週刊医療情報インデックス
2009年7月第1週 (2009.06.30~2009.07.06)
- 【ウイークリーダイジェスト】
- 【週刊マスコミ論調】
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- ■医療事故、医事紛争、副作用
- ■その他事件など
- ■保団連・保険医協会関係
- ■京都周辺の動き(医療関係、ほか)
- ■新型インフルエンザ関連
- ■主な連載(医療全般)
- ■環境問題
【ウイークリーダイジェスト】
■特別枠、厚労省分は最大2000億円/10年度予算シーリングを閣議了解
政府は7月1日の臨時閣議で、2010年度予算の概算要求基準(シーリング)を了解した。高齢化の進展による年金や医療費の自然増1兆900億円は全額を認めるため、社会保障費は過去最大の25.1兆円になる。厚生労働省大臣官房会計課によると、経済緊急対応予備費から捻出する「経済危機対応等特別措置」の3500億円のうち厚労省分として最大2000億円の要求が可能とし、8月末に締め切る概算要求までにメニューを決定する方針だ。
同課によると、社会保障費の自然増分の内訳は、医療が3000億円台半ば、年金が3000億円強、介護が1000億円強、その他が2000億円弱。
自然増分の「可能な範囲での効率化」については「額は示さない」とし、効率化によって発生した財源は診療報酬改定など社会保障の充実に充てることができるとした。また、新たな安定財源が確保された場合は予算編成過程で検討する。
「特別措置」は安心社会実現や経済危機克服、成長力強化など、「骨太の方針09」で示された重点課題のうち、緊急性や政策効果が特に高い施策に重点配分するための枠で、公共事業関係費やその他経費から前年度比3%減の要望基礎額に25%をかけて算出する。厚労省関連では最大2000億円の要求が可能で、医師不足対策などに充てることができる見通しだ。特別措置の最終的な規模は、年末の経済状況を踏まえて決定する。 後期高齢者医療制度の円滑な運営のための対策にかかる経費は、シーリングとは別枠で対応する事項とした。
■医療保険・医療部会、2カ月前倒し/改定の基本方針で議論開始
厚生労働省は、7月中に社会保障審議会の医療保険部会と医療部会を相次いで開き、次期診療報酬改定に対する基本的な考え方を示す「基本方針」の策定に向けた議論を開始する。前回改定時の両部会の議論は2007年9月に始まったが、部会の委員からは「十分に議論できない」などの指摘が出ていた。中医協でも両部会の早期開催を求める意見が出ていたこともあり、前回より約2カ月前倒しすることにした。
医療部会は7月9日、医療保険部会は15日に、それぞれ開催する予定。前回改定に関する中医協・診療報酬改定結果検証部会による検証結果の報告や、「骨太の方針09」に盛り込まれた診療報酬に関する考え方などを厚労省が示した上で、委員による自由討論が展開される見通しだ。
■地域医療再生計画「医師会が主導」/日医、都道府県医に通知
日本医師会は、都道府県が2次医療圏単位を基本として策定する「地域医療再生計画」に積極的にかかわることで、医師会を中心とした地域連携を進める方針を打ち出している。都道府県・郡市区医師会が地域医療再生計画に主導的に関与するための資料として「地域医療再生基金の創設に向けて」を作成。地域医療再生計画に記載する事業の例として「有床診療所が担う役割の強化」を取り上げ、有床診が夜勤看護職員を確保するための人件費や、医療機器の更新・新規導入費、入院環境改善のための施設改修費などに交付金を活用する案を示した。
「地域医療再生基金の創設に向けて」は、日医の内田健夫常任理事が6月16日に非公開で開いた都道府県医師会長協議会で説明した。同19日付で各都道府県医に通知し、郡市区医師会への周知徹底を求めた。各都道府県医への通知では、都道府県との協議・折衝に「地域医療再生基金の創設に向けて」を活用するよう要請。また同計画が2次医療圏を単位とすることから、郡市区医師会と市町村との協議も重要と強調している。各都道府県医は日医が示した例を参考に、地域の実情に応じた事業を都道府県に提案。地域医療対策協議会などにも検討を求める。
日医は地域医療再生基金を通じて「連携と継続の地域医療体制の再構築」を目指す。▽医師・看護師などの確保対策▽急性期と在宅をつなぐ一般病床や有床・無床診療所の体制整備▽かかりつけ医と専門医との連携体制の整備─などに活用する方針だ。
「地域医療再生基金の創設に向けて」は、「地域の医療機能の役割分担と連携」と「救急医療体制の役割分担と連携」の2つのテーマに分けて事業例を提示した。地域医療関連では、遠隔医療や画像診断体制の構築、勤務医や看護職員らの離職防止のための負担軽減策も例示した。救急医療体制については、有床診など後方施設との連携などを盛り込んだ。地域医師会の休日夜間急患センターへの補助も挙げた。
厚生労働省の同計画の作成指針によると、計画期間は09年度から2013年度末までの5年間。地域の実情に応じて必要な事業を盛り込む。都道府県は10月16日までに厚労省に計画を提出。厚労省は有識者による協議会で順次、審議し交付する。都道府県は地域医療再生基金を設置し、計画期間内に基金を取り崩して事業を実施する。
内田常任理事はメディファクスの取材に「5年間にわたって事業展開ができ、基盤整備だけでなく運用にも使える。非常に使い勝手がよい」と評価。地域医療再生の視点からも「医師会が中心となって計画立案や運用に関与することが重要だ」と強調した。
■経済財政相に林芳正氏/首相、与謝野財務相の兼務解く
麻生太郎首相は7月1日、与謝野馨財務相の閣僚ポスト兼務を一部解き、経済財政担当相に林芳正前防衛相(48)を起用することを決めた。一方、検討していた自民党役員人事については、党内の反発を考慮し、断念した。衆院選を見据え政権浮揚を狙った党役員人事の見送りで、首相の求心力が一段と低下することは確実。首相の退陣を求める「麻生降ろし」の動きが加速する可能性がある。
首相は同日、官邸で記者団に「わたしの口から党役員人事をやると言ったのを聞いた人はただの1人もいない」と述べ、党役員人事の見送りを明言した。
首相は先月30日、党役員人事と閣僚の補充人事について記者団に「しかるべき時にしかるべき方をと前から考えていた」と語り、強い意欲を表明した。しかし、党内最大派閥の町村派が同派出身の細田博之幹事長の交代に反対するなど、党内に異論が広がった。
■与党、高額療養費の見直しへ議論開始/マニフェストに反映へ
与党の「高額療養費制度のあり方の見直しに関する検討会」(座長=川崎二郎・元厚生労働相)は7月3日、初会合を開き、高額療養費制度の見直しに向けた議論を開始した。川崎座長は同日の検討会終了後の会見で、制度の見直しについて「公約の中に書いていくのではないか」と述べ、検討内容をマニフェストに反映させる可能性に言及した。
