週刊医療情報インデックス
2009年4月4週 (2009.04.21~2009.04.27)
- 【ウイークリーダイジェスト】
- 【週刊マスコミ論調】
- ■医療問題、医療政策
- ■社会情勢など
- ■医学、健康
- ■鳥インフルエンザ、感染症など
- ■高齢者医療・福祉・年金・介護・少子化
- ■医療事故、医事紛争、副作用
- ■その他事件など
- ■保団連・保険医協会関係
- ■京都周辺の動き(医療関係、ほか)
- ■主な連載(医療全般)
- ■環境問題
【ウイークリーダイジェスト】
■「2200億円」見直し含め検討/財政審の西室会長、6月の建議に向け
財務省の財政制度等審議会は4月21日、財政制度分科会・財政構造改革部会を開き、6月にも公表する建議の策定に向けて社会保障制度をテーマに議論した。西室泰三会長は会議終了後の記者会見で、社会保障費の自然増2200億円削減問題について「もう一度、リアリスティックに2200億円削減だけを金科玉条とすることが正しいのか論議せざるを得ない」と強調。医療現場の実情を踏まえ、削減見直しを含めて検討する考えを示した。財政審は今回を含め3回にわたって社会保障全般について議論する。西室会長は「今回の建議では、社会保障が重要という認識がある」と述べた。
西室会長は、2200億円削減問題について「小泉(純一郎元首相)政権の5年間で、1.1兆円(毎年2200億円)削減することができたので、今後もやったらどうかということで出てきたもの」と解説。「現実問題、国民の安全・安心を考えると、ミニマムはここまでやらないといけないという計算を社会保障国民会議で検討した。その実現を考えるのは行政として必要なことだ」とも述べた。
同日の会合では、医師の偏在問題についても議題に上がった。ある委員はドイツを例に挙げて「国を12に、診療科を14に分けてそれぞれ定員を定め、10%を超えると開業しないように指導するシステムがある」と紹介。偏在解消に向けて、ドイツの実例を詳細に調べた上で検討する必要があると提案した。
財務省は同日の会合に、京都大の学部ごとの入学時の定員に関する資料を提示。医学部以外では細分化された学科ごとに定員を定めているとした上で「医学部も科目ごとに定員を定める方法もあるのではないか」と指摘し、診療科間の偏在解消の1つの方策になり得るとの見方を示した。
また、勤務医が病院を去ることで生じる「医療崩壊」については「開業医との収入格差や、モンスターペイシェントの問題がある」との意見が上がった。さらに、勤務医と開業医の年収には大きな格差が生じているとして「原因は中医協の問題。いくら(財源を)つぎ込んでも、(収入の)偏在を是正しないと問題は解決しない」との指摘もあった。
中医協については、西室会長も「診療報酬は結果的に医師の収入や配置につながるもので、中医協での改定議論は大事。これまでの診療報酬の決め方について、批判すべきはしっかりと批判したい」と述べた。
■09年度のオンライン義務化、10年3月まで延期可/厚労省
厚生労働省は4月21日、09年度からレセプトオンライン請求義務化の対象となる医療機関のうち、オンライン請求に対応できない医療機関について、最長で10年3月末まで書面などによる現行の請求を可能とする省令改正案を示し、パブリックコメントの募集を始めた。募集期限は今月27日までで、5月8日の公布を予定している。
09年度からオンライン請求が義務化されるのは、400床未満の病院で①レセプトコンピューターで電子請求をしている②レセプトコンピューターにレセプト文字変換ソフトの適用が可能な場合―と、レセプト作成業務を電算化している薬局。厚労省保険局総務課によると、対象機関のうち病院220カ所と薬局2600カ所がオンライン請求を届け出ていないという。
省令改正案では、10年3月末までの間で「オンライン請求の体制の準備に必要な期間を勘案して厚生労働大臣が定める日」まで現行の請求を可能にするとしている。
■2府5県から245人が提訴/レセプトオンライン反対の大阪訴訟
レセプトオンライン請求義務化撤回を求めて、神奈川に続いて提訴準備を進めていた大阪府保険医協会(高本英司理事長)は23日、大阪地裁に対して「レセプトオンライン請求義務不存在確認等請求」の訴状を提出した。原告訴訟団は今回提訴を第1次として、245人が名を連ねた。原告団は大阪の保険医118人、保険歯科医93人のほか、兵庫(1人)、京都(1人)、奈良(2人)、和歌山(28人)、山口(1人)、福岡(1人)の保険医も参画した。
5月末までに第2次原告団の参加募集を行う方針で、第2次提訴は6月半ばになる。今月11日に開いた原告団結成総会では300人近くが参加意思を示していたが、弁護団によると23日までの提訴準備に間に合った245人で第1次提訴に踏み切った。間に合わなかった人は第2次に回る予定だとしている。
今回提訴の請求趣旨は①レセプトオンライン請求の義務のないことの確認請求②損害賠償(慰謝料請求)─の2点。請求理由は「厚生労働省令111号は違憲・違法であり、無効」として①医師・歯科医師の診療を行う権利の意義とその侵害(廃業の危機)②患者のプライバシー侵害と医師・歯科医師の人格権侵害③法律に基づく行政の原則違反(省令での権利侵害)─を挙げた。第1回口頭弁論の期日の見通しはついていないが、弁護団は「なるべく早期に開かれるよう求めていきたい」としている。
大阪訴訟の弁護団長である河村武信弁護士は、提訴後の集会で「大きな集団提訴で、社会の関心を集めていくことが必要」と強調。訴訟を通じてメディアなどに取り上げられる機会を増やしたいとの意欲も見せた。
■改正消防法案が成立
救急搬送の受け入れ可能な医療機関名の得意分野別のリストを都道府県が作成することなどを定めた「改正消防法案」が4月24日の参院本会議で全会一致で可決、成立した。救急搬送の効率化を図ることで都立墨東病院の妊産婦死亡事案など救急患者の受け入れに関する問題に対応する。
■高額療養費の所得区分、支給対象を追加/健保法施行令を改正
政府は4月24日の閣議で、高額療養費の支給について、所得区分に応じた自己負担限度額の適用対象を一部拡大する健康保険法施行令等の一部を改正する政令を決定した。
公費負担医療の対象療養のうち、特定疾患治療研究事業と小児慢性特定疾患治療研究事業の対象となる療養に関して、高額療養費の支給の自己負担限度額を適用することとし、支給要件や支給額などの規定を新たに設けた。
難病などの治療研究事業は従来、通常の高額療養費支給要件などとは別に、レセプト単位で一律に一般所得区分と同じ自己負担限度額を適用して支給していた。
■補正予算の総額14.7兆円、27日に提出/医療施設耐震化で1700億円
2009年度第1次補正予算は、経済危機対策関係経費として総額14兆7000億円を計上することになった。「健康長寿・子育て」として2兆200億円を確保。内訳は地域医療・医療新技術に8200億円、介護職員の処遇改善・介護拠点整備に8400億円、子育て・教育支援に3700億円をそれぞれ配分した。与党は27日にも補正予算案を衆院に提出し、5月中旬の成立を目指す。
地域医療・医療新技術関係では、地域医療再生交付金に3100億円計上することなどが対策の柱。このほか医療施設の耐震化などに1700億円を投じるほか、新型インフルエンザ対策事業にも1300億円を計上した。
財源の多くは、建設公債などの借金で賄う。公債金の総額は10兆8200億円程度(建設公債7兆3300億円、特例公債3兆4900億円)となった。
■臨床研修見直し「地域事情踏まえ柔軟に」/舛添厚労相
舛添要一厚生労働相は4月24日の閣議後の会見で、都道府県別の定員上限などを盛り込んだ10年度からの医師臨床研修制度の見直し案が固まったことについて「各地域で状況が違う。柔軟に対応していきたい」との見解を示した。
舛添厚労相は「非常に難しいのは、若い医師にどこで研修しなさいと強制するのは憲法上の人権を考えても問題があるし、一方で医師不足をどうするかという問題もある」と指摘。都道府県別定員の上限設定については「ある程度は許容されるのではないか」としながらも、地域の実情を踏まえて運用する意向を示した。「単なる労働力不足という観点では駄目だと思う。国民のために良い医師を育てるにはどうすれば良いかという観点から、必要に応じて新しい取り組みや改善をしていきたい」とも述べた。
