症以外の合併症のある妊婦受け入れ▽周産期母子医療センターと地域の産科医療機関との連携体制や、母体・新生児の施設間搬送をする医師らの活動▽ハイリスク分娩管理加算の要件―も論点に挙げた。
一方、救急に関しては、消防法一部改正に伴う地域の搬送・受け入れルールの策定を踏まえ、ルールに基づき積極的に受け入れている医療機関の評価を論点に挙げた。2次救急医療機関の搬送受け入れ実績が医療機関によってばらつきがある現状を踏まえた「受け入れ実績に応じた評価」や、救急受け入れ困難事例の主要な理由である「ベッド満床」の解消に向けた「患者の紹介などに対する評価」についても議論を求めた。
委員からは、救急患者搬送に医師が同乗して診療した場合に算定できる「救急搬送診療料」(1300点、6歳未満は150点加算)について、看護師が同乗した場合の評価や、救急患者を看護師がトリアージすることへの評価を求める意見もあった。
前回改定時は10月初旬から週2回の中医協を開催し、改定に向けた具体的議論を進めたが、10月1日に診療側7人中6人の委員が任期満了となり、後任が未定となっていることなどから、今後の議論の見通しは立っていない。
■中医協委員、大学・民間病院から追加も、足立政務官が示唆
長妻昭厚生労働相は9月28日の政務三役会議で、10月1日で任期満了となる中医協委員について、医療担当の足立信也政務官に人事案件の素案を作成するよう指示を出した。足立政務官は28日夜、診療側委員について「大学病院や民間病院の代表がいた方がいいと思う」と述べ、現在の中医協には病院の声が十分に反映されていないとして、委員構成を見直す考えを示唆した。
現在の診療側委員7人のうち6人(日本医師会代表3人、病院代表2人、日本薬剤師会代表1人)が10月1日で任期満了となる。現行ルールでは6人とも再任は可能。足立政務官は本紙に「任期が切れる委員の調査や評価、それに基づいてどういう人事が考えられるのか。検討してみてくれと大臣から指示があった」と説明した。
■中医協小委、異例のヒアリング実施へ、周産期・救急で
中医協・診療報酬基本問題小委員会は9月30日、周産期・救急医療の次期診療報酬改定での評価の参考とするため、関係する医療従事者に対するヒアリングを実施することを決めた。遠藤久夫委員長(学習院大教授)が提案し、了承された。厚生労働省保険局医療課などによると、基本問題小委で現場の関係者からヒアリングするのは極めて異例。人選は遠藤委員長に一任された。
同日の小委で遠藤委員長は、事務局側から説明のあった周産期・救急医療の現状について「全体を鳥瞰する上では重要」と述べた上で、「同時に、現場でどういう状況になっているかを共通認識として持っておく必要がある。現実に起きている生々しい状況がわれわれの認識としてあれば、何をすればよいかということにもつながってくる」と主張。「周産期・救急は2006年度改定から重要なテーマとして続いており、大きな課題だ」として医療関係者のヒアリングを提案した。
医療課は10月中にも実施を目指す考えだ。
■混合診療禁止の適法性認める、東京高裁で2審判決
保険診療と自費診療を併用する混合診療を受けた際、保険診療部分についても全額自己負担となるのは違憲だとして、神奈川県藤沢市の男性が国に対し「療養の給付」を受ける権利の確認を求めた訴訟の控訴審判決が9月29日、東京高裁であった。大谷禎男裁判長は、自費診療と保険診療の併用を容認し男性の受給の権利を認めた1審判決を取り消し、男性側の請求を棄却した。男性側は上告する意向を示した。
男性は腎臓がん治療のため神奈川県立がんセンターで保険給付の対象となっている「インターフェロン療法」を受けていたが、主治医から保険給付外の「活性化自己リンパ球移入療法」(LAK治療)の併用を提案され、2001年9月から2つの治療を受けていた。訴状では、混合診療の禁止に法的な裏付けがないと主張し、「法律の根拠のない混合診療禁止制度による健康保険受給権の停止・制限は憲法に違反する」としていた。東京地裁の1審判決(07年11月)では「保険診療と自費診療を一体と見て保険診療部分も全額自己負担となる根拠は、健康保険法では見出しがたいといわざるを得ない」などとして、男性の受給権を認めていた。国は1審判決を不服として控訴していた。
争点となった混合診療禁止の法的根拠について大谷裁判長は、保険外併用療養費制度(旧特定療養費制度)を導入した現行法制下でも、先進医療など一定の条件下の混合診療は限定的に保険給付を認めており、これ以外の混合診療は給付対象とならないとする国側の主張を支持。違憲性については「保険により提供する医療について、財源面からの制約や、提供する医療の質(安全性、有効性等)の確保等の観点から、範囲を限定することはやむを得ず、相当なものといわざるを得ない」とし、男性の主張を退けた。