高額療養費制度は、長期入院などで1カ月の医療費の自己負担額が高額となった場合、一定の金額(自己負担限度額)を超えた部分が保険者から患者に払い戻される制度。70歳未満の自己負担限度額は、被保険者の所得に応じて、一般・上位所得者・低所得者の3段階に分かれている。市町村民税が非課税の低所得者の自己負担限度額は1カ月当たり3万5400円。
川崎座長は会見で、検討会を立ち上げた趣旨について「『高額療養費制度の改善に与党はカーブを切りました』ということ」と説明。公明党の福島豊衆院議員は「公明党は明確に見直しする方向を出させてもらう」とし、制度見直しに意欲を示した。
■自民が09年度補正でPR資料
自民党はこのほど、2009年度の補正予算としてまとめた「経済危機対策」のPR資料を作成した。資料は(1)社会保障(2)雇用・金融・中小企業(3)社会インフラ整備(4)農林漁業(5)環境関連-の5分野。社会保障では、救急や地域の医師確保のための費用助成などを通じ、地域医療の再生を目指すとしたほか、3年間の助成を通じた介護職員の処遇改善などに取り組むとした。
このほか、子宮頸がん、乳がんといった女性特有のがん検診推進事業を紹介。後期高齢者医療制度については、低所得者の保険料85%軽減を継続するなど、安定的な運営を確保すると約束した。がん、小児などの革新的医薬品開発の支援にも触れた。
■医師確保に基金創設、新過疎法の概要を了承/自民党の特別委
自民党過疎対策特別委員会は7月3日、「新過疎法」の概要について了承した。新過疎法は、過疎自治体が「過疎債」を活用して新たに基金をつくり、医師確保や巡回バスの運行といったソフト事業にも使えるようにするのが中心だ。
現行の過疎法が10年3月末で期限切れとなるため、10年4月の施行を目指す。議員立法で国会に提出する時期については、法案内容の慎重な検討が必要として、当初示していた今秋の臨時国会から、10年の通常国会に変更した。玉沢徳一郎委員長は会合後、「新過疎法の適用期間は現行法と同様、10年間を前提に考えている」と説明した。
特別委は、過疎地域の生活維持には交通の確保、地域医療の充実、若者の定住促進といったソフト面の対策が重要と指摘。新法では、これまで道路や施設整備などハード事業に限られていた過疎債の使い道を広げ、調達した資金を自治体が基金を通じソフト事業にも使えるようにする。
過疎地域のインフラ整備に対し国が補助率をかさ上げする仕組みは継続する。【共同】(7/6MEDIFAXより)
■財源示すのが政治家の役割/自民・西島氏が民主を批判
社会保障費の財源論について、自民党の西島英利参院議員は6月29日の参院決算委員会で「人の命を守るために財源をどうするのか考えることが、われわれ政治家の役割だ」と述べ、民主党が政策の裏付けとなる財源について十分な説明をしていないと批判した。
民主党が掲げる基礎年金の全額税方式について西島氏は「全額税方式でやると言っているがこの場合22兆円かかる。消費税の収入は12兆円ちょっとしかない」と述べ、不足分をどう手当てするかが明らかになっていないとした。
さらに消費税をすべて基礎年金に充てた場合、今まで消費税でみてきた老人医療費などを、どの財源で工面するのか説明がないとした。
また、鳩山由紀夫民主党代表が党首討論で「診療報酬の20%引き上げ」を表明したことが医師会で話題になっていると紹介。西島氏は医師会員から「言うの簡単だが財源の話はまったくなく、本当に信用できるのか」との疑問の声が上がっているとした。
また党首討論で「財源が大事」とする麻生太郎首相に対し、鳩山代表が「財源が先で人の命が後なんですか」と指摘したことについて、西島氏は「人の命がまず大事なのは当然だが、人の命を守るために財源をどうするのか考えるのがわれわれ政治家の役割だ」と述べた。
与謝野馨財務相も「これにお金を使う、あれにもお金を使う、ということだけに終始するのでなく、マクロの面から物事を見る視点が政党として必要なのでは」と述べ、政策を示すだけでなく財源も示すのが責任政党の在り方であるとした。
■政権交代で「シーリング決定は無意味に」/民主・直嶋政調会長が談話
2010年度予算の概算要求基準が1日閣議決定されたことを受け、民主党の直嶋正行政調会長は同日、民主党が政権を取れば予算配分を抜本的に見直すため、今回の概算要求基準の決定は無意味になるなどとする談話を発表した。総選挙が近いため、政府は義務的経費を中心に編成する「骨格予算」にとどめる工夫が必要としている。
社会保障費2200億円の抑制について政府は、10年度予算では抑制せず自然増を認めるとしたが、「骨太の方針2006」の歳出削減の考え方は継続している。直嶋政調会長の談話では、10年度に自然増を認めた分のしわ寄せが11年度予算に押しつけられかねないとして、政府・与党として明確に説明する責任があるとしている。
■入院初期の包括点数/引き上げDPC分科会が了承、一部の分類で
中医協・DPC評価分科会(分科会長=西岡清・横浜市立みなと赤十字病院長)は6月29日、次期診療報酬改定での調整係数の段階的廃止後の包括評価の在り方に関する検討を始めた。この日は、入院初期の医療資源投入量が非常に大きい診断群分類について、入院期間Ⅰの点数を、1日当たり包括範囲出来高点数の平均に引き上げる厚生労働省の提案を了承した。さらに入院初期の医療資源投入が少ない分類や、包括払いの範囲の見直しについても、今後詰める。
入院期間Ⅰは、入院初日から診断群分類ごとの平均入院期間の25パーセンタイル(がん化学療法の短期入院などは5パーセンタイル)までで設定している。現行のDPC制度では、入院期間Ⅰは各診断群分類の1日当たり平均点数に15%を上乗せして評価。入院期間Ⅰの最終日から平均入院期間日までの間(入院期間Ⅱ)は、診断群分類の1日当たり平均点数から入院期間Ⅰで上乗せした分が差し引かれる形となっている。
厚労省は8割の診断群分類で現行の評価が適当としたが、次期診療報酬改定から、前年度収入を保証していた調整係数が段階的に廃止されることを踏まえ、入院初期に医療資源投入が大きい診断群分類の評価の方法を「実態に近い形にする必要がある」とし、(1)入院期間Ⅰの引き上げ分を15%から25%に引き上げる(2)入院期間Ⅰの点数を同期間中の包括範囲出来高点数の平均に設定する―の両案を提案。分科会では(2)が妥当とする意見が大勢を占めた。入院期間Ⅰで引き上げられた分は入院期間Ⅱで差し引かれる。
入院初期の資源投入量が少ないケースについて厚労省は入院期間Ⅰの上乗せ分を10%に引き下げ、平均入院期間から入院期間の標準偏差の2倍までの間(特定入院期間)の引き下げ分を現行の15%から10%に変更する案を示し、今後検討することにした。