■薬価差目的の院内処方は本末転倒/舛添厚労相
新潟県内の厚生連病院が、国が進める医薬分業の方針に反する形で5月中旬に院外処方から院内処方に切り替える予定にしていることに関連し、舛添要一厚生労働相は4月22日の衆院厚生労働委員会で「医薬分業のプラスの面を考えると、薬価差益を得るためだけに院内処方をやることは果たしていいことなのか。本末転倒だと思う」と述べ、薬価差の確保が目的であれば問題だとの認識を示した。
髙鳥修一氏(自民)の質問に答えた。
新潟県厚生連の三条総合病院(三条市)はこれまでの院外処方を中心とした方針を改め、5月中旬から患者の希望に応じて院内処方に切り替える方針。県薬剤師会は医薬分業の精神に反するとして08年末に方針の撤回を要請し、県内のほかの病院への拡大を懸念している。日本薬剤師会幹部も問題意識を示している。
■労基法違反の状況「尋常ではない」/宿直問題で舛添厚労相
舛添要一厚生労働相は4月21日の参院厚生労働委員会で、勤務医の宿直問題について「労働基準法違反の下で働いている状況は尋常ではない」と問題意識を表明した。さらに「他国の医師と比べても、無茶苦茶な条件で働いていれば、睡眠不足もあり、患者も手術を安心して受けられない。医療提供側もいつミスを起こすか分からないという大変な問題だ。こういうことを本格的に検討したい」と改善に向けての意気込みを示した。足立信也氏(民主)の質問に対する答弁。
舛添厚労相は「厚生省と労働省が一緒になり1人の大臣が所管することで、悪いことばかりでなく良いことがあるとすれば、こういうことについて責任を持って統一的に仕事ができることだ」とした。その上で「労働基準法通りにきちんとやった時、どれぐらいの人が必要で、どれくらいのコストがかかるのか。具体的にどういう手段、プロセスで進めるかは検討次第だが、みんなの努力で医療制度を再構築しようという方向付けができてきたこともあり、積極的な希望の見える第一歩を踏み出したい」と結んだ。
■消費税は社会保障の安定財源/「政府で一致」と舛添厚労相
舛添要一厚生労働相は4月20日の参院決算委員会で、骨太の方針2008に盛り込まれている社会保障費の安定財源確保について「主要な財源として消費税を念頭に置く。それが安定財源としての一番大きな柱である」と述べた上で、「こういう認識は政府で一致していると思う」とした。西島英利氏(自民)の質問に答えた。
西島氏は、地域医療崩壊の原因となる医師不足について「臨床研修制度によって引き起こされたとよく言われるが、それだけではない」と指摘。「経済的な誘導の中で引き起こされてきたことの方が大きな要因なのではないか」と述べ、社会保障費の安定財源確保の重要性を強調した。
■医療機関の機能・設備強化に2096億円/09年度補正予算案
自民党の厚生労働部会、社会保障制度調査会、雇用・生活調査会は4月23日、合同会議を開き、2009年度第1次補正予算案の基礎となる経済危機対策の厚生労働関係事項について、厚生労働省から説明を受けた。厚労省分の総額4兆6718億円のうち「健康長寿・子育て」が1兆8915億円を占める。
健康長寿・子育ての内訳は、「地域医療・医療新技術」に7684億円、「介護職員の処遇改善・介護拠点整備」に8443億円、「子育て支援」に2788億円。
「地域医療・医療新技術」の詳細を見ると、地域医療の再生に向けて3100億円を確保し、地域医療再生計画に基づく医師事務作業補助者の集中配置や、大学病院などと連携した医師派遣機能の強化などに取り組む。
さらに医療機関の機能・設備強化などには2096億円を投じ、災害拠点病院の耐震化などを図る。新型インフルエンザワクチンの開発・生産体制の強化には1279億円、レセプトオンライン請求に必要となる設備投資の支援には291億円をそれぞれ計上した。
「介護職員の処遇改善・介護拠点整備」では、職員の処遇改善に3975億円を、介護基盤の緊急整備に3294億円を配分した。さらに、介護人材の資格取得などのキャリアアップ支援に向けた施策として、離職者に対する職業訓練や、現任介護職員への研修支援などに取り組むための予算も確保した。
このほか「安全・安心のための施策の推進」では、子宮頸がんや乳がんなどの女性特有のがん検診に対し、一定の年齢に達した際に無料クーポン券を配布する経費として216億円を確保した。後期高齢者医療制度関係では、低所得者の保険料軽減(均等割8.5割軽減)の継続のため131億円を充てるとした。
■臨床研修見直しで医師不足どう解消?/自民・医療委が疑問視
自民党の社会保障制度調査会・医療委員会(鴨下一郎委員長)は4月24日、臨床研修制度の見直し案について、厚生労働省から報告を受けた。同日の委員会に出席した議員からは「どういう形で医師不足の是正につながっていくのかよく見えない」との意見が相次いだ。このため、今回の見直しによって医師不足が解消するのかどうか明確化させることを前提に、委員長一任となった。
■2200億円の撤廃、再度強調/自民・鈴木氏
鈴木俊一・自民党社会保障制度調査会長は24日の同調査会・医療委員会の冒頭あいさつで、「2200億円の削減は、今は枠だけあって中身はすでに抜けている状況。概算要求基準に向けて実質的にも見直す形で進んでいかないと、今後の予算編成もうまくいかない」と述べ、社会保障費の削減方針撤回に向けて取り組む姿勢を強調した。
■外来管理加算で舌戦本格化/中医協小委
中医協・診療報酬基本問題小委員会(委員長=遠藤久夫学習院大教授)は4月22日、2008年度診療報酬改定の付帯意見に盛り込まれた基本診療料に関する本格的な議論に入った。藤原淳委員(日本医師会常任理事)は、中医協・診療報酬改定結果検証部会が実施した特別調査の結果を踏まえて、診療所の影響額が804億円に達するとの試算を示し「当初見込みを大きく上回る。現場の声を反映して(5分ルール撤廃の)見直しを提案する」と主張した。これに対し厚労省側は、個別項目の影響額は秋までにまとめる社会医療診療行為別調査の結果を待つ必要があると指摘。支払い側委員も「基本診療料全体の議論の中で、外来管理加算の位置付けを考えるべきだ」と訴えた。
藤原委員は特別調査の結果について①患者の6割が時間の目安は必要ないと感じている②医師からの説明は9割近くの患者が『変わらない』と答えており、従来、丁寧な説明をしていた③現場医師は時間要件を負担に感じている―などとし、「5分という時間要件にこだわるのは実態に即しているのか」と早急な見直しを主張した。
影響額が見込みを上回るとの指摘に対し、厚労省保険局医療課の佐藤敏信課長は「個別の影響額は社会医療診療行為別調査の結果が出ないと、現段階で示すことのできる数値はない」と答えた。また対馬忠明委員(健保連専務理事)は「当初の影響額として示した240億円は高齢者を除いた若人の数値。(日医などが示す試算とは)対象範囲が違う」と主張し、厚労省側も「若人部分と高齢者部分とで分けて、若人部分で240億円と試算した」と説明した。
さらに、小島茂委員(連合総合政策局長)は「議論の進め方として、外来管理加算だけを取り出すよりも、基本診療料全体の中での位置付けを踏まえて影響額を議論すべきでは」と述べた。しかし、藤原委員は「現場では大変な混乱と疲弊をもたらしている。議論とは多少外れることは承知しているが、これほど当初試算との間に狂いが生じると、現場の声を伝えざるを得ない」と主張。「240億円」に高齢者分の影響額が含まれていないとの厚労省の説明については、仮に高齢者分を差し引いても当初見込みを大きく上回ることに変わりはないとし、早期見直しを求める姿勢は譲らなかった。
■加算算定でも勤務医は厳しい/入院料の議論も始まる
4月22日の中医協・診療報酬基本問題小委員会では、入院基本料など入院料に関する議論も始まった。西澤寛俊委員(全日本病院協会長)は、2008年度の特別調査のうち勤務医の負担軽減に関する調査結果について「調査対象となっている3加算(入院時医学管理加算、医師事務作業補助体制加算、ハイリスク分娩管理加算)を算定しているのは、体制が比較的整っている病院といえる。それでも勤務医が厳しい現状にあることを踏まえて議論すべきだ」と訴えた。
