週刊医療情報インデックス
2009年5月第5週 (2009.05.26~2009.06.01)
- 【ウイークリーダイジェスト】
- 【週刊マスコミ論調】
- ■医療問題、医療政策
- ■社会情勢など
- ■医学、健康
- ■鳥インフルエンザ、感染症など
- ■高齢者医療・福祉・年金・介護・少子化
- ■医療事故、医事紛争、副作用
- ■その他事件など
- ■保団連・保険医協会関係
- ■京都周辺の動き(医療関係、ほか)
- ■新型インフルエンザ関連
- ■主な連載(医療全般)
- ■環境問題
【ウイークリーダイジェスト】
■09年度補正予算が成立/介護職員処遇改善の基金など
介護職員の処遇改善のための基金創設などを盛り込んだ総額約14兆円の2009年度補正予算が5月29日成立した。予算案は13日に衆院本会議で可決されたものの、この日の参院本会議で野党の反対で否決。両院の議決が異なるため両院協議会を開いたが不調に終わった。このため憲法60条で定める衆院優越の規定によって補正予算が成立した。
補正予算のうち厚生労働省分は総額4兆6718億円。うち「介護職員の処遇改善・介護拠点整備」で8443億円を確保した。「地域医療・医療新技術」には7684億円を計上し、都道府県が2次医療圏ごとに策定する「地域医療再生計画」に基づいて財政支援などを行うほか、新型インフルエンザワクチンの開発・生産設備の強化にも取り組む。
■レセオンラインによる廃業「多くない」/政府答弁書
政府は5月26日に閣議決定した答弁書で、レセプトオンライン請求義務化によって廃業する医師らの割合について「多くないと考えている」との見解を示した。
松野信夫氏(民主)の質問に答えた。答弁書では自らオンライン請求が当面困難な医療機関については、事務代行者による代行を行うことが可能だと理由を説明している。
またオンライン請求義務化に伴う個人開業医の設備投資の負担例として、レセプトコンピューターの購入に1台100万~300万円、ネットワーク回線の敷設に数千~3万円程度が必要になるとし、診療報酬上の電子化加算などに加えて、国会審議中の09年度1次補正予算案で必要な設備投資額を支援する経費を計上していると説明している。
■厚労省分割「こだわらず」/麻生首相、反発受け後退
麻生太郎首相は5月28日夕、自らが検討を指示した厚生労働省の分割・再編について、首相官邸で記者団に「こだわっていない」と述べ、当面は具体案に踏み込まない考えを明らかにした。自民党内や関係閣僚から、唐突な指示への反発や戸惑いが出ていることを考慮したとみられる。
首相は15日の安心社会実現会議などで、厚労省を年金や医療などを所管する「社会保障省」と、雇用や少子化対策などを担う「国民生活省」に分割する案に言及。幼稚園を所管する文部科学省と、保育所を所管する厚労省の業務を一元化する「幼保一元化」の是非の検討と併せ、具体案をまとめるよう与謝野馨経済財政相に指示した。
これを受け、週内の素案取りまとめを目指し、関係閣僚が調整していた。
しかし、首相は28日、分割案について「最初からこだわっていない」と明言。「国民の安心、安全を考えたとき、少子化の問題を含め、今の厚労省、いろいろ問題があるが、精査したらどうだ(という趣旨だ)」として、結論を急がない意向を示した。
さらに、首相は「(安心社会実現会議メンバーの)渡辺(恒雄・読売新聞グループ本社会長)さんが最初に言われた。それを基にスタートした」と説明。幼保一元化についても「(自らが指示したというのは)違う」と語った。
河村建夫官房長官も28日午後の記者会見で「今の段階で組織図を出して具体的に、ということではないのではないか」と述べ、具体案の作成を当面先送りする考えを示した。これに先立ち河村長官と甘利明行政改革担当相は、自民党の中馬弘毅行政改革推進本部長らと党本部で会談。中馬氏は党内から分割・再編に異論が噴出していることを踏まえ、「まず組織改編ありきの議論はすべきではない」と慎重な対応を求めた。
■医薬品の24時間販売始まる/コンビニでも風邪薬
風邪薬などの一般医薬品(大衆薬)をコンビニエンスストアやスーパーで販売しやすくなる改正薬事法が、6月1日施行された。これを受け、セブン-イレブン・ジャパンが、コンビニでは初めて医薬品の24時間販売を実験的に始めるなど、流通業界の新たな取り組みが始まった。
セブン-イレブンの東京都千代田区の店舗では、新たに設けられた「登録販売者」の資格を取得した社員が顧客に対応、医薬品の24時間販売を始めた。消費者の反響を見て他店舗への拡大を検討する。
大手スーパーのイオンは同日から、一般メーカー品より2~4割安い大衆薬の新商品を、グループのドラッグストアなど10社で販売。ドラッグストア大手も登録販売者を店舗に投入して営業時間を延長、スーパーなどを迎え撃つ構えだ。【共同】
■地域社会との交流課題に/09年高齢社会白書
政府は5月29日の閣議で、2009年版高齢社会白書を了承した。活動的な高齢者の増加が期待される一方、地縁・血縁に代わる人間関係を形成できないまま孤立した高齢者の増加も見込まれるとし、高齢者が地域社会とのつながりを持てる環境の整備を進める必要性を指摘している。
白書では、内閣府が08年に実施した調査で、近所の人と「親しくつきあっている」とした高齢者の減少傾向が近年続いており、近所同士の結びつきが弱まっていると指摘した。高齢者のいる世帯数に占める高齢者単独世帯の割合は07年で22.5%を占め、今後高齢者の独居世帯の割合は加速度的に上昇することが考えられるとした。
一方、高齢者の勤労意欲や地域活動への参加意欲の高まりを示す統計も盛り込み、「高齢者が孤立に陥らないコミュニティーづくりや地域の実情に応じた見守りシステムなどの地域での取り組みを促進する必要性を指摘した。
このほか、「自分は健康だ」と考える高齢者の割合が諸外国と比べて高い半面、高齢者の医療サービス利用頻度は諸外国と比べ多い現状や、75歳以上人口に占める要支援・要介護認定を受ける人の割合が65~74歳人口に占める割合と比べて大幅に高まっていることにも言及している。
■医療・介護人員の目標値、具体化を/諮問会議で民間議員
政府の経済財政諮問会議(議長=麻生太郎首相)は5月29日、4回目の「安心実現集中審議」を行った。民間議員は「安心と活力が両立する社会の実現に向けて」との資料を提示。中期プログラムの工程表で示した「急性期医療の機能強化」などを実現する上で「医療・介護サービス・人材整備目標」を事前に整備すべきとした。具体的には2015年時点の医療・介護人員数や平均在院日数などの目標数値を「税制抜本改革を実施する前に具体案を検討すべき」と主張。諮問会議も了承した。
民間議員ペーパーでは、安心社会実現に向けた今後の基本方針として、分断された社会保障政策や、関連分野の有機的連携を図り、雇用、医療・介護、年金、少子化、教育が相乗効果を発揮する施策構築を求めた。さらに「社会保障制度の『綻び』の修復は、それに要する負担の費用について安定財源を確保することと併せ、最優先で行っていく」とも明記した。
安心社会に向けては①再構築(09~11年度ごろ)②回復(11年度ごろ~10年代半ば)③充実(10年代半ば~20年代初頭)のフェーズごとに、取り組むべき課題を示した。
再構築フェーズでは、税制抜本改革を行うための必要な法制上の措置を講じる際、「安心保障番号・カード(社会保障番号・カード)」を前提にするとした。医療・介護については、中期プログラムの工程表で、15年に向けた取り組み方向として「急性期医療の機能強化」「医師・看護師の役割分担推進」などとしている。この実現に向けて、再構築フェーズで、急性期医療の職員配置、医療・介護人員数、機能別病床数、救命救急センター数、介護施設の病床数などの「医療・介護サービス・人材整備目標」を示すべきとした。
また回復フェーズでは、持続可能な財政構造の確立に併せ、安心基盤を重点的に整備すると指摘。再構築フェーズで数値化した15年までの「医療・介護サービス・人材整備目標」の実現を着実に進めることを提案した。
充実フェーズでは、団塊世代が年金生活に入る「本格高齢時代」に備えた生活支援体系の整備が必要とした。このうち高齢世代については、雇用・地域参加機会の確保を通じた「70歳現役社会」と、地域による生活・介護体制の必要性を明記した。