東京・霞ケ関の司法記者クラブで会見した男性は「判決には失望した。最高裁に上告して戦おうと思う」と上告する意向を示すとともに、「司法では解決は困難。政権も変わったし、立法的、行政的手法も考えていきたい」と述べた。
一方、長妻昭厚生労働相は「現時点では、判決の具体的内容を十分把握したものではないが、国のこれまでの主張が認められたものと考えている」との談話を発表した。
●速やかな保険適用必要、保団連
判決を受けて、保団連は29日、有効性、安全性が確立された新しい医療技術・医薬品の速やかな保険適用が必要とする談話を発表した。
談話の中で、原告男性の保険受給権を認めた1審判決でも「混合診療そのものの解禁を認めたものではなかった」との見解を示した。安全性や公平性を考慮すれば「必要な医療は保険診療で」の原則を堅持した上で、保険適用の迅速化によって患者負担を軽減し受療権を保障することが必要とし、「引き続き保険給付範囲の拡大と審査承認期間の短縮に向けて全力を挙げる」とした。
■出産一時金や要介護認定見直しスタート、厚労省、10月の制度変更
厚生労働省は9月30日、10月から実施する厚生労働省関係の主な制度変更の概要について発表した。医療・介護関係では、出産育児一時金の4万円引き上げと直接支払い制度の導入、要介護認定の認定方法の見直しを実施する。
出産育児一時金の見直しは▽現在の原則38万円から42万円に引き上げ▽医療機関が被保険者(妊婦)らに代わって出産育児一時金の支給申請・受け取りを行う直接支払い制度の導入─が柱。出産費用の未収金対策として導入する直接支払い制度では、一時金支払いが申請から1~2カ月遅れることで資金繰りを不安視する声が医療機関から上がったことから、直ちに実施困難な医療機関には今年度末までの半年間、適用を猶予する措置を設ける。
今年4月の新方式導入後、「軽度者の割合が増加する」などの指摘を受けて再度見直した要介護認定も10月から実施する。このほか、厚生年金保険料率引き上げは10月分給与の源泉徴収から適用する。
■産科補償制度の掛金支払いを延期、出産一時金制度導入で特例措置
日本医療機能評価機構は10月1日、出産育児一時金の直接払い制度を実施する分娩機関のうち、産科医療補償制度の掛金支払いの延期を希望する分娩機関については、特例的に支払期日を1カ月延期することを決めた。10~11月までの分娩の掛金が対象。特例措置を希望する分娩機関は、23日までに同機構まで問い合わせる必要がある。
産科医療補償制度では、妊産婦登録などの事務が可能なWebシステムを導入している場合、分娩機関は分娩月の翌月に掛金(分娩1件当たり3万円)を支払うことになっている。出産育児一時金の直接払い制度は申請から入金まで1~2カ月かかり、一時金の入金がないと補償制度の掛金の支払いができない医療機関が想定されることから、今回の特例措置を講じる。特例措置を実施した場合、10月分娩分の掛金の支払いは12月、11月分娩分は翌年1月となる。
対象はWebシステム導入分娩機関のうち、特例措置を希望する分娩機関。システム未導入分娩機関では、すでに掛金の支払い時期が分娩月の2カ月後となっているため対象外としている。問い合わせは日本医療機能評価機構(TEL 03-5800-2231)まで。
■出産育児一時金「保険証資格喪失でも支払い」、政府答弁書
政府は10月1日の閣議で、出産育児一時金の直接支払い制度で、出産後に保険証の資格喪失が明らかになった場合でも、その事実を知らなかったことについて医療機関側に責任がなければ、資格喪失前の医療保険者から出産一時金が支払われるとする答弁書を決定した。小池晃氏(共産)の質問に答えた。
小池氏はまた、従来の一時金受け取り代理制度では、国保保険料などを滞納している場合、滞納保険料の相殺払いを行うことがあるとし、直接支払い制度での対応を聞いた。
答弁書は、国民健康保険法施行規則改正に基づき、直接支払い制度では保険料の滞納による支払いの一時差し止めは行わないとし、「滞納保険料との相殺はない」と答えた。
直接支払い制度の導入で資金繰りが悪化する医療機関への対応については「資金面の負担の軽減を引き続き検討する」とした。
■国内・海外別の損益・財務状況開示を、薬価維持特例で日医総研