厚労省はこのほか、現行のDPC制度で包括評価されている範囲の見直しも提案した。委員からは▽抗がん剤など高額薬剤▽高額医療材料▽術中迅速病理診断―については包括範囲から除外すべきだとの意見もあった。今後、継続して検討する。
■大臣政策室と政策官を設置/厚労省、改革推進室を改組
厚生労働省は7月1日、厚労省改革に向け08年7月に設置した「改革推進室」を改組し、「大臣政策室」と「政策官」を設置した。大臣政策室は厚労大臣直属で、重要な政策課題などについて大臣が適時・適切な判断を行う際の補佐的役割をとる。
大臣政策室は(1)広範な情報収集と適切な情報提供(2)厚労大臣の判断・指示に当たっての論点整理(3)関係省庁・省内部局との連絡・調整-が主な職務で、厚労大臣は大臣政務室に対し特別事項の指示を行う。改革推進室との違いについて、厚労省は「政策についての大臣の意志決定の補佐的役割をとることを明確にした」(大臣官房総務課)としている。
大臣政策室長については、改革推進室に引き続き福嶋輝彦・厚労大臣秘書官を充てた。政策室に配置する政策官は各省庁と民間から11人を配置。政策官は改革推進室のメンバーに加え、「年金記録問題作業委員会」委員の三木雄信・JFP代表取締役社長を任命した。
■老健局2課の名称変更/厚労省
厚生労働省は7月1日付で、老健局介護保険課を同局介護保険計画課に、同局計画課を同局高齢者支援課にそれぞれ名称変更する。これに伴い、従来は同局計画課で所管していた介護保険事業計画や老人保健福祉計画の事務は介護保険計画課に、同局振興課で所管していた有料老人ホーム関連の事務は高齢者支援課に移る。
介護保険計画課長には吉野隆之介護保険課長が、高齢者支援課長には菱田一計画課長が継続して就く。
■慢性疾患対策を総合的に整理/厚労省・検討会が初会合
厚生労働省は7月1日、「慢性疾患対策の更なる充実に向けた検討会」(座長=久道茂・宮城県対がん協会長)の初会合を開き、現在の慢性疾患対策について総合的に整理し、今後、焦点を当てるべき疾患について検討を始めた。個別の疾患への対策に生かすのが狙いで、8月末までに報告書をまとめる。
■社保・厚年病院の受け皿で法案検討/厚労省、臨時国会へ提出視野に
社会保険病院と厚生年金病院を所有する年金・健康保険福祉施設整理機構(RFO)が2010年9月で解散することから、厚生労働省はRFOに代わる受け皿づくりを進めるための関連法案を今秋の臨時国会に提出する検討を始めた。1日には省内に「社会保険病院等対策本部」(本部長=江利川毅事務次官)を設置。病院が必要な機能を存続していくための仕組みを検討していく。
「官から民へ」の小泉構造改革の下、社保病院と厚年病院を民間に売却する方針が04年に決まった。社保病院53病院と厚年病院10病院は08年10月、売却を主な業務とするRFOの所有となり、RFOが解散する10年9月までに譲渡先を探すことになっている。ただ譲渡先が決まった病院は今のところなく、病院すべてを売却できる見通しは立っていない。
このため厚労省はRFO解散後の受け皿づくりの検討に入った。社会保険庁運営部企画課施設整理推進室によると、病院の運営に支障が出ないよう必要な立法措置を検討する。新たな受け皿は民営化を前提とするのか、公的存続を目指すのかは今後の検討課題としている。RFOの解散まで1年以上あるが、国会での法案審議の時間を考えると、次の臨時国会に法案を提出することが望ましいとしている。
1日に設置した対策本部は、社保庁と医政局、保険局、年金局の各局長、審議官、関係課長級で組織する。施設整理推進室が事務局を務める。
■救急搬送・受け入れの指針策定へ/厚労省と消防庁が検討会
09年4月に改正消防法が成立したことを受け、厚生労働省と総務省消防庁は6月29日、「傷病者の搬送及び受入れの実施基準等に関する検討会」(座長=山本保博・東京臨海病院長)の初会合を開き、救急患者の受け入れ困難事例の防止を目的に、都道府県が搬送や受け入れの実施基準をつくるためのガイドライン策定に向けた検討を始めた。改正消防法が施行される10月末までに報告をまとめる。
救急患者の受け入れ困難事例が相次いだことを受けて成立した改正消防法では、消防機関や医療機関などで構成する協議会を都道府県に設置し、搬送や受け入れの実施基準を策定・公表することを義務付けている。実施基準では、受け入れ可能な医療機関をリスト化し、その中から疾患や重症度によって搬送先を選定するためのルールや、選定が難航した場合の対処方法などを盛り込むとしている。
同検討会では、都道府県がこうした実施基準を作成する際に参考にしてもらうガイドラインを策定。都道府県に設置される協議会の構成メンバーや、協議会が行う搬送と受け入れに関する調査・分析の方法についても検討する。
■公立病院の経営改善事例を調査へ/総務省が09年度事業で
各自治体の「公立病院改革プラン」がおおむね策定されたことを受け、総務省は09年度「公立病院経営改善事例等調査・研究事業」を実施する。公立病院の規模別の経営改善事例や都道府県での医師確保対策の先進的な取り組み事例、公立病院での病院建物整備事業の実態(建築単価や経営状況への影響)について調査する。6月29日には、経営改善事例の対象となる病院の選定や事例集の作成を行う「公立病院経営改善事例等実務研究会」の初会合を非公開で開催。事例集は09年中にも刊行する予定だ。
同事業は、公立病院での先進的な取り組みや医師確保対策の中で参考となる事例などをまとめ、各公立病院の経営改善の参考にすることが目的。経営改善事例集では、大規模・中規模・小規模病院別にそれぞれ2~3事例を選定し、地方独立行政法人化や指定管理者制度の導入、民間譲渡などの経営形態の見直しも踏まえて事例を紹介するとしている。具体的には、収益の確保策や収入部門での経費節減策、職場環境の改善など、収益以外での経営改善策などが盛り込まれる見通しだ。
総務省によると、最新の2007年度決算では公立病院の約7割が赤字経営で、自治体病院の1病床当たり繰入前損益はマイナス324万6000円(うち不採算地区マイナス292万7000円、その他部門マイナス327万円)だった。このほかの公的医療機関は、国立病院機構がマイナス44万4000円、日赤が129万2000円(修繕引当金取り崩しなど08年度限りの会計規則上の特殊要因を除いた損益収支はマイナス39万5000円)、済生会がマイナス52万4000円、JA厚生連がマイナス19万8000円、国立大学付属病院がマイナス385万3000円で、各設置主体ともに赤字傾向だった。
