週刊医療情報インデックス
2008年10月第3週 (2008.10.14~2008.10.20)
- 【ウイークリーダイジェスト】
- 【週刊マスコミ論調】
- ■医療問題、医療政策
- ■社会情勢など
- ■医学、健康
- ■新型インフルエンザ、感染症など
- ■高齢者医療・福祉・年金・介護・少子化
- ■医療事故、医事紛争、副作用
- ■その他事件など
- ■保団連・保険医協会関係
- ■京都周辺の動き(医療関係、ほか)
- ■主な連載(医療全般)
- ■環境問題
【ウイークリーダイジェスト】
■補正予算が成立、厚労省分は3498億円
2008年度補正予算案は10月16日の参院本会議で、自民、公明、民主党などの賛成多数で可決、成立した。補正予算の総額は1兆8081億円。このうち厚生労働省分は3498億円。与党プロジェクトチームで見直しを図った高齢者医療制度の改善策が2528億円で、厚労省分の大半を占めた。新型インフルエンザ対策の強化として、抗インフルエンザウイルス薬「タミフル」「リレンザ」、ワクチンの備蓄などに491億円を確保した。医療体制の確保に向けては、医療クラークを設置する病院への支援などに78億円を計上した。
■「全世代の納得と共感」が必要/後期高齢者医療制度で政府答弁書
政府は10月10日に閣議決定した答弁書で、現状の後期高齢者医療制度では高齢者医療を支える費用負担について、若年世代と高齢者世代の双方に負担が重いとする意見があるとの見方を示した。藤末健三氏(民主)の質問に答えた。また答弁書は、全世代の納得と共感が得られる枠組みについて検討する必要性を指摘した。
一方、山井和則氏(民主)からの「舛添要一厚生労働相が先月30日の会見で県民健康保険構想を明らかにする前に担当部局に相談があったのか」との質問主意書に対する答弁書では、担当部局に事前相談はなく、会見直後に同構想の論点整理を担当部局に指示していたと説明した。また、後期高齢者医療制度の見直しを検討する中で「後期高齢者」という呼称も検討対象になるとの考えを示した。
■新たに430万人天引き「制度いやだが仕方ない」/後期高齢者制度で4回目
75歳以上が加入する後期高齢者医療制度で10月15日、4月の制度開始以降、4回目の年金からの保険料天引きがあり、約300万人が新たに対象に加わった。国民健康保険(国保)に加入する65~74歳の約130万人と合わせ、計約430万人が今回初めて天引きされた。
厚生労働省などによると、市町村の手続きミスなどで、この日誤って天引きされた高齢者は約2万人に上るとみられる。
後期高齢者医療では、これまで会社員の子どもらに扶養されて保険料を納めなくてもよかった約200万人が、初めて保険料を負担。
一方、政府・与党の運用見直しで、天引きの停止や、条件を満たした人に対する口座振替への変更が可能になった。国保では、コンピューターシステムの入れ替えのため、天引きの開始が来年度にずれこんだ自治体もある。
この結果、今回天引きされた人は後期高齢者医療では約669万人、国保では約188万人で、計約857万人となった。【共同】
■入院時医学管理加算の要件「現時点で見直しない」/政府答弁書
政府は10月14日に閣議決定した答弁書で、2008年度診療報酬改定で大幅に再編された「入院時医学管理加算」の施設基準について「現時点で見直すことは考えていない」との見解を明らかにした。小池晃氏(共産)の質問に答えた。
小池氏は新管理加算の届け出状況について、厚生労働省の想定を「相当下回っている」と指摘し、従来算定していた旧管理加算がなくなることによる減収減益や勤務医の過重労働に拍車がかかることに懸念を示した。その上で施設基準について「勤務医の過重労働が続いている急性期病院に対する支援という本来の役割が果たせるよう、次回の診療報酬改定を待たずに見直すべきでは」とただした。見直しまでの間の急性期病院への支援策として、旧管理加算を復活させる必要性も訴えた。
これに対し答弁書では、新管理加算の施設基準は「産科、小児科、精神科などを含む総合的かつ専門的な急性期医療の確保のための体制整備という観点からも、勤務医の負担軽減という観点からも適切なもの」との見解を示した。旧管理加算の復活についても否定した。
同加算は、十分な人員と設備を配置し、総合的で専門的な急性期医療をいつでも提供できる入院機能を持つ医療機関を評価する点数で、1日につき120点、14日を限度に算定できる。産科、小児科、内科、整形外科、脳神経外科の入院医療を提供できることや、勤務医の負担軽減のための計画を策定することなどが要件。全身麻酔件数が年間800件以上あることも必要など、急性期医療に関する実績も求められる。厚労省は同加算の届け出数を150~170病院と想定していたが、メディファクスが実施した届け出状況に関する調査では、7月1日時点で88施設となっている。
■健保組合の負担、前年度比1800億円増/後期高齢者制度の導入で
政府は10月14日の閣議で、後期高齢者医療制度の導入により2008年度の健康保険組合の負担が前年度と比べ1800億円増えるとする答弁書を決定した。山井和則氏(民主)の質問に答えた。
■社会保障と税財政で一体改革プログラム/諮問会議、年内に策定
政府の経済財政諮問会議は10月17日、麻生内閣発足後初の会合を開いた。同日は、社会保障と税財政の一体改革についてまとめた民間議員ペーパーを基に議論を深めた。民間議員ペーパーは、社会保障制度の持続可能性を確保するため「中長期社会保障・税財政一体改革プログラム」を年内に示す必要があると指摘。具体的には、皆年金・皆保険制度の堅持と、社会保障制度を維持するための安定財源の確保に向けた道筋を示すべきとした。
同日の会合は、サブプライムローン問題を契機とする世界的な金融危機への対応策と、社会保障制度と税財政の一体改革をテーマに議論した。
民間議員は「社会保障・税財政一体改革への道筋の明確化に向けて」と題する資料を提出。日本の社会保障制度について「国際的にみても中福祉の給付水準を維持している」と分析。一方、高齢化が進む中で給付と負担のバランスに対し国民が懸念を抱いているとして「その解決は極めて重要な課題」と位置付けた。その上で、税制調査会、社会保障国民会議と連携し「中長期社会保障・税財政一体改革プログラム」を年内に提示する必要があるとした。
今後の主な論点としては(1)目指すべき福祉と負担の在り方・水準~「中福祉・中負担」へのコンセンサス~、(2)社会保障給付の性格に見合う安定財源の在り方、(3)社会保障部門、非社会保障部門の財政運営の進め方(4)社会保障部門の「範囲」-を挙げた。
同日の会合で麻生首相は、社会保障制度について「国民も負担増について理解が進んでいる。ゆくゆくはそういう日が来る。そのための道筋を考えねばならない」と発言し、消費税増税に含みを持たせた。その上で「中福祉・中負担が国民のコンセンサスだと考えている。社会保障については制度、財源ともに長期的にきちんとしたものをつくる」との意気込みも示した。
麻生首相が16日に策定することを表明した「持続可能な社会保障構築と安定財源確保に向けた中期プログラム」と、諮問会議の一体改革プログラムの関係について、与謝野馨経済財政担当相は会議終了後の会見で「同じものではないが、整合的であると考えている」と述べ、何らかの関連が必要との見方を示した。
■「医療行為の特許」で検討会設置へ/知財戦略本部が11月
内閣官房の知的財産戦略本部は、先端的な手術、治療、診断方法などの医療関連技術の特許の在り方を議論する検討会を年内にも立ち上げる。iPS細胞関連技術をはじめとした先端医療技術の国際的な研究開発競争や知的財産取得競争が激化する中、先進的な医療行為の特許保護に向けた課題や方向性を整理する方針だ。
国内では現在、手術、治療、診断方法などについて特許権は付与されていない。特許法で医療行為に特許権を与えないという規定はないものの、一般的な特許対象の規定となっている「産業上利用することができる発明」には該当しないという解釈で運用しているためだ。
厚生労働省などによると、医療行為の特許保護は米国では一般的となっている。ただ、特許権を与えた場合、特許料の支払いによって医療費に影響を与えたり、実際の診療に当たる医師の裁量権に影響を及ぼしたりする可能性も出てくる。新たに設置する検討会では、こうした課題について議論される見通しだ。
知的財産戦略推進事務局によると、検討会は早ければ11月にも立ち上げる予定だが、衆院の解散・総選挙の時期によってはずれ込む可能性もある。医療関係者、研究者、産業界の代表者ら10人程度で構成する予定で、来年春をめどに一定の結論を出す考えだ。
■後期高齢者制度「75歳」「天引き」は問題/麻生首相
麻生太郎首相は10月15日の参院予算委員会で、後期高齢者医療制度の問題点として、75歳から異なる制度に強制加入することにしたことと、保険料の天引きの2点を挙げ、舛添要一厚生労働相がこの2点の見直しに向けて検討を進めていることに理解を示した。民主党の福山哲郎氏の質問に対して答えた。