日医総研はこのほどまとめたワーキングペーパー(WP)で、日本製薬団体連合会が中医協で提案している薬価維持特例制度に言及し、薬価抑制が国内での利益を圧迫しているとの主張に基づく提案であれば、国内・海外別に医薬品業界の損益状況と財務状況の経年変化を開示した上で議論すべきと指摘した。
日医総研は「米国医療関連産業の政治力、米国政府の対日圧力、およびそれらがわが国の医療政策に与えてきた影響」(坂口一樹研究員)と題したWPで、医薬品・医療機器分野での米国の対日圧力の推移とその成果を分析。医療を含む社会保障の充実が重要な政策課題となった今、米国医薬品産業の政治活動が日本の医療政策に影響を及ぼしている事実とその仕組みをよく理解する必要があると強調した。
医師・看護師不足や医療機関の赤字経営が指摘される一方で、医薬品・医療機器は国内に豊富にあり、関連企業群は経済的繁栄を享受しているように見えると指摘。「国民の税金や保険料が、医療現場を支える人にきちんと渡っていると言えるのか」と疑問を呈した。
WPは、国内の医薬品メーカーの売上原価率が2001年度以降は下落傾向にあり、売上高粗利率が上昇してきたことに着目。薬価マイナス改定の継続下でも、むしろ、医薬品の価格水準は上昇したのではないかとの見方を示した。
また、医薬品企業側は売上原価率の下落について「価格水準の高い海外での販売が増えた結果」とし、それを根拠の1つに薬価維持特例制度導入の働き掛けを活発化させていると説明。企業側は薬価抑制が国内での利益を圧迫していると主張するのであれば、その検証が必要になると指摘した。
■新制度で国との協議求める、後期医療制度廃止表明で
75歳以上が対象の後期高齢者医療制度の運営実務を担う広域連合の全国組織「全国後期高齢者医療広域連合協議会」は9月30日、制度廃止を表明した長妻昭厚生労働相らに、現行制度を当面維持しつつ、新制度の在り方について国が広域連合などと協議するよう要望した。
同協議会会長の横尾俊彦・佐賀県多久市長が、長浜博行厚労副大臣に要望書を提出。横尾会長が「制度は落ち着いた状況にある。(新制度への移行で)混乱しないよう取り組んでほしい」と述べ、長浜副大臣は「地域の声に十分配慮したい。(首長らと)話し合いの機会を設け、より良い制度にしたい」と応じた。
このほかの要望は(1)新制度移行に必要な財源は国が負担する(2)新制度について国の説明を徹底する(3)都道府県単位の財政運営など、現行制度の利点を新制度に引き継ぐ―など。
終了後に記者会見した横尾会長は「ずるずる引き延ばすつもりはないが、より良い改革案をつくるには時間が必要だ」として、当面は現行制度を続けるべきだとした。【共同】
■社会保障費増は消費税で、経団連、来年度税制改正で提言
日本経団連は10月2日、「2010年度税制改正に関する提言」をまとめ、政府や与野党に送付した。少子高齢化の中で持続可能な社会保障制度を支える安定財源確保の観点から、「社会保障費の増加分は消費税によって賄うことが適切」と明記した。
■社保病院の職員「雇用に十分配慮」、政府答弁書
政府は10月1日の閣議で、社会保険病院の存続について「地域医療の確保を図る観点から、今後の取り扱いを検討している」とした上で、最終的な方針決定の際には、各施設の職員の雇用に十分配慮するとした答弁書を決定した。小池晃氏(共産)の質問に答えた。
年金・健康保険福祉施設整理機構(RFO)の下で一般競争入札で売却する方針の社会保険新宿診療所については「売却により地域医療の確保に支障が生じるとは考えられない」とし、入札を中止し社保病院などと同様の扱いにする考えはないとした。
■日医・唐澤会長、長妻厚労相と会談、「意見の相違はない」
日本医師会の唐澤祥人会長は9月30日、厚生労働省の大臣室を訪れ、長妻昭厚生労働相と就任後初めて会談した。唐澤会長と長妻厚労相は、政策課題について双方が十分に話し合うとの考えで一致した。長妻厚労相は当面の最優先課題に新型インフルエンザ対策を挙げ、特にワクチン接種について日医に協力を要請。唐澤会長は「全面的な協力を約束する」と応じた。
唐澤会長には、宝住与一副会長、内田健夫・今村聡両常任理事らが同行した。また会談には長浜博行副大臣、山井和則政務官、足立信也政務官も同席した。医療担当の足立政務官は会談で「医療をしっかり守っていきたい」との考えを強調した。
唐澤会長は会談終了後、本紙などに対し「長妻厚労相には以前、お目にかかったことはあるが、今回は表敬訪問であり、まず最初の話し合いができてよかったと思う」と述べた。長妻厚労相の印象については「真剣に厚生行政に取り組んでいることがうかがえた」と述べたほか、「共通の課題を抱え、意見の相違もないと思う」とした。
