週刊医療情報インデックス
2009年6月第1週 (2009.06.02~2009.06.08)
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【ウイークリーダイジェスト】
■「2200億円」の記載は見送り/財政審が建議、骨太06の考え方は維持
財政制度等審議会(西室泰三会長)は3日、2010年度予算編成に関する建議をまとめ、与謝野馨財務相に提出した。11年度の国・地方の基礎的財政収支(プライマリーバランス)黒字化目標について建議は「達成困難になったと言わざるを得ない」と強調。ただ「基本(骨太)方針06の考え方を踏まえた歳出改革を維持していくことが必要」とクギを刺した。骨太06から続く社会保障費2200億円削減方針については、具体的な数値の記載を見送り、無駄の排除は必要との考えを示すにとどめた。
現在の財政状況については「公債依存度が過去最悪の水準まで落ち込み、わが国財政は極めて危機的状況」との認識を表明。「11年度のPB黒字化目標は達成困難」との見通しを示した。
今後の財政運営に向けては「財政の状況を真正面から受け止め、財政の持続可能性確保に向けた基本的考え方を国民に示すべき」とした。その上で、骨太06の基本的な考え方について「重要性はいささかも変わらず、むしろ一層高まっている」と強調。10年度予算でも、骨太06の歳出改革を維持すべきとした。
さらに、財政の持続可能性を確保する上で「債務残高対GDP比の発散を止め、安定的な引き下げが必要不可欠」と強調。達成時期は明示しなかったものの「PB黒字化に向け、その道筋を示しつつ、その早期実現を図るべき」ともうたった。
■財政審建議、自由開業制を否定/病院への手厚い診療報酬を主張
6月3日にまとまった財政審の建議では、社会保障費2200億円削減についての具体的な言及を避けたが、「社会保障分野においても、骨太2006などの歳出改革の基本的方向性は維持する」と記した。病院勤務医の負担解消に向けては、病院に対する診療報酬の手厚い配分を求めたほか、医師の偏在解消策として現在の自由開業制を否定し、一定程度の規制を設けるべきと提案した。中医協の在り方の見直しも要求した。
社会保障については「将来世代へ負担を先送りしないことが必要」との原則論を展開。給付と負担の対応関係を明確化するため「中期プログラムの考え方に沿って、社会保障費用の区分経理の在り方について議論を深める必要がある」とした。社会保障費2200億円削減問題については具体的な言及を避けたが、「社会保障分野においても、骨太06などの歳出改革の基本的方向性は維持する」とだけ記した。
医療については、医師不足や勤務医の過重労働といった課題を列挙し、背景には、地域間、診療科間、病院・診療所間の医師偏在問題が横たわっていると指摘した。解消に向けては「病院に対する診療報酬を手厚くする」「医師の能力などに応じた配分が可能になるような見直しを行う」など、診療報酬の配分を大幅に変えるべきと提言した。
さらに診療報酬改定の在り方についても見直しを要求。ヒアリングで「中医協で病院経営の在り方を含めた議論を行うことは難しい」との指摘があったことを重要視し、「中医協以外の場においても、医療費の配分について幅広く議論された上で、それが中医協での議論・決定にも適切に反映される必要がある」とした。さらに、委員構成を含めた中医協の在り方の見直しも求めた。
医師の適正配置に向けては「医師の養成には多額の税金が投入されていることなどにかんがみれば、医師が地域や診療科を選ぶことなどについて完全に自由であることは必然ではない」と指摘。ドイツで地域や診療科ごとに定員枠を設けていることを例に挙げ、自由開業制などを一部規制する考えも盛り込んだ。病院勤務医の負担軽減を進めるため、高い技能を持つ看護師やコメディカルの養成・活用が必要との見方も示した。
医療分野の効率化・合理化関係では、後発医薬品の使用促進や医療給付の効率化、レセプトオンライン化などによるIT化の推進が必要との見方を示した。
また、医療費総額の増加を許容すると同時に、保険料と税負担の増加を抑制する方策についても言及。具体策として「諸外国を大きく下回っている私的医療支出(自己負担や民間保険など)を増やすという選択肢を視野に入れることが必要」とした。財政審が以前から主張している「保険免責制度の導入」についても検討課題に挙げた。
10年度にひかえる診療報酬・薬価改定については「民間賃金や物価の動向などを踏まえて総額を検討する必要がある。特に病院・診療所間の配分の抜本的見直しが必要」と重ねて強調した。
■08年の自殺者は3万197人/60歳前後の多さ目立つ
厚生労働省の2008年の人口動態統計(概数)によると、自殺者数は3万197人で、08年に続き3万人を超えた。
年代ごとでは、50代後半(3464人)をトップに、60代前半(2959人)が続いており、60歳前後の多さが目立った。20~30代では自殺者数は少ないものの、死因としては1位だった。
都道府県別に算出した人口10万人当たりの自殺者数は、秋田が37.0人と最多で、青森34.1人、岩手33.7人と続いた。少なかったのは、岡山19.7人、愛知20.0人、香川20.1人の順だった。【共同】
■介護現場の医療行為、法規制含めて検討/政府答弁書
政府は6月2日の閣議で、介護職員が医療処置を行うことについて「医師法、保健師助産師看護師法の規制の在り方も含めて検討を行う必要がある」とする答弁書を決定した。水戸将史氏(民主)の質問に答えた。
水戸氏は、介護職員が養成課程で専門的な知識や経験を習得し、特定の医療処置を行えるようにすべきと提案。これに対し答弁書は「介護現場で医療の必要性が高まっている」との認識を示し、当面、2月に立ち上げた「特別養護老人ホームにおける看護職員と介護職員の連携によるケアの在り方に関する検討会」で検討を進めるとした。(6/3MEDIFAXより)
■日本脳炎、幼児の定期接種再開/改正省令が施行
日本脳炎の定期予防接種について、09年2月に正式承認を受けた乾燥細胞培養日本脳炎ワクチンを第1期(標準年齢3~4歳)の定期接種の対象とする改正省令が2日、施行された。日本脳炎の定期接種は2005年から事実上中断されているが、省令改正により4年ぶりに再開された。
当面は供給量が少ないため、厚生労働省は、第1期(3回接種)のうち最初の2回について円滑に接種が行えるよう、自治体などに求めている。積極的な接種勧奨を差し控える措置は継続し、この間に接種の機会を逃した人に対しては、厚労省が経過措置を検討している。
従来のマウス脳由来の日本脳炎ワクチンの位置付けは、今回の省令改正の影響は受けず、引き続き定期接種の対象となる。
■国会会期延長、7月28日まで/臓器移植法改正案が焦点
衆院は6月2日の本会議で、3日までの通常国会の会期を7月28日まで55日間延長することを、与党の賛成多数で決めた。与党は会期延長で、2009年度補正予算の関連法案のほか、懸案となっている臓器移植法改正案の成立を目指す。臓器移植法改正案は、与党の有志議員による「A案」「B案」と、野党の臓器移植慎重派による「C案」のほか、与野党有志による折衷案として「D案」も提出されている。
■ナースプラクティショナー導入を議論/規制改革会議
政府の規制改革会議(議長=草刈隆郎・日本郵船相談役)は6月5日、経済財政諮問会議の議論を受けて検討を進める項目を整理した。人材育成分野では、ナースプラクティショナー(NP)など専門性の高い新しい職種の導入に向けた議論を進める。
