週刊医療情報インデックス
2008年10月第4週 (2008.10.21~2008.10.27)
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【ウイークリーダイジェスト】
■介護報酬引き上げへ1200億円/追加経済対策で政府・与党調整
自民、公明両党は10月23日夕、米国発の国際的金融危機に対処するための追加的な経済対策を取りまとめ、両党の政調会長が首相官邸で麻生太郎首相に提出した。生活安心確保対策では「介護従事者の処遇改善と人材確保」が盛り込まれた。ほかの業種と比べて賃金が低く、離職率が高い介護職員の待遇改善を目指し、政府・与党は約1200億円を計上する方向で調整する。計上する約1200億円は、介護報酬引き上げに伴って本来なら負担増となる介護保険料の肩代わり分に充当し、被保険者の負担が急に増えないよう激変緩和措置を講じる。
介護報酬は介護事業者に支払われるサービスの対価。原則として3年ごとに改定されており、2000年度の介護保険制度導入以降、03年度にマイナス2.3%、06年度に同2.4%(05年10月改定分を含む)と過去2回連続で引き下げられてきた。
追加経済対策に約1200億円が計上されることで、介護報酬は初めて引き上げられる公算だ。
介護保険財政は、公費と保険料でそれぞれ50%ずつ負担し合う形で賄われている。介護報酬を引き上げれば、保険料に跳ね返るのが原則だが、今回の追加経済対策では、09年度に800億円、10年度に400億円を投入し、保険料負担が急増しないよう配慮する。08年度補正予算で措置する約1200億円は基金として積み立て、09年度から2年間で使う。
■「大胆な改革」で公費負担は14兆円増/国民会議推計、消費税は4%上げ
政府は10月23日の社会保障国民会議サービス保障分科会(座長=大森彌・東京大名誉教授)に2025年に必要とされる医療・介護費用の推計を示した。急性期医療の重点化や在宅医療、介護の強化などの改革を進める3段階の「改革ケース」を想定して試算した結果、現状(07年度)で約41兆円(GDP比7.9%程度)の医療・介護費用は25年に約91兆~94兆円(同11.6~12.0%)となり、改革をしない場合(現状投影ケース)の約85兆円(同10.8~10.9%)を上回った。
25年の医療費は改革ケースで67兆~70兆円、現状投影ケースで66兆~67兆円。介護費用は改革ケースで23兆~24兆円、現状投影ケースで19兆円となった。
医療・介護費用の伸びを現状の財源構造に当てはめた場合、追加的に必要となる公費負担分の財源は3つの改革ケース「穏やかな改革」「大胆な改革」「さらに進んだ改革」のいずれも約14兆円となり、消費税率に換算すると4%程度の引き上げが必要となる。現状投影ケースでは約11兆円の公費負担の追加財源が必要で、消費税率換算で3%程度となる。保険料負担分の追加財源は、改革ケースの場合「政管健保の保険料率を2%程度引き上げに相当する」としている。
改革ケースのうち、急性期医療の職員を倍増させ平均在院日数を10日に短縮する「大胆な改革」の場合、医療費に占める入院の割合は現状の40%から48%に上昇。外来や訪問診療の割合は現状の60%から52%に下がる。医療・介護費の合算で見ても、急性期と亜急性期・回復期等の割合は現状の26%から30%に上がる一方、外来や訪問診療の占める割合は現状の50%から38~39%に下がる計算となる。
ただ、病院は急性期医療への特化を図るため、病院の外来の割合は現状の18%から7%に大きく下がるのに対し、診療所は現状の32%程度が維持される見通しだ。長期療養の占める割合も3%程度で推移することになる。
介護費用に占める各種サービスの割合は「大胆な改革」の場合、小規模多機能型居宅介護が1%から8%に上がる一方、特別養護老人ホームなどの介護施設は44%から34%に下がる。在宅介護は45%から47%に、有料老人ホームやグループホームなどの居住系サービスは10%から11%に、それぞれ上がる。医療・介護費合算では、在宅介護の割合が8%からほぼ2倍の14%となり、介護施設の割合は8%から9%に、居住系サービスは2%から3%に上がる。
■自民「まずは財源確保」、民主「削減は取りやめ」/三保連の質問状に回答
総選挙を控え三保連が送付した公開質問状への回答で、民主党は「社会保障費2200億円の削減を取りやめる」と削減撤廃を明言したのに対し、自民党は社会保障費削減について「安定的な財源を確保していくことが重要」と削減撤廃にまで踏み込んだ回答を避けていたことが10月21日、分かった。三保連を構成する内科系学会社会保険連合、外科系学会社会保険委員会連合、看護系学会等社会保険連合は近く、それぞれのホームページで両党から届いた回答の全文を公開する。
両党への質問は、(1)社会保障費の毎年2200億円の削減を取りやめるか、(2)対GDP比医療費について、OECD加盟25カ国中22位の現状から18位以上にまで拡大することを公約できるか、(3)医療費増の財源はどこに求めるか-の3点。自民党の麻生太郎総裁と民主党の小沢一郎代表にあてて送付した。三保連によると、こうした試みは学会関係では初めて。内保連の齊藤壽一代表はメディファクスの取材に「広く会員に読んでもらい、今後の判断に活用してもらいたい」と述べた。
両党からの回答では、社会保障費2200億円の削減について民主党は「財政削減を目的とした社会保障制度の見直しは、国民の生活を脅かしかねない。社会保障費2200億円の削減を取りやめ、医療・介護・年金などの社会保障費を拡充する」と回答。一方、自民党は「社会保障制度が国民の暮らしを支えるセーフティーネットとしての役割を維持していくためには、給付の合理化・効率化を進めることも必要だが、それにも増して安定的な財源確保が重要」とし、削減撤廃とは明記せず財源確保が先決との認識を示した。
対GDP比医療費のアップを公約できるかどうかについて、自民党は「具体的な公約とすることは難しい」とした上で、「医療費の増大やこれに伴う財政支出の増大は避けられず、安定的な財源を確保していくことが重要」と記した。民主党は「国民皆保険制度を守るためには、国の支出を集中的に増やす必要がある。医師不足解消のため医師養成数の拡充や休職中の医師の復職支援、国保の財政支援に財源を投入する」と答えた。
最後の質問の財源については、自民党が「消費税を含む税体系の抜本的改革を進めていくことが必要」としたのに対し、民主党は増税には触れず、独立行政法人や公益法人を抜本的に見直し補助金を削減するとしたほか、財政投融資特別会計や外国為替資金特別会計の積立金などいわゆる「埋蔵金」の一部を活用すると説明した。
■医師への病歴照会で根拠規定明記/銃所持の監督強化で銃刀法改正案
政府は10月21日、銃刀法改正案を閣議決定し、国会に提出した。同法改正案は、銃砲刀剣類の所持者への監督を強化する目的で、医師に対する病歴照会の根拠となる規定を明記するほか、所持要件の厳格化に向けて高齢者への認知機能検査を新たに導入することなどを盛り込んだ。
現行の銃刀法の下では、銃所持などの許可基準に適合しているか調査する目的で医師に病歴を照会しても、根拠となる規定がなかったため、個人情報保護などを理由に医師が回答を拒否するケースがあった。このため、所持不適格者の発見が困難になり、危害が引き起こされる恐れがあると指摘されていた。改正案では、医師などの関係者に「必要な事項の報告を求めることができる」と明記する。また、すでに所持許可を受けた後も引き続き許可基準に適合しているか調査する必要があると認められるときは「都道府県公安委員会が指定する医師の診断を受けることを命ずることができる」と明記する。
さらに許可要件の厳格化に向けて、高齢者に対する認知機能検査も新たに導入することを盛り込んだ。現行法でも認知症は銃所持などを許可できない欠格者とされているが、許可後の認知機能の低下によるものと思われる事故が発生する場合があることや、許可を受ける際の診断書は専門医から発行されたものが少なく、所持者の認知機能の確認が困難であるとの指摘を踏まえ、改正案では所持許可または更新の場合、75歳以上のケースでは認知機能検査を受けることを義務付ける。
一方、欠格事由の新規追加も盛り込む。自殺をする恐れがあることや、同居の親族が一定の精神障害、薬物中毒などに該当する場合も許可しないことができるようにする。
警察庁によると、現在の診断書は98%が精神科専門医以外の医師が作成している実態がある。現場の医師からも、初診者の精神疾患や麻薬常習の有無などを専門医以外の医師が判断することは困難として、診断書発行は精神科専門医に限定すべきとの声が上がっていた。法案では、精神科専門医について明記されなかったが、同法施行令などを検討する中で取り上げられる可能性がある。
■インドネシア人看護師の月給、最高は21万1300円/政府答弁書
政府は10月17日の閣議で、経済連携協定(EPA)に基づき来日したインドネシア人看護師候補者の月給の最高額は、08年7月時点で21万1300円とする答弁書を決定した。介護福祉士候補者の最高額は19万7550円とした。山井和則氏(民主)の質問に答えた。
