理事長談話/行政刷新会議ワーキンググループによる「事業仕分け」に抗議する
2009年11月16日
京都府保険医協会理事長 関 浩
この11月11日から、行政刷新会議のワーキンググループが、次年度予算編成に向けた「事業仕分け」作業を行っている。これを我々は、国民の貴重な税を真に生かすための取り組みと見て、期待を寄せていた。 しかし、そこで今行われている議論と結論は、あまりにひどい。少なくとも、医療分野の課題については、非常識極まりない内容であり、強く抗議する。
新政権は、「構造改革」による熾烈な医療・社会保障攻撃に反対し、公的な医療保険制度と国民の医療を守るとの立場で方針を打ち出し、それに対する多くの国民の支持を得て政権を獲得したのではなかったのか。民主党が「マニフェスト2009」で見せた、医療全体の水準を引き上げようという姿勢はどうなったのか。我々は今、新政権に対するこれまでの我々の期待と評価は、誤りであったかと言わざるをえなくなっている。
我々医療者に関わりの深い事業の検討は、第2ワーキンググループが行っているが、そこに民間評価者(仕分け人)として参加しているメンバーは、医療や社会保障の現場を横目で見ながら、居丈高な発言を繰り返す「改革系」の学者やコンサルタント、評論家、経済関係者たちばかりである。現場の医療者や医療保障、社会保障に関するコモンセンスを持った研究者などは、一人として加えられていない。さらに、その検討のために提出されているデータ・資料類は、「はじめに結論ありき」と言われても仕方のない、意図的な選別によるものばかりである。
医療や社会保障に関する現場経験と議論の蓄積のないメンバーが、このような資料類や知識をもって議論して、本当に現場や国民が望んでいるような結論を得られるはずがない。そもそも医療分野の問題を、このような場で議論すること自体、見識が疑われる。
この第2グループで取り上げられた仕分け対象事業について、その議論の具体的な内容とそれに対する批判は別稿で詳細に論ずる予定であるが、この仕分けの結果、次回診療報酬改定については、「勤務医と開業医の報酬の平準化」「整形外科、眼科、耳鼻科、皮膚科など収入が高い診療科の見直し」「改定率の検討に際しての公務員人件費引き下げやデフレの反映」といった方針が、中医協における改定作業に対する指針として持ち込まれる可能性が高まった。
この「事業仕分け」という仕組みの持つ反国民的、反医療現場的性格を、許すことはできない。この作業において示された結論が、錦の御旗扱いされ、今後の医療・社会保障の行方を歪めることのないよう、断固、抗議するとともに、「事業仕分け」作業そのものの中止・見直しを要求する。
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