与謝野馨経済財政担当相は、これまでの諮問会議での集中審議の内容のほか、安心社会実現会議の考え方、関係閣僚と与党間で進めている行政基盤強化の考え方(厚生労働省分割議論)を整理した上で、具体策を骨太方針2009に盛り込むことで一致したと明かした。
■医療行為の特許化「適当でない」/内閣官房検討委が報告書
内閣官房知的財産戦略推進事務局が設置した「先端医療特許検討委員会」は5月29日、報告書をまとめた。焦点の1つになっていた手術、治療、診断方法などの発明の特許保護については「現時点では適当でない」と結論付けた。
報告書では、手術などの医療行為を含めた「人体に対する機械・器具の使用方法の発明」に関して①医師の研究活動の中で開発されることが多く、特許対象としても産業界に対するインセンティブが期待できない②技術の公開が遅れる③医師の行為を特許権の効力の対象外としつつ、(機械・器具を製造する)企業に対して間接侵害を問うこととする場合、間接侵害をめぐる紛争が多くなることへの懸念がある―などの理由を挙げ、特許保護の妥当性を否定した。
ただ、現行では特許対象となっていない「用法・用量の刷新により専門家の予測を超える効果を示す医薬の発明」や、MRIやCTによる画像撮影の仕組みなど手術、治療、診断工程を含まない「最終的な診断を補助するための人体のデータの収集方法」については、新たに特許対象とすべきだとした。
ヒトiPS細胞の作成が発表されたのを受け、先端医療技術の特許保護に関する課題を洗い出すために08年11月に発足した同検討委は、研究者へのヒアリングやインターネットを通じた国内外の特許取得の実態に関する具体的な事例の調査などをしていた。
■安心社会の財源「堂々と議論」/実現会議が報告書素案
政府の「安心社会実現会議」(座長=成田豊・電通最高顧問)は5月28日、起草委員がまとめた報告書素案を基に取りまとめに向けた議論に入った。素案では、安心社会実現のために全生涯・全世代を通じた「切れ目ない生活安全保障」が不可欠とし、①雇用②出産・次世代育成③教育④医療とコミュニティー⑤老後と介護―の5領域の連携の必要性を盛り込んだ。負担については「政策にかかる費用とそのための財源を明示し、堂々と議論をしていくべきだ」とした。
医療に関しては、救命救急センターへの医師・看護師の早急な確保や、2次医療圏で病院の共同運営体制(コンソーシアム)を組織しながら医療機関の機能分担と集約を進めるべきだとした。さらにレセプトのオンライン請求への段階的な切り替えや、データに基づいた医療の推進など「医療IT化」への対応を進めることも盛り込んだ。介護に関しては、介護保険と年金制度のさらなる改革とともに、高齢者の「住まい」の確保とも結び付けて老後の安心を高めていく必要があるとした。
会議の冒頭で麻生太郎首相は「国民の責任と役割、財源もしっかり書き込んでもらう必要がある」とあいさつした。6月中旬の次回会合で最終報告を取りまとめる方針だ。
■厚労省分割、結論出ず/関係閣僚協議
麻生太郎首相が指示した厚生労働省の分割・再編の具体案をめぐり、河村建夫官房長官と与謝野馨財務・金融・経済財政相、舛添要一厚生労働相らが5月28日昼、国会内で協議した。政府は「骨太の方針2009」に反映させる方針で、週内の素案取りまとめを目指すが、政府・与党内には異論も出ており、調整は難航も予想される。
関係閣僚による協議は2回目で、甘利明行政改革担当相、塩谷立文部科学相、小渕優子少子化担当相も出席。分割・再編した場合の問題点などについて意見交換したが、結論は出なかった。協議後、甘利担当相は「基本的な理念や哲学を共有した。組織論に踏み込んだ議論はしていない」と述べた。(5/29MEDIFAXより)
■厚労省だけの分割、指示していない/麻生首相
厚生労働省の分割再編問題で、麻生太郎首相は5月29日の参院予算委員会で「厚労省だけを例に引いて直ちに分割しろという話はしていない」と述べ、府省全体の再編強化を指示したものだと説明した。森ゆうこ氏(民主)の質問に答えた。
麻生首相は自身の発言の真意について「厚労省や内閣府など国民生活に関係する府省の部局を再編強化してはどうかと申し上げた」と述べた。
与謝野馨財務相も「総理の発言は、いろいろな意見があるので経済財政諮問会議で整理してほしいというものだった」と述べ、厚労省の分割再編だけに限ったものではないと擁護した。
森氏は「一国の総理の一言は重い。こだわりがなかったなら言わなければよかったのに」と述べ、首相の発言にぶれがあると批判した。
■厚労省分割「私の勇み足」/与謝野経財相
与謝野馨経済財政担当相は5月29日、経済財政諮問会議終了後の記者会見で、麻生太郎首相が「厚生労働省分割にこだわらない」と従来の発言を後退させたことについて、「若干、前回の私の記者会見の言葉が正確性に欠けていた」と弁明。麻生首相の発言の「ブレ」ではなく、自身の「勇み足」だとかばった。
与謝野経財相は、麻生首相の厚労省分割に対する考え方について「単なる厚労省を分割するという次元の話ではなく、もう一度『全体の枠』を考えたいとおっしゃった」と解説。その上で、与謝野氏自身が「厚労省が適正な規模か、常々問題意識を持っていた」とし、「総理は全体の枠を考えたらどうかと考えていた。私は全体の枠を考えるとき、組織の問題を考えざるを得ないと思っていたので、若干、記者会見の言葉が正確性に欠けていた」と釈明した。
厚労省分割について与党から異論が噴出しているとの問いには「与党の反対が出ているとは必ずしも理解していない」と一蹴した。続けて「国民に対する行政サービスの提供に最適な行政組織は何か、現場が責任を持って行政サービスを行える体制は何か、という基本方針については与党とも意見の相違はない」と言明し、基本的な視点を骨太方針2009に記載する考えを示した。
厚労省分割については、民間議員ペーパーでも「行政基盤の整備」として言及。行政体制・執行の担い手の見直しとして「安心に関連する行政基盤を強化するため、閣僚主導の発揮できる規模、国民本位・現場重視の責任体制の確立、政府横断的な協力体制の構築を早急に確立すること」を要望した。
麻生太郎首相も同日の会合で、行政改革について「今後、具体的な取り組み方針を取りまとめるので、骨太方針09にきちんと位置付け、不断の行政改革を進めてほしい」と熱望したという。
■地方消費税も社会保障に充当すべき/与謝野財務相
与謝野馨財務相(経済財政担当相)は5月25日、参院予算委員会で、社会保障制度の機能強化と消費増税の関係について「仮に増税をお願いするのであれば、年金、医療、介護、少子化対策にすべて使うと言わないと、国民からお許しいただけない」と述べた。その上で「このフレームで考えると、地方消費税分についても全部、年金、医療、介護、少子化対策に回してもらうことが大事」と述べ、地方消費税の増税分についても、全額社会保障制度の機能強化に充てるべきとの立場を鮮明にした。北川イッセイ氏(自民)の質問に対する答弁。
また舛添要一厚生労働相は、妊婦健診の14回無料化について「もともと地方財政措置の5回まで(無料)だった。残りの9回の半分を地方財政措置、半分を国庫補助でやろうということで、贅沢な検査は別にして、基本的にこれだけをやれば大丈夫というものをおやりくださいと言っている」と説明。「国も一生懸命やるが、地方もやっていただきたい」と要請した。
4月1日現在の全国の妊婦健診無料化の平均回数は13.96回。舛添厚労相は「14回になっていない。足を引っ張っているのは大阪。地方財政はみんな厳しいが、大阪の子どもを健やかに育てるのは地方の責任ではないか」と指摘。国も地方も全力を尽くすべきとの見方を示し、大阪府選出の北川氏にも協力を求めた。
■国立高度医療センターの負債、10年度予算で対応/与謝野財務相
国立高度専門医療センター(NC)が抱える負債について、与謝野馨財務相は25日の参院予算委員会で「スタート時に財政状況を健全にしておくことは財務省も了解している。10年度予算できっちりその構えでやらせていただきたい」と述べ、NCが2010年度に独立行政法人へ移行するのに伴って、負債を10年度予算で手当てする考えを示した。鈴木寛氏(民主)の質問に答えた。
■アレルギー医療の均てん化を/公明PTで基本法策定へ
公明党のアレルギー疾患対策プロジェクトチーム(PT、座長=江田康幸衆院議員)は5月28日、アレルギー疾患患者の健康回復や医療費負担の軽減などを目的とするアレルギー疾患対策推進基本法(仮)の策定に向けて議論を開始した。基本法には、対策の基本理念としてアレルギー医療の均てん化や医療機関の整備などを盛り込む方向だ。