インドネシア人看護師・介護福祉士候補者の給与は、受け入れ機関の日本人職員と同等以上であることとされている。答弁書によると、候補者と受け入れ機関の雇用契約に基づく08年7月時点の給与額は看護師候補者の月給平均額が約15万7000円、最低額が11万6000円だった。介護福祉士候補者は平均額が約16万1000円、最低額が12万円で、平均額は介護福祉士候補者が看護師候補者を上回った。
給与の時給制を採用しているのは看護師・介護福祉士候補者の受け入れ機関各4施設で、平均額は看護師約940円、介護福祉士約760円。日給の採用機関は介護福祉士候補者受け入れ機関の1施設で1万400円だった。
現在、来日者に対し半年間の日本語研修などを行っている研修機関の総費用(受け入れ機関の負担額除く)については、56人の候補者を受け入れている「独立行政法人国際交流基金」が約1億3900万円、149人受け入れの「海外技術者研修協会」が約5億2000万円とした。受け入れ機関の負担額は、候補者1人当たり「1日2000円×研修日数」としている。
■介護職員は2.2倍、看護職員も1.5倍に/国民会議の推計
政府は10月23日の社会保障国民会議サービス保障分科会で、2025年の医療・介護費用推計とともに、サービス提供に必要なマンパワーや病床数などの提供体制の試算も示した。改革ケースでは、急性期の職員の重点化を図ることから、07年より医師は1.2倍程度、看護職員を1.5倍程度増やす必要性を指摘。医療と介護の連携を図る観点から、介護職員は2.2倍程度増やし255万人余りが必要となると試算した。
3つの改革ケースのうち、急性期病床の平均在院日数を10日に短縮するなど「大胆な改革」をした場合、医師数は32.1万~33.5万人程度が必要と予測。看護職員は194.7万~202.9万人程度、その他の医療職員も1.5倍の108.1万~113.5万人程度が必要と見込んだ。医療と介護の連携強化に伴い、現状の2倍程度の利用者が見込まれる介護の従事者は訪問介護員などの介護職員を2倍以上に増員するほか、介護支援専門員や相談員なども2.5倍程度の73.6万人が必要とした。
病床数については「大胆な改革」の場合、急性期67万床、亜急性期・回復期等44万床が必要となり、合わせて07年時点の一般病床103万床より8万床の増床が必要となる。医療療養病床は07年の23万床を維持する。
急性期、亜急性期・回復期等、医療療養の25年の全病床数は、改革をしない「現状投影ケース」では、07年の1.4倍に当たる172万床までの増加が見込まれる。これに対し改革ケースでは全病床数が134万~153万床で、3つのいずれの改革ケースでも07年の126万床より増える見通しだ。
■高度医療の積極運用は「実質的な混合診療拡大」/規制改革会議
甘利明規制改革担当相は10月24日の規制改革会議(議長=草刈隆郎・日本郵船会長)に、高度医療評価制度の積極的な運用による「混合診療の拡大」を提案した。甘利規制改革担当相は、08年4月に導入した同制度で保険診療との併用が認められたのは10月時点で1件に過ぎないことを指摘。同制度で適用対象となる医療技術の拡大を図り、臨床レベルで保険診療と併用させ、実質的に混合診療を広げていくべきとの考えを示した。
高度医療評価制度は未承認・適応外使用の医薬品や医療機器の使用を含めた先進医療技術の臨床使用を認め、保険との併用を可能とする仕組みだ。厚労省の高度医療評価会議(座長=猿田享男・慶応大名誉教授)は10月2日、東京医科大病院から申請があった「ロボット支援手術による根治的前立腺全摘除術」を条件付きで適用対象とすることを承認。今後、先進医療専門家会議での承認を経て、保険との併用が認められる見通しとなった。
ただ規制改革会議の松井道夫・医療タスクフォース主査は、混合診療を同制度に依存することなく拡大させていく方針に変化はないことを強調。「現時点で混合診療を認める制度があるので、具体的な対応としてこれを活用する」と述べた。草刈議長も「1件しか適用がないのではしょうがない」と述べ、混合診療の全面解禁を求めた。
■薬のネット販売、厚労相との協議要請/規制改革会議、甘利規制改革担当相に
政府の規制改革会議は10月24日、一般用医薬品のインターネット販売を「第3類医薬品」に限定しようとする厚生労働省の改正薬事法省令案を問題視する立場から、同日の会議に出席した甘利明規制改革担当相に舛添要一厚労相と協議するよう要請した。省令案に対する意見募集は16日に締め切られており、同会議では11月中にも省令が決まることに危機感を強めている。
■雇用保険の国庫負担、撤廃に言及/行政支出点検会議
2009年度予算編成に向けて厚生労働省などの無駄な支出の改善を検討している「行政支出総点検会議」(座長=茂木友三郎・キッコーマン会長)の第2ワーキングチーム(WT)は10月20日、厚労省に対し雇用保険に関する国庫負担撤廃の必要性などを指摘した。
会議終了後に会見した第2WT主査の大塚宗春氏(早稲田大教授)は、国庫負担撤廃について「厚労省側はすぐにイエスとは言わない」と述べ、今後厚労省に雇用保険の積立金規模に関する詳細な説明を求める方針を示した。雇用保険の保険料率引き下げについても、引き続き求めていく。
一方、同会議によると09年度の国立高度専門医療センター特別会計は8億3000万円で、06年度と同額だった。
■「2200億円削減は限界」/自民・政調、総選挙へ街頭演説例
次期衆院選に向けて、社会保障費の自然増2200億円削減問題は「そろそろ限界に来ているのではないか」との考えを盛り込んだ資料を自民党政務調査会が準備していることが10月22日、分かった。「2200億円問題」をめぐっては、09年度予算の概算要求基準に向けた議論の過程で自民・厚生労働部会が撤回を求めていたほか、麻生太郎首相も2010年度予算で2200億円削減を凍結する意向を日本医師連盟幹部に示したとされている。自民党は財政再建路線を堅持しながらも、社会保障費のこれ以上の削減は難しいとの認識を全国の有権者に伝えていく方針だ。
自民党には、次期衆院選に向けて報道機関や職能団体などから、今後の政策に関する質問が多数寄せられている。政調は、各団体から寄せられた質問に対する回答内容を一覧できる形でまとめており、公認候補が街頭演説する際などに参考にしてもらう考えだ。回答例は、サブプライムローンを発端とする金融危機への対応策や景気対策、社会保障まで幅広い分野を網羅。選挙後の政界再編や民主党などとの大連立に対する考え方についても触れている。
社会保障のうち2200億円問題については、ほとんどの回答例で「社会保障制度が国民の暮らしを支えるセーフティーネットとしての役割を維持していくためには、給付の合理化・効率化を進めることも必要」と指摘する一方、「2200億円の削減はそろそろ限界に来ているのではないかと感じており、安定的な財源を確保していくことが重要」としている。中には「社会保障の自然増の削減を行うことは許されない」と2200億円の削減撤廃への強い決意を示す回答例もある。
社会保障の財源問題については、消費税率引き上げへの明言は避け「税体系の抜本改革の議論において、歳出・歳入の在り方について総合的に検討すべき」としている。消費税の「損税問題」については「社会保険診療等は非課税とされているが、消費税を含む税体系の抜本改革を行う際、その在り方についても検討する」とした。
後期高齢者医療制度については「この制度をなくせば問題が解決するものではない」と指摘。高齢者の心情に配慮しつつ5年後の見直しを前倒しして、1年をめどに幅広い議論を進めるとした。療養病床の削減・廃止については「12年度まで時間をかけ、患者を入院させたまま介護保険施設などに転換することにより進めるもので、患者を追い出すものではない」との考え方を示した。
■「ゼロ税率が現実的」損税問題解決へ意欲/自民・丹羽氏
自民党の丹羽雄哉元総務会長(元厚生相)は10月23日、地元の茨城県つくば市内で開かれた日本臨床整形外科学会の講演会であいさつし、消費税の損税問題について「われわれは、医療機関が仕入れの際に支払った消費税が還付される、いわゆるゼロ税率方式が現実的ではないかと考えている」として、問題解決に強い意気込みを示した。
現在、社会保険診療は消費税非課税扱いとなっているため、医療機関が医薬品などを購入する際は消費税を支払うものの、患者からは消費税を徴収することができない。
■被保険者証返還、18歳未満は対象外に/民主、法案提出へ
国保の保険料を滞納したため被保険者証が取り上げられ子どもに受診抑制が起こっている問題で、民主党の厚生労働部門会議は10月23日、18歳未満を被保険者証返還の対象から除く「国民健康保険法の一部を改正する法律案要綱(案)」を公表した。民主党の山井和則衆院議員は「国会審議のめどが立ち次第、次の内閣閣議にかけて国会に法案を提出する」としている。
国保保険料の滞納が続いた場合、市町村国保は被保険者に被保険者証の返還を求め、代わりに被保険者資格証明書を発行する。滞納分の保険料を払い終えるまで、医療費は一時的に全額自己負担となる。このため罪のない子どもまで医療を受けるのが困難となる現状が指摘されている。これまでも民主党は部門会議でこの問題を取り上げ、厚生労働省に対応を求めていたが、早急な改善策が見られないとして議員立法を提出することにした。