一方、1病床当たりの繰入前損益の上位病院を見ると、小規模病院(99床以下)では君津中央病院大佐和分院(千葉)の206万8000円、中規模病院(100~399床)では精神医療センター太宰府病院(福岡)の61万3000円が最も高かった。大規模病院(400床以上)では(1)三豊総合病院(香川)の111万円(2)大垣市民病院(岐阜)の3万5000円の順で、これらの病院は一般会計からの繰入前でも、医業損益のみで黒字を出していた。
総務省は「繰入前損益が黒字の病院は、不採算部門を持っていても黒字を確保できている状態。今回の調査・研究事業ではこうした病院の黒字理由や経営改善策を分析したい」(自治財政局地域企業経営企画室)としている。
■診療報酬改定「大幅なプラスを」/日医、10年度予算概算要求で要望書
日本医師会は7月1日までに、2010年度予算の概算要求に向けた要望書を舛添要一厚生労働相、与謝野馨財務・金融・経済財政担当相のほか、自民党4役に提出した。最優先課題としては、医療保険関連で10年度診療報酬改定の大幅なプラス改定や患者負担の軽減措置のための財源確保を要望。安定した医療提供体制の実現と医師・看護師確保対策の確立に向けても、多くの新規項目を盛り込んだ。
今回の要望書は、要望事項のみで金額は記載していない。
患者負担の軽減措置については、制度改正を前提としない、あくまで緊急措置的な要望であると強調。70~74歳の患者負担は、08年度と09年度は軽減特例措置で1割負担に据え置かれていることから、その拡大を図ることで実質的な負担軽減につなげていくとの考えを示した。
具体的には、現行の義務教育就学前の2割と義務教育就学中の3割を「負担なし」とする。義務教育終了後から69歳までは現行3割を2割に軽減。70~74歳については、現行2割を1割としている軽減策を継続する。75歳以上については現行1割を維持する。現役並み所得者については、70~74歳、75歳以上ともに現行3割を2割とする。軽減措置に伴う給付は原則、税を充てる方針も示した。(7/2MEDIFAXより)
■特定健診の基準値を実態調査/日医総研WP
日医総研は、疾患選別の指標となる検査基準値の実態把握を目的とするアンケート調査を実施し、その結果を「臨床検査部門における特定健診基本健診項目の基準値の実態」と題したワーキングペーパー(WP)にまとめた。
特定健診・保健指導が2008年4月に開始されたことに伴い、健診機関などでは基準値の取り扱いについて、メタボリック・シンドローム判定や保健指導判定値が加わったことで混乱が生じるようになった。今回の調査はこうした実態を把握し、特定健診での各検査項目の基準値を再検討するための基礎資料を得るのが目的。
調査は08年度日医臨床検査精度管理調査に参加した3161施設のうち、1513施設に協力を求め、1412施設から回答を得た。ただ、検査項目によって空欄の回答もあったため、最終的な有効回答数は検査項目ごとに集計した。
HDLコレステロール(有効回答1001件)では、男女別の基準値を設定していた施設は約半数の477件に及んだ。男女共通の基準値を利用している施設の平均基準値は39.5~89.6mg/dL。男女別の基準値を利用している施設では、男性38.6~78.2mg/dL、女性41.3~87.5mg/dLだった。基準値の分布をみると、下限値では保健指導判定値を境界として男性が低値、女性が高値になる傾向が強い。
WPは約半数の施設が基準値を男女別に設定していることを踏まえ、保健指導判定値も男女別に設定すべきとしている。また基準値の上限を設定していない施設は107件に上り、高HDL血症の疑いを見逃す可能性があるとして再考が必要と指摘している。
■救急の拡充には療養病床の確保を/慢性期医療学会
国立病院機構大阪医療センター救命救急センターの定光大海診療部長は6月26日、浜松市で開かれた日本慢性期医療学会のシンポジウム「救急崩壊と慢性期医療」で、急性期医療側から見た療養病床の必要性などについて講演した。3次救急医療などで入院中の患者を退院させられないため、新たに患者を受け入れられない状態が起きていることに強い問題意識を示し、患者の受け皿となる慢性期病院との連携を円滑に行うことで、急性期医療の拡充を図るべきと強調した。
定光氏は、2008年4月から09年3月の間に、大阪医療センターを退院した救急搬送患者646人のうち、約17%が入院期間が1カ月以上(救命救急センターとその後の一般病床の利用を含め)だったと報告。このうち、ほかの医療機関に移り、30日以上の入院が必要だった患者の転院先の約8割は、回復期リハビリテーション病床と療養型病床だった。
これらの結果から定光氏は、急性期病院に十分な人員がいても、満床などの理由で患者の受け入れが困難な場合があるとし、慢性期病院など受け皿となる医療機関との連携の必要性を強調した。「療養病床の確保は救急医療全体にも影響する」とも指摘。「受け入れる病院で、こういう患者は受けられる、こういう患者は無理と言ってもらい、可能な患者を受け入れてもらう。そこに連携が発生する」と話した。
■「2200億円削減」の撤回は評価/健保連、政府予算編成で見解
健保連は7月2日、2010年度政府予算編成に関する見解を発表した。10年度予算の概算要求基準(シーリング)で社会保障費2200億円の削減が行われないことを評価した。一方、「骨太の方針2009」については「歳出改革を継続するとし、削減に含みを残したもの」と指摘。これまでの一律的な歳出削減で「社会保障制度に歪みが生じている」とし「政府は社会保障機能を強化する意思を国民に示すことが必要」と主張した。
医療保険分野での10年度予算については、前期高齢者への公費投入を最優先して行うほか、急性期入院医療と産科・小児科・救急医療などに財源を重点的に配分すべきとした。
また、08年度からの高齢者医療制度の実施に伴い「健保組合の支援金などの負担が急増した」と指摘。09年度の健保組合予算は前年度に引き続き6000億円を超える赤字で、赤字組合の割合は92%に達するなど「健保組合の存立自体が危機的状況にある」と主張し、前期高齢者への公費投入と、健保組合に対する財政支援の大幅増額を求めた。
社会保障制度の再構築に当たっての財源確保については「中期プログラムの方針に沿って、消費税を含む抜本的な税制改革を進めるべき」とした。
■集約化でオープンシステム促進を/経済同友会が提言
経済同友会はこのほど、「地域を主体とする医療制度を目指して」と題する中間報告書をまとめた。地域医療の連携強化に向け、診療所の医師が基幹病院の設備を利用して自身の患者の治療を行う「オープンシステム」の促進を提言。これに向けて医師の技術料(ドクターフィー)を区分するなどの診療報酬体系の見直しを訴えている。