同日のPTでは、党事務局が基本法の骨子(案)を説明。アレルギー疾患は、環境要因が大きく影響する「生活環境病」と位置付けた上で、日常生活の中での対応を重視する方針を示した。
国や地方公共団体のほか、医療保険者や医師・医学会のアレルギー医療に対する責務を基本法で明確化することも検討課題に挙がっている。
また、現在のアレルギー疾患対策は、厚生労働省や文部科学省、環境省などが個別に取り組んでいると指摘。今後は、各省が連携して取り組む必要性に言及した。
■中医協・公益委員、欠員解消へ/民主・厚労役員会が同意
定数6人の中医協の公益委員のうち1人が空席となっている問題で、民主党の厚生労働部門会議の役員会は26日、森田朗・東京大大学院教授を充てる国会同意人事案を了承することで一致した。森田氏は同党の勉強会で講師を務めるなどの交流があることから、異論はなかった。近く開く党国対小委員会に報告する。民主党が同意に回れば、衆参両本会議で了承される可能性は濃厚で、中医協の運営で主導的な役割を担う公益委員の欠員状態が約3カ月ぶりに解消されることになる。
厚生労働省は6月20日で任期の切れる公益委員の小林麻理氏(早稲田大大学院教授)の再任と合わせ、森田氏を新たに公益委員に加える人事案を国会に提出している。現在、各党で同意するかどうか党内手続きが行われている。
■慢性期分科会「議論の範囲拡大」で一致/基本問題小委に上申へ
中医協・慢性期入院医療の包括評価調査分科会(分科会長=池上直己・慶応大教授)は5月27日、2007年6月以来およそ2年ぶりに再開し、10年度次期診療報酬改定に向けた慢性期医療の評価の在り方に関する議論を始めた。ただ、委員からは分科会での議論の範囲が医療療養病床に限られていることに対する不満が続出。12年度の診療報酬・介護報酬同時改定を視野に入れて、慢性期医療全般を議論の範囲とする意向で一致し、中医協・診療報酬基本問題小委員会に諮ることになった。
■議論の進め方に不満が噴出/中医協・慢性期分科会
「結果として慢性期の診療報酬引き下げと療養病床削減に合致するところだけを議論してきた」「医療区分の値付けに、現場は強い不信感を持っている」。27日、およそ2年ぶりに再開した中医協・慢性期入院医療の包括評価調査分科会。委員からは分科会の議論の進行に対する不満が相次いだ。
「医療・介護難民が顕在化する中で、今の点数の中で医療区分の枠組みを議論するのか」。事務局からの説明後、三上裕司委員(日本医師会常任理事)が議論の口火を切った。事務局側は「具体的な点数付けは中医協・診療報酬基本問題小委員会ですることになる。分科会では医療区分などの必要性、妥当性を議論する場」と説明したが、猪口雄二委員(寿康会病院理事長・院長)は「いい分類をつくりました。値踏みは別のところですよ、ではこの先いい議論にならない」と反論した。
委員の不満の背景には、過去の医療区分に基づいた診療報酬設定により現場の強い反発を招くことになった苦い経緯がある。療養病床の削減方針の下、06年度改定では同分科会の議論に基づき医療区分とADL区分によって、医療必要度などが低い患者は低い点数となる療養病棟入院基本料を新設。さらに08年度は、医療区分などに関して同分科会で「入れ替えの必要なし」と結論づけ、その後の基本問題小委で医療必要度の低い患者への点数が実質的にコスト割れとなるまでに引き下げられた。
ただ、社会保障国民会議が昨秋にまとめた報告書では、将来の医療提供体制の在り方として、現状の医療療養病床数とほぼ同じ23万床を維持する方向性が盛り込まれるなど、療養病床をめぐる方向性は大きく変わりつつある。
さらに高齢化の進展や急性期を中心とした平均在院日数短縮による慢性期医療へのニーズの高まりの中で、従来と同様に医療療養病床に限った議論を続けることに、分科会委員は違和感を感じている。
不満の矛先は、分科会が長く再開されない間に、厚労省が次期診療報酬改定に向けた調査に踏み切ったことにも及んだ。
厚労省側は「前回調査時に医療区分などは妥当との判断だった。それを基に前回と同様の調査をした」「定例の調査」と説明したが、椎名正樹委員(健保連理事)は「調査設計から議論するのが、この分科会ではないのか。例年このような調査を実施することはいつ決まったのか」と納得しなかった。
■長期特例ルールの見直し議論開始/中医協・薬価専門部会
中医協の薬価専門部会(遠藤久夫部会長)は27日開かれ、次期薬価制度改革に向け、長期収載医薬品の特例引き下げルールの見直し議論を開始した。同日は、長期収載品と後発医薬品との価格差があった方が、後発品使用促進につながるかどうかを中心に議論。しかし価格差の要否をめぐって両論があり、議論の入り口から見解が分かれた。
■小児救急担う医療機関、各県1カ所以上/厚労省検討会が中間まとめ
厚生労働省の「重篤な小児患者に対する救急医療体制の検討会」(座長=中澤誠・日本小児科学会小児救急委員長)は5月29日、中間取りまとめ案を大筋で了承した。超急性期の小児患者は基本的に全ての救命救急センターや中核病院で受け入れるとし、その中から特に体制の整った病院を、小児の救命救急医療を担う医療機関として整備することが必要と明記。都道府県か3次医療圏に1カ所以上の設置を求めた。今後の方向性として、こうした医療機関や小児集中治療室に対する財政的な支援の必要性についても指摘した。
■ベロ細胞由来日本脳炎ワクチン/6月3日発売
ベロ細胞由来日本脳炎ワクチンの発売時期が、新型インフルエンザの余波で1週間遅れたことが明らかになった。当初は5月27日の発売予定だったが、行政スケジュールに影響が出て、6月3日にずれ込んだ。初回出荷数は約28万ドーズ。国立感染症研究所感染症情報センター長の岡部信彦氏が5月29日の会見で明らかにした。
また、厚生労働省健康局結核感染症課は5月25日付で、日本脳炎ワクチンに関する通知を発出した。2日付で、ベロ細胞由来日本脳炎ワクチンの1期接種が定期接種に位置付けられる。
■女性特有のがんに検診無料クーポン/厚労省、認知度向上へ配布
伸び悩むがん検診受診率の向上のため、厚生労働省は09年度、女性特有のがんである子宮頸がんと乳がんについて、検診を無料で受けられるクーポン券を全国の対象年齢の女性に配布する。厚労省健康局がん対策推進室は「受診のきっかけをつかみ、検診に対する理解を深めてもらえれば」としており、今回の取り組みで、がん検診の認知度向上を狙う。
対象は、子宮頸がんが20、25、30、35、40歳で、乳がんが40、45、50、55、60歳(いずれも2009年4月1日現在の満年齢)。対象は約760万人を見込んでおり、09年度補正予算には216億円を計上。国の指針に基づいて行われる検診の費用や制度実施の事務経費を含め、全額を国庫で補助する。
厚労省によると、07年度の検診受診率は、子宮頸がんが21.3%、乳がんが20.3%にとどまる。厚労省は、検診の内容が知られていないことが受診率低迷の原因と見ており、厚労省はクーポン券と併せて、子宮頸がんや乳がんの基本的な知識や検診の内容・重要性をまとめた「検診手帳」も配布する。
厚労省がん対策推進室は「検診に対する理解を深めて、受診のきっかけをつかんでもらい、継続的な受診につなげていきたい」としている。
厚労省は今回の取り組みをより効果的なものにするため、検診実施主体の市区町村に対し、受診者の利便性に配慮した検診の実施を求めている。
■死後画像の活用「補完的手段として有用」/死因究明で厚労省研究班
死亡時画像病理診断(Ai=Autopsy Imaging)の活用について、厚生労働省研究班(研究代表者=深山正久・東京大大学院医学系研究科教授)が「死後画像は解剖調査前の情報として補完する上では有用だが、解剖調査に代わる方法ではない」とする報告書をまとめた。解剖調査の前段階で用いる際は、死後画像が「一定の限界性を持つ」ことを遺族に十分説明する必要があるとしている。
■高齢者の医療費が全体を圧迫/江利川事務次官
厚生労働省の江利川毅事務次官は5月23日、日本病院会の2009年度代議員会・総会で「医療政策の動向」をテーマに講演し「少子化を克服しないとすべてが成り立たない」と話し、少子化対策が最大の課題とした。日本の高齢者医療費は若者の約5倍なのに対し、諸外国では約3倍にとどまるとし「高齢者の医療費が医療費全体を圧迫しているのが現状」と述べ、高齢者の医療費を適正化する必要性を示した。