医療関係の人材育成改革は、医療クラークの普及促進や介護・保育分野での職業能力評価制度の導入も検討課題として挙げた。
また遠隔医療や医薬品のネット販売でITの利用を阻害している規制の見直しを検討するほか、ライフサイエンスなど先端産業分野での規制・制度改革を進める方針を示した。
最終答申に向けた論点整理などは7月中旬をめどに取りまとめ、同月下旬には公表する予定だ。
■11年度のPB黒字化断念/麻生首相「財政健全化へ新たな目標を」
政府の経済財政諮問会議(議長=麻生太郎首相)は6月3日、2011年度までに基礎的財政収支(プライマリーバランス・PB)の黒字化目標が困難な現状を受け、新たな財政再建目標の設定に向けて議論した。麻生首相は同日の諮問会議で「『基本方針2009』で新たな目標を掲げ、財政健全化への中長期的な取り組み姿勢を明確に打ち出す必要がある」と表明。「骨太06」で掲げた11年度でのPB黒字化を実質的に断念した。
与謝野馨経済財政担当相は同日、諮問会議終了後の会見で「11年度のPB黒字化が達成できないのは誠に残念」と悔しさをにじませた。その上で「代わりの財政再建目標を立てて、それに向かって政府が全力を挙げて努力していく」とし、11年度以降にPB黒字化を目指す意向を示した。
当初目標にした11年度までのPB黒字化が困難になった原因として、与謝野経済財政担当相は、「骨太06」を策定したときよりも経済成長率が大幅にマイナスになったことと、歳入額が想定したよりも悪化したことを挙げた。
歳出面に関しては「(今後も)骨太06を守っていきたい」と述べ、歳出削減方針を進めていく考えを示した。社会保障費の自然増を毎年2200億円削減する方針については「高度な政治的な問題は、与党とも話をしながら調整をしていかなければならない」と指摘。「2200億円については、まだ何も決まっていない」と述べ、社会保障費の削減方針については明言を避けた。
消費増税した場合の使い道について、与謝野経済財政担当相は「社会保障制度の持続的な維持と少子化対策に限定することになっている」との見解をあらためて示した。その上で「消費税を使って財政再建を直接行うという思想はない」としながらも、「財政再建も間接的に(消費増税の)恩恵にあずかることもある」と指摘した。
■PB黒字化、2020年代にずれ込む/内閣府が暫定試算
内閣府は6月3日に開かれた政府の経済財政諮問会議で、補正予算などの対応を含めた暫定試算を示し「プライマリーバランスについては1月段階より悪化している。2011年度の達成は困難」と報告した。その上で「少なくとも20年代の初めに後ずれする」との見通しも示した。与謝野馨経済財政担当相は「これは暫定作業のため、口頭での報告にとどめた。精査した上で、今後の諮問会議で再度報告する予定」とした。
政府は1月に「経済財政の中長期方針と10年展望」を閣議決定し、その参考資料として、世界経済の回復状況や消費増税の幅など複数の条件下で、それぞれどの時期にPBが黒字化するかという試算も盛り込んだ。この試算を策定した内閣府は同日、現在の経済状況と補正予算の対応を考慮した暫定試算を提示した。
■骨太09へ新たな財政健全化目標を/諮問会議の民間議員
経済財政諮問会議の民間議員は6月3日の会合で、2010年度予算編成の大枠を示す「骨太の方針2009」に新たな財政健全化に向けた目標を盛り込む考えを示した。「骨太06」で掲げた11年度までに基礎的財政収支(プライマリーバランス・PB)を黒字化する目標については「困難な状況にある」との認識を表明。次回の会合で、新たな財政健全化目標の具体的な提言を行う。
民間議員は、新たな財政健全化目標を打ち出す際の考え方として「債務残高対GDP比の安定化と引き下げに至る道筋としてPBの黒字化を位置付けるべき」と主張。ただ、経済が大きく変動しても対応可能になるよう「ある程度幅を持った目標が望ましい」とし、明確な数値化は避ける方針を示した。
新たな目標を達成する期間は10年程度と見積もった上で、今後5年程度に実現を目指す中間目標も掲げる必要性に触れた。
民間議員は同日の会合で、歳出改革についての考え方にも言及。「(骨太09で掲げる)新たな財政健全化目標下でも、引き続き歳出改革を着実に実行すべき」と指摘した。11年度までは「骨太06」を踏襲した上で、中期的には、社会保障の安定財源確保と機能強化を前提に、コスト削減や給付の効率化に取り組む方針を示した。
■介護人材確保へ「軽度化への評価必要」/宮島老健局長
社会保障改革推進懇談会(座長=吉川洋・東京大大学院教授)は6月1日、介護人材育成戦略の取り組み状況などについて厚生労働省や有識者から意見を聞いた。介護人材を確保する上では介護の質を評価する視点も必要だとの指摘があり、厚労省の宮島俊彦老健局長は、要介護度の軽度化が評価される仕組みを検討する必要があるとの認識を示した。
このほか、介護分野での外国人労働者の活用について、藤井賢一郎・日本社会事業大専門職大学院准教授は「経済が回復し通常の状態になれば、外国人にも頼らざるを得ない」との認識を示した上で、「『外国人でもできる』ということでは駄目。外国人でも意識の高い人を活用する必要がある」と述べた。
■2200億円の撤廃「骨太09に反映させたい」/舛添厚労相
舛添要一厚生労働相は6月4日の参院厚生労働委員会で、社会保障費の自然増を毎年2200億円削減する方針が年金・医療・介護に対して「マイナスの効果をもたらしてきた」との認識を示した上で、政府で策定を進めている「骨太の方針2009」に「(2200億円削減撤廃の)意見を反映したい」と述べた。西島英利氏(自民)の質問に答えた。
舛添厚労相は、政府が目指す社会保障制度の将来像について「『中福祉』と言うのなら、改善しなければいけない点がある」と述べ、社会保障の強化・充実を図る必要性を指摘した。その上で「財政の重荷になるという観点から考えるべきではない」とし、2200億円の機械的な削減方針を見直すべきとした。また、医師不足などの重要課題は別枠で財源を捻出するとした「骨太08」に言及し、「(09年度は)さらにもう一歩進めたい」と語った。
将来的に増加が見込まれている社会保障費の財源については「消費税を中心とした抜本的な税制改正を行って、これをきちんと財源として手当てする」と述べ、消費税を充てる考えをあらためて示した上で、「社会保障目的税的なものにして、完全に国民に還元することで理解を得ることが必要」とした。(6/5MEDIFAXより)
■社会保障の機能強化が必要/2200億円問題で舛添厚労相
舛添要一厚生労働相は6月2日、参院厚生労働委員会で、社会保障費2200億円削減問題について「国民の不安や不満を解消するため、社会保障制度のセーフティーネット機能を強化することが必要」と述べた。ただ、セーフティーネットの強化一本やりでは駄目だとし、「無駄の排除を行うべき」との見方も表明。さらに「財源投入によって、介護や医療がさらなる成長への起爆剤となり得ることを、もう少し明確にする必要がある」とも述べた。石井みどり氏(自民)の質問に対する答弁。
舛添厚労相は、政府が進める2011年度の基礎的財政収支(プライマリーバランス)の黒字化や、社会保障費の抑制政策について「与謝野馨財務相も、旗はあるが相当ぼろになったと言っている」と述べ、限界に近づいているとの見方を示した。ただ「効率化をするという旗は捨ててはならず、無駄があればきちんと是正する態度を捨ててはいけない。無論、セーフティーネット論だけでも駄目だ」と述べた。