法律案要綱案によると、世帯主が保険料滞納で被保険者証を返還した場合でも、18歳未満の子どもに限っては被保険者証を交付できるよう条文を改める。
厚労省も事態を把握するため現在、市町村に被保険者資格証明書の運用状況を聞く調査を行っている。この問題に関しては16日の参院予算委員会で麻生太郎首相が「配慮する要素があるような感じがする」と述べたほか、舛添要一厚生労働相も「具体的に何ができるか検討したい」と前向きな答弁をしている。
■産科補償制度加入をハイリスク加算要件に/厚労省が提案も結論見送り
厚生労働省は10月22日の中医協総会(会長=遠藤久夫・学習院大教授)で、産科医療補償制度の加入率向上に向けて「ハイリスク妊娠管理加算」と「ハイリスク分娩管理加算」の施設基準に同制度への加入を加えることを提案した。これに対し、委員からは民間保険商品を活用した同制度への加入状況を診療報酬の算定要件とする妥当性などに否定的な意見が相次ぎ、結論を見送った。
厚労省によると21日時点で「ハイリスク妊娠管理加算」の算定医療機関のうち約3.5%に当たる61施設、「ハイリスク分娩管理加算」の算定医療機関のうち約2.2%に当たる14施設が、同制度に未加入となっている。厚労省は、制度への加入促進に加え、リスクの高い分娩を扱う機会の多い医療機関では良質なサービスを提供する環境を整える必要性を指摘し、同制度への加入状況を両加算の算定要件に加えることを提案した。
厚労省によると、21日までに同制度に加入した分娩機関は、病院・診療所が2704施設(加入率95.2%)、助産所が367施設(同85.9%)。全体の加入率は94.0%となっている。
■DPCの評価議論が本格化/中医協・基本問題小委
中医協・診療報酬基本問題小委員会は22日、DPC制度の運用見直しに向けた本格的な議論に入った。この日は厚生労働省が、DPCの影響による平均在院日数短縮などに関するデータを示し、DPC制度の評価に関する議論を進めた。委員からは医療の効率化に対して一定の評価があった反面、医療従事者への負担などの検証を求める意見も出た。
厚労省は、平均在院日数の短縮は、DPC対象病院だけでなく一般病床全体でも同じ傾向であると指摘。OECD加盟国などでも短縮傾向にあることを示し「取り立ててわが国だけが短縮傾向なわけではない」との見解を示した。特定機能病院の平均在院日数の最長と最短の差が圧縮されていることも指摘し「ある程度標準化が進んでいる表れ」とした。
再入院率の上昇については、がん治療の影響を指摘。DPC対象病院での治癒率の低下については、「治癒」と「軽快」の合計が80%程度でほぼ横ばいで推移しているとした。このほかDPCにかかわる(特定)共同指導の結果、不適切なコーディングなどによる請求例があったものの「DPCに対する理解不足などが大きい」とし、請求の疑義によって監査に移行した医療機関がなかったと報告した。
厚労省の説明を受けて、対馬忠明委員(健保連専務理事)は「全体的にDPC制度の推進に間違いはなかった」と指摘。一方、竹嶋康弘委員(日本医師会副会長)は「現場の医師や看護師などの労働の問題もある。現場の状況も見ながら議論を進めるべき」と主張した。
議論を踏まえ遠藤久夫委員長(学習院大教授)は「医療の効率化、透明化などには一定の効果が認められるが、より総合的な視点からの検証分析が必要」と総括した。
■医療経済実態調査の速報値、09年10月下旬に公表/08年度改定時と同様
厚生労働省は10月22日の中医協総会に、2010年度診療報酬改定に向けた医療経済実態調査のスケジュール案を示した。これまでと同様、改定年の前年の6月に実施する場合、7月末を回答期限とし、8月から10月にかけて集計・分析を行い、10月下旬の中医協で報告するとした。08年度改定時も、前年6月に調査を実施し10月末の中医協で報告している。
■外来管理加算、家族への問診も診察時間に/厚労省が疑義解釈
厚生労働省は10月15日付で、2008年度診療報酬改定の疑義解釈(その5)を地方厚生局などに事務連絡した。外来管理加算について、小児や認知症患者など本人に問診することが困難な場合は、家族らへの問診や説明の場合でも算定できるとした。家族などに対する問診や説明の時間も診察時間に含める。
外来管理加算は08年度診療報酬改定で、患者に対する丁寧な問診、診断、説明など「おおむね5分を超える直接診療」をした場合に算定できるとしている。
疑義解釈ではこのほか、入院時医学管理加算の施設基準となっている「治癒」の定義として、「退院時に、退院後に外来通院治療の必要がまったくない、またはそれに準ずると判断されたもの」との見解を示した。
■病床転換助成事業、精神病床は含めず/厚労省、療養再編でQ&A
厚生労働省保険局は10月22日、療養病床再編に当たって創設する「病床転換助成事業」のQ&Aをホームページに掲載した。助成事業の対象となる病床に精神病床や結核病床などは含めない。また、病院が都道府県に助成を申請した時点で廃止されている医療療養病床は交付対象にはならない。ただ、休床中の医療療養病床については対象とするとしている。
■医療療養からの転換助成で実施要綱を通知/厚労省、療養再編で
厚生労働省は10月15日付で、療養病床再編成に当たって08年度創設する「病床転換助成事業」の実施要綱と交付金交付要綱を、保険局長名と事務次官名で通知した。病院の医療療養病床と一般病床を対象に、都道府県が実施主体となり介護施設へ転換する改修費用などを助成する。医療機関が助成を都道府県に申請した上で、都道府県は10月31日までに厚生労働相あてに申請書を提出しなければならない。費用は国・都道府県・保険者が10対5対12で負担する。助成事業は2012年度末までの時限措置。
病床転換助成事業の対象となる病床は「医療療養病床」と「一般病床のうち、療養病床と同じ病院・診療所内にあり療養病床と合わせて転換することが合理的な病床」。転換支援策で面積基準の緩和などを適用している病床が、2012年度末までに「8.0平方メートル以上」の基準を満たすための改修を行う場合も対象となる。介護療養型医療施設は、市町村交付金「介護療養型医療施設転換整備事業」で助成するため、この事業には含めない。
転換先の施設は、(1)老人保健施設、(2)ケアハウス、(3)特別養護老人ホーム、(4)グループホーム─などが対象で、「改修」「改築」「創設」を行う場合に助成する。
交付金を申請した都道府県は、療養病床転換に関する目標や、整備事業に要する費用額などを盛り込んだ「病床転換整備計画」を作成し、計画年度の前年度2月末日(08年度分は除く)までに提出しなければならない。同計画の作成に当たっては、建物の老朽度や地域性に応じた効率的な運営などの観点から、各医療機関の転換整備事業に優先順位をつけることとしている。
交付額の算出は、「改修」「改築」「創設・新設」ごとの基準額と対象経費(改修に必要な整備費など)を比較し、少ない方の額を選んだ上で、さらに総事業費から寄付金などの収入額を控除した額と比べて少ない方を選定。
最終的に決定した額に補助率(27分の10)を乗じた額を交付額とする。基準額の補助単価は1床当たり、(1)改修50万円、(2)改築120万円、(3)創設・新設100万円─としている。
■PSWに必要となる技術を明記/養成検討会の中間報告書
厚生労働省の「精神保健福祉士の養成の在り方等に関する検討会」の中間報告書が10月21日まとまった。資格制度創設後10年を経て精神保健福祉士(PSW)に求められる役割が拡大したことを背景に、今後のPSWに必要となる技術を明記。さらにPSW養成に向けた具体的対応策への提言をまとめた。
必要となる技術については、包括的な相談援助を行うための関連援助技術としてのケアマネジメント、コンサルテーション、チームアプローチ、ネットワーキングなどを列記。これらの役割拡大を踏まえ、(1)PSWの役割の理解の深化、(2)他職種・関係機関との連携の重要性の明示、(3)カリキュラムの充実、(4)実習・演習にかかる水準の確保、(5)資格取得後の資質の向上-などに対応していくことを求めた。特に精神科病院などの医療機関での現場実習を必須化すべきとした。今後の検討課題として、2009年度に予定する障害者自立支援法の見直しへの対応と、PSW養成に向けた新カリキュラムの検討を指摘した。
■09年4月に緊急の診療報酬改定を/前健康局長の西山氏、2%引き上げ
厚生労働省の前健康局長、西山正徳氏は10月23日、日本臨床整形外科学会の講演会で、過酷な労働環境などを背景とする医療現場の閉塞感を打破するため、医師と看護師数を世界標準に近づける手だてを考えるべきと指摘した。その上で「まずは09年4月に国庫から2000億円程度を投入し、2%程度の診療報酬引き上げを緊急に行うべき」と強調した。
西山氏は診療報酬の改定頻度についても言及し「薬価改定で得た財源を使うために2年に1回としているだけ」と説明。「レセコン改修などに費用がかかることもあり、あまり変な改定を行うのであれば、例えば3年に1回として、介護報酬改定と併せて実施することがあっても良いのではないか」と述べた。
■年金改ざんで健保の書類も操作/元職員が証言「組織的犯罪」