麻生首相は後期高齢者医療制度の加入者を75歳で区切ることに関して「65歳で切られるのは定年があるからそこそこ理解はできる。ただ、なぜ75歳なのか」と述べ、現行制度の年齢区分が納得できないとの反発に理解を示した。
また企業の労働組合費の天引きを例に挙げ、利便性の観点から「(保険料の)天引きは手段としては悪くなかったのではないか」としながらも、「(国民の)理解は得られなかった」と指摘した。
舛添厚労相は「10月15日の天引きで、5%の人は自ら手を挙げてやめている。銀行からの口座振替ができるようにした」と述べ、保険料天引きに対する不満に関しては改善されつつあるとの認識を示した。
■「医師数増プラスいろんなこと必要」/医師不足対策で麻生首相
麻生太郎首相は15日の参院予算委員会で、産科や小児科をはじめとした医師不足問題に関して「単に医師を増やしたからといって、その人が地方に行く保証はない」とした上で、「単に増やしたプラス、いろんなことが必要だという気がする」と述べ、医師不足対策には単純に医師数を増やすこと以外のさまざまな対応が必要との認識を示した。社民党の福島みずほ党首の質問に対して答えた。
麻生首相は「学部の縦割りを改革した結果、地方に医師が来なくなった」と述べ、地方の医師不足問題について言及。特に産科や小児科に関しては、救急患者への対応が多いことや、訴訟リスクが高いことも医師数が減少している原因との考えを示した。
■大臣私案、自治体からヒアリングへ/舛添厚労相が意向、直属検討会で
舛添要一厚生労働相は10月17日の閣議後の会見で、後期高齢者医療制度の見直しに当たって「知事や市町村長をお呼びして直接ご意見をいただきたいと思っている」と述べ、地方自治体から意見を聞く意向を明らかにした。舛添厚労相の直属の検討会として設置した「高齢者医療制度に関する検討会」の次回の会合で、都道府県知事らから意見を聞く。
後期高齢者医療制度の見直しに向けた大臣私案は、市町村国保と後期高齢者医療制度を統合し運営主体は都道府県とすることを想定しているため、複数の都道府県知事から議論の場に参加させてほしいとの声が上がっている。
■医師確保「税金を使ってでもきちんとやる」/参院予算委で舛添厚労相
舛添要一厚生労働相は10月15日の参院予算委員会で医師不足問題について「税金を使ってでもきちんとやるべきだと思っている」と述べ、医療体制の確保策を盛り込んだ2008年度補正予算案の一刻も早い成立を求めた。羽田雄一郎参院議員(民主)の質問に答えた。
羽田氏は国立病院機構長野病院(上田市)の産科医不足問題などを取り上げ、舛添厚労相に医師不足問題への対応を聞いた。
舛添厚労相は補正予算案の中で医療体制の確保に78億円を計上し、医療クラークの助成や短時間勤務制度を導入する病院に対する支援策などに取り組むとした。その上で「長野病院のみならず全国各地で同じ悩みを持つ医療機関に支援していきたい」と述べ、補正予算案の成立に理解を求めた。
■子宮頚がんワクチン「優先して承認」/参院予算委で舛添厚労相
子宮頚がんの予防ワクチンの承認状況について、舛添要一厚生労働相は10月15日の参院予算委員会で「1社が年内をめどに治験が完了すると聞いており、きちんとしたデータが出たらほかの医薬品に優先して承認する」と述べた。松あきら参院議員(公明)の質問に答えた。ワクチンはグラクソ・スミスクライン(GSK)と万有製薬の2社がそれぞれ07年承認申請を行っている。
■社会保障費、増税への議論が必要/内閣府・大島参事官
内閣府の大島一博参事官(社会システム担当)は10月10日、福島市内で開かれた東北地区介護老人保健施設大会で講演し、社会保障費の在り方について「社会保障の費用不足に対応するためには、増税にどう取り組むかが課題になる」と述べた。その上で「社会保障が削減ありきとなり、国民にいかに心地よく増税を受け入れてもらうかが公務員の仕事になってきた」とし、国民負担の見直しの議論が必要との見方を示した。
大島参事官は、社会保障給付費の将来見通しについて、2006年度~25年度で国民所得が1.4倍増加するとした場合、年金は同程度の伸び率に抑えられるものの、医療は1.7倍、介護は2.6倍と国民所得を上回る伸び率になると説明。「税収が減る影響を最も受けるのが社会保障分野。これからは工夫しないと財源を確保できない」と述べた。
また、社会保障費の対GDP比の国際比較については「米国は日本より比率は低いが、高齢化率を加味すると高齢者向けの社会保障はむしろ日本より高い」と指摘した。
このほか、社会保障をめぐる状況を自身が旧厚生省に入省した20年前と比較し「入省当時は社会保障の機能のアイデアを書き込むのが仕事だったが、5~6年のうちにスクラップ・アンド・ビルドになり、01年ごろからは社会保障分野はスクラップ(削減)のみとなった。今は財政面でいかに切り詰めていくかが公務員の仕事」と話した。
■「2200億円」で麻生首相に英断迫る/参院予算委で自民・衛藤氏
参院予算委員会の質疑が10月14日始まり、社会保障費2200億円の抑制について衛藤晟一参院議員(自民)が「国民が安心して暮らすため圧縮を改めるべき」と述べ、麻生太郎首相に英断を求めた。ただ麻生首相はこれまで同様、「財源の話などがあるので、そういったものを勘案して予算編成過程で検討していきたい」と述べるにとどめた。
介護職員の処遇問題に関して衛藤氏は「介護職員は賃金が低く、生計を立てられないと悲痛な叫びが寄せられている」とし、介護報酬改定での対応をただした。
舛添要一厚生労働相は「実態調査の結果を踏まえ処遇改善を介護報酬改定で行いたいと思う」と応じた。ただ問題点として、介護報酬の引き上げは介護保険料の引き上げにもつながるとして、どうバランスを取るかが課題だとした。
■包括払い制度の導入を推進/民主党、政策INDEX2008公表
民主党は次期衆院総選挙のマニフェストの基になる「民主党政策INDEX2008」を公表した。党が掲げる政策を厚生や文部科学など20項目にまとめた。医療関係では医師不足対策として医師養成数の1.5倍増や、医師派遣制度の創設などを盛り込んだ。また包括払い制度の推進や医療保険の一元化なども掲げている。
民主党政策調査会によると、INDEXは民主党が掲げる政策を全般的に示した「辞書」のような位置付けで、立候補予定者が地元を回る際に活用するという。今後、衆院の解散・総選挙が決まった時点でINDEXから政策を抽出し、具体的な実施期限と財源を示したマニフェストを完成させる。
包括払い制度についてINDEXでは、急性期病院でより一層の導入を推進するとした。同時にクリティカルパスを可能な限り導入。療養病床では食費・居住費を含めた包括払い制度を取り入れる。超急性期・回復期・維持期リハビリテーションは当面は出来高払いとするが、スタッフの充実度などをみて将来的には包括払いにするとした。
医師不足対策では、大学医学部の定員増や学士入学、編入制度の拡大、歯学部定員減などによって医学部の定員を1.5倍にするほか、学士入学生に対する奨学金支給を充実させる。同時にメディカルスクールの創設も検討。医師養成を担う大学や協力医療機関に対して十分な財政的支援を行うとしている。
また緊急対策として医師派遣を行う「医療従事者等確保支援センター」(仮称)を創設する。医療従事者が不足している地域の要望を受け、自治体病院などに対して医師の派遣要請や斡旋を行う。同時に同センターでは研修医の適正配置や休職医療者の復職促進なども実施する。また一定の要件下で国立病院勤務医など医師公務員の兼業を解禁するとしている。
過重労働を強いられる勤務医の就業環境の改善としては、医師の交代勤務制の導入を促進し不払い残業を是正。当直を夜間勤務に改める。大学病院などで無給で働く医局員を常勤雇用にして医療現場での労働基準法の順守を徹底する。また院内保育所の整備や育児支援を充実し、医療従事者が子育てをしながら勤務できるようにする。
後期高齢者医療制度は廃止し、いったん老人保健制度に戻す。被用者保険と国保を順次統合し、将来的には医療保険の一元化を実現させる。70歳以上の医療費の自己負担割合を1割とし現役並み所得者は2割とする。また短期的施策として国保保険料の自治体格差を是正するために国保の財政基盤の強化などを行う。
このほか、医療メディエーターを活用した死因究明制度の創設やコメディカルスタッフの職能拡大、後発医薬品の普及を挙げた。介護関係では、介護療養病床再編計画の廃止、介護労働者の賃金を月2万円引き上げることなどを掲げている。
■大臣私案、民主から批判相次ぐ/舛添厚労相は意に介さず
