週刊医療情報インデックス
2009年8月第2週 (2009.08.04~2009.08.10)
- 【ウイークリーダイジェスト】
- 【週刊マスコミ論調】
- ■医療問題、医療政策
- ■社会情勢など
- ■医学、健康
- ■鳥インフルエンザ、感染症など
- ■高齢者医療・福祉・年金・介護・少子化
- ■医療事故、医事紛争、副作用
- ■その他事件など
- ■保団連・保険医協会関係
- ■京都周辺の動き(医療関係、ほか)
- ■新型インフルエンザ関連
- ■主な連載(医療全般)
- ■環境問題
【ウイークリーダイジェスト】
◎次期改定編
■薬価引き下げ分を本体に、次期診療報酬改定で佐藤医療課長
厚生労働省保険局医療課の佐藤敏信課長は8月2日、全国有床診療所連絡協議会総会で講演し、2008年度診療報酬改定と社会保障費2200億円削減方針との関連性について「長年にわたって薬価の切り下げ分などを技術料に振り分けるのは不文律となっていた。前回改定時は2200億円削減方針があったため、薬価切り下げ分などが削減の一部に充てられた」と解説した。2200億円削減が撤回された次期改定については「理論的には、薬価引き下げ分などを診療報酬の引き上げ分に充てることが可能となる」と述べた。
■5分ルール「速やかに撤廃を」、日医・藤原氏
日本医師会の藤原淳常任理事(中医協委員)は8月5日の中医協・診療報酬基本問題小委員会で、外来管理加算の「5分ルール」の見直しについて「厚生労働省は社会医療診療行為別調査を見ないと判断できないと説明してきたが、メディアスとの大きな乖離が見つかったことから現在、検証がなされている。そのうち結論が出るだろう。5分ルールの速やかな撤廃を求めたい」と述べ、依然として期中改定を求める姿勢を示した。
■DPC3種類の「逓減制」を了承、中医協・基本問題小委
中医協・診療報酬基本問題小委員会(委員長=遠藤久夫・学習院大教授)は8月5日、DPCの1日当たり点数の新しい設定方法を了承した。来年度以降、入院期間に応じた「逓減制」を現行の2種類から3種類に改変する。厚生労働省保険局医療課は、新たに3種類の逓減制を導入することによって、入院初期の1日当たりの医療資源の平均投入量が大きい場合や、入院から数日を経過した後に医療資源の投入量が包括点数を上回る場合など、現行の仕組みでは点数設定が実態と乖離していた問題を解消することができるとしている。
次期診療報酬改定から調整係数が段階的に廃止されるのに伴い、「入院期間Ⅰ」(診断群分類ごとの25パーセンタイル値に相当する在院日数)までの点数について平均点数より15%上乗せしている現行の逓減制に加え、①入院期間Ⅰまでの点数をさらに上乗せし、それ以降の点数を引き下げる②入院期間Ⅰまでの点数を引き下げ、それ以降の点数を引き上げる―の類型を新たに設ける。
がん化学療法など現行で入院初期の資源投入量が著しく高い場合に、入院期間Ⅰを診断群分類ごとの5パーセンタイル値に相当する在院日数に設定している逓減制は廃止する。
■薬価維持特例「導入は極めて困難」、中医協・薬価部会で日医
中医協・薬価専門部会(遠藤久夫部会長)は8月5日、製薬業界トップから日本製薬団体連合会の薬価制度改革案についてあらためて意見聴取した。日本製薬工業協会の長谷川閑史副会長と米国研究製薬工業協会の関口康在日執行委員長が出席し、「薬価維持特例」の導入を強く訴えたが、日本医師会の委員は「導入は極めて困難」と明言。導入に理解を示す委員も一部いたものの、意見集約はできなかった。同部会は次回以降、導入の必要性の議論を継続しつつ、制度設計の課題など、具体的な中味の議論を始める。
◎総選挙編
■医療・介護の充実、競い合う、自民・民主のマニフェスト
小泉構造改革による社会保障のほころびを繕うためか、自民、民主両党のマニフェストは、診療報酬の増額など社会保障を手厚くする施策が競い合うように並んでいる。ただ社会保障の財源については、景気回復後の消費税の増税を主張する自民党と、4年間は増税せず無駄遣いの根絶などで捻出する民主党で違いが鮮明となり、争点の1つとなっている。
社会保障費2200億円の抑制など行き過ぎた医療費抑制施策の反省からか、麻生太郎首相は7月31日のマニフェスト発表の記者会見で「行き過ぎた市場原理主義からは決別する」と述べ、社会保障を手厚くする方針を示した。