厚生年金記録の改ざん問題に関連して、社会保険庁職員が政管健保の不正にも関与していたことが10月21日、元職員の証言で分かった。厚生年金を過去にさかのぼって脱退させる記録改ざんと同時に、同庁が所管していた政管健保からも脱退。その際に無保険状態となった中小企業の従業員が医療費を全額請求されて不正が発覚しないよう、政管健保で費用を肩代わりしていた。
同日開かれた民主党の会合で、元職員の尾崎孝雄氏が証言した。尾崎氏は「トップも知っていた。組織的犯罪と言うしかない」としている。
厚生年金を過去にさかのぼって脱退する「遡及脱退」は、事業所の滞納保険料を解消するための手口の一つとされる。政管健保も脱退させられた中小企業の従業員は本来、該当する期間の医療費を全額自己負担しなければならない。しかし同庁は、不正な脱退の発覚を免れるため、医療機関から請求のあったレセプトを通常のレセプトとは別に取り扱い、費用を政管健保の財源で肩代わりしていた。
元職員の証言に対して、社保庁の担当者は「具体的な事例を認知したい」などと述べるにとどまった。
■ワクチン接種の副作用、手厚い救済措置を/インフル発生前接種で知事会要望
厚生労働省と全国知事会との定期協議が10月23日開かれ、新型インフルエンザ対策について意見交換した。全国知事会は、新型インフルエンザ発生前にプレパンデミックワクチンを接種して副作用が発生した場合、医薬品医療機器総合機構による補償ではなく、より手厚い法律に基づいた救済措置で対応するよう要望した。
神田真秋愛知県知事は、プレパンデミックワクチン接種で受けた健康被害の救済について、法的根拠に基づいた救済措置がない現状を説明。都道府県が主体になって接種する際に、法律での救済措置がないと関係者から理解を得にくく実施は困難と主張し、法整備の必要性を訴えた。
■救急搬送先選ぶ基準作成へ/消防庁、容体に応じて判断
総務省消防庁は10月23日、救急隊員らが患者や負傷者を運ぶ際に、重症度や緊急度に応じて搬送先の医療機関を選ぶ基準を作成する方針を固め、同庁の有識者検討会に提案した。今後、基準の内容などについて具体的に議論する。
国は患者らの容体と搬送先について明確な基準を定めておらず、自治体が独自に判断しているケースが多い。基準作成は救命救急センターなど高度医療機関への集中を防ぐとともに、医療機関による救急患者の受け入れ拒否問題の改善にもつなげることが狙い。
消防庁は、例えば患者が胸の痛みを訴えている場合、心電図のデータや呼吸困難の程度などに応じて、適切な医療機関を判断できる基準を想定。症状に応じて治療をスムーズに受けられるようにすることを目指している。【共同】
■「説明不足で賛成できず」/舛添私案に東国原知事
宮崎県の東国原英夫知事は10月21日の定例記者会見で、舛添要一厚生労働相が国保を都道府県単位に再編した上で後期高齢者医療制度と統合する私案を示したことについて「県の事務量がものすごく増えると思う。責任の所在やコスト、人員をどうするのか具体案が示されていない。今の段階では説明不足で賛成できない」と批判した。
東国原知事は現行の後期医療制度についても「議論された末がこの程度のものなのかと失望している。プロセスの説明も十分でなく、政府の得意技である押しつけが鮮明になった」と指摘。「見直しは当然だが、議論の過程を国民に説明してほしい」と要望した。【共同】
■病院賠償、2審も認めず/小児科医の過労自殺訴訟
東京の小児科医中原利郎さん(当時44)のうつ病による自殺をめぐり、遺族4人が勤務先の病院を運営する立正佼成会に対し、計1億2000万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決で、東京高裁は10月22日、請求を退けた1審判決を支持、遺族の控訴を棄却した。
中原さんの自殺は過労が原因として労災認定されているが、鈴木健太裁判長は「うつ病の症状もみられたが、中原さんは業務をそれなりに処理し、無断欠勤もなかった。産業医への相談もなく、精神的な異変を病院側は認識できなかった」と指摘。安全配慮義務違反による賠償責任は生じないと判断した。
遺族側弁護士は「労災が認められたのに、使用者の責任が否定されたのは珍しい」としている。
遺族側は、今回の訴訟のほか労災認定を求める訴訟も提起。東京地裁は07年3月、自殺を労災と認める判決を言い渡し、そのまま確定した。
しかし約2週間後にあった今回の訴訟の東京地裁判決は、自殺原因を過労と認めずに請求を棄却。遺族が控訴していた。
鈴木裁判長は「自殺の4~5カ月前には最大月8回の当直など過重な勤務をし、全国的な小児科医不足の中で医師の減少にも直面。著しい負担があった」として、過労が自殺原因のうつ病を引き起こしたと認めた。
判決によると、中原さんは1987年4月から、東京都中野区の立正佼成会付属佼成病院に勤務。99年1月末に小児科部長代行となり、同年3月から6月の間にうつ病を発症、8月に病院屋上から飛び降り自殺した。【共同】
■7カ所診療断られ妊婦死亡/緊急対応指定の都立病院
体調不良を訴えた東京都内の妊婦(36)が都立墨東病院(墨田区)など7カ所の医療機関に診療を断られた後、最終的に救急搬送された墨東病院で赤ちゃんを出産後、脳内出血の手術を受け、3日後に死亡していたことが10月22日、分かった。赤ちゃんは無事だった。
墨東病院は、緊急対応を必要とする妊婦や新生児を受け入れる都が指定した医療機関。当直に当たる産科医師の1人が退職し、妊婦が搬送された10月4日の土曜日は研修医1人が当直していた。都は、指定医療機関としての態勢に不備がなかったか経緯を詳しく調べる。
都によると、妊婦は吐き気などを訴え、江東区のかかりつけの産婦人科医院を訪れた。医院は緊急な措置が必要と判断し、墨東病院への搬送を手配。しかし墨東病院は産科の当直医が1人しかいなかったため対応できず、いったん断った。
妊婦の診療がほかの6カ所の医療機関にも断られたため、医院が再度依頼し、約1時間後に墨東病院が受け入れを決めた。墨東病院は医師1人を呼び出して対応。妊婦は、帝王切開で赤ちゃんを出産後、脳外科で脳内出血の手術を受けた。
墨東病院の産科医師は、7月からは常勤3人、研修医3人で当直に当たった。平日の当直は2人だったが、週末は1人で、妊婦が搬送された当日の当直は30代の研修医1人だった。
重大なケースになると、別の医師を呼び出していたという。
都は「限られた人材で精いっぱい対応した。痛ましいことで救えなかったのは残念」と話している。墨東病院は、救急患者の診察や緊急手術、救命措置などに当たる「東京ER」を開設。産科は直接は対象外だが、石原慎太郎都知事は「あってはならないことで残念。経緯を調査したい」と話した。
07年8月には、買い物中に腹痛を訴えた奈良県の妊婦の搬送先がなかなか決まらず、10カ所目に打診した大阪府の病院に運び込まれたが、死産となった。【共同】
■患者が保険外費用を寄付/福島県医大、厚生局が調査
福島県立医科大(福島市)の付属病院で大動脈瘤の治療を受けた患者30人が、公的医療保険でカバーされない部分の人工血管の費用計約1000万円を、研究費名目で寄付していたことが10月22日、分かった。
30人の治療は実質的に、公的医療保険が適用される保険診療に加え、患者が全額負担する自由診療を併用する内容。保険診療と自由診療を併用できるのは「先進医療」などだけで認められているが、人工血管による自由診療は対象外で、自由診療を一部でも受けると保険適用分を含め全額患者負担となるため、寄付は全額負担を回避する目的があったとみられる。
東北厚生局が事実関係の調査に乗り出す。
医科大によると、2001年12月から08年3月にかけて、大動脈瘤の破裂を防ぐ治療を受けた患者30人から、保険適用外となっている人工血管(ステントグラフト)の費用を研究費から支払ったことにするため、計約1000万円寄付を受けていた。
医科大の関根宏幸企画財務課長は「強制ではなく患者からの寄付金として受け取っている」とした上で「大学の研究費から保険適用外の医療費を出していると研究費が底をついてしまう。寄付をもらうことで患者は(全額の)支払い義務を負わずに済む」と説明している。【共同】
■医療費分析にも積極的に取り組む/協会けんぽ
政管健保の運営を社会保険庁から引き継ぎ、10月1日に発足した全国健康保険協会の第1回運営委員会が23日に開かれた。田中滋・慶応大大学院教授を委員長に選出したほか、今後の審議予定について、2009年度の事業計画と予算を09年2月末までにまとめる方針を確認した。
小林剛理事長はあいさつで、医療制度改革を着実に進めるためにも今後、同協会には保険者機能を十分発揮することが強く求められるとの考えを強調。一方、同協会が運営する協会けんぽの被保険者証の印字の不具合や事務処理の誤りなど、発足直後の不手際についてあらためて陳謝した。
田中委員長は同協会の事業内容について説明を受けた後、調査分析の取り組みをさらに充実させることを強く求めた。これを受け同協会の貝谷伸理事は、新たな業務システムの導入で収集できるデータ項目を増やすこともできるとし、保険者機能の強化を図る延長線上で医療費分析に力を入れる考えを強調した。またデータ分析は外部の人材にも積極的に協力を求めていく意向を示した。
■オンライン請求の義務化撤廃で共同声明/三師会の会長が合同会見