対馬忠明委員(健保連専務理事)は、3加算の要件に勤務医負担軽減計画の策定と周知が盛り込まれているにもかかわらず、計画未策定で算定している病院が多く、計画の認知度が低いことを問題視した。厚生労働省保険局医療課の佐藤敏信課長は「平たく言えば良くないことだと思う」との見解を示すとともに、3月30日付で発出した疑義解釈の中で、計画を策定する予定だけでは届け出を受理できない旨の周知徹底を図ったと説明した。
■外来管理加算「再診料に含めては」/支払い側、中医協小委で提案
基本診療料について議論した4月22日の中医協・診療報酬基本問題小委員会で、対馬忠明委員(健保連)は「例えば外来管理加算を再診料に含めてしまうという議論もできるのではないか」と提案した。
その上で、2008年度診療報酬改定に関する特別調査で、同加算の算定割合などに関する診療科別の状況が病院のみに限られていることを取り上げ、「外来管理加算の影響は特に診療所で大きい。診療科ごとに大きなばらつきがあるのであれば、一律に(外来管理加算を再診療に)含めてしまうことはどうかという議論にもなると思う」と述べた。
これに対し厚生労働省側は、特別調査で診療所の診療科別の状況を示さなかったのは客体数が少なかったためと説明。社会医療診療行為別調査の結果が出た段階で、診療所についても診療科ごとの算定割合を出すことはできるとした。
■医療機器85件の保険適用を報告/中医協総会
厚生労働省は4月22日の中医協総会で、1日から新たに保険適用されている医療機器85件を報告した。医科の内訳は、特定の診療報酬項目で包括的に評価されている「区分A2」41件、材料価格として個別に評価されている「区分B」27件。歯科は「区分A2」1件、「区分B」16件。
■募集定員枠「前年度のマッチ数は確保」/臨床研修新制度で経過措置
厚生労働省は4月23日、医道審議会・医師分科会医師臨床研修部会(部会長=相川直樹・慶応大名誉教授)を開き、17日までに募集したパブリックコメントを踏まえた新医師臨床研修制度の見直し案を議論した。厚労省は臨床研修病院の募集定員枠の削減率が大きい場合の経過措置を提示。2010年度の研修医募集で都道府県別の定員上限枠を超えた場合、各病院の募集定員が極端に減少することがないよう、09年度の病院のマッチング数を最低限確保できるよう考慮する。厚労省医政局医事課の杉野剛課長は終了後、記者団に対し「経過措置によって、大都市部でも前年度並みの定員数は確保できる。都道府県の定員上限枠を超えることにはなるが、地域の実情などを踏まえると考慮する必要がある」と述べた。厚労省は今月中に関係省令や通知の改正を行う予定だ。
見直し案では、研修医の募集定員が20人以上の臨床研修病院に対し、将来小児科医と産科医を希望する研修医を対象に、各科2人以上の募集定員を必ず設けることを求めた。これに対し「小児科と産科を定員総枠の1割とするのは大きい。別枠にすべきだ」(小川秀興委員・学校法人順天堂理事長)など多数の反対意見が上がった。杉野医事課長は終了後「今月下旬の関係省令・通知改正までに、小児科と産科の募集定員枠の取り扱いについて再検討する」との方針を示した。
このほかの修正点については大筋了承された。臨床研修病院群の中核となる大学病院などを「基幹型臨床研修病院」とし、協力型臨床研修病院などと連携して研修を行うとした。基幹型臨床研修病院の指定基準に適合せず、指定取り消しの対象となる医療機関には一定の経過措置を設ける。基準を満たさないものの研修医の応募数が多いケースなどが想定され、各病院の事情に合わせて個別に対応する方針だ。
病院での募集定員枠は過去3年間の受け入れ実績の最大数とする。募集定員の加算要件となる派遣医師は「7年以上15年以下」の臨床経験を有することなどとした。募集定員に加算する数値は10人を上限とする。
同日の議論では、矢崎義雄委員(独立行政法人国立病院機構理事長)が「研修修了後にどんな病院でどういう専門に進むかというデータを残しにくいことが、臨床研修制度の欠陥」と述べ、研修修了後の動向を把握する必要性を指摘した。医政局医師臨床研修推進室の田原克志室長は、08年度の臨床研修修了者を対象に志望診療科や勤務先を聞くアンケート調査を行うとした上で「毎年、直近のデータを示して制度を随時見直していく」と答えた。このほか山下英俊委員(山形大医学部付属病院長)が「都道府県別の募集定員上限枠はどうしても納得できない」と撤回を求めたが、厚労省は「継続課題」とするにとどめた。
■捜査機関への通知、判断基準を明示/死因究明で厚労省研究班
厚生労働省が検討を進めている「医療安全調査委員会(仮称)」をめぐる議論で、調査委から捜査機関への通知対象として示している「標準的な医療から著しく逸脱した医療」の具体的な判断基準を盛り込んだ報告書を、厚生労働省研究班(研究代表者=木村哲・東京逓信病院長)がまとめた。判断基準は「故意に近い悪質な医療行為に起因する死亡、または死産の疑いがある場合」とし、①医学的根拠のない医療②著しく無謀な医療③著しい怠慢―がそれに当たると解説。それぞれの具体例を示している。近く研究班ホームページに掲載する予定だ。
「医学的根拠のない医療」については、根拠がなく独断で効果的と考えた医療行為をして、患者が死亡した場合とした。具体例として、腹痛を訴えて救急外来に来院した患者に対し、虫垂炎を疑わせる所見がないにもかかわらず虫垂炎手術を行い、術中に誤って消化管損傷を起こして死亡させた事例などを挙げている。
「著しく無謀な医療」としては①危険性が少なく有効なほかの選択肢があることを知った上で、危険性が高い医療行為を行った場合②その医療技術をまったく習得していないにもかかわらず独断で医療行為を行った場合─を挙げた。「著しい怠慢」は致命的になる可能性が高いことに気付きながら何もしなかった場合とした。
ただ、通知の対象になり得る医療行為があっても、緊急的な措置が必要だった場合や離島などの環境も考慮し、捜査機関への通知対象にならないこともあり得るとしている。
報告書は、2008年度の厚労科学研究「診療行為に関連した死亡の調査分析に従事する者の育成及び資質向上のための手法に関する研究」の分担研究班(グループリーダー=山口徹・虎の門病院長)がまとめた。捜査機関への通知は、医療者の倫理に照らし「故意に近い悪質度の高さ」を判断することが適切とし、「特定個人の責任に帰されるべきか」の観点から通知範囲を検討していた。
一方、医療機関から調査委への届け出については、第3次試案で判断基準として示されていた「死亡を予期できたかどうか」を、「一定の確率で発生する合併症として医学的・合理的に判断できるか」との表現に明確化すべきとした。
また「誤った医療を行ったことが明らかか」については「判断に医学的専門性を必要としない、誤った医療を行ったことが明らかか」とするよう提案した。
■厚労省「小児救命救急センター」整備を提案/小児救急検討会
厚生労働省は4月23日、小児専門の3次救急医療機関として「小児救命救急センター(仮称)」を整備する考えを明らかにした。同日の「重篤な小児患者に対する救急医療体制の検討会」(座長=中澤誠・日本小児科学会小児救急委員長)に提示した。委員からは同センターの整備に対して異論はなかったが、状態が安定した患者を受け入れる小児集中治療室(PICU)の充実や、同センターの整備と並行して他の小児専門医療機関の救急受け入れ体制の整備も行うべきとの意見が上がった。
厚労省は、これまでの議論を基に「現在できる小児救急の改善策。基本的には既存の医療機関を利用し、地域ごとに体制を議論する大枠」(医政局指導課)として案を提示した。それによると、重篤な小児患者に対する救命救急医療を小児救急医療体制の中に位置付け、小児の救命救急医療を担う3次救急医療機関として小児救命救急センターを整備するとした。
同センターに期待される機能としては①小児救急専門病床を設置し、診療科領域を問わず24時間体制で受け入れる②超急性期を脱した患者については、高度な小児専門医療が必要であれば、急性期であっても専門医療を提供できる医療機関に転院できるようにする③急性期を脱した患者は、積極的に同一医療機関内の病床やほかの医療機関などに転床・転院させ、常に小児救急専門病床を確保する―などを示した。
また、搬送と受け入れ体制を整備するため、都道府県が小児科医を構成員に含む協議会を設置することを提案。患者の緊急度や症状などを確認するための基準など、搬送と受け入れに関するルールを策定することとした。
