週刊医療情報インデックス
2009年4月2週 (2009.04.07~2009.04.13)
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【ウイークリーダイジェスト】
■経済危機対策を正式決定/政府
政府は4月10日、2009年度第1次補正予算の策定に向け、総額15兆4000億円の財政支出を伴う「経済危機対策」を決定し正式に公表した。事業費は56兆8000億円。総合的な経済効果として、09年度実質GDP成長率の2%程度の押し上げを見込むほか、需要拡大によって1年間で40万~50万人程度の雇用創出を期待している。医療関係では、11年度からのレセプトオンライン請求完全義務化への支援などを打ち出した。
与謝野馨経済財政担当相は10日、会見し、今回の対策と財政健全化の兼ね合いについて「経済の底割れを招けば財政の健全化は遠のくことになる。財政健全化のためにも底割れ防止に向けて思い切った財政出動を早期に行う必要があると考え、今回の対策を取りまとめた」と説明した。
さらに、持続可能な社会保障制度構築と安定財源確保に向けた「中期プログラム」の閣議決定後に、経済や財政状況にさまざまな変化があったと指摘。「(13日に開催予定の)安心社会実現会議や経済財政諮問会議でも議論した上で、できるだけ早期に中期プログラムの改定を行う」と明言した。
経済対策に必要となる財源については、財政投融資特別会計の積立金と経済緊急対応予備費で賄い、足りない部分を建設国債と赤字国債で補う。与謝野経財担当相は、国債の発行額は合わせて10兆円を超えるとの見通しを示した。
介護従事者の賃金引き上げについては「経営者が取ってしまうのではという懸念は大きな誤解。今回は(介護従事者への)賃金の支払い実績に応じて援助するので、実質的に給与が上がる」と説明した。
■社会保障と財政で新有識者会議/13日に初会合、骨太09に反映
政府の経済財政諮問会議(議長=麻生太郎首相)は4月7日、2009年度第1次補正予算編成を視野に追加経済対策を早急に取りまとめることを確認した。麻生首相は、医療、介護、年金、雇用、子育てなど、社会保障改革と財政に関する工程表などを話し合う「安心社会実現会議」を13日に設置し、議論を開始することも報告した。諮問会議は安心社会実現会議とも連携した上で、10年度予算編成の基本方針となる「骨太の方針09」の策定に当たる。
同日の諮問会議で民間議員は「経済危機克服のための道筋について(Ⅱ)」と題する資料を提示。世界同時不況からの脱却を目指し、09年度補正予算の編成に向けて「必要となる“需要創出の規模”は、おおむね10兆円台とみられる」と提言した。
麻生首相は席上、「新しい経済対策では政策を総動員し、景気の底割れを防ぐとともに、未来への成長につなげていきたい。対策をまとめる際、(3月に官邸で開催した)『経済危機克服のための有識者会合』の意見をできるだけ盛り込む」と述べた。
内閣府は3月の「有識者会合」で寄せられた提言を13項目に整理して報告。医療・介護関係では、高齢者の資産を活用して介護施設を整備し、投資した高齢者に優先入居権を付与することなどを、具体的な施策例として取り上げた。
■2020年に環境・医療で400万人雇用創出/首相「未来開拓戦略」表明
麻生太郎首相は4月9日、都内の日本記者クラブで記者会見し、環境、医療、介護などの分野で経済成長や雇用創出を図る「未来開拓戦略」を明らかにした。
「低炭素革命」や「健康長寿社会」の実現、アニメなど「日本の魅力発揮」の3つを柱に「官民による集中的な投資と大胆な制度改革を実行する」と強調。今後3年間で40兆~60兆円の需要と、140万~200万人の雇用を創出。2020年には実質GDP(国内総生産)を120兆円押し上げ、400万人の雇用機会をつくるとしている。
首相は「しっかりした医療・介護サービスを提供できれば世界に冠たる活力ある高齢化社会がつくれる」と述べた上で、介護労働者の待遇改善や施設の集中整備、地域医療の立て直しに取り組む考えを強調した。
一方、人口減少に直面する日本にとってアジア市場の重要性を指摘。「国境を越えて、アジア全体で成長する視点に立つことが大事だ」として、アジアの経済規模を20年までに2倍にする成長構想を提示した。
■産科医療補償制度「剰余金は生じない」/政府答弁書
政府は4月7日の閣議で、産科医療補償制度の収支について「大幅な剰余金は生じない」とする答弁書を決定した。糸数慶子氏(無所属)の質問に答えた。
糸数氏は、年間分娩数を約100万件として試算すると保険料収入は年間約300億円になるとした上で、年間の補償対象者が800人の場合、年間補償金総額は約240億円と指摘。多額の余剰金が発生するとして、その使途を明確にするよう求めた。
これに対し、厚生労働省は年間の補償対象者を最大800人前後と推計した上で「制度運営に要する事務経費を勘案すると大幅な剰余金は生じない」と説明した。
■難病患者居宅生活支援「対象見直し考えない」/政府答弁書
政府は4月7日の閣議で決定した答弁書で、「難病患者等居宅生活支援事業」の対象者を疾患によって決定していることについて、「見直すことは考えていない」とする見解を示した。谷博之氏(民主)の質問に答えた。
同事業では、難病患者らに対してホームヘルプサービスや日常生活用具を給付している。谷氏は、同事業の対象者を「疾患の種別で規制するのではなく、同じような社会的、日常生活の制限が継続していることに着目して支給決定すべきではないか」と指摘した。
これに対し答弁書は「対象者は、限られた財源の中で難病対策を重点的かつ効果的に推進するという観点から対象疾患等で限定している」とし、見直す考えはないとした。
■老健など施設整備に3000億円/介護分野の経済危機対策
政府・与党が4月10日に発表した経済危機対策では、介護拠点の緊急整備として特別養護老人ホームや老健施設などの施設整備助成金の拡充に約3000億円を投じる。定員29人以下の小規模施設については市町村交付金を増額し、定員30人以上の大規模施設は地方財政措置を拡充する。これにより第4期介護保険事業計画上の増床分12万床に加えて、約4万床を増やす見通しだ。厚生労働省は2009年度補正予算案が成立し次第、緊急整備に着手する。政府・与党はこれら介護分野の経済対策で、今後3年間で介護人材約30万人の雇用創出を目指す。