■規制改革は「非常に大事」、仙谷行政刷新担当相
政府の規制改革会議(議長=草刈隆郎・日本郵船相談役)は9月30日、仙谷由人行政刷新担当相らを招いて、今後の方向性を議論した。仙谷行政刷新担当相はあいさつで「規制緩和・規制改革の動きは、マーケットに対する自由な参入という観点からも非常に大事」と述べ、規制改革を推進していく意向を示した。
また仙谷行政刷新担当相は「政権交代をしたという段階で、リスタートを切るためにはどうしたらいいのか議論したい」とも述べ、規制改革会議の位置付けやコンセプトからあらためて議論するとした。
同日の規制改革会議には、内閣府の古川元久副大臣と泉健太政務官も同席した。
■10月29日までの届け出で11月支払いに対応、オンライン義務化
2009年4月以降にレセプトオンライン請求が義務化された病院の猶予期限について、社会保険診療報酬支払基金は9月28日の定例会見で、10月29日までにオンライン請求への移行を届け出れば、診療報酬の11月の支払いに応じる考えを明らかにした。
厚生労働省は5月8日付の通知で、09年度に義務化された病院の猶予期限について「半年以内を目途に設定することを予定する」とし、設定された期限以降もオンライン請求をしない場合は「原則通り診療報酬は支払われないことになる」との方針を示していた。
通知の「半年以内」に従えば、9月までに届け出をしなかった病院は診療報酬が支払われないことになる。オンライン請求の届け出は原則、毎月20日までとされているが、9月は連休のため24日に締め切られた。本来なら、24日までに届け出のなかった病院は2カ月後の11月の支払いが受けられなくなる。しかし支払基金は会見で、25日以降でも届け出があれば11月の支払いに応じられるように準備していると説明。10月29日までの届け出でも対応可能とした。
また支払基金は会見で、09年4月から義務化された病院のうち、猶予対象となっている病院の9月請求分の準備状況を公表した。16日時点で544病院がオンライン請求に移行できていないことが分かった。前月請求分より104病院減少した。
前月請求分以降、オンライン請求に移行したのは126病院、レセプトコンピューターが厚労省の開発・提供による「レセスタ」に対応できないためオンライン請求への勧奨対象から除外されたのは13病院だった。
■オンライン義務化、新政権の方向性注視、日医・藤原常任理事
日本医師会の藤原淳常任理事は9月26日の九州医師会連合会・医療保険対策協議会で、レセプトオンライン請求義務化について、新政権が今後どのような方向性を打ち出すか注視する考えを強調した。日医が前政権下で進めた対応策は、政権交代に伴って「宙に浮いた状態」と説明。新政権下で厚生労働省が方向転換する可能性も見据え、民主党の考えを見極める必要性を指摘した。
民主党は衆院選のマニフェストで、レセプトオンライン請求は「完全義務化」から「原則化」に改める方針を打ち出した。ただ藤原常任理事は「『原則化』が何を意味するかまだ不明」とし、民主党との折衝も「まだ始まっていない」と報告。日医は前政権下で、完全義務化を前提に対応策を検討した経緯も踏まえ、新政権の方針が明確になるまで推移を見守る姿勢を示した。
同協議会では、この問題について会員の不安も大きく、日医のこれまでの対応に不満の声も上がっているとの報告もあった。
■「55年通知」で医薬品33例を追加、医薬品の適応外使用で支払基金
添付文書に記載がなくても薬理作用に基づく医薬品の適応外使用を認めるケースとして、社会保険診療報酬支払基金は9月15日付で、新たに33事例を追加した。医薬品の適応外投与に関する事例の選定は2007年9月の46事例に続いて2回目。今回の追加で合計79事例となった。支払基金は、インターネット上のホームページに審査情報提供事例として掲載している。
追加された事例は、「ジアゼパム(内服薬・注射薬)」の「てんかん」に対する処方や「ミダゾラム(注射薬)」の「けいれん重積状態を含むてんかん重積状態」に対する処方、「アトロピン硫酸塩水和物(注射薬)」の「現行の適応症について小児」に処方した場合など。
薬理作用に基づく適応外処方をめぐっては、日本医師会が「昭和55年通知」に関連した問題が解決されなければ、レセプトオンライン請求の一律な義務化は認められないと主張してきた。