■レセオンライン期限延長「緊急的な措置」/厚労省
厚生労働省保険局総務課の神田裕二課長は4月22日の中医協総会で、このほどパブリックコメントの募集を始めた一部の医療機関でのレセプトオンライン請求義務化を延長する省令改正案について、「09年4月から義務化対象となった医療機関がオンラインで請求できない場合、診療報酬を請求できなくなる。これを救済する緊急的な措置」と説明した。
■PICU「今よりかなり多い数必要」/外口医政局長
厚生労働省医政局の外口崇局長は4月22日の衆院厚生労働委員会で、厚労省の検討会で議題に挙がっている小児集中治療室(PICU)の整備状況について「今よりかなり多い数が必要になる」との認識を示した。阿部知子氏(社民)の質問に答えた。
阿部氏は、救命救急センターのPICUの整備状況について「全国に214カ所(救命救急センターが)あっても、子どもを専用に受け入れてくれるのは19床しかない」と指摘。中学生程度までを対象に診療する小児専門病院でも「最大限見積もっても、85床しかない」と述べ、PICUの少なさを問題視した。
PICUの整備体制をめぐっては、厚労省の「重篤な小児患者に対する救急医療体制の検討会」で議論している。具体的に必要な病床数について外口局長は「厚労省の検討会での議論を踏まえて必要な対策を講じたい」と述べるにとどめた。
■DMAT、596チームを養成/参院厚労委で外口局長
厚生労働省医政局の外口崇局長は4月21日の参院厚生労働委員会で、大地震など災害発生時に被災地に駆け付けて救急治療を行う災害派遣医療チーム(DMAT)を「2009年3月末時点で596チームを養成した」と発表した。山本博司氏(公明)の質問に答えた。
DMATは、被災地で救急治療などを行うための専門的な訓練を受けた1チーム5人からなる医療チーム。政府の中央防災会議で、11年度末までに1000チームまで増強することとしている。
外口局長は、DMAT養成のペースとして「毎年約120チームを養成する予定」と述べ、政府の目標達成に意欲を示した。また、被災地の状況を都道府県や医療機関が共有するための「広域災害救急医療情報システム」(EMIS)を導入しているのは、09年4月現在で39都道府県と公表した。
■DPC解析前データ、条件付きで公開へ/佐藤医療課長
厚生労働省保険局医療課の佐藤敏信課長は4月18日、奈良市内で開かれた日本小児科学会学術集会のシンポジウムで講演し、4月の改正統計法施行を踏まえて、解析前のDPC集積データを一定の条件の下で公開していく考えを示した。「希望者から具体的な研究設計案を示してもらい、どのようなデータが必要かを確認した上で提供したい」と述べた。
■救急受け入れ拒否、病名・死因も調査へ/厚労省など
救急搬送で医療機関に受け入れを拒否された事例について、厚生労働省と総務省消防庁は、受け入れを拒否された患者の退院時の病名や死因などを追加調査することを決め、4月20日に行われた全国救急医療等担当者会議で都道府県担当者らに説明した。
両省庁は08年度、受け入れ拒否の状況について実態調査を実施。受け入れの照会を行った回数が11回以上の事例が903件に上ったことなどが明らかになっている。今回、さらに背景や疾患などの詳細を把握するため、特に受け入れ先の選定が困難だった事例について、追加調査を行うことにした。
調査では、重症以上の傷病者の搬送で医療機関に受け入れの照会を11回以上行った事例について、退院時の状況や受け入れから死亡までの日数、病名や死因などを調べる。期間は6月26日まで。
両省庁は調査結果を公表する方針で、「今後の救急医療体制を充実させるための方策や、地域の救急搬送・受け入れ体制の改善を図るための検討に生かす」としている。
■遠隔医療の導入で「外来増収効果も」/推進懇談会
総務省は4月24日、厚生労働省と共同で設置する「遠隔医療の推進方策に関する懇談会」(座長=金子郁容・慶応大政策・メディア研究科教授)で、2008年度から実施している遠隔医療モデルプロジェクトの進捗状況を報告した。08年度は10件を採択しており、モデル事業の実施主体からの報告では「在院日数短縮による医療費削減、地元病院への外来増収効果などで年間13.6億円の経済効果が見込まれる」との試算もあった。
総務省は、09年度も引き続きモデル事業を行うほか、09年度補正予算で推進交付金を積み増すとした。
遠隔医療モデルプロジェクトは岩手県遠野市や長野県松本市、北海道函館市などで実施し、予算規模は10件で約5億4000万円。大学や医師会、公立病院などを中心に、バイタル情報連携や放射線画像診断、妊産婦見守りなどの事業を行っている。
同日はこのほか、総務省と経済産業省、厚労省がそれぞれ遠隔医療の取り組み状況を報告した。厚労省はこれまで360施設以上に遠隔医療の導入経費を助成してきたと説明。厚労省医政局政策医療課の三宅邦明医療技術情報推進室長は、09年度補正予算案に盛り込まれた「地域医療再生計画」について「遠隔医療でも何かできないか議論している」と話した。
08年7月の中間取りまとめを踏まえて設置したワーキンググループの開催状況についても報告があった。同懇談会は5月以降、取りまとめに向けてさらに議論し、ワーキンググループも適宜開催する予定だ。
■交付税の打ち切り問題、激変緩和を検討/総務省
自治体病院に対する特別交付税の交付要件の見直しによって、2009年度から一部の病院が交付対象から外れる問題について、総務省自治財政局の細田隆官房審議官は4月20日の衆院決算行政監視委員会第3分科会で「12月に向けて各病院が新たな要件に該当するかどうか精査する。激変緩和の経過措置的な財政措置についても、この作業と合わせて検討していく」と述べ、09年度の特別交付税の算定に合わせ経過措置も検討するとした。逢坂誠二衆院議員(民主)の質問に答えた。
特別交付税の交付要件見直しについて細田官房審議官は「全体としては対象数が増えるが、中には対象から外れる病院もある」と述べた上で、経過措置を望む自治体などの意見を踏まえていくとした。特別交付税の交付は従来、市町村内にほかの一般病院が存在しないことなどが要件だった。ただ市町村合併によって行政区域が広がったことを考慮し、総務省は実際の生活圏や不採算性に配慮する要件に見直した。
■救急隊の照会回数を記録/受け入れ拒否問題で提言
総務省消防庁の救急統計活用検討会は4月22日、救急搬送の受け入れ拒否問題などの実態把握に向け、救急隊が医療機関に患者の受け入れが可能かどうか照会した回数を記録するよう求める報告書をまとめた。
医療機関の受け入れ状況を示す統計データには現在、「転送」という項目がある。しかし地域によって、救急車が医療機関に到着後に受け入れを断られたケースだけだったり、車内からの照会も含めたりと統一性がなかった。
このため検討会は、受け入れの可否が事実上決まる「照会」について、実態を把握する必要があると指摘。併せて、受け入れ拒否の理由も報告すべきとしている。
報告書ではこのほか、患者ごとにきめ細かい対応ができるよう、患者の年齢区分を新生児から高齢者までの5種類から、高齢者を75歳未満とそれ以上に分けるなどして9種類に増やし、疾病の区分も細分化するよう求めている。
報告書を受け、消防庁は今後、関係学会などと協議。報告項目の定義を明確化した上で、新たな統計システムの普及を進める。
救急搬送の記録は、個別の出動ごとにオンラインに入力、最終的に消防庁が全国の状況を集約している。【共同】
■調整本部に医療関係者を/大災害時、消防と連携
総務省消防庁の有識者検討会は4月20日、大規模災害が発生した際の消防と医療の連携強化を求める報告書をまとめた。都道府県が設置する「消防応援活動調整本部」に、全国から派遣される災害派遣医療チーム(DMAT)代表を加え、チームを必要な場所に的確に派遣するのが柱だ。
消防庁は報告を受け、調整本部にDMAT代表を加えることを地域防災計画などで定めるよう都道府県に呼び掛ける。
調整本部は、全国の消防隊員でつくる緊急消防援助隊をどこに派遣するかなどを指示する組織。知事を本部長に、被災地の職員や援助隊の代表者らがメンバーで、医師らでつくるDMATの代表は入っていない。
2008年6月に起きた岩手・宮城内陸地震では、DMATにけが人の情報が届かなかったり、二次災害の恐れがあると知らずに危険地域に入ったりするケースがあったため、連携の強化が求められていた。
