週刊医療情報インデックス
2009年6月第3週 (2009.06.16~2009.06.22)
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【ウイークリーダイジェスト】
■臓器移植法改正A案、衆院で可決/年齢制限を撤廃
衆院は6月18日の本会議で、臓器移植法改正案につ いて採決を行い、A案を賛成多数で可決した。投票総数430票 のうち、賛成263票、反対167票だった。同日はA~Dの各案に ついて採決する予定だったが、最初のA案で過半数の賛成を得 たため、残り3案は採決されなかった。A案は参院に送付され 審議されることになる。
臓器移植法改正の最大の焦点は、現行法では臓器提 供する場合に限り「人の死」とされている脳死の定義と、15歳 未満の子どもからの臓器提供を認めるかどうかだった。
18日に衆院で可決されたA案は、原則として脳死を 人の死と定義。本人の書面による生前の意思表示と家族の同意 を必要とする現行法を大幅に緩和し、本人の意思が不明な場合 でも、生前の拒否がない限り、家族の同意で臓器提供を可能と している。現行法では提供の意思表示ができる年齢を15歳以上 としているが、本人の意思が不明でも提供が可能となることか ら、年齢制限は撤廃され、子どもからの提供ができるようにな る。
一方、A案に批判的な議員が09年、国会に提出し、 A案とともに多くの支持を集めると有力視されていたD案は、 年齢制限は撤廃するものの脳死の定義は現行法通りで、15歳未 満からの提供は家族の同意と第三者機関の審査を必要とするな ど厳格な運用を規定。このほか提供可能年齢を12歳以上に引き 下げるB案と、脳死の定義をより厳格化するC案の計4案が提 出されていたが、患者団体や日本移植学会は、最も移植の機会 が拡大されると期待されるA案を支持していた。
現行の臓器移植法は1997年6月に成立した。施行後 3年の見直しが規定されており、患者団体などが早期の改正を 要望。与党の有志議員から2006年にA、B両案が、07年には野 党の有志議員からC案が提出されたが、国会での審議は進んで いなかった。
08年5月に国際移植学会が渡航移植の制限を盛り込 んだイスタンブール宣言を採択。世界保健機関(WHO)も自 国内での臓器移植を促す方向性を示しており、15歳未満の子ど もへの移植の道が断たれる可能性が高まったことから、改正に 向けた議論が急速に活発化した。
ただ、依然として脳死を人の死とすることに対して 慎重な意見もあり、野党議員の中には参院への新法案提出を模 索する動きもある。衆院解散の時期も迫る中、今国会での成立 はなおも不透明だ。
■「介護人材育成戦略」を提言/社会保障改革推進懇 談会
社会保障改革推進懇談会(座長=吉川洋・東京大大 学院教授)は6月18日、報告書をまとめ、松本純内閣官房副長 官に提出した。社会保障国民会議が提言した社会保障制度改革 は「着実に進んでいる」とした上で、さらに改革を進めるため 不足が慢性化している介護人材の育成に向けた提言などを盛り 込んでいる。
報告書では、介護労働を新卒者だけで充足すること は極めて困難とし、他業種からの転職者が介護分野に定着する ための方策が必要と指摘。人材定着には、金銭的処遇の改善だ けでなく、サービス供給主体の在り方も含めた対策が必要とし た。
具体的な対策として(1)介護報酬引き上げと介護 従事者の賃金への反映(2)介護事業所の経営改善(3)介護 労働者の処遇向上と介護サービスの質の向上(4)職業訓練の 強化-を柱とする「介護人材育成戦略」を提言。09年度の介護 報酬改定が賃金水準に与えた効果についての「定量的なデータ の分析」や、介護事業者の会計などの透明化のほか、サービス の「質」の意義を明確化させる必要性を指摘している。
社会保障改革推進懇談会は、社会保障国民会議の報 告書に基づく社会保障制度改革の進捗状況を監視するため設置 された。今後は「安心社会実現会議」の報告書で設置が提案さ れた「安心社会実現本部」などに役割を引き継ぐ見通しだ。
■負担の議論「与野党で討議を」/安心社会実現会議 が報告書
政府の「安心社会実現会議」(座長=成田豊・電通 最高顧問)は6月15日、報告書を取りまとめた。安心社会実現 に必要となる財源については「消費税を含む税制改革への行程 を示すことが必要」と指摘。これに向けた議論には「与野党が 党派を超え『安心給付と負担の在り方』をめぐる基本原則につ いて討議と合意形成を進めるべき」とし、与野党による「円卓 会議」の設置を検討する必要性を盛り込んだ。
報告書では、社会保障国民会議が08年まとめた報告 書の実現に向け、工程表に基づく諸改革の着実な実行を訴える とともに、2011年度までに取り組むべき「緊急施策」として「 社会保障番号・社会保障カードの導入」「コミュニティーにお ける医療・介護連携の推進と、それに連動した独居高齢者に対 する住宅保障」など10項目を列挙した。10年代半ばまでに達成 すべきこととして「社会保障勘定」の創設や、消費税の社会保 障目的税化の検討などを挙げた。また複雑な社会保障制度への 信頼を高めるには制度を分かりやすく示す必要性があるとも指 摘し、ライフサイクルに合わせて受けられる具体的な給付やサ ービスを示す「社会保障ハンドブック」の配布も盛り込んだ。
従来の社会保障給付の在り方については、年金、医 療、介護など「高齢世代への支援が中心だった」とし、「これ までの仕組みをそのまま維持することは困難。高齢世代の安心 を支えるためにも、現役世代・次世代を対象とした給付の比重 を拡大していく必要がある」と指摘。「緊急施策」にも、子育 て支援や教育改革、非正規雇用の処遇格差是正など、雇用や教 育、少子化対策を念頭に置いた課題が多く盛り込まれている。
■原案でも「骨太06踏まえ」はそのまま/きょう自民 ・政調全体、紛糾必至か
政府の経済財政諮問会議(議長=麻生太郎首相)は 6月16日、「経済財政改革の基本方針(骨太方針)2009」の原 案を示した。原案は、2010年度予算でも骨太06を踏まえた歳出 改革路線を継続するとの考えを示し、素案の内容をほぼ踏襲。 社会保障費2200億円削減についての言及も避けたままだ。自民 党内で反発が強かった「骨太06を踏まえ」との表現も依然とし て生かしていることから、17日の政調全体会議でも文言の削除 を求めて議論が紛糾することは間違いなさそうだ。
骨太09の原案は、安心・活力・責任をキーワードと する内容。安心社会実現会議や、3月に首相官邸で開かれた有 識者会議などの意見も参考にしている。
焦点となっている「今後の財政運営の在り方」につ いては、骨太06を踏まえて歳出改革を維持する考えを強調した 。今後の財政健全化目標についても、素案と同様、新たな目標 として「国・地方の債務残高対GDP比」を位置付け、「20年 代初めには安定的に引き下げる」とした。プライマリーバラン ス(基礎的財政収支)の黒字化目標についても「今後10年以内 に確実な達成を目指す」と11年度という期限を先送りした。
医療関係については、素案段階で自民党内から要望 が上がっていた高齢者医療制度に言及。「高齢者の心情に配慮 しつつ、よりよい制度への見直しを着実に進める」と約束した 。さらに「高額療養費制度等について、患者負担の現状や医療 保険財政の状況等を踏まえつつ、その在り方を検討する」との 文章も付け加えた。
与謝野馨経済財政担当相は会議終了後の記者会見で 、2200億円削減問題について「自然増は認めるが、一定の効率 化を図りますというのが正確な表現。もう一方では社会的に必 要な機能強化はやらないといけないという認識で、この2つは 相矛盾していると思っていない」と説明した。