いわゆる「昭和55年通知」(1980年9月3日付の厚生省保険局長通知)では、「診療報酬明細書の医薬品の審査に当たっては、厚生大臣の承認した効能効果などを機械的に適用することによって都道府県の間においてアンバランスを来すことのないようにすること」と明記されている。
前年の79年には、当時の橋本龍太郎厚生相が「薬効表示について、医学と医師の立場がまったく無視され、製薬企業の資料のみによる病名決定で用途が規定されることは誤りでありました」との書簡を、武見太郎日医会長(当時)に送っている。
■自民新総裁に谷垣氏、「民主は財源論が不明確」
麻生太郎前総裁の後任を選ぶ自民党総裁選の投開票が9月28日に行われ、谷垣禎一元財務相が第24代総裁に就任した。谷垣新総裁は同日夕の記者会見で、大幅に議席を減らした衆院選の反省や今後の党内人事などには言及したが、具体的な社会保障政策には触れなかった。総裁選の投票総数は、党所属の国会議員票199票と地方票300票を合わせて499票。谷垣新総裁は300票を獲得した。自民党の世代交代などを訴えていた河野太郎衆院議員は144票、西村康稔衆院議員は54票だった。
谷垣新総裁は弁護士出身で、京都5区から10回連続で当選している衆院議員。党政調会長や財務相などを歴任した。
■残業代不払い、パワハラ…、医師の電話相談で訴え
個人加盟の医師らでつくる「全国医師ユニオン」(東京)が9月27日、勤務医らを対象に電話相談を実施、29件の相談があった。
内訳は長時間労働12件、当直問題7件、残業代の不払い6件など。
研修医の親から「1日15~20時間労働で残業代も出ず、月収は約17万円。上司からパワーハラスメントも受け、本人は『医師にならなければよかった』と言っている」との訴えのほか、大学院生から「大学病院で診療しているが無報酬。労働として認められないのか」といった相談があった。
家族からは7件あり、ユニオンは「自らは声を出せないまま、過酷な労働環境に耐えかねて辞めていった医師も多いのではないか」としている。【共同】
◎介護編
■要介護認定見直しの影響調査、厚労省
山井和則厚生労働政務官は10月1日、政務三役会議後の会見で、同日から見直された要介護認定方法が実際に判定される要介護度に影響するかどうかの調査結果を12月中にまとめる方針を示した。
厚生労働省は、4月1日から要介護度の認定方法を変更したが「新たな方法では軽度に認定される」との批判が上がっていた。これを受けて、同省は「要介護認定の見直しに係る検証・検討会」の検討結果を踏まえ、10月1日から要介護度を判定する調査員が使用するテキストを修正した。
厚労省老健局は、4月1日から導入した認定方法で新規に要介護度の認定申請をした人のうち、非該当と判定されたのは約3.3万人で、新規申請者の約5%と推計。非該当と判定された人で、従来の認定方法と比べて軽度に認定された可能性のあるのは1万6500人程度と見積もった。
■介護療養の廃止は「変わらない」、足立政務官
厚生労働省の足立信也政務官は9月28日、本紙の取材に対し「介護療養病床を医療療養病床に一本化する方針は政権交代しても変わらない」と述べ、介護療養病床を2011年度末までに全廃する政府方針は変更しないと明言した。一方で医療療養病床は38万床を維持するとした。
療養病床を医療療養に一本化し38万床を維持する方針は衆院選のマニフェストの基になった政策集の詳細版に「長期療養病床計画」として記されている。政権交代を果たし政務官の役職にある立場で、あらためて党の方針に変更はないとの考えを示した。
◎調査・データ編
■医療費の自然増、今後は2%台に、日医総研、医療費動向を分析
日医総研はこのほど、「2008年度診療報酬改定後の医療費の動向分析」(前田由美子研究部専門部長・主席兼務)をテーマにまとめたワーキングペーパー(WP)を公表した。厚生労働省の「平成20年度医療費の動向」に基づき、医療費全体の推移とその要因を分析した。
厚労省は稼働日数補正後の医療費を用いて、伸び率は3%台としているが、従来通り補正前のデータを用いれば2.7%になると指摘。また人口増減や高齢化、医療の高度化を見据えれば、今後は2%台で推移するとの見通しを強調した。
WPは、厚労省の予想通り医療費が伸びない背景として、受診延べ日数の減少があると指摘。今後の改定論議を見据え、平均在院日数の短縮化をもたらした医療制度改革の状況や、受診抑制を引き起こす社会情勢などについて、共通認識を持つべきと指摘した。
また、診療報酬改定のなかった07年度の対前年度比3.1%増を自然増とすれば、08年度医療費は対前年度比1.9%増だったことから08年度改定の影響は1.2%減になるとし、08年4月の改定率0.82%減を下回る結果になったとした。