2200億円削減を骨太方針2009に盛り込むべきではないとの要請には「骨太とは、役人言葉で、国民に夢と希望を与える新しいビジョンに変えた方がよいのではと麻生首相と話した。単に財政コストとして2200億円は限界との話でなく、それを超える新しい夢と希望を与える新しいビジョンを設ける時期に来ている」と述べるにとどめた。
また「日本の人口は3000万人ではなく1億2500万人。どうしても外貨を稼がないと食べていけない。輸出戦略の中で、厚労行政でも大きな発想の転換を求められており、例えばワクチンで素晴らしいものが出来れば、外貨を稼ぐ成長産業になれる」と期待感を示した。
2200億円削減問題については山本博司氏(公明)も質問し、舛添厚労相は「社会保障費についても効率化しないといけないが、政策にはプライオリティーを付けないといけない。今、2200億円抑制が大事なのか、国民の生命と健康を守るために必要な施策を行うことが大事なのか、これは言をまたないと思っている」と応じた。
■死因究明の改善訴える/議連、国家公安委員長に
低い解剖率などが問題となっている日本の死因究明制度の見直しを検討してきた自民、公明両党の議員連盟(会長・保岡興治前法相)は6月3日、死因究明推進基本法(仮称)制定などを盛り込んだ提言を佐藤勉国家公安委員長に提出、制度改善を申し入れた。
事務局長の冨岡勉衆院議員らが警察庁を訪れ、提言書を手渡した。佐藤委員長は2日に東京都監察医務院を視察したことを明かし「これはなくてはならないものだと実感した。提言に添えるよう対応したい」と話した。
警察庁は09年度、変死体の死因を調べ、犯罪性の有無を判断する検視官(刑事調査官)を増員。コンピューター断層撮影(CT)検査で遺体内部の異常を探るAi(死亡時画像診断)を都道府県警が実施する費用を、国費で負担している。【共同】
■医療基本法策定へ、WTを設置/公明・医療制度委
公明党の医療制度委員会(委員長=福島豊衆院議員)は2日、患者の権利や義務などを定める「医療基本法」の策定に向けたワーキングチーム(WT)の設置を了承した。WTの座長には、同委員会の福島委員長が就任した。
福島委員長は同日の委員会終了後、現在の医療に関する法体系の問題点について「医療提供サイドと患者の関係や、エビデンスに基づいた医療の提供、地方自治体の責務が必ずしも明確ではない」と指摘。「現行の法体系では足りないものがある」と述べた上で「(医療基本法では)現行法で足りない理念的なものをつくっていく」と説明した。
医療基本法をめぐっては、同党の浜四津敏子代表代行が08年11月の講演で「党内の機運は盛り上がっている。(医療基本法の策定は)それほど時間を要するものではない」との見方を表明している。ただ福島委員長は2日、「(会期が延長されても)今国会での提出は難しい。論点整理まででは」との見通しを示した。
■中医協公益委員、6人体制が復活/参院本会議が了承
中医協の公益委員に新たに森田朗・東京大大学院教授を充てる国会同意人事案が5月5日の参院本会議で全会一致で了承された。衆院は4日に同意しているため、野党の不同意で欠員状態となっていた中医協公益委員は約3カ月ぶりに6人体制に戻る。
同意人事では森田氏の新任とともに、6月20日で任期の切れる公益委員の小林麻理氏(早稲田大大学院教授)の再任を了承した。任期はともに任命日から2年。
同意人事をめぐっては、09年2月の参院本会議で前田雅英氏(首都大学東京教授)の再任案を、民主、共産、社民、国民新の野党4党の反対多数で不同意とした。国会同意人事案は衆院の優越がないことから、不同意が確定した。公益委員は6人構成だが、前田氏の任期の切れた3月1日以降は1人欠員の5人体制で中医協の議事運営が進められている。
■改定時以外のDPC退出「中医協で可否判断」
中医協・診療報酬基本問題小委員会(委員長=遠藤久夫・学習院大教授)は3日、厚生労働省が提案したDPC対象病院の参加・退出ルールを原案通り承認した。病院の判断による退出は診療報酬改定の前年度末のみに認めるが、「急性期入院医療の提供ができない」など「特別の理由」がある場合は、中医協で退出の可否を判断した上で、改定を待たずに退出できることにした。
厚労省は「特別の理由」の例として①医師の予期せぬ退職などにより、急性期入院医療を提供することが困難となった場合②地域での役割が変化し、慢性期医療を提供する病院となった場合―を挙げた。退出を認める具体的な事例や中医協での可否判断の手続きなどは、今秋を目途に詳細を詰める方針だ。
改定の前年度末での退出については、改定の5カ月前までに理由を添えて厚労省に届け出れば認められる。この場合は中医協での可否判断の手続きはない。退出した病院が継続して急性期入院医療を提供する場合は、退出後2年間にわたってDPCデータの提出を求める。一度、退出した後、再び参加する場合には、準備病院と同様の手続きを踏むことになる。
新たなルールは09年度から適用するため、2010年度次期改定時に自主的に退出する場合は、09年10月31日までに届け出る必要がある。
一方、対象病院への参加の基準は①7対1入院基本料または10対1入院基本料を届け出ており、急性期入院医療を提供している②診療録管理体制加算を届け出ている③DPCの調査に、標準レセプト電算処理マスターに対応した正確なデータを適切に提出している④過去2年間の(データ/病床)比が8.75以上─の4項目とすることを了承した。
「診療録管理体制加算」については、従来の「同等の診療録管理体制を有する場合」を削除し、加算の算定を義務とした。(データ/病床)比は改定ごとに厚労省が集計して確認する。
4項目のいずれかを満たせなくなった場合は、原則としてDPC対象病院から除外する。10年度改定時に対象病院に移行する病院から適用するが、厚労省は既存の対象病院で基準を満たさない場合の経過措置について「今後検討する必要がある」としている。
■外来管理加算の試算「結果的に若人から」/中医協小委で佐藤医療課長
厚生労働省保険局医療課の佐藤敏信課長は6月3日の中医協・診療報酬基本問題小委員会で、2008年度診療報酬改定時の外来管理加算見直しによる影響額として厚労省が示していた240億円の根拠となる考え方を述べた。佐藤課長は「5分ルール」の設定などによって捻出される額のうち、ほかの診療報酬項目の新設など増額の影響も踏まえ、病院の支援に回せる額の試算は「結果的には若人分(75歳未満)の額」と説明した。
その上で「5分ルール」の設定などは高齢者と若人に等しく適用されるため実際は「影響額は全年齢に及ぶ」とした。金額面での影響が当初の想定内かどうかについては「現段階では分からない。社会医療診療行為別調査の結果を待たないといけないと思っている」と述べた。
また当時の厚労省側の説明については「総括的であったという指摘はその通り。そのため今回、時間を取って考え方を説明した」と述べた。
これを受けて、藤原淳委員(日本医師会常任理事)は「一定の理解はした。問題がすべて整理できたわけではないが、社会医療診療行為別調査の結果などを踏まえて検討してほしい」とした。
■予測値と実態の乖離「拘泥すべきでない」/中医協小委・遠藤委員長
外来管理加算に関する2008年度診療報酬改定前の厚生労働省の試算と実際の影響額に乖離があるとして、日本医師会が同加算の期中見直しを求めている問題に関連し、中医協・診療報酬基本問題小委員会の遠藤久夫委員長(学習院大教授)は3日の小委員会で、08年度改定時の経緯を振り返り「240億円の算定根拠についての説明は、ひら場では議論されなかった。一部の委員だけが(若人のみと)知っているのはよくない。算定根拠をただすべきだったわれわれも反省しなければならない」とした。その上で「個々の医療行為は点数や要件を変えれば、さまざまな医療行為が変更する。個別の算定件数などを見るだけではいけない」と述べ、医療経済実態調査の結果などを踏まえた医療機関経営全般への影響を議論していく必要があるとの認識を示した。
