週刊医療情報インデックス
2008年9月第1週 (2008.09.02~2008.09.08)
- 【ウイークリーダイジェスト】
- 【週刊マスコミ論調】
- ■後期高齢者医療制度
- ■医療問題、医療政策
- ■社会情勢など
- ■医学、健康
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- ■高齢者医療・福祉・年金・介護・少子化
- ■医療事故、医事紛争、副作用
- ■中医協汚職、日歯連関係、その他の汚職・事件など
- ■保団連・保険医協会関係
- ■京都周辺の動き(医療関係、ほか)
- ■主な連載(医療全般)
- ■環境問題
【ウイークリーダイジェスト】
■福田首相、突然の辞任表明/社会保障抜本見直し「方向性出せた」
福田康夫首相は9月1日夜、首相官邸で会見し、「新しい布陣の下に政策の実現を図らなければいけないと考え、本日、辞任することを決めた」と述べ、退陣を表明した。会見の中で福田首相は「就任して1年近くたったが、正直申し上げて最初から、政治資金の問題や年金記録問題、C型肝炎問題など、次から次へと積年の問題の顕在化に遭遇し、処理に忙殺された」と振り返った。その上で、これまで誰も手を付けなかった国民目線の改革に着手したとし、「社会保障国民会議を通じた社会保障制度の抜本見直しなどについて、最終決着はしていないが方向性は打ち出せたと思っている」と述べた。
■社会保障制度、国民の75%が不満/政府の特別世論調査
政府は9月3日、「社会保障制度に関する特別世論調査」の概要を発表した。社会保障制度に不満を持つ人は「不満だ」40.1%と「やや不満だ」35.6%を合わせると75.7%に上り、国民の不信感が浮き彫りになった。内閣府によると、今回の調査結果は社会保障国民会議にも反映させる。
調査は全国の成人男女3000人を対象に行われ、有効回収数は1822人(60.7%)だった。調査期間は2008年7月24日~8月3日。
社会保障の中で満足していない分野は「年金制度」が69.7%で最も多く、以下、「医療制度」56.4%、「介護制度」53.3%と続いた。一方、満足している分野は18.1%の「医療制度」が最多で、「特にない」が62.7%を占めた。
社会保障の給付と負担については「給付水準を保つために、ある程度の負担の増加はやむを得ない」が42.7%で最も多かったが、「給付水準をある程度下げても、従来通りの負担とすべき」20.0%、「給付水準を大幅に引き下げて、負担を減らすことを優先すべき」17.2%と負担増に難色を示す傾向も見られた。
高齢者と現役世代のどちらがより負担すべきかについては「双方の負担増加はやむを得ない」が50.8%と約半数を占め、「高齢者に現在以上の負担は求めるべきではなく、現役世代の負担の増加はやむを得ない」27.2%、「現役世代に現在以上の負担は求めるべきではなく、高齢者の負担の増加はやむを得ない」8.8%を引き離した。
■新政権でも議論継続を訴え/社会保障国民会議で福田首相
福田康夫首相は9月3日の社会保障国民会議(座長=吉川洋・東京大大学院教授)で、10月に予定している最終報告の取りまとめについて「新政権での議論に役立てていただきたい」と述べ、新首相の下でも継続的な議論を求めた。課題として残っている医療・介護の費用推計などについて今後の同会議で議論を進め、最終報告を新首相の下でまとめることになる。
会議の席上、福田首相は自らの辞任について「途中で交代してしまうのは申し訳ないと思う」と陳謝した。その上で、同会議の中間報告を基に緊急対策としてまとめた「5つの安心プラン」を政府・与党の総合経済対策「安心実現のための総合対策」に取り入れたことに触れ、「新たに発足する政権で着実に実行していただけると考えている」と述べた。また、最終報告に向けた医療・介護の費用推計についても「社会保障の将来像を考える上で必須のデータとなる」とし、最終報告を新政権で生かすための協力を求めた。
終了後に会見した吉川座長は「在るべき社会保障制度を議論した上でまとめる報告書は、最終的には国民に社会保障の問題点と解決方法を示すもの。(首相が交代しても)国民が交代するわけではない」と述べ、最終報告の取りまとめに意欲を見せた。伊藤達也首相補佐官(社会保障担当)は「今までの会議の議論と首相の思いを次の政権が誕生した時にできる限り伝え、最終報告にしっかり反映されるように努力したい」と述べた。
同会議は福田首相の肝いりで1月に発足し、6月には「社会保障の機能強化」に重点を置いた改革を基本方向として必要な財源を求める中間報告をまとめている。サービス保障分科会では最終報告に向けて最大の課題となる医療・介護の費用推計に関する議論が進んでいるが、首相の辞任による影響が懸念されている。
この日の会議では「5つの安心プラン」や内閣府が同日公表した「社会保障制度に関する特別世論調査」について議論した。委員からは「5つの安心プラン」について、産科や小児科などの医師不足への対策などが盛り込まれたことを評価する意見が多かったが、「そもそも緊急対策が必要となること自体が問題」「2200億円の削減方針は遺憾」など厳しい意見も上がった。介護・看護分野の人材確保に向けて「外国人労働者の受け入れに積極的になるべきだ」などの意見もあった。
■社会保障国民会議、新首相が存続判断/町村官房長官
町村信孝官房長官は9月2日の記者会見で、社会保障国民会議など福田康夫首相が主導して設置した政府の有識者会議について「どうするのか、新しい首相の判断に委ねられる」と述べた。社会保障国民会議は10月中に社会保障の給付と負担の在り方について最終報告をまとめる予定。これに関し、町村長官は「最終報告をまとめた上で、新首相がその存続を判断することになるだろう」と語った。
■福田首相辞任「あれこれ言うことでない」/舛添厚労相
舛添要一厚生労働相は9月2日、閣議後の記者会見で福田康夫首相の辞任について「政治家の決断は、ほかの政治家があれこれ言うことではない」とした上で、「自分の仕事は常に国民の方を向いて、どういう内閣であれ、きちんと国民のために仕事をする」と述べた。自民党総裁選などで国政に空白ができることについて「行政に一刻の停滞も許されない」との認識を示し、「厚生労働行政は国民の命を預かる行政なので、こういう状況であろうとなかろうと、きちんと行政をつかさどっていく」と語った。
総裁選に関しては「政策論争をきちんとやって、自民党には人もいるし政策もきちんとあることを国民の前に示す必要がある」と指摘。立候補者同士が政策を議論することによって、自民党には引き続き政権を担当する能力があることを示す必要があるとした。
■残された任期で改革に道つける/福田首相辞任表明で舛添厚労相
舛添要一厚生労働相は9月2日、大阪府医師会が主催した「舛添厚生労働大臣と語る会」に出席し、福田康夫首相の突然の辞任表明に関連して「消費税論議は総選挙が近くなったので言い出しづらくなった。早く選挙を終えて(消費税引き上げの)論議に入るべきだ」と述べた。さらに「月末に次期首班が決まり内閣改造があるだろう。(自分の)残された任期は1カ月だが、それまでに手掛けた関連改革には道をつける」と述べるなど、政局が一気に動き始めることを示唆した。
福田首相が辞任表明した背景については「ねじれ国会をどうするかという問題が大きかった。野党と協議しながら法案を成立させる戦略がうまくいかなかった」と語るにとどめた。
舛添厚労相は講演の中で、社会保障費2200億円の削減問題に触れ「たばこ税分で700億円、(シーリング枠外で各省庁が要求できる重要課題推進枠の)3300億円から1500億円を獲得すれば対応できる」と述べ、たばこ税の増税に強い関心があることをあらためて示した。ただ、重要課題推進枠は福田首相が示した「5つの安心プラン」に盛り込んだ内容を中心に要望したこともあり、「トップ(福田首相)が倒れてしまったが、次の人(次期総理)に継続してもらうしかない」と語った。
■出産一時金給付の改革必要/舛添厚労相
舛添要一厚生労働相は9月2日の大阪府医師会主催の会合で、産科医療の改革に触れる中で、通常分娩を保険給付の対象とし、自己負担分を出産一時金として給付するなど、現行制度の改革案をあらためて提示した。舛添厚労相は「後から出産一時金を給付するのではなく、費用負担がなくても出産できる体制の整備や、無料検診を14回までに拡大するなどの対策が必要」とし、産科検診の無料化では現在(450億円)より840億円の費用増になるとの試算を示した。
■社会保障財源確保に工程表を/伊吹財務相、自民総裁選で期待
伊吹文明財務相は9月5日の閣議後記者会見で、自民党総裁選で争点となる経済財政政策について「増大する社会保障財源をどう賄うか、少なくとも時間軸を前提にしたシナリオ、工程表のようなものは明確にしないといけない」と述べ、消費税増税など財源の具体策を示す必要性を強調した。
■消費税上げ「社会保障守るには不可避」/メディファクスに尾辻元厚労相
元厚生労働相で自民党の尾辻秀久参院議員会長はこのほど、メディファクスのインタビューに応じ、消費税率の引き上げ問題について「基礎年金の国庫負担割合の引き上げを控えており、消費税を上げなければやれるわけがない」と述べた。その上で「政権を担う責任を持った政党が、消費税を上げずにやると言ったら、それで選挙に負ける。消費税を上げるといった方が、しっかりした支持が集まるのではないか」と言明。次期総選挙では消費税増税の取り扱いが争点になるとの見解を示した。