自民党のマニフェストでは診療報酬について「地域医療を確保するためプラス改定を行う」と約束した。また医師養成数では09年度に医学部定員を約700人(前年比1.09倍)増員した実績を挙げ、「今後も医療確保のため医師数を増やす」と増員の方針を示した。
これに対し民主党は、診療報酬では「医師や看護師などの増員に努める医療機関の診療報酬(入院)を増額する」とした。医師養成数も「1.5倍」にするとした上で、これらの政策を実現する予算額を9000億円と見積もっている。
財源論についてははっきりと考えが分かれた。自民党は景気回復後に社会保障に充てるため消費税率引き上げを含む抜本的な税制改革の実施を挙げた。麻生首相は会見で「安心できる社会保障のためには、財源が必要」と述べ理解を求めた。
一方、民主党の鳩山由紀夫代表は7月27日のマニフェスト発表の記者会見で「4年間消費税の増税をすることは一切考えていない」と述べた。マニフェストで掲げた政策を実現するための財源は、天下りの撲滅や不要不急な事業の根絶、埋蔵金の活用などで捻出するとしている。
また75歳以上を別立ての医療保険にした後期高齢者医療制度について、自民は制度の存続を前提にした見直しを提案。民主は廃止し、医療保険を段階的に統合するとして両者の違いがはっきりと分かれた。
~自民・民主のマニフェスト比較~
■診療報酬
●自民/救急や産科をはじめとする地域医療を確保するため来年度プラス改定を行う
●民主/医師・看護師などの増員に努める医療機関の診療報酬(入院)を増額する
■医師養成数
●自民/今後も医療確保のため医師数を増やす
●民主/1.5倍にする
■療養病床
●自民/療養病床再編成を適切に措置する
●民主/当面、療養病床削減計画を凍結する
■消費税
●自民/消費税を含む税制の抜本改革を経済状況の好転後、遅滞なく実施する
●民主/4年間は増税しない
■後期高齢者医療制度
●自民/現行の枠組みを維持しながら改善・見直しを行う
●民主/廃止し、被用者保険と国保を段階的に統合する
■プライマリーバランス
●自民/今後10年以内に国・地方のプライマリーバランスの黒字化を目指す
●民主/-
■社会保障番号
●自民/社会保障番号・カードを11年度中をめどに導入
●民主/所得の把握のため、税と社会保障制度共通の番号制度を導入
■介護
●自民/介護職員の賃金を月額1.5万円引き上げる
●民主/介護職員の賃金を月額4万円引き上げる
■肝炎対策
●自民/肝炎対策基本法を制定し、B型・C型肝炎への医療費助成を拡大
●民主/インターフェロン治療の自己負担額の上限を現状の5万円から1万円に引き下げる。インターフェロン以外の治療も支援に取り組む
◎その他編
■医師の偏在解消が当面の課題、厚労省・阿曽沼医政局長
厚生労働省医政局の阿曽沼慎司局長は8月4日、就任後初めて専門紙各社との会見に応じ、「当面やらなければならないことは、骨太の方針2009に記載されている通りで、はっきりしている。1つは医師の偏在の問題をどうするかが大きな鍵」と述べた。医師の絶対数については増やす必要があるとした上で「偏在は数を増やしたからといって解決するとは限らない」と指摘し、時間をかけて検討する考えを示した。
阿曽沼局長は、人口当たりの医師数は都道府県間で最大2倍程度の差があり、都道府県内でも地域偏在が見られるとし「医師の絶対数の増加とは別に、偏在問題をどう解決するか知恵を絞りたい。都道府県に対しては、地域医療再生基金で各県単位での医師の偏在問題の検討を求めている」と話した。
さらに「自由開業医制度や国民皆保険の枠組み自体は成功してきたが、今後、大きな仕組みをどう運用していくか検討する時期に来ている」と述べた。
■診療報酬プラス「環境整った」、水田次官「めりはりは必要」
水田邦雄・厚生労働事務次官は8月6日、就任後初めて専門紙各社と会見し、来年度予算概算要求基準で社会保障費の自然増分がそのまま認められたことについて「後発医薬品の使用促進などによって財源が出てくれば、次期診療報酬改定でプラス改定をする環境が整った」と述べた。ただ「保険者に対する影響も考慮しなければならない。血税をどう使うのか。めりはりの利いた改定をしなければならない」との見解を示した。