さらに「早い段階から、概算でも具体的な数値に基づいて議論することは必要だと思っている。ただ、試算と実態が乖離することは目に見えている。個別項目の予測値と実態の乖離にあまり拘泥すべきではないと考えている」と述べた。
外来管理加算をめぐって日医は、独自の調査を基に診療所全体で若人分と後期高齢者分を合わせて748億円の減収になると試算し、「当初想定された240億円を大きく上回る影響が出ている」として早期の見直しを求めている。これに対し4月の中医協・診療報酬基本問題小委で、支払い側委員から「240億円」が若人のみの影響試算額であるとの指摘があり、日医は厚労省に算定根拠に関する考え方を示すよう求めていた。
■最初の国内発症は神戸市で先月5日/厚労省発表
厚生労働省は6月4日、神戸市内で5月5日に新型インフルエンザの患者が発生していたことを明らかにした。これまで最も早い国内発症は神戸市以外の兵庫県の患者で、同月9日とされていた。国内発症は4日早まり、感染拡大は神戸市から始まった可能性があらためて浮上した。
厚労省によると、5月5日発症の患者は神戸市在住で10代男性の高校生。渡航歴はないという。5日にインフルエンザ様症状を発症し、6日に医療機関を受診した。18日に医療機関からこの患者の検体があるとの連絡を受け、患者の同意を得た上で神戸市環境保健研究所が検査を行った。検査結果は20日に確定し、厚労省に届け出があった。患者はすでに回復しているという。
厚労省が同日、発表した発症日別感染動向によると、ピークは17日の73例で、その後は18日の47例、19日の30例、20日の21例、21日の12例と推移している。厚労省の難波吉雄・新型インフルエンザ対策推進室長は会見で「現時点で分かることは、流行のピークは17日前後であることと、患者発生の数は減少傾向にあること」と述べた。
すでに多くの患者が治癒していることから、新型インフルエンザの累計患者数に加え、関係自治体の報告を基に集計した患者の治療・治癒の状況も公表する。4日11時現在の累計患者401人のうち、「治療中または経過観察中」は入院中を含め37人。「経過観察終了(治癒)」は358人、「調査中」6人となっている。
■病院耐震化、交付額は9月に決定/都道府県が事業計画を策定
2009年度補正予算の成立を受け、厚生労働省は病院の耐震化を促進するため、建て替え工事などにかかる経費を一部助成する新規事業を始める。災害拠点病院と救命救急センター、2次医療機関が対象で、都道府県に基金を造成して交付する。都道府県は8月末までに医療機関の耐震化に関する事業計画を策定し、9月には交付額が決定する見通しだ。厚労省医政局指導課は近日中に実施要綱を発出するとしている。
厚労省は09年度補正予算で「災害拠点病院等の耐震化」に1741億円を計上した。うち、1222億円を災害拠点病院と救命救急センター、2次医療機関などを対象とした「耐震化整備事業」に、残り519億円は国立病院機構の病棟建て替えなどの事業に充てることになっている。
「耐震化整備事業」は、耐震安全性の目安となる建築基準法上の「新耐震基準」を満たしていない医療機関などの建物の新設や建て替えを助成するのが目的。都道府県は09年から2年間の事業計画を策定するが、建物の新築など2年以上かかる事業については、厚生労働大臣の承認が得られれば工事終了期間まで計画を延長できる。実際に対象医療機関に助成金が支払われるのは、建て替え工事などの竣工後になるとみられる。
■タミフルと異常行動の関連「結論付けは困難」/厚労省・臨床WG
厚生労働省の薬事・食品衛生審議会安全対策調査会「リン酸オセルタミビルの臨床的調査検討のためのワーキンググループ(臨床WG)」は3日、抗インフルエンザウイルス薬「タミフル」の疫学調査を行った2つの研究班から報告を受けた。WGでは、調査結果から「異常行動との関連を結論付けるのは困難」としながらも、10代に対する使用制限や注意喚起は続けることが妥当との意見で一致した。近く開かれる同調査会に報告する。
同日報告された調査結果のうち、廣田良夫・大阪市立大大学院教授が行った調査は、2006~07年に全国697の医療機関でインフルエンザと診断された18歳未満の患者9666人について、タミフルの服用と異常行動に関連があるかを調べた。その結果、異常行動を起こしたのは、タミフルを服用した患者の11%、タミフルを服用していない患者の13%で、事故につながる可能性があるなど最も重篤な異常行動に限ると、タミフル服用者の0.4%、タミフル非服用者の0.3%。ともに「有意な関連を認めるに至らないが、関連がないことを意味するものではない」と結論付けた。
一方、岡部信彦・国立感染症研究所感染症情報センター長が08~09年に全医療機関を対象に行った調査によると、突然走りだしたり飛び降りたりするなどの異常行動を起こした30歳未満の患者が87人いた。さらに重度の異常行動を起こした患者のうち、42%がタミフルを、24%がリレンザを服用していた。
こうした調査結果からWGでは、タミフルと異常行動との関連を結論付けるのは困難だが、10代への使用制限や注意喚起を解除する積極的な根拠も得られていないとの意見で一致。使用制限や注意喚起には一定の効果があったとして、これらの措置は継続する方向で意見がまとまった。
■老人ホーム供給目標計画の策定を説明/担当課長会議
5月に「高齢者の居住の安定確保に関する法律(高齢者住まい法)」が改正されたのに伴い、厚生労働、国土交通の両省は6月5日、自治体の担当課長会議を開き、高齢者向け賃貸住宅や老人ホームの供給目標などを盛り込んだ「高齢者居住安定確保計画」などについて説明した。改正法では都道府県に同計画の策定を求めている
厚労省は計画策定に向けたマニュアルを提示。持ち家がなかったり、子どもがいなかったりする「要配慮高齢者」の世帯数を踏まえて、賃貸住宅や老人ホームの目標を設定するよう求めた。また、介護保険事業支援計画と連携して目標を設定するとした。厚労省老健局計画課の菱田一課長は「改正法により、福祉の観点から住宅の在り方に意見が出せるようになった。いろいろなノウハウを蓄積して今後に生かしたい」と述べた。
同法は、高齢者施設の不足や独居高齢者の増加などを踏まえ、高齢者の居住の安定確保を推進するため改正された。従来は国交省が単独で所管していたが、老人ホームや高齢者居宅支援体制などを追加したため、厚労省との共管となった。高齢者居住安定確保計画の策定のほか①高齢者生活支援施設と一体となった高齢者向け優良賃貸住宅の供給の促進②高齢者円滑入居賃貸住宅の制度改善─などが改正の柱となっている。8月中旬から順次施行する。
■診療報酬改定へ「反発承知で意見した」/財政審の西室会長
財政制度等審議会の西室泰三会長は3日、会議終了後の記者会見で、社会保障費2200億円削減問題に対する考え方について「具体的な数値を入れていないことを注目してもらいたい。金額を決めて、これだけのお金を抑制しろと主張する時代ではなくなった」と述べ、あえて建議に盛り込まなかったとした。建議の中で社会保障を重点的に扱ったことには「特に重要な緊急性のあるものに絞った。金額的にも重要な医療を掘り下げた。10年は診療報酬改定年なので、それに対応するために、われわれの意見を言わせてもらった」と述べた。