■社会医療、一部で補正データ使用、メディアスとの乖離問題
社会医療診療行為別調査(2008年5月診療分)とメディアス(08年5月データ)の1日当たり伸び率に大幅な乖離があった問題で、中医協・診療報酬基本問題小委員会は9月30日、乖離の原因となったのは、入院外の「処置」が大きく伸びたためであり、処置の中でも内科診療所の透析が伸びたためであると結論付けた。10年度診療報酬改定の基礎資料として社会医療診療行為別調査のデータを活用する際は、入院外の処置に関しては、透析を算定している内科診療所を一定数除外するなど補正したデータを使い、それ以外は補正前のデータを使うことで合意した。
「社会医療診療行為別調査の検証等に関するワーキンググループ(WG)」の座長を務めた白石小百合委員(横浜市立大教授)がWGの検討結果を報告した。白石委員は「内科診療所の抽出状況を確認したところ、例年と比較して人工腎臓(透析)のレセプトが多く抽出されており、それが全体に大きな影響を与える結果となった」と述べた。その上で、全体のレセプト件数に占める透析件数の割合が過去の調査の平均と同じになるよう、透析を算定している医療機関の全レセプト(透析のないレセプトも含める)を一定数、除外して集計した結果、メディアスとの差は著しく縮小したと説明した。
厚生労働省保険局医療課は、透析を実施している診療所が「内科診療所」の中に混ざらないよう除外する方法について、厚労省統計情報部と検討していくとしている。
■開業後にストレス増加が半数以上、日医調査
日本医師会は9月30日の定例会見で「開業動機と開業医(開設者)の実情に関するアンケート調査」結果を発表した。過去5年以内に開業医となった医師の約6割が、開業の理由を「自らの理想の医療を追求するため」とした一方、開業後にストレスが強くなったと答えた医師も半数を上回った。
同日会見した中川俊男常任理事は、病院勤務医と開業医は共に過酷な勤務状況にあるとし、両者に対する評価の重要性を強調した。
調査は、日本医師会員のうち、医療法人または個人立の診療所や病院の開設者を対象に、7月28日から8月28日に実施した。3974施設に調査票を郵送し、有効回答は1984件(有効回答率49.9%)だった。
過去5年以内に開業医となった医師の59.0%が、開業の理由(複数回答)に「理想の医療の追求」を挙げており、最も多い割合を占めた。一方、勤務医時代の経験も理由に挙がり、全体の31.7%が「過重労働に疲弊」、30.6%が「精神的ストレスに疲弊」を挙げた。
「勤務医時代のほうが負担だった業務」(複数回答)を聞いたところ、全体の44.5%が「当直」を挙げ、最も多かった。続いて「時間的拘束」37.7%、「診療に関する会議など」17.2%、「自身の医療水準維持」16.5%などの順だった。
「開業してからのほうが負担になっている業務」(同)については全体の52.2%が「レセプトの作成、チェック」を挙げており、最も多い割合を占めた。「自身の医療水準の維持」を挙げたのは49.5%で、開業医の負担業務としては2番目に多かった。そのほか「レセプト以外の書類作成」38.3%、「時間的拘束」28.5%などが挙がった。
勤務医や研究者時代と比べて、開業後のストレスの程度を聞いたところ、「かなり強くなった」が27.7%、「やや強くなった」が26.7%、「同じくらい」が17.8%だった。「弱くなった」としたのは、全体の22.2%だった。
■事故報告の規定「なし」はゼロ、医学部長病院長会議が調査
全国医学部長病院長会議の「大学病院の医療事故対策に関する委員会」(委員長=嘉山孝正・山形大医学部長)は9月30日、全国の国公私立大学医学部付属病院を対象に実施した「医療事故調査体制に関するアンケート」の結果を発表した。医療事故が起きたと考えられる場合の対応として、8割を超える病院が管理者などに連絡することを義務付けていることなどが分かった。同日会見した嘉山委員長は「各大学病院内で医療事故に関する一定のガバナンスができている」との見方を示した。
調査は、全国の国公私立大学医学部付属病院を対象に、4月22日から5月18日まで実施した。80病院に調査票を送り、すべての病院から回答を得た。
医療事故が起きたと考えられる場合の病院内の事故報告に関する規定について、全体の85.0%が「管理者(病院長)およびリスクマネジャーに連絡する義務がある」と回答した。大学の種類別に見ると、国立大学病院が79.1%、公立大学病院が87.5%、私立大学病院が93.1%だった。「事例によって異なる」と回答した病院は全体の5.0%、「規定がない」はゼロ、「その他」10.0%だった。
