週刊医療情報インデックス
2009年8月第5週 (2009.08.25~2009.08.31)
- 【ウイークリーダイジェスト】
- 【週刊マスコミ論調】
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- ■その他事件など
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- ■京都周辺の動き(医療関係、ほか)
- ■新型インフルエンザ関連
- ■主な連載(医療全般)
- ■環境問題
【ウイークリーダイジェスト】
■民主政権誕生へ、300議席超、9月中旬にも「鳩山内閣」
政権選択を最大の焦点とする第45回衆院選で、民主党は小選挙区、比例代表ともに自民党などを圧倒、過半数(241議席)をはるかに上回る300議席を超え、民主党中心の政権誕生が確実となった。
これに対し、自民党は公示前の300議席から3分の1程度に激減。1955年の結党以来、最低議席の歴史的大敗となり、麻生太郎首相は党総裁の辞任を表明した。民主党の鳩山由紀夫代表は9月中旬にも召集見通しの特別国会で首相指名を受け、社民、国民新両党との連立内閣を発足させたい考えだ。
◎次期改定編
■改定の基本方針、踏襲か根本見直しか、医療部会で論点議論
厚生労働省は8月26日の社会保障審議会・医療部会(部会長=齋藤英彦・名古屋セントラル病院長)に、2010年度診療報酬改定の基本方針策定に向けた議論のたたき台となる論点を示した。過去2回の改定の基本方針と「同様の構成とすることが考えられる」とした上で、閣議決定などで社会保障の機能強化の必要性が指摘されていることを踏まえて、次期改定の基本方針に盛り込むべき「視点」や「方向」について意見を求めた。委員からは「マイナス3.16%の改定が行われた2006年度改定の基本方針の視点を、この期に及んで残す感覚は信じられない」(中川俊男委員・日本医師会常任理事)など、否定的な意見が相次いだ。
厚労省保険局医療課の佐藤敏信課長は、06年度改定時の基本方針では「質の高い医療を効率的に提供するために医療機能の分化・連携を推進する視点」など4つの視点に基づいた評価の「方向」を定めたと説明。08年度の前回改定時はこれらに加えて、産科や小児科をはじめとする病院勤務医の負担軽減を「緊急課題」に位置付けたほか、後期高齢者医療の診療報酬体系の骨子を踏まえた改定を行うことを盛り込んだことを紹介した。その上で、次期改定の基本方針も「同様の構成とすることが考えられる」とした。
■診療報酬改定「チーム医療の評価を」、医療部会、意見相次ぐ
2010年度診療報酬改定の基本方針の「たたき台」について意見交換した8月26日の社会保障審議会・医療部会では、勤務医の負担軽減に向けて、医師と看護師との役割分担など「チーム医療の評価」を基本方針に盛り込むべきとの意見が相次いだ。
邉見公雄委員(全国自治体病院協議会長)は、現在の診療報酬では技術料が安すぎるとした上で「どういう医療体制やチームで医療を行うかに診療報酬を付けていかなければならない。物より技(技術)、技術よりシステムというのが、今後の診療報酬の考え方ではないか」と述べた。
山本信夫委員(日本薬剤師会副会長)は「勤務医の負担軽減も含めて、チーム医療にどう取り組むか。薬剤師がそこにどう絡んでいくのかが大きな問題」と述べ、チーム医療体制を診療報酬上の評価に組み込む必要性を示した。
齋藤訓子委員(日本看護協会常任理事)は「看護職から見ても、勤務医の働き方は本当に気の毒だと思っている。看護の立場からすれば、勤務医対策についてできることは真剣に、前向きに取り組みたい」と話した。厚労省が28日に「チーム医療の推進に関する検討会」を設置し、医師と看護師などの役割分担について検討することに触れ「看護師をもっと活用することで、勤務医の負担はかなり軽減されるのではないか」と指摘した。
日野頌三委員(日本医療法人協会長)は、09年度補正予算に盛り込まれた「介護職員処遇改善交付金」について「病院では介護職員の給与のみを上げ、他職種を上げないという理屈は成り立たない。経営がしにくくなるような補助金の考え方を導入するのはいかがなものか」と話し、今後こうした仕組みは導入しないよう求めた。
一方、竹嶋康弘委員(日本医師会副会長)は、医療提供体制の中で有床診療所の位置付けを明確にし、医療資源として有効に活用すべきと指摘。診療報酬上の評価に当たっては「配置基準など、病院と有床診療所は別の概念としてとらえなければならない。診療報酬体系についても別個に考えるべきだろう」と話した。