また、自民党の尾辻参院議員会長は、社会保障費の2200億円削減問題にも触れ「消費税を上げたとたんに、この話(2200億円削減)がなくなるだろう」と指摘。歳出削減だけで2011年度に基礎的財政収支(プライマリーバランス)を黒字化させるのは無理だとし、「収支を合わすときは、量(歳出)を削ることはもちろん大事だが、歳入を増やして両方で収支を合わすことは常識だ」と語った。
財務省が09年度予算の概算要求で3300億円の重要課題推進枠を設けたことには「訳の分からない抜け道みたいなものができた。3300億円から2200億円を引き、1100億円を増やしてよいとした方が分かりやすい。2200億円を削れ、というからイメージが悪くなる」と述べた。
■子どもは被保険者証返還の対象外に/民主有志議員、法案化へ検討
国保の保険料を世帯主が滞納したことで医療費が全額自己負担となり、子どもまで医療を受けるのが困難になっているとして、民主党の有志議員は子どもを被保険者証返還の対象から除く法改正に向けて検討を始めた。9月2日の民主党厚生労働部門会議で、たたき台となる「国民健康保険法の一部を改正する法律案要綱骨子」を公表した。
要綱骨子によると、世帯主が保険料滞納で被保険者証を返還した場合でも、市町村国保が子どもの分の被保険者証を交付できるよう、国民健康保険法の一部を改正するとしている。
ただ要綱骨子では、法改正の課題として、保険料支払い能力の有無に関わらず被保険者証返還の免除を認めると、保険料の不払いを誘発するとの批判も出ると指摘している。民主党の山井和則衆院議員によると、要綱骨子はまだ党の正式決定を経ておらず、有志議員内での検討段階の素案だとしている。
民主党はこの問題を同党の厚労部門会議で取り上げ、厚生労働省に制度の見直しを求めているが、厚労省は制度を見直す予定は示していない。厚労省は民主党に対し、医療費が払えず困窮している世帯は、生活保護や保険料の減免措置など別の方法で救われると説明している。
■医師養成数増は「財源と一体の議論を」/社保審・医療部会
厚生労働省は9月4日の社会保障審議会医療部会(部会長=鴨下重彦・国立国際医療センター名誉総長)で、このほど取りまとめた「安心と希望の医療確保ビジョン」とそれに基づく2009年度予算概算要求の概要を説明した。委員からはビジョンの具体化に関する検討会で、医師養成数を将来的に現在の1.5倍まで増やすことが盛り込まれたことについて、財源面を含めた検討を求める意見が出た。
中川俊男委員(日医常任理事)は、ビジョンと省内の中医協などの審議会との関係について、厚労省側の見解をただした。医政局の深田修総務課長は「ビジョンに関する検討会では、(医療提供について)大臣としての考えをまとめるために設けて議論した。これに基づく政策として具現化していくためには、各種の審議会、検討会に諮ることになる」と答えた。
■医療安全調法制化で議論/社保審・医療部会
厚生労働省は9月4日の社会保障審議会医療部会で、「医療安全調査委員会設置法案(仮称)大綱案」について説明した。委員からは慎重な対応を求める意見と早期設置を求める意見の両方が出た。
西澤寛俊委員(全日本病院協会長)は「個人の責任追及ではなく原因究明と再発防止という大綱案の目的と中身が違うように思う」と指摘。「救急など急性期の現場の医師らの意見をもう一度聞き、目的を達成できる制度にしてもらいたい」と要望した。
一方、飯倉裕之委員代理(連合生活福祉局部長)は「患者の立場から言えば、医療事故に関して医療者側の十分な情報開示がされていない」と問題点を指摘し、第三者機関の早期創設を求めた。その上で「死亡だけでなく重度の障害が残った場合についても検討してもらえれば」と訴えた。
委員が法制化に向けた今後のスケジュールをただす場面もあったが、事務局側は「現在意見を募集している段階」などとして明言を避けた。
■退院支援報告書は毎月提出/脳卒中・認知症患者の減額除外で通知
厚生労働省保険局医療課は9月5日付で、一般病棟に入院する後期高齢者のうち、脳卒中の後遺症や認知症の患者の入院基本料を91日目から減額する仕組みを緩和するため、診療報酬の留意事項通知の改正を社会保険事務局長などに通知した。10月以降も医療機関が退院に向けた努力をしていれば、機械的に減額しないことにする。医療機関には、毎月社会保険事務局に退院支援の状況に関する報告書を提出することを求める。
退院支援に関する報告書には、病名や日常的に行われている医療行為のほか、退院に関する課題、退院支援の概要、予想される退院先などを記入する。報告書の提出がない場合は減額の対象となる。報告書は一定期間を経て、実態を把握するための資料として活用する。
2008年度診療報酬改定で、脳卒中の後遺症と認知症患者の入院基本料が減額対象となった。しかし「診療報酬が減額されることで、患者が退院を迫られることになる」などの指摘があり、厚労省は医療機関の退院支援努力を条件に減額しない方針を示していた。
■医療事故の報告あらためて要請/厚労省通知
厚生労働省は医療法施行規則に基づく医療事故情報収集事業で、特に重大な医療事故の報告が義務付けられている特定機能病院などに対し、あらためて医療事故の報告を求める通知を9月1日付で発送した。
通知では日本医療機能評価機構がまとめた医療事故情報収集等事業の年報から、報告義務対象医療機関273施設(2007年12月31日現在)のうち、報告施設数が05年には176施設だったのが、06年は195施設、07年は193施設と推移したことを報告。同事業の第9回報告書では、04年10月から07年3月までに報告がまったくなかった医療機関は53施設に上ったと指摘している。
同事業では国立高度専門医療センター、国立ハンセン病療養所、独立行政法人国立病院機構が開設する病院、分院を除く大学付属病院、特定機能病院に医療事故の報告を義務付けている。
■未収金対策で補助、医療機関に375万円/厚労省、全国20施設で09年度
厚生労働省は2009年度の新規事業として、医療機関や市町村の有効な未収金対策に対する補助を始める。各医療機関や自治体の具体的な取り組みに関する情報を収集することで、今後の未収金対策に生かしたい考えだ。
概算要求では、医療機関20カ所と市町村94カ所程度への補助金交付を想定。事業費として6000万円を要求した。国と都道府県で折半し、未収金の発生予防や回収に有効な方策に取り組んでいる医療機関に対し1カ所当たり約375万円、未収金防止に向けて保険者と医療機関の連携体制を構築するなどの取り組みをする市町村に対し1カ所当たり約49万円の補助金を交付する計画だ。具体的な交付要綱などについては、新年度予算成立後に示す。
医療機関の未収金をめぐっては、四病院団体協議会が加盟病院で過去3年間に約426億円が未収となっているとする調査結果を公表。こうした調査を踏まえて、厚労省が設置した検討会が7月にまとめた報告書では、未然防止策の重要性を訴え、医療機関と保険者などが連携し、生活保護や無料低額診療事業の紹介を図る有効性を指摘。医療機関側にも、患者側に対して各種制度の情報提供の徹底を求めるとともに、従来より踏み込んだ回収努力の必要性を訴えている。
■「産科医と助産師の協働」で指針作成/厚労科学研究班、年度内に
産科医不足が深刻化する中、厚生労働科学研究班(研究分担者=中林正雄・愛育病院長)は、病院・診療所の産科医と助産師が医療チームとして協働するためのガイドラインを、2008年度末までに策定する計画で作業に入っている。日本産科婦人科学会、日本産婦人科医会、日本看護協会、日本助産師会、日本助産学会の共同事業として進める方針。
産科医不足による周産期医療をめぐる問題の短期的改善策として、産科医と助産師とのチーム医療の推進が必須となっている。研究分担者の中林氏は、病院などの勤務助産師の約7割が、産科医と連携しながらの妊娠・分娩管理を1人で行うことに不安を感じているとの調査結果を重視。勤務助産師らが抱える不安の打開策について(1)産科医と助産師の相互の信頼関係構築、(2)エキスパート助産師(認定助産師)の認定制度の創設─の2つの方策を念頭に置いている。
研究班は、産科医と助産師が相互に信頼関係を構築するには、一定の知識・技術水準を維持しながらチーム医療体制を整備することが不可避と判断。そのツールとして新たなガイドラインを策定することにした。
産科領域でのガイドラインは、日産婦が今春刊行した「産婦人科診療ガイドライン 産科編 2008」と、日本助産師会が04年に策定した「助産所業務ガイドライン」がある。しかし両ガイドラインはそれぞれ独自に作られたもので、産科医と助産師の共通した治療のためのガイドラインとの目的で策定されたわけではない。研究班が作成する新ガイドラインでは、ハイリスク妊婦が多い病院でのガイドラインと、ローリスク妊婦を主体とする有床診療所でのガイドラインについても検討する。
■精神病床数の方向性、09年夏に提示へ/厚労省検討会が論点整理
厚生労働省は9月3日、「今後の精神保健医療福祉のあり方等に関する検討会」(座長=樋口輝彦・国立精神・神経センター総長)を開き、「これまでの議論の整理と今後の検討の方向性(論点整理)」を提示した。2004年に策定した「精神保健医療福祉の改革ビジョン」の後期5年間の重点施策について示しており、09年の障害者自立支援法改正に向けた地域生活支援や、精神病床数の目標値の設定など精神保健医療体系の方向性を盛り込んだ。
論点整理は(1)精神障害者の地域生活への移行と支援、(2)精神保健医療体系の再構築、(3)精神疾患に関する普及啓発─などが柱。検討会は08年中に障害者自立支援法改正について議論した上で、年明けの09年から認知症対策をはじめとした精神保健医療の検討を開始。09年夏には最終的な取りまとめを行う予定だ。