医療事故が起きたと考えられる場合、管理者などへ報告する期限については、すべての病院が「決まっている」と回答した。管理者に事例が報告された場合、事故調査委員会を立ち上げる基準についても、すべての病院が「ある」とした。医療事故調査の際に医療事故に直接関与した者から聞き取り調査を行っているかどうか聞いたところ、すべての病院が行っており、文章化した調査結果を本人に公表しているとした。
◎新型インフル編
■「新型」ワクチン、19日にも医療従事者に、厚労省がスケジュール
新型インフルエンザワクチンについて、厚生労働省は10月2日、国内産ワクチンの出荷を今月9日から開始し、早ければ19日から医療従事者への接種を始めるスケジュールを公表した。11月上旬からは、医療従事者に次いで優先順位の高い妊婦・基礎疾患患者らへの接種も開始。妊婦向けには、胎児への影響が不明な有機水銀系の保存剤が入っていないワクチンも製造し、11月上旬から出荷する。
厚労省が同日公表した国内産ワクチンの供給計画によると、毎月上旬と下旬の2回出荷。来年2月下旬までに2700万人分が出荷される。主に医療従事者向けとなる今月9日と同20日の出荷分計126万人分については、医療従事者数の比率などから都道府県ごとの配分を決めており、早ければ10月19日から接種が開始される。
厚労省のスケジュールでは、医療従事者への接種開始後、そのほかの優先接種対象者への接種を11月から順次始める。11月前半には妊婦と基礎疾患患者の接種が始まり、12月後半には1~6歳の乳幼児と小学校低学年が、1月前半には1歳未満の乳児の保護者らへの接種を開始。当初の見込みよりも製造量が増えたことから、小学校高学年と中学生にも国内産ワクチンを充てることとし、1月後半から2月前半にかけて接種を始める。高校生と65歳以上の高齢者には海外産ワクチンを接種する方針だが、10~11月の接種状況によっては、国内産ワクチンを接種することも可能としている。
詳細なスケジュールは、優先接種対象者数などを基に都道府県が決めることとしている。厚労省のスケジュールは、対象者全員が接種を受けることを見込んだもので「現実的な接種率を想定すると、前倒しとなる可能性がある」としている。
妊婦向けには、胎児への影響が不明なチメロサールなどの保存剤が入っていないワクチンを、北里研究所が計274万本(2回接種で137万人分)製造。1回分(0.5mL)をあらかじめ使い捨ての注射器に封入して出荷する。厚労省は都道府県に対し、産科・産婦人科に納入を限定するよう配慮を求めている。
●医療従事者、内科・小児科などが基本
厚労省は2日、ワクチン接種の最優先対象に位置付けられている「新型インフルエンザ患者の診療に直接従事する医療従事者」について、内科や小児科、救急科などの診療科を基本とする方針を示した。ただ、ほかの診療科でも、新型インフルエンザ患者の診療を行う事情がある場合は対象とすることもできる。職種については、医師や看護師、准看護師ら診療に直接従事する職種を対象とする。
■「新型」ワクチン、7700万人分確保へ、政府、基本方針を決定
政府は10月1日、首相官邸で新型インフルエンザ対策本部の会合を開き、輸入を含め年度内に約7700万人分のワクチンを確保し、医療従事者や重症化のリスクが高い人に優先的に接種することなどを盛り込んだワクチン接種の基本方針を決めた。国内産ワクチンの接種は10月中旬から開始し、低所得者には費用負担を軽減。副反応による被害が出た場合に海外メーカーが受ける損失を国が補償したり、接種を受けた人を救済したりするための法案を、今月の臨時国会に提出する。
政府方針によると、今年度中に確保できるワクチンは、国内産の約2700万人分と海外メーカーから輸入する約5000万人分。ワクチンはすべて国が買い上げることとしており、総額1385億円の費用を見込んでいる。国内産の接種は、早ければ19日から始まる。
ワクチン接種は(1)インフルエンザ患者の診療に直接従事する医療従事者(2)妊婦・基礎疾患患者(3)1歳~小学校低学年の子ども(4)1歳未満の乳児の保護者・優先接種対象者だが身体上の理由から接種が受けられない人の保護者―の順で行う。当初の見込みから国内産の製造量が増えたことなどから、小学校低学年の子どもを対象に追加。こうした人々に次いで、小学校高学年と中高生、65歳以上の高齢者にも優先的に接種する。