医療提供体制については、日本の病床100床当たりの医師数が諸外国に比べ少なく「多くの患者を少ない医師数で時間をかけているのが現状」と指摘。医療提供体制の改善に当たっては①医師数確保②看護師との役割分担③病床数の適正化-が課題となるとした。
今後の医療政策に当たって、厚労省の部局間連携についても言及。「厚生労働行政の在り方に関する懇談会」最終報告を踏まえて「医政・保険・老健の3局が連携をいかに取るかが重要」と話し、今夏の人事で対応する考えを示した。
■地方交付税の使い道、HPで公開へ/がん検診未実施で鳩山総務相
鳩山邦夫総務相は5月25日の参院予算委員会で、がん検診などに充てられている地方交付税の使い道について「ホームページに掲載するなど、地方交付税の具体的な内容について周知する」と述べた。荒井広幸氏(改革クラブ)の質問に答えた。
鳩山総務相は、患者団体から「『なぜがん検診のやり方に市町村で差があるのか』と陳情を受けた」と報告。地方交付税の使い道について自治体の裁量権を容認する一方、「地方交付税措置をしていながら、命にかかわるがん検診のようなものをやらないというのはあってはならない」と述べた。
舛添要一厚生労働相は同日の参院予算委員会で、地方自治体に対してすべてのがん検診を実施するよう「今後とも指導していく」とした。
厚生労働省の調査によると、2008年1月1日の時点で全体の3.1%に当たる56市町村で、5大がん(胃、子宮、肺、乳、大腸)検診のうち、いずれかが未実施だった。
■歳出改革「基本的方向を維持」/財政審、社会保障は結論出ず
財政制度等審議会は5月27日、財政構造改革部会を開き、2010年度予算編成に向けた建議(意見書)の取りまとめを本格化させた。素案では、歳出改革について「基本的方向性を維持する」と明記。ただ、社会保障費を抑制する問題では委員の間で意見が分かれたため、調整を続ける。財政審は6月上旬に建議をまとめ、与謝野馨財務・金融・経済財政相に提出する。財務省は提言内容を「骨太の方針2009」に反映させたい考えだ。
同日の会合は非公開で行われた。関係者によると素案では歳出削減継続の方向性は打ち出しているが、社会保障費の具体的な抑制策には触れてない。社会保障費の抑制方針(07年度から5年間で1兆1000億円抑制)の堅持を明記するかどうかで意見が分かれた。
素案ではまた、11年度までにプライマリーバランス(基礎的財政収支)を黒字化する財政健全化目標について「11年度の達成は困難」との認識を示すものの、危機的な財政悪化を踏まえ、できるだけ早期に実現するよう求める。
■医療・介護費の補助制度を/連合が民主に政策要望
民主党の岡田克也幹事長は5月27日、党本部で連合の古賀伸明事務局長と会い、2010年度予算編成に向けた連合の重点政策について要請を受けた。岡田氏は「真摯に受け止め、政権交代した上で、10年度予算に反映したい」と応じた。
連合の重点政策は「日本版グリーン・ニューディール」による雇用創出、低所得者層を対象とした住宅費や医療・介護費の補助制度創設、子育て基金創設、中低所得者層に対する所得税減税などを盛り込んでいる。
■医療費削減へ直結するか「疑問」/特定健診で日医・内田常任理事
日本医師会の内田健夫常任理事は5月23日、大阪市内で開かれた日本糖尿病学会のシンポジウムで特定健診・保健指導について講演し「国民が、健康に生活していけるという予防重視の考え方自体は、正しい方向性だ」と述べ、医師会としてバックアップする形で取り組む考えを示した。一方「新たに約560万人の受診勧奨が生じることから言えば、本当に医療費削減へ直結するかどうか大きな疑問がある」と述べたほか、メタボリック症候群のみに絞った現在の健診項目ではなく、禁煙などの疾病予防対策も必要だと強調した。
内田常任理事は、特定健診・保健指導の目標の1つである医療保険者による保健事業の取り組み強化について、健診受診率20%アップ、有病者・予備群25%削減、2015年の医療費2兆円抑制といった指標を説明。その上で「健診受診率アップは、具体的な目標として到達可能だと思うが、有病者・予備群の削減や医療費抑制のアウトカムにつながるかどうかは大きな疑問だ」とした。
また制度開始後の課題としては、特定健診の受診率低下や特定保健指導の実施率低下などを指摘した。内田常任理事は、受診率向上に対する取り組みとして、国保の委託により、特定健診とがん検診をモデル事業として一体的に実施する案を紹介。具体的には、地域住民(国保・被用者保険)に対して、特定健診やがん検診の受診券を発行し、受診勧奨を実施する考えを示した。
■「保険医休業保障共済制度」加入受付再開を/保団連が要望書
保団連は5月27日、医師・歯科医師に対する新型インフルエンザ感染への公的保障が不十分として、保団連が運営する「保険医休業保障共済制度」への加入受付再開を求める要望書を、舛添要一厚生労働相あてに提出した。
同制度は会員を対象とした相互扶助制度で、休業を余儀なくされた場合に給付が受けられるが、2006年の保険業法改正により保険業と同じ規制を受けることになったため、加入受付を停止するなど、運営が困難となっている。
要望書ではこの点を指摘。「保険医として万一の傷病による公的な保障がほとんどない中で、休業保障共済制度は、休業時の保障として保険医の切実な要望となっている」とし、同制度を一刻も早く保険業法の適用外とすることを求めている。
◎新型インフルエンザ
■基準変更方針を正式表明/パンデミック認定でWHO
世界保健機関(WHO)のフクダ事務局長補代理は5月22日、年次総会閉幕後に記者会見し、WHOが新型インフルエンザの世界的大流行(パンデミック)を認定する条件について「新たな基準を作らなければならない」と述べ、認定基準を変更する方針を正式に表明した。
現行の基準では、感染が地理的に拡大するだけでパンデミック宣言に至る仕組みだが、フクダ氏は、健康被害が比較的軽い弱毒性とされる今回の新型ウイルスの流行によって「(地理的な)拡大だけが重要とは加盟国は考えていないことが明確になった」と言明。パンデミック認定につながる警戒水準(フェーズ)を最高の「6」に引き上げることに慎重な対応を求めた英国などに配慮して決断したことを認めた。【ジュネーブ5月22日共同】
■若年層への解熱剤避けよ/新型インフルでWHO
世界保健機関(WHO)は5月22日、新型インフルエンザ患者に対する治療指針を公表、解熱剤や鎮痛剤として使われるアスピリンなどサリチル酸系製剤の使用を18歳未満の若年層では避けることなどを盛り込んだ。若年の新型インフルエンザ患者にアスピリンなどを処方すると、急性脳症などを伴うライ症候群と呼ばれる症状を引き起こす危険があるためとしている。
同指針によると、これまで分かっている範囲では、大半の感染者が入院や抗ウイルス剤の投与を必要とせず、サリチル酸系でない解熱剤などは補助的に投与することは可能。
タミフルなどの抗ウイルス薬は妊婦、肺炎などの呼吸器疾患のある患者などには効果があり、初期の段階での投与が望ましいという。【ジュネーブ5月23日共同】
■検疫がパフォーマンスに利用された/参院予算委で「新型」集中審議
参院予算委員会は28日、新型インフルエンザ対策について集中審議した。参考人として出席した羽田空港検疫官の木村盛世氏は、水際対策の機内検疫がパフォーマンスとして利用されたと指摘。一方、自治医科大の尾身茂教授は水際対策は万能薬ではないものの一定の効果はあったとした。
木村氏は「毎日テレビで、主に成田空港でN95マスクを着けガウンを着けて検疫官が飛び回っている姿は国民にパフォーマンス的な共感を呼ぶ。そういうことで利用されたのではないか」と述べ、機内検疫が政治的なパフォーマンスとして利用されたと指摘した。さらに「検疫は1人の患者も入れず国内に病気を広めないのが基本なので、国内に入ってからの問題は必ずおろそかになる」と述べ、水際対策に偏ると国内対策にまで手が回らないとした。
舛添要一厚生労働相の助言役を務める国立感染症研究所感染症情報センターの森兼啓太主任研究官は「成田空港検疫所で初めて患者が4人見つかり、そちらの方に目が向いてしまい、国内の体制が少しワンテンポ遅れてしまった」と述べ、初発の感染者が空港の検疫所で見つかったことで検疫に関心が高まったことが国内体制に影響したとした。また5月16日に海外渡航歴のない感染者が神戸で見つかり国内流行が判明した時点で検疫体制を速やかに縮小すべきだったとした。