■改定基本方針の踏襲、保険者は「支持」、社保審・医療保険部会
厚生労働省の社会保障審議会・医療保険部会(部会長=糠谷真平・国民生活センター顧問)は8月27日、次期診療報酬改定の基本方針策定に向けて厚労省が示した「たたき台」を基に議論した。「たたき台」は26日の社保審・医療部会で示された内容と同様だが、保険者の委員らからは過去の改定を踏襲する考え方を支持する意見が大勢を占めた。
逢見直人委員(連合副事務局長)は「過去の基本方針に盛られた『4つの視点』の検証が必要。医療費抑制に対する考え方は政府も変えてきているので、その点を盛り込む必要はあるが、効率化の視点をなくしてよいということではない」と指摘。対馬忠明委員(健保連専務理事)も同意し、「いかなる時もめりはりを付けることは必要」と主張した。
一方、藤原淳委員(日本医師会常任理事)は「医療の一部に手当てをしてもよくならない。流れを良くするためには後方病床、中小病院や有床・無床診療所を評価すべきだ」と訴えた。
対馬委員は病院と診療所の再診料の格差についても取り上げ、「基本方針の視点に盛り込まれた『患者からみて分かりやすい』という観点からいえば、同じサービスは同じ点数が基本だと思う」と指摘。部会で格差是正について議論する必要性を訴えた。これに対し藤原委員は「病院には薄く広く充てられている報酬が、診療所にはないために再診料が少し高くなっている。これは医師会が強いからではなく、それなりの理由がある」と反論した。
また多田宏委員(国保中央会理事長)は、プライマリーケアの重要性を訴え「プライマリーケアで対応できる患者が相当いるに違いない。それが大病院の外来へ救急車を使って殺到する状況だ」と主張した。これに対し藤原委員は、「メディアス」の外来延べ日数などが病院と比べて診療所の方が大きいなどと反論し「観念的に評価するのではなく、データに基づいて議論するのが基本だ」と訴えた。
■業界側が個別製品の評価要望、中医協・材料部会
中医協・保険医療材料専門部会は8月26日、来年度の保険医療材料制度改革に向け、業界団体からヒアリングを行った。日本医療機器産業連合会(医機連)は、特定保険医療材料の保険収載に当たり、個別製品の機能向上などが評価される弾力的な償還価格の設定を要望した。
ペースメーカーなどの特定保険医療材料は、製品ごとでなく機能区分ごとに償還価格が決まっている。医機連は、個別製品の革新性を十分に評価できるようにするため、同じ機能区分内の製品に比べて操作性や安全性が優れている場合には償還価格をプラスできる仕組みを求めた。
厚生労働省は同日の部会で、イタリア、オーストラリア、カナダ、スウェーデンの4カ国で実施した医療材料価格に関する調査結果を報告。ペースメーカーは日本の価格に比べて「2分の1」から「3分の1」程度のケースが目立ったが、国ごとの保険制度の違いや調査客体の少なさを指摘する意見が上がり、議論は深まらなかった。
■患者区分「妥当性は維持」、中医協・慢性期分科会で報告書案
厚生労働省は8月27日の中医協・慢性期入院医療の包括評価調査分科会(分科会長=池上直己・慶応大教授)で、2010年度診療報酬改定に向けて実施した調査結果の報告書案を示した。焦点となる医療区分などの妥当性については「維持されていると言える」とした。また分科会の議論の範囲見直しで「中・長期的課題」に位置付けられた一般病床での慢性期患者についても言及し、医療療養病床の入院患者が一般病床でも入院医療を受けている実態を取り上げた。
◎予算関連編
■オンライン代行請求で医師会を支援、厚労省、10年度概算要求
レセコンを持っている医科診療所が2010年度からオンライン請求義務化の対象となるのに伴い、厚生労働省は来年度予算の概算要求に、代行請求を行う地域医師会などへの支援策を盛り込む方針を固めた。自施設でのオンライン請求が困難な診療所の代行請求を促進するのが狙い。オンライン請求推進に関する要求額は、自施設でのレセコン導入などを支援する費用と合わせて、250億円程度になる見通しだ。代行請求に関する補助金は社会保険診療報酬支払基金を通じて、地域医師会などに支給することになる見通しだ。
■10年度概算要求額は26兆4133億円、厚労省、09年度予算比5.0%増
厚生労働省は8月27日、2010年度予算の概算要求の要望事項を発表した。一般会計の要求額は、経済緊急対応予備費から捻出する「経済危機対応等特別措置」(特別枠)の厚労省分約2000億円を含めて26兆4133億円で、09年度当初予算に比べ約5.0%増となった。要求額の大部分を占める年金・医療などの経費(社会保障費)は、09年度当初予算と比べて1兆776億円増の24兆8624億円とした。