論点整理によると、精神病床の入院患者は05年時点で統合失調症患者(61%)が最多で、次いで認知症患者(16%)が占めていたと説明。認知症を主傷病とする入院患者はさらに増加する見通しにあるとした。その上で、統合失調症患者の地域生活への移行・支援と合わせて、増加する認知症患者の入院医療の在り方を検討する必要性があるとした。
精神病床の取り扱いについては、現段階では意見の集約に至っていないとした上で、「精神病床削減ありきでなく、地域の医療・福祉基盤を整備すること」「認知症対応のために必要な精神病床を検討し、適正な数とすること」などの意見が上がっているとした。厚労省は最終取りまとめに精神病床数の具体的な方向性を盛り込むとしている。
■発達障害者支援法見直しへ報告書/厚労省・検討会
厚生労働省の「発達障害者支援の推進に係る検討会」(座長=市川宏伸・東京都立梅ヶ丘病院院長)の報告書が9月2日までにまとまった。2005年施行の発達障害者支援法が3年後をめどに見直されることも踏まえ、発達障害者支援の固有の課題について検討結果をまとめた。
同検討会は発達障害者支援について(1)当事者とその家族に対する支援提供の流れに沿った課題、(2)発達障害者支援に携わる関係者の役割と課題-の2つの観点で整理した。
当事者と家族に対する支援については、医療、保健、福祉、教育、労働など、さまざまな関係機関が連携を図りながら支援や研修を行う必要性を指摘し、連携システムの構築を強く求めた。支援に携わる関係者の課題では、医療機関や精神保健センターなどで専門的な支援を行う専門職の役割に言及。日常的な情報収集や研修への積極的な参加、さらにケースカンファレンスの実施などを通じて、的確に助言できるまで技術を高める必要性を指摘した。
今後の方向性については(1)地域支援体制の整備、(2)支援手法の開発、(3)調査・研究の取り組み、(4)人材の育成、(5)情報提供・普及啓発-の各項目にまとめた。特に発達障害の診断や治療を行う医師など、専門的な支援を行う人材を養成するため、実地研修のシステムづくりに着手する考えを盛り込んだ。
■被保険者資格証明書の交付世帯を調査/厚労省
国保の被保険者資格証明書の交付によって子どもに受診抑制が起きているとの指摘を受け、厚生労働省保険局は、都道府県を通じて市町村に被保険者資格証明書の運用状況を聞く調査を始めた。調査では、9月15日時点での資格証明書を交付している世帯数と、このうち子どもがいる世帯数、さらに子どもの人数を乳幼児と小学生、中学生に分けて調べる。このほか、市町村が文書や電話、訪問などの連絡手段で滞納者の状況を把握しているかどうかなどについても聞く。保険局によると、調査票の提出は9月末で締め切り、調査結果の公表は10月中旬を予定している。
■09年度の政管健保、保険料率は0.1~0.3%増加/社保庁推計
社会保険庁の政府管掌健康保険事業運営懇談会(座長=稲上毅・労働政策研究・研修機構理事長)は9月3日開かれ、社保庁が政管健保の2009年度収支イメージを示した。医療保険の保険料率は0.1~0.3%増加するとの推計を出している。
社保庁は概算要求ベースで推計した2種類の09年度収支イメージを出した。現行の保険料率のままだと09年度も支出が収入を上回る赤字になるとした。
その上で、事業運営安定資金の1800億円をすべて取り崩した場合でも保険料率は0.1%の引き上げが必要としている。逆に事業運営安定資金を取り崩さず残した場合は、0.3%の引き上げになると推計した。09年度の支出は7兆5900億円となり、07年度決算ベースと比べ3458億円の増加と見ている。ただ今後、政管健保の運営を行う全国健康保険協会の予算策定によって推計値の変動もあり得るとしている。
また社会保険病院と厚生年金病院の取り扱いについては、4月の与党協議で「年金・健康保険福祉施設整理機構」(RFO)に移管することで合意したと報告。移管後の譲渡先について、社保庁は「与党合意を踏まえ地域の基幹病院の機能が損なわれないよう注意しながら対応していく」とした。
政管健保の07年度単年度収支決算についても報告した。医療・介護を合わせ1352億円の赤字で、02年度以来5年ぶりの赤字決算だったとした。赤字の原因は医療の高度化による保険給付費の増加と退職医療制度による国保への拠出金が高齢化で増加したことなどを挙げた。
■医師派遣機能、低下の原因探る/厚労・文科の合同検討会8日に初会合
厚生労働省と文部科学省は合同で、より質の高い医師の養成に向けて現在の大学医学部教育や卒後臨床研修の在り方について検討する「臨床研修制度のあり方等に関する検討会」を設置し、9月8日に初会合を開く。検討会の座長には自治医科大の高久史麿学長が就任する見通しで、数回の議論を経た後、年内をめどに一定の結論を得る。また、医師の後期臨床研修の在り方を検討する作業班も9月中に立ち上げ、2009年3月までに一定の結論を得る。
検討会の初会合では自由討議を行うほか、今後の議論の進め方などを検討し、2回目以降、テーマごとの議論を進める予定。
現在の卒後臨床研修制度のスタートによって、大学医学部の医師派遣機能が低下したと指摘されているほか、医師の不足や地域偏在のきっかけになっているとの意見もある。卒後臨床研修制度の在り方をめぐっては、厚労省の医道審議会医師分科会医師臨床研修部会で検討中だが、厚労省は「医師不足や地域偏在は卒後臨床研修だけが原因ではなく、大学の医学教育からのシームレスな対策が求められる」と判断。厚労省の「安心と希望の医療確保ビジョン具体化に関する検討会」でも厚労、文科両省が連携して課題解決に取り組む必要性が指摘されたことなどから、両省で検討会を設置することになった。
■医学部定員、760人増へ/文科省、ピーク時を280人上回る
医師不足問題をめぐって、文部科学省は8月29日、各大学による09年度の医学部定員の検討状況をまとめた。定員は08年度より計760人程度増え8560人程度となる見通し。増員の内訳は国立42校の363人、公立8校の80人程度、私立29校の320人となっている。
政府は6月に「過去最大程度まで増員する」との方針を閣議決定したが、大学側の検討通りに進めば、ピークだった1982年を280人程度上回ることになる。
文科省は政府方針を受け、医学部定員拡大の申請を10月末まで追加で受け付ける。各大学の提示する地域医療への貢献策などを審査した上で、年内に実際の増員数を決定する予定。
■NICU1カ所当たり5000万円補助/文科省09年度概算要求
大学病院の産科・小児科医不足対策として、文部科学省は2009年度予算概算要求に98億7000万円を計上した。産科・小児科の女性医師の復帰支援として人件費を補助する事業を盛り込んだほか、大学病院が地域医療の「最後の砦」として担う産科・小児科医療を整備するために、大学病院の集中治療室1カ所当たり3000万~5000万円の経費を補助する方針を示した。
こうした新規事業は、文科省が政府の「5つの安心プラン(医療対策)」に基づき概算要求に盛り込んだ「医師不足対策人材養成推進プラン」の一環で、(1)産科・小児科医療などに関する教育環境の整備、(2)産科・小児科分野の女性医師の復帰支援、(3)産科医の負担軽減のための院内助産所などを活用した助産師養成-が柱。
産科・小児科医療の教育環境整備としては、大学病院の集中治療室を対象に、指導医への手当や教育にかかわる機材購入、産科医の負担軽減に当たってのコメディカルの雇用経費などを補助する。
大学病院の集中治療室は全国で187カ所で、NICUとMFICU(母体・胎児集中治療管理室)は1カ所当たり5000万円、CCUとICUは1カ所当たり3000万円を補助する予定。概算要求では83億円を計上した。
産科・小児科医療にかかわる女性医師の復帰支援では、1人当たり約120万円の人件費(各大学病院で6人程度)を補助する方針。概算要求では大学病院79施設を対象に、5億7000万円を要求している。
このほか、院内助産所や助産師外来を活用した助産師養成環境を整備するために10億円を要求した。産科医の負担軽減のための短期的対策として、大学病院の助産師の質を高めるのが目的。助産師教育の一環として院内助産所や助産師外来を開設したり、シミュレーターなど教育機器を整備する大学病院10施設に、各1億円の経費を補助するとしている。
■財政審、11月中旬にも建議
財務省の財政制度等審議会財政制度分科会(西室泰三会長)は9月3日、財政構造改革部会、法制・公会計部会との合同会議を開き、2009年度の予算編成に向けた議論を開始した。今後は、経済情勢や各歳出分野の予算編成上の諸課題について調査審議を行った上で、11月中・下旬をめどに建議を取りまとめることを確認した。
財政審は、6月に取りまとめた建議や、政府が同月末に閣議決定した「経済財政改革の基本方針2008」を踏まえて議論を進める方針。こうした方針を踏まえ、今後の財政運営の在り方や、09年度予算での歳出抑制と予算配分の重点化・効率化を図るための具体的方策について審議する。財政審は11月に建議をまとめ、政府がまとめる予定の「予算編成の基本方針」に反映させたい考えだ。
■急患受け入れ拒否で調査へ/病院側の詳細理由を把握
救急患者の受け入れ拒否問題の再発防止策を検討している総務省消防庁の作業部会は9月4日、医療機関側の詳細な拒否理由を正確に把握するため、08年中に東京都内で1カ月間の調査を実施する方針を決めた。調査は、東京消防庁の10ある方面本部のうち、都区部と郊外を選んで行う。搬送中に患者の受け入れを照会した救急隊員がチェックリストを基に病院側の回答内容を記入する。
