週刊医療情報インデックス
2008年11月第3週 (2008.11.18~2008.11.24)
- 【ウイークリーダイジェスト】
- 【週刊マスコミ論調】
- ■医療問題、医療政策
- ■社会情勢など
- ■医学、健康
- ■新型インフルエンザ、感染症など
- ■高齢者医療・福祉・年金・介護・少子化
- ■医療事故、医事紛争、副作用
- ■保団連・保険医協会
- ■京都周辺の動き(医療関係、ほか)
- ■主な連載(医療全般)
- ■環境問題
【ウイークリーダイジェスト】
■06年度社会保障給付費、伸び率は過去3番目の低さ/マイナス改定の影響
2006年度の社会保障給付費は89兆1098億円で過去最大となったことが11月18日、国立社会保障・人口問題研究所のまとめで分かった。ただ、対前年度の伸び率は1.5%増で統計開始以来、3番目の低さだった。同研究所は、06年度の診療報酬改定が過去最大のマイナス3.16%だったことや、05年10月から介護保険施設の食費・居住費が自己負担となったことなどが影響しているとみている。
社会保障給付費の対国民所得比をみると23.87%で、前年度と比べて0.07ポイント減少した。国民所得の伸びに比べて、社会保障給付費の伸びが抑えられたためで、対国民所得比が前年度と比べて小さくなったのは1991年以来15年ぶり。
社会保障給付費を「医療」「年金」「福祉その他」に分類すると、医療は28兆1027億円で総額に占める割合は31.5%、福祉その他が13兆6818億円で15.4%、年金は47兆3253億円で53.1%を占めた。対前年度の伸び率は、医療が0.0%減、福祉その他が2.3%増、年金が2.2%増だった。福祉その他のうち、介護対策の伸びは3.1%増だった。
年金保険給付費と老人保健(医療分)給付費、老人福祉サービス給付費、高年齢雇用継続給付費を合わせた高齢者関係給付費は62兆2297億円で社会保障給付費全体の69.8%を占めた。社会保障財源の構成割合を見ると、社会保険料53.8%、公費負担29.8%、資産収入8.4%、その他が8.0%だった。
■介護従事者の医療行為、一部可能に/ビジョン会議「療養介護士」創設は見送り
厚生労働省は11月20日、「安心と希望の介護ビジョン」会議(座長=前田雅英・首都大学東京都市教養学部長)で2025年を見据えた施策を盛り込んだビジョンを取りまとめた。研修を受けた介護従事者が、安全性が確保される範囲内で経管栄養や喀痰吸引を行う仕組みを整備する方向性を示した。医療行為可能な資格として前回提示した「療養介護士」(仮称)は「唐突すぎる」などの意見を踏まえて削除した。
厚労省は09年度予算も視野に入れてビジョンの施策に取り組む方針。舛添要一厚生労働相は「医療確保ビジョンと対になるものととらえ実現していきたい。財源は厳しいが、セーフティーネットの整備は経済の活性化にもつながる」と話した。
ビジョンでは、医療と介護の連携強化に向けて、必要な知識・技術に関する研修を受けた介護従事者が医師や看護師との連携の下、医療ニーズの高い施設で経管栄養や喀痰吸引を一定の範囲内で行える仕組みを整備するとした。将来的に資格や研修の在り方を検討するとしたが、「療養介護士」という具体的な資格制度は明記しなかった。
また、医療と介護のチームケアの観点から、関係機関や団体などによる「地域ケア推進会議」(仮称)を立ち上げるほか、ケアマネジャーらへの医療研修を実施する。制度面からは、患者が退院する際の病院とケアマネジャーらの連絡体制を確立するとした。
介護従事者の処遇改善については、各事業所の労働条件や給与水準、教育訓練などの情報の公表を推進する。公表は基本的にすべての事業者での実施を目指す。このほか、高齢者の地場産業などへの参画を支援する「コミュニティ・ワーク・コーディネーター(高齢者地域活動推進者)」(仮称)を今後10年間で3000人育成することや、要介護高齢者のニーズに対応した慢性期医療基盤と救急医療の整備、訪問リハビリステーションの創設などを挙げた。
■京都市、介護保険料下げ/09年度から260円減の見通し
京都市の門川大作市長は11月20日の市議会代表質問の答弁で、2009年度に改定される65歳以上の介護保険料を引き下げる方針を明らかにした。介護サービスの利用減少で生じた剰余金32億円の全額を充てることで、保険料は現行より260円減の4500円程度となる見通し。保険料の引き下げは京都市では初めてとなる。
65歳以上の介護保険料は3年ごとに市町村が改定し、09年度が3回目となる。介護保険制度が2000年度にスタートして以来、京都市の保険料は当初の月額2958円から、3866円、4760円と増え続け、現在は全国平均より約700円も高くなっている。
市が保険料引き下げに充てる剰余金は、国が06年度から介護給付費の抑制に乗り出したことで、介護サービスの利用実績が計画を下回ったために生じたものだ。全国でも同様の現象が起きており、06年度末時点で全国の市町村が積み立てた基金は約2140億円に上る。
ただ、高齢者人口の増加に伴い、介護給付費の支出が増えることも予想される。このため、剰余金は将来に備え、基金として取り置くという選択肢もあったが、市介護保険課は「中期的に考えて運営に問題はないと判断した」としている。
この日の代表質問の答弁で、門川市長は「経済が悪化するなか、社会の礎を築いてきた高齢者の保険料増加(の負担)は避けるべきと考えた」と述べた。
■自己負担増凍結の継続で政令改正を決定/閣議
政府は11月18日の閣議で、「高齢者の医療の確保に関する法律施行令等の一部を改正する政令案」を決定した。70~74歳の人で1割負担から2割負担となる医療費自己負担増を、2009年度も引き続き凍結するための経過措置を定める。
また家計負担の変動を抑えるため、後期高齢者医療制度への移行に伴い新たに現役並み所得者となった人について、3割となる一部負担の割合を従来と同様に1割とすることなどの改正を行う。
■民主党が参院委員会を審議拒否/国会が空転
11月17日の麻生太郎首相と小沢一郎民主党代表の党首会談が決裂したことを受け、民主党は18日、参議院の6つの委員会の審議を拒否した。同日の参院厚生労働委員会は理事会で対応を協議したが、民主党が審議に応じられないとして、予定していた一般質疑は行われなかった。衛藤晟一自民党筆頭理事は「テーブルをひっくり返すのは民主主義ではない」と批判した。
民主党は2008年度2次補正予算案を今国会で審議しない場合、新テロ対策特別措置法改正案と金融機能強化法改正案の採決には応じないと対決姿勢を鮮明にしている。
■後期高齢者制度の廃止法案、衆院厚労委で審議入り
野党4党(民主・共産・社民・国民新)提出の後期高齢者医療制度廃止法案が11月19日、衆院厚生労働委員会で審議入りした。法案は6月に参院で可決されたが、衆院では審議されず継続審議となっていた。廃止法案は、制度の対象者を75歳以上と年齢で区切ることに合理的な理由がないとして、09年4月から旧制度の老人保健制度にいったん戻すことを求めている。
■「社会常識が欠落」発言で医療団体、相次ぎ抗議/麻生首相、撤回し陳謝
麻生太郎首相が医師について「社会的常識がかなり欠落している人が多い」などと発言したことに対し、医療関係団体が一斉に抗議の声を上げている。日本医師会の唐澤祥人会長は竹嶋康弘副会長とともに11月20日、首相官邸を訪れ、麻生首相と面会し「発言を撤回し、誠意をもって謝罪していただきたい」とする抗議文を手渡した。麻生首相は「発言は撤回する。皆さんに謝罪する」と述べたという。
問題となったのは、19日の全国都道府県知事会議での麻生首相の発言。これを受け、日医は唐澤会長名による抗議文を提出したほか、北海道医師会、栃木県医師会、全国医師連盟、保団連、民医連などが相次いで抗議文や見解を公表した。
日医は抗議文で「(首相の)発言は、特定の職業を名指しして、根拠なしに差別するものであり、激しい憤りを禁じ得ない」と指摘。「全国の医師会員を代表して、また国民の1人として断じて認めることはできない」とした。また医療崩壊が現実化している中にあって「総理の発言は、日本の医療を根底から否定するものであり、国民を失望させた」と強調。「総理のあまりにも認識を欠いた軽率な発言は、耐え難い環境で医療現場を懸命に守る医師の真摯な努力を踏みにじるもの」と厳しく批判した。その上で「総理自身が熟慮された上で過ちを認め、認識を改められることを強く求める」と訴えた。