助成対象となるのは▽特別養護老人ホーム▽老人保健施設▽ケアハウス▽認知症高齢者グループホーム▽小規模多機能型居宅介護事業所。小規模施設に助成する市町村交付金は09年度補正予算で対応する。現在1床当たり200万円の単価を150万円程度上げる見通し。このほか開設等経費として1床当たり60万円程度を充てる見通しだ。
大規模施設対象の地方財政措置は、1床当たり225万円から、各都道府県の実事業費に応じた引き上げを図る。大規模施設についても開設等経費を設ける。
介護職員の賃金を月額1万5000円相当上乗せする「介護職員処遇改善交付金(仮称)」は3年間で約4000億円を充てる(9日付本紙2頁で既報)。厚労省老健局は「あくまで当面3年間の緊急経済対策として行うが、その後の対応については今後検討する」としている。
助成対象となる介護事業所には、介護報酬総額に各サービスごとの交付率を乗じた額が交付される。申請するためには、交付金を受けることによって見込まれる賃金引き上げ額を上回る処遇改善計画を提出しなければならない。交付金は09年10月サービス分から実施し、申請する事業者はそれ以前に処遇改善計画を提出することになる。
10年度から交付の要件に加わる「キャリアパスに関する要件」について厚労省は「ある程度の経験や資格の上で管理職に到達するなど、キャリアアップのプロセスを示すことが想定される」としている。要件を満たさない事業所は10年度から交付率が下がる。
このほか、雇用保険の受給資格のない離職者らを対象に社会福祉施設などで行う職業訓練については、6カ月~1年程度で1人当たり約10万円の奨励金を想定している。
■麻生首相、10兆円超の補正を指示/過去最大規模
麻生太郎首相は4月6日午後、首相官邸で与謝野馨財務・金融・経済財政相と会い、政府・与党が検討している追加経済対策の財政支出について、国内総生産(GDP)比で2%を超える規模とするよう指示した。政府はこれを受け、「真水」と呼ばれる財政支出が10兆円を超える2009年度補正予算案を編成する。経済対策に伴う補正規模としては、1998年度第3次補正の7.6兆円を上回る過去最大規模となる。
■地域医療再生へ3100億円の交付金/麻生首相「役割分担の推進を」
麻生太郎首相は4月10日、「経済危機対策」に関する政府・与党会議の終了後に会見し、①景気の底割れ防止②生活者の安心③未来への経済成長─の3点に力を注ぐとした上で、「経済危機に対応するため断固とした対策を打つ。国民の総力を挙げた挑戦が必要」と強調した。医療関連では、地域医療再生のため総額3100億円の交付金を創設するとし、「地域内での医療機関、従事者の役割分担を進めることによって、効率的で十分な医療サービスの提供を支援したい」と述べた。
■消費増税、景気立て直し前提に「必ず実施」/麻生首相
麻生太郎首相は4月10日の会見で、経済対策と財政規律の関係について「大胆な財政出動をするからには財政責任も果たさなくてはならない。子どもたちへ先送りをしないため、消費税を含む税制抜本改革は、景気の立て直しを前提に必ず実施する」と強調した。
■「安心社会実現会議」財源問題が焦点
麻生太郎首相は4月7日、経済・雇用状況の変化を踏まえ、社会保障や財政など国の基本政策を中長期の視点から話し合う有識者会議「安心社会実現会議」を立ち上げると表明した。景気回復に全力を挙げる一方、新たな国家ビジョン確立に取り組む姿勢をアピールするのが狙いだ。首相は官邸で記者団に対し「安心できる社会の姿と、それへの道筋を議論する。雇用、医療、年金・介護、子育て支援など政策目標や優先順位が議題になる」と述べた。
関係者によると有識者会議は与謝野馨財務相と増田寛也前総務相を中心に15人前後となる見通し。張富士夫トヨタ自動車会長、高木剛連合会長、故宮本顕治元共産党議長の長男で北海道大教授の宮本太郎氏らが内定している。
会議では年金や介護など社会保障制度の安定に向けた財源問題も主要議題の1つとなる。首相が掲げている経済好転後の消費税率引き上げの是非や、財政出動で達成困難となっている国、地方の基礎的財政収支を11年度に黒字化する方針に代わる新たな目標設定などが議論される見通しだ。【共同】
■要介護認定の内部文書「確認でき次第、公表」/舛添厚労相
共産党の小池晃参院議員が、要介護認定の軽度化が介護給付費の抑制につながると明記された厚生労働省の「内部文書」の存在を指摘したことを受け、舛添要一厚生労働相は4月7日の閣議後の会見で「どういう文書だったか確認でき次第、公表したい。内部でいろいろな会議を行うため、そこでの文書だろうと思うが分からない」と話した。
小池氏は2日の参院厚生労働委員会で「介護報酬改定に係る平成21年度予算要求関係スケジュール(案)」とする厚労省の「内部文書」を提示。要介護認定で「非該当」とした1次判定が2次判定で重度化する割合を10%減らせば、約84億円縮減できると記述されているとした。
また、別の文書の「要介護認定平成21年制度改正案」も挙げ、要支援2と要介護1について軽度者を増やす方針が示されていると指摘。「要介護認定見直しは給付費抑制を狙ったもの」とし、4月施行の中止を求めた。
■医師派遣機能の強化へ奨学金/医療分野の経済危機対策
自民・公明両党は4月9日にまとめた経済危機対策に、中長期的な成長を目指した医療分野の具体的施策を示した。医師確保のための奨学金を活用することで、医師が不足している地域や診療科に対する医師派遣機能を強化するほか、医師事務作業補助者を集中配置することによって、勤務医や看護師の勤務環境の改善に取り組む。
また、地域医療の再生に向けて救命救急センターや新生児集中治療室(NICU)の拡充を明記した。NICUや回復期治療室(GCU)の後方病床として、重症心身障害児施設の整備も盛り込んだ。
大学病院の周産期医療体制や救急医療環境などを強化する方針も打ち出した。国立高度専門医療センターへの先端医療機器の整備や財務基盤の安定化に取り組むことも明記した。
このほか社会保障カード(仮称)の導入に向けた環境整備など医療のIT化を進める方針を盛り込んだ。健保組合に対しては、IT化を推進するための財政支援を実施する。