社会保障費の自然増は1兆800億円で、内訳は医療3600億円、年金3200億円、介護1300億円、福祉等2700億円。概算要求基準で2200億円削減が見送られたことや、経済情勢悪化に伴う失業給付や生活保護の国庫負担が増えたことにより、前年度(6500億円)に比べて大幅増となった。
「骨太の方針09」で示された緊急性や政策効果が特に高い施策に重点配分する「特別枠」の約2000億円の内訳は、レセプトオンライン関連予算や難病対策など「09年度補正予算関連」が約800億円で、残り約1200億円は継続事業の予算増や新規事業分に充てる。厚労省は「医師確保対策や救急関連予算の増額分もここに含まれる」としている。
協会けんぽや国民健康保険、後期高齢者医療制度などの医療費国庫負担は8兆449億円(前年度比4.0%増)を計上。後期高齢者医療制度の国庫負担は、前年度より4.1%増の3兆7879億円を要求した。
■医政局は2450億5600万円、14.9%増、厚労省の概算要求
厚生労働省医政局の2010年度予算概算要求額は2450億5600万円で、09年度当初予算と比べて14.9%の増加となった。「救急医療・周産期医療体制等の確保」では355億円を計上。周産期医療対策で今年度当初予算より107億円増の149億円を計上し、周産期母子医療センターの機能強化を図る。医師確保対策では、勤務環境改善に向けた事業を継続するほか、診療科・地域偏在是正に向けて、医師不足地域での専門医研修の支援などを新たに盛った。
周産期医療関連では、ハイリスク妊婦に対応する「総合周産期母子医療センター」(全国75カ所)とそれを支える「地域周産期母子医療センター」(同237カ所)のNICU、MFICU(母体・胎児集中治療室)の機能や、救急搬送などへの財政支援を行う。長期入院児が在宅移行するための訓練を行う「地域療育支援施設(仮称)」をモデル的に設置する新規事業(2.3億円)も始めるとした。
救急医療体制の充実・強化では207億円を計上。救急医療機関に搬送された患者が急性期を脱した後、円滑に転院・転床するための施設間連携などを行う専任者の配置の支援(1.2億円)を新たに盛り込んだ。「超急性期」にある重篤な小児の救命救急医療を行う「小児救命救急センター(仮称)」(全国8カ所)の整備・運営事業に6.1億円を求めた。
医師確保対策関連は今年度比27億円増の498億円。医師不足診療科への支援として、救急を行う勤務医への手当や分娩取扱手当、救急医療などの診療科を選択する医師への研修医手当(最大月額5万円)の支給などは引き続き行う。新規事業では、来年度臨床研修見直しで研修希望者20人以上の臨床研修病院に義務付けた「産科・小児科の研修プログラム策定」を支援。都市部の病院が、医師不足地域の病院と連携して内科・外科などの専門医研修を行った場合の財政支援も新たに盛り込んだ。
■「新型」対策の設備補助、全医療機関に、健康局10年度概算要求
厚生労働省健康局は、2010年度予算の概算要求で、新型インフルエンザ対策に今年度当初比63億増となる207億円を計上した。これまで感染症指定医療機関に限定されていた設備整備費の補助対象をすべての医療機関に拡大する。一方、改正法の施行を控える臓器移植関連では、今年度当初の約1.8倍に当たる9.6億円を計上。移植コーディネーターの増員や心停止後の腎臓提供の推進などを盛り込んだ。
健康局の概算要求額は総額3333億6400万円で、今年度当初予算から324億300万円増加。流行の拡大が懸念される新型インフルエンザ対策の拡充を要求するほか、改正法の施行に向け臓器移植の体制整備に今年度以上の予算を投入する。
新型インフルエンザ対策では、医療提供体制の構築に54億円を計上した。6月の厚労省の運用指針改定に伴い、全医療機関で発熱患者を受け入れることとされたことから、これまで全国約600の感染症指定医療機関に限定されていた設備整備費の補助を、全医療機関に拡大。重症者が入院するための病床の整備や、院内感染防止のための間仕切りの設置費用などについて、国が半額を補助する。今秋の本格的な流行に間に合わせるため、今年度予算で既に約24億円を計上している「保健衛生施設等施設・設備整備費」を活用するほか、予算の前倒しも検討する。
■介護職員の現場復帰を支援、老健関係の概算要求
厚生労働省は2010年度老健関係予算の概算要求として2兆2203億円を計上した。老健局では前年度当初予算より742億円増の1兆7852億円。地域の介護基盤の整備事業に322億円を充て、施設内保育施設の整備や、低所得高齢者の居住対策などを都市部で行う。