日本医師会、日本歯科医師会、日本薬剤師会の三師会は10月22日、合同の記者会見を開き、2011年度に予定するレセプトオンライン請求義務化の撤廃を求める共同声明を発表した。唐澤祥人日医会長は「レセプト請求のオンライン化を義務として強引に押しつけては、医療安全や医療の質の向上に向けてITを上手に活用することにならない」と批判。義務化によって一部医療機関が廃院に追い込まれかねない状況にあるとし、地域医療崩壊につながると強い危機感を表明した。
共同声明では、医療へのITの活用は本来、医療の質の向上、医療安全に資するものであるべきと強調。国はこれらの点をかんがみることなく、レセプト請求を例外なくオンラインに限定し、医療機関などに新たな投資と負担を強いようとしていると批判した。さらにレセプトオンライン請求の完全義務化が進めば地域の医療機関を撤退に追い込み、地域医療崩壊に拍車をかけることは明らかと断言。義務化を撤廃し、レセプトオンライン請求は医療機関などの自主性に委ねることを強く求めた。
共同声明は同日中に舛添要一厚生労働相、大村秀章厚生労働副大臣、尾辻秀久自民党参院議員会長に提出した。唐澤会長によると、舛添厚労相は声明について理解したとする一方、今後の対応については議論があるとの認識を示したという。尾辻会長からは声明に対し前向きに取り組む意向が示された。
日医の調査によると、レセプトオンライン請求の完全義務化が進めば、医科では8.6%の医療機関が廃院するしかないと回答している。
■医療費の伸び、厚労省値でも改定率以上に抑制/日医が見解
日本医師会の中川俊男常任理事は10月22日の定例会見で、厚生労働省の「最近の医療費の動向」(メディアス)に対する見解を示した。08年4~5月の医療費の前年同期比が日数補正後で1.44%増となっていることについて、中川常任理事は「厚労省は、医療費は従来と同程度の水準の3%台で伸びていると言っている。08年度診療報酬の改定率はマイナス0.82%だったので、医療費は2.18%以上伸びるはずだが、厚労省の発表値でもプラス1.44%にとどまっている」と指摘した。
日医の緊急レセプト調査では、4~5月の医療費の前年同期比が0.01%減となっており、メディアスの1.44%増と約1.5ポイントの差が生じた。これについて中川常任理事は「日医調査には歯科診療所、保険薬局を含んでいないことが一因」と説明した。
医療機関種類別の前年同期比を見ると、メディアスでは医科病院が0.76%増、医科診療所は0.03%減だった。医科診療所について日医の緊急レセプト調査では1.83%減と厚労省の発表値よりも大きく下回っている。中川常任理事は「日医調査は、外来管理加算などの影響が強かった診療所からの回答が多かったとも考えられる」と述べ、6月以降の動向に注目する考えを示した。
メディアスの1施設当たり医療費の伸びは、大学病院で4.52%増となったが、公的病院や法人病院ではそれぞれ1.27%増、1.77%増と1%台の伸びにとどまり、個人病院や医科診療所ではそれぞれ3.57%減、0.15%減と減少した。中川常任理事は「あまりに大学病院へ医療費が集中している懸念がある」とした。
またメディアスの1人当たり医療費は、入院の70歳未満で1.38%増となる一方、入院の70歳以上で0.23%減、入院外の70歳未満で0.15%減、70歳以上で1.62%減となった。中川常任理事は「06年度の医療制度改革の際、1人当たり医療費の伸びが一般2.1%、高齢者3.2%として医療費の伸びが推計され、その後、医療費が厳しく抑制されてきた。その結果、高齢者の医療費の伸びは現在、マイナスになっている」と指摘した。
■医師信用組合「立ち去り型開業」で苦慮/世代交代でネットへ顧客流出も
医療費抑制政策を背景とした若い勤務医のいわゆる「立ち去り型開業」が増えたことで、医師信用組合が対応に苦慮するケースが出てきている。10月18日に福岡市内で開かれた全国医師信用組合連絡協議会では、なじみのない若い医師から多額の融資の相談を受けた場合の対応方法などが話題に上がった。また、世代交代によってインターネット銀行などに顧客医師が流出しているとの危機意識も示された。
このため同日の協議会は、医師系業域の信用組合として医業間の協調精神、相互扶助の基本理念に基づき、地域の医師との信頼関係をさらに強化していくことが必要との認識で一致した。
福岡県医師信用組合の橋本典文専務理事は全体会議の議題提案説明の中で「社会保障の改革や診療報酬の引き下げなどにより、医療界には非常に厳しい状況が訪れている」との認識を表明。神奈川県医師信用組合の田中忠一理事長は、医師不足の背景について「卒後臨床研修制度の影響もあるだろうが、世の中の経済状況が拍車を掛けている」と述べ、特に救急医療などの領域で公立病院での高次医療機能が崩壊しているとの考えを示した。
その上で田中理事長は「若い医師が過酷な医療現場から逃れるように開業している」と説明。医師信用組合としては融資する医師との信頼関係が不可欠だとの認識を示す一方で、「有能な医師だと分かっていれば、担保が不足しても融資すべきということもあるが、あまり知らない医師から大きな融資の依頼を受けることがあり、貸付審査会で悩む」と述べ、「立ち去り型開業」の増加によって新たな課題が生じている実態を説明した。田中理事長は今後の対策として「調査機能の強化に尽きる」と指摘。「とりわけ診療報酬を適正に請求しているかどうかが一番の基準になる」と述べた。
一方、兵庫県医療信用組合の瀧谷泰博組合長は「他行との競合により貸出金が伸びない」などの課題を挙げた。背景として若い医師が都市銀行や大手地方銀行、インターネット銀行などへ流出している現状を説明。顧客医師の流出は「世代交代とともに不可逆的に進行する可能性がある」との危機感を示した。その上で、本来の役割である顧客医師との長期的な取引関係をベースとした金融取引をより強化、発展させる必要性を指摘した。
■医師国保組合、75歳以上医師の73.3%が残留/国保問題検討委
全国医師国保組合連合会の国保問題検討委員会は、全国の医師国保組合を対象に医療制度改革の影響についてアンケート調査(2008年7月)し、高齢者医療制度と特定健診・保健指導に関する調査結果を10月24日の全体協議会で公表した。医師国保組合に加入する医師組合員8万5839人のうち、75歳以上は1万8763人。うち73.3%に当たる1万3877人の医師が組合に残留した。医師家族や従業員などを含めた残留率は71.4%となった。
後期高齢者医療制度の施行に伴い、医師国保組合に残ることを希望する組合員の措置について聞いた項目では、「希望する75歳以上の医師組合員を全員残した」との回答が38組合で最多。「希望する75歳以上の組合員を全員残した」のは8組合、「75歳以上の医師組合員を全員残した」のは1組合だった。
また75歳以上の保険料については、31組合が1000円~3000円の間に設定した。同日の会合で調査結果を報告した国保問題検討委員会の日野泰彦委員長は「これまで医師国保に貢献し、積立金も残したわけだから、このくらいが妥当という判断なのだろう」と説明。ただ「75歳以上の組合員の保険料を上げなければ持たない」との声が挙がっていることも指摘し、「その通りで今後、厳しくなるのではないか」との見通しを示した。
07年度老人保健拠出金と08年度前期高齢者交付金・納付金、08年度後期高齢者支援金、08年度病床転換支援金との比較については、46都道府県で拠出金の額が減った。
また特定健診・保健指導に関する調査では、特定健診の費用について「5000~7000円」が10組合、「7000~8000円」が12組合、「8000~9000円」が19組合、「9000円以上」が9組合だった。特定保健指導の「動機付け支援」の費用については「1万円以内」「1万~2万円」がいずれも15組合だった一方、17組合が「未定」と回答した。日野委員長は「いかに特定健診・保健指導が難しいかが分かる」と述べた。「積極的支援」の費用については「2万~3万円」が16組合、「2万円以内」「3万~5万円」がともに8組合だった。
■後期高齢者制度の廃止求める/青森「怒ってる会」発足
青森県の70歳以上の医師・歯科医師約50人が中心となり、08年4月にスタートした後期高齢者医療制度の廃止を求める「後期高齢者医療制度に怒ってる会・青森」(寺沢哲郎代表)を10月19日、青森市で結成した。
「怒ってる会」は6月、宇沢弘文・東京大名誉教授らの呼び掛けで中央レベルで発足したが、都道府県単位はこれが初めて。
結成会には県内の高齢者ら200人近くが参加。高齢者らの尊厳を守るため「後期高齢者医療制度の廃止に向けた運動の推進」を宣言した。宇沢名誉教授らが講演したほか、各党の次期衆院選の立候補予定者らが制度の問題点を訴えた。
呼び掛け人の一人で県保険医協会の大竹進副会長は「これを契機に各地で同じような声が巻き起こって大きな流れになれば」と期待した。【共同】
■「予後」は「見通し」に/メタボなど57語言い換え、病院言葉で国語研
「予後」は「病状の見通し」のこと、「メタボ」は肥満ではありません―。病院で使う難解な言葉を分かりやすくし、患者の理解を助けようと、国立国語研究所は10月21日、57語の言い換えを提案した。約4300人を対象にしたアンケートで市民が病名や症状、医療用語で意味を誤解している現状が判明、医師も交えた委員会が検討した。来春に最終報告、医療現場向けの手引書を市販する。