一方、尾身教授は「水際作戦は100%の万能薬ではないが一定の効果はあった」と述べた。効果があった点として①水際対策で感染者が国内に流入するのを遅らせている間に、地方自治体にインフルエンザの診断薬を配布することができた②成田空港で見つかった患者4人の診断によって、日本人の新型インフルエンザに対する反応がメキシコ人や米国人とほぼ同じことが分かった─の2点を挙げた。感染初期の学校閉鎖については「神戸、兵庫で感染をある程度抑えられたのは、学校閉鎖がかなり効いたというのは私の判断」と述べ、感染初期の段階では一定の効果が得られたとした。
舛添厚労相は対策を振り返り「大きな1つの落とし穴は高校に目が向いていなかったこと」と述べ、義務教育ではない高校の学級閉鎖の情報を厚労省が十分に情報収集できなかったことを反省点に挙げた。その上で「さまざまな反省点があるので1つ1つ改善して、万が一、第2波があれば対策をそれまでに立てたい」と述べた。
■院内感染対策の徹底求める/政府新対策で厚労省
政府が新たな新型インフルエンザ対策を決めたことを受け、厚生労働省は5月22日付で、一般医療機関で感染の疑いがある患者を受け入れる際の留意点や入院治療に関する考え方をまとめ、都道府県などに事務連絡した。患者が急速に増加している地域では、一般医療機関での診療や軽症者の自宅療養を認めたことを踏まえたもので、院内感染防止の徹底などを求めている。
一般医療機関で患者を受け入れる際の留意点としては、感染が疑われる患者の受診に備え、医療機関では日常からサージカルマスクの着用や手指の消毒を徹底するとし、発熱症状の有無によって外来患者の動線を分けることが難しい場合でも診療時間を分けるなどの対応を検討。時間帯を分ける場合には、診療を切り替える時に、待合室や診察室の消毒を徹底するとしている。
さらに基礎疾患で定期的に医療機関を受診している人に対しては、直接受診せずに事前に電話で連絡をすることや、ファクスにより抗インフルエンザウイルス薬を処方することなど、発熱などの症状が出た場合の対処方法を事前によく説明しておくとしている。
入院治療については、重症者は原則として感染症指定医療機関に入院させるとする一方、一般の医療機関でも重症者向けの病床を確保し、基礎疾患患者は症状が軽くても入院治療を行うことを検討するとした。
軽症で自宅療養となった患者には、保健所が発症から7日間を目安に健康観察を実施。外出の自粛を厳しく指導する。
■「新型」患者の退院基準を通知/厚労省
厚生労働省は5月27日付で、新型インフルエンザ患者の退院の基準を定め、都道府県などに通知した。通知では①症状が消えてから行う24時間以上の間隔を置いた連続2回のPCR検査で、ウイルスの遺伝子が検出されない②発症から7日以上が経過―の両方を満たす場合は、感染症法に基づく入院勧告を解除しなければならないと定めた。
また、急速に患者が増加している地域では、患者が感染防止対策を理解して実践できる場合など、感染症法に規定する「まん延を防止するため必要があると認めるとき」に該当しないと都道府県知事が判断した場合も、入院勧告を解除して退院させることができるとしている。
■ファクスでの処方せん発行、再診料の算定可/新型インフルで厚労省
厚生労働省保険局医療課は26日付で、新型インフルエンザの感染が拡大している地域の慢性疾患患者らに対して、ファクスで処方せんを発行した場合の診療報酬上の取り扱いについて、地方厚生局や都道府県などに事務連絡した。電話診療によりファクスで処方せんを発行した場合、医療機関では電話再診として再診料を算定できるとしている。
厚労省は22日付の事務連絡で、新型インフルエンザの院内感染を防止するため、感染が拡大している地域では、慢性疾患患者らに対してファクスで処方せんを発行することを認めている。26日付の医療課の事務連絡では、こうした対応を取った場合の診療報酬上の扱いについてまとめた。
事務連絡では、かかりつけ医が電話診療の結果、ファクスで抗インフルエンザウイルス薬の処方せんを発行する場合、医療機関は再診料と処方せん料を算定できるとした。さらに、ファクスで処方せんを受け取った薬局でも調剤技術料と薬剤料を算定でき、患者との接触を避けるために電話で服薬指導を行った場合は、指導が適切でそのほかの要件を満たしていれば、薬剤服用歴管理指導料などを算定できる。
■南半球の状況を注視/厚労省
厚生労働省健康局新型インフルエンザ対策推進室の難波吉雄室長は5月29日の定例会見で、新型インフルエンザ終息の判断に慎重な姿勢を示した。今後、ウイルスが変異する可能性があると指摘したほか、冬を迎えてインフルエンザ流行の季節となる南半球の状況に十分留意する必要があると強調。「チリでは、今週に入ってインフルエンザと診断された症例のうち約9割が新型で、季節性を大幅に凌駕している状況との報道がある」と述べた上で、「南半球の状況を継続して見極める必要がある」と述べた。
■感染者、370人に迫る/新型インフル
国内の新型インフルエンザの感染者は5月28日、大阪市や兵庫県尼崎市などで新たに3人の感染が確認された。感染者数は同日午後9時現在、10都府県で367人(検疫での確認を含む)となった。
■新型インフル、10都府県に/静岡・和歌山でも確認
国内の新型インフルエンザ感染者は5月26日夜から27日にかけ、新たに静岡市と和歌山市で確認された。感染地域は10都府県に拡大し、27日午後9時現在の感染者数は、検疫での発見も含め364人となった。
東海地方で感染が確認されたのは初めて。厚労省などによると、静岡市で感染が確認されたのは、フィリピン・マニラから帰国した同市在住の10歳未満の男児とその妹。2人は家族3人とともに22日に帰国したが、25~26日に発熱を訴え医療機関を受診した。家族のほかの3人はPCR検査の結果、感染していないことが確認された。
また、和歌山市では20代後半の男性の感染が判明した。男性は今月18~23日にハワイ・オアフ島に滞在。26日に発熱を訴え、医療機関を受診。PCR検査の結果、新型の感染が確認された。
■新型インフル、20日ピークに減少傾向/厚労省
厚生労働省は、神戸市内で初めて新型インフルエンザの感染が確認された16日から1週間に報告された確定症例数の推移を公表し、新規に報告された患者は20日をピークに減少傾向にあるとの見方を示した。厚労省は「あくまで参考データ」としながらも、「学校の休校措置の効果があったと言える」としている。
厚労省が23日に公表したのは、国内で感染が確定した日ごとの確定事例報告数の推移で、検疫での確認は含まない。厚労省によると、神戸市で初めて感染が確認された16日は8人だったが、翌17日には兵庫県や大阪市で感染の拡大が確認され、53人に急増。18日には75人に達した。19日には47人に減少したが、東京都と神奈川県で新たに感染者が確認された20日には77人に上った。その後は、21日が27人、22日が20人、23日は26人と減少傾向にあるという。
厚労省は「感染が確定した日と発症日にはずれがあり、あくまで参考データ」としならも、「患者の発生状況は減少傾向にある」と指摘。減少の理由は「休校の効果」とする一方、休校が解除される25日以降の患者の広がりを注視する必要があるとしている。
◎介護編
■介護療養の廃止「撤回すべき」の声も/自民介護委
自民党の介護委員会(田村憲久委員長)は5月28日、療養病床について医療現場関係者からヒアリングした。医療現場からは異口同音に「介護療養病床の中で、良いサービスを提供している所は残すべき」「急性期から慢性期の流れの中で、きちんとした役割を担えるよう、全体を見直してほしい」などの要望が相次いだ。
意見聴取の終了後の議論では、議員からは「後期高齢者医療制度のように、もう1回改めるべき」「元に戻せ」「法案を撤回しろ」などの怒号が飛び交った。
田村委員長は会議終了後、記者団に対し「法案撤回の可能性がないわけではないが、よほどの問題がすべて露呈しない限り、いきなりそうはならない」と述べた。その上で「今やっている転換型で十分ではないという話になれば、何らかの強化、何らかの手当てをする話になるだろう。行くところがないということにならないよう、きちんと対応する」と約束した。