報告書は、DMATの代表を本部に含めることで情報を共有するほか、倒壊家屋などで連携して人命救助する際は、DMATの安全を確保するため消防機関の指示に従うよう求めた。【共同】
■夜間避難マニュアル作成へ/高齢者施設火災受け消防庁
総務省消防庁は4月21日、群馬県渋川市の高齢者施設「たまゆら」で10人が死亡した火災を受け、小規模な福祉施設に対応した夜間の避難誘導マニュアルを作成する方針を明らかにした。避難訓練に消防や市町村の担当者が立ち会うなどし、各施設の防災体制が十分か確認するとしている。
消防庁はこれまで、病院や大型福祉施設向けの夜間避難マニュアルしか作っていなかった。小規模施設は夜間の職員が少なく、建物全体に火が回る時間が短いなど、利用者の避難誘導が難しい点があり、新たにマニュアルを作成、防災訓練などを促すことにした。
対象は延べ面積300平方メートル未満の施設とする見通し。利用者の避難を早めるため火災報知機の設置を促すとともに、小規模で防火管理者を置く必要がない施設でも、人命確保の観点から施設関係者に防災対策を働き掛けるとしている。
たまゆらは、増改築を繰り返した複雑な構造で避難経路が分かりにくかった上、火災時には従業員が1人しかいなかったことが問題化。同様の小規模施設での再発防止対策の必要性が指摘されている。【共同】
■医療安全調査委法案「内容を了承」/法務省・警察庁の幹部
法務省と警察庁の幹部が4月21日、参院厚生労働委員会に参考人として出席し、厚生労働省が検討を進めている「医療安全調査委員会(仮称)」創設を盛り込んだ第3次試案と法案大綱案について、それぞれの官庁として内容を了承していると説明した。西島英利氏(自民)の質問に対する答弁。
法務省の甲斐行夫大臣官房審議官は「厚生労働省の策定した第3次試案の内容については、事前に協議を受け、公表することを合意している」と指摘。警察庁の西村泰彦長官官房審議官も「第3次試案、大綱案の策定、公表に当たっては警察庁としても協議にあずかり、内容について了承している」と述べた。
また、警察へ通知することになる「標準的な医療から著しく逸脱した医療」について、厚労省の外口崇医政局長は「個々の事例ごとに、病院等の規模や設備、地理的環境、医師等の専門性の程度、緊急性の有無、医療機関全体の安全管理体制の適否等を勘案する」と解説した。
さらに「標準的な医療から著しく逸脱した医療」の判断基準として、08年度の厚生労働科学研究では「故意に近い悪質な医療行為に起因する死亡の疑いがある場合とし、医学的根拠のない医療、著しく無謀な医療、著しい怠慢を通知の対象とする」と提案していると紹介。「こうした議論を踏まえて検討していきたい」と述べた。
■産科医当直は「労働時間」/奈良地裁、県に割増賃金支払い命令
県立奈良病院(奈良市)の産科医2人が、2004年、05年の当直勤務の時間外割増賃金など計約9200万円の支払いを県に求めた訴訟の判決で、奈良地裁(坂倉充信裁判長、異動のため一谷好文裁判長代読)は4月22日、当直を時間外労働と認め、計約1500万円の支払いを命じた。奈良県は当直1回につき2万円の手当を払うのみだった。弁護士によると、医師の当直が労働時間に当たるかどうか争われた訴訟は初めて。当直に定額手当しか支払わない例は全国にあり、ほかの病院にも影響を与えそうだ。
判決は「産科医は待機時間も労働から離れていたとは言えず、当直開始から終了まで病院の指揮下にあった」と指摘。当直は労働基準法上の時間外労働に当たり、割増賃金支払いの対象になるとして「現実に診療をした時間だけが労働時間」とする県側主張を退けた。 判決によると、産科医2人は04~05年にかけてそれぞれ約200回、夜間、休日に当直勤務をした。その際、分娩に立ち会うことも多く、異常分娩の時に診療行為をすることもあった。さらに病院での宿直時は睡眠時間を十分取ることは難しく、当直中はポケベルを携帯し、呼び出しに速やかに応じることを義務付けられていた。判決は時効となった04年10月以前を除いた分について、手当を支払うよう命じた。一方、休日も自宅で呼び出しに備える「宅直勤務」について、判決は「医師が自主的に設けたもので病院の指示ではない」として労働時間と認めなかった。判決後、原告の産科医らは「緊急事態に対応するためにはコストがかかることを考えてほしい」などとコメントした。
当直勤務をめぐっては、ビル管理会社社員の宿直を労働時間とした最高裁判決がある。【共同】
■240億円は若人のみ「聞いたことない」/外来管理加算で日医・中川氏
2008年度診療報酬改定時に外来管理加算の見直しによる影響額として厚生労働省が示していた「240億円」について、4月22日の中医協で支払い側が「後期高齢者は含まれず若人(一般)のみの影響額」と主張したことに対し、日本医師会の中川俊男常任理事は23日、メディファクスの取材に「改定前後を通じて、240億円が若人のみの影響額だという説明は聞いたことがない。ここがあいまいなままでは、次期改定の議論にスムーズに入っていけない」と述べた。その上で「厚労省に説明資料の提示を求めたい」と強調した。
日医によると、外来管理加算の見直しによって、若人の算定回数が5%減、後期高齢者も5%減になると仮定し、後期高齢者の57点から52点への引き下げ(増減率91.2%)も加味して、07年の社会医療診療行為別調査を基に推計すると、診療所の影響額は220億円減となり、厚労省の当初見込み額とほぼ合致する。中川常任理事は「5分ルールは若人も後期高齢者も等しく適用される。若人だけの影響額というのはあり得ない」と述べた。
外来管理加算をめぐっては、厚労省が07年12月7日の中医協に「平均診療時間が5分以上の医療機関が9割」との資料を提示している。仮にこの資料の通りなら「5分ルール」によって、算定回数は10%減となるが、日医が5%減として推計したのは医療機関の努力で5~6%減に収まると想定したためという。
また日医の調査では、外来管理加算の見直しによる診療所の影響額は748億円で、内訳は若人が467億円、後期高齢者が281億円となっている。中川常任理事は「もし百歩譲って240億円が若人のみの影響だったとしても、実際の影響額はそれよりも大きい」と述べ、当初の見込み額を上回る影響が出ている状況に変わりはないと指摘した。
■オンライン義務化、省令改正案に反対/保団連
09年度からレセプトオンライン請求義務化の対象となる医療機関のうち、オンライン請求に対応できない医療機関について、最長で10年3月まで現行の方法による請求を可能とした付則を設けた省令改正案に対し、保団連は4月22日、付則の新設に反対するパブリックコメントを厚生労働省に提出した。
パブリックコメントでは、改正案について「一時しのぎの姑息的手段に過ぎず、このような事態を招いたのは、オンライン請求の義務化自体に無理があり、医療現場の実態に即さないものであることを如実に物語っている」と指摘。付則の新設に反対し、省令本体の改正を求めている。
また「5月請求のぎりぎりになって、ようやくパブリックコメントを求めることは遅きに失すること甚だしい」とし、厚労省の手法についても強く抗議した。
■愛育病院が総合周産期継続/OB雇用で当直を強化
総合周産期母子医療センターの指定返上を東京都に打診していた愛育病院(東京都港区)は4月24日までに、非常勤のOB医師を新たに雇用して当直に組み入れるほか、医師側と残業などに関する労使協定(36協定)を締結したことを都などに報告。総合周産期の指定が継続される見通しとなった。
労使協定の不備などをめぐり、愛育病院は三田労働基準監督署から是正勧告や指導を受けていた。勧告を順守すると、総合周産期としての機能を維持できなくなるとして返上を打診後、都に判断を委ねていた。
愛育病院の当直態勢は現在、常勤医師1人、非常勤医師1人だが、今後2人とも非常勤になった場合、1人はOB医師になるように勤務を組むという。【共同】
■診断書の電子化呼び掛け/生保協、120万円補助
生命保険協会が、最大120万円まで補助するので診断書を電子化するよう全国の病院関係者に呼び掛けている。手書きの診断書を誤読したり、支払いに必要な情報を読み落としたことが保険金不払いの一因になったとの反省があるためで、生保協は「病院の業務効率化にもつながる」と訴えている。