提案によると、予後は、医師が余命の意味で用いることもあり、言い換えが必要とした。生活習慣病につながるメタボリックシンドロームは「内臓の脂肪がたまって、病気を引き起こす状態」とした。肥満と混同し、腹回りの値(男性85センチ以上、女性90センチ以上)で決まるとの誤解が目立ち「血圧、中性脂肪、血糖値の2つ以上が高いという基準がある」との説明も求めた。
患部の一部を切り取り調べる「生検」は、医師が痛みの程度などを患者に話し、心理的負担を軽くする必要性があると指摘。糖尿病治療に使う「インスリン」は「血糖を低下させるホルモン」と提案、インスリン注射は一生続くとの誤解があると注意喚起した。
「腫瘍」はがんと同じとの誤解があり、「細胞が異常に増えてかたまりになったもの」とし不安を解くべきだとした。普及させるべき概念でもカタカナでは分かりにくく「インフォームドコンセント」は患者中心の医療の理念であることから「納得診療」「納得できる医療を患者自身が選択すること」と言い換えた。【共同】
■「ショック」半数近く誤解/理解に溝ある病院用語
国立国語研究所の病院の言葉調査では「ショック」を「急な刺激」の意味にとるなど、市民が誤解していたケースが浮かび上がった。難解な用語を使う医師も依然として多いことも分かった。
調査はインターネットで実施、100語について一般市民約4300人に、(1)言葉自体を知っているか、(2)その意味を知っているか、(3)誤解していたことはないか―を聞いた。
「ショック」は94%の人が知っていたが、そのうち「血圧が下がり、生命の危険がある状態」と正確に理解していたのは43%。47%の人が、普段使うイメージから「急な刺激を受けること」と誤解しているか、過去にそう思っていたと答えた。
「貧血」を「立ちくらみ」、「合併症」を「偶然に起こる症状」と誤解したり、日常で使う意味と混同したりしていることも目立った。
国語研が実施した医療関係者約1600人への別の調査では一般の認知率や理解率が低かった「対症療法」といった言葉をそのまま使い、具体的な説明をしていないとの答えも多く、調査に当たった医師らから「予想以上に遅れている」との声が出た。【共同】
■介護施設「区別しにくい」/国語研が国に苦言
国語研究所は言い換えを提言した57語の中で、介護保険制度の用語については「語形が長く分かりにくいものが多い」と言及し、いつもながらのお役所言葉の紛らわしさに苦言を呈した。
国語研は「介護老人保健施設(略称・老健施設)」を取り上げ、「介護老人福祉施設(特養施設)」や「介護療養型医療施設(老人病院)」と区別しにくく、混同しやすいと厳しく指摘した。
介護老人保健施設は、入院は終わったが、自宅に戻るには支障がある人が、リハビリをしながら介護や医療を一時的に受ける施設のこと。医療・介護現場で使う略語「老健施設」の方が分かりやすいとした。
費用は利用者の自己負担と介護保険による給付で賄われるが、27%の回答者が「マンション賃貸料金並みの費用がかかる」と誤解。このため認知率は約9割と高かったが、意味を理解している人は約6割にとどまった。
介護老人福祉施設は「在宅で介護できない高齢者の施設で介護保険から給付」とし、介護療養型医療施設は「いつも医療が必要な高齢者の施設で、医療保険から給付」と説明すべきだとした。【共同】
介護編
■介護報酬3%引き上げ案が浮上/追加経済対策で、財務省は反発
09年度の介護報酬改定で3%を引き上げる案が浮上している。政府・与党が10月末にまとめる追加経済対策では、介護従事者の処遇改善に向けて介護報酬を引き上げ、それに伴う介護保険料の負担増加分を補てんするため約1200億円を計上する方向。複数の関係者によると、その前提となっている介護報酬の引き上げ率が3%だ。ただ3%引き上げには約600億円の国庫負担が必要なことから財務省は反発しており、調整は難航している模様。引き上げ幅は、常勤換算の全国の介護従事者約80万人に対し、月額2万円程度の賃金増につながるよう検討している。
■第2号被保険者の負担率は30%に/第4期介護保険事業計画で政令改正
政府は10月21日の閣議で、介護保険法施行令と国庫負担金の算定などに関する政令の一部改正を了承した。税制改正に伴う介護保険料の激変緩和措置の終了により、保険料額が上がる人に対し、2009~11年度まで同水準の軽減措置を講じる。また第4期介護保険事業計画(09~11年度)での第2号被保険者(40~64歳)の負担率を30%とする。施行は2009年4月1日。
介護保険料の軽減措置の対象となるのは保険料負担段階が「第4段階」で、前年の公的年金などの収入額と所得の合計額が80万円以下の第1号被保険者。第4期計画期間中、市町村の判断で保険料を引き下げることができる。第2号被保険者の介護保険財政の負担割合は、第3期計画(06~08年度)の31%から、30%に改める。
■介護報酬引き上げ「保険料増が正論」/追加経済対策で舛添厚労相
舛添要一厚生労働相は10月24日の閣議後会見で、与党の追加経済対策で介護報酬引き上げに伴う保険料負担増の軽減措置を盛り込む方向で調整に入ったことについて、「介護保険料を上げることによって介護報酬を上げるのが正論。あまり税金のシェアを大きくすると、保険の意味が無くなる。そこはバランスだ」と述べた。その上で「そういう問題を超えて1つの政治決断を与党がやるなら、それに対してどうするか考えたい」と話し、追加経済対策の結論を待つ姿勢をみせた。
社会保障国民会議サービス保障分科会の医療・介護の費用推計で、2025年に介護職員を2.2倍程度に増やすと試算したことに対しては、「人を増やすために(労働)条件をよくするには、最終的には社会保障費は膨らまざるを得ない。高福祉高負担という方向にならざるを得ないのではないか」と述べた。
■若年性認知症、約4割が「介護保険サービス利用なし」/東京都調査
東京都が10月16日に発表した「若年性認知症生活実態調査」によると、アルツハイマー病やピック病を65歳未満に発症した若年性認知症患者の38.3%が、介護保険制度によるサービス・支援を利用していないことが分かった。障害者自立支援法によるサービス・支援は「利用していない」が91.5%に上り、うち「サービスを知らなかった」との回答は5割を超えた。東京都は「要介護度や認知症の進行度によって介護サービスの利用状況は違う。きめ細かい対応が必要」としている。
調査は2008年2月下旬~3月に、都内在住の若年性認知症患者とその家族に実施。同意を得た50世帯に訪問調査を行い、47世帯から回答を得た。患者は男性が51.1%(24人)、女性が48.9%(23人)。年齢構成は60代(61.7%)が最も多く、50代(31.9%)、70歳以上(4.3%)、40代(2.1%)の順で、平均年齢は61.6歳だった。「認知症ではないか」と周囲が気づいた年齢は「50代」が68.1%を占めた。
介護保険サービスを利用していた患者は28人で、サービス別に見ると「通所介護(デイサービス)」38.3%、「訪問介護」23.4%、「短期入所生活介護(福祉系ショートステイ)」21.3%、「認知症対応型通所介護」8.5%などだった。利用者の要介護度別では、「要介護5」32.1%(9人)が最も多かった。
サービスを利用していないとした18人(38.3%)に理由を聞いたところ、「知らなかった」と回答したのは2人(11.1%)だった。
一方、障害者自立支援法によるサービスは91.5%(43人)が利用しておらず、うち55.8%(24人)が「(サービス内容を)知らなかった」と回答するなど、障害者自立支援法のサービスの認知度が低いことが分かった。
このほか、患者の現在の就業状況を聞いたところ、「働いていない」が87.2%(41人)を占めた。うち75.6%は若年性認知症になる前は就業しており、認知症になったことで退職しているケースが多いことが分かった。東京都は「若年性認知症患者は働き盛りの人が多いので、就労支援を行う必要がある」としている。
京都編
■実態反映せず現場から異論/府の介護・福祉人材確保中間案
介護や福祉を担うヘルパーらの人手不足に対応しようと、京都府は「介護・福祉サービス人材確保プラン」中間案をまとめ、公表した。京都ジョブパークとの一体運用する就労拠点整備などが案の柱だが、府内のヘルパーらでつくる団体から「なぜ離職が多いのか、当事者や労働者の声を聞き、調査をしてほしい」と見直しを求める声が出ている。
府によると、府内の介護・福祉分野従事者数は2006年度で5万5000人で、離職率は17%と高く、事業所は採用難に直面している。非正規雇用の人が居宅系サービスでは8割を占め、雇用環境の悪さも指摘されている。
中間案は、国に介護労働の報酬水準の適正化を求めるほか、府の事業として▽府福祉人材・研修センターと京都ジョブパークの機能統合▽専門性向上のための研修ネットワーク構築▽事業所への経営コンサルタント派遣-を盛り込んだ。
これに対し、府内の障害者への訪問ヘルパーらでつくる「かりん燈」は、「新たに人材確保プラットフォームを構築する余裕などなく、早急にハードルとなっている資格問題の対策をとるべきで、給与水準を向上しないと負の連鎖を断ち切れない」と批判。
現在、年に数回しか開かれていない重度訪問介護研修の助成や、介護報酬で府独自に上乗せするよう見直しを求めた。