また「自然増を認めるとしても若干の効率化をやら なければいけないというのは理の必然で、その効率化が2200億 円という具体値として表現されているだけ」とも解説。厚生労 働省には効率化に向けたメニュー作りを指示することになると し、「社会保障関係の受給者の立場を犠牲にするということで はなく、それと関係のないところで、できないかというのが厚 労省に与えられた宿題だと思っている」と述べた。
厚労省分割議論については具体的な記載は見送って いるが、「『安心社会に向けての行政基盤の強化』という表現 に厚労省の問題も当然含まれている」と主張。「この文言は、 官房長官の下で関係省庁と打ち合わせ済み」とも説明した。
■社会保障の機能強化、前倒し実施/麻生首相「予算 を集中投入」
麻生太郎首相は6月16日の経済財政諮問会議で、関 係省庁が優先して取り組む「最優先課題」を提示した。麻生首 相が示した課題は「安心社会実現」と「経済危機克服」の2点 。複数の省庁が関連する課題については、省庁横断的にプロジ ェクトチームを設置する方針を示した。
麻生首相は同日の諮問会議で「私が提案した最優先 課題について(骨太方針2009に)しっかり盛り込んでほしい」 と要求。「これらの最優先課題には政府横断的に人員と予算を 傾斜配分、集中投入していく所存である」とし、自らが示した 課題克服に意欲を示した。
安心社会の実現に向けては「社会保障の『ほころび 』の修復なしに政府への信頼回復はない」と指摘。社会保障の 安定財源を制度的に確保した上で、効率化を図りつつ機能強化 を前倒しで実施していく意向を示した。また、少子化対策や子 育て世代への支援も強化するとした。
安心社会実現に必要な基盤整備に関しては、情報イ ンフラや行政体制、人材の傾斜配置などへの取り組みを政府横 断的に進めるとした。
与謝野馨経済財政担当相は同日の諮問会議終了後に 会見し、最優先課題に充てる財源について「財務大臣の立場で 申し上げると、簡単にこれだけのお金を使えるとは言えない」 とし、現時点で配分できる予算額の明言を避けた。さらに「( 社会保障制度の)機能強化をやるときに財源のことも考えなが らやるのは当然。財源の目安がついて初めて機能強化ができる 」とも述べた。
一方で「麻生首相から(安心社会実現と経済危機克 服について)特別枠をつくって、この2分野での課題を解決し ろということなので、財務省としても、それなりの対応をしな ければならないと思っている」と述べ、何らかの手当てが必要 との認識を示した。
政府は同日の諮問会議に、税制抜本改革の道筋を示 す「中期プログラム」の改定案を提示した。「経済危機対策」 や補正予算などで一時的に講じた社会保障施策の今後の対応に ついて、前回の諮問会議で追加した文言に加え「『経済財政改 革の基本方針2009』における社会保障の機能強化の必要性の観 点等を踏まえつつ」との文章を追記した。
■2200億円分「いろいろな形で補填する」/麻生首相
麻生太郎首相は6月18日、参院厚生労働委員会で、 社会保障費2200億円削減問題について「巨大な財政赤字を抱え ていることを考えると、効率を良くする、無駄を省くという旗 はきちんと立てておかないといけない。旗を立てながらも現実 問題として2200億円の分はいろいろな形で補填する」と述べた 。小池晃氏(共産)らの質問に対する答弁。
小池氏は「冷房を入れて寒くなり過ぎたから、スト ーブを入れて暖めるような形はやめろ」と強調。2200億円削減 で社会保障に悪影響を与えつつ、それを繕うために補正予算で 社会保障対策を講じていると批判し、骨太方針2009で2200億円 削減の撤回を訴えた。福島みずほ氏(社民)も「2200億円削減 を撤回しないのは、メンツの問題に過ぎない」と厳しく追及し た。
山本博司氏(公明)が、歳出削減路線を継続すると した骨太09の原案の考え方を尋ねたのに対し、麻生首相は「少 なくとも経済危機克服と安心社会実現の2つは最優先課題と思 っている。重点的にメリハリをつけて対応するよう指示してい る」と答弁。効率化を図りつつも、社会保障に影響が出ないよ う配慮する考えを示した。
舛添要一厚生労働相は、2200億円削減問題について 「セーフティーネット機能を拡充し、社会保障制度を国民が安 心できるようにするためにはもはや限界。08年度の議論でも社 会保障、医師不足は例外として扱ったことから、これと同じよ うにしたいと考えている」と述べた。
■麻生首相「D案賛成」でA案に反対票/「脳死は人 の死」難点
麻生太郎首相は6月18日、衆院本会議での臓器移植 法改正案の採決で、可決されたA案に反対票を投じた。首相は 本会議終了後、国会内で記者団に「D案に(賛成票を)入れる つもりにしていた」と述べた。
その理由については「臓器移植への道を開く傍ら、 脳死についてはまだ世の中の意見がきっちり固まっていないの ではないかと思っていたので」と説明。A案は一律に「脳死を 人の死」と位置付けているのが難点だったとの認識を示した。
ただ、首相はA案可決に関しては「臓器移植を望ん でいた方々にとって、立法府として結論を出せたのはよかった 」と評価した。
一方、各党党首では、民主党の鳩山由紀夫代表、公 明党の太田昭宏代表もA案に反対した。このほか、自民党の小 泉純一郎元首相、民主党の小沢一郎代表代行は賛成票を投じた 。
■消費増税「避けて通れない」/党首討論で麻生首相
麻生太郎首相は6月17日、民主党の鳩山由紀夫代表 との党首討論で、社会保障の財源として「消費税は避けて通れ ない」との認識をあらためて示した。麻生首相は、少子高齢化 が進んでいる現代社会で社会保障政策を実施するためには「財 源問題の話なくして対応はできない」と表明。経済状況の好転 を前提とした上で「消費税を含めて、税の抜本改正をやらせて いただく」と述べた。
鳩山代表は、社会保障費の財源について「徹底的に 無駄遣いをなくしたいという方向から始めたい」と主張。大規 模な公共事業の廃止などで「20兆円くらい新しい政策に予算を 計上したい」と見積もった。
また鳩山代表は、消費増税に関して「4年間、(民 主党が)政権を取っても消費税の増税をしない」と明言した。 社会保障費に消費税を充てるとの考えに対しては「本来なら消 費税を上げないで済む話」と切り捨てた。
■概算要求基準、7月上旬に/与謝野財務相
与謝野馨財務・金融・経済財政相は6月19日の閣議 後会見で、10年度予算の大枠を決める概算要求基準(シーリン グ)の策定時期について「主要国首脳会議(サミット)、都議 選、衆院選、国会会期末などあらゆる日程を考えると、7月上 旬の可能性が最も高い」と語った。今後の政治日程に配慮し、 例年は7月下旬以降に行う閣議了解を前倒しする考えを正式に 表明した。
麻生太郎首相が16日の経済財政諮問会議で指示した 「経済危機克服」と「安心社会実現」の2分野への重点配分( 特別枠)については、年末の予算編成で配分を決める方針を示 した。
■PB黒字化目標「もろくも崩れ去った」/与謝野経 財相
与謝野馨経済財政担当相(財務相)は6月16日、参 院厚生労働委員会・財政金融委員会連合審査会で、国の財政再 建目標について「骨太の方針2006に書かれている11年度のプラ イマリーバランス(基礎的財政収支)の黒字化目標は、経済危 機でもろくも崩れ去った。23日の骨太09で、中期的な目標、財 政再建の道筋について政府の考え方をしっかり示したい」と表 明した。柳田稔氏(民主)の質問に対する答弁。
柳田氏は「もろくも崩れ去ったでは、あまりに無責 任」と追及。これに対し与謝野経財相は「骨太06は、そのとき のわれわれの持ち得る最善の知識、見通しで書いたが、07年後 半から始まった金融不安や実体経済悪化は予想できなかった。 申し訳ないが、日本が制御できない事柄で、もろくも崩れ去っ たというのが実感だ」と理解を求めた。
■A案、賛成の約8割は自民/民主・公明は反対が多 数