リストでは拒否理由として多数を占める「ベッド満床」について「救急専用ベッド」「集中治療室のベッド」などに細分化。「処置困難」についても「設備不足」「手術スタッフ不足」「高次医療機関での対応」など複数項目を設けて該当理由を把握する。【共同】
■保岡法相「訴追は謙抑的に」/控訴断念で見解表明異例
福島地検が福島県立大野病院事件の産科医への無罪判決に対する控訴断念を表明した8月29日午後、保岡興治法相が記者会見し、事件に関するコメントは控えると前置きした上で「医療事故の刑事訴追は設置が検討されている医療安全調査委員会といった第三者委員会の専門的判断を尊重し、謙抑的に対応すべきだ」との見解を示した。
法相が個別の事件に関連し、間接的ながらも意見を述べるのは異例。
会見で保岡氏は「医療が萎縮してはいけない。第三者委員会の1日も早い設置が望まれる。法相として必要な協力をしていきたい」と強調。
その上で「政府与党が第三者委員会の構想を準備し、今国会での法案成立を期しているところ。刑事司法の謙抑的な対応は事実上始まると思う」と語った。【共同】
■「起訴は間違っていない」/検察、語気強める場面も
福島県立大野病院事件で控訴を断念した福島地検の村上満男次席検事は8月29日、表情を変えずにコメントを読み上げた。時折目をつむり言葉を選びながら説明した。
「福島地裁判決は望ましいものではなかったか」と報道陣が確認すると「もちろんそうだ」と気色ばむ場面も。「起訴自体は法律と証拠に基づいており、間違っていない」と言い切った。
「癒着胎盤の症例が少ないことも断念の理由か」との質問には「理由ではない。新たな証拠が出せないから断念したのではない」と語気を強めた。
「今回の判決を受け、より慎重かつ妥当に捜査したい」とも。遺族に対しては「お悔やみ申し上げます、と言うしかない」と言葉少なに語った。
事件で死亡した女性(当時29)の父渡辺好男さんは取材に応じ、地検の控訴断念について淡々とした様子で「コメントはない」と話した。
一方で「知りえなかったことが捜査や公判で分かった。自分たちで追及しても限界があった。医療界は(真相究明に)前向きに見えなかったから」と捜査当局にあらためて謝意を示した。
その上で「有罪、無罪に関係なく、医療界は原因究明を進めてほしい。娘の死を再発防止に生かして」と力を込めた。【共同】
■大野事件で無罪確定、産科医が復職/福島県、減給処分取り消しへ
福島県立大野病院で2004年に帝王切開手術を受けた女性(当時29)が大量出血して死亡した事故で、業務上過失致死などの罪に問われた加藤克彦医師(40)の無罪が確定、9月4日付で復職したことを受け、県病院局は同日、加藤医師の減給処分を取り消す方針を固めた。近く開かれる県病院局懲戒審査会で正式決定する。
県の事故調査委員会が05年3月、加藤医師の医療ミスを認める報告書をまとめたことを受け、県は同年6月、加藤医師を減給1カ月の懲戒処分としていた。
県病院局はこの報告書についても、見直しを含めた検討を行うとしている。
■大野事件の控訴断念「極めて妥当」/内科学会など14学会が声明
日本内科学会と内科関連13学会は9月1日、福島県立大野病院事件の無罪判決に関する声明を発表した。声明では、福島地裁の無罪判決と福島地検による控訴断念について「極めて妥当な判断」と評価。司法の場でも臨床現場での専門的な判断が尊重され、医療現場での混乱の収拾に寄与することになるとの期待感を表明した。
また、医療事故の真相解明に刑事裁判がそぐわないことが明らかになったとの見方を示し、厚生労働省が検討している診療関連死の原因究明制度創設にも触れながら、医療の専門家が参加して医療事故の真相究明・再発防止を行う調査委員会の設置に努力する意向を強調した。
今回の声明は日本内科学会のほか、日本消化器病学会、日本肝臓学会、日本循環器学会、日本内分泌学会、日本糖尿病学会、日本腎臓学会、日本呼吸器学会、日本血液学会、日本神経学会、日本アレルギー学会、日本リウマチ学会、日本感染症学会、日本老年医学会の全14学会が連名で発表した。
■全国医師連盟、安全調法案に「反対」/近く独自試案を公表へ
全国医師連盟は9月1日、厚生労働省が公表している「医療安全調査委員会設置法案(仮称)大綱案」に基づく診療関連死の原因究明制度創設に反対する声明を発表した。民主党が制度の対案として準備している試案についても不十分との見方を示し、独自の試案を公表する考えを明らかにした。
声明では大綱案について「医療事故の原因究明が困難」「医療者に対する不当な刑事訴追を防止する仕組みが不十分」などと指摘。一方で民主案については「事故の真相究明、再発防止の観点からは大綱案より評価できる」としながらも、遺族による告訴や捜査機関の独自捜査による刑事立件への制限が考慮されていないと問題視している。
この日示した独自試案の骨子では、調査委を内閣府外局として設置することを提案。高等裁判所の所在地に地方委員会を設け、裁判所が発行する令状に基づいて事故を調査する権限を持たせる。調査委で取り扱う事例は医療事故による死亡のほか医療行為に伴う健康被害も含める。
調査委が「医学的に大変不適切で刑事手続きに乗せることが相当」と判断した場合には捜査機関に通知する。業務上過失致死については、特別法で調査委の通知と遺族による告訴の両者がある場合に立件する「親告罪」に規定するほか、捜査機関が犯罪の疑いを持った場合も調査委に調査を依頼し、「刑事手続き相当」の意見が出るまでは捜査に着手できないようにする。具体的な内容を盛り込んだ試案は9月中にも公表する考えだ。
■医師供給システム再構築を要望/銚子市立病院休止で千葉県知事
千葉県の堂本暁子知事は9月2日、銚子市立総合病院が9月末に休止することを受けて、自治体病院の支援に関する緊急要望書を舛添要一厚生労働相に提出した。要望書では医師不足が病院休止の原因なのは明白とし、新医師臨床研修制度の見直しも視野に入れた医師の供給システムの再構築を求めた。09年度に新設される救急医や産科医に対する所得支援の早期実現も要望し、自治体病院に対する早急な医師確保を訴えた。
堂本知事は「医師が不足している地域や診療科へ、医師が回っていく仕組みを構築しなければ、養成数の増が地域の医療提供体制の確保につながらない」と指摘。要望書提出後、記者団に対し「具体的にドクターを千葉に送り込んでもらうなどしないと、この緊急事態はなかなか解決しない。2年、3年と待っていられない」と述べた。
要望書には、自治体病院の支援策として(1)社会保障制度の見直しと緊急財源確保、(2)医師の供給システムの再構築、(3)09年度予算への要望―の3項目を明記した。
新医師臨床研修制度の見直しに関しては、現在2年の初期臨床研修を3年に延長し、最後の1年は都道府県知事が指定する地域病院での勤務を義務付けるなど、新たな仕組みが必要とした。
09年度予算については、交代制勤務に対する補助の増額や延長も訴えた。
■高齢者の受診抑制を懸念/国民医療費概況で日医見解
日本医師会は9月3日の定例会見で、厚生労働省が8月28日に発表した「2006年度国民医療費の概況」に対する見解を示した。会見で中川俊男常任理事は、国民医療費総額の伸びについて「厚労省はこれまで、『医療費の伸びは制度改正や診療報酬改定の影響を受けなければ年3~4%だ』と主張してきたが、2002年度以降の平均は2.6%と"2%台"にとどまっている」と指摘した。また80代、90代の占める割合が増加しているにもかかわらず、75歳以上の1人当たり国民医療費が対前年度比2.9%減の79万5100円となったことについて、「背景には入院外医療費の長期的な低下傾向があるほか、高齢者の受診抑制も懸念される」との考えを示した。
中川常任理事は75歳以上の1人当たり国民医療費の内訳として、入院外医療費が減少傾向にあることなどを挙げ、「長年にわたる医療費抑制の結果、高齢者の1人当たり医療費が伸び続けるといった実態ではなくなっている」と指摘した。また、75歳以上の1人当たり生活習慣病医療費も減少傾向にあると説明。傷病別に見ても悪性新生物を除き、高血圧性疾患、脳血管疾患、糖尿病、虚血性心疾患がともに長期的な減少傾向にあることから、「長年の医療費抑制によって、とりわけ高齢者が必要な医療を受けられなくなっていることが懸念される」とした。
一方、0~74歳の1人当たり生活習慣病医療費については「08年度に始まった特定健診が医療費抑制ありきではいけない。早期発見、早期治療により国民の健康が向上し、その結果として適切な医療費が保たれるべきだ」と訴えた。
■産科・小児科対策、本来は診療報酬で/日医、厚労省概算要求で見解
日本医師会は9月3日の定例会見で、厚生労働省の2009年度予算概算要求に対する見解を公表した。会見で中川俊男常任理事は「社会保障費の自然増に対する年2200億円の国庫負担削減が維持されていることは極めて遺憾だ」との認識をあらためて表明。その上で「救急、産科、小児科、勤務医対策が重視されている点は評価するが、本来は診療報酬の引き上げで手当てすべきだ」と指摘した。
厚労省の概算要求では、368億円を計上した医師確保対策のうち、夜間医療を担う医師に対する夜間・休日手当として、国、都道府県、市町村がそれぞれ3分の1以内を補助する仕組みで41億円を盛り込んでいる。これについて中川常任理事は「医療機関が手当を出さなければ国も補助金を出さない。また都道府県や市町村は全国的に財政難であり、実効性を伴わない危険性がある」と指摘。「一部補助のような中途半端な形では、(補助金を除いた)残りを捻出できない医療機関はまったく恩恵を受けることができず、結果として地域医療での格差がより広がる恐れがある」と述べた。