水田次官は、自らが保険局長として携わった2006、08両年度の診療報酬改定について言及。過去最大の下げ幅となった06年度改定については「当時の厳しい経済状況では、改定がなかったら保険者が成り立たなくなっていた。ただ、結果として医療にほころびが生じたことは残念」と振り返った。本体プラス改定となった08年度改定についても「勤務医対策を重視したが『焼け石に水』という厳しい声もいただいている。今一歩必要なのだと思っている」と述べた。
■次期改定へ「経験生かし他局と連携図る」、外口保険局長
厚生労働省保険局長に医系技官で初めて就任した外口崇氏は8月7日、就任後初めて専門各紙との会見に応じ「医政局、老健局と連携して国民のニーズに応える診療報酬改定ができるように、事務局としての役割を果たしていきたい」と抱負を語った。医政局長として2年間、医療提供体制に関する予算・制度面に携わったことや、保険局医療課の課長補佐を務めた経歴を踏まえ「(保険局長としての仕事にも)これまでの経歴は役に立つと思う。今回の人事が『いい人事だった』といわれるようにすることが責務だと考えている」と述べ、医政局などとの連携強化に意欲を示した。
次期診療報酬改定については「基本方針を決める社会保障審議会の医療保険部会、医療部会が前回改定時より早く開始した。骨太の方針2009に盛り込まれた産科、救急の体制強化、勤務医の勤務環境改善、後発医薬品の使用促進などの課題をはじめとして議論が進められていくと思う」と述べ、当面は両部会での議論を注視していく考えを示した。
■医師偏在の解消へ、診療報酬の手当て必要、厚労省の総合評価
総務省の政策評価・独立行政法人評価委員会が重要対象分野に選定した「医師確保対策」について、厚生労働省は8月3日の「政策評価に関する有識者会議」(座長=高橋紘士・立教大教授)に、これまでの厚労省の施策を検証した総合評価書案を提示した。
医師確保対策に関する総合評価書案は①医師数の決定方法②医師の偏在の是正について-の2項目を検証している。医師の需給見通しを推計するに当たっては、高齢化や医師の勤務実態、医療提供体制の在り方など、さまざまな要因をできるだけ考慮して専門的に推計するとしている。医師の偏在の是正に関しては、経済的インセンティブに一定の効果があるとし、病院勤務医の負担軽減につながるような診療報酬を設定することが必要と分析した。
■「4疾病」で全県共用の連携パス、千葉県医
千葉県医師会は、がん、脳卒中、急性心筋梗塞、糖尿病の4疾病ごとに「千葉県共用地域医療連携パス」を策定し、今年度から普及に向けた取り組みを千葉県とともに開始した。県によると、4疾病で形式を統一した連携パスの策定は、全国でも初めての取り組み。連携パスの普及協力医療機関は、7月末までに143施設の登録を受け付けた。
千葉県は2008年4月に改訂した保健医療計画で、疾病ごとに急性期、回復期などの段階に応じた医療機関の役割分担と連携の在り方を示した「循環型地域医療連携システム」を構築。千葉県医は同システムの円滑な運用を図るため、県の委託を受けて「全県共用型地域医療連携パス」作成ワーキンググループを設置し、4疾病ごとに全県共用の連携パスを策定する検討作業を進めた。
今年2月には県内の医療関係者を集めたシンポジウムで連携パスを公表。その後も県内9カ所の2次保健医療圏ごとに地域保健医療協議会などを通じて意見集約を行い、3月までに千葉県医療審議会の承認を得た。
■レセオンラインの例外規定、具体化へ調整、自民・西島氏
自民党の西島英利参院議員は8月1日、熊本市で開かれた全国有床診療所連絡協議会総会の特別講演で、レセプトオンライン請求義務化の例外規定について与党内で調整を進めていることを明らかにした。具体的な例外規定として①65歳以上の医師②月間レセプト300枚以内の場合③現在レセコンを持っているがオンライン化されていない場合の経過措置―を挙げ、「水面下で議論を進めている」と述べた。