舛添要一厚生労働相が10月7日の「高齢者医療制度に関する検討会」で示した「舛添私案」に対し民主党から批判の声が強まっている。大臣私案を紹介するイラストで現制度が「うば捨て山」と表現されていることに対し、10日の民主党厚生労働部門会議では出席議員から「大臣は現制度の欠陥を認めており、まず廃止するのが先ではないか」などの指摘が相次いだ。一方、舛添厚労相は10日の閣議後の会見で「廃止する、しないというのは不毛な議論」と民主党の揺さぶりを意に介さず、「国民の満足のために、柔軟にいろんな議論を出し合って解決する」と従来通りの発言を繰り返した。
舛添厚労相の私案は、市町村国保の運営主体を都道府県単位とした上で後期高齢者医療制度と一体化させることが柱で、75歳という年齢のみで区切らずに一本化するとともに国保財政の安定化を図るのが狙い。
10日の厚労部門会議で、厚労省保険局高齢者医療課の吉岡てつを課長は、国保が都道府県単位になり財政が安定化する利点があると説明。地域医療で都道府県が主体的な役割を果たす制度になるとした。
舛添厚労相が考案したというイラストでは、現行制度を「県単位75歳専用バス」と例え、バスに乗る後期高齢者が「行き先はうば捨て山かな…」「早く死ねと言うのか」などと嘆く姿が描かれている。一方、大臣私案を「県単位の大型バス」と命名。乗客は老若男女で「家族も一緒でよかったね」などと語り合っている様子を表現している。
このイラストについて山井和則衆院議員は「大臣私案が制度として動くには、早くて3年かかり、その間もうば捨て山バスを走らせるのか」と批判し、野党が提出した廃止法案の早期成立を求めた。蓮舫参院議員も「総理がころころ変わり制度に対する方針も急に変わる。国民が納得できる政治ができていない」と述べ、政権交代が必要と訴えた。
一方、舛添厚労相は10日の閣議後の会見で、「廃止するとかしないとか、根幹を変えたとか変えないとかは不毛な議論」と一蹴。大臣私案については財政調整の方法が今後の議論で課題になると指摘した。
舛添厚労相は財政調整のポイントとして(1)公的負担の在り方、(2)保険者間での財政調整─の2点を挙げ、「消費税の目的税化も含めていろんな議論がある。今は医療給付費の負担割合について1:4:5(=高齢者の保険料:現役世代の保険料:公費)という調整をしている。そういう比率について議論して変えることも十分にある」と説明した。
■保険料安くなるのは「後期高齢者の61%」/厚労省推計
民主党厚生労働部門会議は10月15日開かれ、後期高齢者医療制度が導入されたことで75%の後期高齢者は保険料が安くなるとの麻生太郎首相の7日の国会答弁に対し、民主党議員から「後期高齢者全体の話ではなく一部の推計を述べたものだ」と批判が相次いだ。部門会議に出席した厚生労働省保険局高齢者医療課の吉岡てつを課長は「首相は国保から同制度に移った世帯で負担が減っている割合を示したものだ」と説明。「後期高齢者全体では61%の人が保険料が安くなる」との粗い推計を明らかにした。
麻生首相は7日の衆院予算委員会で同制度の保険料負担に関して「今の案で70~75%の方々は今までの掛け金より安くなる」と述べた。15日の部門会議で長妻昭衆院議員は「計算の前提条件を示さないでみんな7割だと首相は言っている」と述べ、国民に間違った理解を与えていると指摘した。
吉岡課長によると、国保の代表的な8割の世帯で計算すると、同制度への移行によって75%の世帯で負担が減る。ただ計算には、国保の残る2割の世帯と被用者保険の被保険者35万人、被扶養者200万人は含まれていない。
吉岡課長は、制度導入によって仮に国保加入者の75%が負担減になり、被用者保険の被保険者と被扶養者の全員の保険料が高くなると想定した場合、後期高齢者全体で見ると61%の人が保険料が安くなるとした。
■サービス利用計画作成費、対象拡大を提案/障害者の相談支援で厚労省
厚生労働省は10月17日の「今後の精神保健医療福祉のあり方等に関する検討会」(座長=樋口輝彦・国立精神・神経センター総長)で、障害者自立支援法に基づく「サービス利用計画作成費」の対象拡大を提案した。サービス利用計画作成費の支給は、ケアマネジメントを通じて障害者にきめ細かい支援を行うことが目的。ただ、利用者は08年4月分で2000人足らずで、当初のもくろみが外れた形になっていた。厚労省は支給対象者の拡大と併せてサービス利用の手続きも見直し、精神障害者の地域生活支援に向けた適切なケアマネジメントの普及を目指す。
障害者自立支援法により、一定の要件を満たす障害者にはサービス利用計画作成費が支給されることになっている。ただ対象者は(1)精神科病院・障害者支援施設からの退院・退所などに伴い、一定期間、集中的に支援を行うことが必要、(2)単身世帯など自ら指定障害福祉サービス事業者らとの連絡調整を行うことが困難、(3)重度障害者等包括支援にかかる支給決定を受けることができる-などのケースに限定されている。またサービス利用手続きで、サービス利用計画作成が市町村による支給決定後とされていることも、利用実績が伸び悩む要因との指摘があった。
サービス利用計画作成費の支給決定者は2008年4月1日現在で2269人、利用者数は同年4月分で1920人にとどまる。支給決定者数を都道府県別にみると、多いのは大阪412件、愛知150件、京都143件など。一方、少ない方は宮崎と鹿児島が0件、徳島2件、青森8件などで、利用状況にばらつきが大きいことも問題視されている。こうした現状を踏まえ、厚労省は支給対象者を拡大するとともに、サービス利用手続きを見直すことにした。
■後期高齢者など保険料、1万8000人から2重徴収/10月天引き分
厚生労働省は10月10日、後期高齢者医療制度などの保険料の年金天引き中止を依頼していないなどの理由により、10月の天引きを中止できなかった人が約1万8000人に上ると発表した。
天引き中止については、被保険者から申し出を受けた市町村が都道府県国保連合会を通じて、社会保険庁に提出する手続きとなる。香川県三豊市、静岡県磐田市、埼玉県滑川町の3自治体は、国保連合会に中止を依頼していなかったため、後期高齢者医療と国保、介護保険料について6867人が天引きと窓口での2重支払いとなる。埼玉県川口市は県国保連合会には提出していたが、連合会が手続きを進めていなかったため1万39人から2重徴収となる。
このほか、市町村のデータ入力ミスなどにより2重徴収となるのは約450人、「ねんきん特別便」などで年金額の変更処理を行っているため、徴収方法の変更処理ができなかった人が約860人いた。
厚労省は、該当する市町村に対し、住民への謝罪や還付期限などについて丁寧に説明するよう求めるとともに、期限までに還付手続きを進めるように依頼している。
■後期高齢者制度、162市町で誤って天引き/2万4000人の高齢者から
後期高齢者医療制度や国民健康保険に加入する高齢者の年金からの保険料天引きで10月15日、本来対象外の高齢者から誤って天引きするなどした自治体が28道府県162市町あったことが共同通信のまとめで分かった。10日に厚生労働省が公表した30市町から130以上増えた。自治体や社会保険庁の事務処理のミスなどが原因。誤徴収された人は約2万4000人に上った。共同通信が、15日夕に各都道府県の後期高齢者医療広域連合や国民健康保険団体連合会などに聞いて、まとめた。
約1万人から誤って天引きした埼玉県川口市で、苦情や返還時期などに関する問い合わせが相次ぐなど、一部で対応に追われた。国民健康保険に加入する65~74歳の年金天引きに気付かず、「天引きは(後期高齢者医療の)75歳以上じゃないのか」などと訴える高齢者もいた。
誤徴収されたのは、政府・与党が6月に決めた低所得者への軽減措置で10月から天引きが中止されるはずの人や、一定の要件を満たし天引きに代えて口座振替に変更したのに、自治体側が手続きを忘れたり、社保庁のシステムの制約で変更できなかった人ら。
誤徴収した自治体の多くは、後日、本人の銀行口座に保険料を振り込むなどして返還するが、香川県の多度津町、小豆島町では15日中に全員に返還した。
自治体担当者からは「新しい制度が定着するには時間がかかる。途中での変更はやめてほしい」とのぼやきも漏れた。【共同】
■PSW養成で現場実習を必須化/精神保健福祉士法の改正を視野に
精神保健福祉士(PSW)の養成課程で、精神科病院など医療機関での現場実習が必須化される見通しとなった。厚生労働省の「精神保健福祉士の養成の在り方等に関する検討会」(座長=京極高宣・国立社会保障・人口問題研究所長)が取りまとめる中間報告書の中に明記し提言する。厚労省は中間報告書を社会保障審議会障害者部会に報告し、同審議会の議論を経て精神保健福祉士法を改正する見通しだ。2009年に見直しを予定する障害者自立支援法と合わせて法改正することを見込んでいる。
同検討会は14日の会合で、中間報告書案について最終的な議論を終えた。内容についてはほぼ了承が得られたが、修正を求める意見も出たため「座長預かり」となった。厚労省は同日の議論も踏まえ,座長との修正作業を経て中間報告書を取りまとめる。