各党が党議拘束を外す中、臓器移植法改正A案が衆 院本会議で可決されたのは、自民党議員の圧倒的多数が賛成し たためだ。賛成263票のうちの8割近く(202票)を自民党議員 が占めた。これに対し、民主、公明両党は反対票が上回った。
自民党で反対したのは77人で、棄権・欠席は24人。 医師でA案提案者の中山太郎元外相らは、臓器移植を推進する 学会や患者団体の強い要請を受け、国会内で勉強会を開催し、 個別に支持を働き掛けた。こうした熱心な活動に「衆院選を控 え、議員心理が動いた」(中堅)との声が漏れた。
一方、民主党は賛成41人、反対65人。A案に反対し た鳩山由紀夫代表は「脳死を人の死と本当に言い切れるのかと の思いがあった」と判断の理由を説明した。ただ、幹部で反対 したのは鳩山氏だけで、小沢一郎、菅直人の両代表代行や岡田 克也幹事長、山岡賢次国対委員長は賛成した。
公明党は賛成12人、反対18人。共産党は「審議が尽 くされていない」として採決前に棄権の方針を決定。社民党は 「本人意思(の確認)という大事な点がすっとばされた」(阿 部知子政審会長)などの理由から結果的に7人全員が反対し、 国民新党は5人全員が棄権した。
■骨太06の踏襲「絶対認めない」と尾辻氏/自民・総 務会、22日に再議論
自民党は6月19日の総務会で、「経済財政改革の基 本方針(骨太方針)2009」の原案と「中期プログラム」の一部 改定案の了承を見送った。尾辻秀久参院議員会長(元厚生労働 相)は、歳出削減路線の象徴とされている骨太06を踏襲する内 容が骨太09に盛り込まれることは「絶対認めない」と激しく反 発。一方で財政再建論者らは、骨太06を削除すると財政再建の 旗を降ろした印象を与えると主張し、結論は得られなかった。 23日の閣議決定に向けて、22日の総務会で再び議論する。
■「骨太06残せば選挙で負ける」と悲鳴/自民・政調 会長「責任は私が取る」
自民党は6月17日、政調全体会議を開き、「経済財 政改革の基本方針(骨太方針)2009」の原案について議論した 。尾辻秀久参院議員会長(元厚労相)らは、歳出削減路線の象 徴とされる「骨太06等を踏まえ」との文言を削除するよう再三 迫ったが、保利耕輔政調会長は「骨太09は緩やかな表現に抑え られている」などと応じなかった。議論の打ち切りを宣言する 政調執行部に、尾辻氏をはじめとする社会保障費2200億円削減 の撤回論者らは「逃げるのか」「選挙で負けた際の責任は取れ るのか」と詰め寄ったが、保利政調会長は「責任は私が取る」 などと気色ばみ、最終的に政調会長一任で押し切った。公明党 も同日の政調全体会議で、骨太09について政調会長一任とした 。
自民党政調は同日の会合で、骨太09原案に加え、骨 太06に盛り込まれた「弾力条項」をまとめた資料を添付。「経 済が大きく減速する場合、財政健全化のペースを抑える」「( 1.1兆円削減は)機械的に5年間均等に歳出削減を行うことを 想定したものではない」とする当時の文書を示し、2200億円削 減撤回論の追及をかわそうとした。
しかし、「骨太06等を踏まえ」との表記を残したこ とに納得のいかない厚生労働関係議員らは、あらためて2200億 円削減の撤回を求めて執行部に詰め寄った。
尾辻氏は骨太06について「社会保障関係の人は、恨 み骨髄に徹し、親の敵のようなもの。骨太06という文言は消さ ないといけない」と主張。2200億円の削減が続く中で診療報酬 のマイナス改定も継続されてきたとし「診療報酬を上げるとい いながら、2200億円削減を残すのは矛盾もいいところ。日本中 の医師は誰1人として信用しない」と強く撤回を求めた。後藤 茂之厚生労働部会長や田村憲久介護委員長ら、ほかの厚労関係 議員も「2200億円削減は限界」と訴えた。尾身幸次元財務相も 、骨太06について「これは諸悪の根源だ」と批判。「5年前と 状況が違う。この文書を取るか取らないか、党の姿勢を示すも ので、われわれの選挙の1番の根幹となる」と強調した。
園田博之政調会長代理は「財政論がしっかりしてい るかどうかが民主党との最大の違いであり、骨太06を外すこと はできない」と説明。ただ「診療報酬は上げるべきで、そうし ないと国民の健康は守れない」とも述べた。尾辻氏は「原案に は『10年度予算の方向』と書いてある。そういう(削減の)方 針を書いて、これから違うこと(診療報酬引き上げ)をやると いう。こんなごまかしはない。骨太06を書いたら、社会保障関 係者は誰も信用しなくなり選挙は必ず負ける。責任を取れるの か」と詰め寄った。
保利政調会長は「骨太06の文言を消すつもりはない 。責任は私が取る」と言明した。
■自民がん議連が設立、会長に中川前財務相
自民党の「がん対策議員連盟」は6月17日、党本部 で設立総会を開いた。総会では、会長に中川昭一前財務相を選 出。中川会長は「がんが死亡率の第1位にもかかわらず、対策 が遅れている。例えばがんペプチドワクチン(免疫療法)は、 世界最先端の研究なので、その後押しをし、日本のがん対策の ためにお役に立ちたい」とあいさつした。
同議連は、がんの撲滅を目指すための対策をより一 層強力に推進し、日本発のがん予防・治療を全世界へ展開する 「日の丸メッセージ」の発信を支援することを理念として掲げ ている。
■有床診の入院基本料、引き上げを/自民・議連が提 言書
自民党の有床診療所の活性化を目指す議員連盟(会 長=山崎拓前副総裁)は6月17日、有床診療所の存続に向けた 提言書について会長一任を了承した。提言書では、有床診療所 の診療報酬体系について「病院と介護施設の中間程度の評価が なされるべき」と指摘。病床の種別にかかわらず、有床診療所 に支払われる入院基本料の全体的な引き上げを要望した。提言 書は舛添要一厚生労働相に提出する。
提言書では、有床診療所が減少している一因として 「病院と有床診療所との入院基本料の格差の拡大と、介護施設 をはるかに下回る入院料が病床の運営を急速に困難にしている 」と説明。有床診療所を「小規模多機能医療施設」と位置付け た上で、有床診療所入院基本料について、急性期の14日までと 亜急性期の30日までを重点的に評価するよう求めた。
診療所の人員配置に関する診療報酬体系については 、医師配置加算の引き上げを要望したほか、看護配置基準を① 4人未満②4人以上7人未満③7人以上─の3段階に設定する ことを提案した。
急性期の医療提供体制を持つ有床診療所に対しては 「入院時医学管理加算」を新設し、より重点的な評価を要望し た。
このほか地域医療の崩壊を食い止めるため、有床診 療所が地域連携の拠点になり、病院と診療所の連携強化を図る ことや、有床診療所の病床を開放病床として利用することを提 案。新たな診療所の開設を促すため、地域に必要な小規模な病 床は届け出のみで開設を認めるべきとした。
■電子私書箱構想「社会保障カードと整理を」/自民 e-Japan特命委
自民党のe-Japan特命委員会(小坂憲次委員長)は 6月17日、政府が検討している「デジタル新時代への戦略」に 対する申し入れ文書を取りまとめた。政府の「国民電子私書箱 構想」に対しては、社会保障カードなど関連する取り組みとの 関係を十分整理した上で検討を進めるべきと要請。構想の構築 自体が自己目的化しないよう、関連施策との整合性を図るよう クギを刺した。
■外来管理加算「5分ルール」を撤廃/民主・政策集 のたたき台
民主党厚生労働部門会議は6月17日、次期総選挙の マニフェストの基になる「民主党2009政策集」のうち厚生労働 関係のたたき台について了承した。外来管理加算の「5分ルー ル」の撤廃や「4疾病5事業」で中核的な役割を果たす病院に 診療報酬を加算することなどを候補として挙げた。たたき台は 今後、各部門との修正協議を行った上で政策集にまとめる。
