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第2節 老人医療費の推移

1.人口の推移と平均余命

 少子高齢社会が到来したと言われているが、過去から未来に向かって日本の高齢者人ロはどのように変化し、変化していくかを見ておく必要がある。表1は年齢区分別人口の推移と将来推計を表したものである。老人医療費が有料化されたのが1983年(昭和58年)であった。その頃(1980年、昭和55年)、65歳以上の老人人口は1065万人で、全人口に占める割合は9.1%であった。75歳以上の後期高齢者の人口は366万人で、全人口に占める割合は3.1%であった。現在(2000年、平成12年)、65歳以上の老人人口は2187万人で、全人口に占める割合は17.2%になった。75歳以上の後期高齢者の人口は889万人で、全人口に占める割合は7.0%になった。
 日本の総人口は2005年(平成17年)頃にピーク(1億2800万人)に達し、老人人口は2040年(平成52年)頃にピーク(3370万人)に達する。後期高齢者人口は、2030年(平成42年)頃に一時ピークに達するが、2050年(平成62年)頃まで増え続け、その頃1800万人であると予想されている。2050年(平成62年)、老人人口の全人口に占める割合は32.3%になり、後期高齢者のそれは18.8%になる。

表1 年齢区分人口の推移と将来推計

 表2に平均余命を示した。1998年(平成10年)のデータでは、男子65歳の平均余命は17年、80歳の平均余命は8年近くある。女子65歳の平均余命は22年、80歳の平均余命は10年である。

表2 平均余命

2.老人医療費の推移

 表3に老入医療費の負担内訳を年ごとに示した。1983年(昭和58年)、老人保健法が成立し、老人医療費が有料化されたが、その年の老人医療費は3兆3,000億円であり、老人保健加入者は749万人であった。一方、1998年(平成10年)度の老人医療費は10兆8,000億円で、老人保健加入者は1360万人になった。この15年間に老入医療費は3倍になり、老人加入者は2倍足らずになったということである。
 窓口での患者負担は、1983年(昭和58年)には老人医療費の1.6%であったが、自己負担は少しずつ増額され、1998年(平成10年)には7.2%になった。国庫分を除外した拠出金の老人医療費に対する割合は、1983年(昭和58年)には、43.7%であったが、加入者按分率が50%から100%へと段階的に引き上げられる度にそれは増加し、1998年(平成10年)には、48.4%になった。すなわち、患者の窓口負担は、その間5.6ポイント、国庫を除外した拠出金は4.7ポイント、合わせて10.3ポイントと両者の負担が増加した。一方、1983年(昭和58年)の国庫負担割合は44.9%であったが、1998年(平成10年)のそれは34.4%に減少したのである。すなわち、国庫負担は10.5ポイント削減された。国は老入医療費の約10%を、まるまる老人の自己負担に、そして拠出金として国民に押しつけたのである。

表3 老人医療費負担額の推移

 表4によれば、最近の医療費を見ると、老人医療対象者(70歳以上及び65歳以上の寝たきり等の状態にある者)1人当たりの医療費は老人以外の1人当たりの5倍になっている。

表4 老人と老人以外の診療費(食事療養及び薬剤の支給を含む)の比較

 一方、1998年(平成10年)6月分の診療費内訳を表5〜7に示したが、1日当たりの老人医療費は外来で、一般医療費の1.1倍、入院では0.9倍で、むしろ老人医療費の方が低い。1月当たりの通院日数は、老人では2.7日で、一般人では2.0日であった。その差は0.7日である。老人は一般人に比較して1.35倍通院日数が多いといえる。1月当たりの入院日数は、老人では20.3日で、一般人では16.5日で、その差は3.8日であった。老人は一般人より1.23倍入院日数が多いといえる。1件当たりの医療費を比較すると、外来と入院を合わせた老人医療費は一般医療費の1.8倍であった。以上のことから結論すると、老人に対して、1日当たり一般人と同程度の治療が施されていて、決して過剰な医療がなされているとは言えないのである。老人医療費が一般に比して1件当たり1.8倍高いのは、主として、老人の入院や通院日数が長くなるからだといえる。


表5 入院外の一般医療−老人医療・年齢階級・診療行為別1件当たり点数、1日あたり点数、1件あたり日数
表6 入院の一般医療−老人医療・年齢階級・診療行為別1件当たり点数、1日あたり点数、1件あたり日数
表7 一般医療−老人医療・年齢階級・診療行為別1件当たり点数、1日あたり点数、1件あたり日数

〈参考文献〉
厚生白書 平成12年版
高齢社会白書 平成12年版
目で見る医療保険白書 平成12年版 医療保険制度研究会 編集


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