報告書では、公立病院の統廃合を進め地域の医療機関で重複する診療科を集約し、高度な設備や医療機器などを集中的に配置することで地域医療の効率化を図るべきと指摘。集約化された基幹病院を活用した「オープンシステム」の拡充を訴えている。人員の集中配置にもつながるため、医師不足などの課題にも対応可能としている。
「オープンシステム」の拡充には、どの医療機関で診療しても医師本人に支払われる技術料(ドクターフィー)を、病院の開設・運営費(ホスピタルフィー)と分離する必要性も指摘。「技術評価の方法について議論を要するが、医療行為の難易度を反映した設定にすることで、医師の技術向上のインセンティブにもなり得る」とした。
地域の医療機関の連携強化には、IT技術を活用すべきとしたほか、診療データに基づく標準医療が全国に行き渡る環境を国が主体となって整備すべきとも提言。2011年度からのレセプト完全オンライン化を実現するために、当初のスケジュール通りに確実に実施するよう求めた。
このほか、基幹病院の経営体制に関しては、病院経営を専門家に任せ、医師は医療に専任することを提案。経営と執行で役割を分担する株式会社制度を活用することで、安定した病院経営を行えるとしている。
■医師不足対策で「産婦人科の志望者増えた」/舛添厚労相
連合は7月2日、2010年度予算編成に向けた重点要望事項をまとめ、舛添要一厚生労働相に要請した。重点要望では最低賃金の底上げなど労働関連事項と併せて、医師不足対策や医療提供体制の整備・充実を要望。舛添厚労相は「医師不足対策で産科分野に相当、力を注いだ結果、09年度の募集状況を見ると産婦人科の志望者は増えているし、ハイリスク分娩管理加算も大きな病院で算定している。やはり政策を変えていけばそれなりのことはある」と話した。
舛添厚労相は「09年度は医学部定員を約700人増やすなど、長期的に戦略的なビジョンを描けた」と指摘。女性医師の勤務環境にも言及し「短時間労働の要望が最も強いので、これを進めていきたい」と述べた。
さらに「今は医療提供者側からの対策だが、患者の方からの死因究明制度などもあり、それら施策のバランスをどう取るか。適切に対応していきたい」と話した。
■介護支援専門員の国家資格化を検討/介護支援専門員協会・木村会長
日本介護支援専門員協会(木村隆次会長)は6月28日、一般社団法人への移行後、第1回目となる社員総会を開いた。木村会長は介護支援専門員の国家資格化に向けた議論を進めていると説明し「大学教育の中でどのように位置付けるのかも検討しなくてはならない。それを確定した上で、今、働いている介護支援専門員の国家資格化を検討していく」と述べた。
■子宮頸がん予防ワクチン、早期承認を/専門家団体など厚労相に要望
「子宮頸がん征圧をめざす専門家会議」など4団体は7月2日、舛添要一厚生労働相を訪問し、子宮頸がん検診の受診率向上や子宮頸がん予防ワクチンの早期承認などを求める要望書を提出した。要望書では▽細胞診とHPV検査を用いることにより有効な検診制度を確立する▽現在、承認申請中の子宮頸がん予防ワクチンを早期承認する▽女性が収入や地域によらず、平等に子宮頸がん予防ワクチンを接種できるよう、公費負担や公的医療保険による被接種者の費用負担軽減を定める―の3点を求めている。
ワクチンの承認について舛添厚労相は「ほかのものに優先させてということでやっている」と説明。接種の費用負担については「ほかの病気との兼ね合いもある」とし、「どういう形で負担を軽減できるか検討したい」と述べた。
■生活保護を悪用か、病院理事長ら2人逮捕/診療報酬、詐取の疑い
奈良県大和郡山市の医療法人雄山会「山本病院」が生活保護受給者の診療報酬をだまし取ったとされる事件で、県警捜査2課は7月1日、詐欺の疑いで、理事長で医師の山本文夫容疑者(51)=同県香芝市今泉=と事務長大杉龍太郎容疑者(57)=大阪市中央区高麗橋1丁目=を逮捕した。捜査関係者によると、詐取の総額は約1000万円以上にのぼるとみられる。捜査2課は郡山署に捜査本部を設置。全額が公費で賄われる生活保護の医療扶助制度を悪用したとみて、事件の全容解明を急ぐ。
捜査本部によると、山本容疑者は「間違いありません」と供述。大杉容疑者は「山本(容疑者)と組んで不正な請求をしたことに間違いない」と供述している。大杉容疑者は、診療報酬事務などの責任者だった。逮捕容疑は2005年12月と07年1月、生活保護を受けていた67歳と69歳の男性患者に心臓カテーテル手術をしたように装い、診療報酬計約170万円をだまし取った疑い。捜査本部によると、男性2人はいずれも、頼るあてがなくすぐに入院治療が必要な患者で、大阪府内の別の病院から転院してきた。
奈良県警は6月21日に病院や理事長宅など関係先を家宅捜索し、カルテなどを押収。患者をコンピューター断層撮影(CT)で調べた結果、心臓カテーテル手術で体内に入れたとされる網状の筒が確認できなかった。県によると、同病院は80床。6月21日現在で入院患者79人のうち、45人が生活保護受給者。病院関係者によると、不要な心臓カテーテル手術や検査などが繰り返されていた疑いもある。【共同】
◎新型インフルエンザ編
■「新型」感染者、1500人超す
国内の新型インフルエンザ感染者は、7月3日午前11時現在、44都道府県で1518人(検疫での確認を含む)となっている。前日の同じ時間から74人増えた。
■タミフル耐性を初確認/北欧の新型インフル患者で
世界保健機関(WHO)は6月29日、デンマークの新型インフルエンザ感染者の中から、抗ウイルス剤タミフルに耐性を持つ初のウイルス検体が確認されたことを明らかにした。タミフル投与はワクチンが完成していない現在、新型インフルエンザの治療で最も有効な手段だが、タミフルが効かないウイルスの感染が拡大すれば、対策の練り直しを迫られる恐れもある。【ジュネーブ6月29日共同】
■「新型」でタミフル耐性ウイルス/国内初、大阪で確認
厚生労働省は7月2日、大阪府に住む新型インフルエンザ感染者から、抗インフルエンザウイルス薬「タミフル」が効かない可能性があるウイルスが検出されたと発表した。新型インフルエンザでタミフル耐性ウイルスが見つかったのは国内では初めてで、世界でもデンマークに次いで2例目。今後、国立感染症研究所で薬剤に対する感受性を詳しく調べるが、耐性を獲得してもウイルスの病原性に影響はないという。
大阪府は耐性ウイルスを6月18日に検出していたにもかかわらず、「耐性ウイルスが広がる恐れはなく、より詳細な検査が必要」として、今月1日まで厚労省に報告していなかった。厚労省が2日、府に公表を促し、同日発表したという。
■医療体制確保に財政支援を/新型インフルで知事会
全国知事会の常任委員長を務める愛知県の神田真秋知事は7月3日、厚生労働省を訪れ、新型インフルエンザ対策で医療体制確保について国の財政支援などを求める知事会の要望書を江利川毅事務次官に提出した。