また関係職種間の役割分担の見直しとして、医師と看護師などの役割分担・協働の促進(研修費用)に31億円が計上されたことなどを挙げ、「まずは責任の所在を明らかにした上で、業務分担についての厳格な議論と判断が求められる」と説明。さらに「研修可能な要員を抱えている医療機関のみに予算が付くことになる。特定の医療機関への補助ではなく、医師や看護師の不足・偏在の解消を重視すべきだ」と訴えた。
医療事務作業補助者を設置する病院に対する支援(8.2億円)については「診療報酬上の『医師事務作業補助体制加算』と重複している」と述べ、政策的予算と診療報酬との関係を明確にする必要もあるとした。
レセプトオンライン化の推進として26億円が計上された点について、中川常任理事は「国や保険者、審査支払機関側の体制整備の費用のみと推察される」と指摘。医療現場の体制整備がまったく考慮されていないとしながら、(1)レセプト手書き医療機関への支援や代行入力支援(各医師会のシステム構築など)に必要な初期費用、(2)レセコン利用医療機関を対象としたオンライン化支援(オンライン請求対応費用)─が最低でも必要と強調した。
社会保障カード(仮称)の導入に向けた検討に5.3億円が計上されたことについては「国民総背番号制につながる恐れがあり、管理された社会保障給付になって、縮小につながる危険性もある」と述べ、医療現場や国民生活に混乱を招かないためにも、制度設計に入る前に議論を深めるべきだとした。
■優れた臨床医養成、医師不足の解消も/四病協メディカルスクール報告書案
四病院団体協議会の「メディカルスクール検討委員会」のまとめる報告書案は、メディカルスクールを「大学の学部4年間において幅広い教養教育の学習を修了し卒業した者を対象として、医療に関する専門的な学修を集中的に行う医学教育システム」と定義した。このため医療への献身的な心構えを持った学生が入学するとして、「より優れた臨床医が養成される可能性が高くなる」と期待感を示した。
報告書案では、日本の医学教育課程を経た医師と、北米でのメディカルスクールを卒業した医師の平均像を比較。メディカルスクールを卒業した医師に対し「臨床医としての強い動機付けがなされており、コミュニケーション能力に優れ、広い教養を有する優れた臨床医」と分析した。病院にメディカルスクールを付設する形で教育することからも、優れた臨床医を生みやすいとしており、病院での医師不足解消にもつながるのではないかと指摘している。
従来の6年間の医学部教育と比較して、メディカルスクール入学前の4年間の大学教育で幅広い基礎学力を持った学生を対象とするため、質が高く、斬新な教育を採用できるとも指摘した。
メディカルスクール導入に向けては、卒後研修で高い評価を受けている代表的な病院群が共同で米国の卒後研修制度に匹敵する卒後教育プログラムを作成。このプログラムに基づき、病院群の医師総数の3分の1に相当する学生数を1学年とする4年制のメディカルスクールを創設すると提案した。
受験資格は、生物学などの所定の必須項目を履修した4年制大卒業生に限定。合格者は、米国のカリキュラムに準じて基礎から臨床までを修得する。
臨床医学の教授は卒後研修を担当する臨床医が当たる。基礎医学の教授は、既存の医学部の基礎系教授陣から希望者を募り、1つの診療科について数人のグループを形成。パートタイム形式でそれぞれを特任教授として教育に従事してもらうとした。
■一般医療法人の認可「予想外に早かった」/社会医療法人協議会
全国で2番目の社会医療法人認定施設が特定・特別医療法人枠ではなく、一般医療法人だったことに、医療関係者の驚きが広がっている。医療法人誠光会(滋賀県草津市)が9月1日に認定されたことについて、社会医療法人協議会の加納繁照幹事(特定・特別医療法人協和会加納総合病院理事長)は、「社会医療法人に対して医療法人が強い関心をもっていることは、現場でも感じている。しかし、こんなに早く医療法人が認定されるとは予想していなかった」と驚きを隠さない。
これに対して厚生労働省は「一般医療法人が社会医療法人の認定要件を満たすのは容易ではない。社会医療法人制度を育てて行く上でも、意義があったのではないか」(指導課)としており、特定・特別医療法人に限らず一般医療法人が社会医療法人を目指す動きを歓迎している。
介護編
■介護職員定着に向けた報酬改定を/総務省、厚労省に勧告
増田寛也総務相は9月5日、介護サービスの利用者が増加する一方、事業者が介護サービス従事者を確保することが困難な状況にあるとし、職員の定着に向けて介護報酬を含む具体的な改善策に取り組むよう舛添要一厚生労働相に勧告した。
総務省によると、介護サービス従事者の離職率は21.6%で全産業平均の離職率16.2%より高いほか、介護関連職種の求人倍率2.10倍も全職種の平均求人倍率0.97倍より高い状況にある。総務省は「厚労省は離職や未就業の原因把握のほか、どのような対策が講じられれば就業するのかなどについて調査すること」と勧告。その上で介護サービス従事者が定着するような介護報酬の算定を求めた。
また増田総務相は、市町村が行う介護サービス事業者に対する監査体制の整備策を講じることも舛添厚労相に勧告した。総務省によると、不正受給などによって2000~05年度に指定取り消しを受けた介護事業者は328事業所に上り、介護給付費の返還請求額は約55億円に達した。厚労省は不正な介護サービスが提供されていないか市町村に監査を求めているが、06年度に実施した総務省の調査によると、調査した76市町村のうち19市町村が監査を実施していなかった。
■同居家族いても生活援助の算定可/厚労省が再度通達
厚生労働省は8月25日付で、同居家族がいる場合の訪問介護サービス・介護予防訪問介護サービスの生活援助の取り扱いについて各都道府県に事務連絡した。同居家族の有無だけを判断基準として生活援助を利用させないケースがみられることから、そうした支給判断をしないよう呼び掛けた。
生活援助は掃除や洗濯、調理など日常生活の援助を指し、「利用者が単身である場合や、家族が障害や病気のために家事が行えない場合」を算定基準としている。
事務連絡では、同居家族がいるだけで一律的に支給を認めない市町村があると指摘。生活援助の支給に当たっては、同居家族の有無だけではなく、利用者の状況に応じて具体的な判断をするよう求めた。
また訪問介護サービスでの生活援助の考え方をまとめた「訪問介護・ケアマネジメントツール」を参考資料として提示した。同冊子には算定可否を判断するためのチェックリストや対応事例集が載っており、川崎市介護支援専門員連絡会のホームページ(http://www.kawasaki-caremane.jp/)から入手できる。同居家族などがいる場合の生活援助の取り扱いについては、厚労省は07年12月20日付でも同様の事務連絡を送付している。
■介護保険料の軽減措置を延長/第4期計画、厚労省が政令案
厚生労働省は9月3日、介護保険法施行令と国庫負担金の算定に関する政令の一部改正案をまとめた。税制改正に伴う第1号被保険者の介護保険料の激変緩和措置が終了することを受け、第4期介護保険事業計画(2009~11年度)でも同水準の軽減措置が講じられるようにする。また第4期計画の第2号被保険者(40~63歳)の財政負担割合を30%にする。厚労省は10月3日まで意見募集する。
介護保険料の軽減措置の対象となるのは、保険料負担段階が「第4段階」で、公的年金などの収入額と所得の合計額が80万円以下の第1号被保険者。第4期計画期間中、保険者の判断で保険料が軽減できることにする。
第2号被保険者の介護保険財政の負担割合は30%とする。第3期計画(06~08年度)の負担割合は公費50%、第1号被保険者19%、第2号被保険者31%だった。
■介護サービス事業、事務負担軽減で省令改正/厚労省、1日から
厚生労働省は、福祉用具貸与にかかわるサービス担当者会議などの開催頻度を見直す省令改正をし、9月1日から施行した。介護サービス事業の事務負担軽減策として、事務手続きや会議の簡素化を図ることが狙い。これまで「6カ月に1回開催」としていた福祉用具貸与のサービス担当者会議を「随時必要なときに開催」とするなど、運用の弾力化を図る。厚労省は同日付で各都道府県に通知した。
このほか省令改正では、老人保健施設や特別養護老人ホーム、介護療養型医療施設での感染対策委員会の開催頻度を「1カ月に1度程度開催」から「おおむね3カ月に1回」とし、必要に応じ開催すると改正。さらに、感染対策委員会を事故防止委員会と兼ねることができるようにした。
厚労省はまた、特養での看取り介護加算の算定要件を見直し、1日付で告示した。加算の算定要件にある「本人または家族への説明・同意」について、少なくとも週1回とされているところを「入所者の状態に応じ随時行う」に改めた。
介護サービス事業の事務負担軽減策については、7月にも関係通知を改正。介護報酬の加算手続きなどに当たって様式や項目を簡略化した。
■介護福祉士の養成校、今春入学者は定員の46%/「低収入」などで敬遠
高齢者や障害者を介護するための国家資格「介護福祉士」取得を目指す学生を養成する全国の大学や専修学校などで入学者の定員割れが深刻化し、2008年度の定員全体に占める実際の入学者の割合(充足率)は45.8%と半分を下回ったことが9月1日、厚生労働省の調査で分かった。