さらに「介護療養病床の中にも手厚い医療が必要な方々はいる。こうした人が必要なサービスを受けられない形を避けるために、これから詰めたい」と強調。次期総選挙のマニフェストにも療養病床についての方針を整理した上で、明示する考えを示した。
同日は、全国老人保健施設協会、日本慢性期医療協会、医療法人社団充会上川病院を招いた。次回は、介護保険制度全体について議論する予定。
■介護給付費「公費引き上げ難しい」/与謝野財務相
与謝野馨財務相は5月26日の参院予算委員会で、介護給付費に占める公費負担割合の見直しについて「これ以上の公費負担割合の引き上げはなかなか難しい」との認識を示した。下田敦子氏(民主)の質問に対する答弁。
与謝野財務相は「公費負担割合は既に50%で、厳しい財政状況の下、現在の給付に必要な公費負担も公債に依存している」と説明。その上で「介護保険制度は共助のシステムである社会保険方式で、他の制度と同様、主たる財源は保険料とすべき。これ以上、公費負担割合の引き上げはなかなか難しい」とした。さらに「持続可能な安定的な制度の構築に向け、将来世代に負担を先送りしないように、いかに給付と負担のバランスを確保するかが一番重要な点だ」とも述べた。
また舛添要一厚生労働相は、補正予算に盛り込んだ3年間の介護従事者処遇改善策の継続可能性を問われ、「3年後は、介護保険制度全体の見直しを含めて検討したい」と述べるにとどめた。
■処遇改善計画書の案を提示/介護職員賃金引き上げで厚労省
厚生労働省老健局振興課は5月28日の全国介護保険担当課長会議で、2009年度補正予算案に盛り込んだ「介護職員処遇改善交付金」について、助成申請を行う介護事業者が提出する「処遇改善計画書」の内容案を提示した。09年度補正予算成立後、8月をめどに介護事業者の申請受け付けを開始し、12月にも国保連を通じて交付金の支払いを始める予定だ。
介護職員処遇改善交付金は、介護老人保健施設などの介護職員の賃金を月額1万5000円程度上乗せするのが目的で、09年度補正予算案では3年間で3975億円を計上した。助成対象となる介護事業所には介護報酬総額に各サービスの交付率を乗じた額が交付されるが、申請するためには、交付金による賃金改善見込み額などを記載した「処遇改善計画書」を提出しなければならない。
厚労省が示した案によると、同計画書は「賃金改善」と「賃金改善以外の処遇改善」から構成。09年度の助成申請では、「賃金改善」について①交付金の1カ月当たりの交付見込み額②介護職員1人当たりの賃金改善見込み額(月額)③賃金改善の方法④前年度の介護職員の常勤換算総数⑤前年度の介護職員に対し支払った賃金などの総額-の項目を想定しているとした。事業所は09年度の交付終了後、賃金改善を証明するための「実績報告書」を提出するとした。
「賃金改善以外の処遇改善」については①処遇全般(賃金体系などの人事制度の整備など)②教育・研修(人材育成環境の整備など)③職場環境(出産・子育て支援の強化など)-を例示。このほか、労働保険への加入が確認できる書類や、就業規則(作成義務のある事業所のみ)も添付する必要があるとした。
09年度交付金は09年の10月サービス分から対象。介護事業者は都道府県に対し、処遇改善計画書を添付して交付申請を行う。申請は原則として事業所単位だが、場合によっては事業者単位でも可能。承認は、交付が決定した年度末日サービス分まで有効だ。
10年度以降の助成では「キャリアパスに関する要件」を満たしていない事業所は助成額を減額する方針。厚労省老健局振興課は「要件の具体的内容は検討中だが、例として、介護職員の能力や資格、経験に応じた給与水準を定めることなどを考えている」とした。今後、介護事業者団体と連携しキャリアパス・モデルを提示する方針だ。
■人員不足解消へ、代替職員の雇用支援/介護分野の緊急雇用創出事業
厚生労働省は5月28日、全国介護保険担当課長会議で、現任介護職員の研修に対する支援事業と、新規介護職員の養成に向けた事業の具体例を示した。現任の介護従事者が研修を受ける際の人員不足を解消するため、代替職員を雇用する事業などを提示した。同事業は、2009年度補正予算案の緊急雇用創出事業の1つ。介護職員数などに応じて都道府県に500億円を配分するとしている。
現任介護職員の研修支援事業の具体例として①現任の介護従事者が研修を受ける場合の、必要な代替職員の雇用②現任の介護従事者を講師として外部に派遣する場合の、必要な代替職員の雇用③経済連携協定で受け入れたインドネシア人介護福祉士候補者とフィリピン人介護福祉士候補者が日本語研修を受ける場合の、必要な代替職員の雇用─の3項目を挙げた。代替職員の雇用期間は1年間が限度。
一方、新規介護職員の養成事業では、介護業務に携わったことの無い離職者に対し、社会福祉施設などの現場で訓練を実施する。民間教育訓練機関での介護ヘルパー2級などの資格取得も支援する。経済対策の1つとして設立する予定の「緊急人材育成・就職支援基金(仮)」を活用する案として示した。
厚労省は、同事業を通して介護従事者にキャリアアップの機会を提供するとともに、介護サービスの質を向上させたい考えだ。また、同事業で雇用した代替職員が将来的に介護サービスの担い手となってくれることを期待している。
■介護基盤の緊急整備、助成単価を提示/09年度補正予算
厚生労働省老健局計画課は5月28日の全国介護保険担当課長会議で、2009年度補正予算の「介護基盤緊急整備等臨時特例交付金」の配分方法を説明した。
同交付金は全体で約2495億円を計上。その内数として実施する「介護基盤の緊急整備特別対策事業」(約2212億円)では、小規模施設(定員29人以下)の施設整備にかかる市町村交付金を、09~11年度の3年間に限り増額する。これにより第4期介護保険事業計画での整備分に約4万床を加え、介護施設を計16万床整備する方針だ。
厚労省が示した単価設定によると、1床当たりでは小規模(定員29人以下)特別養護老人ホームと同ケアハウスに350万円を助成。
1施設当たりでは▽小規模(同)老人保健施設に4375万円▽認知症高齢者グループホームに2625万円▽小規模多機能型居宅介護拠点(事業所)に2625万円▽認知症対応型デイサービスセンターに1000万円-など。
大規模施設の整備については、総務省の地方財政措置の増額で対応するとしている。同交付金では有料老人ホームと小規模多機能型居宅介護事業所、広域型施設を対象としたスプリンクラー整備特別対策事業(約283億円)も計上した。
09年度補正予算はこのほか、介護施設の開設準備経費を助成する「施設開設準備経費助成特別対策事業」(約673億円)を実施。特別養護老人ホームや老人保健施設などに対し、開設前6カ月間の①看護・介護職員などの雇い上げ経費(訓練期間など)▽開設のための普及啓発経費▽職員募集経費▽パンフレットやホームページなど広報経費▽経営コンサルタントなど開設準備事務経費-を助成する。
助成額は「60万円×定員数」が上限。また、施設用地確保のために定期借地権を設定した場合の一時金を支援する「定期借地権利用による整備促進特別対策事業」に約125億円を充てる。
■介護報酬、サービスの質・効果で評価を/地域包括ケア研究会報告書
地域包括ケア研究会(2008年度老人保健健康増進等事業、座長=田中滋・慶応大大学院教授)は、25年を目標に地域全体で高齢者を介護する地域包括ケアシステムの構築を進めるための具体案などを盛り込んだ報告書を取りまとめた。介護報酬をサービスの質と効果に基づいて支給する体系や、介護保険の給付範囲の見直しの必要性などを提案した。
報告書では、介護報酬をサービスの質と効果によって決定することが、サービス利用者の視点に立った地域包括ケアシステムの構築につながると提案。サービスの質と効果を評価するためには、パフォーマンスの正確な測定方法を具体化する必要があるとし、施設のサービスを評価する際の評価基準として①標準化されたケアの明示②標準化されたケアを基準に、要介護者に適切なケアを実施している③在宅復帰の実現④在宅復帰後も地域で自立した生活を送ることができる─の4項目を挙げた。
介護保険制度について一定の知識を持った住民の代表者が評価に参加する「住民参加型モニタリングシステム」なども提案。事業所を個別に評価するだけでなく、地域包括ケア圏域でのサービス評価も議論すべきとした。