首相との面会後、竹嶋副会長は厚生労働省内で会見し、「総理から『わたしの言葉の使い方が不適切だった。従ってこの発言は撤回する。皆さんに謝罪する』との返事を得た」と説明した。救急、産科、小児科の厳しい現状について麻生首相から「日医としてどうしたらよいと考えているか」との質問があり、唐澤会長が答えるやりとりもあったという。日医の中川俊男常任理事は会見で、会員個人から日医に怒りの声が多数寄せられていると説明。「謝罪と撤回は最低限の要求。これで全国の医師会員が納得するとは思っていない」と述べた。
麻生太郎首相の全国知事会議での医師をめぐる発言の要旨は以下の通り。
「(出席知事の医師不足に関する発言に対し)医者の確保をとの話だが、自分で病院を経営しているから言う訳じゃないけど、大変ですよ。はっきり言って、最も社会的常識がかなり欠落している人が多い。ものすごく価値判断が違うから。それはそれで、そういう方をどうするかという話を真剣にやらないと。全然違う、すごく違う。そういうことをよく分かった上で、これは大問題だ。
小児科、婦人科(の医師不足)が猛烈に問題になっているが、これは急患が多いから。急患が多いところは皆、人が引く。点数が入らない。点数を変えたらいいんです。これだけ激しくなってくると、厚生省も、5年前に必ずこういうことになりますよと申し上げて、そのまま答えがこないままになっている。
これはちょっと正直、これだけ激しくなってくれば、責任はおたくらの話ではないですか。おたくってお医者さんの。しかも、お医者の数を減らせ減らせと言ったのはどなたでしたか、と申し上げて。党としても激しく申し上げた記憶がある。臨床研修医制度の見直しについてはあらためて考え直さなきゃいけない」【共同】
■誤解招く発言、気を付けるべき/舛添厚労相ら首相に苦言
舛添要一厚生労働相は11月20日、麻生太郎首相が「(医師には)社会的常識がかなり欠落している人が多い」と発言したことについて「現場で勤務医も悲鳴を上げながら頑張っており、そういう方々に誤解を与えるようなことがあったら残念。医師不足、医療崩壊(などの対策)に全力を挙げているので、政府の姿勢を示すためにも誤解を招く発言は気を付けられた方がいいと思う」と苦言を呈した。
その上で「首相も謝罪したということなので、反省の上に立って問題の解決に努めたい」と強調した。都内で記者団に述べた。
河村建夫官房長官も同日の記者会見で、「国民は医師不足の状況を不安に思っている。その責めをすべて医師にというわけにはいかない。政府も医師の確保や勤務環境の改善など現況を変える取り組みを急ぐ必要がある」と述べた。
また自民党の大島理森国対委員長も国対正副委員長会議で「昨日からいろいろな発言があるが、首相に対し『言葉は大切だ』と申し上げなければならないこともある」と述べた。同党内では「非常識な発言。こんな発言を続けられたら次の選挙は戦えない」(中堅議員)などの声が上がっている。【共同】
■妊婦受け入れ拒否「構造的問題」/舛添厚労相が家族と会談
舛添要一厚生労働相は11月18日、東京都内で相次いで妊婦受け入れ拒否が発生した問題を受け、受け入れを拒否された女性2人の夫と会談した。受け入れ拒否についての事実確認と、妊婦搬送体制の見直しを求めた家族らに対し、舛添厚労相は都と協力し受け入れ拒否病院を含めた検証作業を行うなどの対策を説明した。また、今回の受け入れ拒否問題に対し「医師の伝え方が悪かった、良かったという問題ではなく、構造的な問題がある。検討会も実施し12月までに具体的提言をし、調査結果も公表していく」と話した。
舛添厚労相は、今回の問題が発生した都立墨東病院と杏林大病院が「総合周産期母子医療センター」に指定されていたことに対し「同センターは最後の砦。妊婦搬送問題で江戸川区医師会など現場に行っておきながら、現状を把握できなかった。申し訳ない」と謝罪の意を示した。都と共同で検証作業を行うことについては「都立病院に厚生労働大臣が直接行くのは異例だが、国として自治体に対し、指導を徹底しなければならない」と話した。脳内出血を起こし杏林大病院など複数病院から受け入れを拒否された女性の夫(39)は「(都や病院側から)当事者に対する説明がなされていない。当事者への情報提供も含めて、事実を明確にしてもらいたい」と話した。
■15年度の消費税率13.3~13.5%/諮問会議で民間議員が提示
政府の経済財政諮問会議(議長=麻生太郎首相)は11月20日、社会保障・税財政一体改革をテーマに議論した。民間議員は改革の「中期プログラム」について、(1)中福祉・中負担を目指す、(2)安心強化と財源確保の同時進行、(3)安心と責任のバランスの取れた安定財源の確保─の3原則に基づいて策定すべきとする資料(民間議員ペーパー)を提示。同日の会議で大筋合意した。
民間議員ペーパーは「目指すべき中福祉、中負担のいずれの面でも満足な状態にない」とし、「ほころびの指摘される現状の社会保障の水準を維持するために必要な負担すらなされていない」と断じた。
その上で安定財源確保が必要な項目として、(1)基礎年金国庫負担の引き上げ、(2)社会保障国民会議が示した機能強化などに伴い必要となる公費負担増、(3)次世代への負担拡大、負担先送り解消のために必要となる公費負担増─を挙げた。中福祉・中負担の社会保障制度確立に向け、こうした公費負担増を消費税で賄うと2015年度に税率は13.3~13.5%に達すると試算した。
また内閣府も同日の諮問会議に「安定財源の充当についての考え方について」と題する資料を提示。高齢化の進展への対応や機能強化を含む現世代の安心強化を優先する手法と、次世代への負担先送り解消を優先する手法の、2つのアプローチがあると問題提起した。
■09年度予算編成の基本方針を提示/経済財政諮問会議
経済財政諮問会議は11月20日、2009年度予算編成の基本方針を示した。国民生活と日本経済を守るための予算の重点化項目として、社会保障や雇用、教育を挙げた。
09年度予算の基本的な考え方は、経済成長と財政の健全化の両立。具体的には、歳出改革、「中期プログラム」の策定、行政改革、地方分権改革により両立を図る。
社会保障以外の予算重点化・効率化の項目としては、金融・経済の安定強化については、金融、戦略的国際協力、中小・小規模企業等支援、成長力強化、低炭素社会の実現を挙げた。また地方の底力を発揮するために、地域活性化、強い農林水産業づくり、住宅・公共投資、地方財政に取り組むとした。
■ドクヘリ推進で超党派議連が設立/全国配備推進で決議
超党派の国会議員139人でつくる「ドクターヘリ推進議員連盟」が11月20日、設立総会を開いた。総会ではドクターヘリの全国的配備の推進に関する決議を了承。決議文は中川昭一財務相と鳩山邦夫総務相に提出する。
決議文では、各都道府県へのドクターヘリの配備を進めるために必要な予算の確保と、導入に関する地方交付税措置の充実を盛り込んだ。当面の議連としての活動は、09年度予算の十分な確保に向けて取り組んでいくという。
会長には自民党の丹羽雄哉元総務会長(元厚生相)が就任した。このほかの役員には、幹事長に民主党の大久保潔重参院議員、事務局長には自民党の木村仁元消防庁長官が就任した。
ドクターヘリは2008年10月末時点で、全国に13機が13道府県に分散して配備されている。厚生労働省はドクターヘリ導入推進事業として、09年度の概算要求で約21億円(24機分)を計上している。
■天引きと口座振替、09年4月から選択制に/与党・高齢者医療制度PT
与党の「高齢者医療制度に関するプロジェクトチーム」(PT、座長=鈴木俊一・自民党社会保障制度調査会長)は11月18日、年金からの天引きが原則となっていた後期高齢者医療制度の保険料徴収について、誰でも口座振替での保険料の支払いを可能とする方針を決めた。年金収入額によらず、保険料の支払い方法を口座振替とするか年金からの天引きとするかを選択できる。2009年4月から実施する。
現行制度で後期高齢者医療制度の保険料を口座振替で納付できる人は、国保の保険料を確実に納付していたか、年金収入が180万円未満の高齢者で世帯主や配偶者の口座振替で納付する人に限られている。同日のPTで、これらの条件を撤廃することで一致した。
また09年度以降は、年金収入が153万~210万円程度の高齢者が支払う保険料の軽減率を段階的に設定する方針だったが、08年度と同様に一律5割軽減にすることとした。このほか、年金収入が80万円以下の高齢者の保険料を7割軽減から9割軽減とするための財源を、09年度も国費で賄うことをあらためて確認した。
■たばこ税の引き上げで決議へ/自民・厚生労働部会
自民党の厚生労働部会(後藤茂之部会長)は20日、2009年度の税制改正要望案を取りまとめた。たばこ税については税率引き上げを要求。さらに年金・医療などの経費に関して、新たな安定財源が確保されるよう、税制上の整備を図る必要性も指摘した。安定財源の確保によって、社会保障費の自然増2200億円削減の幅を少しでも緩めたい意向だ。同日は出席議員から、たばこ税増税を求める声が相次ぎ、部会として税率引き上げを要求するために決議をまとめることで一致した。