このほか消費税の引き上げに関して、具体的な税率や引き上げの時期に関しては「景気が回復した段階で、必要な支出を把握した上で決めることになる」と説明。さらに「少なくとも現在の与党の間では、診療報酬に税率をかけることがほぼ内定している」と述べ、「最終消費者が医療機関から患者になり、医療機関の消費税負担はかなり軽減される」と説明。ただ、税率が大きくなれば患者負担が増大することを課題に挙げ「軽減税率でかける形になるだろう」と述べた。
■有床診の一般病床短期入所「活用を」、日医・三上常任理事
日本医師会の三上裕司常任理事は8月1日、熊本市で開かれた全国有床診療所連絡協議会総会で講演し、2009年度介護報酬改定で有床診療所の一般病床でも短期入所療養介護(ショートステイ)が算定できることになったことについて「特に要介護度の低い人については病院よりも高い点数となっている部分がある。活用してほしい」と訴えた。
有床診療所一般病床の短期入所の1日当たり報酬単価は、多床室で看護6対1、介護6対1の場合、要介護度1で827点(病院の介護療養病床では756点)、要介護度2で879点(同867点)など、要介護度の低い人の点数は病院と比べて高く設定されている。三上常任理事は「医療保険の一般・療養病床の入院基本料は病院と比べて低く設定されているが、ニーズは確実にある」と説明し、介護支援専門員(ケアマネジャー)との連携による短期対応の重要性を訴えた。
■社保審、2年半ぶりに総会、貝塚会長を再任
厚生労働省の社会保障審議会は8月6日、2007年3月以来となる総会を開き、貝塚啓明・東京大経済学研究科金融教育研究センター長を新会長に選出した。会長代理は大森彌・東京大名誉教授が務める。会長と会長代理はともに再任。
同日は、社保審の下に設置する分科会、部会、特別部会での議論について厚労省から報告を受けた。また、10年1月の日本年金機構の設置に伴い、機構の業務運営の在り方を審議する「日本年金機構評価部会(仮称)」を設置することを了承した。
■教育的にフリーアクセス制限を、全国医師連盟が緊急提言
全国医師連盟は8月6日、「持続可能な医療体制を実現するための5つの緊急提言」を発表した。「勤務医の過剰労働は医師個人の志で維持できるレベルではない」とし、たとえ医療費が増大しても、仕事量が今のまま増大すれば労働環境は改善されないとして、教育的な手法を用いてフリーアクセスを制限すべきと主張している。
提言は①診療報酬は人的資源にかかる費用を重視し、決定過程を透明化する②医療の需要を制限する緊急避難的な施策の検討③病床当たりの勤務医を大幅に増員し、労働環境の適法化に取り組む④医師を強制的に計画配置することは、医師の診療能力を低下させる⑤医療事故補償基金を創設し、患者救済を図る─の5項目。
「医療の需要を制限する施策」では、「小児の夜間診療や救急車の利用に当たっては、教育的な手法を用いてフリーアクセスを制限し、医療現場を維持・回復させるべき」としたほか、紹介状なしの高次病院受診の原則禁止などによって、不要不急の診療を減少させることが必要と主張した。
診療報酬に関しては、決定過程を検証可能なものとするために透明化することが求められるとした。「現在の診療報酬決定には、内容の妥当性と議論過程の透明性に疑問が残る」とも指摘した。
■集団的個別指導、過半数が「非該当」だった、近畿厚生局、大阪で
診療報酬請求の“高点数医療機関”に対して実施される「集団的個別指導」の対象として、今年4月から7月末までに大阪府内で選定された医療機関のうち、半数以上が「非該当」だったことが分かった。大阪府医師会は近畿厚生局に抗議し、経緯を郡市区医師会に通達した。同厚生局も非該当医療機関にその旨を通知した。
集団的個別指導は、今年度から地域ブロック単位の地方厚生局が実施することになり、対象を選定する際の大阪独自のローカルルール「上位4%の高点数医療機関」が全国レベルの「上位8%」に引き上げられた。このため府内の医療機関には、新ルールによる指導に対する警戒感が強まっていた。
今回、近畿厚生局が対象として7月末までに選定・通知した医療機関は644(1医療機関は休止のため実際は643)。しかし通知された医療機関から指摘を受けた大阪府医が、近畿厚生局に確認を求め、同局が見直しを行った結果、半数を超える351医療機関が、本来選定の対象とはならない医療機関だったことが判明した。
