聴覚言語障害者の医療あんしんマップ


聴覚言語障害者の医療あんしんマップ(PDF形式)

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ごあいさつ

 これまで何人もの聴覚障害者から、何度も生活上の困難や悩みを聞いてきました。就職やリストラの悩み、職場での人間関係、近所付き合い、子どもの教育問題など、傷害の有無にかかわりのない現代社会の問題が多いようでした。しかし、その実態は健聴者に想像もつかない深刻な内容を含んでいます。それはいずれも聴覚障害に基づく意思疎通の不十分さによるものです。これらの問題の解決に当たっては近年、手話通訳者の派遣を要請することで、一定の解決の道が開かれるようになってきたことは、たいへんよろこばしいことと言わねばなりません。
 しかし、社会保障制度や施策の現状から見て、聴覚言語障害者の多くが今なお不安であるとして指摘することは「医療問題」です。
 その理由は、医療担当者との意思疎通が十分に出来ないからです。自分だけではなく、子どもや家族が悪くなった時でも、果たしてかかりつけの医院や病院の窓口で、自分の言うことがどれだけ相手にわかってもらえるのだろうか。また、待合室でいつ呼ばれるのか。診察室に入ってからも、病状や治療の説明が通じるのだろうか。検査室では・・・。薬局では・・・。病棟では・・・。等々数えきれないくらいの不安と心配が付きまとい、病気になるのが怖いとすら言う人もいます。
 健聴者にとってはごく当たり前で、何の不安もないことが、聴覚言語障害者にとっては極めて気の重いことであり、出来るなら行かずに済ませたいと思うそうです。事実、医療機関にかからずに、売薬で済ませたり、苦痛をじっと我慢して治るのを待っていたりする人もたくさんいます。

 

そのために必要な医療の機会を逃して病状の悪化を招いたり、手遅れになったりする事例も後を絶ちません。このような事態は明らかに、憲法25条に定める「健康で文化的な生活を守る権利」を侵害していると言わざるを得ません。
「手話のわかる先生がいる病院があればいいのに―」
「聴覚障害者が安心して受診できる病院がほしい」

 この長年の希望を実現するために、京都府内の「医療マップ」を作ろうと話し合いを始めてから3年たちました。
 京都聴覚言語障害者協会や手話サークルの関係者の熱意と努力と、多くの方々のご援助とご協力が結集して、やっとここに完成しました。
 内容はまだまだ不十分ですが、今後さらに皆さん方のご意見や教えを頂きながら、改善したいと願っています。
 このマップを見れば京都のどこに「聴覚障害者に対して理解のある医療機関」があるかが分かります。医療の主権者である聴覚言語障害者のみなさんが、安心して受診できたらこんなにうれしいことはありません。
 今後、この医療マップの完成普及を契機にして「安心出来る医療が欲しい」「病状や手当てを直接聞きたい」という聴覚言語障害者の願いに、適切に答えられるよう地域医療が改善され、ますます発展することを祈念してやみません。
 終わりにマップ作成に加わって頂きましたみなさんに、深い敬意と感謝を捧げご挨拶と致します。

2002年6月
京都府保険医協会手話学習会 「いしづえ」  藤井 進




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