マニフェストの取りまとめの時期について、直嶋正 行政策調査会長は同日の次の内閣閣議後の会見で「6月中に、 ある程度取りまとめができる。政策集はそれより早くできると 思う」と述べ、7月解散を想定し取り組んでいるとした。
たたき台によると、5分ルールは実際の診療になじ まないとして撤廃を求めている。「4疾病5事業」を扱う病院 に対しては診療報酬を1.2倍加算して地域医療の機能強化を図 る。同時に報酬増が患者負担に直結しないよう入院医療の窓口 負担を3割から2.5割に軽減する。
民間への売却が予定されている厚生年金病院と社会 保険病院については「地域医療支援機構」を新たに創設し、公 的存続を図る。現在、厚年病院と社保病院は売却を主な業務と する年金・健康保険福祉施設整理機構(RFO)の所有となっ ている。たたき台では、厚年病院などを新たに創設する「地域 医療支援機構」(仮称)に移し、医療法31条で規定する公的医 療機関に位置付け、公的存続を明確にさせるとしている。
このほか任意接種の子宮頸がんワクチンに対する助 成制度の創設や、インフルエンザ菌b型(Hib)のワクチン接 種を予防接種法の定期接種に位置付ける。
介護では介護報酬を10%引き上げ、介護職員の月給 を1人当たり4万円程度増やす。同時に10%引き上げに必要な 財源は公費から賄い、利用者の保険料には跳ね返らないように するとしている。
08年10月、同党は衆院の解散間近と判断し、政策を 全般的に示した「民主党政策INDEX2008」を策定した。た だ、予想よりも解散時期が大幅に遅れているため、INDEX の改訂版となる「民主党2009政策集」をまとめることになった 。
■「消費税の損税」解消へ中医協に検証委を/民主・ 梅村氏
医療機関での消費税の「損税問題」について、民主 党の梅村聡参院議員は6月16日の参院厚生労働委員会・財政金 融委員会連合審査会で、医療機関が負担している消費税が診療 報酬にどの程度反映されているかを調べる検証委員会を中医協 に設置することを求めた。舛添要一厚生労働相は「1つの問題 意識として受け止めたい」と述べるにとどまった。
梅村氏は、診療報酬に対する消費税は非課税となっ ているため、医療機関は医薬品や医療材料の仕入れにかかる消 費税をどこにも転嫁できていないと指摘した。舛添厚労相は、 消費税の導入時(1989年)と税率引き上げ時(97年)の2回に わたって計1.53%の診療報酬のプラス改定を行い、控除対象外 消費税(損税)を補填しているとした。さらに「それ以外の年 度の改定も、医療経済実態調査などで医療機関の経営状態を勘 案して改定率を設定しており、消費税の影響も考慮している」 とした。
梅村氏は「98年度以降(2000年度を除いて)マイナ ス改定が続いている。医療の側から見ると本当に補填してくれ ているのかとの疑念がある」と述べ、補填の実態について中医 協に新たな検証委を設けて調査するよう求めた。
■DPC新係数候補、10項目で固まる/中医協分科会
中医協・DPC評価分科会(分科会長=西岡清・横 浜市立みなと赤十字病院長)は6月19日、2010年度診療報酬改 定で導入する新たな機能評価係数の候補項目と、各項目を係数 化する際に算定根拠となる評価指標を大筋で固めた。候補項目 は「正確なDPCデータの提出」や「救急医療の実施状況・救 急での精神科医療への対応状況」など10項目に絞られた。今後 は中医協・診療報酬基本問題小委員会での承認を経た上で、09 年度分のDPCデータや新たに実施する調査結果などを踏まえ て、具体的な項目と評価指標を決定する。
「高度医療指数(診断群分類点数が一定程度高いも のの算定割合)」「副傷病による評価」「がん診療連携拠点病 院の評価」の3項目は、次期改定時の導入を見送ることで合意 した。
■09年度「DPC準備」手挙げは69病院/11年度から の移行目指す
2009年度のDPC準備病院に参加の意向を示した病 院が6月15日現在で69病院であることが厚生労働省のまとめで 分かった。新規準備病院は7月から診療録情報(様式1)や診 療報酬請求情報(E・Fファイル)を提出することになる。た だ、データ提出の過程などで辞退する病院が出てくることが予 想されるため、09年度準備病院の数は確定的ではない。中医協 で決定した新たな参加・退出ルールでは、対象病院への新規参 加は診療報酬改定時の年度当初のみに認めることにしたが、厚 労省は09年度準備病院に限り、改定のない11年度の対象病院へ の移行を可能とする考えだ。
■10代へのタミフル使用制限は継続/厚労省調査会が 結論
厚生労働省の薬事・食品衛生審議会安全対策調査会 は6月16日、抗インフルエンザウイルス薬「タミフル」の10代 の患者への使用制限を継続するとの結論をまとめた。タミフル 服用と異常行動との因果関係については、結論付けを見送った 。
調査会は同日、調査会の下に設置されたワーキング グループが行った動物実験や疫学調査のデータを基に、10代へ の使用制限を見直すべきか議論した。①タミフルの服用と異常 行動の因果関係に明確な結論を出すことは困難②使用制限後に タミフル服用患者が転落や飛び降りにより死亡した例がなく、 安全対策には一定の効果があった―などの理由から、使用制限 と医療従事者や患者・家族に対する注意喚起の継続を決めた。
一方、新型インフルエンザ患者に対するタミフル使 用については、リスクと得られる効果を考慮し、タミフルが使 用されるべき状況について、関係学会などに対し助言を求める 。異常行動との因果関係については結論付けを見送り、厚労省 などに対して情報収集の継続を求めた。
■地上デジタル対応を補助/厚労省、災害拠点病院な どに対し
厚生労働省は、2011年7月の地上デジタル放送への 完全移行を踏まえ、災害拠点病院などが地上デジタル放送対応 テレビなどを購入する際の費用を補助する。都道府県に対し、 医療機関の要望を取りまとめた上で8月3日までに事業計画を 提出するよう求めている。交付額は9月25日に決定する予定だ 。
厚労省医政局が10日付で通知した同事業の実施要綱 によると、地上デジタル放送に対応することで情報収集が必要 不可欠な災害時医療を円滑に行うことが目的。厚労省は09年度 補正予算で4億5000万円を計上しており、予算の積算上、約 2400台分に対応できるとしている。
対象は地上デジタル放送に対応していない災害拠点 病院や救命救急センター、2次救急医療機関。公的病院は除く 。地上デジタル放送対応テレビやチューナー機器購入費を補助 する。補助額は1カ所当たり37万円で、国庫補助は2分の1の 18万5000円としている。
■イレッサ情報の不開示確定/最高裁
副作用による死亡が相次いだ抗がん剤「イレッサ」 の承認申請をめぐり、製薬会社が国に提出した動物実験や臨床 試験の報告書の開示を市民団体が求めた訴訟の上告審で、最高 裁第1小法廷(甲斐中辰夫裁判長)は6月18日、原告の上告を 受理しない決定をした。開示を認めなかった二審東京高裁判決 が確定した。一審東京地裁判決は、動物実験の日付などに限っ て開示を認めたが、二審は「製薬会社の競争上の利益を害する 恐れがある」とし、不開示が妥当と判断した。【共同】
■対象者年間250人以上で全額返還/産科補償制度の 剰余金で機構案
日本医療機能評価機構は6月15日、産科医療補償制 度運営委員会を開き、補償対象者数が年間250人以上の場合、 保険会社は剰余金を全額返還する方向性を示した。補償対象者 が250人未満の場合は、実際の補償対象者数と250人分との差額 のみ保険会社が利益として取得できるとした。これに対し近藤 純五郎委員(弁護士)は、保険会社からみて剰余金返還の基準 が250人では少ないと指摘。「(補償対象者数が)250人未満の 場合があり得るなら、制度自体が空中分解する」と述べ、基準 の根拠に対しても疑問を呈した。