中間報告書は、資格制度創設から10年が経過したPSWに求められる役割と技術を示した上で今後の対応策を提言する内容。PSWの役割については,医療機関でチーム医療の一員として精神障害者の地域移行を支援することに加え、今後は精神障害者の地域生活への支援が重要性を増すと指摘。さらにPSWの職域は行政、司法、教育、労働の各分野にまで広がったとの見方も示した。
また、PSWに求められる支援も多様化し、これまでの統合失調症への対応のみならず、多様な精神疾患やそこから派生する生活困難に対して適切な対応が求められていると強調。具体的には、さまざまなストレスに関連する障害、うつ病などの気分障害、認知症、発達障害などを例示した。
■医療安全調査委法案は提出見送り/今臨時国会で厚労省
厚生労働省は現在開会中の臨時国会に、社会保障費の自然増2200億円の圧縮策として政管健保の国庫負担を削減するため健康保険法などの特例措置を定める「平成20年度における政府等が管掌する健康保険の事業に係る国庫補助額の特例及び健康保険組合等による支援の特例措置等に関する法律案」など合計8件の法案を提出する予定だ。診療関連死の死因究明を行う第三者機関を創設する「医療安全調査委員会設置法案(仮称)」は提出を見送った。厚労省が10月15日の参院自民党・政策審議会で明らかにした。
今臨時国会提出(予定)の法律案は合計33件(新規14件、継続19件)で、うち厚労関係は8件(新規2件、継続6件)。医療関連では「高度専門医療に関する研究等を行う独立行政法人に関する法律案」(継続)なども提出した。
■サリドマイド製剤など32品目承認/厚労省
厚生労働省は10月16日、藤本製薬のサリドマイド製剤「サレドカプセル100」など、新薬32品目(一部変更承認を含む)を正式承認した。年内にも薬価収載される見通し。
サレドカプセルは、厳格な安全管理手順の順守が承認条件。厚労省は安全確保を徹底させるため、承認条件の具体的な内容や、適正使用推進に向けた厚労省の取り組みなどを示した同日付の2課長通知(審査管理課、安全対策課)を各都道府県などに送付した。
■医師不足の原因は臨床研修制度/ヒアリングで大学関係者
厚生労働省と文部科学省の2省合同の「臨床研修制度のあり方等に関する検討会」(座長=高久史麿・自治医科大学長)は10月16日、大学医学部関係者3人を招き、臨床研修制度などについてヒアリングした。
同日の検討会では、札幌医科大の今井浩三学長、金沢大付属病院の富田勝郎院長、長崎大の河野茂医学部長が意見を述べた。今井学長は「地域の病院で医師の引き揚げが拡大したのは、卒後臨床研修制度が大きな要因であることは間違いない」と指摘。「卒後臨床研修のスケジュール私案」として、2年目の後半に設定される選択科目を「地域医療」とし、最低6カ月間、出身大学と同じ都道府県に限定して総合的な医療の研修を行うことを提案した。
富田院長も「卒後臨床研修制度が、地域医療の崩壊や医師不足・偏在など現在の医療の混乱を招いたのは明らかだ」と指摘。「大学病院の医局制度の良さを評価せず、医局崩壊を図った」と述べた。その上で「専門医型の特別コースを全診療科に適応させれば、卒業大学への定着率が高まるのではないか」と主張した。
■臨床研修の期間、1年に短縮を/舛添厚労相、文科省との合同検討会で提案
舛添要一厚生労働相は16日、厚生労働省と文部科学省合同の「臨床研修制度のあり方等に関する検討会」に出席し、「卒前の医学部教育と卒後の臨床研修制度の内容が重複しているという声がある。思い切って(臨床研修制度について)2年を1年に短縮したらどうか」と提案した。
舛添厚労相は「仮に2年から1年にすれば、医師数は8000人くらい増えることになるので、ある意味で即効性はある」とし、メリットとデメリットを整理しながら議論するよう求めた。また、大学医学部の学生や指導医を対象に、卒後臨床研修制度に対する意識調査を早急に実施するよう、厚労、文科両省に指示した。
自由討議では出席委員から、研修期間を短縮する舛添厚労相の提案に沿った考え方のほか、臨床研修を卒前に一部前倒しして実施する考え方などが示された。福井次矢委員(聖路加国際病院長)は「卒後臨床研修のプログラムを変えるなら、卒前の医学部教育を見直すことを担保した上で議論しなければ基盤が崩れてしまう」と指摘し、卒後臨床研修制度の検討は医学部教育の見直しが前提との考えを示した。
また西澤寛俊委員(全日本病院協会長)は、卒後臨床研修制度によって低下したとされる大学医学部の医師派遣機能について「医師派遣の役割を、これまで大学に負わせてきたのは行政の責任だ」と指摘。「行政主導で医師を派遣する仕組みをつくることで、大学の負担が軽減されるのではないか」と述べた。
■公務員給与、医師は増額へ/33道府県で据え置き勧告
地方公務員の月給、期末・勤勉手当(ボーナス)など、給与に関する2008年度の人事委員会勧告が10月17日、すべての都道府県と政令指定都市で出そろった。共同通信の集計では33道府県、10政令市が国家公務員についての人事院勧告と同様、給与据え置きを勧告した。
年収ベースで引き上げの勧告は埼玉など12県と北九州市。一方で東京都、鳥取県と、仙台、静岡、浜松、名古屋、大阪、広島の6政令市が引き下げを勧告した。
また公立病院の医師不足が深刻化する中、東京都と福岡県を除く45道府県と、札幌など12政令市で、民間病院との給与格差是正のため、医師の初任給調整手当の引き上げを求めた。人事院は同手当について年間約127万円の引き上げを勧告している。
地方公務員給与は06年10月、総務省が地域の民間給与を基準として重視するよう通知してから自治体間の勧告のばらつきが顕著になった。埼玉県は、県内の民間平均より月給が約3900円低いとして、平均年収で6万5000円の引き上げを勧告。民間より月給が約1万1500円高い鳥取県は平均年収で約19万5000円の引き下げ。名古屋、大阪、広島の3市も年収で4万円台の引き下げを勧告した。
大阪府では据え置きを勧告、橋下徹知事が8月から実施した今後3年にわたる給与削減を事実上容認した。【共同】
■「医療制度は全国一律で」/舛添私案に橋下大阪府知事
大阪府の橋下徹知事は10月17日、舛添要一厚生労働相が国民健康保険を都道府県単位に再編した上で後期高齢者医療制度と統合する私案を示したことについて「都道府県でやれ、と言われればやるが、医療制度は全国一律にやらなくていいのか。そこは議論してほしい」と述べ、運営方式に疑問を示した。
橋下知事は大阪府庁で記者団に「全国一律でやらないといけないものは、国でやった方が国民のためになるのでは」と述べた。【共同】
■「すっきりした考え方」/大臣私案に千葉市長賛同
後期高齢者医療制度に関する舛添要一厚生労働相の私案について、千葉市の鶴岡啓一市長は10月9日の定例記者会見で「考え方としては一番すっきりしていると思う」と述べ、賛成意見を表明した。
鶴岡市長は「保険を小さな町村単位でやるのは無理がある」とし、「(後期高齢者医療制度を)県単位でやろうとした時に知事会が猛反対した結果、市町村連合をつくってやることになった。舛添さんの案は本来の姿に戻るのでいいと思うが、知事会の出方にかかっているのではないか」と述べた。
私案をめぐっては、兵庫県の井戸敏三知事が8日、「経緯を全く無視したもので誠に遺憾」とコメントしていた。【共同】
■「謝罪から始めるべきだ」/大臣私案に横浜・中田市長
横浜市の中田宏市長は10月9日の定例記者会見で、舛添要一厚生労働相が示した後期高齢者医療制度の私案について「抜本的に変えるのだったら、間違っていましたという謝罪から始めるべきだ」と批判した。
中田市長は「市は今の制度に莫大なシステム費用をかけている。必要だと言っていたのに、総括がないまま一足飛びに具体案を出すのは違和感を感じる」と話した。【共同】
■大臣私案は「地方無視」と松沢知事/後期高齢者制度の見直しで
神奈川県の松沢成文知事は10月15日の定例記者会見で、舛添要一厚生労働相が示した後期高齢者医療制度の見直し私案について「国がマネジメントできないことを地方に投げているだけ。地方無視も甚だしい」と厳しく批判した。
松沢氏は、制度改革の必要はあるとの認識を示し「地方自治体を巻き込んだ改革なので、地方自治体が(制度改革論議に)入れるようにすべきだ」と述べ、地方の代表が見直し案の策定作業に加わるべきだとの考えを明らかにした。【共同】
■生保受給者対象に精神障害者退院促進プログラム/尼崎市
兵庫県尼崎市は生活保護受給者を対象とした精神障害者退院促進プログラムに取り組み、2007年度は同プログラムの支援対象者100人のうち17人が退院につながるなどの成果を挙げた。厚生労働省社会・援護局保護課の入江武信課長補佐が10月15日、市町村職員を対象とするセミナーで報告した。