また、京都の障害者でつくる「主体的に生きる重度障害者の会」も、「プランは入所施設の人材不足のことしか考えていない。経営コンサルタントの導入は、障害者の主体性を理解する柔軟な運用ではなく、契約にない作業を一切しない事態が予想される」と反発している。
府は中間案への意見を11月14日まで募集している。問い合わせは府介護・福祉事業課TEL075(414)4561。
■救急搬送要請3270件減/京都市消防局、07年同期比
京都市消防局に救急搬送を求める119番通報が大幅に減っている。07年の同じ時期より3270件下回り、市消防局は、緊急性の低い搬送要請が減ったことなどが背景にあるとみている。
市消防局によると、救急搬送の119番通報は10月19日現在、5万4584件。07年同期は5万7854件だった。現在のペースで推移すれば、年間の通報件数は、2005年以来続いていた7万件台を下回る見通し。
市消防局は、08年はインフルエンザやノロウィルスによる感染症、交通事故の減少も影響しているとみている。
軽症患者の通報が減少傾向にあることについて、市消防局は「正しい救命知識が浸透し、救急医療現場の過酷な現状を伝える報道で、市民の意識が高まったのでは」と推測する。一方、「判断に迷った時にはためらわず119番を」と呼び掛けている。
■不正受給、5年で6億円/京都市の生活保護費
京都市の生活保護費の不正受給額が2007年度までの5年間で約6億円に上り、うち9割が市に返還されていないことが10月23日、分かった。差し押さえなど強制的に返還させる権限が市になく、受給者の意思に委ねられているためで、市は「特効薬がない」と頭を抱えている。
生活保護の支給に際し、受給者の世帯収入が申告より多かったり、臨時収入があっても申告がなく、基準以上の保護費を受け取る不正受給が後を絶たない。22日も市内の暴力団組員ら2人が不正受給による詐欺容疑で府警に逮捕された。
不正受給分は返還が義務付けられ、市は毎年世帯収入を確認しているが、市保健福祉局によると、03年度から07年度までの5年間で、不正受給額は延べ5億9300万円に達し、この間に返還されたのは1割の約5000万円にとどまっているという。
受給者に返済能力がないことが大きな要因とみられているが、生活保護法で自治体が受給者に給付した財産は差し押さえることができず、今後支給する保護費からの返還分天引き禁止も定められ、制度上返還が求めにくいとの指摘もある。
地方自治法に基づき5年を経過した自治体の債権は消失し、返還請求はできなくなるため、市は不正受給者への督促状の送付や家庭訪問などで返還を求めているが、「返す金がない」「返すつもりはない」など拒否されるケースが大半という。
市地域福祉課は「粘り強く返還を求めるしか方法がない。訴訟を起こすにも大変な労力が必要で、現状では抜本的な解決方法は見当たらない」としている。
調査・データ編
■自宅での療養「困難」が増加/厚労省のリビングウィル調査
厚生労働省が08年度、実施したリビングウィルに関する調査では、「自宅で最期まで療養できると考えるか」の質問に対し、一般国民の66.2%(前回2003年調査と比べ0.7ポイント増)が「実現困難」と答えた。主な理由(複数回答)は、一般国民の間では「介護してくれる家族に負担がかかる」79.5%、「症状が急変したときの対応に不安」54.1%、「経済的に負担が大きい」33.1%などだった。
自分の死期が迫った時に延命治療を「望まない」「どちらかというと望まない」と答えた一般国民は71.0%で前回より3.0ポイント低下し、「分からない」が前回より2.8ポイント上がり、14.7%となった。
■リビングウィル法制化、医師と国民の意識かい離/厚労省調査、27日公表
終末期医療に関して、本人の意思確認ができない場合にあらかじめ記した書面による確認(リビングウィル)の法制化を望む医師が、5年前と比べて増えている一方、一般国民の間では減る傾向となっていることが、厚生労働省が08年実施した調査で分かった。書面による意思確認に賛成する割合は、医師、一般国民ともに増加傾向だが、書面の法制化に関する両者の意識のかい離は拡大する傾向が見られる。厚労省は調査結果を10月27日に開く「終末期医療のあり方に関する懇談会」に報告する。
厚労省は国民5000人、医師約3200人など計1万4000人余りから、終末期医療に関する考えを尋ねた。調査結果によると、リビングウィルに賛成した人のうち「法制化すべき」と答えた医師は54.1%で前回調査時(2003年)より6.4ポイント上昇したのに対し、一般国民は33.6%で前回より3.6ポイント低下した。「法制化しなくても、医師が家族と相談の上で希望を尊重して治療方針を決定すればよい」と答えたのは、医師の44.6%、一般国民の62.4%だった。法制化を望む看護師は前回より0.4ポイント上がり44.0%、介護職員は1.7ポイント下がり36.6%だった。
法制化するかどうかにかかわらず、書面による確認自体に「賛成」と答えたのは、一般国民の61.9%(前回比2.8ポイント増)、医師の79.9%(同4.6ポイント増)、看護師の82.5%(同7.3ポイント増)、介護職員の81.6%(同5.9ポイント増)だった。医師が書面内容を「尊重する」「尊重せざるを得ない」と考えている一般国民は38.8%(同2.7ポイント増)。書面内容を「尊重する」「尊重せざるを得ない」とした医師は83.4%(同8.8ポイント増)だった。
■常勤3人以下が6施設/周産期拠点病院の産科医
厚生労働省は10月24日、産科医療の拠点となる全国の「総合周産期母子医療センター」のうち、常勤の産科医数が3人以下なのは東京都立墨東病院を含め6施設に上るとの調査結果を公表した。妊婦(36)が複数の病院に受け入れを断られ、いったん拒否した墨東病院で死亡した問題を受け、同日開かれた民主党の厚労部門会議で同省が明らかにした。
センターの運営に関する国の指針では「当直時でも複数の産科医の確保が望ましい」としており、会議では「3人で当直を回すのは困難」との指摘が出た。
調査は4月1日時点でセンターに指定されていた73施設(現在は74施設)を対象に実施。
厚労省は各センターでどのように当直態勢を組んでいるのか、近く実態を調査する方針。
総合周産期母子医療センターは胎児集中治療管理室などを備え、ハイリスクの妊婦を受け入れる。地域での産科医療の拠点的役割が求められ、24時間態勢で運営されている。
墨東病院が妊婦の受け入れを拒否したのは土曜日で、当時、研修医が1人で当直勤務をしていた。【共同】
■ネット検索、機能せず73%/妊婦と赤ちゃんの搬送先
緊急処置の必要な妊婦や赤ちゃんの搬送先をインターネットで検索する全国のシステムのうち、73%について現場の医師が「十分機能していない」と感じていることが10月25日までに、各地の総合周産期母子医療センターなどでつくる「全国周産期医療連絡協議会」の実態調査で分かった。
東京都内の妊婦が8カ所の病院に受け入れを断られ、脳内出血で死亡した問題でもこのシステムが最新情報を反映せず、役立たなかった。
システムは都道府県単位で整備、運用。調査は07年9月、協議会に参加する周産期医療施設にメールで依頼し、各都道府県ごとに1施設以上から回答を得て、それぞれの地元の現状を分析した。
調査結果によると、空きベッド情報を検索するインターネットシステムがあるのは37自治体。うち27(73%)に関する評価は「十分機能していない」だった。
理由は「情報更新がうまくいかない」(11)が最多。「電話の方が確実」(8)、「ほとんど満床なので意味がない」(3)などが続いた。「必要性が感じられない」(2)もあった。「こうしたシステムは存在しない」は6。ほかに電話やファクスで対応する地域もあった。【共同】
■「無保険」の子ども1000人超/福岡、親の健保料滞納で
福岡県民主医療機関連合会は10月24日、親など保護者が国民健康保険の保険料を滞納したことで、医療費がいったん全額自己負担になるなど「無保険」状態に置かれている子どもが、同県内で少なくとも1000人を超えるとの調査結果を発表した。
保険料を1年以上滞納すると、保険証の代わりに資格証明書が交付され、医療機関での受診時に窓口で医療費をいったん全額支払わなくてはならない無保険状態になる。
同連合会が9月、県内66市町村に実施したアンケートで37市町村が回答。集計の結果、1万4678世帯に資格証明書が交付され、無保険状態にある高校生以下が1064人に達したという。
同連合会は、窓口負担ができずに受診を控えるケースがあるとして「具合の悪い子どもが受診できない状態を避けるため、国は保険料滞納でも子どもには保険証を発行すべきだ」としている。【共同】
■子供の食物アレルギー増加/米保健当局が調査
米疾病対策センター(CDC)は22日、米国では07年、約300万人の子どもが食物アレルギーを発症、10年前に比べ割合が18%増えたとの全国調査結果を発表した。
CDCによると、食物アレルギーに対する親の意識が高まり、よく報告されるようになったのも一因とみられるが、増加の原因を突き止める研究が必要だとしている。