西室会長は、建議の取りまとめに当たり「何か言うと反発があるのは承知している。それを避けていたのでは意見は出せない。角が立つ部分があるかもしれないが、本当のところ、こうした方がよいのではないかということを建議でまとめた」と述べた。「特に医師には非常に評判が悪い」と前置きした上で「今回、医師の地域別、診療科別の配分について見直してはどうかと提案した」と述べた。
■後期高齢者医療の円滑化で提言へ/広域連合の全国組織発足
後期高齢者医療制度の円滑な運営・進展のための制度運営主体となる都道府県広域連合で組織する「全国後期高齢者医療広域連合協議会」が6月3日、発足した。同日開いた広域連合長会議では、会長に横尾俊彦佐賀県広域連合長(多久市長)を選出。横尾会長は「全国それぞれの広域連合が抱えている運営上の課題について意見を集約し、国に提案をしていくことが大切」と述べた。
同日は、定期的に開催する広域連合長会議や幹事会、事務局長会議を通じて連絡調整を図ることや、必要な制度改善を国に提案するなどの09年度事業計画を決めた。
同協議会は、厚生労働省が2月に開いた後期高齢者医療広域連合事務局長の会合で、広域連合の全国組織を設置するべきとの意見が複数の広域連合から出たことなどを受け発足した。
会合に出席した議員からは、後期高齢者医療制度の見直しなどをめぐる混乱に関連し、「政権奪取の動きが絡んで国民を混乱させている」など、国会での議論や厚労省の姿勢に対する不満の声も上がった。
■「安心しておこしやす」/京都市、府などが宣言
新型インフルエンザの感染が確認され、修学旅行の中止などで観光業界への影響が深刻な京都市は6月5日、京都府や商工会議所と連携し「安心しておこしやす宣言」を発表した。市によると、宣言は「感染が拡大することなく平常の姿を取り戻している」と復活ぶりを強調、「京都ならではの『おもてなしの心』で歓迎いたします」としている。
夏の風物詩、鴨川「納涼床」も始まっており、門川大作市長や山田啓二府知事、京都商工会議所会頭や市観光協会会長の連名で出した。
市の調査では1日までに修学旅行の延期や中止を決めた学校は約1050校、約14万3000人に上っているという。京都市では、中京区の小学生男児の感染が5月21日に判明。23日には下京区の専門学校に通う女子生徒の感染も確認された。【共同】
■新型インフル「広域的な対策を」/近畿ブロック知事会が要望
近畿ブロック知事会長の山田啓二・京都府知事は6月3日、舛添要一厚生労働相と面会し、新型インフルエンザ対策について意見交換した。山田知事は「県ごとの対策では破綻する」と述べ、都道府県を超えた広域的な対策を行えるようにすることを求めた。
山田知事は「京都と大阪の間だけでも、1日に鉄道だけで約63万人が移動している」と指摘。「大阪と兵庫だけで対策をしていても何の意味もないのではないか。今回は感染力も毒性も強くなくて助かったが、強かった場合は、今の都道府県ごとの対策では確実に破綻する」と述べ、国として広域的な対策を取れる計画を策定するよう求めた。
これに対し舛添厚労相は「水際作戦のようなものは、結局はバリアーを越えて入ってくる」と述べ、ウイルスの侵入を想定し、国やほかの自治体との間で互いに情報提供することが重要との認識を示した。
■インフル感染地域でも請求・支払い継続/支払基金が事業継続計画
社会保険診療報酬支払基金は5月29日、新型インフルエンザの感染が拡大した場合の事業継続計画を策定した。発生地域の支部では、感染防止対策を行うなどして、請求・支払い業務は通常通り行うとしている。
発生地域の支部でも従来通り窓口業務を継続するが、郵送によるレセプトの受け付けを勧める。診療報酬の請求・支払い業務、レセプトの審査事務についても、必要な労働力を確保して従来通り継続。審査委員会によるレセプト審査は、審査委員数が不足しても、会期の調整や審査レセプトに優先順位を付けるなどして、従来通り継続できるよう最大限努力するとしている。
一方、医療機関などとの面接懇談については、感染地域や流行の度合いを判断し、一時的に見合わせることなどを検討する。
■社会保障カードに「反対」
政府が2011年度の導入を目指している社会保障カードについて、上智大の田島泰彦教授ら28人が「政府は個人情報を一元的に管理する『国民総背番号制』の構築を狙っている」と反対の声明を発表した。
声明文は「プライバシーの権利を侵害する憲法違反のシステムだ。『便利さ』の名のもとに個人情報が一元的に管理され、監視される世界を受忍できない」としている。
社会保障カードは、年金手帳や健康保険証、介護保険証の機能を合わせたICカードで、サービス利用手続きの効率化などが見込めるとされる。28人は住民基本台帳ネットワークに反対する運動に取り組んでいる弁護士や大学教授ら。【共同】
■マスク不足や人材確保が課題に/全日病、新型インフルで会員調査
全日本病院協会は6月4日、新型インフルエンザの感染者が多数発生している大阪、兵庫両府県の会員病院を対象に5月に実施した現況調査の結果を公表した。「現在、困難となっている点」として、マスクや手指消毒液、迅速診断キット、薬剤などの確保を指摘する意見が多く挙がった。全日病は「物的、人的、情報などの支援が不可欠なことが再確認できた」とし、今後、予想される「第2波」や鳥インフルエンザ対策を国を挙げて再構築する必要性があると指摘している。
5月21日に両府県の会員病院218施設に調査票を送り、25日までに108施設から有効回答があった(回答率49.5%)。「現在、困難となっている点」を聞いた設問には63施設から回答があり、マスクや薬剤などの物的不足が36件を占めた。このほか「外来に発熱患者用のスペースがない」が12件、「仮設施設設置、別室設置による院内勤務者の確保」が5件などとなった。また37施設が回答した「職員の動揺や勤務者確保に関する支障」では、従事者の子どもが通う学校・幼稚園が休校・休園となったことで、勤務者の確保が困難になったとの回答が22件寄せられた。
回答施設のうち「新型インフルエンザ協力病院」は6病院あったが、実際に感染者を受け入れた7病院のうち5病院は協力病院以外の一般病院だった。
■日医、医療費伸び「主因は薬剤料」を修正/医薬分業が関与
日本医師会の中川俊男常任理事は6月3日の記者会見で、医療費の伸びの主因は薬剤料とした訴えを修正し、医薬分業の拡大が大きく関与しているとの見方を示した。
中川氏は、厚生労働省がまとめた医療費の動向(2008年4月~09年1月、休日数など補正後)を基に前年同期比2.2%増だった医療費総額の伸びの内訳を分析。医科は1.4%増だったのに対して調剤医療費が5.9%増と大きく伸びたとあらためて解説した。
4月8日の会見では、この調剤医療費の伸びの主因は薬剤料であると主張したが、08年4月~09年1月までの期間中の受診日数(患者数)の前年同期比が外来で1.3%減少し、調剤で2.3%伸びていることが分かったとして、調剤医療費の伸びの主因には「医薬分業(院外調剤)が拡大している要素がある」と修正した。
一方、内服薬の処方せん1枚当たりの薬剤料の前年同期比(08年4月~11月、休日数など補正前)は2.7%増(電算処理分のみ)となったが、詳細を見ると長期投薬が影響する「1薬剤延べ種類当たり調剤数量」が4.8%増である一方、薬価改定や薬剤単価による影響を受ける「1調剤数量当たり薬剤料」が3.0%減だった。
中川氏はこの結果について、長期投薬によってトータルで使用される薬剤料は変わらない可能性もあるなどとして「まだ分析の結論は出せない」とした。
■勤務医と開業医の対立持ち込んだ/日医・中川氏、建議を批判