保険金不払いの防止策として、生保協会は2007年、日本医師会と保険金の請求に必要な診断書を電子化することで合意した。電子化を促すため、保険の種類によって、保険金の請求に必要な情報を入力できるソフトを認定。1病院当たり最大120万円の補助金を出すことにした。
補助対象は原則、発症間もない患者を集中治療する病床数百以上の病院。システムの製品代やインストールなど導入費用が対象で、620の病院で既に導入が内定している。09年11月までにシステムを導入することが条件となっており、期限が迫っている。
「導入した病院からは診断書の作成時間が半分以下になったなど医師の負担が軽減した」との反響があるという。【共同】
介護編
■介護保険制度改正の議論に着手/自民・介護委、次回は療養病床問題
自民党の社会保障制度調査会・介護委員会は4月23日、厚生労働省から介護分野での経済危機対策や第4期介護保険料、要介護認定の見直しに伴う経過措置について説明を受けた。田村憲久委員長は会議終了後、記者団に対し、同委員会で介護保険制度改正に向けた議論を始める考えを示した。5月の連休明けに開く次回会合で療養病床問題についてヒアリングを行った後、法改正への議論を始める見通しだ。
田村委員長は、同日の会議で「介護保険の制度自体が心配」との声が上がったとした上で「党委員会としては、次の(介護保険法)改正に向かっての骨太の議論をしていく。選挙向けではなく政治家としての議論が必要。政権を取ろうが取るまいが、党としてこの問題を検討していかなければならない」と話した。現行制度については「公費負担5割は限界が来ている」と述べ、介護保険料の引き上げも視野に、財源問題を検討する必要があるとした。
■新要介護認定の経過措置「新規の人には不公平」/民主・山井氏
新要介護認定の経過措置について、民主党の山井和則衆院議員は4月23日の同党介護保険改革チームの会合で「新規の人は選択の余地がない。新しい人は有無を言わさず新しい基準しか選べない」と述べ、新たに要介護認定を受ける人も希望すれば古い基準を当てはめるべきだと主張した。
経過措置は、更新申請を行う人を対象に、希望すれば従来の要介護度を維持することを認める内容。新たな基準で要介護度が軽度になるなどの不安を持つ人に対応するため、厚生労働省による新基準の検証結果が出るまでの間は今までの要介護度を認めることになっている。
山井氏は「もし経過措置が認められるなら新規の人にも古い認定で受けられないと不公平だ」と述べ、新たに認定を受ける人にも配慮すべきとした。
厚生労働省老健局老人保健課の鈴木康裕課長は「今回の経過措置の考え方は、今、受けているサービスが今回の見直しの結果、受けられなくなる不安に対応するというものだ」と説明し、新たに認定を受ける人が疑問を感じた場合は「区分変更申請」で対応するとした。
■「交付金」による処遇改善も調査へ/09年度介護報酬改定、検証開始
厚生労働省は4月20日、社会保障審議会・介護給付費分科会の下に設置した「調査実施委員会」の初会合を開き、2009年度介護報酬改定が介護従事者の処遇改善に反映されているかどうかの検証を始めた。09年9月末での給与や賞与引き上げ状況を調査し、10年2~3月頃に調査結果をまとめる。
厚労省の宮島俊彦老健局長は「プラス改定の影響と合わせて、緊急経済対策での処遇改善交付金の影響も検証していかなければならない」と述べ、政府の緊急経済対策に盛り込まれた「介護職員処遇改善交付金」(仮称)の影響も調査する方針を示した。交付金の影響度調査については10年度になる見通しだ。
厚労省が示した論点によると、調査は「施設・事業所に関する調査」と「従事者に関する調査」の2通りを実施。一定程度の客体数を確保するため、常勤換算職員数の高い順に①介護老人福祉施設②通所介護③介護老人保健施設④訪問介護⑤認知症対応型共同生活介護⑥介護療養型医療施設─の6サービスについて、介護職員と看護職員を対象に行うことを提案した。
施設・事業所調査では①改定前後の給与などの引き上げ状況②資格取得の支援や教育・研修に関する状況③休暇取得や夜勤勤務などの職場環境─などを調べる。従事者に関する調査では、報酬改定前後の常勤・非常勤の雇用形態や労働時間の変化などを項目案として挙げた。
5月中旬の次回会合で調査内容を決め、6月の介護給付費分科会に報告。調査は10月に行い、翌年2~3月にかけて結果をまとめる。調査結果は10年4月以降の介護給付費分科会で報告する予定だ。
■個別リハビリ実施加算、算定内容を明確化/介護報酬改定Q&A
厚生労働省は4月17日付で2009年度介護報酬改定のQ&A(Vol.2)をまとめ、都道府県などに通知した。通所リハビリでの個別リハビリテーション実施加算は、「多職種協働で作成した通所リハビリ実施計画で、おおむね週1回程度の通所でも効果的なリハビリが可能」と判断されれば「月8回以上の通所リハビリ」の要件を満たさなくても算定可能だが、この場合は週1回程度(月4回程度)の通所リハビリを行う必要がある。
厚労省老健局老人保健課は「月1回の利用でも個別リハビリ実施加算が算定できる高次脳機能障害や、先天性または進行性の神経・筋疾患利用者とは要件が異なる。月1回利用でも可能な対象疾患を拡大したわけではない」と注意を促している。
■第4期介護保険料は平均4160円/伸び率は1.7%で過去最低
厚生労働省は4月23日、第1号被保険者(65歳以上)の第4期介護保険料が、第3期と比べて1.7%増の平均4160円(月額)になったと公表した。介護保険料の伸び率は過去最低で、厚労省老健局介護保険課は「各市町村の介護給付費準備基金の取り崩しと、介護報酬引き上げに伴う保険料増の軽減措置で伸び率が抑えられた」としている。
第3期の保険料基準額を引き上げた保険者は約55%(902保険者)で、残りの約45%(726保険者)は据え置くか引き下げていた。保険料基準額の分布状況は「3501円以上~4000円以下」(34.3%)と「4001円以上~4500円以下」(31.0%)が全体の約6割を占めた。
都道府県別で保険料基準額が高かったのは青森(4999円)で、次いで沖縄(4882円)、徳島(4854円)の順。最も低かったのは千葉(3696円)だった。厚労省は「全国レベルで見たら明確な傾向はない」とした上で、保険料が高い自治体は①介護サービスの受給率が高い②財政安定化基金の償還のための保険料上乗せーなどが、低い自治体は①準備基金の積極的な取り崩し②元気高齢者が多い-などの傾向がそれぞれ見られるとしている。
第4期介護保険料に当たっては介護給付費準備基金総額の約73%に当たる約3000億円が切り崩されており、これによる保険料軽減の影響は約300円。09年度介護報酬改定での3.0%引き上げに伴う保険料増を抑制する「介護従事者処遇改善臨時特例交付金」の影響は約65円だった。これらの結果、介護保険料の伸び率が抑制され、第1期から第2期では13%増、第2期から第3期は24%増だったのに対し、第4期では1.7%増にとどまった。
特例交付金はプラス3.0%による初年度上昇分の全額、次年度の半額を一括して交付するが、約8割の保険者が3年間同じ保険料を設定するとしている。
■要介護認定の新方式「即時中止を」/保団連
保団連は4月20日、09年4月からの要介護認定の新方式の即時中止を求める声明を発表した。軽度判定でも従来の要介護度で可能とする経過措置について「新たに認定を受ける人には何の手だてもなく、小手先の対策」と指摘し、新制度の見直しを要望した。
要介護度の軽度化が介護給付費の抑制につながるとした厚生労働省の内部資料については「政府の政策決定を前に制度運営の改悪を老健局が検討していたことを公式に認めたもので、大問題」と主張した。
京都編
■国の研修医削減修正案「一定配慮」と評価/京都府知事本質的解決まだ
国の臨床研修制度見直し案で、10年度はおおむね現状維持とする厚生労働省の修正案について、京都府の山田啓二知事は4月24日、「最初のとんでもない話からすると、府の事情にも一定配慮してくれた」と評価した。その上で、「(医師不足の)本質的な解決にはまだ至らない」とし、引き続き、各府県の実情を反映した制度づくりを国に求めていく考えを示した。
当初、国の臨床研修制度見直し案では、厚労省の試算によると、京都府の場合、「190人の削減(削減率30%)」となり、全国の都道府県の中で、最も厳しい定員削減を迫られていた。