また、介護費用の増加に備え、効率的な介護保険制度の設計を目指す必要があるとして、被保険者と受給者の範囲の見直しなどを検討する必要性があると指摘。医療保険と介護保険の保険料率の整合性や、低所得者の保険料負担の軽減などについて考える必要もあるとした。
◎京都編
■京都市内の府立高休校を解除/新型インフルで京都府
京都府は5月27日、京都市内での新型インフルエンザ感染を受けて実施していた市内の府立高などの休校措置を、「感染拡大はない」として予定通り解除した。28日から授業を再開する。また、山田啓二知事は、修学旅行のキャンセルなどで打撃を受けた観光関係事業者を支援する補正予算案を6月府議会に提案する方針を示した。
府は発生翌日の22日から京都、向日、長岡京の3市の府立高と府立特別支援学校(いずれも一部除く)で休校措置をとってきたが、「学校の健康調査でも特に問題は出てない」などを理由に解除を決めた。府内の私立大にも同様の対応を求めた。
同日開いた府新型インフルエンザ対策本部会議と記者会見で、山田知事は「協力いただいた保護者、生徒に感謝します。引き続き油断なく調査し、京都観光の回復にも全力を挙げる」と述べた。
一方、補正予算案は、旅行の中止・延期で損害が出た観光事業者を支援する金融措置や、観光の客足を戻すキャンペーン経費などを想定し、支援する事業者の範囲や予算規模を検討している。
府によると、27日に府の発熱相談センターなどに寄せられた相談は766件とピーク時(20日=1990件)の半分以下に減少している。
安全宣言について山田知事は、「相談件数はピーク時の半分で日々減っている。京都市や商工会議所と連携し、状況に応じて考える」と述べた。ただ、同日開かれた府議会の府民生活・厚生常任委員会で、健康福祉部の浅田良純部長は「感染者がまったく出ないとはいえず、終結を宣言するのは難しい」と答弁した。
京都市も27日、新型インフルエンザの初感染が確認された男子児童が通う朱雀第三小(下京区)と全市立高・付属中の計11校の休校措置を予定通り解除し、28日から授業を再開することを決めた。すでに25日に40校の休校措置を解除しており、これで新型インフルエンザに伴う市立学校の休校はなくなった。
また、府内の発熱外来は27日、京都第一赤十字病院、京都第二赤十字病院(以上京都市)、宇治武田病院(宇治市)の3カ所で開設され、計20カ所となった。
■府内15病院調査、9病院で確認/代理ミュンヒハウゼン症候群
京都と岐阜の病院で母親が幼い娘の点滴に水道水などを混入したとされる事件に関連し、京都新聞社が、児童虐待の一種である代理ミュンヒハウゼン症候群について、京都府内の病院を対象にアンケート調査した結果、15病院のうち9病院が同症候群が疑われる母親が来院したことがあると回答した。このうち6病院が「観察する前に来なくなった」などとし、疑いのある母親の追跡が困難な一端が浮かんだ。
府内20病院に質問状を送り、15病院の小児科医師から回答を得た。すべての医師が同症候群について「認識がある」と答えた。
「疑われる母親が来院したことがある」と答えた9病院のうち、3病院の医師が「児童相談所に相談した」と具体的な対応に乗り出したことを明かした。それ以外の6病院は「観察するつもりだったが、来院しなくなった」「母親の行為が発見できないうちに退院した」と答えた。
各病院は院内での対応策について▽ビデオなどを利用し、証拠をつかむ▽診療録を見直し、ほかの家族や友人に病歴などを慎重に尋ねる▽児童相談所や警察に相談する-などを挙げた。
■「低炭素の達人」育成/京大、センター設置へ
京都大は5月30日までに、自動車中心の都市交通政策を転換し、人間中心の都市を実現する「低炭素都市圏政策センター」の設置を決めた。京都府と連携して、今秋から自治体の首長クラスや職員、民間事業者の人材育成プログラムに取り組み、府内全域で「京都らしい風情と華やぎのある」低炭素都市圏形成を目指す。
京都は、「KYOTO」として世界で地球温暖化防止のシンボルとなっているが、交通部門などで温室効果ガス削減は進んでいない。センターは、自動車依存から脱却する新たな政策を立案、実行する人材を育て、実践につなげる。
カリキュラムは、歩行空間の創出による都市活性化や自転車の活用をはじめ、コミュニティーバス、路面電車、BRT(バスによる新都市輸送システム)の導入など世界の実践例を学び、地域に求められる交通政策を考える。
自治体、交通事業者、コンサルタントの担当者対象の基礎、発展コースと、市長や副市長などへの「トップマネジメントコース」を開設する。週に1回程度の集中講義を検討しており、府と協議して募集形式やセンターの設置場所を決める。
センターは、研究者と国土交通省、自治体担当者などが講師の「持続可能なまちと交通をめざす再生塾」(大阪市)の実践を基にし、文部科学省の科学技術振興調整費によるプロジェクト「地域再生人材創出拠点」(本年度から5年間)に採択された。将来は、府外も対象に都市交通政策に限定しない低炭素社会実現のためのシンクタンクを目指す。
◎調査・データ編
■厚労省OBの07年度再就職は3643人/民主党予備的調査
2007年度に約2万5000人の国家公務員OBが特殊法人など天下り団体に再就職していることが5月27日、民主党が行った予備的調査で分かった。省庁別では厚生労働省が2番目に多い3643人だった。直嶋正行政策調査会長は同日の次の内閣閣議後の会見で「調査結果を有効に活用し、例えばどのくらいの財源を出せるかを含め検討していきたい」と述べた。
予備的調査によると、4504法人に約2万5000人が再就職していた。このうち取締役など役員に就いたのは全体の4割の約1万人だった。再就職の人数を省庁別に見ると、最も多いのは国土交通省で6929人で、次いで厚労省の3643人。
これらの法人には業務委託費などとして約12兆1000億円の金銭の交付があった。政府系金融機関の融資などを除いた約8兆円が税金を投入していた。
■非正規労働者の失職21万人/正社員も3万7000人に
08年10月から09年6月までに職を失ったり、失う見通しの非正規労働者の数は21万6408人で、4月の前回調査より4.4%増えたことが5月29日、厚生労働省の調査で分かった。
厚労省が同日発表した大量雇用変動届の提出状況によると、解雇などで職を失う正社員は3月と4月の届け出分の合計で3万7346人。長引く不況で人員削減が正社員にも波及していることが鮮明になった。
非正規労働者のうち、派遣社員が13万5065人と最も多い。このほか契約社員4万7100人、請負社員1万6795人と続いた。
再就職した人は2万2572人で、動向が把握できた人のうち、26.1%にとどまった。
都道府県別で失職者が最も多いのは、自動車関連産業が集積する愛知県で3万5986人。次いで長野県9688人、静岡県8841人など。
非正規労働者は、5月19日時点でハローワークなどを通じて把握した数字をまとめた。また1カ月以内に30人以上が離職する場合、企業は事前に大量雇用変動届の提出を義務付けられており、うち正社員の失職予定者の数を厚労省がまとめた。【共同】
■有料老人ホーム未届け、全国で446施設/厚労省が指導徹底で通知
厚生労働省は5月28日、老人福祉法に基づく有料老人ホームの届け出をしていない高齢者施設が全国で446施設あることを明らかにした。厚労省は同日付で、未届けの有料老人ホームへの届け出の促進と指導の徹底を呼び掛ける通知を都道府県に発出。度重なる指導を受けても指定を拒否するような未届け施設に対しては、罰則の適用も視野に入れた対応も可能とした。
群馬県渋川市の高齢者施設「たまゆら」の火災事故を受け、都道府県に対し09年4月30日時点で把握している未届けの施設数と入居者の処遇などに関する指導状況を聞いた。今回の調査は「たまゆら」の火災事故以降2回目。
前回の3月27日時点での調査以降、4月30日までに有料老人ホームの届け出を済ませたのは79施設で、依然として未届けの施設が446施設あった。未届け施設数は神奈川の91施設、東京の48施設、千葉の41施設、群馬の31施設の順で多く、首都圏に集中していた。
入居者の処遇などに問題があり指導を行ったのは80施設で、4月末時点で届け出済みは10施設、未届けは70施設だった。指導例としては「1部屋に複数人が生活しており、個室化などでプライバシー確保」「居室面積が狭く、生活に必要なスペース確保」「入居一時金の保全措置の実施」などがあった。