背景には、仕事の肉体的なきつさや労働実態に見合わない「低収入」などで就職先として魅力がなくなり、保護者らの反対で進学を敬遠する動きが指摘されている。介護専門職の人材を育てる養成校で大幅な定員割れが続けば、将来の労働力不足が懸念され、介護サービスの質の維持にも影響が出そうだ。
08年4月1日現在の大学や短大、専修学校など国が指定する養成校434校の定員数2万5407人に対し、入学者数は計1万1638人。
充足率は、厚労省が集計を始めた06年度に71.8%(入学者数約1万9300人)、07年度は64.0%(同約1万6700人)と低下に歯止めがかかっていない。
学校種別では、学校数が多い順に専修学校で41.3%(07年度は59.9%)、短大で51.0%(同69.3%)、大学で67.1%(同85.2%)、高校専攻科で17.5%(同43.3%)。
04年に約100万人だった介護サービスの職員数は、14年には140万~160万人が必要とされる。入学希望者を増やすため厚労省は09年度から、介護現場の経験者らが中学、高校の生徒や進路指導の担当教師にアピールする説明会を開く。
一定の研修や実習で比較的簡単に資格を得られる介護ヘルパーに対し、より高い専門性が求められる介護福祉士は、専修学校などの養成校を卒業するか、3年以上の実務経験などの条件を満たして国家試験に合格する必要がある。【共同】
京都編
■市内の特定高齢者912人/長岡京市
京都府長岡京市が2007年度、近い将来に介護が必要になる恐れのある「特定高齢者」と決定した人は、912人だったことが市地域包括支援センターのまとめで分かった。この特定高齢者のうち、運動や栄養指導などのケアプランを作成した人は1割にとどまり、「自分は元気だ」と感じている人の多いことが目立っている。
特定高齢者は、市が基本健康診査に合わせ実施した「生活機能評価」アンケートで一定の項目に答えた人を候補者とし、医師の意見などを踏まえ決定する。特定高齢者とされた人は、市町村が実施する筋力トレーニングや栄養指導などの介護予防事業を利用できる。
07年度に特定高齢者と決定された人は同市の65歳以上人口の約6%にあたる。ところが、その中で介護予防のケアプランを作成した人は106人で利用率は11.6%。すでにほかの介護予防サービスを利用している人を加えても、利用率は22.9%にとどまる。
市地域包括支援センターが、サービス利用をしなかった人に理由を尋ねたところ、「(元気で)必要と感じていない」との答えが287人でトップ、「趣味や友人との付き合い」「家族の世話がある」などで時間が取れないといった答えが続いた。
この結果に対し、市地域包括支援センターは「介護予防のプログラムの中身を充実させていきたい。健康寿命を延ばすためにも気軽に参加して」としている。
■DV、4割が被害経験/京都府、初アンケート調査
配偶者や交際相手からの暴力(ドメスティック・バイオレンス=DV)に関する京都府のアンケート調査で、回答者の4割近くが手を上げられるなどの身体的暴力や、暴言を受けるなどの精神的な暴力を受けた経験があることが分かった。府男女共同参画課は「DVは人権侵害に当たる。精神的暴力を減らす施策も考える必要がある」としている。
調査は、府のDV防止計画の改定に伴い、7月に初めて実施された。15歳以上の男女計1650人からインターネットで回答を得た。被害経験のある人は男女合わせて618人で、全体の37.5%を占めた。暴力の形態では精神的暴力が約3割、身体的暴力は約2割だった。
具体的な被害経験について聞くと、精神的暴力に当たる「急に機嫌が悪くなったり優しくなったりして、いつも気を使わされる」が14.7%で最も多かった。「物を投げつけられたり壊されたりした」が12.9%、「手を上げられた」11.9%、「何を言ってもしても無視された」10.8%と続いた。
被害経験のある女性のうち「別れようと思ったが、別れられなかった」と答えた人は約5割に上り、別れられなかった理由として「子どものことが気掛かり」「経済的な不安」が上位を占めた。誰かに相談したことがある人は約2割だった。
DVを防ぐために必要な取り組みでは「家庭における子どもへの教育」、「加害者への罰則強化」がともに4割を超えた。
調査・データ編
■出生率が2年連続増加/07年人口動態統計の確定数
厚生労働省は9月3日、「2007年人口動態統計(確定数)の概況」を発表した。出生数は前年比2856人減の108万9818人で、6年ぶりに増加した前年から再び減少に転じた。1人の女性が一生の間に産む子どもの数を推計した「合計特殊出生率」は1.34で、2年連続で上昇した。
出生数を母親の年齢別に見ると前年増加に転じた20~24歳が12万6180人(前年比4050人減)、30~34歳が41万2611人(同5165人減)と再び減少。25~29歳は32万4041人(同1万1730人減)で前年に引き続き減少した。35歳以上では増加し、35~39歳18万6568人(同1万5793人増)、40~44歳2万4553人(同2945人増)だった。
■老人医療費、最低は17年連続で長野/全国平均1.3%の伸び
2006年度の都道府県別1人当たり老人医療費が最も低かったのは、17年連続で長野だったことが、厚生労働省保険局調査課のまとめで分かった。一方、最も高かったのは福岡で、両県の差は1.50倍となった。全国平均は83万2373円で前年度比伸び率は1.3%増だった。詳細は「06年度老人医療事業年報」に掲載し各都道府県に送付した。
06年度老人医療費の総額は11兆2594億円で前年度より3850億円、3.3%減となり、2年ぶりに減少に転じた。このうち診療費は9兆1492億円で前年度比2950億円、3.1%の減少。老人医療費の総件数は3億8817万件で、前年度比1058万件、2.7%減少となっている。
02年度の老人保健法改正で07年度まで段階的に老人医療対象年齢を引き上げていることから、受給対象者は前年度より64万9000人、4.6%減り、1352万7000人となっている。同課では受給対象者の減少によって老人医療費総額も減少したとみている。
■入院長引くほど社会生活機能に障害/統合失調症患者
厚生労働省は9月3日、「今後の精神保健医療福祉のあり方等に関する検討会」で、精神病床の利用状況調査(詳細結果)を報告した。統合失調症患者は、入院期間によって身体合併症などの割合に差はなかったものの、長期になるほど買い物や家事一般などIADL(手段的日常生活動作)の障害を持つ人が多いことが分かった。また、入院期間が長引くほど退院できなくなる傾向も見られた。
同調査は厚労省「精神医療の質的実態把握と最適化に関する総合研究」班(主任研究者=伊豫雅臣・千葉大大学院教授)が実施。調査の速報値はすでに報告されており、今回は論点整理を踏まえ、(1)入院期間による状態の違い、(2)入院期間や年齢による退院後の支援、(3)近い将来退院の可能性がない患者像-などについて詳細結果をまとめた。同調査の回答数は991施設、患者数は1万7825人。
統合失調症患者の身体合併症の状況を見たところ、「特別な管理(入院治療など)を要する」患者は入院1年未満13%、1年以上10%、5年以上9%で、入院期間によって大きな差はなかった。一方、IADLの困難度は、1年未満は「非常に困難」が52%に対し、5年以上では72%に上るなど、入院期間が長引くほど困難度が高まっていた。身体合併症とIADLともに、年齢が上がるほど割合が高くなっており、年齢とは強い相関関係が見られた。
入院患者の状態・退院の可能性については、「近い将来退院の可能性はない」患者は約45%で、入院期間別に見ると、1年未満21%、1年以上5年未満47%と長いほど多く、10年以上では55%に上った。退院できない理由は「セルフケア能力に著しい問題がある」「幻覚・妄想が重度」(ともに33%)、「迷惑行為を起こす可能性が高い」(9%)などだった。
このほか、退院した際の適切な居住の場についても調べた。入院期間1年未満では「家族と同居」が56%を占めた一方、1年以上は28%にとどまり、逆にグループホームなど施設への移行は入院が長引くほど適切との回答が多かった。
■中1・高3の麻しん接種率、30%台と低迷/厚労省調査、遠い目標95%
中学1年生を対象にした麻しんワクチンの接種率は38.8%、高校3年生の接種率は29.6%といずれも国が目標としている接種率95%に及ばないことが厚生労働省の調査で分かった。厚労省は9月3日の麻しん対策推進会議(座長=加藤達夫・国立成育医療センター総長)で調査結果を発表した。
麻しんと風しんの予防接種は2006年度から1~2歳と小学校入学前の2回にわたって実施している。07年、1回接種だった時代に十分に免疫を付けられなかった10代の子どもを中心に麻しんが大流行したことから、08年度から中学1年と高校3年の生徒に追加接種を行っている。
厚労省は4月から新たに始まった追加接種について6月までの接種率を調べた。調査結果によると、中学1年の接種率は38.8%だった。最も接種率が低い都道府県は鹿児島(24.4%)で、逆に高い県は茨城(71.2%)だった。高校3年では、接種率が一番低いのが大阪(17.5%)、高い県が佐賀(52.1%)といずれも地域格差があった。
国は麻しんの接種率を感染が広がらないとされる95%以上に押し上げた上で、12年度までに麻しんの排除を達成することを目標に掲げている。調査結果を受け、田代眞人委員(国立感染症研究所ウイルス第三部長)は「追加接種を始めた時点でこの数字では低すぎる。接種率が95%を超えないと12年の目標達成は難しい」と述べ、対策の充実を求めた。
加藤座長は接種率向上策として(1)都道府県の接種率を適時公表する、(2)自治体が未接種者に対し個別の接種勧奨を図る、(3)学校での集団的接種、(4)土日に診療所で接種できる機会を設ける─などを提案した。