日本医師会の中川俊男常任理事は3日の定例会見で、財政制度等審議会が同日まとめた建議を批判し、「医療現場を担う立場として非常に遺憾」と強調した。
建議は、診療報酬が診療所に偏っている現状を見直し病院に手厚くすることを求めた。中川常任理事は「病院勤務医と診療所開業医は役割分担をしながら協力し、地域医療を支えている」と強調。「建議が、いたずらに勤務医と開業医の対立構造を持ち込んだことは極めて残念」と述べた。
■新型インフル、万全の準備を/近医連総会
近畿医師会連合定時委員総会が5月31日に大坂市内のホテルで開かれ、レセプトオンライン請求の導入撤廃などを求める決議を採択したほか、兵庫県医師会、大阪府医師会が新型インフルエンザの対応に関する一連の報告を行った。
近医連総会では、7項目からなる決議を採択した。7項目は以下の通り。
①社会保障の理念に基づく国民皆保険制度を維持せよ②社会保障費の年2200億円削減を即時撤廃し十分な社会保障財源を確保せよ③安心して医療が受けられるよう患者負担を軽減せよ④実効性のある勤務医支援策を推進せよ⑤情報漏えいの危険があり、かつ必然性がないレセプトオンライン請求の導入を撤廃せよ⑥外来管理加算の5分ルールを即時撤廃せよ⑦検証なき臨床研修制度の見直しに反対する。
■財政審建議は「地域医療再生に逆行」/保団連が見解
保団連は、財政制度等審議会がまとめた建議について「断じて認めることはできない」とする見解を発表した。
診療報酬総額抑制の方針が建議に盛り込まれたことについて、見解は「地域医療を支える中小病院や診療所の経営状況は深刻化し、歯科医療は危機的な状況に陥っている。これ以上の診療報酬の総額抑制は公的医療保険の給付を縮小し、地域医療の再生に逆行するもの」と批判した。
診療報酬の配分についても「診療所から急性期病院へ診療報酬を振り向ける『財政中立』の手法では、根本問題は何ら解決しない」とし、勤務医の労働環境改善や診療所の役割を正当に評価する診療報酬体系が必要とした。
さらに、自由開業制を否定した点についても「地域間の健康・医療格差を助長することは必至であり、地域別・診療科別の保険医の定員制や、保険医療機関の定数制の導入につながることも危惧される」とした。
■医療改革でGDP8%増/米経済諮問委が報告書
米大統領経済諮問委員会(CEA)は6月2日、オバマ政権が実現を目指す医療保険改革の経済効果に関する報告書を発表した。増大する医療保険関連費用を毎年1.5%抑えることによって、2020年に約2%、30年には約8%の国内総生産(GDP)の引き上げが可能になるとしている。
米国の医療コストは年々増大し、今のペースが続けば、現在のGDP比18%から40年に34%まで膨らむ見込み。全国民に「手ごろで良質な医療保険」を提供すると公約するオバマ大統領は、今後10年間に2兆ドル(約192兆円)規模の節減計画を既に打ち出している。CEAは、計画通りに医療保険関連費用を抑制した場合、可処分所得に余裕が生まれ「生産余力を生みだし、生活水準の向上に直結する」と指摘。4人世帯の家族の収入は20年に2600ドル、30年には1万ドル以上増加し、GDPの増加につながるとの見方を示した。また財政赤字抑制や雇用悪化の歯止めも期待できるとし、経済の底上げのためにも改革が避けて通れないと結論付けた。【ワシントン6月2日共同】
◎京都編
■外来診療棟に多言語受付システム/京大病院が導入
京都大医学部付属病院(京都市左京区)の外来診療棟総合案内にこのほど、英語や中国語など5言語の画面表示で診療受け付けを手助けする多言語医療受付対話支援システム「M3(エムキューブ)」が導入された。
日、英、中国、ハングル、ポルトガルの5言語に対応する。言語を選び、痛みなどの症状や、症状のある場所をタッチパネルで選ぶと、受診科を案内する。発症時期や頻度などを多言語で患者に質問して回答してもらう機能もある。
NPO法人(特定非営利活動法人)の「多文化共生センターきょうと」(下京区)、京大、和歌山大などがシステムを開発した。一08年に京都市立病院(中京区)に導入されている。
システムは診療時間中に運用している。午前中は総合案内の職員が窓口まで取り次ぐ。
システムを開発した吉野孝和歌山大准教授(情報デザイン)は「誤解のない、正確な診療のために役立つシステムにしたい。多くの病院で使ってもらえるよう、さらに改良を続けたい」と話している。
◎調査・データ編
■合計特殊出生率、3年連続で上昇/08年人口動態統計の確定数
厚生労働省は6月3日、「2008年人口動態統計月報年計(概数)の概況」を公表した。1人の女性が一生の間に産む子どもの数を推計した「合計特殊出生率」は1.37で、06年以降3年連続で上昇した。08年の出生数は109万1150人で前年と比べて1332人増加した。
厚労省統計情報部は、出生数の増加について「08年はうるう年で1日多かったことが影響している」と分析しており、出生数と合計特殊出生率がともに増加したものの、少子化は依然、深刻な状況とみている。出生数を母親の年齢別にみると、20~24歳、25~29歳、30~34歳では減少したが、35歳以上の各階級では増加した。第1子出生時の母親の平均年齢は上昇傾向にあり、08年は29.5歳だった。
一方、死亡数は114万2467人(前年比3万4133人増)で戦後最多となった。高齢者の増加により、死亡数は03年から100万人を超えており、08年は75歳以上高齢者の死亡数が全体の約3分の2を占めた。死因別死亡数の割合をみると、悪性新生物の30.0%が最も多く、次いで心疾患の15.9%、脳血管疾患の11.1%、肺炎の10.1%─の順。悪性新生物による死亡数は34万2849人で過去最高だった。死因順位では老衰が自殺を上回った。
自殺による死亡数は3万197人で、前年より630人減少。厚労省は「月別の数字では8月までは減少していたが、9月以降増加している」と分析しており、経済不況が影響している可能性がある。
婚姻件数は72万6113組で、前年から6291組の増加。平均初婚年齢は、夫30.2歳、妻28.5歳でともに上昇した。離婚件数は25万1147組で、03年から6年連続で減少した。
■妊婦1人当たり公費負担額に7万円の差/厚労省、妊婦健診で調査
厚生労働省雇用均等・児童家庭局は6月3日、妊婦健診の公費負担の状況についての調査結果をまとめ、都道府県などに通知した。2009年4月1日時点の妊婦健診の公費負担回数は全国平均で13.96回で、08年4月時点の5.5回から大幅に増えた。一方、公費負担額は自治体によってばらつきがみられ、最大で7万円の格差があった。
調査は市区町村の妊婦健診の公費負担回数や負担額、実施する検査項目などを調べた。市区町村の妊婦1人当たりの公費負担額は、全国平均で8万5759円だった。都道府県別でみると山口の11万1127円が最も高く、徳島の10万8130円、青森の10万286円の順。最低額は大阪の3万9813円で、最高額の山口と比べ7万1314円の差があった。公費負担額の分布では「7万円以上~10万円未満」が全体の約8割を占めた。
公費負担回数の全国平均は13.96回で08年4月時点の5.5回から約2.5倍に増えた。公費負担を実施している市区町村の94.8%が14回実施していた。13回以下の市町村も25カ所あったが、うち15市区町村が09年度内に公費負担を14回に拡充する予定か検討中とした。
受診券方式で公費負担をしている1419市区町村のうち、国が例示する妊婦健診の標準的な検査項目すべてを実施しているのは42.0%だった。