さらに難病患者の負担軽減を図る観点から、医療費助成制度の対象疾患を拡大。緊急性の高い疾患を新たに同制度に追加する方針を示した。
■オンライン化や特養への転換を支援/経済危機対策、総額15.4兆円
自民党は4月9日、2009年度第1次補正予算に向けた「経済危機対策」を了承した。財政支出は15兆4000億円程度で、事業規模は56兆8000億円程度に達する。うち医療関係の施策を盛り込んだ「健康長寿・子育て」は、財政支出が2兆円程度、事業規模が2兆8000億円程度。11年度のレセプトオンライン請求義務化に向けた支援や、医療療養病床から特別養護老人ホームなどへの転換支援など、懸案事項への対策を打ち出した。公明党も同日、対策をおおむね了承。政府・与党として10日にも正式に対策を公表する。
財源は、財政投融資特別会計の積立金や、建設国債、経済緊急対応予備費を充てるほか、不足する場合には、赤字国債の発行も視野に入れる。政府・与党は27日にも、09年度補正予算案と税制改正関連法案を国会に提出する予定だ。
今回の対策の骨子は①緊急的な対策─「底割れ」の回避②成長戦略─未来への投資③「安心と活力」の実現─政策総動員④税制改正─からなる。具体的な対策は、自民党の日本経済再生戦略会議がまとめた報告から多くを採用した。
医療関係では、地域の医療課題の解決に向けて策定する「地域医療再生計画」に基づき、都道府県が医療圏単位で医療機能の強化や医師確保に向けた取り組みを支援するとした。また大学病院の機能強化や、災害拠点病院の耐震化をはじめとする「医療機関の機能・設備強化」にも取り組む。IT化の推進では「レセプトの完全オンライン化を前提とした支援」と明記したほか、遠隔医療の推進にも言及した。
また、新型インフルエンザワクチンの開発・生産体制を抜本的に強化し、全国民分のワクチンの開発・生産期間について、現行では最大2年間かかるところを、約半年に短縮する体制を5年以内に敷く。生活習慣病の原因解明や予防・治療法の確立を目指し、大規模疫学調査データとゲノム情報を融合した研究も推進する。
介護関係では、職員の処遇改善やスキルアップに取り組む事業者に対し3年間助成するほか、地域介護拠点の整備に対する助成・融資を3年間、拡大することなども提示した。福祉・介護人材のキャリアアップ支援として、離職者に対する職業訓練を無料化するほか、それぞれの求職者に合わせた職場紹介と定着支援を図る。子育て・教育支援の一環として、女性特有のがん検診について自己負担の免除を打ち出した。
このほか、後期高齢者医療制度の被保険者のうち所得が低い高齢者の保険料について、08年度に引き続き09年度も8.5割軽減を継続すると明記した。
■医師不足対策に5000億円/民主、総額20兆円超の緊急経済対策
民主党は4月8日、医師不足対策に5000億円を投入するなど2年間で総額20兆円超となる緊急経済対策を発表した。医療関係では医師、看護師の不足解消や介護労働者の賃金アップ、病院の耐震化などを挙げている。財源は埋蔵金の活用や国の非効率な事業を「ゼロベース」で見直すことなどで捻出するとしている。
社会保障関係には4.5兆円を投入する。医師不足対策では、救急や周産期などでの勤務医の待遇改善を図るため助成を拡充。就業環境の改善によって潜在看護師の就労促進を図るほか、コメディカルや事務員の増員を通じて医師などの負担を軽減させる。
また介護報酬を7%アップさせて介護職員の処遇改善を図るほか、ドクターヘリの導入促進や、中学生までの医療費無料化、新耐震基準を満たしていない病院の耐震化などを加速させる。
直嶋正行・政策調査会長は同日の会見で「年金、医療、介護の抜本的な拡充を図って現在の不安を軽減し、将来の安心感を高める」と述べ、社会保障制度を安定させることによって消費が活性化するとした。
財源については、非効率事業の廃止など税金の無駄遣いで財源を確保するとした。ただ09年度については、国の「経済緊急対応予備費」1兆円と埋蔵金のほか、若干の国債発行で賄うとした。
厚労省
■中医協支払い側委員に伊藤文郎氏/松浦氏の後任
厚生労働省は4月5日付で、中医協の新たな支払い側委員に愛知県津島市長の伊藤文郎氏を任命する人事を発令した。3期6年にわたり支払い側委員を務め、任期満了により4日付で退任した松浦稔明氏(香川県坂出市長)の後任となる。任期は2年。
■再生医療提供の枠組み、議論開始/厚労省検討会
増加が予想される再生医療製品を広く迅速に患者に提供するための仕組みを検討する厚生労働省の「再生医療における制度的枠組みに関する検討会」の初会合が4月6日、開かれた。09年度は、患者から採取した自家細胞を別の医療機関で培養・加工することについて検討する。加工医療機関の細胞加工施設(CPC)の施設基準や人員基準などが主な論点となる。座長には、永井良三委員(東京大大学院医学系研究科循環器内科教授)が選出された。
検討会は、2月に開かれた「革新的創薬等のための官民対話」で舛添要一厚生労働相が設置を指示した。再生医療を進める上で最適なルールを整理し、実用化を後押しするのが目的。09年度は「患者から採取した細胞の別の医療機関における培養・加工」を医療法の下で行うための条件などを明確にする。10年度は自家細胞と他家細胞の違いや、皮膚、角膜など用途の違いを踏まえながら、現行の法制度にとらわれない最適な制度的枠組みを模索する。
■「無料化」の実態を調査/妊婦健診で厚労省
4月からすべての妊婦健診を無料で受けられる仕組みが導入され、厚生労働省は7日までに、実施主体の市町村の取り組み状況について実態調査を始めた。
日本産婦人科医会の調査で、実際に完全無料化している市町村は1自治体しかないことが判明。国は健診費用分に当たる地方交付税を市町村に配分したものの、交付税の使途は自治体に委ねられていることから、財政難などで別の用途に支出しているためとみられ、同省母子保健課は「調査結果を分析して、必要な施策を考えたい」としている。
国は2008年度第2次補正予算などで、出産までに必要な14回の妊婦健診費用(計約11万3000円)を手当てした。約7割は自治体が負担、残り約3割は国から補助金が支給される仕組み。自治体負担分は交付税から賄うようになっている。