要望書は、一般医療機関について発熱外来の運営や設置にかかる経費を国が財政支援するよう要求。医療従事者確保のため、医療従事者が感染した場合の補償制度の創設を求めた。今後、毒性が強まった場合に流行拡大を防ぐため「(道路など)交通を長期間遮断する権限」を知事に与えることも盛り込んでいる。神田知事は提出後「スピーディーに対応するには、首長に権限を与える必要がある」と述べた。【共同】
◎京都編
■医師が出馬を表明/10年4月の京都知事選
10年4月15日に任期満了の京都府知事選で、京都民医連第二中央病院院長で医師の門祐輔氏(53)が7月2日、京都市内で記者会見し、無所属での立候補を表明した。共産党京都府委員会や京都総評などからなる「府民本位の新しい民主府政をつくる会」が近く正式に推薦する見通し。門氏は大阪市出身。1980年に京都大医学部を卒業、京都府内の病院勤務などを経て、2003年から現職。専門は内科とリハビリテーション医療。「人と命が大切にされる府政が目標。そのために必要なことは国にも要求する」と述べた。
現在2期目の山田啓二知事は態度を明らかにしていない。【共同】
■18~34歳半数/子ども欲しくない/京都市調査「出産、育児に費用」
京都市は、2010年度から5年間の新しい子育て支援計画を策定するために実施した「結婚と出産に関する意識調査」の結果をまとめた。「子どもが欲しくない」と回答した人が半数近くに上り、理由として「出産・育児などにお金がかかる」など経済的な理由を挙げる人が目立った。
調査は子育て支援計画策定の資料にしようと、08年12月に18~34歳(同4月1日現在)の市民6500人を対象に実施し、2140人から回答があった。
回答者のうち、結婚していない人は1252人で、結婚しない理由(複数回答)を聞いたところ、「結婚したい異性に巡り合えない」が38.5%と最も高く、「結婚後の経済的な生活基盤に不安がある」(32.3%)などが続いた。
また、「子どもが欲しくない」と答えた人も970人に上った。理由は「出産・育児などにお金がかかる」が45.7%と最も多く、「育児と仕事の両立が困難」も20.2%だった。子どもを持つために求める条件は「子育て・教育費の負担軽減措置」(40.4%)がトップだった。
市児童家庭課は「結婚や出産を希望していても、経済的な不安から踏み出せない人が多い。調査結果を今後の子育て支援施策に反映させたい」としている。
◎調査・データ編
■75歳以上の医療費11兆円/08年度、1人当たり85万円
国民健康保険中央会は7月2日、08年4月スタートした後期高齢者医療制度の対象である75歳以上の2008年度医療費は、総額11兆2935億円(速報値)で、1人当たりは年間85万3391円だったと発表した。
直接比べられる数字はないが、07年度の国民健康保険に加入する老人(年度途中の10月から対象を75歳以上に引き上げ)の1人当たり医療費86万9163円より、1万5772円下回った。
国民全体の医療費は近年、33兆円強で推移しており、総人口の約1割の75歳以上が、この3分の1を使っていることになる。
都道府県別に見ると、平均入院日数が短く1人当たり医療費が少ないなどとして、厚生労働省が長い間医療費抑制のモデルとしてきた長野(71万2147円)を、新潟(70万2778円)が年間で初めて下回った。入院医療費が長野より低かったのが影響した。
1人当たり医療費が最も高い福岡(108万1244円)は新潟の1.54倍だった。【共同】
■DPC対象病院に232病院が移行/合計1283病院に
09年度DPC対象病院に232病院が1日から加わった。2007年度DPC準備病院のうち、4月1日に対象病院に移行した335病院と合わせて09年度は567病院が新たに対象病院となった。厚生労働省はこのほど、7月から対象病院となった232病院と調整係数を告示した。これで対象病院の総数は1284病院となるが、1病院が廃院手続き中のため実質的には1283病院となる。
■非正規労働者の失職22万人に/正社員3割増、厚労省調査
08年10月以降に職を失ったか、または09年9月までに職を失う見通しの非正規労働者数は22万3243人に達することが6月30日、厚生労働省の調査で分かった。
08年10月から09年6月までの失職者数を調べた5月の前回調査より3.2%増加。自動車など生産の一部に回復の動きもあり、調査の対象期間は延びたものの増加率は低下している。
一方、08年10月から09年9月までに失職する正社員は3万5261人。09年6月までの失職者数を調べた5月調査より32.6%増えており、正社員の削減には歯止めがかかっていない。企業が非正規労働者の削減をほぼ一巡させ、正社員の削減に動いていることが裏付けられた。
失職する非正規労働者のうち、派遣社員の占める割合が61.6%と最も多い。再就職できた人は3万325人で、動向が分かった人のうち31.4%にとどまったものの、前月調査よりは5.3ポイント上昇した。非正規労働者の都道府県別では愛知県が3万7059人と最も多い。長野県が1万46人、静岡県が9263人と続き、上位3県の順位は前月と変わらなかった。【共同】
■大都市圏で感染者割合増、白血病ウイルス108万人/厚労省研究班
母乳を通じて母子感染し、白血病などを引き起こす可能性がある成人T細胞白血病ウイルス(HTLV1)について厚生労働省研究班が約20年ぶりに実施した調査で、感染者の地域別割合がもともと高かった九州で減少し、関東や中部、近畿の大都市圏で増加したことが6月27日、分かった。
国内の感染者数は約108万人と推計。旧厚生省研究班が1988~90年度にまとめた調査の約120万人と比べ大きな変化はなかった。これまで全国的な対策は取られておらず、子供への感染を防ぐ取り組みが急務となりそうだ。
研究班班長の山口一成国立感染症研究所客員研究員は大都市圏での割合増加について、感染者が多い九州からの人の移動が背景にあると指摘。「妊婦への抗体検査や授乳指導を実施している自治体は一部に限られ、感染者総数もあまり減少していない」と話した。
HTLV1はATLと呼ばれるタイプの白血病や、歩行障害などが出る脊髄症(HAM)の原因となる。ATLの発症率は3~5%。根本的な治療法はなく、年間約1000人が亡くなっている。
今回の調査は、2006~07年に初めて献血した全国の約119万人を対象に実施、3787人の感染が確認された。
感染者の地域別割合は、九州が前回調査の50.9%から41.4%に減少。一方、関東は17.3%(前回10.8%)、中部8.2%(同4.8%)、近畿20.3%(同17.0%)で、いずれも前回より増加した。