■すべての救命センターが3年連続A評価/09年度評価基準の見直しへ
厚生労働省が8月28日に発表した救命救急センターの評価結果(2008年度)によると、全国に204施設ある救命救急センターのすべてが最高のA評価だった。全国すべての施設がA評価とされたのは06年度から3年連続。厚労省は救命救急センターの質をより充実させるため、09年度から評価項目を見直す方針を示している。
評価内容の見直しをめぐっては、厚労省が7月に開いた「救急医療の今後のあり方に関する検討会」で、産(婦人)科医による診療体制や医師の負担軽減体制などを評価する案を提示した。省内での調整を経て、09年度から新たな評価項目として適用することにしている。
救命救急センターの評価は、全体のレベルアップを目的として1999年度から実施されており、専任医師数や空床の確保数など施設の診療体制を中心に評価していた。評価結果は、99~05年度までは救命救急センターの運営費補助に反映。06年度からは、救命救急センター運営事業の基準額に反映させている。
■05~07年度収支状況を報告/社会保険病院専門家会議
社会保険庁の社会保険病院等に関する専門家会議(座長=田中滋・慶応大大学院経営管理研究科教授)が9月3日に開かれた。2005~07年度の社会保険病院の収支状況が示され、53病院のうち当期剰余がマイナスだった病院は06年度の17病院が07年度には13病院となり4病院減少した。また07年度にマイナスに転じた社会保険小倉記念病院については、他病院では03年度から始めていた病院整備のための積立金をまとめて計上したことによるもので、その分を除けばプラスになるとの説明があった。
厚生年金病院についても同様に05~07年度の収支状況が報告された。07年度に当期剰余がマイナスとなったのは4病院で、前年度と同数だった。
■産科補償制度、分娩施設の7割加入/評価機構が中間まとめ
09年1月に開始する産科医療補償制度の加入率が、8月末時点で分娩取り扱い施設の約7割となっていることが、事務局の日本医療機能評価機構の中間まとめで分かった。同機構は「制度開始までに加入率100%を目指しているが、実現に一定の手応えを感じている」としている。制度の対象となる妊産婦の情報登録が10月から始まるのを受け、各施設に対し9月末までに加入するよう働き掛ける方針だ。
日本産婦人科医会や日本助産師会の調査に基づいて把握した分娩取り扱い施設数に基づいて加入率を算出した。3350施設のうち加入済みは2277施設で加入率は68.0%だった。病院・診療所は71.1%、助産所は48.9%だった。都道府県別でも、おおむね60%以上の施設が加入しており、加入率が90%を超える地域も見られる。
ただ、日本産婦人科医会の地方支部が加入施設を取りまとめ中などの事情で、6%台にとどまっている地域もある。
同機構は、病院・診療所と比べて助産所の加入率が低い理由について「一般的に助産所で取り扱う分娩では、新制度で補償対象となる脳性麻痺児の発生経験が少ないと言われている。そのことが影響しているのではないか」と指摘。また、自治体病院などが加入する場合に必要な地方議会での条例改正などが遅れているために未加入となっているケースもあるという。
同制度では、加入施設から徴収した保険料を財源に、重度の脳性麻痺児に対して一時金と分割金合わせて3000万円を支払う。保険料は1分娩当たり3万円。保険料の負担分を分娩費用に上乗せすることが予想されるため、厚生労働省は出産育児一時金を引き上げる準備をしている。未加入施設で生まれた脳性麻痺児が補償対象とならない事態を避けるために、全分娩取り扱い施設の加入を呼び掛けている。
■後期高齢者医療費は9202億円/国保中央会が4月分発表
国保中央会は9月4日の記者会見で、後期高齢者医療制度(長寿医療制度)発足後初めてとなる2008年4月分の国保と後期高齢者医療の医療費速報値を発表した。後期高齢者の医療費は9202億円で、国保医療費8787億円を5%程度上回る。国保と後期高齢者の合計は1兆7989億円に上った。
ただ医療費の分析について多田宏理事長は「2~3カ月は様子を見た方がよいと思う」と指摘したほか、太鼓地武審議役も「半年間の状況をみて、しっかり報告したい」と説明した。
08年4月分の1人当たり医療費をみると後期高齢者は7万350円で、国保医療費の2万1864円との比較では約3.2倍となった。また後期高齢者の08年4月分の件数は2035万件、日数は6151万日となっている。1人当たり日数は4.70日、1日当たりの医療費は1万4960円だった。
同月分の国保医療費8787億円の内訳は、自己負担が2割の未就学者は212億円、前期高齢者4079億円、退職者582億円となっている。
また都道府県別に1人当たりの医療費をみると、後期高齢者で最大は福岡の8万7396円、最小は長野の5万6697円だった。最大と最小を比べると1.54倍の開きがある。市町村国保では、最大が広島の2万7967円で、最小だった沖縄の1万8527円との比較で1.5倍となっている。
■がん緩和医療、関心あるが普及せず/日医の医師意識調査
日本医師会の内田健夫常任理事は9月3日の定例会見で、厚生労働省の委託事業として行った「がん医療における緩和ケアに関する医師の意識調査」の報告書を発表した。調査結果によると、緩和ケアに関心のある医師は多いが、緩和医療が十分に普及していないことが示唆された。緩和ケアを普及させるためには、適切な知識と技術の普及のほか、緩和ケアの専門家への相談のしやすさなどが必要とした。
調査対象は日医会員の診療所医師9万4224人と、精神科のみの病院を除く病院医師17万3299人の計26万7523人で、回答数は9万7961人(回答率36.6%)だった。2008年1月9~18日の期間に、病院長あてに調査票を送付し、2月25日までに回答を求めた。
がん診療を行っている診療所医師について、がん緩和医療に「かかわりたい」21.4%、「ある程度かかわりたい」50.2%を合わせると71.6%に上った。病院医師も「かかわりたい」37.7%、「ある程度かかわりたい」48.4%となり、合計は86.1%に達した。
ただ、がん医療にかかわっている医師の緩和医療の知識と技術の自己評価は低く、「疼痛の緩和のための知識や技術は十分である」の問いに、「とてもそう思う」「そう思う」と回答したのは、診療所医師25.4%、病院医師35.5%にとどまった。
内田常任理事は「在宅医療やトータルな患者ケアを考えると、緩和ケアの普及には大きな意味がある」と述べた上で、がん緩和ケアに関する診療報酬の再評価も必要との考えを示した。
■認知症短期集中リハビリ、ADLなど有意な改善/全老健調査
2006年度介護報酬改定で創設された「認知症短期集中リハビリテーション実施加算」を算定している利用者は、認知症短期集中リハビリの実施後にADLなどが有意に改善していることが9月5日、全国老人保健施設協会の研究結果で分かった。特に暴言や徘徊など「周辺症状」(問題行動)で顕著な改善がみられた。全老健の川合秀治会長は5日の記者懇談会で「認知症短期集中リハビリが効果を挙げていることが証明された」と述べた上で、次期介護報酬改定に向け、報酬引き上げや算定要件の緩和が必要だとした。
同加算は06年度介護報酬改定で、介護老人保健施設の認知症高齢者に対するリハビリの評価として創設。1人の医師または理学療法士らが1人の利用者に対し「マンツーマン」で認知症リハビリを20分以上行った場合、60単位算定できる。
今回報告したのは全老健「認知症短期集中リハビリテーションの実施と効果に関する検証研究」で、07年7月~08年2月にかけて実施、36施設から回答を得た。同加算を算定している利用者203人と、算定していない利用者63人について認知機能やADL、意欲、周辺症状などの改善度を調べた。
その結果、認知症短期集中リハビリを受けた利用者は、家事身辺整理や記銘力などNMスケール、意欲、ADLなどが改善していた。特に周辺症状は有意な改善がみられた。いずれも同加算を算定していない利用者よりも改善度が大きかった。
全老健は研究結果で加算の実施効果が明らかになったとし、「特に老健の目的である在宅復帰については、その阻害要因になる周辺症状の軽減が認められた」と報告。その上で、介護報酬が低く、算定条件で対象者を軽度認知障害に限定していることが、算定率の低さにつながっていると指摘した。
同調査結果については、厚生労働省「認知症の医療と生活の質を高める緊急プロジェクト」報告書でも取り上げられており、「軽度認知症に対する短期集中認知機能リハビリが、中核症状やBPSD(認知症の行動・心理症状)の改善に有効と示された」と紹介されている。
■脳卒中、低い予防意識/ファイザーが調査、高血圧の4割受診せず
脳卒中の危険因子として高血圧はよく知られている半面、検査で高血圧と判定されても医療機関にかからない人が約4割いることが、脳卒中に関するファイザー社のインターネット調査で分かった。受診せず生活習慣を変えて改善しようと考えているものの、実際に変えられたのは約半数だった。
調査は4月、各都道府県の40歳以上の男女各50人、計4700人を対象に実施した。
「脳卒中になりやすいと思われる病気」(複数回答)では、高血圧は94%、高コレステロール血症も78%の人が選択し、認知度が高かった。糖尿病(40%)や一過性脳虚血(32%)などは理解不足がうかがえた。