尼崎市は05年度から、生活保護受給者の長期入院患者を対象に退院促進を支援する事業を実施している。さらに07年度からは、特に精神障害による長期入院患者を対象に精神障害者退院促進プログラムを策定し、退院促進と自立支援に取り組んできた。
同プログラムでは福祉事務所に精神障害者退院促進支援員を配置し、精神疾患で長期入院となっている患者全員について、主治医の訪問やレセプトの内容から病状を把握、退院可能と思われる患者を選定する。精神障害者退院促進支援員は選定した支援対象患者に退院への意欲を喚起するほか、扶養義務者に対して引き取りや、施設入所時、居宅生活時の協力を依頼する。さらに退院後の受け入れ先となる救護施設やグループホームなどを探し、受け入れ依頼などの連絡調整を図ることにしている。
同プログラムが始まった07年度の実績を見ると、精神疾患による長期入院患者数は190人のうち支援対象者数は100人。退院まで至った17人の内訳は介護保険施設4人、自立支援施設2人、生活保護施設3人、老人福祉施設1人、年金自立1人、他市移管1人、居宅復帰2人となっている。
■医師確保へ臨床研修も一貫/山形大医が学費免除コース
山形大医学部(山形市)は10月16日、小児科など県内の地域医療に携わることを希望する医学部生について、4~6年生の学費を免除し、卒業後の臨床研修を含めた一貫プログラムとする新たな専修コースを設置すると発表した。専修コースでは専門科を決め、医学部付属病院を中心に研修することで診療科の偏在解消と県内定着率向上を狙う。2009年度からの設置を目指しており、臨床研修まで組み入れたコースは国内初という。
医学部によると、定員は10人。学部卒業後の県内定着率が低い県外出身者を主な対象とし、医学部4年からコースに所属する。コースは小児科と、産婦人科、救急医学、外科の4科を設け、学部生は地域病院での4週間の実習も必修となる。
学部卒業後は臨床研修のため付属病院に所属し、その後の専門医教育も同病院および県内で受けることが条件。これらの期間は6~8年が目安となる。他県の勤務や別の診療科を希望する場合は、学費免除額に一定の利息を加えた金額を一括して返還する。
現在の臨床研修制度では研修先が都市部の民間病院に集中しがちで、地方の医師不足の要因になっていると指摘される。山形大の嘉山孝正医学部長は「地域と診療科の偏在を解消するには定員を増やすだけでは駄目だ。医師は臨床研修を受けた土地に残ることが多い」としている。【共同】
■大野病院事故遺族に県が回答/再発防止の取り組み示す
福島県立大野病院で2004年、帝王切開で出産した女性(当時29)が死亡した事故で、県病院局は10月16日、女性の父の渡辺好男さんが再発防止に向けて出した要望書に回答した。リスクが高い産婦人科の腰椎麻酔の手術などでは複数の医師が対応するなど事故を受けた取り組みをあらためて示した。
病院局が示したほかの取り組みは(1)難易度の高い手術は、専門性の高い院外の医師と症例を検討するか、受け入れ態勢の整っている病院に紹介する、(2)県立病院間の診療応援を強化し、地域の民間医療機関にも応援を求める―など。回答書はまた「福島県は医師の絶対数が不足し、診療体制の維持が困難な地域も出てきているが、医師会などとの連携を密にして医師確保に努める」ともしている。
渡辺さんは事故をめぐって執刀した科医の無罪判決が出た8月20日、医師の経験などに見合わない難しい手術は行わせないなどの要望書を提出した。【共同】
■宿直明けに倒れた24歳看護師、過労死認定/労基署、残業月100時間
東京都済生会中央病院(東京都港区)で07年5月、宿直明けに意識不明になり、死亡した看護師高橋愛依さん(当時24)について、三田労働基準監督署(同区)が過労死として労災認定していたことが分かった。認定は10月9日付。
代理人の川人博弁護士によると高橋さんは2006年4月から同病院に勤務。07年5月28日午前7時半ごろ、手術室の中でストレッチャーに突っ伏しているのを同僚が発見。同日夕、死亡した。持病はなく、死因は致死性不整脈とみられるという。
高橋さんが働く手術室はもともと26人態勢だが、07年3月末には18人になった。新人が補充されたが人員不足の状態は続き、高橋さんは4月から5月にかけ、25時間拘束の宿直勤務を8回こなしたほか、土日に働くこともあり、残業は月約100時間だった。
4月中旬には、10日間に3回宿直があり、3回目の明けの勤務中に倒れ、翌日午前から勤務したこともあった。病院の就業記録では、残業は4月は33時間、5月は15時間だった。
発症前2~6カ月間の時間外労働が、月80時間以上だと過労死の危険があるとされる。同労基署は「残業時間は基準より少ないが、不規則勤務や緊急手術などの過重性を総合的に判断し、認定した」と説明したという。
高橋さんは日記に「忙しい」「もう無理」と書き残していた。父親(51)は「娘の労災認定により、あるべき労働環境への改善に近づくとともに、認定の在り方も少しずつ変わっていくと信じています」とコメントした。
病院側は「労災認定は真摯に受け止めている。看護師の勤務が過重にならないように態勢を検討している」としている。
■外国人看護師・介護士の定住促進を/経団連が労働力不足で提言
日本経団連は10月14日、少子化で日本の労働人口が減少すると予想されるため看護師、介護士など一定の技能を持つ外国人労働者の定住を認めるよう政府に求めた提言を発表した。経団連はこれまで研究者など高度な技術、知識を持つ人材の定住促進を要望してきたが、製造、建設などの分野を含む技能労働者にも定住の門戸を広げるべきだとした。
外国人労働者の移民受け入れについての法整備に加え、本人、家族への日本語教育の充実、住宅確保や医療、年金など社会保障制度の改善といった定住支援策も求めた。【共同】
■新しい被保険者証に不具合/協会けんぽ
10月に発足した全国健康保険協会(協会けんぽ)は10月9日、新たに発行した被保険者証の印字の不具合が6支部で発生したと発表した。被保険者証の氏名や事業所名、事業所所在地の一部の横線が不鮮明だったり欠落しているという。
不具合の発生が明らかになったのは兵庫、和歌山、島根、岡山、香川、高知の6支部。この中で香川を除く5支部ではすでに不具合のある被保険者証を送付していた。送付済みの不具合の被保険者証は、兵庫114枚、和歌山54枚、島根23枚、岡山25枚、高知20~30枚。協会けんぽは医療機関での受診などに支障が生じないよう、正しい内容を説明する文書を事業所を通じて被保険者に送付した。また、プリンターの点検や交換などで印字の不具合が解消され次第、新しい被保険者証を送付するとしている。
■糖尿病性腎症、20万人のデータ収集へ/糖尿病対策推進会議
日本医師会と健保連、国保中央会、日本糖尿病学会など6団体で構成する「日本糖尿病対策推進会議」は、糖尿病の3大合併症の1つである「糖尿病性腎症」に関する啓発・調査に乗り出す。約20万人分の患者データを収集・分析し、糖尿病性腎症の標準的な診療レベルの向上などにつなげていく。日医の今村聡常任理事はメディファクスの取材に対し「地域のかかりつけ医が日常診療の中でデータを収集することに大きな意味がある。今後、日本腎臓学会にもオブザーバー参加をお願いし、各都道府県の糖尿病対策推進会議に腎臓学会の専門医が参加してもらえるよう働き掛けていく」と述べた。
糖尿病性腎症は透析導入患者の原因疾患の第1位であり、厚生労働省も慢性腎疾患から人工透析に進行する患者を5年後に15%減らす目標を掲げる戦略研究を07年度から始めている。
■社会保障費の機械的抑制、国民会議で撤回を/日医・唐澤会長が要望書
日本医師会の唐澤祥人会長は10月14日、社会保障国民会議サービス保障(医療・介護・福祉)分科会の大森彌座長あてに、最終報告書取りまとめに向けての要望書を送付した。(1)社会保障費の機械的抑制の撤回、(2)医療費全体の水準の引き上げ、(3)患者が必要な医療を受けられる体制の維持─の3点について要望している。
15日の定例会見で、要望内容について説明した日医の中川俊男常任理事は「親会議(社会保障国民会議)が10月中に最終報告をまとめるに当たり、来週にも予定されている分科会の取りまとめに向け、唐澤委員が要望書を送付した」と説明した。
■医療従事者数1.5倍で給与費6.8兆円必要/日医・中川常任理事
日本医師会の中川俊男常任理事は10月15日の定例会見で、「医師やコメディカルの医療従事者を増やす提案、議論には、財源の手当てがセットでなければならない」とし、2006年度医療費をベースに試算した医療従事者の増員に必要な額を紹介した。
中川常任理事によると、病院の医療費16.7兆円に占める人件費9.5兆円のうち、医師の給与は2.8兆円、医師以外の給与は6.7兆円。診療所の医療費8.1兆円に占める人件費4.1兆円のうち、医師の給与は2.2兆円で、病院と診療所の医師の給与を合わせると5.1兆円となる。