大阪府医によると、今回の「誤り」は近畿厚生局が従来の被用者保険のデータに国保のデータを加えた際、事務処理を間違えたため起きたという。同厚生局も「データの一部の不具合」と説明している。個別指導に関して大阪府医は「医師会と行政が協力して実施できる運用への見直し」を今まで以上に日本医師会を通じて働き掛けるとしている。
集団的個別指導は、レセプト1件当たりの平均点数が、各都道府県の平均点数と比べて病院が1.1倍、診療所が1.2倍を超え、かつ過去2年間に指導を受けた医療機関を除いた上位8%の医療機関が対象。1996年度に集団的個別指導が開始されて以後、大阪では毎年度ほぼ300医療機関程度が対象となってきた。今回、対象を上位8%に広げたにもかかわらず、実際の対象は例年と変わらない292医療機関にとどまったのは、県内平均点の1.1倍超、1.2倍超の要件を満たさず対象から外れる医療機関が多かったのが原因とみられる。
大阪府医は会員への説明文書の中で「指導の通知が送付されてくること自体、プレッシャーに感じる会員も少なくない。本来、慎重にも慎重を期して送付されるべき性格のもの。近畿厚生局への事務移管後、最初の実施に際して事前チェックなしで初歩的な誤りを犯したことは前代未聞で容認できない」と厳しく批判している。
■多剤併用の改善に「報酬上の措置を」、精神保健医療検討会
厚生労働省の「今後の精神保健医療福祉のあり方等に関する検討会」(座長=樋口輝彦・国立精神・神経センター総長)は8月6日、精神科医療の質の向上を主なテーマに、構成員らが意見を交わした。厚労省は、諸外国に比べて精神疾患患者に対して多くの薬剤が併用されている現状や、診療ガイドライン(GL)の普及が十分でないことなどを課題に挙げた。構成員からは、多剤併用を改善するため、医師に対する教育やチェック体制を見直すべきとの意見や、診療報酬上何らかの措置が必要との声が上がった。
■国病機構、5期連続で経常収支黒字、08年度業績評価
厚生労働省の独立行政法人評価委員会国立病院部会は8月3日、国立病院機構の2008年度業務実績評価の個別評価(自己評価)を審議した。同機構の病院ネットワークを生かした臨床研究事業やクリティカルパスの活用などを評価し、全14の個別評価項目中、「S」評価が6項目、「A」評価が8項目で、「B」評価以下はなかった。
純利益は約300億円(前年度比約61億円増)で、経常収支は5期連続黒字となった。診療報酬改定による医科点数の引き上げや平均在院日数の短縮が経営改善の要因と分析している。同部会は26日に08年度の総合評価と、第1期中期計画(04~08年度)の総合評価をまとめる予定だ。
■医療改革“真夏の戦い”へ、米大統領に妥協圧力
米下院は8月1日、オバマ政権が最重要課題と位置付ける医療保険改革法案の早期可決を果たせぬまま夏の休会に入った。野党の共和党や医療保険業界など改革反対派の動きは激しさを増しており、真夏の全米で巨額資金を投じた世論工作合戦が続く。
1兆ドル(約94兆6500億円)規模の支出を伴う改革を不安視する世論も強まり、オバマ大統領は公的保険導入など制度の根幹部分で妥協を迫られそうな雲行き。改革の成否は政権の実行力を測る試金石となる。
オバマ氏は、約4700万人が無保険状態であることに加え「重病にかかったり失業すると保険が適用されない」という現状のいびつさを指摘。保険会社の「もうけすぎ」も批判し、公的保険の導入で競争を強め、健全化を図ると訴えている。
これに対し、改革反対の急先鋒である共和党デミント上院議員らは「政府は余計な手を出すな」との立場。政府主導の国民皆保険は「社会主義への一歩で米国の自由に対する脅威」という保守派の価値観が根底にある。
7月30日付のニューヨーク・タイムズ紙の世論調査結果によると、69%が「公的保険を導入し国民皆保険となれば、自分の保険の質が低下する」と懸念を表明。一方で、公的保険がなければ「いつか自分の保険がなくなる」との回答も66%に上り、有権者の揺れる気持ちを示した。
焦点となったのが、上院財政委員会での超党派法案作成作業。①公的保険ではなく、協同組合など非営利団体による保険を導入②高額所得者の増税を財源にはしない─案が有力だが、結論は秋に持ち越された。