◎その他編
■医師確保「喫緊の課題」、09年版厚生労働白書
政府は8月25日の閣議で、2009年版厚生労働白書を了承した。産科や小児科、へき地などでの医師不足の深刻さを取り上げ、「地域で必要な医師の確保が喫緊の課題」と位置付けた。具体的対策として09年度の医学部定員を過去最大の8486人に増員し、10年度も増員する方針を挙げたほか、病院勤務医の過重労働解消に向けた取り組みや、医療リスクに対する支援体制などを拡充する方向を示した。医師の負担軽減に向けて、09年度には関係職種との役割分担をさらに見直し、年度中にまとめる予定とした。
救急医療に関しては、救急患者が増大する一方で救急医療を行う医療機関が減少しているとした上で「地域の中核的な救急医療機関に負担が集中し、救急患者の受け入れに限界が生じていると指摘されている」と問題点を提示。今年度予算で夜間・休日の救急医療を担う医師への財政支援や、ドクターヘリの整備、患者の状態に応じて救急医療を行う「管制塔機能」を持つ医療機関の整備などを盛り込んだことを紹介した。
7月には「重篤な小児患者に対する救急医療体制の検討会」で救命救急医療を担う医療機関の整備や、小児集中治療室の整備などを提言する報告書を取りまとめたことや、救急医療と周産期医療に対する財政支援や周産期医療対策事業の見直し、地域の実情に応じた新生児集中治療管理室の整備などに対する提言をまとめたことも取り上げた。
介護に関する施策では、今年度介護報酬改定で改定率をプラス3.0%とし、介護人材の処遇改善に取り組む方針を示した。さらに今年度補正予算には、介護職員の処遇改善を図る事業者への助成などを盛り込んだとした。
■ナースプラクティショナーの議論開始へ、厚労省検討会が初会合
医師と看護師などの協働・連携の在り方を検討するため、厚生労働省は8月28日、「チーム医療の推進に関する検討会」(座長=永井良三・東京大大学院医学研究科教授)の初会合を開いた。医師と看護師などの役割分担や看護師の専門性の向上を検討する。政府の規制改革会議でも提言した「ナースプラクティショナー」の導入も議論する方針だ。
検討会は月2回程度の頻度で開催する予定。「骨太の方針2009」で医師と看護師などの役割分担の見直しについて「09年度中に具体策を取りまとめる」と明記されたことを受け、年度内には一定の結論を出すとしている。
厚労省医政局医事課の杉野剛課長は「(経済財政諮問会議で)首相から看護師の役割拡大を検討するよう指示が出ている。医療職種の役割分担について、どういう条件の下に具体的に拡大できるかも議論してほしい」と述べた。役割分担の対象は医師や看護師、薬剤師など医療関連職種を念頭に置いているが、杉野課長は検討会終了後、記者団に対し「場合によっては介護職も含めて検討することになる」と話した。【チーム医療の推進に関する検討会メンバー】(敬称略)
▽秋山正子(ケアーズ白十字訪問看護ステーション代表取締役・所長)▽有賀徹(昭和大医学部救急医学講座教授)▽井上智子(東京医科歯科大大学院教授)▽海辺陽子(癌と共に生きる会副会長)▽大熊由紀子(国際医療福祉大大学院教授)▽太田秀樹(医療法人アスムス理事長)▽加藤尚美(日本助産師会会長)▽川嶋みどり(日本赤十字看護大教授)▽坂本すが(日本看護協会副会長)▽朔元則(国立病院機構九州医療センター名誉院長)▽島崎謙治(政策研究大学院教授)▽瀬尾憲正(自治医科大麻酔科学・集中治療医学講座教授)▽竹股喜代子(亀田総合病院看護部長)▽永井良三(東京大大学院医学研究科教授)▽西澤寛俊(全日本病院協会会長)▽羽生田俊(日本医師会常任理事)▽宮村一弘(日本歯科医師会副会長)▽山本信夫(日本薬剤師会副会長)▽山本隆司(東京大大学院法学政治学研究科教授)
■救急受け入れGL「地域特性に配慮を」、厚労省・消防庁の作業部会
厚生労働省と総務省消防庁の「傷病者の搬送及び受入れの実施基準等に関する検討会作業部会」(座長=有賀徹・昭和大医学部教授)は8月25日、改正消防法で都道府県ごとに策定が義務付けられる「傷病者の搬送と受入れの実施基準」を策定するためのガイドライン(GL)について議論した。厚労省と消防庁は重篤度や病態・症状により対応する医療機関を分類する一方、医療機関が限られた地域では医療機関を細かく分類せずにリスト化する考えを示した。構成員からも「地方の特性に配慮したGLを」との意見が相次いだ。