これで、ほとんどの市町村では健診費用を全額公費で賄うことが可能なはずだが、医会が2月に支部を通じて調べたところ、約20道県の市町村の中で完全無料化は茨城県大子町のみ。ほかは補助率が約80%、約70%がそれぞれ4割で、約60%の市町村も2割あった。
これとは別に、実質赤字比率が基準を超える財政難の大阪府守口市の場合、1回2500円を5回分、計1万2500円の補助で、補助率は11%にとどまる。
健診は自由診療のため、1回当たりの費用は医療機関によって異なり、予算で手当てされた額より高いところもあれば、安いところもある。補助率によって、妊婦は窓口で実際の費用との差額を請求されることになる。
里帰り出産で健診を受ける場合は、いったん窓口で全額支払い、自宅へ戻ってから市役所などで払い戻しを受けるケースが多そうだ。【共同】
■時間外の特別料金徴収、増加傾向/厚労省、選定療養の届出調査
救急外来患者の時間外受診の増加を受け、軽症の救急患者に対して時間外の診療自粛を促すため、特別料金を徴収する病院が増えている。厚生労働省が3月25日の中医協総会で報告した選定療養の届出状況では、2005年7月で123施設だったのが08年7月には212施設に増加した。
時間外診療での選定療養の届出は、山形大病院や群馬大病院など国立大学病院をはじめ、岡山赤十字病院、徳島赤十字病院、前橋赤十字病院などの公的病院、焼津市立総合病院、藤枝市立病院などの自治体病院で広がっている。
山形大病院では、国立大学病院の先陣を切って、昨年6月から「時間外診療特別料金(8400円)」の徴収を始めた。この金額は厚労省の届出調査では最高額となっている。一方、群馬大病院は4200円を徴収している。時間外診療で特別徴収を導入する理由について多くの病院は①重症救急患者が適切な治療を受ける権利を守る②若手医師など救急医療スタッフのモチベーションを上げる-などを挙げている。しかし、その適用基準は大きく異なる。
山形大病院は、特別徴収を除外する病院共通基準として①紹介状に緊急受診の必要が明記されている②緊急検査・処置が必要③外来で死亡した者④入院の必要がある者⑤経過観察が必要な者⑥外来受診が必要と認められた者⑦各診療科ごとの独自の判断基準に基づく者-と規定している。これに対して群馬大病院は、特別徴収の対象者について「緊急の受診の必要性がない患者で、その判断は診察に当たる医師に一任する」としている。
また岡山赤十字病院は、同じ赤十字病院で先に導入した徳島赤十字病院と同額の3150円を徴収している。しかし、岡山赤十字病院では、地元の社会保険事務局が岡山市の乳幼児医療費助成制度に基づき6歳未満の患者の時間外診療について特別料金は徴収できないとの行政判断を示したことから、6歳未満児からは徴収していない。それでも同院は「救急医療の厳しい実態を患者・市民に認識してもらえたのは大きい」としている。
厚労省の届出調査によると、200床以上病院での初診の特別料金についても、05年7月の1134病院から08年7月は1180病院と増加傾向となっている。
一方、入院期間が180日を超える入院での特別料金を徴収している施設は、05年7月に7253施設あったのが、08年7月には4297施設と減少傾向が顕著だ。徴収料金(1人1日当たり)の最高額は6360円となっている。
■医療法人の「日中一時支援事業」を容認/厚労省が通知
厚生労働省医政局は、障害者らの一時預かりなどを行う「日中一時支援事業」を医療法人の付帯業務として認めることを決め、3月31日付で局長通知を都道府県に発出した。構造改革特区での要望を踏まえ、同事業を「保健衛生に関する業務」に加えた。児童福祉法一部改正に伴い第二種社会福祉事業となった「乳児家庭全戸訪問事業」など5事業についても、付帯業務として認める。施行は4月1日。
日中一時支援事業は、家族の休息などを目的に障害者らの日中の活動を支援する事業。2006年の障害者自立支援法の施行前は第二種社会福祉事業に位置付けられ、医療機関による実施も認められていたが、法施行により実施できなくなっていた。このため岐阜県が構造改革特区(第13次)で医療機関でも実施できるよう規制の見直しを要望していた。
児童福祉法改正で、全医療法人が実施できる「第二種社会福祉事業」に加わったのは①乳児家庭全戸訪問事業②養育支援訪問事業③地域子育て支援拠点事業④一時預かり事業⑤小規模住居型児童養育事業-の5事業。
このほか、従来「保健衛生に関する業務」にあった「乳幼児健康支援一時預かり事業」は「病児・病後児保育事業」に名称変更した。
■厚労省、専認機構へ財政支援/専門医制の「客観的な評価機関」
厚生労働省は、各学会の専門医制度を客観的に評価できる機関として日本専門医制評価・認定機構(専認機構)を支援する方針を決めた。09年度から財政的な支援を開始する。予算規模は2000万円。厚労省は「専門医の質が担保された上で適正な配置が行われなければ、専門医制度に基づく国の施策に対して国民の理解は得られない」(医政局総務課)としており、専認機構に対して、専門医認定制度の確立をはじめ、認定基準の是正や研修施設の評価について検討するよう求めていく。
現行の専門医制度について厚労省は①専門医の質②専門医の数③専門医制度の位置付け④専門医制度の認知-の4点を課題としてとらえている。「専門医制度の位置付け」については、初期臨床研修終了後の後期研修と専門医制度との関係があいまいな点に問題意識を持っている。
また、学会によって認定基準が異なる現状についても是正が必要と考えているほか、必要な専門医数が不明・未検証であることが、産婦人科や外科など特定の診療科で医師不足を招いた原因の1つではないかとみている。
こうした課題を是正するため厚労省は、専門医の必要数・適正数を明確化する基盤づくりを支援する方針。将来的には、各学会の専門医の必要数・適正数を一括するデータベースの構築を目指すべきとしている。
さらに厚労省は必要数・適正数とは別に、専門医の「養成数」についても明らかにすべきとしており、①医療機関は、現状の症例数や指導体制などから養成できる専門医数を明らかにする(後期研修医募集に当たって適切に対応する)②専認機構と各学会は、症例数・地域偏在を考慮し、専門医研修施設の配置や、施設ごとの養成数の検討に関与する-ことなどが必要としている。