前回と比較できるデータはないが、北海道は2.3%、東北は3.4%、中国四国は7.2%。
母親が感染している場合、母乳などを通じた母子感染率は20%程度とみられるが、粉ミルク使用や、生後3カ月までの短期授乳などで感染をほぼ防止できるとされる。
厚労省によると、妊婦健診時の検査や授乳指導を公費で実施している自治体は、岩手、秋田、静岡、高知、長崎、宮崎、鹿児島県など一部にとどまっている。【共同】
■結核新規患者、9年連続減少も小幅に/08年登録者調査
2008年に新たに結核患者として登録された人は2万4760人で、9年連続で減少したことが29日、厚生労働省のまとめで分かった。人口10万人当たりの新規患者数を示す罹患率は19.4で、新規患者数と同様に9年連続で減少した一方、減少幅はこの9年で最も小さかった。
厚労省が同日公表した「08年結核登録者情報調査年報集計結果(概況)」によると、08年の新規結核患者は前年から551人減少。罹患率も前年から0.4ポイント減少したが、罹患率が減少に転じた2000年以降、対前年比の減少幅は最も小さかった。厚労省によると、減少幅は2000年の3.6ポイントから、03年には1.0ポイントまで低下。07年は0.8ポイントと小さくなる傾向にあるという。
罹患率を地域別に見ると、大阪市(50.6)、名古屋市(31.5)、堺市(28.9)、東京都特別区(28.6)など大都市で高かった。最も低い長野県(10.2)と大阪市では約5倍の開きがあり、依然として地域差が大きいことが明らかになった。
一方、08年の結核による死亡者は2216人で、前年から22人増加した。死亡順位は25位で、前年の27位から2ランクアップ。死亡順位が上昇したのは、1999年以来10年ぶりだ。
■石綿健康被害の給付、前年より増加/厚労省
厚生労働省は6月29日、石綿による健康被害の給付について2008年度の請求件数と支給決定件数の速報値を発表した。前年度に比べ、請求件数、支給決定件数とも増加した。
労災保険法に基づく石綿による肺がん・中皮腫の請求件数は、08年度は1268件で07年度の1127件から12.5%増、08年度の支給決定件数は1063件で07年度の1002件から6.1%増だった。石綿救済法に基づく特別遺族給付金の請求件数を見ると、08年度の256件は07年度の113件と比べて2倍以上の増加となる126.5%増だった。支給決定件数は、08年度は121件で07年度の99件から22.2%増となった。
■都道府県の09年度予算、医師確保事業費が2.3倍/手当、奨学金など待遇改善
へき地医療や産科、救急などを中心に深刻化する医師不足に対処するため、都道府県が2009年度の当初予算で、前年度の2.3倍に上る総額219億円の医師確保事業費を盛り込んだことが6月27日、共同通信社のアンケートで分かった。
全体の6割を救急医への手当助成など09年度に大幅に拡充された国の補助事業が占めたが、研修医らへの奨学金制度など都道府県の単独事業も約90億円と前年度より3割以上増えた。ただ待遇改善につながる制度を設けても応募がなく廃止される例もあり、医師確保の決め手が見つからない現状も浮かび上がった。
国の補助事業は129億円で、妊婦の救急搬送拒否問題などを受けて新設された「救急勤務医手当」(32都府県が導入、65億円)、「分娩手当」(34都府県が導入、31億円)の割合が高かった。うち救急で9都県、分娩で14都県が自主財源で手当を上乗せしていた。7府県はこれらの手当について、補正予算での導入を検討中と回答した。
都道府県の単独事業では、一定期間、地元で勤務することを条件にした医学生や研修医への奨学金制度が、福岡以外の全都道府県に拡大。21都道県では、有給で自主的な研修ができる期間を設けるなど好条件で医師を職員として採用し、人材が足りない地域の病院に派遣する「ドクタープール制度」を採用している。
しかし、滋賀県は「応募者がいない」としてドクタープール制度を09年度に廃止。山口県も、同じ理由で、出産、育児などで離職した医師の再就職支援事業を取りやめた。都道府県担当者からは「自治体の努力だけでは限界がある。医師のへき地勤務の義務化など、国による抜本的な改革が必要だ」(新潟県)などとする声が目立った。【共同】
■がん拠点病院「新要件満たせない」/医療従事者の確保困難
がん診療連携拠点病院の指定をめぐり、2010年4月から適用される新たな指定要件について、医療従事者の確保が困難なため「要件を満たせない」との声が都道府県から上がっている。現在、指定されている病院は、09年10月末までに要件を満たした上で更新を申請することが必要で、拠点病院の指定更新を見送る病院が多く出る可能性がある。厚生労働省健康局がん対策推進室は、指針を見直す考えはないとの認識を示しており、「経験者を活用するなど柔軟な人員配置を」と呼び掛けている。
厚労省は08年4月、拠点病院の整備指針を見直し、指定要件を改定。病理診断の医師や緩和ケアチームで緩和ケアを行う看護師を専従させることを求めるなど、人員配置の面で旧指針よりも厳しいものとした。厚労省は都道府県に対し、09年10月末までに新要件を満たした上で更新を申請するよう求めている。
だが全国衛生部長会が09年1月に行った調査では、回答のあった39都道府県の約75%が「すべての病院が新要件を満たすのが困難」と回答。「緩和ケアにかかわる医療従事者の配置」「専任の放射線治療医の配置」「専従の病理診断医の配置」など、人員配置の要件を満たすことが難しいと考えている都道府県が多かった。
厚労省が3日に開いた全国がん対策関係主管課長会議でも、都道府県の担当者から「医師の確保が難しく、要件を満たせないという病院がある。2次医療圏に1カ所というが、拠点病院のない地域ができてしまう」との声が上がった。厚労省健康局がん対策推進室にも都道府県から同様の意見が多く寄せられているという。同室はこの日の会議で「拠点病院は県や地域を代表する病院なので、要件は満たさなければならない」とし、指針を見直す考えがないことを強調。「院内外での経験者を活用するなど、柔軟な配置をお願いしたい」と担当者らに求めた。
■後期高齢者医療費、初年度は約11兆3000億/国保中央会08年速報
2008年度に国保連合会が審査確定した医療費の総額は21兆9585億円で、このうち後期高齢者医療費は全体の51.4%に当たる11兆2935億円だったことが7月2日、国保中央会のまとめで分かった。市町村国保の医療費は10兆810億円だった。
国保中央会が同日、発表した08年度の医療費速報によると、市町村国保の被保険者数は3615万人で前年度から1.5%減少。後期高齢者は1323万人だった。国保組合を加えた国保・後期高齢者の合計は5294万人で、前年度から3.62%増加した。