仮に医師数を1.5倍にすると給与費は2.5兆円増(医療費ベースで7.6%増)、医師数を1.5倍、コメディカルを1.2倍にすると給与費は4.2兆円増(同12.7%増)、医師数、コメディカルをそれぞれ1.5倍にすると給与費は6.8兆円増(同20.5%増)となる。
■国民会議の最終報告「医療費亡国」の大転換に/分科会座長の大森氏
社会保障国民会議サービス保障分科会座長の大森彌・東京大名誉教授(社会保障審議会介護給付費分科会長)は10月17日、茨城県東海村で開かれた「介護保険推進全国サミット」で講演し、10月末にまとまる予定の国民会議の最終報告について「これまで、医療費が高まると日本の国が崩壊するというばかばかしい前提の議論があった。これが(最終報告で)決定的に変わる」と強調した。
さらに「福祉国家が大きくなると経済成長は鈍化するという、国際社会ではまったく通用しないことを平気で言うような人がかつてはいた」とし、これまでの社会保障費の削減方針を転換すべきと主張した。
大森氏は「(社会保障の上で)やはり小泉構造改革がひどかった。あの人は一体何をした人なのか。普通の人なら評価するはずがない」と述べ、社会保障費削減の発端となった小泉純一郎元首相の構造改革を強く批判した。一方、社会保障国民会議を立ち上げた福田康夫前首相については「これまでの総理が手掛けなかった社会保障に手を掛けた人だった」と評価する姿勢を示した。
その上で、国民会議の最終報告については「あり得べき、望ましい医療・介護・福祉の姿を描き、それを実現するための手だてと推計数値を出す。これまでなかったような報告書になる」と説明。「担当者は休みを返上して作業に当たり、気合は入っている。まだ内容は言えないが、読売新聞の社会保障に関する提言(16日付同紙)を上回るものになるので期待していただきたい」と述べた。
大森氏は国民健康保険の今後の在り方について「すべての市町村が参加しなければ生きていけない仕事こそが、広域自治体としての都道府県の仕事だ」とし、国保と後期高齢者医療制度をワンセットとして都道府県単位で動かすべきとの認識を示した。その上で、舛添要一厚生労働相が示した私案に対し「厚労大臣が頑張っておられるなら応援したい」と述べた。
現行の後期高齢者医療制度に対しては「内容は悪くはないが、政治的に廃止が争点になったからには持たないだろう。見直さざるを得ない」と述べた。
介護編
■介護給付適正化事業、伸び抑制で効果/07年度厚労省調査
厚生労働省は10月15日、2007年度の「介護給付適正化推進運動実施状況調査結果」と「介護給付適正化事業の効果」を公表した。何らかの介護給付適正化事業を実施している保険者は98.5%に上り、ほとんどの保険者で取り組みが進んでいることが分かった。居宅介護給付額の伸び率を見ると、何らかの適正化事業を実施している保険者は、何も実施していない保険者より約5ポイント伸び率が抑制されており、介護給付適正化で一定の効果が見られた。
調査結果によると、07年度に何らかの適正化事業を実施したのは1636保険者(98.5%)で、前回調査(99.4%)より0.9ポイント減少したものの、ほとんどの保険者で実施していた。主要適正化5事業すべてを実施しているのは217保険者で、前回調査(135保険者)と比べ82保険者の増加。一方、いずれも実施していないのは25保険者で、全体に占める割合は1.5%にとどまった。主要適正化5事業別では、「要介護認定の適正化」は87.5%、「住宅改修・福祉用具実態調査」は75.0%が実施していた一方、「ケアプランの点検」は最も実施率が低く38.0%にとどまるなど、適正化事業によりばらつきが見られた。
介護給付適正化事業の効果を見ると、何らかの適正化事業を実施している保険者の居宅介護給付額の伸び率は3.05%で、何も実施していない保険者の伸び率(8.18%)より5.13ポイント低く、適正化事業により給付額の伸びが抑制されていることが分かった。また、主要適正化5事業すべてで実施保険者の居宅介護給付額の伸びが抑制されており、特に保険者の規模が大きくなるにつれて、給付額の伸びが抑えられる傾向が見られた。
適正化事業の実施別に居宅介護給付額の伸びを見ると、最も低いのは「介護給付費通知」2.49%で、次いで「ケアプランの点検」2.57%、「医療情報縦覧点検」2.90%の順だった。
■有老ホーム、7年で7.6倍に/厚労省調査
2007年の有料老人ホーム数は2671施設で介護保険制度開始当初(2000年)の7.6倍に増えていることが、厚生労働省が16日に公表した「社会福祉施設等調査結果の概況」で明らかになった。定員数や在所者数も約4倍に増えており、厚労省は「有料老人ホームに対するニーズが引き続き増えている」とみている。
2000年の有料老人ホーム数は350施設だったが、介護保険制度開始後は急激に増えており、07年は初めて2000施設を突破した。07年の定員数は14万7981人で2000年(3万7467人)の3.9倍、在所者数は11万4573人で2000年(2万6616人)の4.3倍に増えていた。
老人福祉施設の常勤換算従事者数は5万625人で前年より3967人減少した。保健師・看護師や介護職員の減少が目立った。厚労省は従事者数の減少について、高齢者の各種相談などに応じる「老人福祉センター」が、06年の介護保険法改正に伴い創設された「地域包括支援センター」に移行し、調査対象外となった影響が大きいと分析している。
調査は86種類の社会福祉施設などと障害福祉サービス事業所を対象に、07年10月に実施した。
■夜間対応型訪問介護の普及を/24時間在宅ケア研究会、厚労省に要望
24時間在宅ケア研究会はこのほど、次期介護保険制度改正に向けた要望書を厚生労働省の宮島俊彦老健局長に提出した。要望書では(1)夜間対応型訪問介護を「在宅サービスの基盤サービス」として位置付けること、(2)サービス対象範囲の拡大、(3)オペレーションセンター従事者の資格要件の緩和-を重要要望事項に位置付けた。特に夜間対応型訪問介護を「在宅サービスの基盤サービス」として周知させるため、単身高齢者や老々世帯では基本介護費1000単位を保険者負担にして積極的な普及を目指すよう求めている。
同研究会は介護保険の地域密着型サービスである「夜間対応型訪問介護」を行う事業者で構成。08年6月に5医療法人を含む30法人で発足した。同研究会によると、夜間対応型訪問介護を担う事業所は人口20万人ごと1カ所設置することが望ましいとされ、現在は全国に約130カ所が開設されているが、利用者の伸び悩みで事業継続が危うい事業所も多いという。
同研究会は発足後の8月、会員を対象に「夜間対応型訪問介護の実態調査」を実施。回答を得た20法人のうち、19法人が「想定していたよりも利用者が少ない」と答えた。利用者を増やすための課題として(1)ケアマネジャーへの周知、(2)対象者・資格要件・報酬など制度上の問題、(3)利用者への周知(4)自治体の協力体制─などが挙がった。
■まずは急性期医療の立て直しを/介護保険サミット分科会
10月17日に開かれた「介護保険推進全国サミットinとうかいむら」の第3分科会は、保健・医療・福祉の連携とサービスの一体化をテーマに、医師や自治体首長らが意見交換した。パネリストからは「サービスの一体化以前に、中核となる急性期医療の立て直しを急ぐべき」との意見が相次いで上がった。
慶応大大学院の田中滋教授は、医療崩壊の原因は「歳出削減をもって構造改革」とする政策にあるとした上で、「今よりも覚悟を決め、良いサービスができるという条件の下、税金を負担しなければ医療や高齢化社会は持たない」と述べ「中福祉・中負担」への転換が必要とした。
さらに「財務省は『社会保障のせいで国債残高は10年間で250兆円増えた』と言うがうそだ。社会保障費は国庫で約8兆円しか増えていない。国債費負担が大変だから社会保障を削るべきとの理論は打ち破る時期に来た」と財務省の方針を批判した。
厚生労働省老健局老人保健課の鈴木康裕課長は、保健・医療・福祉の3サービスの一体化に当たって(1)全国標準と地域特性、(2)安全と安心、(3)負担と給付-のバランスを考慮すべきと指摘。負担と給付については「自助と共助をした上で、最低限のサービスが必要であればそれに伴う負担は必要」と述べた。
分科会で現状報告した岩手県宮古市の熊坂義裕市長は、「宮古広域」の医師数は人口10万人当たり115.7人で全国平均の約半数にとどまり、約1年半にわたり循環器科の医師が不在のままとなっているなど、深刻な医師不足にあると報告。「介護はどこの市町村もしっかり頑張っている。しかし基本となる医療が確保できていないと何も成り立たない」と述べ、自治体の努力は限界に来ており、国が新たな医師確保の枠組みを示すべきと主張した。
京都編
■「自立支援法は違憲」と提訴へ/障害者30人、京滋など9地裁に