公的保険導入を防ぎたい医療業界の攻勢は露骨で、米紙によると、オバマ氏の案に反対する民主党議員らに「記録的な数」の政治資金パーティーを提供。また賛成、反対双方の団体がテレビコマーシャルを大量に放映し、1日に140万ドルがつぎ込まれている。 【ワシントン共同】
■要介護認定、基準見直しで声明発表、保団連
保団連は8月4日、「新要介護認定基準の修正だけで済ませてはならない」と題した声明を発表した。修正を加えた認定基準による要介護認定を10月から開始することが、先月28日の「要介護認定の見直しに係る検証・検討会」で決定したことを受け、10月までに認定を受ける新規申請者への対応などを求めている。
声明では、10月までに要介護認定を受ける新規申請者が軽度に判定されないような対策を早急に取ることや、10月以降も経過措置を終了しないことなどを要求。さらに、これらの対応が実施できない場合は、新方式での要介護認定を即時中止し、当面は従来の方式での要介護認定に戻すことを要求している。
認定基準の見直しだけでなく、▽1次判定と2次判定を含めた要介護認定のシステム全体に対する総合的な検証と見直しを行う▽認定者の割合を自治体に指導しない▽審査会委員の関与を減らすような制度改正をしない─ことなども強く要求している。
■高齢者居住安定確保法改正、政令案を閣議決定、政府
政府は8月4日、「高齢者の居住の安定確保に関する法律施行令等の一部を改正する政令案」を閣議決定した。5月の高齢者居住安定確保法改正で、都道府県に策定を求めた「高齢者居住安定確保計画」に盛り込む「高齢者居住生活支援事業」の範囲を規定したほか、改正法の施行期日を定めた。
高齢者居住安定確保計画には、高齢者向け賃貸住宅や老人ホームの供給目標などを盛り込むとしている。政令案では、同計画に盛り込む高齢者居住生活支援事業の範囲について▽老人福祉法に規定する老人居宅生活支援事業(老人デイサービス事業など)▽介護保険サービスを提供する事業(居宅サービス、地域密着型サービスなど)▽健康保険法に規定する訪問看護事業▽病院や診療所が高齢者に対する保健医療サービスを提供する事業-などと規定した。
改正法の施行期日については、高齢者居住安定確保計画などに関する部分は8月19日、高齢者円滑入居賃貸住宅の登録などに関する部分は来年5月19日とした。
◎調査・データ編
■受診抑制による重症化を懸念、日医、08年度「医療費の動向」を分析
日本医師会の中川俊男常任理事は8月5日の定例会見で、2008年度診療報酬改定で医科本体がプラスとなったほか、診療所から病院への財源移転が行われたにもかかわらず、08年度「医療費の動向」で示された病院医療費は想定されたほど伸びていなかったとした上で「原因は受診延べ日数の減少にある」と指摘し、受診抑制によって患者の重症化が進むことに強い懸念を表明した。
中川常任理事は「医療費の動向」の数値を用いて、病院と診療所についてそれぞれ08年度改定を検証。病院医療費は、自然増のほか医科本体のプラス改定や財源移転などによって前年度比2.5%増となるはずが実際には1.4%増にとどまり、診療所医療費も自然増などで前年度比0.7%増が見込まれながら0.3%増だったとの推計を示した。
医療費は「1日当たり医療費×受診延べ日数」で求められるとし、「1日当たり医療費を決める診療報酬はプラス改定だったにもかかわらず、受診延べ日数の減少でプラス改定の効果を十分に確保できなかった」と説明。受診延べ日数は、入院では平均在院日数の短縮化、入院外では長期投薬や受診抑制で減少するとし「特に受診抑制による患者の重症化が懸念される」と述べた。患者の重症化が表面化するまでには一定の時間を要するとも指摘し、早急な取り組みを促した。
■社会医療調査WGが議論開始、メディアスとの乖離で
社会医療診療行為別調査とメディアスの1日当たり伸び率(前年同月比)に大幅な乖離があった原因を分析する「社会医療診療行為別調査の検証等に関するワーキンググループ(WG)」の議論が始まった。8月5日の中医協・診療報酬基本問題小委員会で、WGの座長を務める白石小百合委員(横浜市立大教授、中医協公益委員)が、議論の様子を報告した。