部会の重点要望事項のうち国税の新規事項をみると、所得税関係では、新型インフルエンザ対策のために簡易陰圧装置を取得する際、取得価格の20%の特別償却を認める制度の創設を要求した。
また出産育児一時金制度の見直しに伴う措置も盛り込んだ。具体的には、手元に現金がなくても、安心して出産できるよう、保険者から医療機関へ出産費用を直接支払うことなどを検討しており、診療報酬の場合と同様に、保険者が作成する契約書の文書などにかかる印紙税の非課税措置を求めた。
また地方税の新規事項のうち、固定資産税・都市計画税関係では、社会医療法人で救急医療等確保事業を行う病院・診療所にかかる非課税措置の創設を盛り込んだ。このほか看護師や助産師など医療関係者の養成所について非課税措置の創設も要請。さらに民法第34条に基づいて設立される社団法人と財団法人が、公益法人改革によって一般社団法人・一般財団法人に移行した場合でも、こうした法人が設置する医療関係者の養成所などにかかる地方税の非課税措置を存続するよう求めた。このほか国保税関係では、応益割保険税額の2割軽減要件の見直し、特別徴収の対象範囲の見直しにも言及した。
厚労部会でたばこ税引き上げを求める一方、同日開かれた農林部会・総合農政調査会・林政調査会合同会議では、部会の09年度税制改正重点要望事項として「たばこ税増税反対」を盛り込んだ。いわゆる農林族とみられる出席議員は「たばこ税を引き上げれば何でも解決すると思っている議員がいるが、引き上げには絶対反対」と強調した。
■障害者自立支援法、抜本的な見直しへ/自民・障害者福祉委
自民党の社会保障制度調査会障害者福祉委員会(木村義雄委員長)は11月20日、障害者自立支援法の抜本的な見直しに向けて意見交換した。障害者自立支援法は2006年4月から施行されており、3年をめどに見直すことになっている。同委員会は09年度の見直しに向けて、07年12月に与党の「障害者自立支援に関するプロジェクトチーム」(PT)が作成した報告書に沿って議論を進めた。主な検討事項として、利用者負担の在り方や障害程度区分の見直し、就労の支援などが挙がっている。
12月からは与党PTも開催する方針で、09年の通常国会での提出に向けて、年末までに見直し案を取りまとめる予定だ。
■雇用保険の見直しに暗雲/2200億円の有力選択肢、「論外」と自民・長勢氏
社会保障費の自然増2200億円を削減するための有力なメニューと想定されている雇用保険の国庫負担廃止に暗雲が立ち込めている。11月19日に開かれた自民党の雇用・生活調査会(長勢甚遠会長)では、出席議員や厚生労働省の担当官から国庫負担廃止に否定的な見解が相次いだ。長勢会長も冒頭あいさつで「雇用保険の国庫負担の見直しについて議論になると言われている。ただこういう(雇用)状況の中で、国庫負担の見直しを論じること自体、論外だと思う」と述べた。
会議では、雇用失業情勢や雇用保険法の改正、政府・与党が10月30日にまとめた追加経済対策「生活対策」などについて、厚労省から報告を受けた。雇用失業情勢については、米国の低所得者向け住宅ローン(サブプライムローン)の焦げ付きに端を発した世界的金融不安などで、完全失業率や有効求人倍率などが悪化しているとの報告があった。
出席議員からは、雇用情勢が悪化している中で、雇用保険の国庫負担1600億円の廃止が議論の俎上に載っていることを批判する意見が相次いだ。雇用保険財源となる労働保険特別会計(雇用勘定)の積立金が5兆1000億円(06年度決算ベース)に上るとされていることについても「これはここ数年で(一気に)積み上がったもの。今後、失業の波が来ることが予想されることから、これを『埋蔵金』と見られないようにしなければならない」と強調する意見があった。
厚労省の担当官も、失業率が高くなれば約5兆円の積立金は「2、3年で枯渇する」との認識を示した。さらに厚労省が同日の会合に示した資料でも「国庫負担の廃止・削減は、雇用対策に係る国の責任を放棄するものとして、国民各層からの一斉批判が避けられず、行うべきではない」と踏み込んだ表現を使った。
このほか「生活対策」に盛り込まれた雇用対策のうち、介護人材の確保対策の具体策について厚労省が説明。介護業務未経験の「年長フリーター」らを雇用した事業主に対し助成することを報告した。具体的には、年長フリーター1人が6カ月以上定着した場合50万円まで助成。さらに6カ月以上定着した場合には、合わせて1年間で100万円まで助成するとした。
また介護労働者の負担軽減や腰痛対策として、事業主が移動リフトなどを導入・運用する計画を提出し、厚労省の認定を受ければ、導入に関する所要経費の2分の1を助成するとした。上限は250万円。長勢会長は、会議終了後、介護人材確保について「出席議員から懸念の声が上がった」と説明した。
■消費税引き上げ時には損税問題解決/西島参院議員が指摘
自民党の西島英利参院議員は11月15日、三重県四日市市内で開かれた中部医師会連合委員総会で中央情勢報告を行い、診療報酬などに対する消費税の非課税措置について「今度の消費税引き上げの時には、医療費に対しても消費税をかけるということで考え方がほぼ一致している」と述べた。
診療報酬などに対する消費税の非課税措置については、日本医師会がゼロ税率または軽減税率による課税制度に改めることを2009年度の税制改正要望に盛り込んでいる。また自民党の丹羽雄哉元総務会長(元厚生相)は10月、講演会でのあいさつで、ゼロ税率方式が現実的だと述べている。
■医療の質が違ってしまった/民主・櫻井氏、後期高齢者制度の影響指摘
民主党の櫻井充議員は11月19日の衆院厚生労働委員会で、後期高齢者医療制度による医療現場への影響について「医師の立場から申し上げると、医療の質が75歳以上とそれ以外の人で明らかに違ってしまった」と述べた。具体例として「後期高齢者終末期相談支援料」を挙げ、「評判が悪くて中止になったが、後期高齢者だけが終末期医療に関して延命治療をするかどうか申告しなければならなくなった。終末期医療は後期高齢者だけでなく、われわれも死ぬような病気になれば、みんなが迎えるものだ」と批判した。
その上で後期高齢者制度はアクセスの制限につながるものだとし、「これまでの保険制度の年齢制限とは大きな差があると認識している」として、野党4党が廃止法案を提出した理由を解説した。木原誠二氏(自民)の質問に対する答弁。
■5分ルール「前提崩れた」と診療側/中医協、支払い側は「不毛な議論」
厚生労働省は11月19日の中医協総会(会長=遠藤久夫・学習院大教授)に、2008年度診療報酬改定の付帯意見にある「基本診療料の在り方の検討」について「検討対象は、外来管理加算に限定するものではなく、基本診療料全体を対象とする」との案を提示した。診療側は「政管健保の肩代わり法案の成立の見通しが立たず、5分ルールの前提が崩れた」として、外来管理加算だけを個別に議論するよう強く要請したものの、支払い側は「不毛な議論」として取り合わなかった。最終的に遠藤会長は「全体の中で議論したい」と総括し、中医協総会として厚労省案を了承した。
総会で竹嶋康弘委員(日本医師会副会長)は、08年度改定で外来管理加算に「5分ルール」が導入されたことで、全体で800億円の減収になっていることが、日医が実施したレセプト調査で判明したと説明。「厚労省は当初は240億円と想定していたが、結果的に大きな影響が出ている」と述べた。
その上で「政管健保への国庫負担を健保組合などが肩代わりする特例法案は成立の見込みがない。08年度改定の議論では、診療側と支払い側の双方が痛みを分かち合うべきとの前提があったが形が変わってきた」と述べ、5分ルールの早急な見直しを求めた。
これに対し対馬忠明委員(健保連専務理事)は「診療所も血を流すべきだと主張したのは外来管理加算についてではない。われわれは疲弊する病院勤務医を救うためには、診療所の再診料を引き下げるのが分かりやすいと主張してきた。国庫負担の肩代わりと外来管理加算はバーターではない」と反論。「建設的で実りある議論にはならない。公益委員に判断してもらった方がいい」とも述べ、外来管理加算だけ個別に議論することを否定した。
対馬委員の主張に対しては「健保組合が支援金を了承したから診療所も血を流すべき、との主張が外来管理加算の要件見直しにつながったことは事実。不毛な議論ではない」(中川俊男委員、日医常任理事)、「外来管理加算は改定の根幹にかかわる問題。個別に議論すべき」(藤原淳委員、同)と診療側も譲らなかった。しかし遠藤会長は「要望は分かるが、基本診療料の全体の中で議論したい」と述べ議論を収めた。
