医界寸評  PDF

医界寸評

 厚労省は来年度から介護保険軽度者向けの生活援助サービスを保険給付対象から外すことを検討するらしい。膨らみ続ける社会保障費を抑えるためだという▼長寿高齢化が進み医療介護の必要性が増す一方、出生率の減少が止まらず、労働人口も減少してきている。年金支給開始年齢を引き上げ、定年も引き上げ、労働人口減少を防ごうとしている▼しかし高齢になっても労働するには健康が必要である。介護を受けず自立するにも健康が大事である。高齢者医療窓口負担2割化は、医療を手控え健康悪化につながる。生活援助サービスの中止は栄養不良・生活環境悪化をきたしフレイルに陥る。ヘルパー訪問による孤立や引きこもりの早期発見でのフレイル予防の機会を失う▼出生率が増えないなら、高齢者に充分な医療を提供し健康寿命を延ばし、生活援助サービスにより、孤立や引きこもり、栄養障害からフレイルに陥るのを防ぐことが必要である。このことが介護需要の減少につながる▼最近地方創生が謳われているが、基本的に集中と選択である。山間僻地は切り捨てられる。医療と介護を提供する建前で高齢者には住み慣れた土地を離れ移動が求められる▼もし認知症になっても慣れた親しんだ環境で生活できれば周辺症状は抑えられる。そのような社会をつくることが本当の地方創生であろう。(恭仁)

 

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