これに対し、府などは「府内の医師不足をさらに深刻化させる」と強く反発。同省は23日、激変を緩和するため、来春に限り前年の受け入れ実績を考慮するよう修正した案を示した。山田知事は定例会見で、「3割カットのような急変はしないと聞いているが、全体像が分からず、その後が未定だ」と、新たな研修医制度の成り行きを不安視するとともに、「府が医師確保に向けて税金を投入して頑張ってきた評価を明らかにするよう求めたい」と強調した。
また、住民基本台帳ネットワークへの接続を拒否している東京都国立市と福島県矢祭町に、総務相の権限で是正させる立法措置の検討を進めている問題については、「地方公共団体が自らの判断と責任で行う自治事務に、国が強制的にものを言う体系をつくることは地方自治の根本問題に発展する」と述べ、国の強制的な介入に強い懸念を示した。
■京都府内救急搬送さらに悪化/08年実態調査まとめ
京都府が4月23日までにまとめた2008年の府内救急搬送受け入れ実態調査で、搬送した重症患者のうち、複数の医療機関に受け入れを照会したケースが2割近くを占め、9病院から受け入れを断られたケースや、受け入れ先が決まらず救急車が現場に150分以上滞留したケースも3件あった。
府消防安全課のまとめによると、08年の救急搬送人員は約10万4400人。うち重症患者は約8300人だった。重症患者を複数の医療機関に照会したケースは2360件で17%を占め、全国平均(15%)や07年の府調査(15%)を上回った。
また、照会回数が4回以上だった例は196件あり、受け入れ先が決まらず、救急車が現場に30分以上滞在したケースも188件(2.6%)あった。
受け入れに至らなかった理由は「手術中・患者対応中」(29%)が最も多く、次いで「処置困難」(24%)、「ベッド満床」(21%)だった。
産科・周産期の患者では、病院を4カ所探したケースが4件、小児患者の搬送では8病院に断られた例が2件あった。
京都府の救急搬送受け入れ実態調査で、搬送先の照会回数が10回に達したケースが明らかになった。
南丹市で08年2月に発生した交通事故で、50代の女性が脚に大けがを負った。京都中部広域消防組合消防本部(亀岡市)が、病院の受け入れ状況を示す府救急医療情報システムで確認した医療機関などに電話で照会したが、「ベッド満床」「他の患者に対応中」などを理由に9回断られ、京都市内の病院に搬送したのは、救急車が現場到着してから80分後だったという。
同消防本部は「日曜で診療体制が整っていなかったのが原因ではないか」とみている。
■専門病院10カ所確保へ/新型インフル京都市が対応策
京都市は4月24日、新型インフルエンザ発生時の対策マニュアルを策定した。医療機関や保健所の対応が中心で、市内で100人以上の患者が確認された場合の「まん延期」には、市立病院(中京区)をはじめ市内10病院を新型インフルエンザだけ扱う専門病院に切り替え、治療と感染拡大防止の態勢を整える。新型インフルエンザ対策マニュアル策定は、政令市では初めて。
新型インフルエンザ対策は都道府県に行動計画の策定が求められているが、市は観光地の大都市として独自の備えが必要とみて、マニュアルをまとめた。
国の指針では感染率25%で被害を想定しているが、市は人口密度が高い大都市の特性から、感染率40%で試算した。感染者数は58万8000人、死者は最大で1万1760人に上ると推定。その上で、発生の段階別に対応を決めた。
まず、海外で発生した時点で保健所に電話による発熱相談の窓口を設ける一方、市立病院など10病院を発生時に専門病院とすることを事前に決め、国内で感染例が確認されれば市立病院に「発熱外来」を開設する。患者が増えれば他の専門病院に発熱外来を順次開設し、入院患者の受け入れを進める。発生前から専門病院で入院していた患者は別の病院に移す計画だ。
発生時に市民がどこで受診するか混乱しないよう、こうした医療態勢を発生前から市民に広報し、学校や観光関連施設への連絡も徹底する。専門病院は今後、市と京都府、病院で協議して決定する方針。
■京都府と京都市が電話相談窓口/豚インフルエンザ
メキシコ、米国で人への豚インフルエンザ感染が確認されたことを受け、京都府、京都市は4月25日、電話相談窓口を設置した。
世界保健機関(WHO)が新型インフルエンザの警戒水準を「3」(動物から人への感染)から「4」(小規模な人から人への感染)に引き上げる可能性があり、府市ではそれぞれ担当職員が出勤し、警戒を強めた。
京都府の窓口は府健康対策課TEL075(414)4726。京都市は保健医療課TEL075(222)3421。26日はいずれも午前9時から午後9時まで受け付ける。
京都市では27日以降、各保健所でも午前8時半から午後5時まで受け付ける。
■太陽光発電設置5倍付与/京都エコポイント
京都府は、1戸建て個人住宅に太陽光発電施設を設置した際に付与する「京都エコポイント」を従来の5倍に拡充する。設置者は最大出力1キロワット当たり2万5000円相当のポイントがもらえ、設置費の一部を支援する国や市の補助制度との併用も可能だ。府地球温暖化防止活動推進センター(京都市中京区)では、5月から補助申請を受け付ける。
府は低炭素社会の実現に向け、2010年までに府内1万5000戸を目標に太陽光発電施設を目指しているが、現在は約8000戸にとどまっている。補助ポイントの拡大で普及を促していく。
対象は09年3月以降に設置した住宅で、上限は最大出力10キロワットまで。4月に始まった国の補助制度(最大出力1キロワット当たり7万円)や、独自の補助制度を持つ京都市(同8万円)、宇治市(同3万円)との併用も認める。
京都エコポイントは、家庭における二酸化炭素(CO2)排出量の削減量に応じて府や市、商工会議所などでつくる「京都CO2削減バンク」が発行する買い物の割引ポイント。
府によると、一般家庭の平均的設備は最大出力3.4キロワットで、設置費は約240万円に上る。京都市内の場合だと、国から約24万円、市から約27万円が補助され、これに府から約8万5000円相当のポイントが還元されるという。
調査・データ編
■総病床数、前月比845床減/医療施設動態調査1月
厚生労働省が4月21日に発表した「医療施設動態調査」(2009年1月末概数)によると、病院・診療所を合わせた総病床数は175万5383床で、前月に比べて845床減少した。病院の病床数は160万8949床で前月から347床減少、一般診療所でも498床減り14万6271床となった。
病床数は、一般病床が90万8431床で61床増加した一方、療養病床は34万17床で329床減、精神病床も34万9276床で87床減った。
医療施設の総数は、前月から112施設減の17万6269施設だった。病院は8783施設(前月比5施設減)、一般診療所は9万9497施設(同72施設減)。療養病床を持つ医療施設は、病院が4066施設で8施設減少、一般診療所も7施設減って1703施設となった。
■成人後の体重減、増加よりも高死亡率/厚労省研究班
厚生労働省研究班(主任研究者=津金昌一郎・国立がんセンターがん予防・検診研究センター予防研究部長)は4月23日、成人後に体重が減少した人は、増加した人に比べて死亡率が高いとの研究結果を発表した。研究班は「20歳の時の体重とその後の変化は、健康管理をする上での重要な指標になることが示された」としている。
研究は、10都府県の40~69歳の男女を約13年間追跡して実施。20歳の時から体重が「5キロ以上減少」「5キロ以上増加」「変化なし(増減幅5キロ未満)」の3つのグループに分け、死亡率との関連を調べた。
研究結果では、男性で体重が減った人の総死亡率は変化がなかった人に比べて1.44倍高く、体重が増加した人の死亡率は0.89倍にとどまった。疾患別に見ても、がんで1.27倍、循環器疾患で1.34倍高かった。一方、女性では、体重が減少した人は変わらなかった人に比べて総死亡率が1.33倍高かったが、がんや循環器疾患との関連は認められなかった。
研究班は「体重減少の原因には喫煙や慢性疾患、栄養不良などさまざまな健康問題が背景にあると考えられる」とし、体重管理の重要性を指摘している。
■医科の電子レセプト、5割超え/支払基金