外来管理加算の個別の議論については却下されたものの、同日の総会では、基本診療料の全体の在り方の議論の中で、日医が調査資料を提出することについては了承された。日医は12月の中医協で、外来管理加算の実態調査の結果を提示する予定だ。
■「決算データ」による実調を検討/中医協、ワーキング設置も
中医協・調査実施小委員会は11月19日、診療報酬改定の前年に行っている医療経済実態調査で医療機関の決算データを収集するため、ワーキンググループを設置して検討することでほぼ合意した。遠藤久夫委員長は「決算データを使うことが検討に値することは、ほぼ合意に達した。ただ従来の調査手法に取って代わることになるのか、次期改定に間に合うのか、などについては今後議論したい」と述べた。
■ケアミックス病院もDPC病院/中医協・基本問題小委で了承
中医協・診療報酬基本問題小委員会は11月19日、DPCの適用がふさわしい病院について議論し、療養病床を併せ持つ「ケアミックス病院」についてもDPC病院として認めることを了承した。
これまでの中医協の議論では、DPCの対象範囲として「ある程度以上の重症な急性期に限定せず、すべての急性期を対象とすべき」との方向性でまとまっている。同日の小委で西澤寛俊委員(全日本病院協会長)は「ケアミックス病院と、ほかのDPC病院で医療内容に大きな差はない。一般病棟のある病院は当然すべて対象となり得る」と主張した。これに対し藤原淳委員(日本医師会常任理事)が「DPCは急性期病院が対象ということだったと思う。ケアミックスが入ると違和感はないか」と指摘した。
■後発品変更へ努力不足を指摘/中医協総会
中医協は11月19日の総会で、日本薬剤師会がまとめた後発医薬品使用状況調査結果(中間報告)を議論した。調査では後発品に変更可能な処方せんの割合は59.8%を占めたものの、実際に後発品に変更されたのは処方せん全体の3.4%にとどまった。変更不可の処方せんを発行している医療機関も26.8%を占めた。支払い側委員からは「努力しているのは分かるがまだ不足しているように感じる」などと、使用推進へのさらなる取り組みを求める声が上がった。
調査は08年9~10月、全国の2000薬局を対象に実施。450薬局(回収率22.5%)から回答を得た。4月の診療報酬改定で新設された「後発品調剤体制加算」は83.6%の薬局が算定していたが、その多くは調剤率30~40%台だった。
支払い側の対馬忠明委員(健保連専務理事)は、後発品に変更した割合が処方せん全体の3.4%だったことについて「極めて低いと言わざるを得ない」と問題視。後発品調剤体制加算については「多くの薬局が加算要件をクリアしているが、本当に実態として進んでいるのか」などと指摘。変更不可への組織的な対応についても「(変更可能な処方せんを出すよう)努力をお願いしたい」と注文を付けた。
■精神保健医療福祉あり方検討会、中間まとめ公表/厚労省
厚生労働省は11月20日、「今後の精神保健医療福祉のあり方等に関する検討会」(座長=樋口輝彦・国立精神・神経センター総長)の中間まとめを公表した。同検討会は08年4月から議論をスタート。9月には論点整理を取りまとめた。その後、2009年に予定する障害者自立支援法改正も見据えて論点整理に基づく検討を進め、精神障害者の地域生活への移行と支援に関する事項について中間まとめとして整理した。
中間まとめでは、都道府県による精神科救急医療体制の確保やモニタリングの実施について制度上の位置付けを求めた。また精神科救急医療と一般救急医療の双方を必要とする患者に適切な医療サービスを提供する観点から、両者の連携を制度の中に取り込む方針を打ち出した。
■小児集中治療室の全国的な整備を/厚労省研究班が中間報告
厚生労働省の「乳幼児死亡と妊産婦死亡の分析と提言に関する研究班」(主任=池田智明・国立循環器病センター周産期科部長)は11月18日、1~4歳児の死亡率の改善に向けて、小児重症患者を集約できる小児集中治療室の全国整備を検討すべきとする中間結果を発表した。
調査は2005~06年に死亡した1~4歳の幼児の死亡原因と死亡場所について分析した。中間報告によると、都道府県別の幼児死亡率が上位に入っている県には、重症患者を受け入れられる小児集中治療室がないと指摘。研究班は、死亡率改善に向けて、医療資源のそろっている大学病院や小児病院に患者を集約化できるような体制整備を提案した。
さらに、慢性疾患のない幼児の死亡原因の4割が事故などの外因性疾患だったことから、小児集中治療室に小児救命救急センターの役割を持たせるような体制も求めた。
医療機関の規模別に死亡原因を見ると、規模が小さいほど事故死などの症例数が多かった。研究班では、緊急の救命措置が必要な症例が大規模医療機関に搬送されないまま小規模医療機関で診療を受けて死亡したと推測している。
研究班によると、日本の年齢別死亡率はすべての区分で先進国の平均を下回っているが、1~4歳だけは平均を超えている。
■一般救急と周産期の空床情報「一元化を」/厚労省の懇談会
厚生労働省の「周産期医療と救急医療の確保と連携に関する懇談会」(座長=岡井崇・昭和大教授)は11月20日、受け入れ先医療機関の空床情報などを示す一般救急情報システムと周産期救急情報システムを一元的に集約する「情報センター」を整備する方向で一致した。両者はいずれも都道府県が整備しているが、情報の一元管理によって両方のリスクのある患者の適切な搬送先決定について迅速化を図る狙いだ。
同日の懇談会で、岡井座長が示した今後の対策の骨子案で情報の集約化を打ち出した。厚労省が同日示した救急医療情報に関する実態調査の速報値によると、都道府県のうち救急医療情報システムは43自治体が導入していたが、周産期医療の情報システムが閲覧できるのは24自治体だった。岡井座長は、情報の集約化に加えて搬送先の調整に当たるコーディネーターを「情報センター」に配置して、効率化を図る必要性を訴えた。
懇談会ではこのほか、日本産科婦人科学会と日本救急医学会がまとめた母体救急搬送に関する提言も示された。母体救急搬送は「まず地域完結を目指すべき」とした上で、地域内の救急対応能力に格差がある現状を踏まえ、「重症特殊救急病態を常に都道府県の枠内で対応することには無理があり、合理性が乏しい」と指摘。ドクターヘリなどを活用した広域連携の枠組み構築を同時に進める必要があると指摘している。国や自治体の母体救急の担当部署と責任体制の明確化も求めている。
■電話診療で処方せん発行可能に/新型インフル専門家会議
新型インフルエンザが国内で大流行した場合に、患者がかかりつけ医との電話診療でタミフルの処方せんを受け取ることができるなどの対策を盛り込んだ改定ガイドライン(GL)案が11月20日、厚生労働省の新型インフルエンザ専門家会議でまとまった。都道府県内で1人でも患者が発生した場合には、直ちに県内の学校を臨時休業にすることも提案。政府は近く関係省庁対策会議を開き、専門家会議のGL案を基に政府案をまとめ、パブリックコメントを行う。
改定GL案によると、電話診療はかかりつけ医に定期的に受診している患者を対象にする。海外で新型インフルエンザが発生した段階(第1段階)で、あらかじめかかりつけ医に電話診療で処方せんを発行する旨をカルテに記載してもらう。患者は大流行時に医療機関に行かずに、電話診療で診断してもらい、感染と分かればファクスでタミフルの処方せんを送ってもらえるようにする。さらに大流行に備え、糖尿病などの慢性疾患を持つ患者には、かかりつけ医が第1段階から定期薬の長期処方をできるようにする。
いずれも医療機関での患者同士の2次感染を防ぎ、流行時に医療機関に患者が集中するのを防ぐための方策だ。
また薬局は長期処方による患者の薬剤管理の不徹底を防ぐため、電話での服薬指導を検討する。タミフルの備蓄を徹底しファクスによる処方せんの応需体制を整備する。
幼稚園や小中高校、大学など学校の臨時休業に関しては、原則として都道府県が県内で1例でも患者の発生を確認すれば、学校の設置者に要請し臨時休業とする。学校が集団感染の場になるのを防ぐための措置だ。
このほか入院病床の考え方として、大流行時には入院は重症者に限定し、軽症者は原則として自宅療養とすることを強調した。
■死因究明制度は「医療界の自浄作用発揮の舞台」/地域説明会で岡本参事官
診療関連死の原因究明制度の検討状況に関する地域説明会が19日、福岡市を皮切りに始まった。厚生労働省の岡本浩二大臣官房参事官はパネル討論で「提案している制度は医療関係者が積極的に関与していただく仕組みであり、医療界が自浄作用を発揮するための舞台を用意するための議論だ」と述べ、医療界の意見を踏まえて議論を進める意向を示した。