■ハローワークに「福祉人材コーナー」/医療・介護の人材確保を強化
厚生労働省は4月8日、医療や介護などの福祉分野の人材確保を強化するため、各都道府県の主要なハローワーク54カ所に「福祉人材コーナー」を設置すると発表した。今月から順次設置を進める。
福祉人材コーナーでは、福祉分野への就業を希望する人を対象に、セミナーや事業所の見学会を開催するほか、事業者に対しては求人充足に向けたコンサルティングや雇用管理の改善、人材確保に関するセミナーを行う。
厚労省職業安定局は「福祉分野のマンパワー不足が重要な課題となっていることから、人材確保に向けてサービス提供体制の強化を図ることにした」としている。
■プレパンワクチン「予測外の副反応なし」/厚労省研究班が研究結果
新型インフルエンザの発生に備えて国が備蓄を進めているプレパンデミックワクチンの安全性や有効性を調べていた厚生労働省の研究班(代表研究者=庵原俊昭・国立病院機構三重病院長)は4月6日、「予測を超える副反応は見られなかった」などとする研究結果を公表した。厚労省は今後、研究結果を専門家会議などで議論して安全性や有効性に対する評価を行い、事前接種の是非や接種体制について本格的な議論を行う。
■重大な過失とは「故意に近いもの」/死因救命制度で法務省刑事課長
法務省刑事局刑事課の落合義和課長は4月4日、福岡市で開かれた日本外科学会定期学術集会の医療安全に関する特別企画で、厚生労働省が検討を進めている「医療安全調査委員会」(仮称)について「法務・検察の立場からも設置を望む」と述べた。その上で「捜査機関は、委員会の検討結果を尊重する」との考えを示した。調査委が警察に通知する「重大な過失」(標準的な医療から著しく逸脱する医療行為)は「故意に近いもの」が該当するとの認識を示し、「重大な過失が分かりにくいということであれば、具体的な事例を示していくことも考えられるのではないか」と話した。
落合課長は「(調査委ができれば)遺族、家族からの訴えは、まず委員会に委ねよう、ということになるだろう。そこで十分に調査し、真相が究明されれば、捜査機関がその結果を尊重するのは当然だ」と強調した。また、委員会の設置によって「一方的な見方で起訴される不安や懸念はなくなる」との見方を示した。
一部の医療関係者から、委員会が警察へ通知する対象範囲に懸念が示されている点について落合課長は「医療事故の場合は、患者の救命が根底にあることを踏まえ、予見の可能性や回避の可能性を考慮する。このため通常の刑事事件での過失とは異なる」と述べ、委員会の設置が今後の医療紛争の解決で重要なカギになるとした。
一方、調査委の調査を行政処分や刑事手続き、民事手続きと完全に切り離すべきとの考え方に対し、厚生労働省医政局医療安全推進室の佐原康之室長は「厚労省としては、完全に切り離す方向は考えていない」とした。また、委員会で扱う件数は年間約2000件程度になるのではないかとの見通しを示した。
さらに佐原室長は、医療事故発生後に重要な役割を担う院内の事故調査委員会について「第3次試案の中では、特定機能病院については外部委員を含めることを提案している。外部委員の参加を医療法の体系の中でルール化することも考えられる」と述べた。
■医療費の伸び、主体は薬剤料/日医・中川常任理事
日本医師会の中川俊男常任理事は4月8日の定例会見で、厚生労働省がまとめた「最近の医療費の動向」(メディアス)の2008年11月分の結果について、「医療費全体の伸びを調剤医療費が引っ張っている」との見解を示した。さらに調剤医療費の増加の要因は、薬剤料の上昇にあると指摘。「医療費の伸びの主体が薬剤料ということであれば、中医協などでも考え方が変わってくるのではないか」と述べた。
メディアス08年11月分によると、08年4~11月(休日数などの補正後)の医療費総額の前年同期比は1.8%増だったが、医科は1.1%増にとどまり、特に医科入院外では増減なしだった。一方、調剤は5.4%増で、08年4~10月の5.1%増に続いて5%台の伸びを示した。歯科も医科を上回る伸びを示し、2.8%増だった。
種類別医療費の毎月の変化を見ても調剤の伸びは顕著で、08年11月の前年同月比は医科で2.1%増、歯科で5.0%増、調剤で7.3%増だった。調剤は09年度最高の伸びを示した。
調剤医療費は「処方せん枚数(数量)×処方せん1枚当たり医療費(単価)」で算出する。08年4~11月の処方せん枚数の前年同期比は0.1%減となった一方、処方せん1枚当たり医療費は2.3%増だったことから、調剤医療費の伸びは単価上昇を反映しているのではないかと指摘した。
中川常任理事は調剤医療費の増加要因をさらに分析。厚労省の「最近の調剤医療費(電算処理分)の動向」によると、08年4~9月の処方せん1枚当たり医療費は7467円で前年比145円増。技術料と薬剤料の内訳は26%と73%であることから、145円の増加分の内訳は技術料が50円増、薬剤料が94円増となる。中川常任理事は「薬価はマイナス改定でありながら、単価上昇の6割以上が薬剤料の単価上昇によるものだった」と述べた。
これらの点を踏まえ中川常任理事は「医療費の自然増というが、この増加は薬剤料によるものではないか。後発医薬品の使用促進といわれているが、さらに分析が必要になるだろう」と述べた。
中川常任理事は、大学病院に医療費が集中する傾向が続いていることも指摘。病院の医療機関種類別医療費を見ると、大学病院の前年同期比は08年4~10月で3.9%増、同年4~11月で4.4%増。1施設当たり医療費でも大学病院は08年4~10月で3.3%増、同年4~11月で3.6%増と拡大傾向を示した。
また08年11月の医科入院外受診延べ日数の前年同月比は、70歳以上が70歳未満より減少したほか、1人当たり医療費の前年同期比も、70歳以上が0.3%減で70歳未満の1.3%増を下回ったことから、中川常任理事は「前月から続いて高齢者の受診抑制がうかがえることが懸念される」と述べた。
■女性医師バンクは「着実に成果」/日医・今村常任理事