厚労省と消防庁は、脳卒中や急性心筋梗塞・胸痛、外傷・熱傷・中毒などの病態について、医療機関のリスト化案を提示した。脳卒中の場合、脳梗塞であれば「t‐PAの適応の有無」、脳出血では「手術の適応の有無」で医療機関をリスト化。胸痛の場合は虚血性心疾患や大動脈解離、緊張性気胸などの病態と、心臓カテーテル術の可否など可能な治療法などで分類するとした。
一方、地方など医療機関が限られた地域では、こうした細かなリスト化は行わず、「脳卒中対応医療機関」「胸痛対応医療機関」などと大まかに分類してリスト化する方向性を示した。
■「プライマリ・ケア連合学会」来年4月に設立、合併を正式決定
日本プライマリ・ケア学会と日本家庭医療学会、日本総合診療医学会の3学会は8月23日、来年4月をめどに3学会を合併して新たな学会を設立させることを正式に決めた。合併後の名称は「日本プライマリ・ケア連合学会」(仮称)とし、来年度中に新たな認定制度を創設する方針だ。
■中医協での発言で日医に抗議文、日病協
日本病院団体協議会は、中医協・診療報酬基本問題小委員会での藤原淳委員(日本医師会常任理事)の発言に対して、加盟団体からの反発が強いことを受け、日医に抗議文を提出した。抗議文は8月19日、日病協の小山信彌議長(日本私立医科大学協会病院部会担当理事、東邦大教授)と山本修三・日病協前議長が東京・本駒込の日医会館を訪れ、唐澤祥人会長に手渡した。日病協加盟11団体連名で日医に抗議文を提出するのは初めて。
5日の診療報酬基本問題小委で藤原委員は「本当に勤務医は逃げ出すほど忙しいのか疑問を感じている」と発言。席上、西澤寛俊委員(全日本病院協会長)が「勤務医が果たして大変なのかという発言があったが、この認識は改めてほしい」などと強く反発していた。
■集団的個別指導の誤選定で激しい応酬、大阪府医の代議員会
大阪府医師会(酒井國男会長)は8月23日、臨時代議員会を開いた。近畿厚生局の集団的個別指導対象機関の誤選定問題や、HIV検査診療所の運営受託問題などに関して、伯井俊明・元日本医師会常任理事らのグループと執行部の間で激しい応酬が展開された。
集団的個別指導問題は、近畿厚生局が7月末までに選定・通知した医療機関数643施設のうち、半数を超える351施設が誤って選定されていたもので、府医は7日に同厚生局に厳重抗議した。集団的個別指導は今年度、実施当局が社会保険事務局から同厚生局に移管し、それに伴っていわゆる「大阪ルール」が全国ルールに変更されたことが背景にある。
酒井会長は代議員会の冒頭で経緯を報告。問題が起きているにもかかわらず、同厚生局が18日に今年度第1回目の集団的個別指導を実施したことを受けて、20日付でも抗議した結果、同厚生局から再度「お詫び」とミスを認める文書を受け取ったことを説明した。その上で酒井会長は、集団的個別指導は無意味な制度であるとして、医師会主導の教育的指導に改善するよう今後も働き掛けていく方針を強調した。また、同厚生局が「厚生労働省の圧力があり、地方単独では解決できない」と漏らしているとして、「中央で日医が働き掛けないと解決できない」とも説明した。
これに対し、伯井氏や松原謙二・元日医常任理事らは「府医の会員機関が誤選定により直接、影響を受けた問題であり、厚生局とのやり取りを詳細に報告すべき。集団的個別指導ボイコットの指示など、一段強い抗議活動を展開すべき」と激しく反発した。酒井会長は「指導大綱に沿って全国一律に実施するという姿勢を変えるには、厚労省に働き掛けるしかない。日医にはすでに対応するよう申し入れており、日医を通じて対処する」と説明した。また、この問題については全国の医師会で共通認識が薄く、解決を難しくしているとして理解を求めた。
■診療報酬、10%以上の引き上げを、保団連が決議
保団連は8月24日、神戸市内で22~23日に開いた「第27回病院・有床診療所セミナー」で採択した決議を、舛添要一厚生労働相あてに送付した。診療報酬の10%以上の引き上げや、介護療養病床廃止の撤回などを求めている。
1980年代からの社会保障費抑制政策と4回連続の診療報酬マイナス改定などが、医師や看護師不足による医療提供体制の崩壊に拍車を掛けていると主張。体制の改善には診療報酬の引き上げが必要とし、2010年度の改定では、医科と歯科、病院と診療所の外来・入院を問わず、総枠10%以上の引き上げを実施することを求めている。
「介護難民」や「療養難民」の増加を食い止めるため、介護療養病床廃止の撤回と介護報酬の引き上げ、医療療養病床の拡充なども求めている。
決議ではそのほか▽外来管理加算の5分ルール廃止▽医科と歯科、病院と診療所、ともに初診料を300点、再診料を100点に引き上げる▽すべての病院と有床診療所の入院基本料を、人件費を含めた必要な経費が保証できるよう引き上げる▽療養病床の医療区分や一定範囲を包括した報酬を廃止し、人件費や医療提供の費用を正当に評価する-などを要求している。