接種は、国と委託契約を結んだ医療機関で予約制により実施する。接種機会を均等に確保するために費用は全国一律とし、1回目を3600円、2回目を2550円と設定。住民税の非課税世帯など低所得者には、国と地方自治体が分担して費用負担の軽減を図る。
ワクチンの輸入については、厚生労働省が海外メーカー2社と詰めの交渉を行っている。2社は契約の条件として副反応が出た場合の免責を求めており、輸入ワクチンの副反応被害で訴訟が起きた場合、訴訟費用や賠償金などメーカーが受ける損失を、特別立法により国が補償する。さらに、国内産と輸入を問わずワクチン接種の副反応により生じた健康被害を救済するための立法措置にも言及。長妻昭厚生労働相は閣議後の会見で、月末に召集される臨時国会に法案を提出する方針を示した。
■流行入り踏まえ対処方針見直し、新型インフルで政府
新型インフルエンザの国内対策をめぐり、政府は10月1日の対策本部で、新たな対処方針を決めた。
対処方針の見直しは、国内での流行が本格化したことを踏まえたもの。対処方針では流行状況について「すでに本格的な流行期に入っており、引き続き感染が拡大している」と指摘。「今後、国内で感染者数が大幅に増大するにつれて、さらに重症例、死亡例が発生する事態に備え、必要な対策を実施していく」とし、▽国民生活や経済への影響を最小限に抑えつつ、感染拡大を防ぐ▽重症者や重篤化しやすい基礎疾患患者らを守る―の2点を今後の対策の目標に掲げた。
こうした観点から、新たな対処方針では、発症した場合の医療機関への受診方法などを国民に周知するとしたほか、外来診療体制の整備や重症者の増加に対応できる病床を確保するよう関係機関に医療体制の整備を要請し、支援を行うとした。
■生活保護世帯など無料に、新型インフルの接種費用
厚生労働省は10月2日、新型インフルエンザワクチンについて、生活保護世帯や住民税の非課税世帯の接種費用を原則として無料とする方針を明らかにした。市町村が費用負担の軽減措置を行う。総額900億円の費用を見込んでおり、国が2分の1を、都道府県と市町村が4分の1ずつ負担する。
接種機会を均等に確保するため、厚労省は接種費用を全国一律とし、1回目を3600円、2回目を2550円と設定。政府が1日に決めたワクチン接種の基本方針では、低所得者に対して接種費用を国と地方自治体が分担して軽減するとしている。
費用負担の軽減策は、予防接種法の定期接種に準じて、市町村が策定する。厚労省は原則として、生活保護世帯や住民税の非課税世帯については無料とすることにしているが、市町村ごとに対象者や軽減額を定めることができるとしている。
厚労省が必要経費として見込んでいる総額900億円は、国が450億円を負担し、残る450億円を都道府県と市町村で折半。地方自治体の負担分は、特別地方交付税による地方財政措置が講じられる予定だ。
■インフル脳症、発症初期の見逃し防げ、厚労省研究班がGL改訂
厚生労働省の研究班(研究代表者=森島恒雄・岡山大大学院小児医科学教授)が、インフルエンザ脳症の診断・治療に関するガイドライン(GL)を改訂した。初版が公表されたのは2005年11月で、改訂は約4年ぶり。病態の解明が進んだことから、新たな知見を盛り込んだほか、異常行動の例や症状を細かく分類し、発症初期の見逃しを防ぐ工夫を凝らした。厚労省のホームページで公表している。
GLでは▽意識障害がある▽15分以上持続したり、繰り返し起こったりする「複雑型痙攣」がある▽連続または断続的に1時間以上続いたり、意識状態が明らかに悪かったりする異常言動・行動がある―の場合には、2次または3次医療機関に紹介するべきとした。意識レベルの判断基準を示すとともに「意識が清明か確信が持てない場合は、2次または3次医療機関に紹介することを考慮する」と記載して注意を促しているほか、「ついていないテレビを見て『猫が来る』と言う」「自分の指を『ハムだ』と言い、かじる」など、異常言動・行動の例も多数挙げた。
治療法では、全身状態を保つ「支持療法」の重要性を指摘。「支持療法をインフルエンザと診断されない段階から積極的に行うことで、2次性脳損傷を防ぐことは重要」とし、呼吸や血圧、体温を保つことを勧めている。さらに抗インフルエンザウイルス薬やステロイドによる治療、「脳低体温療法」「血漿交換療法」などの治療法について、エビデンスの有無とともに示した。
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