日本医師会の今村定臣常任理事は8日の定例会見で、日医女性医師バンクの運用状況を報告した。女性医師バンクは2007年1月に開設し、2年以上が経過した09年3月末の時点で141件の就業実績を達成。今村常任理事は、事業として機能するようになったと評価し、「着実に成果を上げている」と述べた。今後の課題については広報活動に力を入れ、さらに広く周知徹底を図る考えを示した。
日医女性医師バンクは、厚生労働省の「医師再就業支援事業」を日医が受託して運用している。女性医師の職場復帰支援を目的に、求職や求人を登録し、あっせんに際して医師がコーディネーター役を果たすのが大きな特徴だ。
今村常任理事によると、3月31日時点で求職登録者数308人、求人登録施設数991施設、求人登録件数1301件となり、これまでの就業実績は141件に上る。内訳は就業成立が128件、再研修紹介が13件となっている。
年代別の構成割合を見ると、求職者では35~39歳が最も多く27.1%。以下、40~44歳が23.1%、30~34歳が22.4%などとなっている。60歳以上は5.4%だった。
就業決定者も35~39歳が最も多く26.1%。以下、30~34歳が25.2%、40~44歳が23.4%などで、60歳以上も5.4%を占めている。
■一般紙社説に談話/オンライン化訴訟原告団幹事長
レセプトのオンライン請求義務化をめぐり、全国の医師らが国を相手取りオンライン請求義務の不存在確認などを求めている訴訟の入澤彰仁・原告団幹事長(神奈川県保険医協会理事)は4月10日、「規制改革に再点火し危機を克服せよ」とした日本経済新聞の9日付朝刊の社説に対する談話を発表した。
社説が「電子レセプトがあまねく行き渡れば、実際に行われている治療方法の分析がたやすくなり、医療の質の向上に役立つ」などとしている点に対し、談話では「レセプトには病名と行われた検査や処置が記載されているが、検査結果や処置後の経過などは記載されず、治療方法の分析はできないに等しい」と指摘。「レセプト請求はあくまで医療費の請求であって、紙で提出しようがインターネットで送信しようが、患者が受ける医療に変わりはなく、直接患者の治療に役立つものではない」と、同紙の見解をただしている。
介護編
■新要介護認定の検証に着手/厚労省検討会、13日に初会合
厚生労働省は4月13日に「要介護認定の見直しに係る検証・検討会」の初会合を開き、今月から施行した新要介護認定制度の検証を始める。新制度をめぐって「要介護認定の軽度化につながる」などの声が上がっているためで、実施状況を把握し、客観的なデータや現場の声に基づいた検討を行う。
初会合では、要介護認定の見直しの経緯や検証内容などを議論する予定。取りまとめ時期について厚労省は「未定」(老人保健課)としている。
【要介護認定の見直しに係る検証・検討会メンバー】(敬称略)池田省三(龍谷大教授)▽石田光広(東京都稲城市福祉部長)▽木村隆次(日本介護支援専門員協会長)▽高橋紘士(立教大教授)▽高見国生(認知症の人と家族の会代表)▽田中聡子(大慈厚生事業会ケアハウス大慈施設長)▽田中滋(慶応大教授)▽対馬忠明(健保連専務理事)▽筒井孝子(国立保健医療科学院福祉サービス部福祉マネジメント室長)▽野中博(博腎会野中医院長)▽樋口恵子(高齢社会をよくする女性の会理事長)▽本間昭(日本認知症ケア学会理事長)▽三上裕司(日本医師会常任理事)▽結城康博(淑徳大准教授)■介護職員の賃金上げ、1万5000円相当/基金創設、10月に施行
厚生労働省は4月8日、介護職員の賃金を月額1万5000円相当引き上げるために、介護報酬とは別に人件費分を介護事業者に交付する方針を決めた。「介護職員処遇改善交付金」(仮称)を創設し、都道府県に基金を設置して3年間で約4000億円を投じる。政府・与党が10日にもまとめる新経済対策に盛り込み、2009年10月から施行する予定だ。
賃金の引き上げ幅について厚労省は「1万5000円というのはあくまで財源から計算した見込み額。実際には事業所によって助成額が異なるため、一律にこの額だけ上がるということではない」(老健局総務課)と注意を促している。
交付に当たっては、サービスごとの介護職員人件費比率に応じて交付率を設定。実際の助成額は、事業所の介護報酬総額に各交付率を乗じて算出する。交付率は訪問介護(人件費比率70%)は4.0%、介護保健施設サービス(同30%)は1.8%などで、介護職員がいない訪問看護や訪問リハビリ、居宅介護支援などの事業所は助成対象外となる。
交付金は介護職員のみが対象で、看護職員や理学療法士・作業療法士ら他職種は含めない。交付を受ける場合、まず交付率を用いて事業所としての交付見込み額を計算し、介護職員1人当たりの平均交付額を割り出す。その上で1人当たりの交付額を上回る賃金引き上げの計画を提出することが要件となる。10年度以降は「キャリアアップに関する要件」も加えるとしているが、内容については現在調整中という。
基金創設に充てる約4000億円は介護報酬の2.0%に相当する額。3.0%のプラス改定分と合わせると、実質的に介護報酬5.0%引き上げ相当の財源を介護従事者の処遇改善に投じることになる。厚労省は今回の基金創設について「交付要件を設けて、賃金改善と将来的なキャリア開発に確実に結び付けることができるようにする。決してばらまきではない」としている。
■不正請求による返還金、自治体が直接徴収へ/介護保険法改正
厚生労働省は3月30日付で、介護事業運営の適正化を目的とした介護保険法改正について都道府県などに通知した。介護報酬の不正請求などに伴う介護給付費の返還金について、自治体が裁判所を通さなくても強制徴収できるよう規定を見直す。法改正は5月1日施行で、5月以降の不正行為から対象となる。
返還金や加算金の回収は現在、市町村が裁判所に申し立て裁判所や裁判官が強制執行などを行う「民事上の執行手続き」を取っているが、裁判費用や裁判に要する時間などがかかるため自治体では使用しにくい状況にあった。
このため、市町村が確実に回収できるようにするため従来の規定を改正。地方税の滞納処分の場合と同様、督促しても納付しない場合は財産の差し押さえなどの手続きで市町村が直接、返還金を強制徴収できるようになる。
厚労省によると、2000~07年度の介護給付費の返還請求額は78億9000万円で、返還済み額は38億2600万円、未済み額は33億6200万円。不能欠損額は7億300万円だった。従来の規定のままでは、市町村による徴収が進まないとの指摘が上がっていた。