近藤委員の指摘を受け、上田茂委員長(日本医療機 能評価機構理事)は剰余金の取り扱いを厚生労働省と損害保険 会社らで再検討する方向性を示した。最初の補償申請が7月頃 になることから、今月末までに剰余金に対する最終的な対応を 決める方針だ。
同制度は補償対象者数を500~800人程度と推計して おり、これまで補償対象者数が制度設計当初の予測(800人) を下回る場合の剰余分や、上回る場合の欠損分について何らか の措置を講じるべきと指摘されてきた。
250人を基準としたことについて、厚労省医政局総務 課医療安全推進室の佐原康之室長は「公的な面が強い制度であ るため、剰余が生じた場合は返還していくことが適当ではない かと考えた。補償対象者数が500~800人になる蓋然性が高いが 、500人を切る可能性がまったくないとは言えない。制度の趣 旨にかんがみて、推計の下限値である500人の半分ということ で設定した」と説明した。
近藤委員は「ある程度合理的な根拠がないと、民間 保険会社を使う説明が通らない。最も蓋然性が高いところに基 準を置くべきで、下げるなら根拠を示すべき」と主張。木下勝 之委員(日本医師会常任理事)は「公的な制度に近いからこそ きちんと対応し、国民の納得がいく形にすべき」と再検討する 必要性を示した。
深尾邦彦委員(東京海上日動火災保険常務取締役) は「公的な制度に近いという経緯を踏まえてこういうスキーム を考えてきたが、基準を250人とするかどうかはもう少し検討 する必要がある」と話した。
剰余金が発生した場合の対応は、補償対象者数が確 定する5年後以降になるが、事務局はできる限り早期に見通し を立てて対応していくとした。
一方、保険会社から戻し入れられた剰余金について は、運営組織が同制度運営委員会に報告し、適切な利用時期や 利用方法が検討されるまで管理するとした。剰余の可能性やそ の金額が現時点では確定しないため、今後、運営委員会で適切 な利用方法を議論し、制度の充実に向けた使途を決めるとして いる。補償対象者数が上回り欠損が発生した場合は、制度の長 期・安定的運営を図るために、更新契約について保険料の引き 上げなどを行う方向性を示した。
■診療報酬の配分めぐる全国紙報道に抗議/日医・中 川常任理事
日本医師会の中川俊男常任理事は6月17日の定例会 見で、開業医と勤務医の診療報酬配分の在り方について論じた 全国紙記事に抗議した。
日医が問題にしているのは、14日付産経新聞朝刊に 掲載された「開業医と勤務医の診療報酬配分―納税者の視点で 見直せ」と題した記事。「優遇されすぎた開業医の診療報酬を 大胆に削り、その分を不足する勤務医や診療科に配分すれば、 診療報酬全体を上げなくても医師不足はかなり是正される」と している。
これに対し中川常任理事は「財政制度等審議会の受 け売りであり、開業医と勤務医の対立構造を持ち込んでいるが 、本質的な問題のすり替え」などと批判。診療報酬の総額を引 き上げない限り、医師不足解消にはつながらないとしたほか、 診療所の収入のほとんどを基本診療料が占めるのに対し、病院 には入院の診療報酬項目が多く設定されているとし、「このよ うな診療報酬の違いを理解せずに、開業医が優遇されていると 指摘するのは間違い」と訴えた。
また、記事の中で「開業医を中心とする医師会の影 響力が依然として圧倒的」とした点については「診療側、支払 い側、公益の各委員が、真正面から議論を展開している。公益 委員や支払い側委員の発言力が弱いかのような表現は大変失礼 」と反論した。
■一定以上の所得者に保険免責制を/諮問会議民間議 員の吉川氏
社会保障国民会議座長などを務め、経済財政諮問会 議の民間議員でもある吉川洋・東京大大学院教授は6月18日、 全国公私病院連盟の定期総会で講演し、持続可能な医療保険制 度を考える上で、保険免責制の導入による財源の捻出の必要性 について持論を展開した。
吉川氏は高齢化の急速な進展に対する国民負担の低 さを指摘し「現行の消費税率5%では医療の抜本的な解決はあ り得ない」と、消費税引き上げの必要性を指摘した。その上で 「消費税率を引き上げても財源は潤沢にはならない。その中で 財源を確保する工夫が必要だ」とし、保険免責制導入による財 源確保を例示した。
現行での患者の窓口負担は「小さな医療費の入り口 の議論にすぎない。大きなリスクを支えるという保険の原理を 考えた場合、それを支えるのは高額療養費制度」とし、一定の 所得のある人に対する保険免責制を導入して財源をつくり、病 院などに充当する有用性を訴えた。
医療費の病院と診療所の配分についても言及し「複 雑で高度な病院での医療行為を踏まえれば、病院にもっと多く してもいいと思う」と述べ、見直しの必要性を訴えた。「財務 省も(配分見直しに)強い認識を持っている」とし、「中医協 で診療報酬に関する議論をするには限界があると思う。それを バイパスして医療費を配分していこうという作戦の1つが今回 の補正予算だろう」とも述べた。
■A案衆院通過「移植の道開く第1歩」/患者団体な ど安堵
「移植の道を開く大きな第1歩」「なぜこんなに時 間がかかったのか」─。改正後3年での見直しが規定されてい ながら、成立から12年間たなざらしにされてきた臓器移植法。 18日衆院が出した答えは、年齢制限を撤廃し提供要件も大幅に 緩和するA案だった。同案での改正を求めていた患者らは、一 様に安堵の表情を浮かべる一方、改正案の審議に長い時間がか かったことに対する憤りをあらわにした。
衆院本会議終了後の午後2時前、国会近くで始まっ た会見。日本臓器移植患者団体連絡会の大久保通方代表幹事は 「ようやく1つの成果が出た。うれしいにはうれしいが、なぜ 12年もかかったのか」と語った。現行法成立当初から改正を求 め続け、5年前からは議員1人1人を訪ねて改正の必要性を訴 えた。ともに運動を続けてきた同会の見目政隆幹事も「時間を かけて1つ1つ誤解を解けたことが今日につながった」と安堵 の表情を浮かべた。
現行法の成立以来、12年ぶりに本会議場に入ったと いう大久保氏は「12年かかるとは夢にも思っていなかった。正 直な気持ちとして長かったなと思った」。長期間審議が滞って いたことに話題が及ぶと「不愉快だし、不信感もある」と怒り をあらわにした。患者団体とともに改正を求めてきた福嶌教偉 ・大阪大付属病院移植医療部副部長も「渡航できない人が山ほ ど死んでいくのを目の当たりにしてきた。なぜもっと早くこう ならなかったのか」と話した。
審議の舞台は参院に移るが、反対意見も根強く、今 国会での成立はなおも不透明だ。大久保氏は「まだ喜べない」 と話し、「いろいろな考えがあると思うが、(参院の)議員に は自国の現状をどうするのか考えてほしい。これ以上時間をか けないで、日本人を日本人が救える国にしてほしい」と訴えた 。
A案提出者の中山太郎元外務相は「全国の人たち、 特に自分の家族に患者を持っている人たちの今日までの悩みに 大きなともしびがついた。新しい日本の夜明けが近づいた」と 話した。福島豊衆院議員も「国際的な厳しい目の中で、立法府 が1つの判断を示したことは喜ばしい」と評価した。
患者団体とともにA案を支持していた日本移植学会 の理事会は「A案が採択されたことに学会として敬意を表する 」とする声明を発表。「法案が制定されこれからの患者を救命 するためには参院での採択が不可欠」とし、参院でのA案の速 やかな採決を求めた。
■「脳死を一律死にしないで」/移植法A案反対の遺 族ら
臓器移植法改正でA案が衆院で可決されたことにつ いて、A案に反対する遺族や市民団体が6月18日、衆院議員会 館で記者会見し、「脳死を一律に人の死としないで」などと訴 え、参院での慎重な議論や廃案を求めた。