厚労省は09年2月27日付の母子保健課長通知で、妊婦健診の受診回数は14回程度が望ましいとし、標準的な健診項目などを提示。08年度2次補正予算では「妊婦健診の公費負担の拡充」に790億円を計上。補正予算により、妊婦健診の公費負担回数を14回(約11万3000円)まで拡充することを見込んでいた。
公費負担の拡充では14回のうち5回分が地方財政措置、残る9回分が国庫負担と地方財政措置で2分の1ずつ補助する。地方財政措置分の使途は自治体の裁量で決まり国が指導することができないため、自治体によって公費負担額にばらつきがみられる格好だ。厚労省は「自治体の財政状況が公費負担額に影響している」(母子保健課)としている。
■6割「何もできなかった」/病院内の暴言、暴力調査
「侮辱的な言葉」など、看護師や医師ら医療機関の職員間であった暴言や暴力に対し、被害者の6割以上が「何もできなかった」と答えていることが、神戸市看護大の高田早苗元教授(基礎看護学)らの研究グループの実態調査で分かった。
看護師や医師が不足する中、離職につながる恐れもあり、高田元教授は「病院は実態を直視し、実効ある対策を取ることが必要だ」と訴えている。6日に長野県佐久市で開かれる日本看護倫理学会で発表する。
調査は2008年7~10月、近畿地方の12病院で実施。職員計2824人から過去1年間の被害の有無に関して回答を得た。内訳は看護師63%、事務職員11%、医師5%など。女性が83%を占めた。うち被害を受けたのは回答者の37%に当たる1045人。
複数回答で被害項目を聞いたところ、「ささいなことに目くじらを立てる」が多く、上司からが11.4%(回答者に占める割合、以下同じ)、医師から看護師など他職種からが7.3%、同僚からが6.9%。ほかに多かったのは「侮辱的な言葉」の上司からが10.4%、他職種からが7.7%。他職種からの「怒鳴る、物をたたく」が7.5%。「身体的セクハラ」も0.2~1.5%あった。被害者の対応では「何もできなかった」(61.8%)が最多。「周囲の人に助けを求めた」(12.8%)、「その言動をやめるように言った」(11.6%)といった積極的対応の割合は低かった。
自由記述では「医師が看護師に、横柄で虫けらのような態度を取る」「被害を受けた側が辞めていく。何とかしてほしい」などの記載があった。【共同】
■老健の4割が看取り実施/年平均5例、全老健が調査
1年間に看取りなど終末期医療を行った介護老人保健施設が41.1%に上ることが、全国老人保健施設協会が実施した「2008年度介護老人保健施設における適切な医療提供のあり方に関する研究事業」の調査で分かった。全老健は「1年間で平均5例程度行っている」と説明。川合秀治会長は6月5日の記者懇談会で、年間10例程度行っている老健も存在するとした上で「利用者の多様なニードに応えるためには、老健が手足を縛られ医療行為ができない現状は問題」と話した。
調査は09年2月に介護老人保健施設3300施設に対して行い、1388施設から回答を得た(回収率42.1%)。全老健は7月にも詳細な調査結果をまとめるとしている。
医師のオンコール体制を導入しているのは55.6%で、常時看護師が当直している施設は78.0%だった。調査では老健での医療処置の現状についても自由回答で質問。適切な医療を行うに当たっての問題点・課題については▽包括医療の弊害や他科受診の医療負担など「医療保険適用の拡大」(478件)▽看護師不足など「人材不足・人員配置基準が不適切」(146件)-などが上がった。
10年度診療報酬改定に対しては、抗がん剤注射製剤など高額薬剤の使用や、肺炎や尿路感染症といった施設内で対応できる医療の評価を見直すべきとの意見が上がった。医療体制については、ナースプラクティショナーの導入など、看護職や介護職が実施できる医療行為の範囲を拡大すべきとの指摘もあった。
■育児休業の取得、4割に満たず/日医、女性医師の勤務環境調査
日本医師会による「女性医師の勤務環境の現況に関する調査報告書」がまとまり、日医女性医師支援センターの保坂シゲリ・マネジャーが5月30日のシンポジウムで概要を報告した。
調査は2008年12月から09年1月まで、全国の病院勤務の女性医師を対象に実施。7467人から有効回答を得た。有効回答率は49.7%だった。
女性医師が休職・離職した理由は、出産や育児が多く、それぞれの割合は70.0%、38.3%だった。一方、産前・産後休暇を取得した人は79.1%で、育児休業の取得は39.2%にとどまった。育児休業中の身分保障は43.6%が「ない」と回答。同様に給与は76.9%が支給されていなかった。
また保坂マネジャーは「女性医師の配偶者が医師である場合、育児・家事に協力が得られる割合は非医師よりも低い」と説明。特に若い女性医師は非正規雇用も多く、出産・育児について法律による保護を十分に受けていないとして問題視した。
■検査キット「不足」は14.5%/神戸市医が調査、マスクは4割が不足
兵庫県内で最も新型インフルエンザの感染者の多い神戸市内で、発生当初に簡易検査キットが不足していたと感じていた医療機関は14.5%にとどまることが神戸市医師会(川島龍一会長)のアンケート調査で分かった。神戸市医は検査キットが市場で品薄になる前に希望者を募り注文。計3800キットを先月20日に希望する医療機関に配った。このほか1500キットを備蓄しており「第2波」に備えている。
神戸市医は今回の流行で迅速な対応を見せた。市の要請を受け、国の方針見直しよりも2日前倒しして、20日から一般医療機関でも発熱患者の診療を行うことを決めた。アンケートは、一般医療機関で発熱患者を受け入れてから1週間が経過した段階での状況を把握するため実施した。神戸市医会員の60%に当たる794施設から回答があった。
検査キットについては不足感を訴える医療機関は少数派だったが、マスクについては約4割の医療機関が不足していると感じていた。神戸市医は09年1月から医療用マスク2万枚を備蓄しており、1医療機関当たり50枚ずつ配っていたが、今回のアンケートでは39.9%が不足していると答えた。このため神戸市医は、市などから提供を受けたマスク数千枚を不足と回答した医療機関に配布した。
◎環境編
■プルサーマルで交付金打ち切り/経産省、7道県以外は支給せず
一般の原発でプルトニウム・ウラン混合酸化物(MOX)燃料を燃やすプルサーマルの実施受け入れに同意した道県に、それぞれ60億円を払う交付金制度を、経済産業省が3月末で打ち切ったことが6月6日、分かった。
既に交付が決定した7道県以外は、今後新たに同意があっても交付されない。経産省は「同意自治体すべてに交付すれば、早期に受け入れ努力をしたところから不満が出かねない。延長は不要と判断した」としている。プルサーマル実施以外の、MOX燃料加工施設や使用済み核燃料の中間貯蔵施設などの誘致に伴う交付金は従来通り。
巨額交付金でプルサーマル推進を図る手法には賛否があるが、打ち切りによって国の原子力政策の先行きにも影響を与えそうだ。
同交付金は、プルサーマル開始までの間に10億円、さらに開始の翌年度から2~5年間で50億円が支払われる。経産省によると、これまで佐賀県が申請し、交付金の一部が支払われたという。
2006年10月の制度開始以降、交付対象になったのは北海道(泊原発)、青森(大間原発=建設中)、静岡(浜岡原発)、福井(高浜原発)、島根(島根原発)、愛媛(伊方原発)、佐賀(玄海原発)の各道県。いまだにプルサーマル開始が具体化していない東北、東京、北陸の各電力会社と日本原子力発電の原発は支給対象にならなかった。