■元厚生次官夫婦、自宅玄関で血流し死亡/さいたま、殺人の可能性も
11月18日午前10時15分ごろ、さいたま市南区別所2-33-10、元厚生事務次官で全国生活協同組合連合会理事長山口剛彦さん(66)方玄関で、山口さんと妻美知子さん(61)が胸から血を流して倒れているのを近所の人が発見し、110番した。2人は既に死亡しており、埼玉県警浦和署は殺人事件の可能性もあるとみて捜査を始めた。
調べでは、2人は普段着姿で着衣に乱れはなく、胸には服の上から刃物で刺されたようなあとがあった。2人は山口さんが室内側、美知子さんが外側に、いずれもあおむけで倒れていた。凶器は見つかっていない。
隣家の男性が、玄関扉の下から屋外に血が流れているのに気が付き、2人を発見した。鍵はかかっていなかったという。
現場は埼玉県庁から南へ約1キロの住宅街。隣家の主婦(59)によると、同日午前5時半ごろ、山口さん宅の北東側の雨戸が開いており、居間の電気がついていたという。
山口さんは、汚職事件で辞職した岡光序治元事務次官の後を受け、1996年11月、厚生省(当時)の事務次官に就任。99年8月に次官を退任するまで、臓器移植法や介護保険法の成立に尽力した。
2001年2月には旧社会福祉・医療事業団(現・独立行政法人福祉医療機構)の理事長に就任、08年3月に辞職。6月に全国生協連の理事長に就任した。【共同】
■元次官の連続殺傷事件、厚労省内でも不安広がる
元厚生事務次官の山口剛彦氏夫妻が殺害され、同じく元次官の吉原健二氏の妻靖子さんが重傷を負う連続殺傷事件の発生を受け、厚生労働省は11月19日、元幹部職員らへの身辺警戒を促すなど、対応に追われた。
事件直後から厚労省は慌ただしく対応した。元次官、元年金局長らの住所入りリストを警察側に提出し、身辺警護を要請するとともに、現職の審議官以上の幹部にも「身辺に注意するように」と電話連絡した。警備上の理由から、氏名と肩書を記載した幹部名簿を同省のホームページ上から削除した。人事課は19日午前、身辺などに十分注意するよう、各部局に口頭で指示した。
■救急受け入れ拒否対策で「東京ルール」/病院同士で搬送先探し
救急患者の受け入れ拒否を防ぐため、東京都は11月14日、都内を12地域に分けた上で各地域に2カ所ずつ拠点となる病院を「地域救急センター」に指定し、病院同士で独自に地域内の搬送先を見つけるシステム「東京ルール」を09年度から始めることを決めた。
救急患者の搬送先確保は本来、地域の救急隊の任務だが、都内では救急搬送の増加により受け入れ先が決まらないケースが多発し、救急隊だけでの対応に限界があるとの事情がある。都は「病院が自ら探すことをルール化するのは全国初だろう」としており、救急医療再生のモデルケースとなることを期待。今後、都立墨東病院など8病院に受け入れ拒否された妊婦の死亡問題も踏まえ、東京ルールが周産期医療の分野と連携できるかどうかについても検討する方針。
東京ルールでは、通常搬送の場合、救急隊が搬送先の救急病院を探すが、受け入れ先選定が困難な際には、12地域のセンターが地域内の受け入れ病院を探したり、自ら受け入れたりする。それでも見つからなければ、東京消防庁内に配置した救急救命士など現場に精通するコーディネーターが、ほかの地域のセンターに問い合わせて調整する。地域の実情に応じてセンターは輪番制での運用も取り入れる。
これまで各救急病院の受け入れ状況を確認する検索システムは、東京消防庁と救急車のみに設置され、病院は状況を入力するだけだった。東京ルールでは病院同士が責任を持って連携しながら対応するため、搬送先となる都内の救急病院(333施設)でもそれぞれベッドの空き状況や診療の可否などについて検索できるようにする。
また患者を救急車内で待たせる時間を少なくするため、最終的な搬送先以外の病院で患者を応急処置した後、転送する取り組みも始める。【共同】
■世代間の公平性担保へ公費投入を/健保組合全国大会で健保連・平井会長
健康保険組合全国大会「健保組合存亡の危機突破総決起大会」は11月17日、東京都千代田区の東京国際フォーラムで開かれた。健保連の平井克彦会長は基調演説で、後期高齢者医療制度によって解散に追い込まれる健保組合が今後も増えることへの懸念を表明。「組織的な危機に直面している」と述べる一方、「保険者機能の発揮に向けて健保組合制度を永続的に存在させていかなければならない」とし、健保組合の連帯と団結を強く求めた。
平井会長は後期高齢者医療制度の見直しを「喫緊の課題」に挙げ、舛添要一厚生労働相が設置した「高齢者医療制度に関する検討会」で、「年齢区分の見直し」とともに「世代間での反目を助長しない方向」で議論が進められることを評価した。また舛添厚労相が示した見直し私案の方向性は、健保連が2005年に発表した医療制度改革への提言とほぼ同じ内容と指摘し、世代間の公平性を担保するための公費投入を強く主張。消費税投入の考え方が出てきたことに歓迎する意向も示し、安定的な財源を確保した上での社会保障の充実を求めた。
大会では、(1)前期高齢者医療制度に対する公費投入の実現、(2)制度間の財政調整・一元化構想の断固阻止、(3)税・財政改革による安定した社会保障財源の確保─の3項目を求める決議を採択。健保連の対馬忠明専務理事は、特に財政調整の結果として自らの保険料がコンロールの範囲外に出ては自主・自立の運営もできなくなると指摘。さらに国民が求める社会保障の実現に向け、たばこ税や消費税の引き上げを念頭に安定財源確保の必要性を強調した。
■肩代わり法案の成立困難で「診療所だけ痛手」/日医「5分ルール」撤廃で攻勢
日本医師会の藤原淳常任理事は11月15日、中部医師会連合委員総会の社会保険特別委員会で、旧政管健保(現・協会けんぽ)に対する2008年度の国庫負担削減のため、健保組合などから08年度単年度で約1000億円の負担を求める特例法案が成立しない見通しとなったことを受け、「(08年度診療報酬改定に向けた中医協の議論で)支払い側が主張していた『互いに痛みを分かち合う』という理屈が通らなくなった」と述べ、診療側が「痛み」として受け入れた外来管理加算への「5分ルール」導入の白紙撤回を求める考えを示した。その上で「今度の中医協で、このことを取り上げていかなければならない」と述べた。
特例法案は、08年度予算で社会保障費の自然増を2200億円抑制するための具体策の1つとして、政管健保に対する国庫負担約1000億円の「肩代わり」を健保組合などに求める内容。ただ今臨時国会で成立するめどが立たず、与党関係者などによると補正予算で対応する可能性が濃厚となっている。
08年度診療報酬改定では、病院の負担軽減を目的に診療所から400億円強の財源が移転されたが、その際の中医協での議論で支払い側は「病院の疲弊を救うため、健保組合も支援金を拠出することを承諾した。診療所も痛みを分かち合うべきだ」との主張を展開。診療所の再診料引き下げが最大の焦点となった。しかし診療側が強く反対したため、最終的に外来管理加算に時間要件(5分ルール)を導入することで決着した。
藤原常任理事は15日の中部医連の特別委員会で「中医協で支払い側は、『外来管理加算については十分に議論した』とか、『5分要件を撤廃しろと言うなら、再診料の議論に逆戻りだ』とか言ってくる。しかし特例法案が成立しなければ、診療所だけが痛手を受ける形になる」と述べ、「支払い側の言い分は通らない状況になりつつある」と指摘した。
また、日医が実施した緊急レセプト調査(4~6月分)から、外来管理加算の見直しによる影響額は805億円と推計されると説明。このデータと共に、現在、実施している外来管理加算の算定に関するアンケート調査の結果を中医協に提出するとした。
藤原常任理事は「調査データを基に、外来管理加算について協議するところまでは取り付けている」とした。
■ニーズ高い医療への配分、総医療費増が必要/中医協会長の遠藤氏
中医協会長の遠藤久夫・学習院大教授は11月18日、全国自治体病院開設者協議会などが開いた自治体病院全国大会のフォーラムで講演し、公立病院改革を進める上で医療費の増額が必要との認識を示した。さらに「社会的ニーズの高い医療に対する配分が乏しいという点で(これまでの診療報酬改定による配分は)非効率だった」と述べ、中医協で配分の適正化に努める意向を示した。
遠藤氏は、現在の公立病院は、民間では不採算とされる機能への期待が高い半面、財政悪化に伴う効率化も求められていると指摘。地域に勤務する医師の確保は「病院あるいは自治体だけの努力だけでは難しい」と述べ、国などによる支援の必要性を指摘した。その上で、高齢化や技術の進歩、医療安全に対する要求の高まりを考慮すると、近年の医療費水準は「危険水域にある」とし、「公立病院改革も医療費増額がなければうまくいかない。結局、ニーズはあるが効率が悪いものを切り捨てることになってしまう」と述べ、総医療費の増額が必要との認識を強調した。
