代議員アンケート 16年度診療報酬改定について  PDF

代議員アンケート  16年度診療報酬改定について

 昨年12月21日に決定された診療報酬の16年度改定率および1月13日に公表された「これまでの議論の整理(現時点の骨子)」に示された改定の主な項目に対する代議員会(1月28日)出席者の評価について質問した。

改定率への不満明らかに

 対象は75人で回収数は69人(回収率92%)。うち、診療所の開設・管理者・勤務者91%(63人)、病院の開設・管理者・勤務者7%(5人)、無回答1%(1人)。診療科別には、内科系(内・消内・精・児)52%(36人)、外科系(外・整・耳・眼・産婦・皮・泌)32%(22人)であった。

 診療報酬の16年度改定率は本体プラス0・49%、薬価・材料価格マイナス1・33%、ネットでマイナス0・84%と発表された。しかし、薬価の市場拡大再算定による見直しを含めればネットでマイナス1・03%、「外枠」に位置付けられた「制度改革事項」を含めればネットでマイナス1・43%となる。

 この改定率について、「外枠を含めプラスにすべき」41%、「少なくともネットでプラスマイナスゼロにすべき」29%、「外枠を除きプラスにすべき」13%、「本体がプラスになっただけで十分」7%、「本体も引き上げるべきでなかった」1%、「分からない」9%であった。(図1)

 また、改定財源について、「外枠削減分、薬価・材料価格引き下げ分を本体改定の財源とすべき」49%、「薬価・材料価格引き下げ分は全て本体改定の財源に充当すべき」25%、「財務省の言うとおり薬価・材料価格引き下げ分は本体の財源とはなり得ない」9%、「分からない」14%であった。(図2)

 協会は「薬価・材料の引き下げ財源は本体に補填すること」「本体のマイナス改定は行わないこと」を掲げて運動した。その結果、本体は若干プラス改定となったが、薬価・材料の引き下げ分が十分に充当されたとは言いがたい。改定率への不満が明らかとなった結果であった。 

湿布薬の算定制限に6割超が反対

 次に「現時点の骨子」に書かれた投薬に関する改定について質問した。

 「一定の枚数(70枚が考えられる)を超えて湿布薬を処方する場合は、原則として処方せん料、処方料、調剤料、調剤技術基本料および薬剤料を算定しない」という改定について、「反対」61%、「やむを得ない」29%、「賛成」4%、「分からない」6%であった。(図3)

 なお、整形外科を主な診療科とする回答者8人では、「反対」7人、「やむを得ない」1人の結果であった。

 「多種類の内服薬を服用している患者に対して処方薬剤を減少させる取り組みを行い、処方薬剤数が減少した場合について評価する」という改定について、「反対」55%、「やむを得ない」23%、「賛成」16%、「分からない」6%であった。(図4)

 後発医薬品の更なる使用促進として「処方時に後発医薬品の銘柄を記載した上で変更不可とする場合には、処方せんにその理由を記載する」という改定について、「反対」62%、「やむを得ない」20%、「賛成」6%、「分からない」9%であった。(図5)

7対1病床削減すべきでないが5割超

 次に入院医療、特に一般病棟の7対1入院基本料について「重症度、医療・看護必要度」の改定等、施設基準を厳しくして、病床数の削減を狙っていることについて質問した。「7対1入院基本料算定病床は削減すべき」14%、「看護職員の充足を図るべきで削減すべきでない」52%、「分からない」30%であった。回答者の9割が診療所の開設・管理者・勤務者であるが、5割以上の方が「看護職員の充足を図るべきで削減すべきでない」と回答している。(図6)

 最後に自由意見では、改定率について「薬価基準の引き下げによるマイナスの影響をもっと考慮すべきである」「外枠はほとんど薬価関連事項であり本来『内枠』のはず。これを本体分にまわさないのは不当である」との意見が出されている。

 また、改定内容について「後発品は主材料だけでなく、副材料も含めて先発品と同一のものをジェネリック薬とすべき。主材料のみの後発品は別に薬価を定めるとよい。副材料も含めて先発品と同一であれば、一気に後発品の採用が増えるであろう」、「医療提供体制の改変の手段としてのみ診療報酬を位置付けるのは制度の本旨を外した手法ではないかと思う」「重症者に対する在宅医療点数を下げてはいけない」との意見が出されている。

 協会としては、アンケート結果を今後の活動の糧としたい。

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