「わたしは死体と寄り添っていたの?」。中村暁美 さん(45)は本会議場で、長女有里ちゃんの写真を忍ばせ見守 った。有里ちゃんは3年半前、原因不明の急性脳症に襲われ、 医師から「脳死」を宣告された。しかし「温かい体があり、成 長する体がある」と、2007年9月に4歳8カ月で他界するまで の約1年9カ月にわたり付き添った。「心臓が動かなくなり、 体が冷たくなって初めて家族は今、旅立ったんだと感じた。脳 死は死の宣告ではなかった」と語った。議員にも実体験を通じ て理解を求めたが、「直前まで『迷っている』と言っていた議 員が堂々とA案に投じていた」といい、「むなしさがこみ上げ てきた。この瞬間から娘は無になってしまうのか」と涙ぐんだ 。
■「外科医いなくなることを憂い行動する会」が発足
NPO法人「日本から外科医がいなくなることを憂 い行動する会」(略称=若手外科系医師を増やす会、松本晃理 事長)は6月19日、東京都内で発足記者会見を行い、18日に河 村建夫内閣官房長官、舛添要一厚生労働相、大村秀章厚労副大 臣に対して、外科医不足の解消と外科医療の質的向上を図るた め、診療報酬での外科の技術料を大幅に増額するよう要望書を 提出したことを明らかにした。
会見で松本理事長(中医協専門委員)は「外科医が 手術以外の業務に忙殺されている姿を見て、若手医師が外科を 専攻しない時代に入った。現在は外科医が足りないことが実感 できないかもしれないが、10年後には外科手術は誰が行うのか 」と述べ、外科医療の安定的提供体制の構築のために活動を展 開していく方針を示した。
同会は5月25日に東京都の設立認定を受けている。 副理事長に北島政樹・国際医療福祉大副学長と評論家の行天良 雄氏が就任したほか、理事に外科系学会社会保険委員会連合( 外保連)の山口俊晴会長(癌研有明病院副院長)、監事には日 本外科学会の里見進理事長(東北大病院長)らが名前を連ねて いる。
里見監事は「外科医療の崩壊が顕著になっていない のは、40代が外科医療を支えているからだ」と指摘し、すでに 外科志望者が1980年代の約60%になっていると説明した。外科 医療環境の改善を図る方策としては「外科手術を正当に評価す べき。診療報酬改定時には、少なくとも外保連試案の考え方を 考慮した改定をしてもらいたい」と指摘。「その実現のために は、医療にかける総額を増やす施策にかじ取りをしないと、医 療全体が崩壊する」と危機感を示した。
同会は、外科医療に対する理解を深めてもらうため の教育事業や、出版事業などを進め、健全な財政基盤を確保し ていく計画だ。
■30兆円超の財源上積み/医療保険改革で米大統領
オバマ米大統領は6月13日の国民向けビデオ演説で 、医療保険制度拡充の財源に充てるため、低所得者や高齢者を 対象とした現行の公的保険の無駄を節約するなどし、今後10年 間に3130億ドル(約30兆8000億円)を捻出する方針を表明した 。
大統領は2月に発表した予算教書で、医療保険改革 のために今後10年間で6350億ドルを「医療保険準備金」に拠出 するとしており、内政面の重要課題と位置付ける事実上の国民 皆保険導入の実現に向け、財源をさらに上積みした。
大統領は医療関連支出が財政を圧迫している現状を 放置できないとして「今行動する責務がある」と強調。政権の 重要課題として年内を目標としている改革実現に、あらためて 決意を示した。
オルザグ行政管理予算局長によると、今回の上積み で約9500億ドルに達する準備金のうち、6220億ドルは現行の公 的保険制度の見直しでひねり出した。政府は「過剰ではなく適 切な治療を受けることが重要」として、増大する一方の医療費 の抑制を狙う。
また改革により4500万人超の保険未加入者が劇的に 減少することを見越し、無保険患者を受け入れている病院への 補助金を徐々に減額することでも財源を確保する。【ワシント ン6月13日共同】
◎新型インフルエンザ編
■地域分類廃止、全医療機関で診療/新型インフル 、厚労省が指針改定
新型インフルエンザの国内対策について、厚生労働 省は6月19日、政府の基本的対処方針の運用指針を改定した。 感染状況に応じた地域分類を廃止し、原則すべての一般医療機 関で発熱患者を診療するとともに、患者は原則的に自宅療養と することが柱。秋にも予想される「第2波」に備え、重症者や 、重症化が懸念される基礎疾患患者への対応に対策の重点を移 す。今後、準備が整った自治体から順次実施する。
新たな運用指針では「患者の発生をゼロにする封じ 込め対応はすでに困難」とし、秋以降に全国的に大規模な患者 の増加が起こり得ると分析。患者の増加による医療機関の負担 軽減と、重症者に対する適切な医療の提供が必要としている。
こうした観点から、新たな運用指針では、これまで の感染状況に応じた地域分類をやめ、対応を一本化。原則とし てすべての一般医療機関で発熱患者を受け入れることとし、患 者には原則的に外出自粛を求めた上で自宅療養させる。渡航歴 ・接触歴によって患者を振り分けてきた発熱相談センターでは 、患者からの問い合わせに対し、必要に応じて診療可能な医療 機関を紹介する。
入院の必要性については、重症度や基礎疾患の有無 など重症化の可能性を基に医師が判断。感染症指定医療機関以 外の一般医療機関でも入院を受け入れ、都道府県には地域の実 情に応じた病床の確保を求める。
一般医療機関で発熱患者の診療を行う場合には、患 者の待合場所や診療時間を分けるなど、感染防止対策を取るこ とが求められる。ただ、施設の構造や設備上こうした対応が困 難な施設や産科、透析病院などは、都道府県が「発熱患者を受 け入れない医療機関」として指定できることとした。
■新型インフル感染者、700人超える/宮崎・大分で 初確認
国内の新型インフルエンザは6月17日深夜から18日 にかけ、新たに宮崎、大分両県で初の感染者が確認された。感 染が確認された地域は33都道府県に拡大し、18日午後7時現在 の感染者は715人(検疫での確認を含む)となった。
■「新型」ワクチン、7月中旬から製造/厚労省
厚生労働省は6月19日、新型インフルエンザワクチ ンの製造を7月中旬から開始すると発表した。政府対策本部の 専門家諮問委員会から「季節性ワクチンの生産を中止し、新型 に切り替えるのが適当」との答申を受け決めた。
厚労省の試算によると、すでに国内メーカーに配布 された候補株が、季節性のウイルスと同程度に増殖すると仮定 した場合、12月末までに約2500万人分を製造できる。早ければ 10月から接種が可能になるという。
季節性ワクチンは、7月中旬の切り替えまでに約 4000万人分を確保できる見通し。例年に比べて2割程度少ない が、厚労省は08年の接種実績などから大きな影響はないと見て いる。
厚労省は今後、接種の優先順位など接種体制を早急 に検討するとしている。
■感染力増すウイルス変異か/新型インフルで東大報 告
世界に広がっている新型インフルエンザウイルス( H1N1型)の一部に、人の細胞にくっつきやすくなる原因と みられる変異が見つかったと、河岡義裕東京大医科学研究所教 授らのチームが6月14日付の英科学誌ネイチャー(電子版)で 発表した。
この変異が広がると、現在より人に感染しやすくな る可能性があるという。【共同】
■半年以内に大規模感染確実/押谷東北大教授が警告
世界保健機関(WHO)で感染症対策を担当した押 谷仁東北大教授は6月13日、都内で講演し「日本で半年以内に 新型インフルエンザの大規模な感染拡大が必ず起きる。地域に よっては、早ければ数週間以内にも起きる」と警告した。
国内の現状について押谷教授は「患者間の疫学的な つながりがなく感染源が特定されないケースが出ており、明ら かに感染拡大が続いている。隔離や自宅待機を恐れて名乗り出 ていない人もいるとみられ、感染源が特定されず地域社会に広 がっている」と指摘。
予想されるシナリオとして「南半球や東南アジアで 一気に大流行する可能性がある。そうなると日本への感染者の 流入をまったく止められなくなり、冬まで局地的流行が続くこ とも考えられる」との見方を示した。