また、勤務医確保に向けて「例えばへき地に置いたサテライトに、一定期間、医師を派遣する仕組みを持つ病院を診療報酬で高く評価するなどの方策はあるかもしれない」と述べた。ただ「個人的には、へき地医療を診療報酬で評価すると、患者の自己負担が高くなるため、適切だと思っていない。本来は補助金でやるべきだろう」と付け加えた。「全国一律」が原則の診療報酬に地域差を付けることについては「今後の課題としては出てくる可能性はある」と述べたが、「地方は医師を集めるためにはコストがかかるが、土地などは安いという問題もある」と課題を指摘するにとどめた。
同日は、社会保障国民会議座長を務めた吉川洋・東京大大学院教授も講演した。同会議がまとめた最終報告で示された「在るべき医療・介護の姿」について、「中長期的なポイントは、病院と介護とのすみ分けを整理し、病院を充実させるにはいくらかかるのかという点だ」と述べた。報告書の中で現在は「外来6・入院4」となっている配分を、2025年には半々にする方向性を示したことなどを解説した。
勤務医確保対策としては開業医との連携などを挙げ、「病院の外来部門を縮小し、診療所に移行する必要もある」と指摘。「現在のままだと、多くの病院は外来で収益を上げている。診療報酬改定で価格付けを見直す必要がある。第一歩をできるだけ早く見直すべきだろう」と述べた。
■iPS細胞研究で日米協力/山中教授仲介で協定締結
京都大の山中伸弥教授が開発した万能細胞の人工多能性幹細胞(iPS細胞)などの研究促進に向け、科学技術振興機構(JST)と米国のカリフォルニア再生医療機構(CIRM)が協力協定を結び、11月18日に都内で署名式を行った。両機構は研究者に公的資金を提供する助成機関。今後は共同研究や若手研究者の交流、シンポジウム共催などを企画する。署名式後、CIRMのアラン・トロンソン理事長は「歴史的瞬間だ。研究を一刻も早く患者の治療に結び付けることが大切だ」と話した。【共同】
■高齢者居住施設で政策提言へ/病院団体関係者らが勉強会
療養病床の廃止・削減に伴う患者の受け皿づくりが早急に求められる中で、病院団体関係者と住宅行政担当者らが参加し、新たな高齢者居住施設について考える勉強会が11月20日、スタートした。四病院団体協議会の関係者らのほか、国土交通省、厚生労働省の担当官らが参加。日本精神科病院協会の山崎學副会長は、勉強会で新たな高齢者居住施設の政策提言を目指す考えを示した。勉強会は1年間、議論し、報告書をまとめる予定だ。
勉強会では、都市再生機構などによる既存の集合住宅を、勤労者向け住宅から高齢者向け住宅に転換することを前提に議論した。転換の際、必要となる医療・介護サービスの提供は、住宅提供も含めて「医療・介護サービス提供側」が総合的に対応するより、「住宅提供側」と「医療・介護サービス提供側」が連携を図って対応する方向を目指すべきとの意見でほぼ合意した。
■開業看護師を育てる会が設立/訪問看護師「1人開業」目指す
訪問看護ステーションの開業を支援する「開業看護師を育てる会」(発起人代表=菅原由美・全国訪問ボランティアナースの会キャンナス代表)が11月16日、都内で設立総会シンポジウムを開催した。訪問看護ステーションの人員配置基準の「2.5人以上」を緩和し、訪問看護師1人でも開業できるよう制度改正を促すのが狙い。今後、訪問看護ステーションを拡充するための独立開業支援のほか、潜在看護師に対する技術研修や再教育を行う。
■保険料減免求め、審査請求/後期医療制度で秋田の46人
後期高齢者医療制度の保険料減免を請求した秋田県の男女46人が11月17日、却下処分などを不服として県後期高齢者医療審査会に集団で審査請求した。
請求を呼び掛けた市民団体「秋田県生活と健康を守る会連合会」(鈴木正和会長)によると、請求した46人は、収入が生活保護基準を下回っており、本人の介護保険料や家族の国民健康保険税は市町村から減免されている。
このため、支払い能力がないとして県後期高齢者医療広域連合にも保険料減免を求めたが、条例では前年より収入が極端に減った場合などに限っているとして却下されたり、天引きの期日が過ぎても処分内容が通知されなかったりしたという。
連合会の鈴木会長は「保険料減免をめぐり国民年金の受給者ら低所得者が集団で請求するのはあまり例がないのではないか」としている。【共同】
介護編
■介護保険財政安定化基金、拠出率0.04%に引き下げ/舛添厚労相
舛添要一厚生労働相は11月17日の参院決算委員会で、介護保険財政安定化基金に対する拠出金の率を0.1%から0.04%に引き下げる方針を明らかにした。さらに、十分な基金積立残高がある都道府県は拠出率を0%にするとした。仁比聡平氏(共産)と又市征治氏(社民)の質問に答えた。
介護保険財政安定化基金は介護保険を安定化させるために都道府県に設置したもので、国と都道府県、市町村が3分の1ずつ財源を負担している。
仁比氏は「介護保険は黒字になっている」と述べた上で、「基金が2割程度しか利用されていない」と指摘した。又市氏も「基金が20%しか使われていないのはなぜか」と追及。「厚労省が認める介護保険事業の範囲が狭い。市町村は赤字を出せないので借り入れ申し込みができない」と説明した。これに対し、舛添厚労相は「余剰金が出れば拠出比率を下げるように指導している」と説明した一方、介護報酬改定に向けて介護保険事業の拡大も視野に入れて検討する意向を示した。
また舛添厚労相は、次期介護報酬改定で3.0%引き上げることにより、介護従事者の月給が平均2万円上がるほか、マンパワーを10万人程度増やせるとの見通しを示した。
京都編
■市立病院にがん患者の緩和ケア外来/京都市長表明、12月から開設
京都市の11月定例議会は11月21日、本会議を再開し、一般質問を行った。門川大作市長は12月から市立病院(中京区)にがん患者の「緩和ケア外来」を開設する方針を明らかにした。
緩和ケアは、がん患者の治療で苦痛を軽減し、生活全体を支援する。在宅患者を対象にした「緩和ケア外来」の開設は、府内の病院では国立病院機構京都診療センター(伏見区)に続き2番目となる。
市立病院は、2006年7月に入院患者を対象とした「緩和ケアチーム」を設置したが、在宅患者のニーズも高まっていることから外来にも対応する。
緩和ケア外来は予約制とし、医師や看護師が患者の相談を受けたり、薬の正しい服用方法などを助言する。開設日は調整中という。
市立病院管理課は「病状を問わず、幅広く患者を受け入れていきたい」としている。
■連合、京にもセンター設置/非正規労働者の支援、条件改善へ
パートや派遣社員など非正規雇用の労働条件の改善に向けて、連合京都は11月18日までに、「非正規労働センター」を京都市中京区のラボール京都内に設置する方針を決めた。府内の非正規労働者の実態把握に務め、団体交渉の支援や条件改善のキャンペーンなどを展開していく拠点として、12月14日から活動を始める。
連合本部が07年10月にセンターを設置したことを受け、全国では8月末までに12都道県の各連合で相次いで発足している。
センターでは専従職員2人を配置し、労働相談に応じるとともに、非正規労働者を対象とした「YOU・友労働組合」への加入を勧めていく。インターネットを使って事業所における労働条件の情報提供や団体交渉の支援のほか、時給引き上げのキャンペーンなども手掛けていく。
全国で非正規労働者が増える中、07年10月から1年間、連合京都に寄せられた労働相談は過去最高の218件に達し、うち非正規労働者の相談が約4割を占めたが、YOU・友労組に加盟する労働者は11人にとどまっている。
連合京都の細田一三事務局長は「非正規で不当な待遇を強いられ、安定した労働の確保が難しい人が増えている。労働格差が広がる中、生活向上につながる支援が必要」として、センターを通じて非正規労働者の連携を強めていく構えだ。
調査・データ編
■医師不足の診療科「給与よければ従事」が65%/厚労省調査の速報値
厚生労働省は11月18日の「臨床研修制度のあり方等に関する検討会」(座長=高久史麿・自治医科大学長)に、臨床研修に関するアンケート調査結果の速報値を報告した。
調査は全国医学部長病院長会議と臨床研修協議会が共同で実施。医学部6年生、初期臨床研修医、初期研修修了医、指導医を対象に、11日までに67大学、61臨床研修病院から得られた8945人分の回答を集計した。
医師不足の診療科に従事するのに必要な条件を医学生に聞いたところ、「給与・処遇がよい」が最も多く65.0%、次いで「十分な事前研修が受けられる」48.7%、「訴訟が少ない」43.9%、「自由になる時間が多い」40.8%などが続いた。