■慢性疾患対策の充実を提言、厚労省・検討会、報告書を公表
厚生労働省は8月26日、慢性疾患対策の整理・再編に向けた方向性を検討した「慢性疾患対策の更なる充実に向けた検討会」(座長=久道茂・宮城県対がん協会長)の報告書に当たる「検討概要」を公表した。
検討概要では、慢性疾患対策の現状について、疾病によって対策に濃淡があるとの認識を示し、受診頻度の高い慢性疼痛の原因となる筋骨格系・結合組織の疾患や、慢性閉塞性肺疾患(COPD)などは、対策の充実を検討するべきと指摘。糖尿病など、既存の対策の対象となっている疾患についても、重症化や合併症によりQOLの低下や死亡につながることが多いため、健診受診率の向上や関係医療機関の連携などを推進する必要性を盛り込んだ。厚労省は今秋以降、施策の具体化に向けて疾病ごとに具体的な検討を行う方針だ。
■自衛隊病院、一般開放へ、防衛省
防衛省は8月28日、自衛隊病院のあり方を検討する委員会を開き、現在の16病院を10病院に整理・統合し、自衛官だけでなく一般患者も原則受け入れることなどを柱とする報告書をまとめた。
自衛隊病院は現在、札幌(札幌市)、中央(東京都)、福岡(福岡県春日市)など計5カ所で一般患者の診療を行っている。報告書を受け、今後仙台(仙台市)、阪神(兵庫県川西市)など残る5病院も順次、開放する。
■医療崩壊「在院日数の短縮が一因」、慶応大の金子教授
慶応大経済学部の金子勝教授は8月22日、「地域医療研究会全国大会2009 in 長野」で講演し、地域医療が崩壊の危機に直面したのは、インセンティブを設けて在院日数を短縮させて病院再編を促した政策が一因との認識を示した。地域医療計画に、効率性だけでなく健康の指標も盛り込むなど、地域住民の視点で見直すべきとの考えを示した。これに医師不足・偏在の解消、医療保険制度の一元化を合わせた3点を、医療再生に向けたポイントと位置付けた。
金子教授は、死亡率の低さが世界トップレベルになり、民間病院が増えた1980年台半ばが日本の医療政策の転換点と位置付け、「経営的なインセンティブで医療政策を実現する方向に変化した」と指摘した。それに伴い、望ましい医療の水準は何かではなく、「現にある保険財政をどうするか」という観点から、病床稼働率などの効率指標を設定し誘導する手法が主流になったと解説した。
さらにDPC導入や療養病床再編など、在院期間の短縮で医療機能の分化を促す政策が医療従事者を疲弊させ、患者のたらい回しなどの副作用をもたらしたとの見方を提示。社会保障費を抑制した小泉構造改革が決定的な打撃を与えたとの持論を展開した。
その上で「地域という単位で、どういうニーズを満たせば住民の健康を守れるのかという、経済学者の主流とは違う議論をすべき」と述べた。
◎調査・データ編
■資格過誤レセプト4年連続減少、協会けんぽ関連が大幅減
資格関係誤りレセプトの発生件数は2005年度以降、4年連続で減少していることが社会保険診療報酬支払基金の調査で分かった。8月24日の定例会見で明らかにした。
支払基金によると、資格関係誤りレセプトの発生件数は04年度に611万件に達し、取り扱い総件数に占める割合は0.76%となっていたが、その後、減少に転じ、08年度は前年度比19.2%減の387万件、取り扱い総件数に占める割合は0.47%だった。
制度別では協会けんぽが173万件で全体の44.7%を占める。ただ、協会けんぽの誤り件数自体は前年度比24.8%減と大幅に減少している。理由について支払基金は、05年度以降の返戻対象の変更のほか、旧政管健保からの移行に伴うシステム変更などを挙げている。健保組合は135万件で全体の34.9%、前年度比は5.6%減少となっている。
資格誤りの主な理由は「資格喪失後の受診」42.7%、「記号・番号の誤り」27.4%、「本人・家族の誤り」10.3%、「旧証によるもの」3.4%など。
■オンライン未移行は648病院に、8月分、支払基金調べ
社会保険診療報酬支払基金は8月24日の定例会見で、2009年度からレセプトオンライン請求義務化の対象となった病院のうち、猶予対象となっている病院の8月請求分の準備状況を公表した。17日時点でオンライン請求に移行できていないのは648病院で、前月請求分より73病院減少した。
前回請求分以降、オンライン請求に移行したのは111病院、レセプトコンピューターが厚生労働省が開発・提供している「レセスタ」に対応できないために勧奨対象から除外されたのが120病院だった。オンライン請求に移行していない648病院のうち、回線敷設やレセプト電子請求の申し込み予定がなしと回答したのは68病院だった。