障害者自立支援法に基づき生活介護などの「サービス」を利用した障害者に原則1割の自己負担を課すのは、法の下の平等を定めた憲法などに反するとして、京都や滋賀など九都府県の障害のある男女約30人が10月31日、負担料の免除申請を棄却した行政処分の取り消しなどを求めて全国九地裁に一斉提訴する。弁護団は「障害のある市民の基本的人権を侵害し、差別する法律だ」と指摘し、同法の違憲性を正面から問う構えだ。
京滋では、福知山市の男性が京都地裁に訴えを起こし、大津市や草津市などの男女5人が大津地裁に提訴する予定だ。6人は各市町に求めた自己負担免除の申請が退けられ、府と県に行政不服審査を申し立てている。
ほかに、東京都、大阪府、兵庫、広島、福岡、埼玉、岩手各県の男女が提訴する準備を進めている。
訴訟には日本障害者協議会などが賛同し、竹下義樹弁護士(京都弁護士会所属)を団長とする約80人態勢の弁護団が訴訟を支援する。
06年10月から本格施行された障害者自立支援法は、サービス費用の財源確保を目指し、利用量に応じて原則1割の定率負担を導入した。入浴や食事の介護、外出の際の移動介護、福祉施設の利用などの費用が対象になっている。
政府は施行後、段階的に低所得者層への負担軽減措置を講じたが、障害者団体は「軽減措置も根本的な解決にならない」と同法の廃止を求めている。
■申請、初日に100件超す/京都市の生活資金緊急貸し付け
原油高騰などによる物価高対策として、京都市が10月15日から受け付けを始めた低所得者向けの緊急貸し付けの申請件数が、初日に100件を超えた。高齢者が多いが、派遣労働者や若年層からの申請も目立った。
市が食品や日用品の購入にも使える貸し付けを行うのは今回が初めて。世帯の収入合計が生活保護基準の1.5倍以内で、被保護世帯でないなどの条件があるが、1世帯当たり5万円を上限に貸し付けを始めた。
15日の申請件数は113件で、条件により実際に貸し付けを受けられるのは100人前後になるという。市が毎年行う夏季と歳末の貸付制度では1800件前後の利用があるが、ほぼ同じペースの利用が見込まれる。
高齢者が大半になる夏季歳末貸し付けと比べ、派遣労働者や母子世帯からの申請が目立つほか、20代からの申請もあり、生活保護基準に該当しない所得層でも当面の生活費に困窮する実態がうかがえる。
市地域福祉課は「経済的に不安定な社会情勢を反映している」としている。受け付けは11月28日まで。
■後期高齢者医療制度の廃止訴え/京の年金生活者、デモ行進
後期高齢者医療制度の廃止を求める集会が10月16日、京都市下京区の東本願寺前であり、年金生活者が「高齢者の負担を増やし、邪魔者扱いする制度をやめさせよう」と訴えた。集会後、約200人が市内をデモ行進した。
年金生活者でつくる市民団体「全日本年金者組合」が全国一斉で実施した。京都の集会では、同組合京都府本部の山崎彰副委員長たちが「年齢や経済力で区分する差別的な医療制度は許されない」などと訴えた。
この後、参加者は「老人いじめの医療制度の廃止」「最低保障年金制度をつくろう」と書かれた旗や横断幕を掲げ、下京区の四条通大宮の交差点まで行進した。参加者の代表が同区の京都社会保険事務局を訪れ、後期高齢者医療制度の廃止などを求める請願書を提出した。
■院内暴力備え護身術学ぶ/綾部市立病院で職員ら研修
京都府綾部市青野町の市立病院でこのほど、護身術などを学ぶ研修会が開かれ、医師や看護師、事務職員が安全に対する理解を深めた。
医療スタッフへの院内暴力や外部からの不審者に備えようと、職員約120人を対象に初めて開いた。
綾部署の堤勇一郎生活安全課長が不審者対策として「普段通りに声をかけ、不審な行動があれば複数で対応する」などのポイントを説明。続いて署員の指導で、職員が二人一組で相手の手をひねるなど護身術を実習した。
職員は慣れない実習に戸惑いながらも、緊急時に備えていた。
■CO2削減、目標達成困難/京都市、プラ容器分別が壁に
京都市が市の事務や事業を対象に独自に定めた温室効果ガス削減計画で、二酸化炭素(CO2)などの排出量削減目標が最終年度の2010年度までに達成できない見通しになっていることが10月16日、分かった。市民や事業所がごみとして出すプラスチック製容器包装の分別不徹底が主な要因とみられるが、京都議定書の採択地として計画を打ち出しただけに、市の対応が問われそうだ。
計画は「京都市役所CO2削減アクションプラン」。庁舎内や市立学校、病院などの電気使用量や市民が排出するごみ量の削減で、10年度までに04年度に比べ年間のCO2排出量を約6万1600トン減らす目標を定めた。
市によると、計画の中間年に当たる07年度のCO2削減目標は約3万6500トンと設定、うちごみ処理分は3万5100トン。しかし現状では目標に約1万トン届かない見込み。
ごみ処理分の排出量が減らないのは、焼却時にCO2を排出するプラスチック製容器包装の分別が民間事業所やマンションなどで徹底されていないためとみられている。
理由として市は「事業所がプラ容器を分別すると、一般ごみとは別に収集業者に委託しなければならず、別料金がかかるため分別が進まないのでは」と分析している。
実際、市は07年10月から本格的にプラ容器の分別収集、リサイクルを実施しているが、一般ごみに占める事業所系のプラ容器割合は07年度が12.6%で、01年度の13.6%と比べてわずかしか減っていない。
市は事業所に対しプラ容器の分別に取り組むよう引き続き協力を求める方針だが、現状では理解を得て実践してもらうのは容易でないとみられ、市地球温暖化対策室は「このままでは最終目標の達成は困難」と頭を抱えている。
調査・データ編
■特定疾患医療受給者が60万人突破/厚労省まとめ、1年間で3万人増
厚生労働省が10月17日に発表した2007年度保健・衛生行政業務報告(衛生行政報告例)結果の概況によると、07年度末の特定疾患医療受給者証の所有者は61万5568人で、06年度末の58万5824人から1年間で約3万人増加した。特定疾患医療受給者証は、特定疾患の患者が治療研究事業対象者として認定されると交付され、医療費の一部が助成される。
疾患別では潰瘍性大腸炎が9万6993人(前年度末9万627人)で最も多く、パーキンソン病関連疾患9万2009人(同8万6452人)、全身性エリテマトーデス5万5021人(同5万3825人)と続いた。
精神保健福祉関係では、措置入院患者数はここ数年は減少傾向にあったが、07年度末の患者数は前年度に比べ4人増え1774人となった。精神障害と認められた場合に交付される精神障害者保健福祉手帳の交付者数は55万8475人で前年度より4万6325人増加した。
薬事関係では、07年度末の薬局数は5万2539カ所で前年度に比べ587カ所(1.1%)増加した。人口10万人当たりの薬局数を都道府県別に見ると、佐賀が61.5で最も高く、次いで広島55.3、山口53.0だった。最も低いのは福井の28.7で、富山31.8、埼玉32.8と続いた。
■すべての病床で在院患者数が減少/病院報告08年4月
厚生労働省が10月9日に発表した2008年4月分の病院報告(概数)によると、病院の在院1日平均患者数の総数は132万579人となり前月と比べ2万3436人減少した。
病床別に見ると、一般病床は69万3011人で前月比1万8684人減。療養病床は30万9502人で前月比3261人減だった。介護療養病床も前月と比べ2381人減の9万1656人となり、すべての病床で患者数が減少した。外来患者数は1万4623人増加し、145万4899人だった。
一方、病院の平均在院日数は33.7日で前月比0.5日減少した。病床別の内訳は一般病床18.8日(0.5日減)、療養病床166.8日(5.0日減)、介護療養病床270.2日(10.1日減)とすべての病床で減少した。
病床の月末利用率は80.2%で前月から0.4ポイント減少した。介護療養病床は前月から0.5ポイント増し93.7%だった。
■心の健康対策・喫煙対策ともに実施率上昇/07年労働者健康状況調査
産業医や保健師の配置など心の健康対策(メンタルヘルスケア)に取り組む企業が3割を超えたことが、厚生労働省がこのほど発表した「2007年労働者健康状況調査結果の概況」で分かった。02年の前回調査と比べ約10ポイント上昇しており、事業所規模が大きいほど実施率は高かった。喫煙対策に取り組む企業は7割を超え、前回調査より約16ポイント上昇していた。
調査は常用労働者を10人以上雇用する民営事業所を対象に、07年10月31日現在の労働者の健康確保対策などを調べた。9634事業所(有効回答率70.8%)、労働者1万1440人(同64.3%)から回答を得た。
メンタルヘルスケアに取り組む事業所は33.6%で、前回調査(23.5%)と比べ10.1ポイント増加した。事業所規模別にみると、労働者5000人以上は100.0%、1000~4999人は95.5%とほとんどの事業所が実施しており、規模が大きいほど実施率が高かった。