それによると、初回の会合は7月30日に開いた。社会医療診療行為別調査の医科入院外の1日当たり伸び率が高い原因は「処置」が大きく増加したためとの認識で一致したほか、処置が増加した背景として、人工透析を実施している内科診療所が多く調査客体として抽出されていたことも確認したという。
白石委員は「処置について、さらに検討を進めたい。特別集計も試みたい」と述べ、人工透析の内科診療所が多い実態を補正した上で、集計し直す意向を示した。厚生労働省保険局医療課によると、補正後の集計データを診療報酬改定の資料として活用できるかどうかについては診療報酬基本問題小委に諮ることになる。
■協会けんぽ08年度決算、2年連続赤字、厚労省、政管健保と通算で
厚生労働省は8月4日、政府管掌健康保険と全国健康保険協会管掌健康保険(協会けんぽ)を通算した2008年度の単年度収支決算の概要を公表した。08年10月以降、協会けんぽが政管健保の事業を受け継いだことから08年度決算については両者を通算し、一体的に取り扱った。医療分は2290億円の赤字で、2年連続の赤字決算となった。介護分も248億円の赤字を計上。全体では2538億円の赤字で、単年度赤字決算は07年度に引き続き2年連続となった。
収支全体を見ると、収入の7兆7029億円に対し、支出は7兆9567億円。2538億円の赤字は前年度から1186億円悪化した。
医療分については、収入7兆1357億円で前年度比305億円の増収だった。被保険者数は03年度以来5年ぶりに減少し、平均賞与月数も減少しているが、国庫補助が9093億円で前年度から892億円増加したことによる。
一方、支出は7兆3647億円で前年度比1205億円の増加。うち保険給付費は4兆3375億円で、被保険者1人当たり保険給付費が増加したこともあり、前年度から692億円増加した。医療分の赤字は2290億円で、07年度に引き続き2年連続。赤字は前年度比900億円の悪化となった。
◎新型インフル編
■各省庁、1年後をめどに業務継続計画、強毒性新型インフルに備え
「新型インフルエンザ及び鳥インフルエンザ等に関する関係省庁対策会議」は8月7日、強毒性の鳥インフルエンザが国内で発生した場合に備え、中央省庁の業務継続の方針を定めたガイドライン(GL)をまとめた。GLでは、鳥インフルエンザが発生した場合も継続する業務について省庁ごとに絞り込みを行い、必要となる人員を把握することなどを求めている。各省庁は1年後をめどに、GLに沿った業務継続計画を策定する。
■9月に供給開始へ、新型インフルのワクチン
世界保健機関(WHO)のキーニー・ワクチン研究部長は6日の記者会見で、新型インフルエンザ用ワクチンの供給が9月に開始されるとの見通しを明らかにした。WHOはこれまで、ワクチン供給時期を「9~10月」としていたが、オーストラリア、米国、英国、ドイツ、中国の5カ国で臨床試験が始まり、各国保健当局による最初の認可が9月前半にも出せる状態になってきたと説明した。
【週刊マスコミ論調】
■医療問題、医療政策
■社会情勢など
■総選挙・マニフェスト
■総選挙(京都)
こう戦う 09衆院選 京の政党■医学、健康
■新型インフルエンザ、感染症など
■高齢者医療、福祉、年金、介護、少子化
■医療事故、医事紛争、副作用
■その他事件など
■保団連・保険医協会関係
■京都周辺の動き(医療関係、ほか)
■主な連載(医療全般)
医療ルネサンス 高齢者の女性■環境全般
■核開発・原子力発電・エネルギー問題
〈核問題〉
〈原発問題〉
〈エネルギー問題〉
■大気・水質・土壌汚染・地球温暖化問題
■喫煙問題
■改憲・平和問題など
■おもな連載(核、環境、平和ほか)
「核なき世界」への道 米国発 64年目の証言 日経
核なき世界へ オバマと被爆者 朝日
核なき世界へ 被爆国からのメッセージ 朝日
被爆の国から オバマ大統領へのメッセージ 毎日
願い世界へ09夏ヒロシマ
捨てないで 第2部 家庭から考える 毎日
密約外交 日経
核なき世界 人類の岐路 第2次核時代 京都
ルールある経済社会へ 待ったなしの課題 温暖化対策 赤旗
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