検査で高血圧との結果が出た人のうち、医療機関を受診しなかったのは38%。LDLコレステロール値が高かった人では、58%が受診しなかった。
受診しない理由はともに「生活習慣を変えることによって改善しようと思った」が最多で、「自覚症状がなかった」「通院する時間がなかった」などが続く。生活習慣で改善しようと思った人のうち、実際に食事、運動、喫煙などの習慣を変えた人は高血圧で48%、高コレステロール血症で50%だった。
■熱中症の死者、過去最多/07年は904人で倍増、大半が高齢者
記録的猛暑だった2007年に熱中症で死亡した人は全国で904人に上ったことが、厚生労働省の人口動態統計(確定数)で9月3日、分かった。前年の393人に比べ2倍以上で、現在の死因などの分類法で統計を取り始めた1995年以降で最多。大半が高齢者で、対策が急務となっている。
厚労省によると死者の男女別は男性442人、女性462人。年齢別では、60歳以上が734人に上り、全体の8割以上を占めた。ほかは、10歳未満と10代がそれぞれ4人、20代が7人、30代が27人、40代が40人、50代が87人、年齢不明が1人。都道府県別では東京都が123人で最も多く、次いで埼玉県94人、大阪府56人、千葉県45人、兵庫県41人などだった。
死者数は例年、500人以下で推移しており、これまでは04年の432人が最多だった。
気象庁によると、07年は8月16日に国内最高気温の40.9度が埼玉県熊谷市と岐阜県多治見市で観測されるなど、各地で最高気温を更新。気温35度以上の「猛暑日」や、30度以上の「真夏日」も記録的に多かった。【共同】
■熱中症搬送3.5倍/7月の07年比、死者33人
猛暑となった今夏、7月に熱中症で救急搬送された人は07年に比べ3.5倍の1万2747人に上り、救急搬送全体に占める割合も同2.2ポイント増の3.1%となったことが9月2日、総務省消防庁のまとめで分かった。このうち33人が病院に搬送後、死亡が確認された。都道府県別では愛知が最も多い1084人。次いで大阪の960人、福岡の789人など。最少は岩手の29人。また、07年に比べ増加率が最も大きかったのは新潟で10.9倍の217人だった。
年齢区分別では、18歳~64歳が5382人(42.2%)と最多だった。65歳以上の高齢者も5070人(39.8%)と多く、総人口に占める高齢者の割合(21.9%)に比べ2倍近い比率となった。
搬送者が最も多かった日は、岐阜県多治見市など全国4カ所で気温が38度台を観測した25日で831人。大分県豊後大野市で今夏最高の39度を記録した27日も806人いた。
熱中症の救急搬送件数の全国集計は初めて。消防庁が07年分を含め、全国の自治体消防本部からデータを集め集計した。【共同】
環境編
■原発長期運転で2億円交付/経産省、立地自治体へ
原発を長期間連続運転できるようにする新検査制度が09年導入されるのに合わせ、経済産業省は9月6日までに、新制度の適用対象となる原発の立地自治体に新たな交付金を出す方針を決めた。1カ所当たり道県と市町村にそれぞれ総額2億円とする方向で調整している。
新検査制度では、運転を止めて設備点検する定期検査の間隔が長くなるため、電力会社にとっては原発の稼働率が上がる利点がある。しかし、安全性への不安や作業員の雇用減少、消費落ち込みなど地元経済への影響を懸念する立地自治体や住民が反発、導入がいったん見送られた。
新たな交付金は、安全性に関する住民への広報活動や地域の経済支援に充ててもらうのが目的だが、不安や批判が依然ある中、交付金によって制度定着を目指す方法の妥当性を問う声もある。
新制度適用を受けたい電力会社は、個々の原発について、設備の劣化状況や安全対策をまとめた保全計画を国に提出することが必要。計画提出段階で、電源3法交付金制度に基づく「電源立地地域対策交付金」の1つとして道県と市町村にそれぞれ年4000万円を5年間交付、複数基あっても1カ所につき1回限りにする見込み。【共同】
■日中韓、原発事故通報へ/安全対策に情報共有
原発などの原子力施設で事故が起きたり、施設が災害で被害を受けたりした場合、放射性物質による被害は国境を越えて広がる恐れがあるため、日本、中国、韓国の原子力規制当局は9月3日、都内で開いた会合で、事故などの発生時には速やかに通報するなどの情報共有体制をつくることを決めた。
電力需要増加に対応、地球温暖化対策に有効として中韓両国でも原発建設が進んでいるが、安全確保が大きな課題。
経済産業省原子力安全・保安院によると、事故や災害時の連絡のほか、長年原発を運転してきた日本は、安全対策や規制の仕組みについて両国に情報を提供する。07年の新潟県中越沖地震で柏崎刈羽原発が停止、5月の中国・四川大地震で核関連施設が被災したことから、耐震安全性に関しても情報交換する。
日本原子力産業協会によると1月現在、中国では原発11基が運転中、8基が建設中、韓国はそれぞれ20基と6基。【共同】
■「食の安全」摘発急増/過去最悪の07年上回る
食品の産地偽装など「食の安全」に関する事件で、08年1-6月に全国の警察が摘発したのは29件で、摘発人数は61人に上り、年間に換算すると過去最悪だった07年(52件、90人)を上回るペースで増えていることが9月4日、警察庁のまとめで分かった。
警察庁は「食の安全に対する関心が高まり、内部告発が増えたことなどが影響している」と分析している。
まとめによると、食品の産地や品質を偽装する事件の摘発は、07年1年間が4件で摘発人数が21人だったのに対し、08年は上半期だけで9件、29人だった。【共同】
■カビ、残留農薬米を転売/輸入米で三笠フーズ
農林水産省は9月5日、カビ毒アフラトキシンや殺虫剤メタミドホスが基準値を超えて残留し「非食用」としていた中国などからのミニマムアクセス(最低輸入量)米を、中堅の米粉加工業「三笠フーズ」(大阪市)が「食用」として焼酎などの原料に不正転売していたと発表した。米菓についても使われていた恐れがあり流通経路を調査している。現時点では、健康被害の報告はないという。
同省は食品衛生法違反容疑で大阪府警と福岡県警に刑事告発する準備を進めている。三笠フーズの福岡県内の倉庫から出荷。農水省と福岡県は三笠フーズや関係団体に対し、自主回収を指示、食品衛生法に基づき本格的な調査に乗り出した。同社の冬木三男社長は農水省に「違反行為に当たることは認識していた」と述べている。
問題のコメは、鹿児島と熊本の焼酎メーカー4社や、大阪、京都などの米穀店や仲介業者など計20社が購入。さらに増え、西日本一帯で流通している可能性もある。農水省はこのうち、鹿児島の焼酎メーカー3社が購入したアフラトキシンが残留していたコメを焼酎原料として使用していたことを確認している。【共同】
■カナダの棚氷、大規模崩壊/この夏23%消失
北極海に面したカナダ・エルズミア島の棚氷の崩壊が急速に進んでいると、カナダ・トレント大の研究チームが9月3日、発表した。温暖化の影響とみられ、この夏だけでカナダの棚氷面積の23%に当たる214平方キロが消失したという。
棚氷は、陸の氷床や氷河が海に押し出されて形成される陸と一体化した洋上の氷。研究チームによると、エルズミア島にある5地域の棚氷のうち、8月に50平方キロのマーカム棚氷全体が分離して北極海に漂い出したほか、それ以前にも2つの地域で大規模な崩壊が確認された。
同島の棚氷は約4500年前の古い氷を含み、厚さは約40メートル。現在の気候状況ではいったん失われると2度と回復しないという。
北極では近年、温暖化により海氷の面積も急激に縮小。8月下旬には観測史上2番目に小さい面積となり、最小値を記録した07年レベルに近づいている。【ワシントン9月3日共同】
■市町村の温暖化対策作り遅れる/策定済み47%
地球温暖化対策推進法で義務付けられている、温室効果ガス削減目標や取り組みを定めた「実行計画」の策定を済ませた市町村は849自治体で、全体の47%にとどまるとの調査結果を環境省が9月2日、まとめた。
法律は、1999年の施行当初から、都道府県や市町村に、庁舎や公立学校、公営の交通機関などの二酸化炭素(CO2)排出削減対策をまとめた実行計画の策定を義務付けている。
07年12月1日現在、政令指定都市、中核市、特例市はすべての自治体が実行計画を策定していたが、それ以外の市町村1725のうちでは、策定済みは753(44%)にとどまった。
同省は、マニュアルを作るなどして、早急に自治体に策定を働き掛ける方針だ。【共同】
■温暖化防止へ肉食減らして/IPCC議長が提言
9月7日付の英日曜紙オブザーバーによると、07年ノーベル平和賞を受賞した「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」のラジェンドラ・パチャウリ議長が、地球温暖化防止のためには畜産業から発生する温室効果ガスの削減が重要で、世界の人々が「(1週間に)1度は肉を食べないようにし、消費量を減少させるべきだ」などと語った。
パチャウリ氏は、英国の非政府組織(NGO)が主催しロンドンで8日に行う講演でも同様の提言を行う予定で、米国など主要な牛肉輸出国で波紋が広がりそうだ。
食肉生産の過程で発生する温室効果ガスは、人間の活動に起因する世界の排出量全体の約2割に及ぶ。同紙によると、パチャウリ氏は「食習慣の変革」は自動車など交通手段の省エネ化と比べて実行が比較的容易で、温室効果ガスの削減にも即効性があると主張した。パチャウリ氏はインド出身で、厳格な菜食主義者。【ロンドン9月8日共同】
【週刊マスコミ論調】
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