通知ではこのほか法改正の趣旨や内容について説明。すべての介護事業所に業務管理体制を義務化するほか、事業所本部への立ち入り検査権の創設や不正事業者による処分逃れ対策などを講じる。
■能力開発の研修、技能向上に効果/介護事業所の8割が実施
介護サービス事業所の約8割が、介護労働者の能力開発を目的とした研修を実施していることが、介護労働安定センターがこのほど行った「介護労働者のキャリア形成等に関する実態調査」で分かった。研修後に「職員の技能、技術の向上を図ることができた」と回答した事業所は7割に上った。同センターは「早期離職防止や定着促進などの方策として研修は有効」としている。
調査は同センター内に設置された「介護労働者のキャリア形成に関する研究会」が介護事業所や介護労働者などを対象に実施。事業所調査は2008年11~12月にかけて行い、1534事業所(有効回答率30.7%)から回答を得た。
介護職員に「研修を実施している」と回答した事業所は88.5%だった。社内研修では「採用時研修・新人教育」(81.7%)が最も多く、社外研修では「中堅職員研修」(52.7%)、「採用時研修・新人教育」(40.2%)の順。研修担当者を選任しているのは62.1%で過半数を超えた。研修後は55.1%が「仕事へのモチベーションが上がった」と回答しており、研修が一定の効果を上げていることが分かった。
一方、介護労働者1395人を対象に行った調査では、介護福祉士の資格について「取得する予定がない」が53.4%を占めた。理由は「自分の年齢を考えると必要性を感じない」(54.7%)が最も多かった。同センターは回答者の約4割が「50~59歳」だったことが影響しているとした上で、「キャリアアップに積極的な人と消極的な人の2つの階層が存在している」と分析している。
介護の質向上を目的に06年度に導入した「介護職員基礎研修」の実施状況についても調査し、民間の教育訓練機関140機関が回答した。500時間研修については93.9%が「計画も実施もしなかった」と回答。実施した場合の定員充足率も「80%以上」は33.3%にとどまるなど、取り組みが進んでいない実態が分かった。同センターは「民間の教育訓練機関の場合、受講料が高いことも影響しているのではないか」としている。
■介護報酬プラス改定で約13万人が限度額超えか
2009年度の介護報酬プラス改定の影響で、在宅で介護サービスを利用する約13万人が介護保険の支給限度額を超えて自己負担額が増える可能性のあることが4月9日、厚生労働省が民主党の会合に提出した介護給付費実態調査で分かった。
在宅の介護サービスは、要介護度によって保険内で受けられるサービスの支給限度額が決まっている。実態調査の08年4月審査分によると、サービス利用者259万2100人のうち4万1100人(1.58%)が支給限度額を超えていた。限度額を超えた分の介護サービスは保険対象外で自己負担となる。
また月1000円程度サービスが増えると支給限度額を超えてしまう境界線上にいる人は計8万6900人(3.35%)いた。
介護報酬改定の3.0%アップによって、08年4月に限度額を超えていた4万1100人と、限度額前後の8万6900人の計約13万人が自己負担額が増える可能性があるとした。
■介護サービス、給付と負担で国民的議論を/経済同友会
経済同友会は4月9日、「サービス産業の生産性を高める3つの改革」と題した提言を発表した。
介護サービス関連では、2009年度介護報酬改定は介護従事者の人材確保・処遇改善が打ち出されながら十分とはいえないと指摘。要介護・要支援認定者数の増加スピードが加速する状況も見据え、中・長期的視点から、給付と負担のバランスを含めた国民的議論を促した。
調査・データ編
■健保組合09年度予算、赤字は6152億円/過去最大の前年度と同水準
すべての健保組合(1485組合)の2009年度経常収支赤字額は、過去最大だった前年度予算とほぼ同水準の6152億円となる見通しであることが10日、健保連の発表した09年度健保組合予算の早期集計で分かった。保険料収入に占める高齢者医療制度などへの納付金・支援金の割合は45.2%で、依然として納付金などの負担が財政を圧迫する傾向が顕著となった。
回答のあった1304組合(回答率88%)の予算状況を全組合分に引き伸ばして試算した。納付金などの支出は総額で2兆7512億円で前年度予算より2.42%減ったものの、後期高齢者支援金は1兆2723億円(前年度予算比13.1%増)、前期高齢者納付金は1兆1065億円(同6.6%増)といずれも増加。一方、収入は保険料率が0.046ポイント上がり7.412%となったが、平均標準報酬の減少などの影響で保険料収入が前年度予算比0.72%減の6兆798億円となった。同日、会見した対馬忠明専務理事は「平均標準報酬などは景気低迷によって、実際には予算より低くなる可能性もある」と危機感をにじませた。
経常収支が赤字となる組合は全体の91.6%に当たる1360組合。協会けんぽの8.2%より料率が高い組合は全体の18.5%に当たる241組合だった。
■民間病院の4分の1が赤字/日医総研WP、診療所では3分の1
日本医師会総合政策研究機構はこのほど、「赤字民間医療機関のマネジメント上の課題」をテーマにワーキングペーパー(WP)をまとめた。2007年度の決算データから、民間の医療機関のうち病院では約4分の1、診療所では約3分の1が赤字だったと指摘。日本の医療提供体制は「民主導」であり、民間医療機関が国民の健康を維持するため極めて重要な国家戦略上の資源になっているとし、医療費抑制策の見直しなど、売上総利益の確保に向けた政策的対応が求められると提言した。
WPは、TKC全国会発行の「TKC医業経営指標(M-BAST)2008年度版」から得られた民間の病院685施設、診療所3178施設の07年度決算データを調査対象に分析した。TKC全国会は会員数約9600人の税理士・公認会計士の全国ネットワークで、株式会社TKCの会計システムを使用した財務データに基づき、TKC医業経営指標を集計している。