後期高齢者医療費を07年度の国保老人の医療費と比較すると、21.1%の増加。市町村国保でも前年度から1.9%増加した。
1人当たりの医療費は後期高齢者が85万3391円で、市町村国保(27万8848円)の3.06倍。都道府県別に見ると、後期高齢者で最も高い福岡県(108万1244円)と最も低い新潟県(70万2778円)では1.54倍の開きがあった。市町村国保では最高の広島県(34万1078円)と最小の沖縄県(23万3240円)で1.46倍開いた。
一方、介護サービス費の総額は7兆494億円で前年度を4.3%上回り、初めて7兆円を超えた。内訳は施設サービスが3兆1596億円(前年度比1.1%増)、居宅系サービスが3兆3161億円(同5.9%増)、地域密着型サービスが5737億円(同14.3%増)。施設サービスのうち介護療養型医療施設のサービス費は4956億円で前年度を8.0%下回った。
介護サービスの受給者数は月平均約376万人で、前年度より4.1%増。要介護認定者数(要支援含む)は同約469万人で、3.1%増だった。国保中央会は「以前と逆に、近年、受給者数の増加率が認定者数の増加率を上回る傾向にある」としている。
■メタボ健診、受診率60%/08年度の健保組合
40~74歳を対象にした特定健診、いわゆる「メタボ健診」の2008年度の受診率は、大企業のサラリーマンらが加入する健康保険組合の平均で59.8%(速報値)だったことが、健康保険組合連合会の集計で7月3日、分かった。
特定健診は08年4月に導入され、健保組合には扶養家族も含め約3000万人が加入。国は12年度までの目標として、加入者の受診率80%を掲げている。初年度はこれを大幅に下回った。
健保加入者本人の受診率が75.0%なのに対し、扶養家族は32.5%にとどまった。
従来、加入者の配偶者らは市町村が実施する住民健診を受けていたため、健保受診への切り替えがスムーズに進んでいないとみられる。受診率が低いと、後期高齢者医療制度への支援金増額などの罰則が健保に科される可能性もあり、受診増への取り組みが課題となる。
全国の約1500の健保組合に健診データの提供を求め、95.8%から回答があった。【共同】
■「解剖でも判断できず」が20%/診療関連死で法医学会調査
2007年までの5年間に、医師の診療に関連して患者が死亡して行われた司法・承諾解剖904件のうち、診療と死亡の因果関係について「解剖医では判断できない」とされた例が20%に上ったことが3日、日本法医学会の全国調査で分かった。診療ミスが明らかになったのは14%だった。
診療関連死に関する学会の本格的調査は初めて。結果をまとめた舟山真人東北大教授(法医学)は「生前の状態も把握する臨床医と共に原因究明する必要があると分かった」と分析。国の「医療安全調査委員会(仮称)」設置をめぐる議論で参考にしてもらう意向だ。
大学法医学教室など84機関にアンケート方式で実施、59機関が回答した。刑事訴訟法に基づいた司法解剖が734件、遺族の了解で行う承諾解剖が170件あった。
調査によると、診療行為と死因との因果関係について「ミスが明らか」が14.7%、「ミスや事故の可能性が高い」が11.5%。「ミスの可能性は否定できない」が15.3%、「否定できる」が31.9%で「判断できない」が20.9%に上った。
「明らか」と「可能性が高い」を合わせた237件について原因とみられるトラブルを複数回答で尋ねると、患者管理が80件、内科的処置や検査67件、外科手術60件、薬剤38件。警察への届け出は医療機関側が91.1%に対し、遺族からの届け出は8.0%だった。
診療関連死をめぐり厚生労働省は08年6月、医療安全調査委設置法案の原案を公表したが、警察への通報に関し医師が反発、国会に提出されないままとなっている。【共同】
◎環境編
■原子力大綱の改定先送り/トラブル続き、政策停滞
国の原子力委員会(近藤駿介委員長)が、原子力利用の基本方針を示すためにほぼ5年ごとに改定してきた「原子力政策大綱」の2010年の改定を先送りすることが7月2日、分かった。
地震による原発の被災や、核燃料サイクルの中核施設である日本原燃の核燃料再処理工場(青森県六ケ所村)にトラブルが続いたことなどで政策の先行きが不透明となったことが理由。原子力委は「(10年に改定しても)現行の大綱と同じような内容になりかねない」としており、この間の原子力政策の停滞が浮き彫りになった形だ。
10年の改定に向けた有識者による委員会設置は当面見送り、次回改定作業の開始時期は未定。
現行の原子力政策大綱は、1956年から約5年ごとに改定されていた原子力研究開発利用長期計画(長計)を引き継ぎ、05年に原子力委が策定。使用済み核燃料を全量再処理し、抽出したプルトニウムを燃料に再利用する核燃料サイクル路線を堅持する一方、使用済み燃料を再処理せず直接処分する技術も検討することを初めて明記した。
しかし、肝心のプルトニウムを抽出する再処理工場は、試運転段階でトラブルが続発して本格操業入りを度々延期。プルトニウムを一般の原発で燃やすプルサーマル計画も始まらず、電力業界が当初の目標を5年先送りしたばかりだ。
06年に改定された耐震指針に基づき国が進める原子力施設の安全性検証作業も、07年の新潟県中越沖地震で柏崎刈羽原発が被災した結果、新しい知見を反映する必要に迫られて長期化。95年のナトリウム漏れ事故以来停止中の高速増殖炉原型炉もんじゅ(福井県敦賀市)も、トラブルや耐震補強工事の影響で運転再開が遅れている。【共同】
【週刊マスコミ論調】
■医療問題、医療政策
■社会情勢など
■医学、健康
■新型インフルエンザ、感染症など
■高齢者医療、福祉、年金、介護、少子化
■医療事故、医事紛争、副作用
■その他事件など
■保団連・保険医協会関係
■京都周辺の動き(医療関係、ほか)
■主な連載(医療全般)
医療ルネサンス 老いの達人医療ルネサンス てんかんを知ろう
検証京都の新型インフルエンザ
新型インフルと日本人 読売
生と死を考える 臓器移植法改正をめぐって
■環境全般
■核開発・原子力発電・エネルギー問題
〈核問題〉
〈原発問題〉
〈エネルギー問題〉
■大気・水質・土壌汚染・地球温暖化問題
■食の安全
■アスベスト・じん肺問題
■改憲・平和問題など
■京都周辺のうごき(環境・原発ほか)
■おもな連載(核、環境、平和ほか)
温暖化ガス15%削減への道 日経
- 【ウイークリーダイジェスト】
- 【週刊マスコミ論調】
- ■医療問題、医療政策
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- ■医学、健康
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