喫煙対策に取り組む事業所は75.5%(前回59.1%)で、労働者100人以上の事業所では9割を超えた。取り組み内容をみると「喫煙コーナーを設け、それ以外は禁煙にしている」が50.2%で最も多く、次いで「喫煙室を設け、それ以外は禁煙」37.0%、「会議、研修などの場所を禁煙」32.5%の順。「事業所全体を禁煙にしている」は24.4%で、前回調査(14.2%)と比べ10.2ポイント上昇した。
過去1年間に定期健康診断を実施した事業所は86.2%(前回87.1%)で微減、健康の増進などに取り組む事業所は45.2%(同37.4%)と前回より増加していた。
労働者に対する調査をみると、「健康である」とした労働者は77.4%を占めたが、全体の81.0%が「将来の健康状態に不安を持っている」と回答。仕事や職業生活に対しストレスがあるとしたのは58.0%(同61.5%)で前回よりやや減少した。
また30.7%の労働者が「職場での喫煙が不快」と回答したほか、受動喫煙があるとしたのは65.0%(同78.1%)だった。
■へき地医療、都道府県と市町村で意識の差/自治医大・鈴川教授
都道府県と市町村、へき地医療拠点病院の3者間でへき地医療に対する理解にばらつきがあり、国が目指すへき地医療の提供はできていない。13日から15日まで札幌市内で開催中の日本救急医学会総会・学術集会の講演で、自治医科大救急医学教室の鈴川正之教授がへき地医療の現状を報告した。
鈴川教授は「へき地医療を現場で支える医師は、行政の協力・支援が得られないと感じると、へき地医療からの早期離職を希望する比率が高まる。へき地での医師の勤務継続は、行政側の施策に影響を受ける傾向が強い」とし、行政による支援の重要性を訴えた。
国のへき地保健医療対策は、1956年度の第1次へき地保健医療対策を皮切りに、2006年度からの5カ年計画(第10次計画)まで54年間にわたって進められている。特に第9次対策では「へき地医療支援機構」を配置し、へき地医療支援病院・中核病院をへき地医療拠点病院として再編成する目標を掲げたほか、第10次計画では都道府県ごとに、へき地保健医療計画を策定することなどを盛り込んでいる。
厚生労働科学研究事業で07年9月に都道府県と全国の市町村を対象に行った鈴川教授の調査では、有効回答だった42都道府県のうち、95.2%が「へき地医療はもっと充実すべき」と回答し「現状のままで良い」との回答はなかったのに対し、市町村の回答(有効回答数724)では「もっと充実すべき」が54.8%、「現状のままで良い」が30.1%と、都道府県と市町村で意識の差が見られた。
さらに、第9次計画の目玉だったへき地医療支援機構について「所在を知らない」と回答した市町村が50%を超えるなど、へき地医療に対する行政側の認識不足の一端がうかがわれた。
へき地医療の現場の医師670人の意識調査では、「行政側の支援・協力がある」と回答したのは518人で、「支援・協力がない」は92人だった。「支援がある」の518人のうち「早期離職(退職)したい」と回答したのは2.9%にとどまったのに対して、「支援・協力がない」と回答した92人では13%にアップし、行政と現場の医師の意識を共有化させることの重要性があらためて浮き彫りとなった。
鈴川教授は「国の施策が思惑通りに進んでいない。へき地医療支援機構をコーディネーター役と位置付けた医療システムを確立する必要がある」と述べ、へき地・離島医療に関する標準的なモデルを提示することが必要と指摘した。
■1位希望、大学病院がやや増加/研修医マッチング結果発表
医師臨床研修マッチング協議会が10月16日に発表した2008年度研修医マッチングの結果によると、1位希望を臨床研修病院とした研修医の割合は58.5%で、07年の59.3%からやや低下し、大学病院は40.7%から41.5%に上昇した。ただ、マッチングの成立状況を見ると、07年と同様、臨床研修病院50.9%、大学病院49.1%という結果で臨床研修病院が高い傾向は変わらない。
マッチングに参加した研修医は8416人で、07年の8543人から127人減少。このうち8167人が複数の研修プログラム(研修病院)を順位付けして登録した。研修病院側の受け入れ希望と合致した研修医(マッチ者)は7858人で、マッチ率は96.2%。07年度の96.9%から0.7ポイント減少した。
マッチング参加病院は1091病院で、07年度の1090病院とほぼ同数。研修プログラム数は1472件で、07年度から115件増加。プログラム数は依然、増加傾向にある。募集定員は1万1292人で空席数は3434人だった。
■梅毒が2年連続で急増/母子感染も増加懸念
一時は年間500人程度まで減った梅毒の患者報告が、2006年以降は2年連続で前年より約100人も増えたことが、国立感染症研究所のまとめで10月20日、明らかになった。妊婦から胎児に母子感染し、重症化や後遺症の恐れがある先天梅毒も、今後増加が心配されるという。
感染研が01-07年の全国の医療機関からの報告を分析したところ、減少傾向で03年には509人だった患者数が04年に増加に転じ、06年は637人、07年は737人と、いずれも前年を約100人も上回った。
患者の約4分の3は男性。年齢は、男性が20-40代前半、女性では10代後半-30代が多い。先天梅毒は2000年以降、年間3-10人で推移してきたが、08年は8月下旬までに既に7人が報告されたという。
感染研感染症情報センターの多田有希室長は、特に先天梅毒の増加を警戒。「妊婦が感染していても、早くから薬で治療を始めれば赤ちゃんへの影響は防げる上、先天梅毒も早期診断で根治できる。妊婦は必ず健診を受け、妊娠中もコンドームの着用など感染予防に努めてほしい」と話している。【共同】
■49%が「事故身近に感じた」/不妊治療施設の全国調査
体外受精などを実施している全国の不妊治療施設を対象に「蔵本ウイメンズクリニック」(福岡市博多区)の福田貴美子看護師長らが実施した調査で、回答した114施設のうち、患者取り違えや複数の精子混合などさまざまな事故を「身近に感じたことがある」とした施設が49%を占めたことが10月19日、分かった。
事故や、事故が起きそうになった具体例も報告されたが、ほとんどは寸前で回避され、患者に実害があったとみられるのはごく一部という。
不妊治療現場の事故に関する調査は異例。年間出生児数に占める体外受精児の割合が55人に1人(2006年時点)となるなど技術が普及する中、取り返しのつかない重大事故を防ぐ一層の取り組みが求められる。
調査は07年12月から08年1月、日本産科婦人科学会に登録している594施設(07年7月時点)を対象に実施、114施設が回答した。
それによると、今までに事故を身近に感じたことがあるとしたのは56施設。実際に起きた事故や寸前で回避されたケースとして「生命の萌芽」とされる胚の取り違えや紛失、患者取り違え、複数の精子の混合、精子保管時の名前の誤記入などが報告された。【共同】
環境編
■「温暖化はリスク」が92%/投資家集団が150社調査
日本の大企業の多くが、地球温暖化やそれに関連する規制の強化を企業活動上のリスクになると受け止めるなど、温暖化問題への関心が高まっているとするアンケート結果を、日本など各国の機関投資家でつくる国際組織、カーボン・ディスクロージャー・プロジェクト(CDP、本部・英国)が10月14日、発表した。
CDPは「温暖化問題への取り組みが、投資判断上の重要な基準になっている」として、世界の約3000の企業に温暖化関連の情報開示を求める活動を行っている。日本では150社に温暖化対策への取り組みなどを聞き、110社から回答を得た。
温暖化の被害など、実際のビジネス上のリスクがあるとした社は92%、温室効果ガスの排出規制や省エネ対策の義務づけなど「規制のリスク」があるとした社は98%に達し、07年のそれぞれ63%、74%に比べ大幅に増加した。
温暖化が「何らかのビジネスチャンスをもたらす」と考える社も、07年の82%から91%に増えていた。【共同】
【週刊マスコミ論調】
■医療問題、医療政策
■社会情勢など
■医学、健康
■新型インフルエンザ、感染症など
■高齢者医療、福祉、年金、介護、少子化
■医療事故、医事紛争、副作用
■その他事件など
■京都周辺の動き(医療関係、ほか)
■主な連載(医療全般)
■環境問題
■環境一般〈核問題〉
- 【ウイークリーダイジェスト】
- 【週刊マスコミ論調】
- ■医療問題、医療政策
- ■社会情勢など
- ■医学、健康
- ■新型インフルエンザ、感染症など
- ■高齢者医療・福祉・年金・介護・少子化
- ■医療事故、医事紛争、副作用
- ■その他事件など
- ■保団連・保険医協会関係
- ■京都周辺の動き(医療関係、ほか)
- ■主な連載(医療全般)
- ■環境問題
tel: 075-311-8888 fax: 075-321-0056 e-mail: info@hokeni.jp