制度は当初、07年3月までだったが、国は08年3月、09年3月と2度延長。経産省は、早期受け入れの優遇という所期の目的を果たしたことや、10年度までに16~18基でプルサーマルを開始するという従来の電力業界の目標に間に合うかどうかを考慮。自治体からはさらに延長の要望はあったが打ち切りを決めた。【共同】
■電力8社がプルサーマル見直し/電事連が確認
一般の原発でプルトニウム・ウラン混合酸化物(MOX)燃料を燃やすプルサーマル計画について、電気事業連合会(東京)の伊藤範久専務理事は6月5日、青森市内で報道陣に「今朝、各社が見直しを確認した」と述べ、九州、四国、中部の3電力会社をのぞく8社が時期などの見直しを決めたことを明らかにした。
これまでの目標では2010年度までに全国で16~18基の原発で実施するとしていたが、達成は困難な状況で、電事連が各社に計画見直しを検討するよう要請していた。九州、四国、中部の3社は10年にかけてプルサーマルを開始する予定。
青森県六ケ所村にはMOX燃料を製造するための使用済み核燃料再処理工場や同燃料製造工場があることから、専務理事は蝦名武副知事を訪問。「原子力委員会で計画を納得感あるものに変更した方が良いと指摘された」などと経緯を説明、実施する原発数については「16~18基」を変更しないとした。
これに対し、副知事は「県は再三再四、事業所や国に10年度までとした計画実施を守るようにと言ってきた」と述べ、事実上の実施ずれこみに不快感を示した。【共同】
■プルサーマル計画見直し/10年度16~18基は困難
一般の原発でプルトニウム・ウラン混合酸化物(MOX)燃料を燃やすプルサーマル計画について、電気事業連合会(東京)が、原発を持つ電力各社に計画見直しを検討するよう要請したことが6月4日、分かった。
2010年度までに全国16~18基の原発で実施するとの目標は、現状では事実上困難になっている。国の原子力委員会も計画見直しの意向を示していた。
九州、四国、中部の3電力会社は10年にかけて3原発の計3基でプルサーマルを開始する予定だが、その他の電力では具体的な開始時期は依然、未定。目標達成は困難な情勢で、全体計画は見直される公算が大きい。
原発の使用済み核燃料を再処理してプルトニウムなどを取り出し、再び燃料として使う、国の「核燃料サイクル」政策は、プルサーマルの実施が前提となっており、計画見直しは原子力政策の先行きにも影響しそうだ。
国内では青森県六ケ所村の再処理工場が試運転中だが、電力各社は長年、核燃料再処理を英国とフランスに委託。既に再処理で生じたプルトニウムを保有している。このうち九州、四国、中部の3電力は共同でフランスからMOX燃料を海上輸送し、5月に輸送船が日本に到着。九州電力は11月に玄海原発3号機で国内初のプルサーマルを始め、四国は伊方3号機で10年1月から、中部は浜岡4号機で10年夏以降にMOX燃料を原子炉に入れる予定だ。【共同】
■静岡県が中部電に補てん要望/浜岡廃炉の交付金中止で
静岡県は6月2日、中部電力の浜岡原発1、2号機(同県御前崎市)廃炉申請により、県を通じて同市などに分配される「原子力発電所立地地域共生交付金」が09年度から打ち切られたのを受け、2012年度までに交付される見通しだった計約22億円の補てんを同社に要望した。
同日午後、花森憲一副知事から「交付金で実施を予定していた地域振興事業が継続できるよう配慮をお願いする」との要望書を受け取った同社の竹尾聡静岡支店長は「持ち帰って精査、検討する」と答えた。
同交付金は、運転開始から30年経過した原発を持つ都道府県を対象に、最長5年間で計25億円が交付され、地元自治体などに分配される。静岡県には08年度から交付を開始。09年度は約6億円が地元4市の道路整備や小中学校の校舎補修などに使われる予定だったが、経済産業省は5月、廃炉申請を理由に交付打ち切りを通告した。【共同】
■微量の放射性物質含む蒸気漏れ/柏崎刈羽原発
東京電力は6月6日、2007年7月の新潟県中越沖地震後、1年10カ月ぶりに運転再開した柏崎刈羽原発(新潟県)7号機で、タービン駆動給水ポンプの弁から微量の放射性物質を含む蒸気が漏れているのが見つかったと発表した。
ボルトを締め直して漏れは止まり、外部への影響はないという。
東電によると、6日午後1時ごろ、7号機タービン建屋を点検中の職員が、同ポンプの周辺機器に水滴が付いているのを見つけ、弁の漏れが判明した。地震後に分解点検した際に締め付けが不足していた可能性が高いという。
7号機は5日に出力を100%まで上げたばかりだった。【共同】
■森林減少抑制で温室効果ガス削減/温暖化防止、国連報告書
【ボン6月5日共同】世界で進む森林減少の抑制や、農業のやり方の変更などで、地球温暖化をもたらす温室効果ガスの大幅な排出削減が可能になるとの報告を、国連環境計画(UNEP)が6月5日、気候変動枠組み条約の特別作業部会で公表した。
UNEPのシュタイナー事務局長は「二酸化炭素の地下貯留技術に巨額の資金が使われているが、国際社会は、何千年もの間、炭素を吸収してきた自然界のことを見落としているのではないか」としている。
報告書は、熱帯林が、推定で年間1480万ヘクタール失われるなどした結果、大気中に放出される温室効果ガスの量は、世界の総排出量の約20%を占めると指摘。今のペースで熱帯林破壊が続けば、2100年までに、さらに870億~1300億トン(炭素換算)が排出される恐れがあるとした。【共同】
■広告で「25%以上削減を」/市民団体、マンガ雑誌にも掲載
温室効果ガス排出削減の日本の中期目標に関して、国際的な市民団体が6月2日付の日本経済新聞朝刊に、2020年までの排出量を1990年比で25%以上、削減するよう求める全面意見広告を出した。
麻生太郎首相がロボットを操縦して、地球温暖化と経済危機という双子のモンスターと戦っているイラストで、10日発売のマンガ雑誌「ビッグコミック」にも登場するという。環境保護団体の連合体「MAKE the RULEキャンペーン」の平田仁子事務局長は「マンガ好きな麻生首相が見るだろう」と期待している。
広告は、日本の有権者の約6割が25%以上削減すべきだと考えているとの独自の調査結果を示し「世界は、日本がリーダーになることを望んでいる。麻生首相、ぜひヒーローになってください」としている。
斉藤鉄夫環境相は2日の会見で「すごい出費だったでしょう、心から敬意を表したい。そういう意見も踏まえながら、目標の議論をしなくてはならない」と述べた。【共同】
■温室効果ガス 25~40%大幅削減を/京の学識者ら訴え 2020年中期目標
温室効果ガス削減の日本の中期目標が近く公表されるのを前に、京都の学識者らが6月2日、国会内で緊急会見を開き、1990年比で25~40%減の大幅な削減目標を掲げるよう訴えた。
気候ネットワーク(京都市)などが開催した。気候ネットが主張する大幅な削減目標が必要との趣旨に学識者約140人が賛同。会見には佐和隆光立命館大教授や植田和弘京都大教授、一方井誠治京大教授ら5人が代表して出席した。
政府の懇談会は2020年の中期目標について現状の削減努力を継続する4%増から最も厳しい25%減までの6案を検討している。
佐和教授は経済界の一部が支持する4%増案に「長期目標に向けた道筋から大きくずれている」と批判。植田教授も温暖化防止で誕生する新しい技術やノウハウが国益につながるとして「環境面だけでなく経済面からも必要だ」と強調した。
会見では気候ネットなどが実施した世論調査で6割以上の国民が25%減以上の削減を支持する結果が出たことも報告された。
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