■08年の医療事故報告は1440件、「療養上の世話」が最多、評価機構
日本医療機能評価機構の医療事故防止事業部が8月25日に発表した「2008年の医療事故情報収集等事業の年報」によると、報告が義務化された医療機関から昨年1年間に受けた医療事故の件数は1440件で、前年より174件増えた。事故の内容は「療養上の世話」が最も多く、「治療・処置」「医療用具等」が続いた。医療事故の報告件数が増加したことについて、同機構は「医療機関が報告する文化をもっと定着させる必要がある。件数が増えるのは正常な姿」としている。
厚生労働省は2004年10月から特定機能病院などに医療事故の報告を義務付け、同機構が登録分析機関として事故等分析事業を行っている。08年は報告が義務付けられた医療機関272施設のうち204施設から報告があった。1440件の医療事故報告の内容を見ると、「療養上の世話」(584件)が全体の40.6%を占め、次いで「治療・処置」が360件、ドレーン・チューブ類など「医療用具等」が140件だった。事故を起こした当事者の職種は、看護師(47.4%)と医師(42.6%)が全体の9割を占めた。
事故の程度については、全体の40.7%が「障害残存の可能性がある」事例だった。死亡事例は115件で前年(142件)より27件減少し、調査開始以来最も少なかった。
一方、ヒヤリ・ハット事例を見ると、昨年1年間の有効報告数は22万3981件だった。当事者の職種(複数回答)は看護師(18万4543件)が最多で、不明(3万8097件)、医師(9934件)、薬剤師(6278件)が続いた。ヒヤリ・ハットが発生した場面は「処方・与薬」21.0%、「ドレーン・チューブ類の使用・管理」14.3%などだった。
◎新型インフル編
■「新型」ワクチン、「特例承認」適用し輸入へ、舛添厚労相が方針
舛添要一厚生労働相は8月25日、閣議後の会見で、新型インフルエンザワクチンについて、国内の製造で不足する分を海外から輸入する方針をあらためて示し、海外で承認された医薬品について、国内での治験を簡略化する薬事法の「特例承認」を適用する考えを明らかにした。舛添厚労相は26日に専門家や薬害被害者らから意見を聞き、正式に方針を決める見通しだ。
舛添厚労相は、必要量として5300万人分のワクチンを確保するとし、対象として▽基礎疾患患者1000万人▽乳幼児600万人▽小中高生1400万人▽妊婦100万人▽治療に当たる医療従事者100万人▽65歳以上の高齢者2700万人(うち600万人は基礎疾患患者と重複)―を挙げた。
舛添厚労相はこのうち、基礎疾患患者と妊婦、乳幼児の計1700万人を最優先と位置付けた。厚生労働省の試算では年内に最大1700万人分の生産が可能とされており、最優先の対象者は国内産で賄えるとの認識を示した。
■新型患者、感染症法上の届け出不要に、施行規則を改正
厚生労働省は8月25日、感染症法施行規則を一部改正した。現在、流行している豚由来の新型インフルエンザについて、患者(疑似症患者を含む)を診察した場合の届け出を不要とした。
厚労省は7月24日、集団発生の早期探知に特化した新たなサーベイランスを開始し、全数把握を廃止。同一集団でインフルエンザ様症状を訴える患者を、1週間以内に2人以上診察した場合などは集団発生を疑い、一部にPCR検査を実施して確定患者と疑似症患者を報告するとしていた。
施行規則の改正に伴い、今後は新型インフルエンザ患者を診察した場合でも、感染症法に基づく医師の届け出は不要となる。ただ、集団発生の監視は継続するため、集団発生が疑われる場合の保健所への連絡はこれまで通り行うこととしている。
■ピーク時の新規患者1日76万人、厚労省が「流行シナリオ」
厚生労働省は8月28日、流行が本格化した新型インフルエンザについて、全人口の20%に当たる約2500万人が発症し、10月上旬から中旬と考えられるピーク時には、新たに発症する患者が1日当たり76万人に上ると想定した「流行シナリオ」を公表した。流行期間中には約38万人が入院し、3万8000人が重症化すると想定。厚労省は「あくまで都道府県が対策を検討する際の目安とするためのもの。実際の数値は、地域での接触状況や気候により大きく異なる」としている。】
厚労省のシナリオは、過去の季節性インフルエンザや、新型インフルエンザの動向を基に、入院率や重症化率、感染の推移を数理モデルを使って推計した。発症率は季節性インフルエンザの2倍程度として、20%と想定。人口が密集する都市部ではさらに高くなる可能性があるほか、軽症で済んだり症状が出なかったりする人を含めると、感染率は50%に達すると考えられる。