押谷教授は「重症化する患者に対する医療態勢の整 備が課題で、各地域で真剣に考えなければならない」と述べた 。【共同】
◎介護編
■介護職員処遇改善交付金、交付率を決定/厚労省 老健局
厚生労働省老健局介護保険課は、2009年度補正予算 に盛り込んだ「介護職員処遇改善交付金」(仮称)について、 事業所への助成額を決める際に必要となるサービスごとの交付 率を定め、6月17日に都道府県などに事務連絡した。実際の助 成額は、事業所の介護報酬総額にサービスごとの交付率を乗じ て算出。交付率は介護保健施設サービスは1.5%、訪問介護は 4.0%-などとした。
交付金は8月をめどに介護事業者の申請受け付けを 開始し、10月サービス分から実施する。交付金の支払いは12月 ごろに国保連を通じて始める予定だ。厚労省は常勤換算の介護 職員1人当たりの給与を月額1万5000円程度引き上げることを 想定している。
各サービスの交付率は▽通所介護1.9%▽通所リハビ リテーション1.7%▽認知症対応型共同生活介護3.9%▽短期入 所療養介護(老健)1.5%▽介護療養施設サービスと短期入所 療養介護(病院など)1.1%-など。介護職員がいない訪問看 護や居宅介護支援、訪問リハビリなどは助成対象外となる。
厚労省が当初示した案では、介護職員の人件費比率 に応じて各サービスの交付率を設定していたが、最終案ではサ ービス間で1人当たりの交付額に差異が生じないよう設定方法 を変更。サービスごとの介護職員数(常勤換算、全国計)に応 じて交付率を決め、給与水準にかかわらずサービスごとに1人 当たり月額1万5000円程度引き上がるようにした。
◎京都編
■京都府、介護職報酬上げ23億円/過去最大745億円 補正予算案
京都府は6月17日、6月定例府議会に提出する議案 を発表した。国の追加経済対策を受け、補正としては過去最大 の745億1000万円の09年度一般会計補正予算案をはじめ、府と 京都市を除く府内25市町村が税務共同化に向けて設置する広域 連合組織「京都地方税機構」の規約案など計16件を提出する。 補正後の一般会計予算の規模は9229億8500万円。
補正予算案は、緊急雇用対策や自殺対策などの基金 の積み立て約308億円が含まれており、実際の事業規模は約440 億円になる。京都市と共同で中小企業融資に充てる金融機関へ の預託金約200億円も含んでいる。
不況に伴う解雇で住居を失った人への緊急支援とし て、生活費の無利子貸し付けに1億円、一時的な宿泊施設提供 に1100万円、住宅手当ての支給に1000万円を計上した。
また介護職員の報酬を月額1万5000円程度引き上げる 処遇改善対策に23億3000万円、自殺防止に向けた総合相談窓口 の設置に7000万円、救急勤務医や産科医の手当て創設に2億300 万円、福祉施設の耐震化や防火設備の整備支援に38億6100万円 も盛り込んだ。
税務共同化を担う京都地方税機構の規約案は、府議 会だけでなく構成する25市町村の各議会にも提出されており、 すでに笠置、伊根両町議会で可決している。すべての議会で可 決されれば8月にも設置される見通し。
■新型インフル感染10人に/京都府確認
京都府は6月16日、向日市の女性(43)が新型イン フルエンザに感染したと発表した。女性は、既に感染が確認さ れ入院中の子ども3人の母で、府内在住・滞在者の感染は10人 となった。
府によると、女性は夫と子ども3人とともに、ハワ イ旅行から13日に帰国。長男(14)、次男(9)、長女(7)に 相次いで高熱が出て、新型インフルエンザ感染が確認された。 女性はハワイで発熱し、現地で抗インフルエンザ薬の投与を受 け回復している。
■1歳までの乳児事故、転落が最多46%/「京あんし んこども館」調査
1歳までの乳児の事故はベッドなどからの転落が最 も多く、動きの少ない3カ月未満でも油断できない。「京(み やこ)あんしんこども館」(京都市中京区)が実施中の調査で 、乳幼児事故の一端が明らかになった。「不慮の事故」は、子 どもの死亡原因1位。窒息など命にかかわる可能性が高いケー スもあり、「一層の注意を」と保護者に呼び掛けている。
今回のまとめは、2007年度生まれの乳児分。保護者 347人から回答を得た(有効回答327人)。「事故が起きた」は 、64.2%(210人)で350件。複数回の経験者が多く、2回以上 が70%弱、3回以上も14.2%だった。
内訳は転落が46.3%で、次いで誤飲、転倒、衝突、 やけど。転落での骨折も2件あった。月齢別では、つかまり立 ち、ハイハイで行動範囲が広がる8~11カ月が62%を占めた。 3カ月までも6.6%あり、この時期ではベッドからの転落が半 数以上に上った。
「セロハンをのどの奥に詰まらせた」(5カ月)「 スタンドの電気コードを首に巻いていた」(10カ月)など窒息 の危険があった例が9件、風呂の湯船に落ちて溺水の危険があ った例も4件あった。
同館の澤田淳センター長は「死亡例はないが、その 可能性があったのが13件。予想外に多い。動きの少ない3カ月 未満でも『ちょっとだけ』とソファに寝かせず、ベビーベッド に柵をしてほしい。注意すれば防げる事例も少なくない」と話 している。
より具体的で効果のある予防策につなげるため、同 館は京都市内で07年4月1日以降生まれの乳児の保護者に対し 、出生届出時に全員に配布しているはがきでの報告(1、2歳 の誕生日以降)を呼びかけている。
◎調査・データ編
■エイズ感染者・患者、計373人/09年第1四半期の 動向
2009年第1四半期(08年12月29日~09年3月29日) の新規HIV感染者と新規エイズ患者の合計は373人だったこ とが6月17日、厚生労働省・エイズ動向委員会のまとめで分か った。08年第4四半期から29人減少した。
エイズ動向委が同日発表した09年第1四半期のエイ ズ発生動向によると、新規HIV感染者は249人(08年第4四 半期比43人減)、新規エイズ患者は124人(同14人増)。感染 者・患者の合計を年代別に見ると、30代が153人で最も多く、 20代の90人、40代の71人と続いた。感染経路では同性間性的接 触がHIV感染者の約71%、エイズ患者の約49%を占めた。
一方、保健所でのHIV抗体検査件数は3万7788件 、保健所などへの相談件数は5万8359件で、いずれも前年の同 じ時期に比べて増加した。
岩本愛吉委員長(東京大医科学研究所教授)は「各 自治体では、個別施策層(特に男性同性愛者)に加え、中高年 層などの特性に応じ、利用者の利便性に配慮した検査・相談事 業を推進し、予防に関する普及啓発に努めることが重要」とし ている。
■未届け有老ホーム、8割が消防法違反/消防庁調査
総務省消防庁が6月18日に発表した「未届けの有料 老人ホームに対する緊急調査結果」によると、老人福祉法上に 基づく有料老人ホームの届け出をしていない施設のうち、85.7 %が何らかの消防法違反をしていることが分かった。
調査は群馬県渋川市の有料老人ホーム火災を踏まえ 、全国の未届けの有料老人ホーム446施設を対象に実施。9施 設については現在、違反内容調査中としている。
何らかの消防法違反が見つかったのは382施設。主な 違反内容は、消防訓練の実施が65.8%で最も多く、スプリンク ラー設備は14.6%、自動火災報知設備は11.2%だった。違反施 設数が最も多かったのは神奈川(88施設)で、東京(41施設) 、千葉(39施設)が続いた。消防庁は社会福祉施設などの入所 施設に対する緊急調査も実施しており、取りまとめ次第公表す る予定だ。
■小児点滴での血管外漏出は4件/08年の医療安全情 報