医師の計画配置に関しては、医学生の49.3%が「反対」と答え、「一定の時期・期間であれば賛成」25.1%、「インセンティブとの組み合わせなら賛成」13.0%などと続いた。
厚労省は11日以降に得られた回答を含め、次回の同検討会に最終的な集計結果を報告する予定。
■後期高齢者の「退院支援報告書」北海道で181件/舛添厚労相
舛添要一厚生労働相は11月19日の衆院厚生労働委員会で、一般病棟に入院している後期高齢者が91日目から減額となる「後期高齢者特定入院基本料」について、減額を回避するための条件となっている「退院支援状況報告書」の都道府県別の提出状況(速報値)を発表した。長妻昭氏(民主)の質問に答えた。
都道府県別に見ると、北海道が181件で最も多く、東京175件、愛知136件、福岡96件、大阪67件、宮城58件、広島43件と続いた。
診療報酬では後期高齢者医療制度がスタートする以前から、一般病棟に90日を超えて入院している後期高齢者患者は、後期高齢者特定入院基本料(08年3月までは老人特定入院基本料、928点)を算定する仕組みとなっていた。10対1入院基本料(1300点)を算定している病院でも91日目からは928点となり372点のマイナスとなる。一般病棟は救急患者や重症患者のための病棟であり、長期入院が必要な患者は療養病床や老健施設に移ってもらうなど病棟の機能分化が狙いだった。
ただ、これまで減額から除外されていた脳卒中の後遺症と認知症の患者は、2008年度改定で密度の高い医療の必要性が低いと判断され、特定入院基本料の対象に入った。ところが患者が行き場を失うとの指摘が上がったため、退院支援の概要を記載した「退院支援状況報告書」を社会保険事務局に提出すれば機械的に減額しないことになった。
■周産期受け入れ拒否、9割が「NICU満床」/厚労省の調査速報
厚生労働省は11月20日の「周産期医療と救急医療の確保と連携に関する懇談会」で、総合周産期母子医療センターなどを対象に実施した「周産期医療ネットワークに関する実態調査」の結果(速報値)を公表した。センターで母体や新生児の搬送を受け入れられなかった理由(複数回答)として、いずれも9割以上が「NICU(新生児集中治療管理室)満床」と答えた。
08年度、母体搬送を受け入れられなかったセンターは、有効回答した74施設中53施設(71.6%)で、受け入れられなかった理由(複数回答)では「NICU満床」が92.5%に上った。2007年度に新生児搬送を受け入れられなかったセンターは有効回答した70施設中42施設(60.0%)あり、「NICU満床」を理由に挙げたのは95.2%だった。
NICUの病床数が12床以下の施設は7割以上あり、07年度の病床利用率が90%を超えている施設は75.7%に上った。またNICUの当直体制が「医師1人」の施設が84.0%だった。
都道府県を対象にした調査ではNICUが「不足している」と答えたのは約半数の22自治体で、「充足している」は23自治体、「把握していない」は2自治体だった。総合・地域周産期母子医療センターの空床情報の更新頻度は「おおむね1日1回」が20自治体で最も多く、リアルタイムで更新しているのは4自治体だった。
■精神障害者6000人を雇用/厚労省、民間企業の雇用状況調査
厚生労働省は11月20日、障害者の雇用状況を発表した。民間企業(56人以上規模の企業、法定雇用率1.8%)についてみると、雇用されている障害者の数は32万5603人で、前年より7%増加した。障害者の内訳は、身体障害者26万6043人、知的障害者5万3563人、精神障害者5997人だった。
産業別にみると、雇用されている障害者数は「電気・ガス・熱供給・水道業」以外、「医療・福祉」を含むすべての業種で前年よりも増加した。実雇用率をみると、民間企業全体の1.59%に対し、「医療・福祉」では1.94%と大幅に上回った。実雇用率の低い事業者に対しては公共職業安定所長が雇入れ計画作成命令を出すなど、障害者の雇用促進に向けて指導することになっている。
厚労省は毎年6月1日現在の雇用状況を調べ、結果を発表している。
■自立支援法の訪問系サービス、年収は258万円/08年障害福祉経営実態調査
厚生労働省は「2008年障害福祉サービス等経営実態調査」の結果をまとめ、11月20日の自民党社会保障制度調査会障害者福祉委員会に提示した。06年10月施行の障害者自立支援法に基づくサービス体系(新体系)全体の収支差率は5.4%で、自立支援法施行前の施設体系(旧体系)の7.0%を下回った。従事者1人当たりの年収は、新体系の訪問系サービスの常勤ホームヘルパーが258万3000円などだった。厚労省は事業種による給与差が大きいとした上で「介護保険やその他福祉サービスと比べても給与水準は低い。人材確保は緊急の課題」としている。調査結果は、自立支援法施行後3年となる09年4月に予定している報酬改定の基礎資料とする。
調査は07年度の収支状況や従事者数、給与などを調べた。調査対象は1万6728施設・事業所で、5047施設・事業所から有効回答を得た(有効回答率39.2%)。自立支援法の全面施行以降、経営実態調査は今回が初めて。
障害福祉サービスなど全体の収支差率は6.1%だった。新体系は訪問系サービスがマイナス4.0%、障害者支援施設が5.4%などで、児童デイサービスはマイナス32.1%と特に収益が悪かった。一方、旧体系は身体障害者入所施設7.3%、精神障害者入所施設0.9%などだった。
1人当たりの年収をサービス別にみると、新体系は訪問系サービス(ホームヘルパー)258万3000円、障害者支援施設(生活指導員・生活支援員)338万5000円など、旧体系は身体障害者入所施設(生活指導員・生活支援員)348万2000円、同通所施設(同)358万5000円、精神障害者入所施設(同)341万2000円などで、職種や事業種による差が見られた。一方、従事者の常勤率は全体81.5%、新体系68.0%、旧体系89.7%などだった。新体系の訪問系サービス(ホームヘルパー)の常勤率は19.3%で、新体系全体の常勤率を引き下げているとみられる。
■HIV感染者、初の1万人超える/エイズ動向委、7~9月分
厚生労働省のエイズ動向委員会は11月19日、感染症法に基づくHIV感染者・エイズ患者情報の2008年6月30日~9月28日調査分をまとめた。新規HIV感染者の報告件数は294件(男性282件、女性12件)で過去最高。新規エイズ患者報告数は119件(男性104件、女性15件)で過去2位だった。9月28日現在の累計では、HIV感染者は1万247人で、初めて1万人を超えた。
HIV感染者やエイズ患者の報告件数が増加傾向にあることについて、厚労省は「検査件数と報告件数に相関が見られる。検査件数が増えていることが、報告件数の増加につながっている」と分析している。
年齢別に見ると、HIV感染者は30~39歳が116件、20~29歳が83件で、特に20・30代が多い傾向が見られた。一方、エイズ患者は50歳以上の42件が最多で、30代以上が大半を占めた。
保健所などによるHIV抗体の検査件数は3万5932件、相談件数は5万7792件で、前年同時期に比べ抗体検査数・相談件数ともに増加していた。献血によるHIV陽性件数は、08年1月~9月までの献血件数377万9436件(速報値)のうち86件だった。
■49の医療機関が搬送拒否/東京都で07年
2007年に東京都で重症患者を救急搬送した際に所要時間が長かったワースト50件の中に、最多で49の医療機関に搬送を断られたケースがあることが11月14日、総務省消防庁などの調べで分かった。同日の衆院厚生労働委員会で民主党の長妻昭衆院議員の質問に答えた。
調査によると、所要時間が最も長かったのは9時間55分。ワースト50件の中には、49の医療機関に搬送を断られ50回目に照会した病院に受け入れられたケースがあり、搬送まで4時間49分かかったという。
50件のうち12件で患者が搬送後に死亡しており、このうち20以上の医療機関に照会していたのは5件だった。
亡くなった12人のうち9人が70歳以上の高齢者で、総務省消防庁の幹部は「長期療養中の高齢者については医療機関の選定が難しい傾向にある」と説明した。【共同】
■08年度改定で自治体病院の収入0.1%減/全自病が調査
自治体病院を対象にした2008年度診療報酬改定影響率調査で、改定直後の4~6月の診療収入は1病院当たり前年同期比0.1%の減収だったことが、全国自治体病院協議会の調査結果(速報値)で明らかになった。一般病院は0.1%の減収、精神科病院は0.7%の減収で、プラス改定による大きな変化はなかった。