国内の新型インフルエンザの発生状況から、入院率は1.5%(約38万人)、重症化率は0.15%(約3万8000人)と推定。基礎疾患患者や妊婦などのハイリスク者に感染が拡大した場合には、入院率は2.5%、重症化率は0.5%に上ると見ている。
■医療体制の強化、検討を要請、新型インフルで厚労省
本格的な流行が始まった新型インフルエンザについて、厚生労働省は8月28日、患者や重症者の増加に対応するため、医療体制の強化を検討するよう、都道府県や保健所設置市に事務連絡で要請した。厚労省は、国民の20%(約2500万人)が発症し、ピーク時には1日当たり全国で約76万人の新規患者が出るとする「流行シナリオ」を示し、入院診療を行う病床数や人工呼吸器の台数などを把握した上で体制強化を検討するよう求めている。
厚労省は、流行シナリオを参考に都道府県ごとに想定される患者数や重症者数を検討し、▽外来医療体制の状況▽入院診療を行う医療機関の病床数と稼働状況▽人工呼吸器の台数と稼働状況▽透析患者や小児、妊婦などの重症者の搬送と受け入れの体制―を確認して厚労省に報告するよう、都道府県などに求めた。
その上で、診療所との連携や輪番制の導入による夜間の診療時間の延長のほか、医療従事者の確保を検討するよう要請。重症者の入院医療への対応では、使われていない一般病床や結核病床の活用を求めた。特に重症化のリスクが高い透析患者や妊婦から重症者が発生した場合に備え、専門的治療を行える医療機関を把握して協力を要請することや、医療機関や消防機関との間で搬送と受け入れのルールを策定することなども求めた。
■新型インフル対策で要望書提出へ、四病協
四病院団体協議会は今週中にも「新型インフルエンザ等の対策に関する要望書」を取りまとめ、舛添要一厚生労働相に提出できるよう準備を進めている。西澤寛俊・全日本病院協会長は8月26日、四病協・総合部会終了後の記者会見で「新型インフルエンザの感染拡大は予想より早く進んでいる」と指摘し、「医療機関などでの現実的な対応について補償を求めたい」と述べた。
要望事項では、新型インフルエンザを感染症法上の「2類感染症の類似疾患」として扱うことに対して見直しを求める。すでに一般の外来で季節性インフルエンザと同様に取り扱うことになっているにもかかわらず、医療機関が2類感染症の類似疾患として取り扱うには負担が大きすぎると指摘し、負担軽減に向けて改善を要望する。
治療薬や防護キットなどの確保も求める。医療関係者向けに、予防投与のための薬剤も求める。患者が入院する際は個室を用意する必要があることも想定し、そのための費用負担の必要性も指摘する。
■ハイリスク者、A型陰性でも治療を、新型インフルで尾身氏が指摘
政府の新型インフルエンザ対策本部の専門家諮問委員会で委員長を務める自治医科大の尾身茂教授は8月22日、京都市で開かれたプライマリ・ケア関連学会連合学術会議のシンポジウムで、インフルエンザの簡易検査の精度は完全ではないとして、「基礎疾患患者などハイリスク者には、迅速診断キットでA型が陰性でも治療を開始すべき」と指摘した。
さらに尾身氏は、今後考えられる事態として、感染者の増加により▽クラスターサーベイランスの過剰負担▽外来のパンク▽重症例の増加による病床の不足▽耐性ウイルスの出現―などを指摘。医療従事者が取るべき対策として、病床の確保や外来でのトリアージを挙げたほか、「最悪の場合には日常診療に優先順位を付け、軽症の入院患者などは自宅に帰してベッドを空けることも考えないといけない」と述べた。
■パンデミック「こんなに甘くない」、感染研・田代氏、警戒呼び掛け
国立感染症研究所の田代眞人・インフルエンザウイルス研究センター長は8月22日、京都市で開かれたプライマリ・ケア関連学会連合学術会議のシンポジウムで、「パンデミックはこんな甘いものではない」とし、「流行が始まったばかりの今の段階で、大したことはないと判断するのは非常に危険」と述べた。
田代氏は、現在、流行している新型インフルエンザの遺伝子構造を示し、「まだ完全にヒト型の遺伝子構造にはなっていない。完全にヒト型になれば、さらに感染力が強くなることが予想される」と説明。現在の流行状況についても「まだまだ季節性のレベルにも達していない」とし、「(感染者の急増で)今以上のことが起こる」と警戒を呼び掛けた。
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