同日付の通知では、未届け施設の実態把握を踏まえ、有料老人ホームに該当する場合には早急に届け出を行うよう指導することを要望。届け出がない施設でも、有料老人ホームの定義に該当すれば老人福祉法に基づく立ち入り検査や改善命令の対象になるとし、届け出の有無にかかわらず適切に指導するよう求めた。
また、2009年度補正予算案で有料老人ホームのスプリンクラー設置補助事業が盛り込まれたことから、補助事業の積極的な活用と未届け施設の防火体制整備を呼び掛けた。厚労省は引き続き、09年10月末に未届けの施設数と指導状況を調査する予定だ。
■53市区町村でがん検診一部未実施/厚労省調査
健康増進法に基づく健康増進事業として市区町村が行っているがん検診で、胃、子宮、肺、乳、大腸の5つのがん検診のうち一部を実施していない市区町村が53市区町村あることが5月29日、厚生労働省の調査で分かった。
調査は、2009年1月1日現在のがん検診の実施状況について、全国1818市区町村を対象に実施。すべての市区町村から回答があった。
がん検診を実施していない市区町村を検診の種類別に見ると、肺がんが51市区町村、大腸がんが2村で、08年1月1日現在と比べるといずれも変化はなかった。一方、胃がん、子宮がん、乳がんは全市区町村で行われるようになった。検診を行わない理由については「ほかに優先すべき事業がある」「検診の有効性に疑問がある」「予算を確保できない」などが挙がった。
■基金の確定金額、3.6%増の9兆2700億円/08年度診療報酬
社会保険診療報酬支払基金は5月25日の定例記者会見で、2008年度(08年3月~09年2月診療分)の診療報酬確定状況などを明らかにした。老人保健を除く確定金額は9兆2706億円で前年度比3.6%増だった。医科は6兆6677億円で同3.1%増。うち入院は2兆9790億円(前年度比4.8%増)、入院外は3兆6886億円(同1.7%増)だった。
ほかの診療種別では、歯科9430億円(同3.3%増)、調剤1兆4964億円(同7.0%増)。
確定件数は8億2843万件で前年度比2.8%増。医科は4億7632万件で前年度比1.7%増で、このうち入院は939万件(同0.6%減)、入院外は4億6693万件(同1.7%増)。歯科は1億574万件(同2.6%増)、調剤は2億4602万件(同5.2%増)となった。
◎環境編
■温暖化で年30万人死亡/12兆円の経済損失と報告書
地球温暖化に関連した自然災害などによる死者が世界全体で毎年約30万人に上るとの報告書を、国連のアナン前事務総長が率いるシンクタンクが5月31日までに公表した。
報告書は、温暖化によって世界の3億人超が深刻な影響を受け、経済的な損失は年約1250億ドル(約12兆円)と推定。2030年までに温暖化による死者が最大で年50万人に達し、経済的な損失は年3400億ドルに上る可能性があると指摘した。
報告書を出したのは、「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」のパチャウリ議長も理事を務める「グローバル・ヒューマニタリアン・フォーラム」(本部・ジュネーブ)。英紙ガーディアンによると、パチャウリ議長は報告書を「現時点では最も妥当性のある試算」と評価している。
報告書は、有効な温暖化対策が取られなければ、温暖化によってもたらされる飢餓や健康被害の問題が拡大し、社会的、政治的安定への脅威になると強調。温暖化による自然災害の死者の99%が途上国に集中しているとし、途上国の被害緩和などに先進国が積極的に関与するよう求めた。【ロンドン5月31日共同】
■温暖化被害90年後は17兆円増/洪水、台風、熱中症
地球温暖化対策を取らないと、豪雨増加による洪水や台風の強大化による高潮の被害、熱中症による死者増などによって、今世紀末までに日本の被害の増加額が最大で年間計約17兆円に上るとの予測結果を環境省が5月29日、発表した。
14研究機関が参加した「温暖化影響総合予測プロジェクト」チームがまとめた。チームは「農林水産省の研究で果樹や野菜などにも大きな影響があるといわれており、経済評価できるか(研究者と)協力していく必要がある」としており、さらに被害額が増える可能性もある。
2020年の温室効果ガス排出量削減の中期目標は6月半ばにも公表される見込みだが、これまでの議論でこうした数値は一部しか検討されておらず、今後の議論に影響しそうだ。
予測では、対策を取らないまま、2100年の気温が産業革命前と比べて約3.8度上昇した場合を仮定してモデル分析した。
その結果、今世紀末までに増加する洪水による浸水被害額を最大で年間約8.7兆円、土砂災害の被害を約9400億円と見積もった。【共同】
■もんじゅ再開は11月以降/耐震補強工事を追加実施へ
日本原子力研究開発機構は5月28日、1995年のナトリウム漏れ事故以来、長期停止中の高速増殖炉原型炉もんじゅ(福井県敦賀市)で、原子炉補助建屋の屋上にある排気筒の耐震補強工事を実施すると発表した。11月までかかる見通しで、運転再開は工事完了以降になる。
原子力機構は09年1月、4度目となるもんじゅの運転再開の延期を発表したが、耐震安全性に関する国の審議の長期化で、具体的な再開目標時期は示せていない。
補強工事は、もんじゅで想定される地震による最大の揺れの強さ(基準地震動)を760ガルに引き上げたのに伴う措置。原子力機構は「現状でも耐震性は確保されているが、安全の余裕度を上げるため」と説明している。
08年9月に腐食が見つかった排気ダクトの補修は27日に終了。中断していた各設備の安全確認試験を再開する。【共同】
■中部電、浜岡原発2基の廃炉申請/置き換え計画で
中部電力は6月1日、運転停止中の浜岡原発(静岡県御前崎市)1、2号機(沸騰水型軽水炉)を廃炉にする「廃止措置計画」の認可申請を経済産業省原子力安全・保安院に行った。経産省によると、実用規模の原発の廃止申請は国内3例目。
中部電は1、2号機を廃炉にする代わりに6号機を新設する方針。国は既に原発がある場所で廃炉と新設を同時に行う「リプレース(置き換え)」戦略を打ち出しており、浜岡はその初のケースとなる見込みだ。
中部電によると、認可を受け次第、放射能汚染の状況調査などを開始する。解体作業は、原子炉周辺設備は2015年から、原子炉は23年から行う。全工程は36年までに終了する予定で、総費用は約840億円の見通し。
1、2号機(出力計138万キロワット)は運転開始から30年以上経過した古いタイプの原子炉で、トラブルなどを理由に長期に運転停止している。再稼働する場合、耐震工事に多額の費用がかかるため、中部電は新型原子炉による置き換えの方が経済的と判断した。【共同】
■福島の火力「問題あり」と環境省/CO2抑制不十分
福島県いわき市に計画中の石炭火力発電所「小名浜火力発電所(仮称)」の環境影響評価(アセスメント)で環境省が、「実行可能な最大限の二酸化炭素(CO2)排出削減対策が講じられているとは言えず、温暖化対策上、問題がある」とする斉藤鉄夫環境相名の意見をまとめたことが5月25日、分かった。
26日に斉藤環境相が発表。経済産業相に意見を伝える。経産相は発電所建設を計画する「小名浜パワー事業化調査」に対応を勧告することになる。発電所の建設計画への難色に加え、電気事業者のCO2削減対策の強化にまで言及する意見は極めて異例という。
環境省によると、同発電所は単位発電量当たりのCO2排出量が大きく、建設されればCO2排出増加につながる。このため環境省は意見の中で、同計画は「京都議定書の目標達成計画に支障を及ぼす恐れがあることに加え、電気事業における長期的なCO2排出低減の支障となる恐れがある」と指摘した。
環境省は経産省に対し、今後計画される石炭火力発電所は「その時点で採用可能な石炭ガス化複合発電、CO2回収・貯留など最高水準の技術を用いて、CO2の排出を最大限抑制したものとするよう求める」ことを要請。
温室効果ガス排出量削減に向けた2020年までの中期目標について「有効な枠組みが整備されないままに、新たな石炭火力発電所の運転開始が行われることのないよう、電気事業全体のCO2低減の枠組みを早期に整備すること」も経産省に求めた。【共同】
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