病院は、黒字が509施設(74.3%)、赤字が176施設(25.7%)で、赤字病院は全体の約4分の1。診療所では、黒字が2104施設(66.2%)、赤字が1074施設(33.8%)で、約3分の1の診療所が赤字だった。赤字医療機関は病院・診療所ともに、事業規模が黒字医療機関よりも小さかった。赤字医療機関の従業員数・医業収益高・総資産はすべて黒字医療機関を下回る結果を得た。
一方、赤字病院の従業員1人当たりの生産性は、黒字病院をわずかに上回ることも明らかになった。ただWPは、仕入れや人件費などの面で、赤字病院は黒字病院と比べて効率性を損ねていることがうかがえると指摘している。
従業員1人当たりの売上総利益を見ると、赤字病院は黒字病院との比較で96.5%にとどまり、従業員1人当たり人件費は赤字病院が黒字病院を上回った。
赤字医療機関は黒字医療医機関よりも過大な借り入れをしていることも分かった。WPは、経営不振に陥る民間医療機関から「過去の過剰投資に対する弁済が経営を圧迫している」と指摘する声が多く上がっていると指摘。今回の分析データはそれを裏付けているとした。
ただ、民間の医療機関の資金調達は金融機関からの借り入れなど間接金融にほぼ限定され、特にバブル期に過大評価された土地建物を担保に安易な融資が行われていた側面もあると指摘。別途検討する必要があるとした。
■女性医師の85%が宿直翌日に通常勤務/日医・委員会が報告書
日本医師会男女共同参画委員会(中川やよい委員長)は「女性医師の勤務環境の現況に関する調査報告書」をまとめた。4月8日の定例会見で今村定臣常任理事が発表した。病院勤務の女性医師の約8割は常勤で、時間外勤務も約7割の医師がこなしていた。宿直翌日に通常勤務をこなす医師も約85%に達するなど、女性医師の過酷な勤務状況の一端が浮き彫りになった。
調査は、特に病院に勤務する女性医師の勤務環境などを把握し、女性医師の就労支援に向けて基礎資料を得るために行った。調査期間は2008年12月から09年1月。全国8880病院に調査票を送付し、女性医師7467人から有効回答を得た。
1週間の勤務時間を契約上で51時間以上としているケースは3.2%にすぎないものの、実際の勤務が51時間以上との回答は45.4%にも上った。有給休暇の消化状況も4.2%にとどまっていた。
勤務形態が常勤以外となっているケースで理由を聞いたところ、「雇用条件」が39.8%を占めた。報告書は、本人の希望によらない非正規雇用の存在がうかがえるとした。
環境
■新潟知事、原発再開を事実上容認/柏崎刈羽、時期は未定
2007年の新潟県中越沖地震後、全7基が停止中の東京電力柏崎刈羽原発(新潟県柏崎市、刈羽村)のうち7号機について、泉田裕彦新潟県知事は4月7日、「運転再開に向けた前提条件としての安全性はおおむね確保されていると感じた」と話し、運転再開を事実上容認する姿勢を示した。
柏崎市長と刈羽村長は既に再開を容認する方針を示しており、これまで態度を明確にしていなかった知事が容認の方向性を明らかにしたことで、7号機は地震後初めて、運転が再開される見込みになった。
ただ、知事は今後、市長、村長と会談し、市民から意見を聴くなど、地元として正式に運転を了解するための手続きを話し合うとしており、再開時期は未定。【共同】
■柏崎原発の倉庫で火災/中越沖地震以降、9件目
東京電力は4月11日、柏崎刈羽原発(新潟県柏崎市・刈羽村)敷地内の倉庫で午後10時25分ごろ、火災が発生したと発表した。外部への放射能の影響はないとしている。2007年の新潟県中越沖地震以降、火災は9件目。
間近とみられていた同原発7号機の運転再開に影響を与える可能性がある。
地元消防によると、約2時間後に煙が収まった。東電によると、空調のダクト部分が焦げていた疑いがある。けが人はなかった。
東電によると倉庫は普段から無人。煙が出たのは内部に設置されている空調機のモーター付近からで、配線が焼けていた。モーターの電源が自動的に遮断されたため、消火活動をせずに煙は止まった。
消防車など10台と、消防隊員ら約30人が出動した。柏崎刈羽原発は2007年の中越沖地震で被災し全7基が停止中。
東電は同原発7号機の運転再開について、新潟県、柏崎市などの地元自治体に事前了解を申し入れたが、地震の復旧作業中に火災が相次ぎ、自治体側は東電の防火体制が改善されるまでは再開を認めないことを表明していた。【共同】
■原燃、付着物挟まり動作不良に/再処理工場の洗浄装置
日本原燃は4月10日、試運転中の使用済み核燃料再処理工場(青森県六ケ所村)で、漏れた高レベル放射性廃液により汚染された個所を洗浄する装置に動作不良が起きた原因は、装置のギアに付着物が挟まったためとする調査結果を明らかにした。
廃液漏れは09年1月に発生。分析の結果、付着物はこの廃液に含まれる硝酸で生じたさびと潤滑剤の混合物とみられる。装置はマジックハンドのような部分に放水設備などを取り付けることができるが、3月上旬に動作不良を起こして以降、洗浄は中断したままだ。
また、作業を監視するカメラを取り付けたクレーンが3月末から動かなくなっていることも判明。原因は不明で、洗浄再開の見通しは立っていない。
原燃は以前まとめた報告書に「廃液による他設備への影響はない」としていたが、廃液が動作不良の一因である可能性が高いことから、10日に追加報告書を国に提出した。【共同】
【週刊マスコミ論調】
■医療問題、医療政策
■社会情勢など
■医学、健康
■鳥インフルエンザ、感染症など
■高齢者医療、福祉、年金、介護、少子化
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医療ルネサンス 緩和ケア病棟ゆうゆうLife お産を守る 進む助産所の整備 産経
くらしナビ 家族が危ない シリーズ介護 第2部 反響特集
合併後のまちで 京丹後市発足5年 読売
消費税20年 読売
医療クライシス―コストカットの現場で 毎日
09年度変わる社会保障 日経
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■環境全般■核開発・原子力発電・エネルギー問題
〈核問題〉
〈原発問題)
〈エネルギー問題〉
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