社会保険診療報酬支払基金は4月24日の定例会見で、09年3月の医科電子レセプトによる請求が件数ベースで50.2%に達したことを明らかにした。オンラインによる請求は22.3%で、1年前に比べ倍増していた。調剤なども含めたレセプト全体に占める電子レセプトの割合は58.7%(オンライン33.7%、電子媒体25.0%)だった。
2009年4月審査分の特別審査委員会取り扱い状況は、対象となる40万点以上の高額レセプトが計1257件。内訳は医科は1197件、漢方製剤の投薬が4000点以上の医科41件、歯科19件だった。
このほか、薬局による調剤報酬のオンライン請求を支援する事業に関して、近く日本薬剤師会と業務委託に関する契約を結ぶことを明らかにした。オンライン請求の事務代行者となる各都道府県薬剤師会の委託を受け、調剤レセプトデータを支払基金の各支部からオンラインで本部に送信する業務を請け負う。支払基金によると、36道県が送信代行業務を委託する意向を示しており、ほかは国保連などに委託するなどの意向を示しているという。
■開業医の時間外労働、月80時間/保団連調査、過労死基準上回る
保団連は4月22日、開業医が1カ月に仕事に割く時間は252時間で、時間外労働は約80時間に上っているとの調査結果を発表した。厚生労働省が定めた過労死の認定基準を上回っており、長時間働いている開業医ほど体調不良などの自覚症状を訴える傾向があった。調査結果を分析した大阪社会医学研究所の中村賢治医師は「開業医の労働付加を今以上に増やすことは、健康を害する開業医がさらに増える可能性があると同時に、医療の安全性をさらに低下させると考えられる」としている。
調査は2008年2月、大阪府保険医協会と大阪府歯科保険医協会の会員101人(医科81人、歯科20人)を対象に実施。86人(医科69人、歯科17人)から回答を得た。
調査結果によると、開業医の1カ月当たりの平均診療時間は180.1時間で、事務作業なども含めた仕事に費やす時間は252.0時間。法定労働時間である週40時間を除いた時間外労働は80.6時間に上り、厚生労働省が脳・心臓疾患の過労死の認定基準で「業務と発症の関連性が強いと評価できる」と定めている月80時間を上回った。
さらに、最近1カ月間の自覚症状を聞いたところ、「体の調子が悪い」「することに間違いが多い」「仕事中、強い眠気に襲われる」ことなどが「よくある」と答えた開業医は、労働時間が長い傾向があった。
■看護職2万人が過労死危険レベル/日看協が交代制勤務で調査
交代制勤務の看護職員の約4%が過労死危険レベルの月60時間を超える時間外勤務を行っている実態が、日本看護協会の「時間外勤務、夜勤・交代制勤務等緊急実態調査」で分かった。日看協はこの結果から、全国で約2万人の看護職が過労死危険レベルの勤務についていると推計。2008年10月に2人の看護師が過労死認定を受けたことも踏まえ、看護職の交代制勤務の負担軽減と残業時間の低減を図るため、残業をしないで「帰る」ことを目指す「ナースのかえる・プロジェクト」に取り組む方針を示した。
調査は、看護職の時間外勤務や交代制勤務の実態のほか、疲労の度合いを把握する目的で行った。日看協によると、全国レベルで看護職個人を対象に時間外勤務などを調査したのは今回が初めて。看護職員と看護管理者を対象とする調査に加え、機関紙などを通じて公募した15人の協力者についてタイムスタディーを行った。看護職の調査対象は、日看協会員から無作為抽出した病院勤務の看護職1万人で、3010人から有効回答を得た。看護管理者は2500病院を対象に調査票を送付し、1425人から回答を得た。
看護職員の調査結果によると、交代制勤務に就いている1728人のうち74人(4.28%)が月60時間を超える時間外勤務を行っていた。特に3交代勤務者の57.9%が、勤務終了から次の勤務までの間隔が6時間以下になったことがあると回答し、十分な休息が取れない場合があることも分かった。
年齢階層別では20代がほかの世代よりも時間外勤務が長く、平均で月25.9時間に及んだ。さらに20代の75%で時間外勤務が月35時間を超えていた。また20代の看護師が疲労感を特に強く感じていることが分かった。申告した残業時間は、実際の残業時間の約4割にとどまり、未払い残業の実態も明らかになった。
看護管理者の調査では、「職員定数を増やすことができない」「欠員のまま充足されない」などが労働時間管理の課題として挙がった。日看協は、人員補充が進まない背景には、医療政策や医療保険財政などの問題があると指摘している。
日看協は20代の時間外勤務が長かったとの調査結果も踏まえ、「ナースのかえる・プロジェクト」を新人看護職員が多くなる4月以降の緊急行動として位置付けている。
環境編
■住民側敗訴が確定、最高裁/東電・柏崎刈羽原発訴訟
東京電力の柏崎刈羽原発(新潟県柏崎市、刈羽村)1号機の原子炉設置許可をめぐり、周辺住民が「安全審査が不十分で許可は違法」として、国の許可処分取り消しを求めた訴訟の上告審で、最高裁第1小法廷(甲斐中辰夫裁判長)は4月23日、住民側の上告を退ける決定をした。
住民側が上告した後の2007年7月、原発付近を震源域とする新潟県中越沖地震が発生。地震の揺れが想定を超え、住民側は「安全審査の誤りが判明した」と主張したが、決定は「法律審としての最高裁の性格、事案の内容、訴訟の経過などにかんがみ、判断を左右しない」と言及した。
第1次提訴から約30年、1審新潟地裁判決から約15年が経過し「許可は適法」として住民敗訴とした1、2審判決が確定した。【共同】
■廃ペットボトルの引き渡し量最多/09年度、リサイクル業者に
全国の市町村が2009年度に家庭から収集する使用済みペットボトルのうち過去最多の20万4000トンが、日本容器包装リサイクル協会を通じて国内のリサイクル業者に引き渡される見通しとなった。市町村と協会の引き渡し契約量が08年度より約3割増えている。
市町村が収集する量が毎年増えていることに加えて、協会を通さずに独自のルートで行ってきた中国向けの輸出などが景気悪化の影響で大幅に減り、協会ルートに戻ってきたのが要因だ。
協会ルートの引き渡し量は、04年度の19万2000トンをピークに3年連続で減少。ぬいぐるみの原料向けなどの需要が中国で増え廃ペットボトルの価格が上昇、無料で協会に引き渡すよりは、少しでも収入を増やそうと独自ルートで売却する市町村が増えたからだ。
協会は06年度から、国内のリサイクル体制維持のため、市町村のペットボトルを有料で引き取る方式に転換。07年度に市町村は、1トン当たり平均3万8900円を受け取ったが、引き渡し量は14万トンにまで減っていた。
その後、08年秋からの世界的な景気後退に伴う中国での需要減などから価格が下落、独自ルートで売却契約した業者から引き取りを拒否され処理に困った市町村が出たこともあり、引き渡し契約量が増加した。【共同】
【週刊マスコミ論調】
■医療問題、医療政策
■社会情勢など
■医学、健康
■鳥インフルエンザ、感染症など
■高齢者医療、福祉、年金、介護、少子化
■医療事故、医事紛争、副作用
■保団連・保険医協会関係
■京都周辺の動き(医療関係、ほか)
■主な連載(医療全般)
医療ルネサンス 健康診断医療ルネサンス 下垂体腫瘍 記者の体験
命ときめく日に 第4部 つなぎびと 医療編 京都
群馬「たまゆら」火災の背景 /朝日
改正薬事法前夜 日経
■環境全般
■核開発・原子力発電・エネルギー問題
〈核問題〉
■大気・水質・土壌汚染・地球温暖化問題
■廃棄物・化学物質問題
■改憲・平和問題など
■京都周辺のうごき(環境・原発ほか)
■おもな連載(核、環境、平和ほか)
生きている遺産 消えた村から 朝日
核軍縮 新秩序への道 日経
- 【ウイークリーダイジェスト】
- 【週刊マスコミ論調】
- ■医療問題、医療政策
- ■社会情勢など
- ■医学、健康
- ■鳥インフルエンザ、感染症など
- ■高齢者医療・福祉・年金・介護・少子化
- ■医療事故、医事紛争、副作用
- ■その他事件など
- ■保団連・保険医協会関係
- ■京都周辺の動き(医療関係、ほか)
- ■主な連載(医療全般)
- ■環境問題
tel: 075-311-8888 fax: 075-321-0056 e-mail: info@hokeni.jp