一方、救急体制別の影響度調査では3次救急は0.6%の増収だったものの、2次救急は0.3%の減収になり、08年度改定での救急医療の重点配分による影響はほとんどみられなかった。
調査は980の自治体病院が対象で475病院が回答(回答率48.5%)。うち診療体制の変化による収入への影響が大きい病院を除外した353病院を対象に、08年4~6月分の診療報酬収入を前年同期と比較した。病院種類別、救急体制別の影響度調査を行ったのは今回が初めて。
1病院当たりの総収入を病床規模別にみると一般病院の99床以下は0.8%減、200~299床は0.2%増、400床以上は0.9%増など、いずれも1%未満の増減にとどまった。入院収入は全体で0.4%の増収、外来収入は0.8%の減収だった。
救急体制別では、3次救急が0.6%、救急告示なしが0.1%とそれぞれ増収となった。一方、減収だったのは2次救急(0.3%減)、初期救急(1.9%減)など。初期救急の減収は、地方の小規模病院が多いためとみられる。
病院種類別にみると、療養病床のみの病院(1.1%増)、こども病院(6.8%増)、専門病院(2.3%増)、リハビリ専門病院(1.4%増)が増収だった。特にこども病院の増収は08年度診療報酬改定で新設された「小児入院医療管理料1」の算定が影響しているとみられる。
逆に減収だったのは、その他一般病院(0.2%減)、ケアミックス病院(1.2%減)などだった。
患者1人1日当たりの収入は、入院が2.6%増、外来が4.0%増といずれも増加した。一方、1病院当たりの延べ患者数は入院が2.2%減少し、病床規模別にみてもいずれも減少。外来の延べ患者数は4.5%減で、精神科病院(0.9%増)以外は減少していた。
一般病院について患者1人1日当たりの収入をみると、入院・外来ともに病床規模を問わず増加した。入院は、400床以上と100~199床がともに2.8%増。外来は300~399床(5.5%増)が最も増収幅が大きく、次いで400床以上(5.3%増)、200~299床(4.7%増)などだった。
■「政権交代」が「自民支持」上回る/十四大都市医師会
十四大都市医師会連絡協議会が会員を対象に行ったアンケート調査によると、「野党を支持し政権交代を図る」との回答が約20%で、「自民党を支持」の約9%の倍以上に達した。11月15日に千葉市内で開かれた同協議会の第1分科会で報告された。
同協議会は、政府が続けてきた医療費抑制策に対する意識を探るため、アンケート調査を実施。同協議会に参加する札幌、横浜、名古屋、京都、広島、福岡など主要都市の医師会の会員ら2533人から回答を得た。
医師会の提言する政策を実現する方法について複数回答で聞いたところ、「独自の政策提言を行い、各党に働き掛ける」が65.7%と最多だったが、次に多かったのが「野党を支持し政権交代を図る」の19.5%で、「これまで通り自民党(与党)を支持していく」の8.8%を上回った。
また「医療費削減政策を転換させるためには医師会は何をすべきか」と複数回答で尋ねたところ、「社会活動から国民に訴える」が51.4%と最も多く、「マスコミに訴える」が39.5%と続いた。ただ、ここでも「自民党政治家に提言する」が10.9%にとどまったのに対し、「野党を含めた政治家に訴える」との回答は3倍以上の33.3%だった。
社会保障に回す財源を聞いた質問(複数回答)では、「道路財源などほかの財源から回す」が60.6%と最も多く、「消費税を含む社会保障税の増額」が46.3%と続いた。
■診療所の損益分岐点、5診療科で100%超え/TKCデータで日医が経営分析
日本医師会の中川俊男常任理事は11月19日の定例会見で、TKC全国会の医業経営指標を基に2008年度診療報酬改定後の医業経営動向(4~6月分)を公表した。損益分岐点比率は診療所、病院(ともに法人)がそれぞれ98.9%、94.9%で、前年同期よりともに悪化。診療所は内科など5診療科で、病院は総合病院で100%を超えた。中川常任理事は「診療所の医療費を振り向ける方法はすでに限界。十分な財源の確保が必要だ」と述べた。
保険診療分収益の前年同期比は診療所(個人)が1.2%減、診療所(法人)が3.3%減、病院(法人)が0.1%の微増だった。また、経常利益率はそれぞれ28.9%、1.6%、3.9%となり、前年同期より低下した。
保険診療収益を診療科別に見ると、診療所(法人)では内科、小児科など8診療科で減収となり、とりわけ内科は4.2%減となるなど、08年度診療報酬改定が大きく影響する結果となった。一方、病院では精神科で1.3%増加したものの、総合病院や外科系では改定後も増収には至らなかった。
診療科別の経常利益率では、診療所(法人)のうち、内科、小児科、精神科、泌尿器科でマイナス(赤字)。病院はすべての区分で前年同期より減少しており、総合病院では2.6%からマイナス0.3%へ赤字転落した。
損益分岐点比率は診療所(法人)のすべての診療科、病院のすべての区分で危険水域とされる90%を超えた。特に診療所では内科、外科、小児科、精神科、泌尿器科の5診療科で、病院では総合病院が100%を超え、医業収益が赤字となった。
環境編
■落雷で福井の美浜原発が自動停止/もんじゅで誤警報
福井県は11月20日、同県美浜町の送電線に落雷があり、運転中の関西電力美浜原発1、2号機の原子炉が自動停止したと発表した。火災や放射能漏れなど外部への影響はないという。
また、日本原子力研究開発機構は同日、美浜原発から送電を受けている同県敦賀市の高速増殖炉原型炉もんじゅで2次冷却材のナトリウムの漏えいを示す警報が誤作動を起こしたことを明らかにした。
県原子力安全対策課によると、同日午前5時ごろ、美浜原発と嶺南変電所を結ぶ送電線に落雷。約1分間送電できない状態になり、直後に同原発1、2号機の保護システムが作動して原子炉が停止した。調整運転中の3号機は出力を低下して運転を続けている。関電が原発内の機器を点検しているが、落雷直後、1号機タービン建屋内の2次冷却水給水ポンプから放射能を含まない蒸気がわずかに漏れ、火災報知機が作動したことを確認した。
一方、原子力機構によると、同日午前5時ごろ、もんじゅの蒸気発生器周辺の漏えい検出器32台中22台の警報が鳴ったが、実際に漏えいはなく、数分後に誤作動と判明した。【共同】
■核燃料加工会社で再びぼや/東海村、放射能漏れなし
11月18日午前11時15分ごろ、茨城県東海村の核燃料加工会社「三菱原子燃料」の放射線管理棟で、作業員が金属フィルターを切断中に出火、消火器ですぐに消し止めた。放射能漏れはなく、環境への影響もないという。
10月3日にも今回の現場から約50メートル離れた同社の工場内で、金属くずが燃えるぼやがあったばかり。
同社によると、円筒形の金属フィルター(直径6センチ、長さ90センチ)は10年前まで、核燃料の原料の粉末を焼いた際に出る排気のろ過に使用。古くなったため、低レベル放射性廃棄物として細かく切断する作業中だった。
東海村消防本部は「フィルターに油が付着して引火した可能性がある」としているが、同社は「フィルターは硝酸で洗浄しているので、油は付いていないはずだ」と否定。原因は調査中という。【共同】
■国会議員も意見、市民の後押し必要/中京で温暖化防止のシンポ
地球温暖化防止の課題を考えるシンポジウム「市民が進める温暖化防止2008」が11月22日、京都市中京区のコープイン京都で始まった。討論では、主催の気候ネットワーク(同区)などが制定を求めている「気候保護法」について、国会議員も意見を交わし「市民のより強い後押しが必要」と訴えた。
日本の温室効果ガス削減は京都議定書の目標に遠く、気候ネットワークなどは温暖化防止の仕組みをつくるために、08年8月から「メークザルール」キャンペーンに取り組んでいる。
討論では、気候ネットワークの浅岡美恵代表が「世界は法制定に向け大きく動いている。政治にリーダーシップを発揮してほしい」と求めた。民主党の福山哲郎参院議員は09年の通常国会提出を目指す法案の作成課程を振り返り「経済界からの反発は大きかった。だからこそ市民の理解が必要」と呼び掛けた。
公明党の田端正広衆院議員は「省庁の縦割りといった弊害を乗り越えたい」、日本共産党の井上哲士参院議員も「産業界の自主努力では無理」と法制定に前向きな姿勢を示した。
23日は、前三重県知事の北川正恭・早稲田大教授の講演などがある。
【週刊マスコミ論調】
■医療問題、医療政策
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■新型インフルエンザ、感染症など
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