日本医療機能評価機構は6月15日、2006~07年に提 供した医療安全情報のうち、08年にも報告があった類似の事例 を公表した。発生件数が最も多かったのは、小児への点滴で、 輸液が血管外に漏出し何らかの治療を要した事例で、4件報告 があった。
「サクシン」や「サクシゾン」のように名称が類似 しているため、薬剤を取り違えて扱った事例は3件。手術部位 を左右で間違えた事例も3件あった。インスリン含量を誤認し て投与したのは2件だった。
このほかMRI検査への磁性体(金属製品など)の 持ち込みや、誤った患者への輸血、入浴介助時の熱傷が各1件 あった。
■オンライン請求未実施は1116病院/支払基金調査、 5月請求分
厚生労働省保険局は6月19日、2009年度からオンラ イン請求義務化の対象となった病院のうち、猶予対象となって いる病院の5月請求時点での準備状況を発表した。社会保険診 療報酬支払基金分の調査によると、4月に義務化期限を迎え、 かつ5月請求時にオンライン請求を実施できなかったのは1116 病院。このうち333病院が「レセプト電子化や回線敷設を実施 済み」や「申し込み済み」「申し込み予定あり」で、支払基金 にオンライン請求開始届を提出しているとした。
オンライン請求の猶予措置の対象となった医療機関 などは5月請求分以降、毎月オンライン請求の準備状況を審査 支払機関に提出することになっている。支払基金では5月請求 時にオンライン請求をしていない2256病院に状況届を送付し、 1934病院が提出。未回収は322病院だった。今回は6月3日ま でに提出のあったものについて状況を集計した。
レセ電や回線敷設を実施済みや申し込み済み、申し 込み予定ありとして、オンライン請求への準備がほぼできてい るのは423病院で、うち90病院は開始届を支払基金に提出して いないもののオンライン請求ができる状況にあるとした。
回線敷設の予定がない病院は89病院で、内訳は「レ セ電実施済みで回線敷設予定なし」が50病院、「レセ電を申し 込み済みか申し込み予定があるが、回線敷設の予定なし」が39 病院。レセ電申し込み予定がない病院は136病院だった。
一方、国保連も6月3日時点での状況届集計結果を まとめた。集計対象となる1438病院中レセ電実施済みは390病 院だった。「オンライン開始届を提出しているが、オンライン 請求をしていない」のは248病院、「オンライン開始届を提出 していないが、回線敷設済み」は71病院だった。
■短時間正職員制度、着実に増加/日看協調査、病院 の約2割で実施
日本看護協会(久常節子会長)がまとめた「2008年 病院における看護職員需給状況等調査」の結果概要(速報)に よると、「短時間正職員制度」を導入している病院は約2割で 、導入を検討している病院を合わせると4割近くに上ることが 分かった。久常会長は16日の記者会見で「法律で義務化されれ ば、2割、3割という規模ではなくなると思うが、義務化では ないという前提では少しづつ増えてきている」と話した。
調査は08年10月1日から同31日にかけて実施。全国 8830病院のうち、3480病院から有効回答(回収率39.4%)を得 た。今回は特に病院での看護配置や看護職員の労働状況、確保 定着の取り組みについて全国規模で実態を把握した。
一般病棟・特定機能病院(一般病棟)・専門病院の 各入院基本料を届け出ている病院のうち17.7%がすでに短時間 正職員制度を導入していると回答。導入を検討していると回答 した病院は18.9%で、合わせて36.6%だった。日看協の小川忍 常任理事は「病床規模が大きいほど、入院基本料が高いほど、 すでに導入している傾向が強い」と説明した。
前年同月と比べて入院基本料を引き上げた病院では 、50%が「超過勤務時間が減少した」と回答。「1人当たりの 夜勤回数が減少した」と回答した病院は31.4%で「退職者数が 減った」と回答した病院は35.1%だった。
給与水準については、07年度と比べて基本給と賞与 を両方引き上げた病院は10.3%で、引き下げた病院は2.8%。 月額税込給与総額(勤続10年、年齢31~32歳、非管理職を想定 )は、看護師が31万9943円、准看護師が27万7827円だった。
新卒看護職員の離職率の全国平均は07年度は9.2%だ った。05年度は9.3%、06年度は9.2%で横ばい傾向にある。入 院基本料別にみると、7対1届け出病院の新卒看護職員離職率 は8.9%、10対1が9.1%、13対1が13.2%で、看護配置が手厚 い病院ほど低い傾向にある。一方、常勤看護職員の離職率の全 国平均は12.6%(06年度は12.4%)だった。
◎環境編
■経産省が原発推進強化策/20年に発電比率40%に
経済産業省は6月18日、発電の過程で温室効果ガス を排出しない原子力発電の比率を2020年時点で40%程度に増や し、地球温暖化防止に積極活用するべきだとする原子力発電の 推進強化策をまとめた。
強化策はまず、原発の利用効率を向上させるため、 1月に導入された定期検査間隔延長を生かした運転期間の長期 化や、運転中の検査・補修の拡大などをそれぞれ推進するとし た。
計画中の18年度までに9基の原発増設は着実に推進。 30年前後に本格化する原発の建て替え時期を視野に、需要の少 ない時期に定格出力以下で運転する方法の導入や、計画から建 設までの期間短縮など、電力会社の運用を柔軟にし、投資リス クを軽減する施策を講じる。
一方、使用済み核燃料を再処理して、抽出したプル トニウムを再利用する核燃料サイクル政策は「確固たる国家戦 略として」推進すると強調。
原発でプルトニウム・ウラン混合酸化物(MOX) 燃料を使うプルサーマルの早期実施に向け業界を挙げて取り組 むことや、使用済み核燃料の中間貯蔵施設の立地、再処理で発 生する高レベル放射性廃棄物の処分場の選定を進める。【共同 】
■車CO2を50年に9割減必要/00年比で、日産が試 算
日産自動車は6月22日、新車1台当たりの二酸化炭 素(CO2)排出量を、2050年に00年比で9割削減することが 必要になるとの試算を発表した。試算結果を10年度にも策定す る中期環境行動計画に反映させる。
気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が07年 に発表した報告書を基に独自に試算した。CO2の9割削減は エンジンの燃費性能向上では達成が困難で、「車の電動化が必 要になる」と説明。10年度に日米で発売する電気自動車の開発 や普及に取り組むとしている。
また、クリーンディーゼルエンジンを搭載したスポ ーツタイプ多目的車(SUV)「エクストレイル」で、自動変 速機を装備したタイプを10年春に発売することも明らかにした 。【共同】
■青森の再処理工場で微量被ばく/40代の男性作業員
日本原燃は6月22日、使用済み核燃料再処理工場( 青森県六ケ所村)で、協力会社の40代の男性作業員が右足の指 に微量の被ばくをしたと発表した。脱衣所の床に落ちていた放 射性物質を素足で踏んだとみられる。すぐにふき取り、健康に 影響はないという。
同工場では2007年8月にも脱衣所で別の作業員の足 の裏に放射性物質が付着して被ばくしたケースがあり、原燃は 「再発はあってはならず、作業手順を見直したい」としている 。
原燃によると、19日午後4時ごろ、使用済み燃料受 け入れ・貯蔵建屋で機器の点検作業を終えた作業員の体を検査 した結果、右足の親指から放射線物質のコバルトとマンガンを 検出した。被ばく線量は0.3ミリシーベルト未満で、皮膚の年 間の許容量500ミリシーベルトを下回る。
作業員らが脱衣所で着替えた際、服などに付着して いた放射性物質が落ちたとみられる。原燃は脱衣所の床を調べ たが、ほかには見つからなかったという。【共同】
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