数字は、全米の約1万人の子どもを対象にした調査を基に推計。それによると、07年は18歳未満人口の3.9%に当たる約300万人が何らかの食物アレルギーを発症した。1997年は3.3%に相当する約230万人だった。
原因としては牛乳、卵、ナッツ類、魚類、大豆、小麦で発症全体の9割を占めるという。
5歳未満では4.7%、5歳以上では3.7%が発症し、成長に従って減る傾向にある。食物アレルギーを発症した子どもは、そうでない子どもに比べ、アトピー性皮膚炎やぜんそくの発症が2-4倍多いという。【ワシントン10月22日共同】
■喫煙者率25.7%と最低/08年、男性初の40%割れ
日本たばこ産業(JT)が10月23日発表した2008年の全国たばこ喫煙者率調査によると、たばこを吸う成人の割合は、前年に比べて0.3ポイント減の25.7%と13年連続で過去最低となった。
男性の喫煙者率は0.7ポイント減の39.5%で1965年の調査開始以降、初めて40%を割り込んだ。男性の喫煙人口は1984万人と推計され、2000万人を初めて下回った。女性は0.2ポイント増の12.9%だった。
地域別では、喫煙者率が最も高かったのは、男性が東北地方(44.1%)、女性は北海道(20.3%)だった。年代別では男性が40代(47.8%)、女性が30代(19.3%)が最も高かった。
たばこを吸う人が減少している理由についてJTは「健康に対する意識の高まりや喫煙をめぐる規制の強化などが考えられる」と分析している。
調査は5月に実施し、2万人から回答を得た。【共同】
■年収の3分の1が教育費/低収入ほど家計圧迫
小学生以上の子どもがいる家庭が2008年度に見込む教育費は平均で世帯年収の34.1%に上り、07年度より0.5ポイント増加したことが10月26日、教育ローン利用者を対象にした日本政策金融公庫の調査で分かった。教育費の割合は収入が低い世帯ほど上昇し、家計を圧迫している実態が浮かんだ。
授業料や通学費、塾の月謝など教育費(受験や入学費用を除く)の割合は、「200万円以上、400万円未満」の世帯年収では55.6%を占めた。「400万円以上、600万円未満」は33.8%、「600万円以上、800万円未満」は27.3%だった。
収入に関係なく、どれだけ教育費に充てているかを割合別にみると「2割以上、3割未満」と回答した人が最も多く28.9%、「4割以上」も26.2%あった。
約6割の家庭が「教育費以外の支出を削っている」とし、節約している項目(複数回答)でトップは「旅行・レジャー費」が62.1%で、「外食以外の食費」「衣類」「外食費」「保護者のこづかい」が40%超だった。【共同】
環境編
■もんじゅの運転、再延期も/確認試験遅れを地元に報告
再三の延期を経て09年2月の運転再開を予定する高速増殖炉原型炉もんじゅ(福井県敦賀市)について、日本原子力研究開発機構の伊藤和元・敦賀本部長代理が10月21日、同県庁を訪れ、「施設の安全確認試験を予定の10月中に終えるのは困難」との見通しを伝えた。
伊藤本部長代理は、先月見つかった排気ダクトの腐食穴の原因調査に時間がかかっているのが理由と説明。運転再開時期については「予定通り努力する」としているが、「原因調査が終わらないと今後の作業工程が決まらない」と話し、再延期の可能性も出てきた。
もんじゅは1995年12月のナトリウム漏れ事故以来、長期停止したまま。原子力機構は当初、08年2月の再開を目指し、改造工事を行うなどして準備を進めていたが、その後、ナトリウム漏えい検出器の相次ぐトラブルなどで3回にわたって延期されている。
原子力機構によると、先月、原子炉補助建屋の屋上にある鉄製の排気ダクトで、腐食が原因とみられる縦約1センチ、約横2センチの穴が2カ所見つかった。【共同】
■保安院が「もんじゅ」批判/原子力機構は組織の風土改善を
経済産業省原子力安全・保安院は10月22日、停止中の高速増殖炉原型炉もんじゅ(福井県敦賀市)の運転再開に向けた日本原子力研究開発機構の取り組みについて、「外部からの指摘を真摯に受け止め対応する姿勢が不十分。素直に学ぶ謙虚な姿勢がない」と批判する見解を明らかにした。
保安院は安全上の問題も指摘。「組織の風土」の問題点を検討、改善するよう求めており、原子力機構が目標とする09年2月のもんじゅ運転再開は極めて困難になった。
保安院は9月に、もんじゅを特別保安検査。以前さびに気付いたが管理していなかった排気ダクトで腐食による穴が見つかり、保安院は「劣化の兆候があっても積極的に補修せず、保守管理の方法や頻度を明確に定めていない」と指摘。
「劣化やトラブルの情報を内部で共有し取り組む姿勢がない。もんじゅは建設後、長期間経過し、劣化について管理の考え方、体制を見直す必要がある」とずさんな態勢を改善するよう求めた。【共同】
■山口県、上関原発埋め立て許可/中国電力に
山口県は10月22日、中国電力が同県上関町で進める上関原発の用地造成に向けた公有水面埋め立てを許可した。中国電力は今後、陸地部分の開発許可も得て、工期3年を予定する用地造成に取り掛かる。09年春には国に原子炉設置許可申請をする構えだ。
中国電力の山下隆社長は許可を受け「計画は大きな節目を迎えた。地元の理解に感謝したい」と話した。
一方、周辺で漁業を営む同町祝島の反対派住民は反発。20日に埋め立て許可差し止めを求める訴訟を起こした原告団代表の山戸貞夫さんは「県は県民を守る本来の仕事を放棄した。今後あらゆる手段で抗議する」と語った。
中国電力は08年6月、予定地33万平方メートルのうち、海面14万平方メートルの埋め立てを申請。地元の上関町は9月に埋め立てへの同意を県に伝え、県は「地元の選択を尊重する」としていた。【共同】
■大気中に強力な温室効果ガス蓄積/三フッ化窒素、推定の3倍
液晶テレビや半導体の製造で使われ、強力な温室効果がある気体の「三フッ化窒素」が、従来推定されていた量の3倍以上も大気中に蓄積し、近年急増していることを米カリフォルニア大の研究チームが突き止め、10月31日付の米地球物理学会誌に発表する。
三フッ化窒素は二酸化炭素(CO2)の1万7000倍の温室効果があるが、排出量が少ないなどの理由で京都議定書の規制対象から除外された。チームは「排出記録を作って議定書で規制することが必要だ」としている。
チームは米西海岸とオーストラリアで30年にわたって採取された大気のサンプルに含まれる三フッ化窒素の濃度を、最新の分析機器を使って初めて測定。大気中の蓄積量は2006年で1200トン未満とみられていたが、測定値から換算すると実際には4200トンと3倍以上。08年には5400トンまで増加したことが判明した。温室効果ではCO2総排出量の約0.15%に相当する。【ワシントン10月23日共同】
■CO2排出量取引制度を正式決定/政府の温暖化対策本部
政府は10月21日の地球温暖化対策推進本部(本部長・麻生太郎首相)会合で、二酸化炭素(CO2)の排出量取引の試行制度の内容を正式決定した。
企業が任意に参加し、削減目標を自主的に設定できるのが特徴。目標は企業側が政府に申請し、妥当性の審査を受ける。同日中に募集を開始、12月中旬に締め切る。
排出総量のほか、単位生産量当たりの排出量も目標として認めるため、目標を達成しても、生産量が増えれば総量が減らない場合もあり、実際の排出削減につながるかを疑問視する声がある。
制度では、目標以上に削減した企業からの排出枠や、中小企業の削減で生じた排出枠などを購入し、自らの目標達成に利用することが可能。
環境保護団体などは、政府が目標を決め、企業などに参加を義務付ける制度の本格導入を求めているが、政府は導入を明言していない。【共同】
■8割「水俣病認定基準厳しすぎ」/日弁連の調査
日弁連は10月22日、6月に実施した熊本、鹿児島両県の水俣病被害者への聞き取り調査の結果を発表した。82%が現行の認定基準について「厳しすぎる」とし、76%が認定基準の改定を望んでいることが分かった。
日弁連で水俣病問題に取り組む熊本県弁護士会の三角恒弁護士は「今回の結果をもとに専門家の意見を聴くなどし、国、県への提言につなげたい」とした。
調査対象は、熊本県水俣市を中心とした不知火海(八代海)沿岸に在住し、3つの水俣病被害者団体に入っている被害者107人(うち認定患者2人)。
症状については、全員が手足のしびれを、87%が手足の感覚まひや視野狭窄を訴えた。三角弁護士は「現行の認定基準だけでは把握できない患者が多数存在することがうかがえる」と述べ、基準改定の必要性に理解を示した。
また72%が、国や県が主体となって、不知火海沿岸の住民の健康調査を広く行うことを求めた。【共同】
【週刊マスコミ論調】
■医療問題、医療政策
■社会情勢など
■医学、健康
■新型インフルエンザ、感染症など
■高齢者医療、福祉、年金、介護、少子化
■医療事故、医事紛争、副作用
■その他事件など
■保団連・保険医協会関係
■京都周辺の動き(医療関係、ほか)
■主な連載(医療全般)
■環境問題
■環境一般- 【ウイークリーダイジェスト】
- 【週刊マスコミ論調】
- ■医療問題、医療政策
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- ■新型インフルエンザ、感染症など
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